JPH0774201B2 - ビスマレイミド化合物の製造法 - Google Patents

ビスマレイミド化合物の製造法

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JPH0774201B2
JPH0774201B2 JP6248288A JP6248288A JPH0774201B2 JP H0774201 B2 JPH0774201 B2 JP H0774201B2 JP 6248288 A JP6248288 A JP 6248288A JP 6248288 A JP6248288 A JP 6248288A JP H0774201 B2 JPH0774201 B2 JP H0774201B2
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bismaleimide compound
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春樹 横野
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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はビスマレイミド化合物の製造方法に関する。
(従来の技術) 従来、耐熱性の良好な成形材料、積層板用樹脂原料とし
て無水マレイン酸と4,4′−ジアミノジフェニルメタン
より成るビスマレイミドが用いられている。しかし、こ
のビスマレイミドより得られるホモポリマー及び硬化剤
を併用して得られる樹脂は、単体では非常に脆弱で実用
に供するには他の樹脂と混合あるいは他のモノマーとの
共重合が必要であり、その本体の耐熱性が十分に生かさ
れていない。これに対してビスマレイミド中のジアミン
骨格を改良して耐熱性を低下させることなく可撓性を付
与させる試みが検討されており、例えば特開昭56-10316
2号公報には、2,2−ビス〔3,5−モノあるいはジアルキ
ルあるいは無置換−4−(4−アミノフェノキシ)フェ
ニル〕プロパンをジアミンとして用いるエーテルイミド
系化合物が提案されている。
(発明が解決しようとする課題) しかしながらこのようなエーテルイミド系化合物は、従
来の4,4′−ジアミノジフェニルメタンを原料とするビ
スマレイミドの公知な合成法によっては十分な純度が得
られない。その原因としては、これらエーテルイミド系
化合物は溶媒との親和力が大きく極性溶媒中では結晶が
成長せず副生成物を含んだタール状生成物を生じる場合
が多い。一方、非極性溶媒中で合成したビスマレイミド
は結晶成長性は良好であるが溶媒が水と相溶しないため
に水中への再沈澱が困難であり収率よく生成物を得るこ
とが出来ない。また、極性が小さいため溶解力が極性溶
媒と較べ劣り、多量の溶媒を必要とする。あるいはま
た、再沈澱を行なわず直接溶媒を留去して結晶を生じさ
せた場合、結晶内に溶媒及び未反応物が内包され生成物
の純度が低下する。さらにこの内包された溶媒等を完全
に除くためには高温下で乾燥する必要があるが、その場
合はビスマレイミド分子内の不飽和結合が副反応を生じ
てしまう。従って従来の公知な合成法によってはエーテ
ルイミド系ビスマレイドを高収率かつ高純度で得ること
は困難である。
本発明はかゝる状況に鑑みなされたものであって、耐熱
性、可撓性の良好な樹脂原料として有用なエーテルイミ
ド系ビスマレイミド化合物を収率よく、且つ高純度で製
造する方法を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段) すなわち本発明は一般式〔A〕 (式中R1〜R4は水素、低級アルキル基、低級アルコキシ
基、ハロゲンを示し互に同じであっても異なっていても
よい。R5及びR6は水素、低級アルキル基、フェニル基、
トリクロロメチル基またはトリフルオロメチル基であ
り、互いに同じであっても異なっていてもよい。)で表
わされるエーテルイミド系ビスマレイドに関するもので
ある。
一般式〔A〕で表わされるビスマレイドの製造法として
は、まず結晶成長性の良い芳香族炭化水素系溶媒と、溶
解力が大きく用いる溶媒量を低減することの出来る極性
溶媒とを重量比99:1乃至70:30の比率で混合した溶液を
反応溶媒として、無水マレイン酸とエーテル基含有ジア
ミンとを2:1のモル比で0〜40℃の範囲内の温度で反応
させビスマレアミド酸を生成させる。
次いで脱水剤及び助触媒をアミド酸基1モルに対しそれ
ぞれ1.0〜3.0モルおよび0.05〜2.0モル添加し0〜70℃
の範囲でアミド酸の脱水閉環を行ない目的物であるビス
マレイミドを生成させる。これを80℃以下、好ましくは
