JPH0776231A - 走行農機の燃料タンク - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 燃料タンク内の燃料が少量になり機体が傾斜
することによってガス欠が起こるのを防止する。 【構成】 走行農機に搭載するエンジン用燃料タンク
（１）において、燃料タンク（１）をその機体前方がわ
を後方がわより深くして前方がわの容積を大きくしエン
ジンへの供給油管（２）の吸込み口（３）と戻り油管
（４）の返り口（５）とを、前方がわの底部内に近接し
て設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、コンバイン等の走行農
機に搭載するエンジン用燃料タンクに関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来のエンジン用燃料タンクはその底部
全体が平坦であって、燃料の戻り油管からの戻り油は燃
料タンクの上部に返されているので、例えばコンバイン
等の走行農機にこの燃料タンクを搭載して運転するとき
燃料タンク内の燃料が少量になり機体が前後に傾斜する
と（畦畔越え等の走行時、或は積み降ろし時）戻り油管
からの戻り油が供給油管の吸込み口に返されずガス欠を
起こしている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】このように、従来の燃
料タンクにあってはそのタンク内の燃料が少量になり機
体が傾斜することによってガス欠を起こしエンジンが停
止するので、本発明はこのような場合でも戻り油が吸込
み口部に返されてガス欠を起こさないようにするために
燃料タンクの形状と供給油管の吸込み口と戻り油管の返
り口の燃料タンクとの連結連通についての組合わせ構成
に新たなものを提供するものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】そこで、この発明は走行
農機に搭載するエンジン用燃料タンクであって、該燃料
タンクをその機体前方がわを後方がわより深くして前方
がわの容積を大きくし、エンジンへの供給油管の吸込み
口と戻り油管の返り口とを、この容積を大きくした前方
がわの底部内に近接して設けたことを特徴とする。

【０００５】

【作用】このように構成したので、燃料タンク内の燃料
が少量になると、浅い後方がわの燃料は深い前方がわに
流動して吸込み口から供給油管を通ってエンジンに供給
され、また、戻り油は返り口から深い前方がわに直接返
されるのである。

【０００６】そして、この場合に走行によって機体が傾
斜し燃料タンクの前方がわが高くなっても前方がわ内の
燃料は深みに溜って後方がわに流動せず返り口からの戻
り油と共に吸込み口からエンジンに供給されるようにな
る。

【０００７】

【実施例】以下、この発明について例図を参照し説明す
るのであるが、この例図に示す走行農機はコンバインで
あるので先ずその概要について「図１５」により記載す
ると、図中、（Ａ）はアンダ−式のフィ−ドチエン
（６）を左側に張設し扱胴（７）・揺動選別体（８）等
を内蔵して走行装置（９）上の左側に搭載する脱穀部、
（Ｂ）は分草体（１０）・引起しケ−ス（１１）・刈刃
（１２）・株元搬送チエン（１３）・掻込ベルト（１
４）などからなり脱穀部（Ａ）の前方に設けられた刈取
部、（Ｃ）はフィ−ドチエン（６）の終端部から脱穀済
の藁稈を後方に搬出する排藁チエン（１５）の終端部を
のぞませる排藁処理部、（Ｄ）は操縦部、（１６）は脱
穀部（Ａ）からの穀粒を揚穀筒（１７）を介して貯溜す
る穀粒タンクであって、前記の操縦部（Ｄ）と穀粒タン
ク（１６）は走行装置（９）の右側に位置して、連続的
に植立穀稈を刈取部（Ｂ）で刈取りその刈取穀稈を脱穀
部（Ａ）がわに搬送しフィ−ドチエン（６）の始端部に
受継がせて横送し扱胴（７）や揺動選別体（８）等によ
って脱穀処理し、穀粒を穀粒タンク（１６）に貯留しな
がら脱穀済の藁稈を排藁チエン（１５）により搬出して
排藁処理部（Ｃ）で処理するようになり、穀粒タンク
（１６）内に貯留されたものは排出オ−ガ（１８）によ
り機外に取出されるのである。

