JPH076774Y2 - 魚釣用リールの逆転防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、魚釣用リールに係わり、特に、ハンドル駆動
軸を一方向のみに回転可能に支持するための魚釣用リー
ルの逆転防止装置に関する。

〔従来の技術〕

従来、ハンドル駆動軸を一方向のみに回転可能に支持す
る逆転防止装置を備えた魚釣用リールとしては、例え
ば、米国特許第3612437号に開示れるような魚釣用リー
ルが知られている。

この魚釣用リールの逆転防止装置は、ハンドルの固定さ
れるハンドル駆動軸にカラーを被嵌し、このカラーをピ
ン部材を介してハンドル駆動軸に連結するとともに、こ
のカラーとリール本体との間に、ローラー式一方向ベア
リングを介装し、ハンドル駆動軸を一方向のみに回転可
能に支持するように構成されている。

そして、この逆転防止装置では、カラーのハンドル駆動
軸への連結は、ハンドル駆動軸の径方向にピン部材を挿
通突出させ、このピン部材の突出部を、カラーの係止溝
に挿入することにより行なわれており、カラーの係止溝
側には、ピン部材の径方向への抜けを防止するため、抜
け止め用カラーが被嵌されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、このような従来の魚釣用リールの逆転防
止装置では、ピン部材の径方向への抜けを防止するた
め、カラーの外周に更に抜け止め用カラーを被嵌してい
るため、部品点数が増大するとともに、抜け止め用カラ
ーの組み込み時の作業性が悪く、駆動歯車，制動板等の
組み込み，分解が非常に困難になるという問題があっ
た。

本考案は、かかる従来の問題を解決するためになされた
もので、部品点数を低減することができるとともに、組
み込み作業性を従来より大幅に向上することができる魚
釣用リールの逆転防止装置を提供することを目的とす
る。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の魚釣用リールの逆転防止装置は、ハンドルの固
定されるハンドル駆動軸にカラーを被嵌し、このカラー
をピン部材を介してハンドル駆動軸に連結するととも
に、このカラーとリール本体との間に、ローラー式一方
向ベアリングを介装し、前記ハンドル駆動軸を一方向の
みに回転可能に支持してなる魚釣用リールの逆転防止装
置において、前記ハンドル駆動軸に、前記カラーとの間
に所定の空間が形成されるような逃げ部を形成するとと
もに、この逃げ部側からハンドル駆動軸に前記ピン部材
の一端を径方向に挿入し、このピン部材の他端を、前記
カラーの一側に形成される係止溝に挿入し、さらに、前
記逃げ部によりカラーとハンドル駆動軸との間に形成さ
れる空間部に、ピン部材に形成される抜け止め部を位置
させてなるものである。

〔作用〕

本考案の魚釣用リールの逆転防止装置では、ハンドル駆
動軸の逃げ部側からハンドル駆動軸にピン部材の一端を
径方向に挿入し、逃げ部の上面に抜け止め部を当接した
状態で、ハンドル駆動軸とカラーとを相対移動すると、
ピン部材の他端が、カラーの一側に化される係止溝に挿
入され、同時に、逃げ部によりカラーとハンドル駆動軸
との間に形成される空間部に、ピン部材の抜け止め部が
位置し、この抜け止め部により、ピン部材の径方向への
抜けが阻止される。

〔実施例〕

以下、本考案の詳細を図面に示す実施例について説明す
る。

第１図ないし第３図は、本考案の魚釣用リールの逆転防
止装置の一実施例を示しており、第４図は、この逆転防
止装置を備えた両軸受型の魚釣用リールを示している。

第４図において符号11は、リール本体を示しており、こ
のリール本体11は、所定間隔を置いて対向配置される左
右の側枠13,15と、この両側枠13,15間を結合する複数の
支柱17を有している。

符号19は、リール本体11の左側枠13に取り付けたカバー
兼用の左側板を示しており、また、符号21は、リール本
体11の右側枠15に取り付けたカバー兼用の右側板を示し
ている。

符号23は、リール本体11の左右側枠13,15間に配置した
スプールで、このスプール23には、図示しない釣糸が巻
回されるとともに、その軸心には、スプール軸25が貫通
固定されている。

