JP2003041344A - 二次加工性に優れた高炭素継目無鋼管およびその製造方法 - Google Patents
二次加工性に優れた高炭素継目無鋼管およびその製造方法Info
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Abstract
の製造方法を提案する。 【解決手段】C:0.8 〜1.2 %、Si:2 %以下、Mn:3
%以下、Cr:2 %以下を含む組成を有する継目無鋼管を
素材鋼管として、該素材鋼管に 700℃以上 850℃以下の
範囲の温度で、累積縮径率:20〜50%となる絞り圧延を
施したのち、15℃/s以下の冷却速度で冷却し、{(ア
スペクト比2以下の炭化物の個数)/(全炭化物数)}
×100 で定義される炭化物の球状化率を80%以上、かつ
炭化物の平均粒径が0.5 μm以下である組織とする。こ
れにより、軟化し、被削性等の二次加工性が顕著に向上
する。
Description
に好適な高炭素Cr鋼系継目無鋼管に係り、とくに二次加
工性の改善に関する。
管は、従来から、冷間引抜、切削加工等の二次加工を経
て、軸受やブッシュ等の製品に加工されて使用されてき
た。高炭素Cr系軸受鋼は、熱間圧延ー放冷のままでは、
組織が初析セメンタイトとパーライトとの混合組織とな
り、硬さが350Hv 以上と高く、そのままでは、切削加工
や冷間引抜等の二次加工を施すことが困難である。その
ため、高炭素Cr系軸受鋼を素材とする継目無鋼管では、
鋼中の炭化物を球状化し材料を軟化させるための焼鈍
(球状化焼鈍)を施すことが一般的である。しかし、こ
の球状化焼鈍は通常20時間以上という長時間の処理であ
り、生産性が極めて低い。またさらに、焼鈍中に脱炭や
スケールが発生し歩留が低下するため、脱炭やスケール
発生防止のため雰囲気の調整が必要となり、製造コスト
が高騰するという問題があった。このため、球状化焼鈍
の短時間化、あるいは球状化焼鈍の省略等が強く要望さ
れていた。
-283321 号公報には、粗圧延後の素管をAr1変態点より
低い温度領域に冷却し、ついでAc1 変態点を超え850
℃以下の温度領域に再加熱した後仕上げ圧延し、しかる
のち球状化焼鈍する、軸受用継目無鋼管の製造方法が提
案されている。特開平1-283321 号公報に記載された技
術によれば、上記したような再加熱ー仕上げ圧延により
炭化物をある程度まで球状化でき、球状化焼鈍の時間を
6時間程度まで短縮できるとしている。
1-283321 号公報に記載された技術では、粗圧延後にA
r1変態点より低い温度領域に冷却したのちAc1 変態点
を超える温度に再加熱する必要があり、処理に長時間を
要するとともに、均熱が不十分となりやすく、生産性が
低下するうえ、製品特性がばらつくという問題があり、
さらに処理時間は短縮されたがなお球状化焼鈍を行う必
要があり、生産性の向上や、 製造コストの低減を阻害す
るという問題もあった。
に解決し、球状化焼鈍の省略が可能であり、圧延ままで
二次加工性に優れた高炭素継目無鋼管およびその製造方
法を提案することを目的とする。
課題を達成するために、高炭素Cr鋼系継目無鋼管におけ
る炭化物の球状化促進手段について、鋭意研究した。そ
の結果、750 〜 850℃に加熱したのち、700 ℃以上 850
℃以下の温度域で、累積縮径率:20〜50%の絞り圧延を
施すことにより、炭化物が球状化し、かつ細かい炭化物
となることを知見した。
されたものである。すなわち、本発明は、質量%で、
C:0.8 〜1.2 %、Si:2 %以下、Mn:3 %以下、Cr:
2 %以下を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる
組成と、炭化物の球状化率が、次(1)式 炭化物の球状化率(%)={(アスペクト比 2.0以下の炭化物の個数)/( 全炭化物数)}×100 ……(1) で定義される球状化率で80%以上で、かつ炭化物の平均
