JPH0762207B2 - 熱間圧延用鍛造ロール及びその製造法 - Google Patents

熱間圧延用鍛造ロール及びその製造法

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JPH0762207B2
JPH0762207B2 JP1191031A JP19103189A JPH0762207B2 JP H0762207 B2 JPH0762207 B2 JP H0762207B2 JP 1191031 A JP1191031 A JP 1191031A JP 19103189 A JP19103189 A JP 19103189A JP H0762207 B2 JPH0762207 B2 JP H0762207B2
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俶 川嶋
敏 泉川
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関東特殊製鋼株式会社
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    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21BROLLING OF METAL
    • B21B27/00Rolls, roll alloys or roll fabrication; Lubricating, cooling or heating rolls while in use

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  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Reduction Rolling/Reduction Stand/Operation Of Reduction Machine (AREA)
  • Heat Treatment Of Articles (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 【産業上の利用分野】
本発明は、胴内部及び軸部が強靭性に富みかつ耐摩耗
性、耐熱性に優れた熱間圧延用鍛造ロールとその製造法
に関するものである。
【従来の技術並びにその問題点】
熱間圧延に賞用されている鋳鉄ロールは、一般的には遠
心鋳造複合法により製造されており、圧延使用層である
外層材にNi−グレン鋳鉄あるいは高クロム鋳鉄等の耐摩
耗鋳鉄を、内層材に高級鋳鉄あるいはダクタイル鋳鉄を
配した複合構造のものである。 しかるに、熱間圧延用ロールの圧延使用層に要求される
基本的な特性としては、耐摩耗性、耐熱性(耐熱衝撃
性、耐熱疲労性)等があるが、上記耐摩耗鋳鉄はこれら
の特性を兼備しているものとは言いがたい。即ち、耐摩
耗鋳鉄は、組織中に、ビッカース硬さ(以下Hvという)
1800以下のM3C型あるいはM7C3型の共晶炭化物を分散さ
せることにより耐摩耗性を付与しているものであるが、
これらの共晶炭化物は粗大で、かつ連続状あるいは棒状
に晶出するので、多量に分散させる程耐摩耗性は向上す
るが強靭性、耐熱性は劣化するという難点を有してい
る。 更に、これらの複合鋳鉄ロールの耐用強度は内層材の許
容応力に制約されている。 例えば、内層材としてダクタイル鋳鉄を用いた場合で
も、ロールの軸部の回転曲げ疲れ強さは20kgf/mm2程度
が限界であり、これ以上の応力が軸部に発生するような
熱間圧延ミル用ロールにこれらの複合鋳鉄ロールを適用
することは不可能である。 一方、最近の熱間圧延においては、省コストの観点から
ロールの耐摩耗性並びに耐熱性の大幅な向上が強く望ま
れている。 更に、圧延製品の寸法精度、形状、材質の向上を目的と
して出現している高精度・高圧下圧延ミルに用いられる
ロールにおいては、圧延荷重及びベンデイング荷重によ
つて発生する大きな応力に耐えうる胴内部及び軸部の強
靭性に優れたロールであることが、まず第一の前提条件
