JPH076257B2 - 横葺き屋根構造 - Google Patents

横葺き屋根構造

Info

Publication number
JPH076257B2
JPH076257B2 JP11602889A JP11602889A JPH076257B2 JP H076257 B2 JPH076257 B2 JP H076257B2 JP 11602889 A JP11602889 A JP 11602889A JP 11602889 A JP11602889 A JP 11602889A JP H076257 B2 JPH076257 B2 JP H076257B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
roof
ridge
eaves
plate
engaging
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP11602889A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH02296956A (ja
Inventor
元旦 舩木
Original Assignee
元旦ビユーティ工業株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 元旦ビユーティ工業株式会社 filed Critical 元旦ビユーティ工業株式会社
Priority to JP11602889A priority Critical patent/JPH076257B2/ja
Publication of JPH02296956A publication Critical patent/JPH02296956A/ja
Publication of JPH076257B2 publication Critical patent/JPH076257B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、薄肉鋼板等からなる金属製屋根板を横葺きし
て形成される屋根構造に関し、より詳細には、住宅屋根
葺き用の薄型の石綿スレート瓦などの単体屋根瓦で葺き
あげられた既設屋根に適合する補修用の横葺き屋根構造
の改良に関する。
〔従来の技術〕
薄型で軽量の石綿スレート瓦を使用した屋根は、価格が
低廉であることもあって従来多く用いられてきたが、こ
の種の瓦材料は耐候性に欠けるため老朽化に伴って雨漏
りなどの不具合を生じやすく、更に主成分である石綿繊
維が粉塵化してアスベスト公害の原因になるという欠点
が有った。又、このような屋根を葺きかえるには、スレ
ート瓦をいちど全部剥がしてから新たに屋根を葺くこと
になるので、その作業に手間がかかるうえに、葺きかえ
作業中は建物を使用できなくなるという問題が生じる。
これに対して、既設のスレート瓦屋根を保存したまま、
その上に新たな屋根構造を構築することにより、上述し
たスレート瓦の老朽化に伴う諸問題を解決するようにし
た屋根構造が提供されている。
これは、第5図に示したように、例えば建築物の小屋
(屋根)組みとなる木質垂木(1)を基体にして、その
全面に屋根下地材(野地板)(2)を敷き込むと共に、
この屋根下地材(2)上にあって、個個のスレート瓦
(3)をその端部相互が重なり合うように、所定の配列
により一連に葺きあげることで構成された既設の屋根構
造(A)において、この既設の屋根構造(A)の上面部
に、スレート瓦(3)の働き幅に対応した幅を有する金
属屋根板(11)を重ねて葺きあげてある。
上記屋根板(11)は、その面板部(12)の軒側端部に形
成される軒側係合部(13)が、一部を下方に折り曲げて
形成された垂下面部(14)と、その下端部を更に棟側方
向に折り返して形成された係合突出部(15)とからなっ
ており、これに対応して面板部(12)の棟側端部に形成
される棟側係合部(16)には、前記係合突出部(15)を
はさみ込むように一部を軒側方向に折り返して形成され
た抱持部(17)と、この抱持部(17)の軒側端部から立
ち上がるように形成された起立部(18)とが設けられて
いる。この場合、軒側に位置するものの係合突出部(1
5)を棟側に位置するものの抱持部(17)に保持させる
ことにより、スレート瓦(3)上に、軒棟方向に複数の
