JP2581819B2 - 熱間圧延ロール材及びロールの製造法 - Google Patents

熱間圧延ロール材及びロールの製造法

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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21BROLLING OF METAL
    • B21B27/00Rolls, roll alloys or roll fabrication; Lubricating, cooling or heating rolls while in use

Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】 本発明は、耐久性の飛躍的に優れた熱間圧延ロール材
及びそれをロールとして具現化しうる製造法に関するも
のである。
【従来技術とその問題点】
近年の熱間圧延技術においては低コスト化及び圧延製
品の高級化に対する追求が一段と著しく、圧延ロールに
対しても耐久性の向上が強く望まれている。 具体的には、ロール使用1回当たりの圧延量(ton/
回)、即ち圧延スケジュールの大幅な制約緩和が重要な
課題となっている。 圧延スケジュールは主としてロールの摩耗により制約
されており、現在熱間圧延ロールとして賞用されている
Ni−グレン鋳鉄ロールの場合にはワークロールシフト、
エッジ油圧延等の技術を駆使しても高品位の圧延製品を
確保できる圧延量が高々1500ton/回程度というのが現状
である。 従って、Ni−グレン鋳鉄ロール対比で、数倍の耐摩耗
生に優れたロールが出現すれば、圧延スケジュールの大
幅な拡大が可能となり、圧延コスト低減等の直接的なメ
リットが生ずるのみならず、製鋼工程における製造ロッ
トの集約化等によって鉄鋼の大幅な低コスト化が可能と
なりうる。 しかしながら、かかる要望を充たす、耐摩耗性の飛躍
的に優れた圧延ロール材及びそれをロールとして安定し
て供給できる製造法に関する発明は少なく、わずかに特
願平1−191031号記載の、ビッカース硬さ2800のV炭化
物を多く分散させた高炭素高バナジウム系「熱間圧延用
鍛造ロール及びその製造法」等にその例を見るのみであ
る。 この理由としては、従来の耐摩耗性ロール材開発シス
テムに下記の問題点があったことがその一因として考え
られる。 熱間圧延ロールの摩耗現象を明確に表現するモデル
が構築されていないこと。 従って、ロールの耐摩耗性に及ぼすロール材質因子
の整理・評価が正確になされていないこと。 又、ロール材の耐摩耗性評価試験としては数多くの
方法が提唱・実施されているが、実機ミル成績との整合
性がいまだ不十分であること。 即ち、実機ミル成績に一義的に対応できるような耐摩
耗性に関連するロール材質因子の整理・評価法が確立し
ていなかったがために、耐摩耗性ロールの飛躍的な発展
が出現しなかったということができる。 更に、耐摩耗性ロールにおいては、圧延量の増加に比
例して、ロールの転動数(熱的、機械的作用応力の繰り
返し数)も増加するので、耐熱疲労性のみならず転動疲
労強度等の耐クラック性の改善がなくしては耐久性ロー
ルとしての価値が激減するものであるが、これらの耐摩
耗性の他に耐久性ロールとして具備すべき特性について
の検討も十分なされていないというのが現状である。
【発明の目的及びその解決手段の概略】
本発明の目的は、従来の耐摩耗性ロール材開発システ
