JPH0766754B2 - 陰極線管 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はネック部分および表示スクリーンを有し、ネッ
ク部分および表示スクリーンの間に配置されるとともに
ネック部分および表示スクリーンを結合するトランペッ
ト形状の結合部分の周囲に配置される偏向装置を設け、
該偏向装置はネック部分で発生された電子ビームを相互
に直交する方向に偏向するための、フィールド偏向巻線
およびライン偏向巻線を具え、前記フィールド偏向巻線
は垂直軸線の両側に配置されて直径方向に対向する１対
のフィールド偏向コイルを有し、前記ライン偏向巻線は
垂直軸線に直角に延在する水平軸線の両側に配置されて
直径方向に対する１対のライン偏向コイルを有し、各偏
向コイルが前端部分、後端部分および前端および後端部
分の間に延在する導線を有する陰極線管に関するもので
ある。

上記型の偏向装置は、オランダ国特許第170,573号公報
明細書および雑誌「フンクシャウ（Funkschau）」,1980
年第23号，第88〜92頁の記載から既知である。

この種の偏向装置において、水平偏向のための垂直磁界
を発生するライン偏向コイルを、垂直偏向のための水平
磁界を発生するフィールド偏向コイルに直角に配置する
必要がある。例えば、これらコイルが相互に直交する位
置にある場合に、コイル対の間を結ぶ磁界は零に等しく
なり、このため、ライン偏向コイルにより発生された磁
界のためフィールド偏向コイルに誘導される電圧は零と
なる。

しかしながら、実際には、組立時の機械的正確さおよび
／または部品の製造許容差のため、ライン偏向コイルは
フィールド偏向コイルに正確に直角に配置されないこと
から電圧が発生する。この場合にライン偏向コイルの磁
界のため電圧がフィールド偏向偏向コイルに誘導され
る。この結果、以下の不都合な結果が発生する。

ａ）誘導された電圧は、フィールド偏向回路まで伝達さ
れ、故に発生された過剰に高い電圧がこのフィールド偏
向回路の動作を妨害する。

ｂ）誘導された電圧は、フィールド偏向回路を経てフィ
ールド偏向コイルを流れる電流を発生し、水平軸線に対
するラスターの水平ラインが回転する現象が表示スクリ
ーンに視えるようになる。しかも電子ビームの集中にも
影響する（２重の誤差となる）。

本発明の目的は、ライン偏向コイルおよびフィールド偏
向コイルが正確に直角に配置されない偏向装置を簡単な
手法で補正することができる手段を提供せんとするにあ
る。

本発明は軟磁性材料より成る２個の板状部品を、２個の
ライン偏向コイル前端部分の近くの、その対角線が偏向
装置の少なくともほぼ長手軸線上で相互に交差する長方
形の対向する２個の頂点と一致する位置に配置し、この
位置でライン偏向コイルの前端部分の部品がフィールド
偏向コイルの前端部分の部品に対向して配置されるよう
にしたことを特徴とするものである。

上記手法により軟磁性より成る板状の部品を設けること
により、フィールドラインを局部的に束ねる。この束ね
方としては、フィールド偏向コイルを通る磁束、即ちフ
ィールド偏向コイルおよびライン偏向コイルの間のカッ
プリングが、上記欠点ａ）を除去し、上記欠点ｂ）を少
なくとも著しく減少させるように影響を与えるようにす
る。

本発明の実施例を図面に基づき以下に説明する。

第１図は表示装置の縦断面図である。この表示装置は細
型ネック部分２から延在するエンベロープ６を有する陰
極線管１を具え、この細型ネック部分２において電子銃
系３を広い円錐形状部分４に装着し、この円錐形状部分
４には表示スクリーンを設けている。偏向装置７は陰極
線管幅狭部分および幅広部分の間の遷移部分に取り付け
られている。この偏向装置７には絶縁材料より成り、前
端部分９および後端部分10を有する支持部材８が設けら
れている。これら前端部分９および後端部分10の間の、
支持部材８の内側に、偏向コイル11,11′よりなる偏向
系が設けられている。この偏向系は電子銃系３により水
平方向に発生さた電子ビームを偏向するためのライン偏
向磁界を発生する。さらに支持部材８の外側にコイル1
2,12′の偏向系が設けられている。この偏向系は電子銃
系３によって垂直方向に発生された電子ビームを偏向す
るためフィールド偏向磁界を発生する。