となつている。
【発明の目的】
本発明の目的は、かかる胴内部及び軸部の強靭性に優れ
ていることが前提となる高精度・高圧下圧延ミル用等の
熱間圧延用ロールにおいて、耐摩耗性及び耐熱性をも兼
備している優れた鍛造ロール並びにその製造法を提供し
ようとする点にある。
【発明に至る経緯】
本発明者は、先に粒状かつ高硬度のV炭化物(Hv2800、
MC型)を多く析出させた耐摩耗材であるピルガー圧延用
ロール材(特公昭60−1392号)及び冷間工具鋼(特公昭
62−59179号)を発明した。これらの高炭素高バナジウ
ム系耐摩耗材は冷間圧延用ロール等の冷間工具鋼として
開発されたものであり、下記の特徴を有している。 (1)強靭性・鍛造性;強靭性及び鍛造性を阻害する粗
大な共晶炭化物の晶出量を制限している。したがつて、
ロールのような大型製品の製造においても容易に鍛造を
行うことができ、ロールの胴内部及び軸部が強靭性に富
む。 (2)耐摩耗性;使用層である胴部表層は熱処理によつ
て硬化された基地に粒状かつ高硬度のMC型炭化物を分散
させることによつて耐摩耗性が付与されており、かつ粗
大共晶炭化物量が少ないので強靭性にも富む。 これらのことから本発明者は胴内部及び軸部の強靭性が
前提条件となる熱間圧延用ロールに対しても上記高炭素
高バナジウム系耐摩耗材が適用されうることに着目し
た。 しかしながら、熱間圧延用ロールにあつては、その作用
面が、高温圧延材との接触及び非接触部での冷却によ
り、500℃以上の加熱と100℃以下の冷却を繰り返し受け
るので、高温域での硬度低下が少なく、かつ熱疲労及び
熱衝撃によるクラックの発生・進展が少ないという耐熱
性を有することが必要となる。 本発明はかかる問題に対処するため、上記高炭素高バナ
ジウム系冷間工具鋼の優れた特長である強靭性・耐摩耗
性を阻害することなしに、更に耐熱性を付与しうる諸条
件を探求の結果、次の如く考察し、それに基づいた構成
を採用することによりその目的を達成したものである。 即ち、高炭素高バナジウム系冷間工具鋼においては、作
用面(表面)の温度が比較的低温である冷間圧延用ロー
ル等に用いることを旨としているので、Cr、Mo等の合金
元素は、主として焼入性を制限(特公昭60−1392号)、
もしくは付与(特公昭62−59179号)する観点から添加
しているものであり、耐熱性については殆んど考慮され
ていなかつた。 また熱処理においても、特公昭62−59179号の試験結果
及び適用例に示した如く、980℃以下の焼入温度及び用
途に応じた400℃以下の焼もどし温度で高硬度を得るも
のであり、基地硬化のために必要とされるC量[=%V
×0.24+0.50〜0.71%]もこの熱処理法に即した範囲と
なつている。 これに対して、本発明においては、高炭素高バナジウム
系耐摩耗材の強靭性を阻害せしめることなしに、熱間圧
延用ロールとして優れた耐熱性を付与するための最適な
基地中のC量、合金元素添加量として、 C 1.5〜2.5重量%(以下同じ) V 4.5〜8.0% Cr 1.5〜6.0% Mo+0.5W 1.5〜5.0% C=%V×0.24+(0.4〜1.0)%及び 0.3Cr+(Mo+0.5W)≧2.6 と設定し、並びに最も適切な熱処理法を確立することに
よつてその目的を達成したものである。
【発明の構成】
本発明の第1は C 1.5〜2.5重量%(以下同じ) Si 1.2%以下 Mn 1.2%以下 Cr 1.5〜6.0% (ただし、Wの少なくとも1部はMoで置き換えてもよ
い) V 4.5〜8.0% 残部が不可避的不純物であつて、かつ C=%V×0.24+(0.4〜1.0)%及び 0.3Cr+(Mo+0.5W)が2.6%以上 を満足することを特徴とする、胴内部及び軸部が強靭性
に富みかつ耐摩耗性と耐熱性に優れた熱間圧延用鍛造ロ
ールを要旨とするものであり、 第2の発明は 上記第1の発明の組成に、 Ni3.0以下、Co5.0%の1種以上、および/またはNb2.0
%以下、Ti2.0%以下の1種以上を添加したことを特徴
とする熱間圧延用鍛造ロールを要旨とするものであり、 第3の発明は、 上記第1、第2の発明の組成を有する鋼材を用いて熱間