ムにおける上記問題点を解消することによって耐摩耗性
を保証しうるロール材質の設定を行い、これに耐久性ロ
ールとして必要な耐熱性・耐クラック性を兼備させるた
めの条件設定を行うことによって、飛躍的に耐久性の優
れた熱間圧延ロール材及びそれをロールとして具現化し
うる製造法を提供しようとするものである。 このような本発明の目的は、概略次のような手段によ
って達成された。 まず、検討の経緯を述べると、 熱間圧延ロールの摩耗現象並びにロールの摩耗に関
連するロール材質因子、温度因子及び使用条件の影響に
ついて鋭意検討し、ロール摩耗量をロール材質因子及び
使用条件において定量的に把握できる普遍的な熱間圧延
ロールの摩耗式を構築した。 低コスト及び圧延製品の高級化を飛躍的に達成させ
るべき条件として、現用のNi−グレン鋳鉄ロール対比で
少なくとも5倍以上の耐摩耗性を有するロール材の材質
因子を上記摩耗式により設定した。 更に、耐摩耗性の他に耐久性ロールとして必須であ
る耐熱性・耐クラック性を兼備させるために、上記で設
定した材質因子の範囲を限定的に選択した。 限定したロール材質因子を具現化しうる成分範囲及
び安定してロールとして供給できる製造法について鋭意
検討を行った。 これらの検討結果に基づき、具体的に次のように構成
された手段を採用することにより、飛躍的に耐久性の優
れた熱間圧延ロールを得ることができた。
【発明の構成】
本発明の第1の発明は、 胴部の圧延使用層として、 C 1.5〜2.5重量%(以下同じ) Si 1.2%以下 Mn 1.2%以下 Cr 1.5〜6.0% V 4.5〜8.0%及び Ni 3.0%以下 Co 5.0%以下 Nb 2.0%以下 Ti 2.0%以下の1種以上を含み、 残部が不可避的不純物であって、かつ C=%V×0.24+(0.4〜1.0)%及び 0.3Cr+(Mo+0.5W)が2.6%以上を満足する組成を有
し、基地の硬さがビッカース硬さで550以上であって、
かつビッカース硬さが2100以上の硬質炭化物を含有する
鉄基合金を用い、該硬質炭化物の平均粒径d及び面積率
E1が、それぞれ45μm以下及び14%以下であり、かつE1
/d2が6.7×10-3以上である条件を満足させるように前記
硬質炭化物を基地中に分散させたことを特徴とする熱間
圧延ロール材であり、そして 第2の発明は、 前記第1発明の合金を用いて熱間圧延ロールを製造す
るに際し、少なくとも鍛造し、かつ胴部は表層焼入れし
た後に、500℃以上の温度で焼きもどしすることを特徴
とする、熱間圧延ロールの製造法を要旨するものであ
る。 次に、本発明の基礎となった技術的知見について説明
する。
【熱間圧延ロールの摩耗式】
(1)熱間圧延ロールの摩耗 一般に、ころがりすべり負荷条件下での摩耗量は(荷
重×転動数)に比例し、硬さに反比例する。熱間圧延ロ
ールの場合にも、摩耗量Wは次式で整理できることが知
られている。 ここで、P,Pi;圧延荷重(ton) N;ロール転動数 μ;摩擦係数 H;ロール硬さ D;ロール径(m) Bi;圧延幅(mm) Li;圧延長さ(m) K;ロール材質によって決まる定数 (2)摩耗のモデル及び1次炭化物形態の効果 鉄基合金の熱間圧延ロール材の組織は、一般に基地と
1次炭化物とから構成される。ここで、1次炭化物とは
凝固過程において晶析出するあるいは焼入れ加熱後も基
地に固溶しないで残留している比較的大きな炭化物であ
る。 1次炭化物は基地よりも硬さが高いので、ロールの摩
耗は第1図(熱間圧延ロールの摩耗モデル)に示すよう