20〜40℃の温風によって風乾させると粗ビスマレイミド
が結晶として得られる。さらにこの結晶を低沸点のハロ
ゲン置換炭化水素に再溶解させ、炭酸水素ナトリウム等
の弱塩基性無機塩の水溶液及び水を用いて洗浄し、脱水
剤及び脱水触媒を除去する。この後、低沸点非極性溶媒
をハロゲン置換炭化水素に対して重量部比0.5〜20、好
ましくは0.7〜3.0の割合で添加すると目的の生成物が反
応溶媒、脱水剤のいずれをも含まない高純度の結晶とし
て析出する。またこの時点において結晶が浸漬している
溶媒はいずれも低沸点であるためこの後結晶を過し乾
燥させることによって完全に除去出来る。
本発明において一般式〔A〕で示されるビスマレイミド
の原料として用いられるエーテル基含有ジアミンは、一
般式〔I〕 (式中、R1〜R4は水素、低級アルキル基、低級アルコキ
シ基、ハロゲンを示し互いに同じであっても異なってい
てもよい。R5及びR6は水素、低級アルキル基、フェニル
基、トリクロロメチル基またはトリフルオロメチル基で
あり、互いに同じであっても異なっていてもよい。)で
表わされる構造を有しており、具体的には2,2−ビス
〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、
2,2−ビス〔3−メチル−4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−エチル−4
−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2
−ビス〔3−プロピル−4−(4−アミノフェノキシ)
フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−イソプロピル−
4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,
2−ビス〔3−ブチル−4−(4−アミノフェノキシ)
フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔3−sec−ブチル−4
−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2
−ビス〔3−メトキシ−4−(4−アミノフェノキシ)
フェニル〕プロパン、1,1−ビス〔4−(4−アミノフ
ェノキシ)フェニル〕エタン、1,1−ビス〔3−メチル
−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,
1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−
1−フェニルエタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル〕メタン、ビス〔3−メチル−4−(4−
アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、1,1−ビス〔4
−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、3,3
−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ペン
タン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)フェニルプロパン、1,1,1,3,
3,3−ヘキサクロロ−2,2−ビス〔4−(4−アミノフェ
ノキシ)フェニル〕プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフ
ルオロ−2,2−ビス〔3,5−ジメチル−4−(4−アミノ
フェノキシ)フェニル〕プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキ
サフルオロ−2,2−ビス〔3−メチル−4−(4−アミ
ノフェノキシ)フェニル〕プロパン等がある。
また、ビスマレアミド酸を合成する際に用いる芳香族炭
化水素系溶媒及び極性溶媒としては、前者にはベンゼ
ン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、エチル
ベンゼン、クメン等が、後者にはN,N−ジメチルホルム
アミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホ
キシド、N−メチル−2−ピロリドン等を用いることが
出来る。また、その混合比は重量部比で前者:後者99:1
乃至70:30が適切であり特に95:5乃至85:15が望ましい。
また、脱水閉環の際に用いる脱水剤としては無水酢酸、