屋根板(11)が連接した横葺き屋根構造を重ねて構成す
るのである。
又、この種の補修用の屋根構造によれば、軒側係合部
(13)にて起立面をなす垂下面部(14)が、係合突出部
(15)と抱持部(17)との相互の係合部分の上方に面板
部(12)の軒側端部を立ち上がらせて、その内側に起立
部(18)で仕切られる大きな空間部(19)を画成してい
るので、もし前記係合部分から雨水等が浸入してもその
雨水は前記空間部(19)よりも内側には浸入せず、空間
部(19)にて側方へと誘導及び排出されてしまうので屋
内への雨漏りを起こしにくく、従って基本的には良好な
雨仕舞い性能が得られる。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、従来のこの種の補修用屋根構造では、屋
根板(11)相互の係合部分に、十分に防水性を確保しう
る程度の大きな空間部(19)を形成するようにしていた
ので、自ずと垂下面部(14)の立ち上がり高さ(図中の
見付け高さh)がスレート瓦(3)の端面部分での段差
よりも大きくなってしまい、この結果として外観上段差
の目立つ屋根になってしまい、それまでのスレート瓦屋
根のみによる整然とした外観からはかけ離れた印象を与
えてしまうという問題点がある。
これに対して、段差が目立たないように垂下面部(14)
の高さを小さく抑えると、それだけ空間部(19)の容積
が小さくなってしまうので、当該空間部(19)にゴミ等
が詰まって毛管現象による雨漏りを起こしやすくなる。
尚、空間部(19)が過少となった場合、係合部内を横走
りするような強い風を受けたときに、強い風圧の作用に
より係合部内に乱流が生じ、空間部(19)内に浸入した
雨水が吹きあげられて起立部(18)を乗り越え、屋根構
造の内側に浸入してしまうという問題が生じる。
また、この屋根構造では、係合部が軒側係合部(13)の
内側でしかも棟方向に離隔した位置に在るため、軒側係
合部(13)と棟側係合部(14)の結合強度が弱いという
問題もある。この場合、強風時に軒側係合部(13)が浮
き上がる現象が起こり、このときに係合部から塵や埃が
侵入して堆積するため耐候性が損なわれてしまう。
更に、この屋根構造では空間部(19)を裏面側から支持
するものが無く、仮に起立部(18)の頂部を面板部(1
2)の裏面に当接させるようにしたとしても、その当接
部分が軒側係合部の付近に限定されるので、面板部(1
2)全体としては強度及び剛性が低く、従って積雪があ
ったり、施工・保守時に作業者が足で踏んだりすると変
形してしまうおそれがあり、これを防止するにはスレー
ト瓦(3)と屋根板(11)との間にバックアップ材を介
装しなければならないという欠点もあった。
本発明はこのような従来の問題点に着目してなされたも
ので、既設スレート屋根の補修用屋根構造として、耐風
圧性、耐水性及び耐荷重性に優れ、尚かつ、外観的には
係合部における段差の少い整然とした横葺き屋根構造を
提供することを目的としている。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために本発明では、建築物の屋根下
地材上に、スレート瓦などの単体屋根瓦を、少くとも端
部相互が所定の重なり幅でオーバラップされて段差端面
を形成するように、所定の軒棟方向ピッチ間隔で葺いた
既設の屋根構造を有し、この既設の屋根構造上に、横葺
き屋根板を葺きあげて新設する横葺き屋根構造であっ
て、前記ピッチ間隔に対応した断面幅で、面板部の一側
部に軒側成形部、同じく他端部に棟側成形部を備えた屋
根板を設け、前記軒側成形部には、面板部の端部を下面
側から棟側方向に折り返して形成した係合突出部を備え
ると共に、前記棟側成形部には、面板部の棟側端部をそ
の上面側にて軒側方向に折り返して、棟側屋根板の係合
突出部を抱持すべく形成した抱持部と、この抱持部の軒
側端部からその上面側にて棟側方向に折り返して形成し
た延長部と、前記抱持部の棟側端部よりも棟側の部位に
て前記延長部から屋根瓦段差に相当する高さに立ち上げ
形成した起立部と、この起立部の頂部を折り返して、棟
側屋根板の面板部裏面に当接するように形成した支持部
とを備え、かつ、前記軒側成形部は前記支持部による支
持点近傍から前記延長部の軒側端部近傍に向かって下降
するように形成した傾斜面部を有し、前記係合突出部と