圧延用鍛造ロールを製造する方法に関するもので、ロー
ルの胴部を誘導加熱等の手段で表層焼入れした後に500
℃以上の温度で焼もどしすることにより胴部の表面硬さ
をHs70以上にすることを特徴とする、熱間圧延用鍛造ロ
ールの製造法を要旨とするものである。
【成分の限定理由】 C:1.5〜2.5重量%(以下同じ) V:4.5〜8.0% かつ、C=%V×0.24+(0.4〜1.0)% Vは、粒状で高硬度のV炭化物形成元素であり、Vが高
い程V炭化物を多く生成せしめることができ、高温の耐
摩耗性は向上する。 これを第1図により説明する。同図は、硬さをHs80と同
一に調整した各種バナジウム含有鋼のV含有量と高温ロ
ール摩耗試験による摩耗量との関係を示したものである
が、V含有量4.5%以上で優れた高温耐摩耗性を発揮す
る。 しかし、8.0%以上になると鋼塊製造において、Vの偏
析が生じ易く、均質な鋼塊を得ることが困難となる。 よつて、Vの下限を4.5%、上限を8.0%とした。 尚、同図における高温ロール摩耗試験は次のようにして
行つた。 ロール相当の供試ロール(φ100mm×24mm巾)と高周波
加熱により高温とした圧延材相当の加熱ロール(φ240m
m×18mm巾)とを、接触、負荷、転動させ、一定転動数
回転後、供試ロールの摩耗重量を測定し、高温における
ロール材の耐摩耗性を評価した。 試験条件 ・加熱ロール;加熱温度800℃、SCM435鋼 ・供試ロール;周速60m/min(加熱ロールとの周速差:5
%) ・接触荷重;20kg/mm ・転動数;1×104 ・摩耗量;単位接触巾当りの摩耗重量 次に、第2図は高バナジウム含有材(4.2%Cr−2.1%Mo
−0.3%W)(V:4.7%、6.6%)におけるC含有量と共
晶炭化物析出量の関係を説明するものであるが、Cが2.
6%以上になると、粗大な共晶炭化物の析出量が急激に
増加し、鍛造性、強靭性を阻害するのみならず熱衝撃並
びに熱疲労によるクラックの発生・進展を助長して耐熱
性を劣化させる。 また、CはV量との関連において、500℃以上の高温焼
もどし後の硬さを大きく左右する。 第3図はこの関係におけるC量の最適範囲を策定するた
めの試験結果、即ち基地の硬さに寄与するC量であるΔ
C[=(%C)−(%V)×0.24]と530℃焼もどし後
の硬さを、4.2%Cr−2.1%Mo−0.3%W系鋼でV量3例
について示したものである。この試験より、高温焼もど
し後の最高硬さはΔC=0.65%付近で得られ実用上の所
要硬さはΔC=0.4〜1.0%の範囲で得られることが判つ
た。尚、この場合の焼入温度並びに焼入れ時の冷却速度
(焼入温度から500℃までの降温速度)は、後に詳述す
るようにそれぞれ1050℃及び14℃/minと、実体ロールに
即した条件を採用している。 ところで、高温における耐摩耗性は、V炭化物量のみな
らず硬さによつても左右される。 第4図は、高炭素高バナジウム鋼の硬さと高温ロール摩
耗試験による摩耗量との関係を示したもので、硬さが高
い程耐摩耗性が向上し、従来の高クロム鋳鉄(▲)と同
等以上の耐摩耗性を確保するためには高炭素高バナジウ
ム鋼においてもHs70以上の硬さが必要となる。尚、供試
ロールとして、5%Vは後述実施例1のA、7%Vは実
施例2のB鋼を用いた小型ロールの軸部から採取した試
験片を熱処理したものを用いた。 C並びにVの成分範囲は、これらの諸要因を勘案し、C
の上限は、粗大な共晶炭化物の晶出量増加の悪影響を考
慮して2.5%、かつ高温焼もどしで高硬度が得られるV
量との関係より、C=%V×2.4+(0.4〜1.0)%、下
限は、Vの下限量(4.5%)と上記との関係から1.5%と
した。 Cr:1.5〜6.0% Mo+0.5W:1.5〜5.0% かつ(0.3Cr+Mo+0.5W):2.6以上Crは焼入性を高める
とともに高温焼もどし硬さを増大させる。 Moは基地に固溶あるいは基地中に微小炭化物を析出させ
ることにより、焼入性及び焼もどし軟化抵抗の増大に有
効である。 またWはMo量の約1/2でMoと同等の効果を発揮する。た
だし、Wの少なくとも1部はMoで置換してもよい。つま
