JPH077504B2 - 磁気記録媒体の製造方法および製造装置 - Google Patents

磁気記録媒体の製造方法および製造装置

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JPH077504B2
JPH077504B2 JP8451986A JP8451986A JPH077504B2 JP H077504 B2 JPH077504 B2 JP H077504B2 JP 8451986 A JP8451986 A JP 8451986A JP 8451986 A JP8451986 A JP 8451986A JP H077504 B2 JPH077504 B2 JP H077504B2
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英雄 黒川
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は摩耗,損傷等による記録再生特性劣化が極めて
少なく耐久性に優れた磁気記録媒体の製造方法および製
造装置に関するものである。
従来の技術 近年、磁気記録媒体は高密度記録のため、Co,Cr,Ni,Fe
等の強磁性体金属の薄膜を磁性層としたもの(以下、金
属磁気記録媒体と称す)が注目され、実用化が検討され
ている。金属磁気記録媒体では、従来の塗布式磁気記録
媒体に比べ高い周波数領域で記録再生されるので、入出
力損失を極力少なめるためにも、磁気記録媒体の保護層
は薄くする必要がある。ところが、従来試みられた様な
有機系潤滑材料では、金属磁性媒体の特性を損なわない
程に保護層を薄くした場合、耐久性に問題があり、実用
化には至っていない。これに対し、例えば、ダイヤモン
ド膜、あるいはダイヤモンド状炭素膜を保護層とするこ
とが考えられる。
ダイヤモンド膜、および、ダイヤモンド状炭素膜は極め
て硬く、かつ、すべり性も良好であるので耐摩耗性,耐
傷性に優れ、前記の様な金属磁気記録媒体の保護膜とし
て適している。ダイヤモンド膜、あるいは、ダイヤモン
ド状炭素膜の合成方法に関し多数の報告があるが、中で
も黒川らのプラズマインジェクションCVD法(以下、PI-
CVD法と称す)は、基板を加熱せずとも優れた特性のダ
イヤモンド状炭素膜を、他の方法に比べ10倍以上もの成
膜速度で合成できるため、基板に有機フィルムを用いて
いる理由上、基板を加熱できず、かつ、量産性が必要と
される金属磁気記録媒体の保護膜形成方法として適して
いる。実際金属磁気記録媒体上に、PI-CVD法で僅か100
Åの膜厚のダイヤモンド状炭素膜を形成したものでさえ
も、大幅な耐久性向上があったとしている。(黒川他:
ダイヤモンド状炭素膜による金属磁性膜の耐久性向上、
電子通信学会磁気記録研究会講演集、1986年3月) 第2図を用いて、以下にPI-CVD法で金属磁気記録媒体
に、ダイヤモンド状炭素膜を形成する概略を記す。成膜
に先立ち、ダイヤモンド状炭素膜が形成される金属磁気
記録媒体23は、巻出しローラー22,中間ローラー24,回転
ローラー25,中間ローラー26,巻取ローラー27にセッティ
ングした後、プラズマ管21,真空容器15は真空ポンプ28
で、10-2Pa程度に排気される。その後、プラズマ管21に
メタンガス,アルゴンガス18を例えば各々10〜20Pa導入
し、高周波電源16と励起コイル17でプラズマ化する。金
属磁気記録媒体23の磁性層側は中間ローラー24にて接地
してあるため、直流電源19の高電位側をメッシュ状電極
20に接続し、低電位側を接地して、直流電圧を印加すれ
ば、プラズマ中のイオンは金属磁気記録媒体方向に加速
され、金属磁気記録媒体に照射され、ダイヤモンド状炭
素膜が形成される。例えばメタンガス,アルゴンガス18
の圧力が各々20Pa、高周波電源16の出力が0.2Kw、直流
電源19の電圧が1.0Kvでは2000Å/minの成膜速度で、金
属磁気記録媒体に熱によるシワ等を生じることなくダイ
ヤモンド状炭素膜を形成できる。
PI-CVD法によって形成した炭素膜は、SP3電子配置を含
むダイヤモンドに近い結合状態の非晶質構造をしてお