偏向コイル11,11′および12,12′の偏向系は磁化材料よ
り成る環状コア14で囲まれている。フィールド偏向コイ
ルの偏向系の個々のコイル12,12′は、ライン偏向コイ
ルの偏向系のコイル11,11′と同様に、管壁に対しぴっ
たりと接して位置する後端部分を有する鞍型である。鞍
型偏向コイルは多数の導線を具える自己支持型コイルで
あり、この導線は長手方向第１および第２サイドポケッ
ト並びに共に窓開口を画成する弓形前端部分および弓形
後端部分を形成するように巻回される。かかる偏向コイ
ルにおいて、後端部分を表示管（鞍型コイルの原型）の
側面に対して張り出すようにすることができ、或いは管
壁に対しぴったり接するように配置することもできる
（この鞍型コイルにおいて後端部分はいわば管外形にな
らう）。

第２図および第３図に詳細に示すように、偏向装置７は
２個のライン偏向コイル11,11′を有し、このライン偏
向コイル11,11′は、直径方向に互いに向かい合ってお
り、水平軸線Ｈの両側に配置されている。さらに偏向装
置７は２個のフィールド偏向コイル12,12′を有し、こ
れらコイルは直径方向に互いに向かい合っており、水平
軸線Ｈに直角に延在する垂直軸線Ｖの両側に配置され
る。

各ライン偏向コイルは、前端部分15、後端部分16並びに
前端部分15および後端部分16を結ぶ導線17から構成され
る。

同様にして、フィールド偏向コイル12は前端部分18、後
端部分19並びに前端部分18および後端部分19を結ぶ導線
20から構成される。

冒頭に記載したオランダ国特許第170,573号公報明細書
にて説明され、示されているように、偏向装置を構成す
るコイルはカラーテレビジョン表示管のトランペット形
状部分の回りに従来の手法で配置されている。このトラ
ンペット形状部分は、カラーテレビジョン表示管の表示
スクリーンをそのテレビジョン表示管のネック部分に接
続されている。そのため、コイルにより囲まれる偏向装
置の長手軸線が表示管の長手軸線と一致するように配置
する。一方、ラインおよびフィールド偏向コイルの前端
部分15および18は表示スクリーンに面した偏向装置の端
部に配置される。

以下にさらに詳しく述べると、第３図の水平軸線Ｈの上
方であって垂直軸線Ｖの右側に位置する象限は第１象限
を示し、水平軸線Ｈの下方であって垂直軸線Ｖの右側に
位置する象限は第２象限を示し、水平軸線Ｈの下方であ
って垂直軸線Ｖの左側に位置する象限は第３象限を示
し、水平軸線Ｈの上方であって垂直軸線Ｖの左側に位置
する象限は第４象限を示している。

今、ライン偏向コイルを流れる電流が矢印Ｉにて示すよ
うに流れ、かつラインおよびフィールド偏向コイルが互
いに直角に配置されると想定すると、ライン磁束は、フ
ィールド偏向コイルの第１象限に入り込み、このライン
磁束を第２象限のフィールド偏向コイルを離れるライン
磁束に等しくして、フィールド偏向コイルの最終的なラ
イン磁束はこの場合に零に等しくする。同じことを、第
３および第４象限に位置するライン偏向コイルに適用す
る。

例えば２個のライン偏向コイル11,11′が水平軸線Ｈに
関して僅かに時計方向に回転した場合に（例えば製造許
容差その他の結果として）、第１象限のフィールド偏向
コイル12に入り込むライン磁束は僅かに減少し、第２象
限のフィールド偏向コイル12に入り込むライン磁束は僅
かに増加し、このためそこにフィールド偏向コイル12を
除外した正味のライン磁束がある。これに対して、第３
および第４象限に配置されたフィールド偏向コイル12′
に、フィールド偏向コイル12に入り込む正味のライン磁
束を得る。

この結果、ラスターの水平線が表示スクリーン上の水平
軸線（ｘ）に関し回転する。この回転の様子を第５図に
示している。

この効果を相殺するため、軟磁性材料から製造された板
状の部品21,21′を前部フラップの近傍の、導体17中の
対角線Ｄ上に設ける。この対角線Ｄは偏向装置の長手軸
線を経て延在し、ライン偏向コイル11,11′の前端部分1
5の端部を横切って延在する。これら前端部分15の端部
は、矢印Ｃの方向に回転した結果、水平軸線からかなり
離れて配置されている。前記板状部品は、第４図に示す
ように、Ｌ字形状構造であり、その長い突片はフィール
ド偏向コイルの前端部分18から離間したライン偏向コイ
ルの前端部分15の側面に沿って延在する。この板状部品
の長い突片の長さは、この領域での前部フラップ15の幅
に一致する。Ｌ字形板状部品の短い突片はライン偏向コ
イルの該当する前端部分15の端縁上を、前端部分18に向
けて延在する。