粒径が0.5 μm以下である組織と、を有することを特徴
とする二次加工性に優れた高炭素継目無鋼管であり、ま
た、 本発明では、前記組成に加えてさらに、Cu:2%以
下、Ni:2%以下、Mo:2%以下のうちの1種または2
種以上を含有することが好ましく、また、本発明では、
前記組成に加えてさらに、Nb:1%以下、V:1%以
下、Ti:1%以下、B:0.01%以下、Sb:0.01%以下の
うちの1種または2種以上を含有することが好ましい。
2 %、Si:2 %以下、Mn:3 %以下、Cr:2 %以下を含
み、あるいはさらにCu:2%以下、Ni:2%以下、Mo:
2%以下のうちの1種または2種以上、あるいはさらに
Nb:1%以下、V:1%以下、Ti:1%以下、B:0.01
%以下、Sb:0.01%以下のうちの1種または2種以上を
含有し、好ましくは残部Feおよび不可避的不純物からな
る組成を有する継目無鋼管を素材鋼管として、該素材鋼
管を、 750 〜 850℃に加熱して、700 ℃以上 850℃以下
の範囲の温度で、累積縮径率:20〜50%となる絞り圧延
を施したのち、650 ℃以下の温度範囲まで冷却速度:15
℃/s以下で冷却することを特徴とする二次加工性に優
れた高炭素継目無鋼管の製造方法である。
の限定理由について説明する。以下、組成に関する質量
%は単に%で記す。 C:0.8 〜1.2 % Cは、硬さ増加に寄与する元素であり、本発明における
ような軸受やブッシュ等の用途で所望の硬さを得るため
に、0.8 %以上の含有を必要とする。一方、1.2 %を超
える含有は、球状化組織の形成が阻害される。このた
め、本発明では、Cは0.8 〜1.2 %の範囲に限定した。
なお、好ましくは、0.9 〜1.1 %である。
加させる元素であり、本発明では、0.1 %以上含有する
ことが好ましいが、2%を超えて含有しても、強度の増
加量は小さく逆に冷間加工性が低下する。このため、Si
は2%以下に限定した。なお、好ましくは0.1 〜0.5%
である。
せる元素であり、本発明では、0.2 %以上含有すること
が好ましい。一方、3%を越える含有は、冷間加工性、
被削性を劣化させる。このため、Mnは3%以下に限定し
た。なお、好ましくは0.2 〜0.8 %である。
化物を形成する元素であり、球状化組織を安定化させ、
耐摩耗性を向上させる。このような効果は0.2%以上含
有すると顕著となるが、2%を超えて含有すると被削性
が低下するとともに、経済的にも不利となる。このた
め、Crは2%以下に限定した。なお、好ましくは0.8 〜
1.6 %である。
さらに、Cu:2%以下、Ni:2%以下、Mo:2%以下の
うちの1種または2種以上、および/またはNb:1%以
下、V:1%以下、Ti:1%以下、B:0.01%以下、S
b:0.01%以下のうちの1種または2種以上を含有でき
る。 Cu:2%以下、Ni:2%以下、Mo:2%以下のうちの1
種または2種以上 Cu、Ni、Moは、いずれも延性を損なうことなく、強度を
向上させることができる有用な元素であり、必要に応じ
選択して含有できる。このような効果は、いずれも 0.1
%以上の含有で顕著に認められるが、2%を超えて含有
しても効果が飽和し、含有量に見合う効果が期待でき
ず、経済的に不利になるほか、鋼の熱間加工性および冷
間加工性を低下させる。このため、Cu:2%以下、Ni:
2%以下、Mo:2%以下に限定することが好ましい。
下、B:0.01%以下、Sb:0.01%以下のうちの1種また
は2種以上 Nb、V、Ti、B、Sbは、いずれも靭性向上に有効な元素
であり、必要に応じ選択して含有できる。Nb:0.01%以
上、V:0.01%以上、Ti:0.005 %以上、B:0.0005%
以上、Sb:0.0005%以上の含有で効果が顕著となるた
め、それぞれNb:0.01%以上、V:0.01%以上、Ti:0.