無水プロピオン酸等のカルボン酸無水物、硫酸、P−ト
ルエンスルホン酸等のスルホン酸類等が使用出来るが本
発明においてはカルボン酸無水物、特に無水酢酸が適切
である。また、脱水閉環の助触媒としては特に限定する
ものではないが、トリエチルアミン、トリ−n−ブチル
アミン、ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリ
ン、ピリジン等の第三級アミン類、酢酸ナトリウム及び
カリウム、リン酸ナトリウム及びカリウム、硝酸ナトリ
ウム及びカリウム等のナトリウム及びカリウム塩、酢酸
リチウム、リン酸リチウム、硝酸リチウム、臭化リチウ
ム等のリチウム塩、鉄(IIおよびIII)、ニッケル(I
I)コバルト(IIおよびIII)の酢酸塩、ギ酸塩、リン酸
塩、ステアリン酸塩、ナフテン酸塩等のうち一種、ある
いは二種以上を混合して用いることが出来る。またこれ
らの助触媒は必ずしも用いなくともよい。
一旦生成したビスマレイミドの結晶を再溶解させるハロ
ゲン置換炭化水素としては、塩化メチレン、クロロホル
ム、四塩化炭素、臭化メチレン、ブロモホルム等のハロ
メタン類やエチレンジクロライド、トリクロロエチレン
等の塩素化エチレン類やジクロロエタン、トリクロロエ
タン等の塩素化エタン類、あるいはフレオン(デュポン
社商品名)類等が使用出来るが保存安定性や沸点の点か
ら特に塩化メチレンが望ましい。また添加する非極性溶
媒としてはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキ
サン、石油エーテル等の脂肪族飽和炭化水素が望まし
い。
(実施例) 以下に本発明の実施例を示すが本発明はこれらに限定さ
れるものではない。
実施例1 無水マレイン酸23.5gをトルエン120gに溶解させ30℃以
下の温度に保って攪拌した。ここへ2,2−ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン41.0gを
トルエン200g及びN,N−ジメチルアセトアミド40gの混合
液に溶解させたものを徐々に添加した。5時間攪拌した
後、トリエチルアミン6.8g及び無水酢酸40.8gを順に添
加し、次いで反応容器内を40℃に昇温してさらに5時間
攪拌した。その後、反応溶液を40℃以下の温風によって
風乾させたところ黄色の結晶が析出した。反応溶液の60
重量部以上が飛散したところでこの結晶を過し粗生成
物を得た。
さらに、この粗生成物を塩化メチレン130gに溶解させ、
炭酸水素ナトリウム水溶液、水の順で各々数回洗浄し
た。次いでここへn−ヘキサン200gを徐々に添加し、生
成した結晶を過し、70℃で減圧乾燥して49.1g(収率8
1%)の2,2−ビス〔4−(4−マレイミドフェノキシ)
フェニル〕プロパンを得た。クロマトグラフィーを用い
て分析した結果、トルエン及びN,N−ジメチルアセトア
ミドのいづれも残存していないことを確認した。また、
クロマトグラム上の純度は96%であった。
実施例2 実施例1で用いた2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノ
キシ)フェニル〕プロパンの代わりに2,2−ビス〔3−
メチル−4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロ
パン43.8gを用いて同様の反応を行ない、生成物49.5g
(収率78%)を得た。トルエン及びN,N−ジメチルアセ
トアミドの残存は認められず、またクロマトグラム上の
純度は95%であった。
実施例3 実施例1で用いた2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノ
キシ)フェニル〕プロパンの代わりに1,1,1,3,3,3−ヘ
キサフルオロ−2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル〕プロパン51.8gを用いて同様の反応を行
ない、生成物54.3g(収率76%)を得た。トルエン及び
N,N−ジメチルアセトアミドの残存は認められず、また
クロマトグラム上の純度は93%であった。
実施例4 実施例1で用いたトルエンの代わりにキシレンを同量用
いて同様の反応を行ない、生成物47.9g(収率79%)を
得た。キシレン及びN,N−ジメチルアセトアミドの残存
は認められず、またクロマトグラム上の純度は96%であ
った。
実施例5 実施例1で用いたN,N−ジメチルアセトアミドの代わり
にN,N−ジメチルホルムアミドを用いて同様の反応を行
ない、生成物44.3g(収率73%)を得た。トルエン及び
N,N−ジメチルホルムアミドの残存は認められず、また