に、硬さの低い基地の摩耗、1次炭化物の摩耗・脱
落、基地の摩耗(の繰り返し)の順に進行するアブ
レシブ摩耗となっていることが実機ロールの観察結果か
ら推定される。 Budinski〔参考文献〕によれば、同一硬さの数種の工
具鋼の(常温)アブレシブ摩耗速度Wt(cm3/min)は次
式で示されるとしている。 Wt=(0.2301×10-2)e×p〔−0.205×10-4A〕 ……
(b) A=C・E・B ここでC;1次炭化物の平均サイズ(μm) E;1次炭化物の体積率(%) B;1次炭化物の硬さ(kg/mm2) A;材質パラメータ(仮称) 即ち、Budinskiは高硬度で大きな1次炭化物が多量にあ
るほど耐摩耗性が良好であるとしている。 しかしながら、実機ロールの観察結果に基づく第1図
に示す熱間圧延ロールの摩耗モデルによれば、1次炭化
物の硬さが高いほどの進行が遅れロールの耐摩耗性が
向上することに異存はないが、1次炭化物の形態として
は炭化物間距離Dが短いほど、即ち単価面積当たりの個
数NA(mm-2)が多いほどの進行が遅れ、ロールの耐摩
耗性は向上すると考えられる。 そこで、本モデルは、材質パラメータA1及び摩耗に関
する材質係数WWを次のように設定した。 WW=a1exp〔−a2A1〕 ……(d) ここで、B1;1次炭化物のビッカース硬さ E1;1次炭化物の面積率(%) d;1次炭化物の円径換算平均粒径(μm) a1,a2;定数 (3)温度の効果 熱間圧延ロールは、作用面(ロール表面)の温度が圧
延材との接触時に少なくとも500℃以上に達するので、
その摩耗は高温におけるアブレシブ摩耗として把握する
必要がある。 特に、基地の温度上昇による硬度低下は大であるの
で、摩耗量におよぼす温度の効果は(a)式のロール硬
さHを次式に置き換えることにより表すこととした。 H=HVM・WT ……(e) ここで、HVM;基地のビッカース硬さ WT;摩耗に関する温度係数 T;温度(℃) a3,a4,a5;定数 なお、硬さの温度降化代は材質によって幾分異なるの
で、WTは材質パラメータA1による補正も行っている。 (4)熱間圧延ロールの摩耗式及び実機ミルにおける適
合性の検証 以上の諸関係式を有機的に結合させ、最終的に熱間圧
延ロールの摩耗式として次式を導出した。 ここでW1はロール摩耗量(μm)であり、K1はロール
材質・温度によらない定数である。 即ち、ロール材として常温の基地硬さHVH、1次炭化
物の平均粒径d、面積率E1及び硬さB1を、使用条件とし
て圧延荷重Pi、圧延幅Bi、圧延長さLi、摩耗係数μ及び
作用面のロール温度Tを設定すれば、ロールの摩耗量は
(g)式から一義的に推定することが可能となった。 実機ミルにおいて、ロール材として現状のNi−グレン
鋳鉄及びHi−Cr鋳鉄のみならずセミハイス系、ハイス系
等を含む各種ロールを使用した際の(g)式による推定
摩耗量と実績摩耗量との関係は、第2図に示すように、
相関係数0.96であり、本摩耗式の適合性が検証された。 更に、(g)式は目標とする耐摩耗性ロールの高精度
材質設定手段として使用することができる。
【ロール材質印紙の限定理由】
(1)摩耗式による耐摩耗性ロール材の設定 熱間圧延ロールの摩耗式(g)において、摩耗に関す
るロール材質(温度)因子の項は、WW/HVM・WT(≡WR
する)である。 即ち、ロール材の耐摩耗性は、このWRで評価することが
できる。 WRは、実機ミルにおける検証で得られた定数項(a1=1.