軟磁性材料から製造された板状部品若しくはフィールド
導線を設けることにより、フィールド偏向コイルに入り
込む磁束が第１象限内で増大し、第３象限のフィールド
偏向コイルを去る磁束を適宜増大させて、矢印Ｃの方向
にライン偏向を回転させることにより生じた上記効果を
相殺させる。

以上の説明から明らかなように、ライン偏向コイルの対
称平面が、水平軸線に対し反時計方向に回転する場合に
は、前記板状部品をライン偏向コイルに、対角線Ｄ′上
の直径方向反対側の２点に設ける必要がある。

ライン偏向コイルの、これらコイルの所望の位置に関す
る回転については、上記一例で説明した。しかし、フィ
ールド偏向コイルがその対称位置からずれるか、あるい
はライン偏向コイルおよびフィールド偏向コイルの双方
が、その位置からずれることもある。これら全ての場合
に、本発明では軟磁性材料より成る２個の板状部品を、
２個のライン偏向コイルの前端部分の近くの、その対角
線が偏向装置の少なくともほぼ長手軸線上で相互に交差
する長方形の対向する２個の頂点と一致する位置に配置
し、この位置で、ライン偏向コイルの前端部分の部品が
フィールド偏向コイルの前端部分の部品に対向して配置
されるようにする。これら全ての場合に、これら処理に
対して与えられる説明は、正当性を維持する。

一例を示すと、部品21,21′をSi-Fe合金から厚さ0.35m
m、幅3mmのものを製造し、冒頭に記載した論文に説明さ
れたような偏向装置において、ライン偏向コイルの両端
間に電圧1Vを印加したところ、カップリングインフルエ
ンスが9mVであった。

このカップリングインフルエンスが補正されないと、こ
のインフルエンスが広がり、補正なしの装置の場合には
6mVとなる。この結果、トータルレンジで−18mVから＋1
8mVまでの範囲となる。

この場合に、本発明の補正手段を用いることにより±9m
Vまで減少させることができる。

実際には、補正手段（板状部品21,21′）の位置、即ち
補正対角線の選択は、ライン偏向コイルの両端に印加さ
れる電圧に対するフィールド偏向コイルの両端の電圧の
位相を測定することにより、定められる。

【図面の簡単な説明】

第１図は偏向装置が装着された陰極線管のｙ−ｚ平面上
の断面図、 第２図は第１図に示した陰極線管・偏向装置の組合せ
の、相互に離間して示すフィールド偏向コイルおよびラ
イン偏向コイルの斜視図、 第３図はフィールド偏向コイルおよびライン偏向コイル
より構成される偏向装置を拡大して示す正面図、 第４図は導体に対する板状部品の配置を示す第３図の導
体のIV-IV線上の斜視図、 第５図は第１図の陰極線管の表示スクリーンの正面図で
ある。 １……陰極線管、２……ネック部分 ３……電子銃系、４……円錐形状部分 ６……エンペロープ、７……偏向装置 ８……支持部材、９……前端部分 10……後端部分 11,11′……ライン偏向コイル 12,12′……フィールド偏向コイル 14……環状コア、15,18……前端部分 16,19……後端部分、17,20……導線 21,21′……板状部品

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ネック部分および表示スクリーンを有し、
   ネック部分および表示スクリーンの間に配置されるとと
   もにネック部分および表示スクリーンを結合するトラン
   ペット形状の結合部分の周囲に配置される偏向装置を設
   け、該偏向装置はネック部分で発生された電子ビームを
   相互に直交する方向に偏向するための、フィールド偏向
   巻線およびライン偏向巻線を具え、前記フィールド偏向
   巻線は垂直軸線の両側に配置されて直径方向に対向する
   １対のフィールド偏向コイルを有し、前記ライン偏向巻
   線は垂直軸線に直角に延在する水平軸線の両側に配置さ
   れて直径方向に対向する１対のライン偏向コイルを有
   し、各偏向コイルが前端部分、後端部分および前端およ
   び後端部分の間に延在する導線を有する陰極線管におい
   て、 軟磁性材料より成る２個の板状部品を、２個のライン偏
   向コイル前端部分の近くの、その対角線が偏向装置の少
   なくともほぼ長手軸線上で相互に交差する長方形の対向
   する２個の頂点と一致する位置に配置し、この位置でラ
   イン偏向コイルの前端部分の部品がフィールド偏向コイ
   ルの前端部分の部品に対向して配置されるようにしたこ
   とを特徴とする陰極線管。
2. 【請求項２】前記板状部品が約3mmの幅と、ライン偏向
   コイルの前端部分の幅にほぼ等しい長さと、0.5mmより
   薄い厚さを有するようにしたことを特徴とする特許請求
   の範囲第１項記載の陰極線管。