クロマトグラム上の純度は92%であった。
また、これらの実施例において合成された生成物を示査
走査熱量計を用いて分析したところ、すべて、80〜110
℃に極大値を持つ一本のシャープな吸熱ピークを示し
た。
比較例1 実施例1において風乾によって生じた粗生成物を少量の
トルエンを用いて洗浄した後、70℃で減圧乾燥した。ク
ロマトグラフィーを用いて分析したところ、純度は94%
であったがトルエンの残留が認められた。
比較例2 比較例1の生成物を、さらに85℃で減圧乾燥したとこ
ろ、トルエンの残留量はほぼクロマトグラフの検出限界
以下に低減された。しかし示査走査熱量分析の結果、18
0℃付近に新たな副生成物によるものと考えられる吸熱
ピークが観測された。
比較例3 無水マレイン酸23.5gをトルエン50g及びN,N−ジメチル
アセトアミド50gの混合溶液に溶解させ30℃以下に保っ
て攪拌した。ここへ2,2−ビス〔4−(4−アミノフェ
ノキシ)フェニル〕プロパン41.0gをトルエン100g及び
N,N−ジメチルアセトアミド100gの混合溶液に溶解させ
たものを徐々に添加した。5時間攪拌した後、トリエチ
ルアミン6.8g及び無水酢酸40.8gを順に添加し、次いで
反応容器内を40℃に昇温しさらに5時間攪拌した。その
後、反応溶液を温風によって風乾させたところ、褐色の
タール状の生成物が沈澱したが結晶状の生成物が得られ
なかった。この沈澱を塩化メチレン130gに溶解させ炭酸
水素ナトリウム水溶液及び水で洗浄した後n−ヘキサン
200gを徐々に添加した。茶色の沈澱が生じたのでこれを
過し、70℃で減圧乾燥して50.9g(収率84%)の生成
物を得たがクラマトグラム上の純度は78%であった。
(発明の効果) 本発明の製造方法を用いることによって耐熱性、可撓
性、可撓性を有するエーテルイミド系ビスマレイミドを
高純度で収率よく製造することが出来る。特に芳香族炭
化水素と極性溶媒との混合溶媒を用い、反応終了後風乾
することによって生成物が良好な結晶状態で純度よく得
られ、しかもその後工程において低沸点溶媒中で再溶
解、再沈澱を行うことにより溶媒の残留の問題もなく、
従来の生成物と副生成物の混在、及び残留溶媒除去のた
めの高温下での乾燥による分子内不飽和結合の切断とい
った問題点を解決することが出来た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横野 春樹 茨城県結城市大字鹿窪1772番地の1 日立 化成工業株式会社南結城工場内 (72)発明者 藤岡 厚 茨城県下館市大字小川1500番地 日立化成 工業株式会社下館研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式〔I〕 (式中R1〜R4は水素、低級アルキル基、低級アルコキシ
    基、ハロゲンを示し、互に同じであっても異なっていて
    もよい。R5およびR6は水素、低級アルキル基、フェニル
    基、トリクロロメチル基またはトリフルオロメチル基で
    あり、互に同じであっても異なってもよい。)で表わさ
    れるエーテル結合を有するジアミン化合物と無水マレイ
    ン酸との反応によりビスマレイミド化合物を製造するに
    際し、下記の工程を順次経由することからなるビスマレ
    イミド化合物の製造法。 (a) 無水マレイン酸と対応するジアミンとを芳香族
    炭化水素系溶媒と極性溶媒との混合溶媒中で反応させる
    工程。 (b) 前記反応溶液に脱水剤を添加して脱水・閉環さ
    せる工程。 (c) 前記溶液を80℃以下の温度で風乾させ、析出し
    た生成物を低沸点ハロゲン置換炭化水素系溶媒に再溶解
    し、ついで洗浄した後低沸点非極性溶媒を添加すること
    により生成物を沈澱・口過・乾燥する工程。
  2. 【請求項2】一般式〔I〕で表わされるジアミンが2,2
    −ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロ
    パンである請求項1記載のビスマレイミド化合物の製造
    法。
  3. 【請求項3】低沸点ハロゲン置換炭化水素系溶媒が塩化
    メチレン、クロロホルム、トリクロルエタン、トリクロ
    ルエチレンまたはフルオロエチレンから選ばれたもので
    ある請求項1または2記載のビスマレイミド化合物の製
    造法。
  4. 【請求項4】低沸点非極性溶媒がヘキサン、石油エーテ
    ルまたはシクロヘキサンから選ばれたものである請求項
    1または2記載のビスマレイミド化合物の製造法。
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