005 %以上、B:0.0005%以上、Sb:0.0005%以上の含
有が好ましい。一方、Nb:1%、V:1%、Ti:1%、
B:0.01%、Sb:0.01%を超える含有は、靭性向上の効
果が飽和するうえ、耐疲労特性、 熱間加工性が劣化す
る。このため、Nb:1%以下、V:1%以下、Ti:1%
以下、B:0.01%以下、Sb:0.01%以下に限定すること
が好ましい。
的不純物である。なお、不純物として、P:0.03%以
下、S:0.01%以下、O:0.01%以下が許容できる。 P:0.03%以下 Pは、耐疲労特性を劣化させる元素であり、できるだけ
低減することが好ましい。本発明では、0.03%まではそ
の影響が比較的少ないため、0.03%までは許容できる。
なお、より高い耐疲労特性が要求される場合には、0.02
%以下とすることが望ましい。
る元素であり、本発明ではできるだけ低減することが望
ましいが、0.01%以下に低減すれば、影響が少なくなる
ため、Sは0.01%までは許容できる。 O:0.01%以下 Oは、酸化物系介在物を低減し、清浄度を低減する意味
から、また耐疲労特性を向上させる意味からもできるだ
け低減することが好ましい。本発明では、0.01%以下に
低減すれば、その影響が少なくなるため、0.01%までは
許容できる。
状化率が、次(1)式 炭化物の球状化率(%)={(アスペクト比 2.0以下の炭化物の個数)/( 全炭化物数)}×100 ……(1) で定義される球状化率で80%以上で、かつ炭化物の平均
粒径が0.5 μm以下である組織を有する。本発明の継目
無鋼管では、圧延ままの組織を、微細でかつ球状化した
炭化物を有する組織とする。炭化物の球状化率が80%未
満および/または炭化物の平均粒径が0.5 μmを超える
と、切削加工性、引抜加工性等の二次加工性が低下す
る。なお、 好ましくは、炭化物の平均粒径は0.4 μm以
下である。
は、前記 (1) 式で定義される値を用いるものとする。
球状化率は、電子顕微鏡を用いて、倍率:10000 倍の条
件下で組織を観察し、画像解析装置を用いて100 個以上
の炭化物 (セメンタイト)についてそれぞれ長径および
短径を測定し、アクペスト比(長径/短径)が2.0 以下
の炭化物の個数をもとめ、全炭化物数に占める割合を算
出することにより、求めるものとする。
用いて、倍率:10000 倍の条件下で組織を観察し、画像
解析装置を用いて100 個以上の炭化物 (セメンタイト)
についてそれぞれ断面積を測定し、得られた断面積に等
価な面積を有する円の直径をそれぞれの炭化物の粒径と
し、それらの平均値を平均粒径とした。次に、本発明の
継目無鋼管の製造方法について説明する。
鋼管を素材鋼管として用いるが、この素材鋼管の製造手
段はとくに限定されない。素材鋼管は、鋼管素材を、通
常の継目無鋼管製造工程である、鋼管素材を加熱し、マ
ンネスマン穿孔機で穿孔し、プラグミル方式、マンドレ
ルミル方式等の傾斜圧延方式ミルを用いて熱間圧延し、
所定の寸法の継目無鋼管とする製造工程で製造されるこ
とが好ましい。なお、鋼管素材は、上記した組成の溶鋼
を、転炉、電気炉等の通常公知の溶製方法で溶製し、連
続鋳造法あるいは鋼塊ー分塊圧延により製造することが
好ましい。
750 〜 850℃に加熱する加熱処理を施すことが好まし
い。加熱温度が、850 ℃を超えると、その後の絞り圧延
を絞っても炭化物が微細球状化しないという問題があ
り、一方、750 ℃未満ではその後の絞り圧延で加工歪の
過剰な導入により硬化し、圧延のままで目標の特性を得
ることができなくなる。
行われ、加熱処理前に、700 ℃を超える高い温度を保有
している場合には、700 ℃以下に冷却したのち、加熱処
理を施すことが好ましい。加熱された素材鋼管は、つい
で 700℃以上 850℃以下の範囲の温度で、累積縮径率:
20〜50%となる絞り圧延を施され、所定の寸法の継目無
鋼管(製品管)とされる。このような絞り圧延により、
基地(マトリックス)中のセメンタイト(炭化物)が加
工分断され、 微細化されるとともに、基地(マトリック
ス)中に加工歪が蓄積される。このため、その後の圧延
中あるいは圧延後の冷却中に炭化物の球状化が促進さ
れ、軟化し、切削加工、 引抜加工等の二次加工性が顕著
に向上する。なお、好ましくは、絞り圧延温度は、750
〜 820℃である。
過剰に導入され硬化するため圧延のままで使用可能な硬
さまで軟化しない。また、圧延荷重が大きくなりすぎて
絞り圧延が困難となる。一方、絞り圧延温度が、850 ℃
を超えると、その後の冷却でパーライト変態が促進さ
れ、そのため、炭化物の微細化、球状化が促進されな
い。
る。累積縮径率が20%未満では、炭化物の分断が達成で
きず、また加工歪の蓄積も少なく、炭化物の球状化、 微
細化が促進されにくい。また、累積縮径率が50%を超え
ると加工歪みが過剰に導入され硬化を引起こす。このた
め、本発明では累積縮径率を20〜50%に限定した。な