り、ビッカース硬度は2000kg/mm2以上であり耐摩耗性に
優れる。また、鋼球を使用した摩擦係数の測定では01以
下の値が得られ、潤滑剤を含んだ磁気テープ等の摩擦係
数と同等以下である。従って、金属磁気記録媒体の保護
膜として申し分ない。
発明が解決しようとする問題点 PI-CVD法では、例えば第2図を用いて先述した様に金属
磁気記録媒体上にも、ダイヤモンドに近い優れた特性を
有するダイヤモンド状炭素膜を、金属磁気記録媒体をあ
えて加熱せずとも、他の方法に比べ10倍以上もの成膜速
度で形成できる。
ところが、金属磁気記録媒体の磁性層形成工程では、例
えば50m/minもの高速度で金属磁気記録媒体が移送され
るため、PI-CVD法でダイヤモンド炭素膜を形成する場合
でさえも、更に大きい成膜速度が望まれる。その場合、
例えば第2図に示すメタンガス,アルゴンガスの圧力,
高周波電力,直流電圧を増加し成膜速度を増加できる
が、同時にイオンの照射量が増加するため、金属磁気媒
体の温度も上昇してしまい、シワが発生したり、あるい
は磁性層がなくなり、良好にダイヤモンド状炭素膜を形
成できない。この問題の対策としてメタンガス,アルゴ
ンガス圧力,高周波電力のみを増加させ、直流電圧を減
少させてイオン照射量を抑えることは操作上可能である
が、直流電圧が、例えば0.5Kv以下となると、金属磁気
記録媒体保護膜として満足できる膜質のダイヤモンド状
炭素膜を形成できなくなるので好ましくない。
これらシワ発生等の対策として、第2図に示す中間ロー
ラー24,26で金属磁気記録媒体23に張力をかけ、回転ロ
ーラー25に張付け、熱を回転ローラー25から発散させる
手段があるが、金属磁気記録媒体23の引張強度上、熱を
十分に発散させる程の張力はかけられない。更には、張
力をかけるための付加機構を必要とするため、装置コス
トが余分にかかる。
従って、従来の技術では、優れた特性のダイヤモンド状
炭素膜を金属磁気記録媒体の生産速度を損うことない程
の大きい成膜速度で金属磁気記録媒体上に形成する場
合、この熱による金属磁気記録媒体のシワ発生等の諸問
題を解決するのは極めて難しい。
問題点を解決するための手段 そこで、本発明は回転ローラーにて回転移送される磁気
記録媒体を、前記回転ローラーにクーロン力で張付けつ
つ、前記磁気記録媒体の保護膜を構成する元素を含むプ
ラズマ中の少なくともイオンを、クーロン力で加速し前
記磁気記録媒体に照射する磁気記録媒体の製造方法であ
り、また、磁気記録媒体の磁性層が、この磁気記録媒体
を巻付けて回転移送する回転ローラーおよび前記磁気記
録媒体の保護膜を構成する元素を含むプラズマに対して
低電位であるよう構成した磁気記録媒体の製造装置であ
る。
作用 すなわち、本発明のようにクーロン力で磁気記録媒体を
回転ローラーに密着させる方法においては、磁気記録媒
体の基板が優れた絶縁性の有機フィルムで構成されてい
るため、回転ローラーと磁性層間に高電圧を印加しても
前記有機フィルムが破壊されることはないので、従来の
様に例えば中間ローラーで張力を磁気記録媒体にかけて
密着力を得ていた場合より、極めて大きい密着力が得
れ、熱を回転ローラーへ速やかに発散できる。
このように、本発明では磁気記録媒体と回転ローラーと
の密着力が極めて大きいため、例えばメタンガス,アル
ゴンガス圧力,高周波電力、および、直流電圧の各成膜
パラメータを増加させ、成膜速度を増加させると同時
に、イオン照射量も増加しても、シワ等が発生しない。
また、特筆すべきことは、直流電圧を減少させることな
くダイヤモンド状炭素膜を形成できることである。例え
ば前記のPI-CVD法のようにイオンを利用してダイヤモン
ド状炭素膜を形成する場合、イオンの加速電圧が例えば
0.5Kv以下では、膜中に水素が多量に取込まれ有機膜と
なるため、金属磁気記録媒体の保護膜としては好ましく
ない。本発明は金属磁気記録媒体などの磁性層を、回転
ローラーおよび、イオンを含むプラズマに対し低電位と
するため、金属磁気記録媒体を回転ローラーに強固に張
付ける作用とイオンを金属磁気記録媒体に加速し照射す
る作用とを兼ねる。すなわち、従来技術のような金属磁