り、Wは必要に応じ添加するだけでもよい。このよう
に、Cr、Mo及びWの添加は耐熱性の付与に有効である。 第5図及び第6図は、それぞれCr量及び(Mo+0.5W)量
と、530℃焼もどし硬さとの関係を示したものである。
即ち、第5図は2.41%C−6.5%V−2.1%(Mo+0.5W)
系における高温度焼もどし硬さに及ぼすCrの影響、第6
図は2.39%C−6.5%V−4.1%Cr系における(Mo+0.5
W)の影響を示している。尚、同図の試験においても、
第3図の場合と同様に、焼入温度及び焼入時の冷却速度
は、それぞれ1050℃及び実体ロールに即した徐冷(14℃
/min)としている。 これらのグラフより、Cr量及び(Mo+0.5W)量がそれぞ
れ1.5%以上で、徐冷の場合でも高温焼もどしでHs70以
上の硬さが得られることが判る。 更に、高温焼もどし後の硬さはCr及び(Mo+0.5W)の複
合効果で決定される。 第7図は、2.4%C−6.5%V系高炭素高バナジウム鋼の
高温焼もどし後の硬さに及ぼすCr及びMoとWの関係
〔(%Cr×0.3)と(%Mo+%W×0.5)〕を示すグラフ
である。同図より判るように、Crの効果は(Moと0.5W)
の0.3倍であり、Hs70以上の硬さを得るには(0.3Cr+Mo
+0.5W)が2.6%以上必要となる。 一方、Cr量及び(Mo+0.5W)量がそれぞれ6.0%及び5.0
%を超えるとM7C3型及びM6C型の粗大共晶炭化物の晶出
量が増大し、鍛造性及び強靭性を劣化させるので好まし
くない。よつて、Cr量及び(Mo+0.5W)量の下限をそれ
ぞれ1.5%、上限を6.0%及び5.0%とし、かつ(0.3%Cr
+Mo+0.5W)の下限を2.6%とした。 Si:1.2%以下 Mn:1.2%以下 Si及びMnは脱酸調整、流動性改善、焼入性改善を目的
に、通常鋼材と同様1.2%まで含有させる。 第2の発明に係る鍛造ロールは、以上の成分に加え、N
i、Co、Nb、Tiを、それぞれ次の理由により所要量添加
することにより、高温における摩耗量をより低減でき
る。 Ni:3.0%以下 Co:5.0%以下 Ni及びCoはいずれも基地に固溶して焼入性及び耐熱性の
増大に効果があるので、必要に応じそれぞれ3.0%以下
及び5.0%以下添加すると好ましい結果が得られる。し
かし、これらの量を超えて添加しても効果の向上は期待
できないのでそれぞれ上記を上限とした。 Nb:2.0%以下 Ti:2.0%以下 本発明においては、高硬度かつ粒状のMC型炭化物を形成
する元素の主体はVであるが、Nb及びTiもVと同様のMC
型炭化物を形成するのでVとともに添加すると効果的で
ある。しかし、添加量が多くなると溶解が困難となるの
で、それぞれ上限を2.0%とした。
【製造法の特徴】
本発明は、胴径が700mm程度までの熱間圧延用ロールを
対象としているものであり、上記成分範囲はこれらの大
質量の製品においても高温度焼もどしでHs70以上の胴部
硬さを確保できる合金元素添加量となつているので焼入
性が著しく良い材質となつている。 第8図及び第9図は、実施例2に示すロール(化学成分
は第1表のC)の製作工程中に採取した試料を用いて求
めた本発明鋼の焼入時の加熱温度並びに冷却速度と高温
焼もどし硬さの関係を示したものである。 第8図において、本発明鋼は焼入時の冷却速度(焼入温
度から500℃まで)が23℃/minの場合(胴径が600mm程度
の実体ロールを誘導加熱後、衝風冷却した時の冷却速度
に相当)、焼入温度が950℃以上でHs70の高温焼もどし
硬さを得ることができる。 一方、第9図いおいて、ほぼ最高焼もどし硬さとなる10
50℃の焼入温度の場合、冷却速度が15℃/min程度の徐冷
でもHs80以上の高温焼もどし硬さが得られる。 従つて、本発明ロールの製造にあたつては、焼入時に、
使用層である胴表層部のみ硬化させ、かつ胴内部には焼
きが入らず強靭性に富む性質とするために、誘導加熱等
の表層焼入法を採用する必要がある。 更に、熱間圧延用ロールの表面温度は500℃以上に達す
るので、使用中の変質、軟化を避けるため、焼入後の焼
