JPH0764533B2 - 炭化珪素微粉末の製造方法 - Google Patents

炭化珪素微粉末の製造方法

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JPH0764533B2
JPH0764533B2 JP59249219A JP24921984A JPH0764533B2 JP H0764533 B2 JPH0764533 B2 JP H0764533B2 JP 59249219 A JP59249219 A JP 59249219A JP 24921984 A JP24921984 A JP 24921984A JP H0764533 B2 JPH0764533 B2 JP H0764533B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は炭化珪素微粉末の製造方法に関する。さらに詳
しくは、本発明は後述する様な窒素を含有する有機珪素
化合物を気相反応させて得た粉末を熱処理を行い窒素の
含有量が1%未満である炭化珪素微粉末の製造方法に関
する。
近年、窒素珪素や炭化珪素の非酸化物系セラミックスは
高温強度や耐衝撃性等の高温特性に優れているため、そ
の製造法や応用に関する研究が盛んに行われており、ガ
スタービン、ディーゼルエンジン、あるいは熱交換器等
の耐熱性構造材料としてその用途が拓けつつある。
高温材料としての炭化珪素は高温での耐酸化性や強度特
性および熱伝導度が特にすぐれている。しかし、高温高
応力材料としての炭化珪素焼結体には高温時における物
理的、化学的な安定性と信頼性が厳しく要求されてお
り、とりわけ重要な因子である熱的、機械的特性はその
原料に大きく左右される。このような用途における原料
である炭化珪素粉末としては、出来るだけ不純物を含ま
ず、しかも粒径が1μ以下望ましくは0.5μ以下で、か
つ粒径が揃っていることや結晶組織の異なるものの混在
がなく、β型やα型の単一組織であることを要望されて
いる。
〔従来の技術〕
従来、炭化珪素微粉末の主な製法としては下記の方法が
知られている。
(1)珪石(SiO2)とコークス(C)を混合してアチソ
ン炉で加熱する方法。
(2)金属珪素粉末と炭素粉末とを反応させる方法。
(3)シリカ粉末と炭素粉末とを反応させる方法。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、上記のいずれの方法も固−固反応である
ため、得られた製品が出発原料の純度や粒度、粒径およ
び各々の原料の混合度合に制約されてしまう。そのた
め、未反応原料が混入したり、製品の凝結が生じ易く、
粉末の粒径が小さくしたり粒径のバラツキを小さくする
ことが困難であった。
また、原料中に含有させている不揮発性の金属が製品中
に蓄積したり、機械的な粉砕によって更に二次的に不純
物が混入する等の問題点があった。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは炭化珪素粉末を製造するプロセスにおい
て、高純度の炭化珪素を、粉砕工程を経ることなく微粉
末状で取得する方法について鋭意研究を行った。
その結果、ハロゲンを含まないアミノシラン、シアノシ
ラン、またはシラザン化合物を水素、窒素、アルゴン、
ヘリウムなどの非酸化性ガス雰囲気下で特定の条件で気
相反応を行うことにより非晶質あるいは部分的に結晶化
した炭化珪素微粉末が得られ、更に上記の方法で得られ
た微粉末を非酸化性ガスの雰囲気下で結晶化させること
により、β型炭化珪素結晶微粉末が得られることを見い
だし、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、一般式がRnSi(NR′,R″)(式
中、R,R′,R″はそれぞれ水素、アルキル基、アリル基
またはフェニル基を示す。ただし、R,R′,R″が同時に
水素である場合を除く。n=0〜3、m=4−nであ
る)で表されるアミノシラン化合物、一般式がRnSi(C
N)(式中、Rは水素、アルキル基、アリル基、フェ
ニル基を示し、n=0〜3、m=4−nである)で表さ
れるシアノシラン化合物、また一般式が〔R,R′,R″S
i〕2NRあるいはR,R′Si−NR″(式中、R,R′,
R″,Rはそれぞれ水素、アルキル基、アリル基フェニ
ル基またはメチルアミノ基を示し、nは3または4であ
る。ただし、R,R′,R″,Rが同時に水素である場合を
除く)で表されるシラザン化合物を1100℃を越え1500℃
未満の反応温度において、反応時間0.1秒以上1.0秒以
下、原料ガス分圧0.01以上0.05atom未満、または反応時
間1.1秒以上60秒以下、原料ガス0.01以上0.5tom未満の
条件でアンモニアを存在させることなく気相反応させ、
得られた微粉末を非酸化性ガス気流流通下において1350
℃〜1850℃で0.5〜10時間保持して熱処理し微粉末中の
窒素量を1%未満とする炭化珪素微粉末の製造方法に関
する。
本発明によれば、使用される原料は塩素のようなハロゲ
ンを含有していないので、生成粉末中には微量のSi−Cl
も残留することがなく、装置の腐食対策や高級材質を使