該係合突出部を抱持した前記抱持部とで係合部を形成す
ると共に、各屋根板をその起立部が屋根瓦段差端面の近
傍に位置するように屋根瓦上に被着した。
〔作用〕
上記構成により、スレート瓦上に複数の屋根板を軒棟方
向に葺いて横葺き屋根を構成する際、棟側、即ち上段側
の屋根板の係合突出部は軒側、即ち下段側の屋根板の抱
持部に嵌入して係合部としての第1の係合部を形成す
る。又、このとき延長部を介して第1の係合部よりも棟
側の位置にて立ち上がった起立部と、その頂部に位置す
る支持部とは、棟側屋根板の面板部裏面に当接してこれ
を支持すると共に、当該当接部分に第2の係合部を形成
する。前記第1,第2の各係合部は延長部の長さに応じて
離隔していて軒棟方向に長く、従って十分な大きさの空
間を画成する。
又、第2の係合部は第1の係合部よりも上方に位置して
いる。従って、仮に第1の係合部内に雨水が浸入したと
しても、前記空間によりこれが第2の係合部にまで達す
ることは無く、更に、第1の係合部を横走りするような
強い風圧が作用したとしても、第1の係合部よりも奥ま
った位置に第2の係合部があるので、滞留していた水が
空間に吹き込まれても、これが第2の係合部を介して内
側のスレート瓦側へと浸入してその劣化や雨漏りを促す
ようなこともない。
特に、本発明では棟側屋根板の軒側成形部に設けた傾斜
面部と係合突出部との間に、軒側屋根板の抱持部及び延
長部の一部を平面的に挟持する多重構造の第1の係合部
を形成したので、これらの係合部分に強い強度が確保さ
れ、従って、強風雨時の軒側成形部の浮き上がり現象が
抑えられる。
一方、上述したように延長部の末端にて立ち上がった起
立部と支持部とにより、棟側屋根板はその軒側端部より
も幾らか棟側の部分にて支持され、しかも面板部の裏面
側は既設屋根構造をなすスレート瓦によって裏打ちされ
た状態になるので、屋根板全体としての耐荷重性能が大
幅に向上する。
更に、空間はその棟軒方向の十分な長さによって防水上
必要なだけの容積が確保されるので、スレート瓦の段差
程度にまで屋根構造自体の見付け高さを小さくすること
ができる。これにより、この屋根構造によれば、段差の
目立たない、平葺状の補修屋根面が得られるのである。
〔実施例〕
以下、本発明による屋根構造の実施例につき図面に基づ
いて説明する。
第1図はこの実施例による屋根構造の側面図、第2図は
その屋根板連結部分の詳細を示す拡大図である。
第1図において、既設の屋根構造(A)は、上述したよ
うに、例えば、建築物の屋根組みとなる木質垂木(1)
を基体に用い、その全面に屋根下地材(2)を敷き込む
と共に、この屋根下地材(2)の上に、単体屋根瓦とし
て複数のスレート瓦(3)を、その端部相互が所定の重
なり幅(l)でオーバラップされて段差端面(3a)を形
成するように、所定の軒棟方向ピッチ間隔(p)により
一連に葺きあげられている。
又、この既設の屋根構造(A)の上には、本発明を特徴
づける屋根面(B)が重ねて葺きあげられている。この
屋根面(B)は、上述の重なり幅(l)を含む軒棟方向
ピッチ間隔(p)に対応した断面幅を有する複数の横葺
き屋根板(31)を軒棟方向に連接した構造からなってい
る。
この屋根板(31)は、例えば防錆用焼付け塗装などを施
した所定幅の長尺鋼板からなり、これをロール成形機な
どにより成形して、中央の平坦な面板部(32)の一端部
側に軒側成形部(33)を、他端部側に棟側成形部(34)
をそれぞれ連続して形成してある。
上記軒側成形部(33)には、第2図に示したように面板
部(32)の途中から軒側下方に向けて平坦な傾斜面部
(35)を折り曲げて形成すると共に、この傾斜面部(3
5)の軒側端部から棟側方向に係合突出部(36)が折り
返してある。尚、(37)は前記係合突出部(36)の縁部
を折り返した縁曲げ部であり、この場合突出部(36)の
下方に巻き込んだ状態に仕上げてあるが、上方に形成す
るようにしてもよい。
一方、軒側屋根板の前記棟側成形部(34)には、面板部
(32)の棟側端部をその上面側にて軒側方向に折り返し
て、棟側屋根板(31)の係合突出部(36)を抱持する抱
持部(38)を形成する。更に、この抱持部(38)の軒側
端部からその上面側にて棟側方向に折り返して平板状の
延長部(39)を形成する。
そして、この延長部(39)の棟側端部から、抱持部(3