もどし温度は500℃以上とすることが必要である。
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明する。 実施例 1 表1に示す2種の化学成分A及びBを有する鋼材を用い
て、胴径160mm、軸径100mmの小型ロールを次の工程によ
り製作した。 高周波溶解(1トン炉)ESR電極鋳造(鋳込温度1460
℃)→焼鈍→ESR溶解(φ250)→ハンマー鍛伸(加熱温
度1100℃)→焼鈍→荒削り→誘導加熱焼入れ(A:1050℃
×3′AC、B:1030℃×3′AC)→焼もどし(530℃×8h
r、2回) 以上の工程には特に困難はなく、A及びBの完成硬さと
してそれぞれHs85及び82が得られた。 これらのロール製作工程中に採取した試験片を用いて行
つた評価試験結果を、従来のNi−グレン鋳鉄複合ロール
(内層材:ダクタイル鋳鉄)と比較して次に示す。 (1)軸部の強靭性 本発明による小型ロールA及びBの軸部と、Ni−グレン
鋳鉄複合ロールの軸部から採取した試験片による引張試
験結果及び回転曲げ疲れ試験結果を表2に示す。ロール
軸部の許容応力は回転曲げ疲れ強さに比例するので、本
発明によるロールの場合には、従来のダクタイル鋳鉄内
層材による複合鋳鉄ロールの場合よりも約2.8倍の圧延
荷重及びベンデイング荷重に耐えうるという結果を得
た。 (2)胴表層部の機械的及び熱的特性 本発明によるロールA及びBの胴表層部と従来のNi−グ
レン鋳鉄ロールの表層部(Hs80)の破壊靭性、圧縮試験
結果、転動疲労強度及び熱衝撃試験結果を表3に示す。 尚、熱衝撃試験は直径30mm、巾5mmの加熱・冷却面を有
する円筒状の試験片を高周波加熱及び水冷により急熱・
急冷するものであり、クラックの発生する表面加熱温度
で耐熱衝撃性を評価するものである。 本発明ロールは、従来のNi−グレン鋳鉄に比し、耐熱衝
撃性に優れるのみならず、圧縮特性、転動疲労強度及び
破壊靭性にも優れるので、高精度・高圧下圧延等の機械
的及び熱的負荷が大きい場合でも格段に優れた性能を発
揮できるという結果が得られた。 実施例 2 表1の化学成分Cを有する鋼材を用いて、胴径430mm、
軸径240mmのロールを次の工程によつて製作した。 アーク式電気炉溶解(15トン炉)ESR電極鋳造(鋳込温
度1440℃)→ESR溶解→鍛造(加熱温度1100℃)→焼鈍
→誘導加熱焼入れ(1050℃×10′AC)→焼もどし(530
℃×12h、2回)。以上の工程には特に困難はなく、完
成硬度Hs80が得られた。 本ロールを熱延仕上ミルに使用したところ、従来のNi−
グレン鋳鉄ロールに比較して、耐摩耗性において5〜6
倍の性能を発揮した。 このように本発明の鍛造ロールは、軸部及び胴内部の強
靭性に優れているばかりでなく、胴表層部の耐摩耗性、
耐熱性についても画期的な性能を具備するものであつ
て、熱間圧延用ロールに適用した場合の実用的効果は著
大である。 実施例 3 本例では鍛造性を評価するために(高温)変形抵抗測定
を行った。表4および表5に示す組成および鋳塊から直
径8×長さ12(mm)の試験片を採取して、1050℃および
1100℃において圧縮変形した時の抵抗値を同じく表5に
まとめて示す。 表5の結果からも分かるように、変形抵抗は、ほぼ(Mo
+0.5W)量に比例して増大する。また、高温ほど変形抵
抗は小さくなるが、(Mo+0.5W)量が高いNo.3試料には
ワレが発生する。 なお、試料No.4は特公昭39−8653号公報に具体的組成例
として挙げられているものであるが、(Mo+0.5W)量が
5.0%超であるとともに、C−0.24Vが1.0%超とさらに
粗大共晶炭化物が増大傾向にあるので、このような組成
の鋼からは熱間圧延用ロールのような大質量鍛造品の製
造は実質的に不可能であることが分かる。 以上のことから、(Mo+0.5W)量を増大させると、粗大
共晶炭化物の晶出量が増大し、鍛造性が劣化(変形抵抗
大、ワレ発生)する。本発明では(Mo+0.5W)量の上限
を5.0%とする。 次に、C−0.24V=0.4〜1.0%と高温焼戻し後の高硬さ
との関係は第3図に示すが、第2図に示す如く、Cが大