用する必要もない。
また原料は蒸留等の操作によって容易に精製することが
できるので、本発明の方法によって得られる生成物は極
めて高い純度のものとなる。
本発明方法において、原料としては次の様な有機珪素化
合物用いられる。
(1) 一般式がRnSi(NR′,R″)(式中、R,R′,
R″はそれぞれ水素、アルキル基、アリル基またはフェ
ニル基を示す。ただし、R,R′,R″が同時に水素である
場合を除く。n=0〜3、m=4−nである)で表され
るアミノシラン化合物、一般式がRnSi(CN)(式中、
Rは水素、アルキル基、アリル基、フェニル基を示し、
n=0〜3、m=4−nである)で表されるアミノシラ
ン化合物としては、例えば、トリメチルメチルアミノシ
ラン、ジメチルビス(メチルアミノ)シラン、メチルト
リス(メチルアミノ)シラン、トリメチルジメチルアミ
ノシラン、ジメチルビス(ジメチルアミノ)シラン、ま
たはメチルトリス(ジメチルアミノ)シラン等である。
(2) 一般式がRnSi(CN)(式中、Rは水素、アル
キル基、アリル基、フェニル基を示し、n=0〜3、m
=4−nである)で表されるシアノシラン化合物として
は、例えばトリメチルシアノシラン、ジメチルジシアノ
シラン、ジメチルシアノシラン、メチルシアノシラン、
メチルジシアノシランまたはシアノシラン等である。
(3) 一般式が〔R,R′,R″Si〕2NRあるいはR,
R′Si−NR″(式中、R,R′,R″,Rはそれぞれ水
素、アルキル基、アリル基フェニル基またはメチルアミ
ノ基を示し、nは3または4である。ただし、R,R′,
R″,Rが同時に水素である場合を除く)で表されるシ
ラザン化合物としては、例えば1,1,3,3−テトラメチル
ジシラザン、ヘキサメチルジシラザン、ヘプタメチルジ
シラザン、1,1,3,3,5,5−ヘキササメチルシクロトリシ
ラザン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラ
ザンまたは1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルシクロテト
ラシラザン等または珪素上の置換基としてN−メチルア
ミノ基を有する6員環状のトリス(N−メチルアミノ)
トリ−Nメチル−シクロトリシラザン、トリス(N−メ
チルアミノ)トリ−N−メチルトリメチルシクロトリシ
ラザン等である。
これらの原料は通常の蒸留や昇華などにより極めて高純
度に精製される。また気相反応への供給する場合、これ
らの原料が二種以上混合されていても差し支えない。
これらの原料は予めガス化させて反応管へ導き、同時に
窒素、水素、アルゴン、ヘリウム等の非酸化性ガスと混
合して気相反応に供される。
上記の窒素、水素、アルゴン、ヘリウム等の非酸化性ガ
スは反応における原料の分圧を変化させたり、反応時間
を制御するために重要である。水素を同伴させることは
加水分解により珪素化合物中の炭素成分をメタン、エタ
ンなどの炭化水素として系外へ排出させ、生成物中の炭
素量を調節するのに有効である。
本発明における気相反応の条件は熱処理工程(結晶化)
を含めた製品粉末の組成や収率等を考慮して決められ
る。反応温度は1100℃を越え、1500℃までの温度範囲が
選択される。1100℃よりも低い反応温度の場合は反応の
進行が不十分であり生成量が少ないと共に、熱処理後の
粉末中の窒素含有量が多くなったりし好ましくなく、15
00℃を越える温度では装置上の制約と大きなエネルギー
を必要とし経済的でない。気相反応のは反応時間および
原料ガス分圧は反応生成粉末の組成や粒径、収率等の他
さらに熱処理後の組成にも影響を与えるのでそれらを考
慮し決定される。
本発明において原料ガス分圧は0.01〜0.5atomの範囲で
実施され、反応時間は原料ガス分圧との関係で0.1秒〜6
0秒の範囲から選択して実施するのが好適である。すな
わち、原料ガスの濃度が低くその分圧が0.01〜0.05atom
の範囲にあるときは反応時間は0.1秒〜1.0秒が選択さ
れ、原料ガスの濃度が比較的高くその分圧が0.01〜0.5a
tomの範囲にあるときは反応時間は比較的長く、1秒を
超え60秒の範囲が選択される。また、原料ガス分圧が余
りにも低く反応時間が長い場合は反応装置が膨大なもの
となり工業的に不利であり、原料ガス分圧が高く反応時
間が短いときは、反応が十分に進行せず生成物中の炭素
量が多くなり好ましくない。
具体的な実施方法としては、例えば原料が液体である場
合には所定の液量を余熱器に導入してガス化させ、所定
量の非酸化性ガスと十分に均一に混合したのち、外部加
熱式の反応管へ導く。反応管の形式は空塔あるいは充填
塔式の流通型がもちいられるが、ガスの流れが脈動ある
いは乱流にならず均一に加熱される構造とすることが生
成微粉末の均一性を得るために重要である。
生成した微粉末は冷却後捕集器へと導かれるが、塩化水
素などの紡織性ガスが副生しないので捕集器の材質上の
制約は特になく、通常用いられている濾過方式の集塵
器、電気集塵器、サイクロン等を適宜用いることが可能
である。
このようにして得られた生成微粉末は、X線回折ではピ
ークが認められない非晶質のものか、あるいは僅かにピ
ークが認められる部分的に結晶化した非晶質のものであ
り、粒径の揃った0.5μm以下の球状粒子である。
上記の気相反応により得られた生成微粉末は、引続き熱
処理により結晶化される。この熱処理工程では余剰成分
が揮散しながら結晶化が進行する。
この熱処理温度は1350℃〜1850℃、好ましくは1400℃〜
1700℃である。
この熱処理は水素、アルゴン、ヘリウム等の非酸化性ガ
スの気流流通下に実施される。この熱処理の際N2、NC
H、CH3CN等の窒素含有ガスが生成することがあり、これ
らが系内に滞留すると二次的な反応が起こり製品粉末中
に窒素分が取り込まれるおそれがあるので、これらを速
やかに系外に放出することが必要であり、そのため熱処
理の際に使用される上記の非酸化性ガスは、少なくとも
0.05cm/secの線速で気流下で実施することが好ましい。
なお、製品粉末中の窒素分は気相反応の反応条件に支配
され、気相反応における反応温度や原料ガス分圧、反応
時間等を選択することより製品粉末中の窒素含有量を1
%以下にすることが可能である。
また、炭素の含有量の調節は反応温度や分圧の制御のほ
か、水素を導入することによっても可能であるが、熱処
理した後の粉末(結晶質粉末)に遊離の状態で混入して
いる炭素はさらに酸素、空気等の酸化性雰囲気下(例え
ば空気雰囲気下)で600〜850℃で酸化除去することがで
きる。
この結晶化工程の保持時間は結晶化度によっても異なる
が通常0.5〜10時間である。結晶化の具体的な実施方法
については特に制限はなく、例えば気相反応によって得
た生成物粉末を坩堝または流通式反応管に充填し、非酸
化性ガスを流通させる方法で行われる。
このようにして得られる結晶質の炭化珪素微粉末は、X
線回折によれば極めて高いβ相を有し、0.5μm以下の
粒径で、バラツキの極めて少ない塊状微粉末である。
以下に本発明を実施例により詳述するが、本発明はこれ
らの実施例に限定されるものでない。
実施例1〜6 電気炉中に設置された内径25mm、流さ700mmの高純度ア
ルミナ質反応管と反応管出口部に取り付けた反応生成物
捕集器とからなる装置を用いて所定の反応温度を保持し
た。
原料である有機珪素化合物をガス化させたのち、非酸化
性ガスであるアルゴンまたは水素ガスと予め十分に混合
し、反応管の原料ガス導入口から導入し常圧で反応させ
た。
反応生成物捕集器に捕集された微粉末はいずれも0.3μ
m以下の粒子径を有し、かつ等軸状の均一な微粒子であ
った。
次にこの生成粉を不活性雰囲気下で高純度アルミナ管に
充填して、アルゴン気流流通下、1550〜1600℃に加熱さ
れた電気炉中で2〜3時間熱処理を行った。遊離炭素が
残留した場合は、さらに空気雰囲気下、600℃で熱処理
して除去した。
反応条件と得られた微粉末の分析結果を表1に示した。
いずれの微粉末もX線回折によればβ−SiC成分だけで
あり、0.4μm以下の塊状結晶の微粉末であった。ま
た、蛍光X線分析で不純物を測定した結果Fe、Al、Ca、
Kの含有量はそれぞれ10ppm以下、およびClの含有量は
極めて微量で100ppm以下であった。また粉末中の窒素分
は化学分析の結果、いずれも0.2wt%以下であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中野里 愛子 新潟県新潟市太夫浜字新割182番地 三菱 瓦斯化学株式会社新潟研究所内 審査官 松田 悠子 (56)参考文献 特開 昭60−200813(JP,A) 特開 昭60−235707(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式がRnSi(NR′,R″)(式中、R,
    R′,R″はそれぞれ水素、アルキル基、アリル基または
    フェニル基を示す。ただし、R,R′,R″が同時に水素で
    ある場合を除く。n=0〜3、m=4−nである)で表
    されるアミノシラン化合物、一般式がRnSi(CN)(式
    中、Rは水素、アルキル基、アリル基、フェニル基を示
    し、n=0〜3、m=4−nである)で表されるシアノ
    シラン化合物、また一般式が〔R,R′,R″Si〕2NRある
    いはR,R′Si−NR″(式中、R,R′,R″,Rはそれ
    ぞれ水素、アルキル基、アリル基フェニル基またはメチ
    ルアミノ基を示し、nは3または4である。ただし、R,
    R′,R″,Rが同時に水素である場合を除く)で表され
    るシラザン化合物を、1100℃を越え1500℃未満の反応温
    度において、原料ガス分圧0.01〜0.05atom未満で反応時
    間0.1秒〜1.0秒以下、または原料ガス分圧0.01〜0.5ato
    m未満で反応時間1秒を超え60秒以下、の条件でアンモ
    ニアを存在させることなく気相反応させ、得られた微粉
    末を非酸化性ガス気流流通下において1350℃〜1850℃で
    0.5〜10時間保持して熱処理することを特徴とする炭化
    珪素微粉末の製造方法。
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