0 a2=10-5 a3=1.0 a4=0.85 a5=10-6)及び温度
Tとして熱間圧延ロールの場合の通常値である600℃を
用いることにより、式(c),(d),(e),(f)
から次のように表される。 WRが小さいほど摩耗量が少なくなるので、HVM及びE1/
d2が大であるほど耐摩耗性が大となる。 即ち、耐摩耗性はHVMとE1・B1/d2との関数で表すことが
できる。 現用のNi−グレン鋳鉄においては、HVM=500,B1=93
0,E1=40%,d=125μmのレベルにあるので、WR=2.42
×10-3となる。 従って、耐摩耗性をNi−グレン鋳鉄対比で5倍以上にす
るためには、 WR≦2.42×10-3÷5=4.8×10-4となるようなHVMとE1
B1/d2を有するロール材とする必要がある。 このうち、HVMついては、作用面の温度が500℃以上に
あがるので、耐熱性を確保する観点から焼きもどし温度
も、少なくとも500℃以上にすべきであり、従って、鉄
基合金とし製造可能な範囲である850℃以下に制約され
る。 第3図は、HVMを850,700,650及び550としたときのE1
・B1/d2とWとの関係を示したものである。 第3図から、WR≦4.8×10-4とするためにはE1・B1/d2
少なくとも11以上、好ましくは14以上にする必要があ
る。 (2)耐久性ロールとしての限定 熱間圧延ロールには、これまで記述してきた耐摩耗性
の他に、熱的作用応力に対する耐熱性(耐熱疲労性、耐
熱衝撃性)及び機械的作用応力に対する耐クラック性
(転動疲労強度、破壊靭性)が要求される。 これらの耐熱疲労性、耐熱衝撃性、転動疲労強度、破壊
靭性はいずれも1次炭化物量の平均粒径dが大であるほ
ど、また面積率E1が大であるほど劣化する。 特に、目的とする耐摩耗性の飛躍的に優れるロールの場
合には、1回当りのロール転動数も耐摩耗性に比例して
増加するので、転動疲労強度を大幅に向上させることが
必須条件となる。 第4図は、Ni−グレン鋳鉄及びHi−Cr鋳鉄中のE1と、
ヘルツの接触応力Pmax=200kg/mm2における転動疲労寿
命との関係を示すグラフであるが、Ni−グレン鋳鉄材対
比で耐摩耗性と同様に、5倍以上の転動疲労寿命を確保
するためには、E1を少なくとも14%以下にする必要があ
る。 これらの条件(E1・≧B1/d2≧14かつE1≦14%)からす
れば、B1が大きくdの小さい粒状の硬質炭化物を1次炭
化物として用いることが極めて有効となるが、通常の溶
製法による鉄基合金においては、1次炭化物として活用
できる炭化物は表1に示す炭化物に限定される。 従って、1次炭化物としては、表1中の炭化物のうち、
B1が2100以上のMC型炭化物を用いるのが妥当であり、B1
が2100以上であれば平均粒径dも45μm如何であればよ
以上のことから、耐久性の飛躍的に優れた溶製法による
熱間圧延ロール材としては、ビッカース硬さが550以上
の基地に、平均粒径dが45μm以下で、かつビッカース
硬さが2100以上のMC型炭化物を、面積率が14%以下、か
つE1/d2が14/2100=6.7×10-3以上を満足させるように
分散させる必要がある。
【成分の限定理由】
上記のロール材質因子限定範囲を満足させる成分は、
主として、ビッカース硬さが2100以上の硬質炭化物とし
て有効なV炭化物を面積率14%以下で含有させるための
C及びV量、炭化物の平均粒径を45μm以下とするため
に粗大な共晶炭化物を晶出させやすいC及びCr,Mo,W量
の制約の検討とともに、高温焼きもどしでビッカース硬
さ550以上とするための基地中のC量及びCr,Mo,W量を検
討することによって、次のように限定される。 C;1.5〜2.5重量%(以下同じ) V;4.5〜8.0% かつ、C=%V×0.24+(0.4〜1.0)%Vは、粒状で
ビッカース硬さB1が2800のV炭化物形成元素であり、V
が高い程V炭化物を多く生成せしめることができ、耐摩
耗性は向上する。VによるMC型炭化物生成量、即ちE
1は、V量との関係で化学量論的に次式で表わされる。 従って、E1≦14%とするためには、Vを8.6%以下含有