気記録媒体に張力をかけるための複雑な機構を一切要せ
ずとも、優れた特性のダイヤモンド状炭素膜を形成する
ために高い直流電圧を印加しても、金属磁気記録媒体に
シワを発生することがない。
従って、磁気記録媒体にシワ等を発生させることなく、
磁気記録媒体の保護膜として十分な膜質のダイヤモンド
状炭素膜を、磁気記録媒体の生産速度を損うことない程
の大きい成膜速度で形成できる。
実施例 第1図に本発明による磁気記録媒体の製造方法および製
造装置の実施例を示す。
成膜に先立ち、ダイヤモンド状炭素膜が形成される金属
磁気記録媒体8は、巻出しローラー7,中間ローラー10,
回転ローラー11,中間ローラー12,巻取ローラー14にセッ
ティングした後、プラズマ管6,真空容器1は真空ポンプ
13で10-2Pa程度に排気される。その後、プラズマ管6に
メタンガス,アルゴンガス4を例えば10〜20Pa導入し、
高周波電源2と励起コイル3でプラズマ化する。金属磁
気記録媒体8の磁性層側は中間ローラー10にて、直流電
源9の低電位側と接続されているので、直流電源9の高
電位側を接地し、かつ、メッシュ状電極も接地して、直
流電圧を印加すれば、プラズマ中のイオンは金属磁気記
録媒体8方向へクーロン力で加速され、金属磁気記録媒
体に照射される。と同時に、回転ローラー11も接地する
ことによって、金属磁気記録媒体8はクーロン力によっ
て強固に回転ローラー11に密着されているので、多量の
イオン照射による金属磁気記録媒体の熱を速やかに回転
ローラーへ発散でき、シワが発生することがなく、ダイ
ヤモンド状炭素膜を良好に形成できる。
発明の効果 以上述べた様に、本発明によれば、極めて優れた耐久性
を有する磁気記録媒体を、簡単な装置構成で大量生産で
きるため、長期間使用しても記録再生特性劣化が生じな
い磁気記録媒体を安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による磁気記録媒体の製造装置の概略
図、第2図は従来例における磁気記録媒体の製造装置の
概略図である。 1……真空容器、2……高周波電源、3……励起コイ
ル、4……メタンガス,アルゴンガス、5……メッシュ
状電極、6……プラズマ管、7……巻出しローラー、8
……金属磁気記録媒体、9……直流電源、10,12……中
間ローラー、11……回転ローラー、13……真空ポンプ。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転ローラーにて回転移送される磁気記録
    媒体を、前記回転ローラーにクーロン力で張付けつつ、
    前記磁気記録媒体の保護膜を構成する元素を含むプラズ
    マ中の少なくともイオンを、クーロン力で加速し前記磁
    気記録媒体に照射する磁気記録媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】磁気記録媒体の磁性層が、この磁気記録媒
    体を巻付けて回転移送する回転ローラー、および前記磁
    気記録媒体の保護膜を構成する元素を含むプラズマに対
    して低電位であるよう構成した磁気記録媒体の製造装
    置。
JP8451986A 1986-04-11 1986-04-11 磁気記録媒体の製造方法および製造装置 Expired - Lifetime JPH077504B2 (ja)

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JPS62241137A JPS62241137A (ja) 1987-10-21
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JP2661727B2 (ja) * 1988-11-04 1997-10-08 松下電器産業株式会社 磁気記録媒体の製造方法
JP2587507B2 (ja) * 1989-12-13 1997-03-05 松下電器産業株式会社 薄膜製造装置

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