スプール軸25の一端は、左側板13に配置される図示しな
い軸受により回転可能に支持され、他側は軸受27により
回転可能に支持されている。

スプール軸25には、ピニオンギヤ９が配置されている。

図において符号35は、一端にハンドル33が固定されるハ
ンドル駆動軸を示しており、このハンドル駆動軸35は、
右側枠15に配置される軸受37と、右側板21に配置される
軸受39により両端を回転可能に支持されている。

このハンドル駆動軸35には、ピニオンギア29に歯合する
駆動歯車41が配置され、この駆動歯車41に隣接してドラ
グ装置43の制動板45が配置されている。

一方、ハンドル33の内側に隣接してドラグ装置43のドラ
グ調節体47が、ハンドル駆動軸35の軸長方向に移動可能
に螺合されており、このドラグ調節体47と軸受39との間
には、皿ばね49が配置されている。

そして、この実施例では、制動板45と軸受39との間に
は、逆転防止装置51が配置されている。

この逆転防止装置51は、ハンドル駆動軸35にカラー53を
被嵌し、このカラー53をピン部材55を介してハンドル駆
動軸35に連結するとともに、このカラー53とリール本体
11の右側板21との間に、ローラー式一方向ベアリング57
を介装して構成されている。

すなわち、この実施例では、第１図ないし第３図に示す
ように、ハンドル駆動軸35は、その外周の対向面をそれ
ぞれ平坦に加工され、これにより、カラー53との間に所
定の空間部59が形成されるような逃げ部61が形成されて
いる。

逃げ部61面に対して垂直方向に貫通孔63が穿設されてお
り、この貫通孔63には、ピン部材55の一端が挿入されて
いる。

ピン部材55には、鍔状の抜け止め部65が一体形成され、
この抜け止め部65が逃げ部61に当接されている。

一方、カラー53の一側には、ピン部材55の外径より多少
大きめの幅を有する一対の係止溝67が対向して形成され
ている。

そして、第２図に示すように、ピン部材55の両端が、カ
ラー53の一側に形成される係止溝67に挿入され、また、
逃げ部61によりカラー53とハンドル駆動軸35との間に形
成される空間部59に、ピン部材55に形成される抜け止め
部65が位置されている。

以上のように構成された魚釣用リールでは、ハンドル33
を回転すると、ハンドル駆動軸35が回転し、この回転
が、ドラグ装置43の制動板45を介して駆動歯車41に伝達
され、この駆動歯車41の回転により、スプール軸29のピ
ニオンギア29が回転し、スプール23が回転される。

そして、ハンドル33の固定されるハンドル駆動軸35にカ
ラー53を被嵌し、このカラー53をピン部材55を介してハ
ンドル駆動軸35に連結するとともに、このカラー53とリ
ール本体11の右側板21と間に、ローラー式一方向ベアリ
ング57を介装したので、ハンドル駆動軸35が一方向のみ
に回転され、ハンドル駆動軸35の逆転が防止される。

しかして、以上のように構成された魚釣用リールの逆転
防止装置では、ハンドル駆動軸35に、カレンダー53との
間に所定の空間部59が形成されるような逃げ部61を形成
するとともに、この逃げ部61側からハンドル駆動軸35に
ピン部材55の一端を径方向に挿入し、このピン部材55の
両端を、カラー53の一側に形成される係止溝67に挿入
し、さらに、逃げ部61によりカラー53とハンドル駆動軸
35との間に形成される空間部59に、ピン部材55に形成さ
れる抜け止め部65を位置させたので、従来必要であった
ピン部材の抜け止め用カラーが不要となり、部品点数を
低減することができるとともに、組み込み作業性を従来
より大幅に向上することが可能となる。

すなわち、以上のように構成された魚釣用リールの逆転
防止装置では、ハンドル駆動軸35の逃げ部61側からハン
ドル駆動軸35にピン部材55の一端を径方向に挿入し、逃
げ部61の上面に抜け止め部65を当接した状態で、ハンド
ル駆動軸35とカラー53とを相対移動すると、ピン部材55
の両端が、カラー53の一側に形成される係止溝67に挿入
され、同時に、逃げ部61によりカラー53とハンドル駆動
軸35との間に形成される空間部59に、ピン部材55の抜け
止め部65が位置し、この抜け止め部65により、ピン部材
55の径方向への抜けが確実に阻止されることになるた
め、ピン部材55に抜け止め部65を形成するだけで、ピン
部材の抜け止め用カラーが不要となり、部品点数を低減
することが可能となる。