【０００８】また、このコンバイン各部の駆動源である
エンジン（Ｅ）は操縦部（Ｄ）のオペレ−タシ−ト（１
９）の下方に設けられ、その燃料タンク（１）はエンジ
ン（Ｅ）と反対側の機体の左側で刈取部（Ｂ）と脱穀部
（Ａ）の間に位置し、燃料タンク（１）に給油する給油
口（２０）は操縦部（Ｄ）のステップ（２１）の高さ位
置で操縦コラム（２２）の外側部に設けられ給油管（２
３）により給油されるようになっている。なお、（２
４）はエンジン（Ｅ）のマフラ−である。

【０００９】次に、本発明の燃料タンクについて「図
１」〜「図４」により記載する。即ち「図１」は燃料タ
ンクを断面して示す側面図、「図２」は同タンクの平面
図、「図３」は機体の傾斜によって燃料タンクの前方が
わが高くなったときの状態を示し、「図４」は逆に低く
なったときの状態を表したものであって、この燃料タン
ク（１）は前方がわを深くし後方がわを浅くした異形の
ものにし、前方がわと後方がわの境界部分には仕切板
（２５）が立設されてこの仕切板（２５）の下縁と燃料
タンク（１）の底面との間には燃料が緩やかに流動する
間隙（２６）が設定されている。

【００１０】そして、（２）はエンジン（Ｅ）への供給
油管であり、（４）は戻り油管で、供給油管（２）の吸
込み口（３）と戻り油管（４）の返り口（５）は容積を
大きくした前方がわの底部内に互いに近付けて連結連通
されている。なお、（２３）は前記給油口（２０）に連
通している給油管である。

【００１１】したがって、燃料タンク（１）内の燃料が
少量になり機体の傾斜によって燃料タンク（１）の前方
がわが「図３」のように高くなると、浅い後方がわの燃
料は間隙（２６）から矢印（イ）のように徐々に前方が
わに流動して深みに溜るようになり、また、返り口
（５）からの戻り油も直接深みに返されて吸込み口
（３）からエンジン（Ｅ）に供給されていくである。

【００１２】また、「図４」に示すように前方がわが低
くなれば一段とその前方がわの深みに燃料が集合して溜
り戻り油も深みに返されて吸込み口（３）から燃料がエ
ンジン（Ｅ）に供給されるのでガス欠を起こさないので
ある。なお、（Ｏ）は油面を示してある。

【００１３】そして、以下に別実施例のものを記載する
と、先ず「図５」と「図６」において、この燃料タンク
（１）も前方がわを深くして容積を大きくした異形のも
ので、その前方がわの底部に燃料の供給油管（２）を連
結し前方がわと後方がわの境界部分に仕切板（２５）を
立設し、この仕切板（２５）と底面との間に燃料が通る
通路（２７）を形成して、これにゴム板式の弁（２８）
を取着し、弁（２８）によって燃料タンク（１）が水平
状態または「図５」のように前方がわが低くなったとき
燃料が弁（２８）を押し開いて後方がわから（ロ）のよ
うに前方がわの深みに流動し、逆に「図６」に示すよう
に前方がわが高くなると弁（２８）は前方がわに溜って
いる燃料が後方がわに流動するのを阻止して、燃料が少
量になってもエア噛みによるガス欠が起こらないように
してある。

【００１４】また、「図７」と「図８」は仕切板（２
５）の下部に通路（２９）を設け、これに前記のゴム板
式の弁（２８）にかえてボ−ル式の弁（３０）を取着し
たもので、仕切板（２５）が立設する部分の底面が異な
るのみでその他の構成は前記のものと同様であって、そ
の作用も同様である。

【００１５】さらに、簡単な手段として、「図９」と
「図１０」に示すものも考えられるのであって、立設し
て前方がわと後方がわを仕切る仕切板（２５）の下端部
に小孔（３１）を設け、この小孔（３１）を通して燃料
タンク（１）が傾いたとき徐々に燃料が流動するように
したもので、前方がわが高くなったときに後方がわに燃
料が急速に流動しないようにすることによって一時のエ
ア噛みを防止するようにしている。なお、「図９」と
「図１０」のものの相違するところは仕切板（２５）が
立設する部分の底面形状が異なるのである。