8)の棟側端部よりも棟側の部位にて立ち上がるよう
に、つまり第2図においてl2≧l1となるように起立部
(40)がほぼスレート瓦(3)の上面に対して略垂直に
立ちあげられている。
この起立部(40)は、その高さがスレート瓦(3)の段
差端面(3a)と同程度になるように寸法設定されてお
り、かつ、その頂部には、棟側屋根板(31)の面板部裏
面に当接するように軒側に向けて支持部(41)が曲折し
てある。尚、上記軒側成形部(33)の傾斜面部(35)
は、前記支持部(41)の折曲点が接触する位置(支持
点)近傍から前記延長部(39)の軒側端部近傍に向かっ
て下降するように曲折加工されている。
上記軒側成形部(33)と棟側成形部(34)との間隔寸
法、詳細には複数の屋根板(31)を軒棟方向に連接して
葺きあげた状態での、相互に隣接する屋根板(31)の軒
側のものの起立部(40)と棟側のものの起立部(40)と
の間隔寸法は、基本的にはスレート瓦(3)での軒棟方
向ピッチ間隔(p)から重なり幅(l)を減じた寸法
(p−l)に等しくしてある。
ただし、老朽化した屋根ではスレート瓦(3)の位置が
ずれて、ピッチ間隔(p)がまちまちになっていること
があるので、このような誤差を考慮して幾分か寸法上の
余裕を持たせるようにしてもよい。もっとも、位置ずれ
を起こしたスレート瓦(3)はある程度その位置を強制
することが可能であるから、前記余裕寸法は施工するス
レート瓦屋根の状態に応じて適宜設定すれば良い。
更に、仮にスレート瓦(3)の位置が矯正困難なほど大
きくずれてしまっている場合であっても、上記屋根板
(31)は現場加工で形成することも可能であるので、現
状に合わせた任意の寸法設定でこれに対応することがで
きる。
(50)は吊子であって、前記支持部(41)の先端と係合
させて、スレート瓦(3)に固定させる。(51)は吊子
(50)とスレート瓦(3)との間の隙間である。
この実施例による屋根板(31)を既設のスレート瓦
(3)の上に横葺きするには、まず既設屋根構造(A)
の軒側端部に位置する屋根板(31)を当該軒側端部のス
レート瓦(3)に釘等の固定具(図示せず)を打ち込ん
で固定する。このとき、屋根板(31)はその棟側成形部
(34)の起立部(40)を、上段側スレート瓦(3)の段
差端面(3a)に当てがうようにして位置決めし、必要に
応じ上述したようにスレート瓦(3)の位置を修正す
る。
次に、この軒側屋根板(31)の棟側成形部(34)の支持
部(41)に吊子(50)を係着させ、スレート瓦(3)上
に固定具により固定する。
更に、棟側屋根板(31)の軒側成形部(33)の係合突出
部(36)を軒側屋根板の抱持部(38)に係合させ、か
つ、傾斜面部(35)を支持部(41)上に支持させる。即
ち、棟側成形部(34)の抱持部(38)の内側に軒側成形
部(33)の係合突出部(36)を挿入して、突出部(36)
を抱持部(38)に挟み込む。
このような作業を軒側から棟側へと次々に行って、必要
な枚数だけ屋根板(31)を連接してゆくことにより、ス
レート瓦(3)が金属製屋根板で被覆された態様の横葺
き屋根構造に構成されるのである。
そして、このようにして組み上げられた状態において
は、軒棟方向に相互に隣接する屋根板(31)の連接部
は、第2図に示したように棟側屋根板(31)の係合突出
部(36)を抱持した抱持部(38)自体が、係合突出部
(36)とその軒側端部から棟方向に折り返した傾斜面部
(35)の前縁部分との間に挟持された態様となって多
重、かつ、平面的な第1の係合部(42)を形成すると共
に、支持部(41)が吊子(50)を介して軒側屋根板(3
1)の面板部(32)の裏面に当接してこれを支持する部
分に、第2の係合部(43)を形成する。
前記第1及び第2の各係合部(42),(43)は、延長部
(39)の長さ、この場合l2の長さ分だけ離隔して十分な
容積の空間(44)を画成している。又、第2の係合部
(43)は、水返しに当たる起立部(40)の頂部に在って
第1の係合部(42)よりも上方に位置している。
このことにより、本発明の作用として説明した通り、仮
に第1の係合部(42)を介して前記空間(44)へと雨水
等が浸入したとしても、これが第2の係合部(43)を介
して既設屋根構造(A)側へと浸入することは無く、空