させればよい。 しかし、8.0%以上になると、鋼塊製造においてVの偏
析が生じ易く、均質な鋼塊を得ることが困難となる。 一方、高温ロール摩耗試験によれば、V含有量4.5%
以下では耐摩耗性が劣化する。 よって、Vの下限を4.5%、上限を8.0%とした。 次に、高バナジウム含有材においては、Cが2.6%以
上になると、粗大な共晶炭化物の析出量が急激に増加
し、耐熱性、耐クラック性を著しく劣化させる。 従って、Cを2.5%以下にすることによって、粗大な共
晶炭化物の析出量を減少させる。 このことにより、1次炭化物の平均粒径dを45μm以下
にすることが容易になる。 また、CはV量との関連において、500℃以上の高温
焼きもどし後の硬さを大きく左右する。C量の最適範囲
を策定するための試験結果より、高温焼きもどし後の最
高硬さは、 △=%C−%V×0.24=0.65%付近で得られ、実用上の
所要硬さは、△=0.4〜1.0%の範囲で得られることが判
った。 尚、この場合の焼入温度並びに焼入時の冷却速度(焼入
温度から500℃までの降温速度)は、それぞれ1050℃及
び14℃/minと、実体ロールに即した条件を採用してい
る。 C並びにVの成分範囲は、これらの諸要因を勘案し、
Cの上限は2.5%、かつ高温焼きもどしで高硬度が得ら
れるV量との関係より、 C=%V×0.24+(0.4〜1.0)% 下限は、Vの下限量(4.5%)と、上記との関係から1.5
%とした。 Cr;1.5〜6.0% Mo+0.5W;1.5〜5.0% かつ(0.3Cr+Mo+0.5W);2.6%以上Crは焼入性を高め
るとともに、高温焼きもどし硬さを増大させる。 Moは、基地に固溶あるいは基地中に微小炭化物を析出さ
せることにより、焼入性及び焼きもどし軟化抵抗の増大
に有効である。 Cr量及び(Mo+0.5W)と、500℃の焼きもどし硬さと
の関係を調べた結果、Cr量及び(Mo+0.5W)量がそれぞ
れ1.5%以上で、徐冷の場合でも高温焼きもどしで基地
硬さがビッカース硬さで550以上が得られることが判明
している。 更に、高温焼きもどし後の硬さは、Cr及び(Mo+0.5W)
の複合効果で決定され、基地硬さHV550以上を得るに
は、(0.3Cr+Mo+0.5W)が2.6%以上必要となる。 一方、Cr量及び(Mo+0.5W)量が、それぞれ6.0%及び
5.0%を超えると、M7C3型及びM6C型の粗大共晶炭化物の
晶出量が増大し、耐熱性、耐クラック性を劣化させるの
で好ましくない。 よって、Cr量及び(Mo+0.5W)量の下限をそれぞれ1.5
%、上限を6.0%及び5.0%とし、かつ(0.3Cr+Mo+0.5
W)の下限を2.6%とした。 Si;1.2%以下 Mn;1.2%以下 Si及びMnは、脱酸調整、流動性改善、焼入性改善を目的
に、通常鋼材と同様、1.2%まで含有させる。 更に以上の成分に加え、Ni,Co,Nb,Tiを、それぞれ次
の理由により所要量添加する。 Ni;3.0%以下 Co;5.0%以下 Ni及びCoは、いずれも基地に固溶して焼入性及び耐熱性
の増大に効果があるので、必要に応じ、それぞれ3.0%
以下及び5.0%以下添加すると好ましい結果が得られ
る。 しかし、これらの量を超えて添加しても効果の向上は期
待できないのでそれぞれ上記を上限とした。 Nb;2.0%以下 Ti;2.0%以下 本発明においては、高硬度かつ粒状のMC型炭化物を形成
する元素の主体はVであるが、Nb及びTiもVと同様のMC
型炭化物を形成するので、Vとともに添加すると効果的
である。しかし、添加量が多くなると溶解が困難となる
ので、それぞれ上限を2.0%とした。
【製造法の特徴】
本発明は、熱間圧延ロールを対象としているものであ
り、上記成分範囲はこれら大質量の製品を安定して供給
できるように設定されている。 即ち、粗大な共晶炭化物の晶析出量を抑えた成分範囲
となっているので、鋳塊の製造において急速凝固が可能
なエレクトロスラグ溶製法等を用いることによりロール
の胴内部は強靭性に富んだ材質とすることができる。し