お、より好ましくは25〜45%である。また、更なる冷間
加工性向上の観点からは、750 〜 820℃の温度域におけ
る累積縮径率を25〜45%とすることが好ましい。
℃以下まで15℃/s以下で冷却する。冷却速度が15℃/
sを超えるとパーライト変態が起こりやすくなり、炭化
物球状化が阻害されるので好ましくない。また、絞り圧
延には、レデューサーと称される複数の孔型圧延機をタ
ンデムに配列した圧延機列を使用することが好ましい。
ンネスマン穿孔機で穿孔し、マンドレルミル方式の圧延
ミルを用いて熱間圧延し、各種サイズの継目無鋼管と
し、素材鋼管とした。これら素材鋼管に、表2に示す条
件で、加熱・絞り圧延を施し、表2に示すサイズの製品
鋼管とした。
圧延ままの断面硬さ(Hv)測定、断面組織観察、およ
び被削性の評価を行った。断面硬さ(Hv)測定は、同
一ロットから5本の製品鋼管を抜き取り、Vickers 硬度
計 (荷重:10kgf )で、それぞれの製品鋼管の内側表面
および外側表面から肉厚方向に1mmの位置で各3点およ
び肉厚中央の位置で3点、 計9点測定し、その平均値を
その製品鋼管の硬さ(Hv)とした。
顕微鏡を用いて、倍率:10000 倍で組織を観察し、炭化
物100 〜200 個について画像解析装置により、炭化物の
長径と短径との比(アスペクト比)を測定し、アスペク
ト比が2.0 以下の炭化物数を求め、前記 (1) 式に基づ
き全炭化物数に対する割合(%)を算出し、球状化率と
した。また、炭化物の平均粒径は、前記した方法と同じ
方法で行った。
込み量:1mm、送り:0.2mm /rev、周速 (切削速度):
50m/min 、として、無潤滑で行った。この条件での切
削で、切削不能となるまでの時間を切削時間とし、切削
時間が25h以上である場合を、被削性:○とした。切削
時間が25h未満の場合を被削性:×とした。得られた結
果を表2に示す。
細化が促進され硬さが低下し、被削性に優れ、二次加工
性に優れた継目無鋼管となっている。これに対し、本発
明の範囲から外れた比較例では、硬さの低下が十分でな
く、被削性も良好とはいえず、二次加工性が低下した製
品鋼管となっている。
圧延ままですでに軟化して、球状化焼鈍の省略が可能な
二次加工性に優れた高炭素継目無鋼管を、安価にまた生
産性を低下させることなく製造することが可能になり、
産業上格段の効果を奏する。
Claims (4)
- 【請求項1】 質量%で、 C:0.8 〜1.2 %、 Si:2 %以下、 Mn:3 %以下、 Cr:2 %以下、 を含み、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、
炭化物の球状化率が、下記(1)式で定義される球状化
率で80%以上で、かつ炭化物の平均粒径が0.5 μm以下
である組織と、を有することを特徴とする二次加工性に
優れた高炭素継目無鋼管。 記 炭化物の球状化率(%)={(アスペクト比 2.0以下の炭化物の個数)/( 全炭化物数)}×100 ……(1) - 【請求項2】 前記組成に加えてさらに、Cu:2%以
下、Ni:2%以下、Mo:2%以下のうちの1種または2
種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の二
次加工性に優れた高炭素継目無鋼管。 - 【請求項3】 前記組成に加えてさらに、Nb:1%以
下、V:1%以下、Ti:1%以下、B:0.01%以下、S
b:0.01%以下のうちの1種または2種以上を含有する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の二次加工性
に優れた高炭素継目無鋼管。 - 【請求項4】 質量%で、 C:0.8 〜1.2 %、 Si:2 %以下、 Mn:3 %以下、 Cr:2 %以下、 を含む組成を有する継目無鋼管を素材鋼管として、該素
材鋼管を、750 〜 850℃に加熱して、700 ℃以上 850℃
以下の範囲の温度で、累積縮径率:20〜50%となる絞り
圧延を施したのち、650 ℃以下の温度範囲まで冷却速
度:15℃/s以下で冷却することを特徴とする二次加工
性に優れた高炭素継目無鋼管の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001231815A JP4586313B2 (ja) | 2001-07-31 | 2001-07-31 | 二次加工性に優れた高炭素継目無鋼管の製造方法 |
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- 2001-07-31 JP JP2001231815A patent/JP4586313B2/ja not_active Expired - Fee Related
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