間(44)の底面つまり延長部(39)の上面を排水面とし
て側方へと導かれ、外部に排出される。
又、上述したように屋根板(31)の軒側の先端部にて多
重構造で平面的な第1の係合部(42)を形成するので、
この部分の結合強度が極めて高く、従って強い風圧が作
用したとしても浮き上がりを起こすようなことが無く、
係合部分への塵や埃の侵入が防止される。又、空間(4
4)に雨水が浸入したとしても、これが風圧により巻き
あげられにくいので、極めて優れた防水性が発揮され
る。
一方、前記延長部(39)の末端にて立ち上がった起立部
(40)と支持部(41)とにより、棟側に位置する屋根板
(31)はその軒側端部よりも幾らか棟側の部分にて支持
されることになり、しかも各屋根板(31)の、前記支持
部(41)によって支持される部分よりも棟側の面板(3
2)裏面側は既設のスレート瓦(3)によって裏打ちさ
れた状態になるので、このスレート瓦(3)によって屋
根板(31)の剛性が著しく向上する。
つまり、屋根板(31)はその耐候性に基づいて既設屋根
構造(A)の保護機能を発揮する一方で、機能屋根構造
(A)を構成するスレート瓦(3)は屋根板(3)のバ
ックアップ材として機能し、これらの機能が互いの欠点
を補完しあって強固で耐久性に優れた屋根構造を構成す
る。
従って、屋根板全体としての強度及び剛性が向上して、
積雪等の荷重に対して十分な耐性を示すのである。
又、前記空間(44)はその軒棟方向の十分な長さによっ
て防水上必要なだけの容積が確保されるので、上述した
通り起立部(40)の高さをスレート瓦(3)の段差寸法
(3a)の程度にまで小さくすることができ、これにより
上述のスレート瓦(3)によるバックアップ機能が効果
的に得られると共に、段差の目立たない、整然とした平
葺状の屋根面が得られるのである。
ところで、上記屋根板(31)において、その第1の係合
部(42)に以下に説明するような簡単な加工を施すこと
により、その結合強度及び耐候性を更に強化して既設屋
根の保護機能をより高めることができる。
これは、第一には第1の係合部(42)に予荷重を設定し
ておくことによる。即ち、傾斜面部(35)と係合突出部
(36)とが相互に所定の圧力で接する程度に予め軒側成
形部(33)の先端部をたわめておき、棟方向に屋根板
(31)を連結する際に、その傾斜面部(35)と係合突出
部(36)との間に、軒側に位置する他の屋根板(31)の
抱持部(38)及び延長部(39)の一部を弾性的に挟持す
るように図るのである。
これにより、抱持部(38)及び延長部(39)の一部は前
述した通り係合突出部(36)と傾斜面部(35)との間に
弾性的に保持されると同時に、係合突出部(36)も抱持
部(38)とその下方の面板部(32)部分との間に挟み込
まれるので、相互間に強い連結力が発揮される。
又、第二には第1の係合部(42)を上下から圧し潰し
て、第3図に示したように係合突出部(36)、抱持部
(38)、延長部(39)、傾斜面部(35)の相互の接触面
を密着させることによる。これは、例えばペンチ状の工
具により傾斜面部(35)の先端上面部と係合突出部(3
6)の下面部とをくわえ込んで圧縮したり、或いは係合
突出部(36)の下面部に刀刃と呼ばれる薄い板状の工具
を挿入したうえで傾斜面部(35)を上方から拍子木状の
木槌でたたき潰すことにより行う。又、屋根板(31)が
比較的柔らかい金属材料からなるときには、足で踏み潰
すことによって密着させることも可能である。
このようにして第1の係合部(42)を押し潰した場合に
は、その部分での屋根板(31)相互間の結合強度がより
向上するので、強風圧作用時の軒側端部の浮き上がり、
及びこれに原因する塵の侵入や雨漏りを一層確実に防止
することができる。
尚、第3図中、(50)は吊子であり、この吊子(50)を
棟側のスレート瓦(3)に固定することにより、葺きあ
げ作業性を向上させることができる。
第4図は本発明の他の実施例側面図であって、垂下部
(14a)が段差構造を等間隔で形成するのでこれを視覚
上のアクセントとして屋根面に個性を付与することがで
き、又前記各実施例と同様な効果を奏する。
〔発明の効果〕
以上説明してきた通り、本発明の屋根構造によれば、棟
側屋根板の係合突出部と軒側屋根板の抱持部とによる第
1の係合部に加えて、この第1の係合部よりも棟側に位