かしながら、少なくともロールの軸部については使用時
の耐久性向上及び鋳塊から製品までの歩留向上の観点か
ら鍛造を施工することが望ましい。 一方、高温焼きもどしで胴表層部の基地硬さをHV550
以上確保できる焼入性の著しく良い材質ともなっている
ので、本発明ロールの焼入れにあたっては、胴表層部の
み硬化させかつ胴内部には焼きが入らず強靭性が富んだ
ままとするために、誘導加熱等の表層焼入法を採用する
必要がある。更に、熱間圧延ロールの表面温度は500℃
以上に達するので、使用中の変質、軟化を避けるため、
焼入後の焼きもどし温度は500℃以上とすることが必要
である。
【実施例】
表2の化学成分を有する鋼材を用いて、胴径630mm、
胴長1442mmのロールを次工程により製作した。 アーク式電気炉溶解(15トン炉)ESR電極鋳造(鋳込温
度1440℃)→ESR→鍛造(加熱温度1100℃)→焼鈍→誘
導加熱焼入れ(1050℃×10′AC)→焼きもどし(530℃
×12h2回)。 以上の工程には特に困難はなく、E1及びdがそれぞれ10
%及び25μm(E1/d2=16×10-3)で、 ビッカース硬さ2800のV炭化物が分散した組織となって
おり、完成硬度Hs81得られた。 本ロールを熱延仕上ミルに使用したところ、従来のNi
−グレン鋳鉄ロールに比較して、耐摩耗性において10倍
の性能を発揮し、耐クラック性、耐熱性も飛躍的に改善
された。 このように、本発明ロールは、耐久性について画期的な
性能を有するものであって、熱間圧延ロールに適用した
場合の実用的硬化は著大である。
【参考文献】
Budinski,K,G.,“Wear of Tool Steel,"Wear of Mate
nals−1977,ASME,New York,1977,pp100−106.
【図面の簡単な説明】
第1図は、熱間圧延ロールの摩耗モデルであって、は
硬さの低い基地摩耗、は1次炭化物の摩耗、は基地
の摩耗を表す。 第2図は、熱間圧延ロールにおける実績摩耗量と推定摩
耗量の関係を説明するグラフ。 第3図は、HVMを850、700、550としたときの、E1・B1/d
2とWRとの関係を示すグラフ。 第4図は、Ni−グレン鋳鉄及びHi−Cr鋳鉄中のE1と、転
動疲労寿命との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 甲賀 孝彦 北海道室蘭市仲町12番地 新日本製鐵株 式会社室蘭製鐵所内 (56)参考文献 特開 昭58−87249(JP,A) 特開 昭63−199092(JP,A) 特開 昭53−80351(JP,A) 特開 平1−96355(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】胴部の圧延使用層として、 C 1.5〜2.5重量%(以下同じ) Si 1.2%以下 Mn 1.2%以下 Cr 1.5〜6.0% V 4.5〜8.0%及び Ni 3.0%以下 Co 5.0%以下 Nb 2.0%以下 Ti 2.0%以下の1種以上を含み、 残部が不可避的不純物であって、かつ C=%V×0.24+(0.4〜1.0)%及び 0.3Cr+(Mo+0.5W)が2.6%以上 を満足する組成を有し、基地の硬さがビッカース硬さ55
    0以上であって、かつビッカース硬さが2100以上の硬質
    炭化物を含有する鉄基合金を用い、該硬質炭化物の平均
    粒径d及び面積率E1が、それぞれ45μm以下及び14%以
    下であり、かつE1/d2が6.7×10-3以上である条件を満足
    させるように前記硬質炭化物を基地中に分散させたこと
    を特徴とする熱間圧延ロール材。
  2. 【請求項2】請求項1記載の合金を用いて熱間圧延ロー
    ルを製造するに際し、少なくとも鍛造し、かつ胴部は表
    層焼入れした後に500℃以上の温度で焼きもどしするこ
    とを特徴とする、熱間圧延ロールの製造法。
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