になるほど、またVが小であるほど粗大共晶炭化物の晶
出量が多くなるので、(C−0.24V)は、粗大共晶炭化
物の晶出量を示す指標ともなる。そこで、第2図のデー
タを用いて、(C−0.24V)と粗大共晶炭化物の晶出量
との関係を示すと第10図の通りである。4.7%V系で
は、C−0.24Vが1.0%を超えたものは粗大共晶炭化物が
著しく多いことが分かる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、硬さをHs80と同一に調整した各種バナジウム
含有鋼における摩耗量に及ぼすVの影響を示す高温摩耗
試験結果のグラフ。 第2図は、4.2%Cr−2.1%Mo−0.3%W系高炭素高バナ
ジウムの共晶炭化物面積に及ぼすC及びVの影響を示す
グラフ。 第3図は、4.2%Cr−2.1%Mo−0.3%W系高炭素高バナ
ジウム鋼の高温焼もどし硬さと基地中のC量ΔCとの関
係を示すグラフ。 第4図は、高炭素高バナジウム鋼における摩耗量に及ぼ
す硬さの影響を示す高温摩耗試験結果のグラフ。 第5図は、2.41%C−6.5%V−2.1%(Mo+0.5W)系の
高温焼もどし硬さに及ぼすCrの影響を示すグラフ。 第6図は、2.39%C−6.5%V−4.1%Cr系の高温焼もど
し硬さに及ぼす(Mo+0.5W)の影響を示すグラフ。 第7図は、2.4%C−6.5%V系高炭素高バナジウム鋼の
高温焼もどし硬さに及ぼす(%Cr)×0.3と〔(%Mo+
(%W)×0.5〕との関係を示すグラフ。 第8図は、本発明鋼(実施例2)における高温焼もどし
硬さに及ぼす焼入温度の影響を示すグラフ。 第9図は、本発明鋼における高温焼もどし硬さに及ぼす
焼入れ時の冷却速度の影響を示すグラフである。 第10図は、第2図のデータにもとづいて、(C−0.24×
V)の共晶炭化物の晶出量に対する臨界性を示すグラ
フ。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−149450(JP,A) 特開 昭57−57862(JP,A) 特開 昭61−177355(JP,A) 特開 昭59−143048(JP,A) 特開 昭58−87249(JP,A) 特公 昭39−8653(JP,B1)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】C 1.5〜2.5重量%(以下同じ) Si 1.2%以下 Mn 1.2%以下 Cr 1.5〜6.0% (ただし、Wの少なくとも1部はMoで置き換えてもよ
    い) V 4.5〜8.0% 残部が不可避的不純物であって、かつ C=%V×0.24+(0.4〜1.0)%及び 0.3Cr+(Mo+0.5W)が2.6%以上 を満足することを特徴とする、胴内部及び軸部が強靭性
    に富みかつ耐摩耗性と耐熱性に優れた熱間圧延用鍛造ロ
    ール。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第(1)項において、 Ni3.0以下、Co5.0%以下の1種以上を添加したことを特
    徴とする、胴内部及び軸部が強靭性に富みかつ耐摩耗性
    と耐熱性に優れた熱間圧延用鍛造ロール。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第(1)項または第(2)
    項において、 Nb2.0%以下、Ti2.0%以下の1種以上を添加したことを
    特徴とする、胴内部及び軸部が強靭性に富みかつ耐摩耗
    性と耐熱性に優れた熱間圧延用鍛造ロール。
  4. 【請求項4】特許請求の範囲第(1)ないし第(3)項
    のいずれかに記載の組成を有する鋼材を用いて熱間圧延
    用鍛造ロールを製造するに際し、胴部を表層焼入れした
    後に500℃以上の温度で焼もどしすることにより胴部の
    表面硬さをHs70以上にすることを特徴とする、熱間圧延
    用鍛造ロールの製造法。
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