そして、カラー53とハンドル駆動軸35とを相対移動し、
ピン部材55の抜け止め部65を、逃げ部61によりカラー53
とハンドル駆動軸35との間に形成される空間部59に位置
させるだけで良いため、組み込み作業性を従来より大幅
に向上することが可能となる。

第５図は、本考案の魚釣用リールの逆転防止装置の他の
実施例を示すもので、この実施例では、カラー71の一側
のみに係止溝73が形成されており、また、ピン部材75の
一端が、ハンドル駆動軸35に形成される貫通孔63の途中
まで挿入されている。

以上のように構成された魚釣用リールの逆転防止装置に
おいても第１図に示した実施例とほぼ同様の効果を得る
ことができる。

第６図は、本考案の魚釣用リールの逆転防止装置のさら
に他の実施例を示すもので、この実施例では、ハンドル
駆動軸77の一側にのみ逃げ部61が形成され、また、カラ
ー71の一側のみに係止溝73が形成されている。

そして、ピン部材75の一端が、ハンドル駆動軸77に形成
される止まり孔79の途中まで挿入されている。

以上のように構成された魚釣用リールの逆転防止装置に
おいても、第１図に示した実施例とほぼ同様の効果を得
ることができる。

なお、以上述べた実施例では、ハンドル駆動軸35の全長
にわたり逃げ部61を形成した例について述べたが、本考
案は、かかる実施例に限定されるものではなく、ハンド
ル駆動軸に形成される貫通孔63の近傍の必要個所にのみ
逃げ部を形成するようにしても良いことは勿論である。

また、以上述べた実施例では、ピン部材55に鍔状の逃げ
部61を形成した例について述べたが、本考案は、かかる
実施例に限定されるものではなく、例えば、十字状に突
起を突出するようにしても良いことは勿論である。

〔考案の効果〕

以上述べたように、本考案の魚釣用リールの逆転防止装
置では、ハンドル駆動軸に、カラーとの間に所定の空間
が形成されるような逃げ部を形成するとともに、この逃
げ部側からハンドル駆動軸にピン部材の一端を径方向に
挿入し、このピン部材の他端を、カラーの一側に形成さ
れる係止溝に挿入し、さらに、逃げ部によりカラーとハ
ンドル駆動軸との間に形成される空間部に、ピン部材に
形成される抜け止め部を位置させたので、従来必要であ
ったピン部材の抜け止め用カラーが不要となり、部品点
数を低減することができるとともに、組み込み作業性を
従来より大幅に向上することができるという利点があ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の魚釣用リールの逆転防止装置の一実施
例を示す第４図のＩ−Ｉ線に沿う縦断面図である。 第２図は第１図のII-II線に沿う横断面図である。 第３図は第１図のハンドル駆動軸，カラー，ピン部材を
示す斜視図である。 第４図は第１図の魚釣用リールの逆転防止装置を備えた
魚釣用リールを示す一部断面図である。 第５図および第６図はそれぞれ本考案の魚釣用リールの
逆転防止装置の他の実施例を示す断面図である。 〔主要な部分の符号の説明〕 11……リール本体 33……ハンドル 35……ハンドル駆動軸 51……逆転防止装置 53……カラー 55……ピン部材 57……ローラー式一方向ベアリング 59……空間部 61……逃げ部 65……抜け止め部 67……係止溝。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ハンドルの固定されるハンドル駆動軸にカ
   ラーを被嵌し、このカラーをピン部材を介してハンドル
   駆動軸に連結するとともに、このカラーとリール本体と
   の間に、ローラー式一方向ベアリングを介装し、前記ハ
   ンドル駆動軸を一方向のみに回転可能に支持してなる魚
   釣用リールの逆転防止装置において、前記ハンドル駆動
   軸に、前記カラーとの間に所定の空間が形成されるよう
   な逃げ部を形成するとともに、この逃げ部側からハンド
   ル駆動軸に前記ピン部材の一端を径方向に挿入し、この
   ピン部材の他端を、前記カラーの一側に形成される係止
   溝に挿入し、さらに、前記逃げ部によりカラーとハンド
   ル駆動軸との間に形成される空間部に、ピン部材に形成
   される抜け止め部を位置させてなることを特徴とする魚
   釣用リールの逆転防止装置。