【００１６】また、「図１１」と「図１２」に示したも
のは前記のものと同様に異形の燃料タンク（１）にし、
その前方がわと後方がわをそれぞれボ−ル式の弁（３
２）（３３）を介して供給油管（２）（２）に連通した
もので、燃料が少量になり燃料タンク（１）が水平状態
であると「図１１」のように前方がわのボ−ルが浮上し
て弁（３２）は「開」となり後方がわの弁（３３）は
「閉」して前方がわの供給油管（２）から燃料を供給
し、前方がわが高くなると「図１２」のように前方がわ
の弁（３２）が「閉」し後方がわの弁（３３）は「開」
して後方がわの供給油管（２）から供給するようになっ
てエア噛みしないのである。なお、（Ｐ）はポンプを示
したものである。

【００１７】「図１３」と「図１４」に示すものは定形
の燃料タンク（１）の底面四隅部にそれぞれボ−ル式の
弁（３４）（３４）（３５）（３５）を介して供給油管
（２）・・・を連通して、燃料タンク（１）が水平状態
のときは「図１３」のようにすべての弁が「開」し、
「図１４」のように前方がわが高くなると前方がわ左右
の弁（３４）（３４）が「閉」するとともに後方がわ左
右の弁（３５）（３５）が「開」になり、逆に前方がわ
が低くなると前方がわ左右の弁（３４）（３４）が
「開」するとともに後方がわ左右の弁（３５）（３５）
が「閉」になって、燃料タンク（１）内の燃料を供給す
るようになる。

【００１８】また、水平状態の燃料タンク（１）の左側
が高くなると左側前後の弁（３４）（３５）が「閉」に
なるとともに右側前後の弁（３４）（３５）が「開」に
なり、逆に右側が高くなると左側前後の弁（３４）（３
５）が「開」になるとともに右側前後の弁（３４）（３
５）が「閉」になる。

【００１９】

【発明の効果】本発明は以上説明したように、走行農機
に搭載するエンジン用燃料タンク（１）であって、該燃
料タンク（１）をその機体前方がわを後方がわより深く
して前方がわの容積を大きくし、エンジン（Ｅ）への供
給油管（２）の吸込み口（３）と戻り油管（４）の返り
口（５）とを、この容積を大きくした前方がわの底部内
に近接して設けたことを特徴とするものであるから、機
体が傾斜し燃料タンク（１）の前方がわが高くなっても
前方がわ内の燃料は深みに溜って後方がわに流動せず、
また、戻り油は返り口（５）から深い前方がわに直接返
されて共に吸込み口（３）からエンジン（Ｅ）に供給さ
れるようになるので、燃料が少量になったとき機体が前
後に傾斜してもエンジン（Ｅ）はガス欠を起こさない効
果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による燃料タンクを断面して示す側面図
である。

【図２】同タンクの平面図である。

【図３】同タンクの前方がわが高くなったときの状態を
示した図である。

【図４】同タンクの前方がわが低くなったときの状態を
示した図である。

【図５】別実施例１．のもので前方がわが低くなったと
きの状態を示す図である。

【図６】同例のもので前方がわが高くなったときの状態
を示す図である。

【図７】同例の他の例図であって前方がわが低くなった
ときの状態を示す図である。

【図８】同他の例図における前方がわが高くなったとき
の状態を示した図である。

【図９】別実施例２．のものを示した図である。

【図１０】同例の他の例図を示す図である。

【図１１】別実施例３．のもので水平状態のものを示す
図である。

【図１２】同例における前方がわが高くなったときの状
態を示した図である。

【図１３】別実施例４．のものを水平状態で示す図であ
る。

【図１４】同例のものの前方がわが高くなったときの状
態を示した図である。

【図１５】コンバイン全体の概要を示す側面図である。

【符号の説明】

１ 燃料タンク ２ 供給油管 ３ 吸込み口 ４ 戻り油管 ５ 返り口 Ｅ エンジン

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 走行農機に搭載するエンジン用燃料タン
   ク（１）であって、該燃料タンク（１）をその機体前方
   がわを後方がわより深くして前方がわの容積を大きく
   し、エンジン（Ｅ）への供給油管（２）の吸込み口
   （３）と戻り油管（４）の返り口（５）とを、この容積
   を大きくした前方がわの底部内に近接して設けた構成に
   したことを特徴とする走行農機の燃料タンク。