置する支持部と、棟側屋根板の面板部裏面とにより比較
的上方に位置する第2の係合部を形成し、かつ、これら
軒棟方向に離隔した2つの係合部間に大きな空間を画成
する屋根板を設けて、これをスレート瓦などからなる既
設屋根構造の上に横葺きして当該既設屋根を被覆するよ
うにしたので、仮に第1の係合部内へと雨水や埃等が浸
入し、更に第1の係合部内を横走りするような強い風圧
を受けたとしても、それにより空間に浸入した雨水等が
既設屋根構造側へと回り込んでその劣化や雨漏りを促す
ようなことが無く、従って極めて優れた防水性及び既設
屋根構造に対する保護機能が得られる。
特に、本発明では棟側屋根板の軒側成形部に設けた傾斜
面部と係合突出部との間に、軒側屋根板の抱持部及び延
長部の一部を平面的に挟持する多重構造の第1の係合部
を形成したので、これらの係合部分に強い強度を確保し
て強風雨時の軒側成形部の浮き上がり現象を抑え、この
浮き上がり現象に原因する塵の堆積や雨漏りを効果的に
防止することができる。
尚、本発明は、この第1の係合部を上下から容易に押し
潰すことができ、これにより連結強度をより一層向上で
きるという特徴が得られる。
又、本発明の屋根構造によれば、第1係合部と第2係合
部の各係合部を軒棟方向に離隔した構成とすることによ
り、防水上必要なだけの空間容積を確保するようにした
ので、それだけ空間の前後を仕切る傾斜面部及び起立部
等の上下方向の寸法、つまり屋根面に生じる段差寸法を
小さくすることができ、従って平葺状の整然とした屋根
面が得られる。
更に、本発明の屋根構造では、第1の係合部よりも棟側
に延びる延長部の末端にて起立部を立ち上げ、当該起立
部とその頂部に形成した支持部とにより棟側屋根板をそ
の軒側端部よりも幾らか棟側の部分にて支持できると共
に、当該支持部分よりも棟側の面板部の裏面側は上述し
たように支持部の高さをスレート瓦の段差端面の高さ相
当に抑えることによりスレート瓦によってバックアップ
することができるので、屋根板全体としての耐荷重性能
が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による屋根構造の一実施例を示す側面
図、第2図はその要部拡大図、第3図は第2図の第1の
係合部を押し潰した状態を示す側面図、第4図は他の実
施例図である。第5図は従来の補修用屋根構造の側面図
である。 (1)……木質垂木 (2)……屋根下地材 (3)……スレート瓦 (3a)……段差端面 (A)……既設の屋根構造 (p)……ピッチ間隔 (13)……軒側係合部 (14)……垂下面部 (16)……棟側係合部 (B)……屋根面 (11),(31)……屋根板 (l)……重なり幅 (12),(32)……面板部 (13),(33)……軒側成形部 (14a)……垂下部 (34)……棟側成形部 (35)……傾斜面部 (15),(36)……係合突出部 (37)……縁曲げ部 (17),(38)……抱持部 (39)……延長部 (18),(40)……起立部 (41)……支持部 (42)……第1の係合部 (43)……第2の係合部 (19),(44)……空間 (50)……吊子 (51)……隙間

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】建築物の屋根下地材上に、スレート瓦など
    の単体屋根瓦を、少くとも端部相互が所定の重なり幅で
    オーバラップされて段差端面を形成するように、所定の
    軒棟方向ピッチ間隔で葺いた既設の屋根構造を有し、こ
    の既設の屋根構造上に、横葺き屋根板を葺きあげて新設
    する横葺き屋根構造であって、 前記ピッチ間隔に対応した断面幅で、面板部の一側部に
    軒側成形部、同じく他端部に棟側成形部を備えた屋根板
    を設け、 前記軒側成形部には、面板部の端部を下面側から棟側方
    向に折り返して形成した係合突出部を備えると共に、前
    記棟側成形部には、面板部の棟側端部をその上面側にて
    軒側方向に折り返して、棟側屋根板の係合突出部を抱持
    すべく形成した抱持部と、この抱持部の軒側端部からそ
    の上面側にて棟側方向に折り返して形成した延長部と、
    前記抱持部の棟側端部よりも棟側の部位にて前記延長部
    から屋根瓦段差に相当する高さに立ち上げ形成した起立
    部と、この起立部の頂部を折り返して、棟側屋根板の面
    板部裏面に当接するように形成した支持部とを備え、か
    つ、前記軒側成形部は前記支持部による支持点近傍から
    前記延長部の軒側端部近傍に向かって下降するように形
    成した傾斜面部を有し、 前記係合突出部と該係合突出部を抱持した前記抱持部と
    で係合部を形成すると共に、各屋根板をその起立部が屋
    根瓦段差端面の近傍に位置するように屋根瓦上に被着し
    た構造を有する ことを特徴とする横葺き屋根構造。
JP11602889A 1989-05-11 1989-05-11 横葺き屋根構造 Expired - Fee Related JPH076257B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11602889A JPH076257B2 (ja) 1989-05-11 1989-05-11 横葺き屋根構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11602889A JPH076257B2 (ja) 1989-05-11 1989-05-11 横葺き屋根構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH02296956A JPH02296956A (ja) 1990-12-07
JPH076257B2 true JPH076257B2 (ja) 1995-01-30

Family

ID=14676975

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11602889A Expired - Fee Related JPH076257B2 (ja) 1989-05-11 1989-05-11 横葺き屋根構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH076257B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ES2324258B1 (es) * 2007-03-05 2010-05-14 Cupa Innovacion S.L.U. Sistema de colocacion de pizarra en cubiertas y paramentos verticales.

Also Published As

Publication number Publication date
JPH02296956A (ja) 1990-12-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH076257B2 (ja) 横葺き屋根構造
JPH0833053B2 (ja) 横葺屋根板
JP3233209U (ja) 瓦屋根の下地構造
JPH0338334Y2 (ja)
JPH0547698B2 (ja)
JP2502817B2 (ja) 瓦葺き屋根構造
JP2736956B2 (ja) 縦葺き屋根構造
JPS6019227Y2 (ja) 屋根板固定金具
JP3547681B2 (ja) 建築用外装構造
IES20020262A2 (en) A roof edging strip
JP2502825B2 (ja) 瓦葺き屋根構造
JP2520845B2 (ja) 二重葺き屋根構造
JP3191663B2 (ja) 屋根葺き構造
JPH04333750A (ja) 盤状の屋根材を用いた屋根
JP3026544U (ja)
JPH076258B2 (ja) 建築用の面構造材
JPH072845Y2 (ja) 台座付き屋根板
JP2631011B2 (ja) 横葺屋根板
JP2506010B2 (ja) 屋根材の継手並びに該継手を用いた屋根構造
JPH083241B2 (ja) 板状屋根材を用いた屋根の軒先構造
JPH0426574Y2 (ja)
JP2520844B2 (ja) 二重葺き屋根構造
JPH0310253Y2 (ja)
JPS5942417Y2 (ja) 楝瓦固定構造
JPH0684660B2 (ja) 横葺き屋根

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees