JP2833374B2 - 低硬度、長寿命転動疲労強度焼入れロール鋼 - Google Patents
低硬度、長寿命転動疲労強度焼入れロール鋼Info
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- JP2833374B2 JP2833374B2 JP24676492A JP24676492A JP2833374B2 JP 2833374 B2 JP2833374 B2 JP 2833374B2 JP 24676492 A JP24676492 A JP 24676492A JP 24676492 A JP24676492 A JP 24676492A JP 2833374 B2 JP2833374 B2 JP 2833374B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えばゼンジマーミル
等の多段ミル用中間ロール材および6Hiミルの中間ロー
ル材として用いるのに好適な、低硬度、長寿命転動疲労
強度焼入れロール鋼に関する。
等の多段ミル用中間ロール材および6Hiミルの中間ロー
ル材として用いるのに好適な、低硬度、長寿命転動疲労
強度焼入れロール鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば6Hiミルの中間ロール
材としては、0.8 C−5Crといった5%Cr鋼 (本明細書
においては特にことわりがない限り「%」は「質量%」
を意味するものとする) やまた、ゼンジマーミル等の小
径多段ミル用中間ロール材としては、0.5 C−0.5 Si−
5Cr−1Mo−1Wといった熱間ダイス鋼等が使用されて
いた。
材としては、0.8 C−5Crといった5%Cr鋼 (本明細書
においては特にことわりがない限り「%」は「質量%」
を意味するものとする) やまた、ゼンジマーミル等の小
径多段ミル用中間ロール材としては、0.5 C−0.5 Si−
5Cr−1Mo−1Wといった熱間ダイス鋼等が使用されて
いた。
【0003】ところで、製造コスト低減および品質向上
の観点から、ワークロールの凹み対策が従来より推進さ
れてきたが、その一つとして、鉄圧延用または非鉄圧延
用を問わずに中間ロールの硬度 (現状 HS 78〜80) を H
S 5 程度低減して、ワークロールの硬度 (現状 HS 88以
上) に比較して HS 13〜14以上低減することによりワー
クロールの凹みを大幅に抑制できることが知られてい
た。
の観点から、ワークロールの凹み対策が従来より推進さ
れてきたが、その一つとして、鉄圧延用または非鉄圧延
用を問わずに中間ロールの硬度 (現状 HS 78〜80) を H
S 5 程度低減して、ワークロールの硬度 (現状 HS 88以
上) に比較して HS 13〜14以上低減することによりワー
クロールの凹みを大幅に抑制できることが知られてい
た。
【0004】図3には、従来の0.5C−0.5Si −5Cr−1
Mo−1Wについて、中間ロールの硬度(HS)とワークロー
ルの飛び込み疵 (凹み) の発生率 (%) との関係をグラ
フで示す。同図から、中間ロールの硬度を HS 78〜80か
ら HS 72〜74に低減することにより、ワークロールの飛
び込み疵の発生率は45%程度から16%程度に激減するこ
とがわかる。また、図4には、中間ロール (IR) とワー
クロール (WR) との硬度差がワークロールの飛び込み疵
(凹み) の発生率に及ぼす影響をグラフで示すが、同図
から、中間ロールの硬度をワークロールの硬度よりも H
S 13〜14以上低減するとワークロールの凹み疵の発生が
大幅に抑制されることがわかる。このように、ワークロ
ールの凹み疵の抑制のみを考えるならば中間ロールの硬
度を従来よりも HS 5 程度低下させればよいことにな
る。
Mo−1Wについて、中間ロールの硬度(HS)とワークロー
ルの飛び込み疵 (凹み) の発生率 (%) との関係をグラ
フで示す。同図から、中間ロールの硬度を HS 78〜80か
ら HS 72〜74に低減することにより、ワークロールの飛
び込み疵の発生率は45%程度から16%程度に激減するこ
とがわかる。また、図4には、中間ロール (IR) とワー
クロール (WR) との硬度差がワークロールの飛び込み疵
(凹み) の発生率に及ぼす影響をグラフで示すが、同図
から、中間ロールの硬度をワークロールの硬度よりも H
S 13〜14以上低減するとワークロールの凹み疵の発生が
大幅に抑制されることがわかる。このように、ワークロ
ールの凹み疵の抑制のみを考えるならば中間ロールの硬
度を従来よりも HS 5 程度低下させればよいことにな
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、中間ロールの
硬度を単に低下すると、中間ロールの転動疲労寿命 (ロ
ール使用開始時から中間ロールの表面または表面直下に
微小なピット状の凹みが発生する時期までの期間をい
う) が極端に短縮されてしまうため、操業を度々中断し
て中間ロールを早期に組み替える必要が生じてしまう。
このため、ワークロールの凹み疵の抑制対策として中間
ロールの硬度を現状よりも低下させることは、現実には
不可能であった。
硬度を単に低下すると、中間ロールの転動疲労寿命 (ロ
ール使用開始時から中間ロールの表面または表面直下に
微小なピット状の凹みが発生する時期までの期間をい
う) が極端に短縮されてしまうため、操業を度々中断し
て中間ロールを早期に組み替える必要が生じてしまう。
このため、ワークロールの凹み疵の抑制対策として中間
ロールの硬度を現状よりも低下させることは、現実には
不可能であった。
【0006】ここに、本発明の目的は、ワークロールの
凹み対策として中間ロールの硬度を現状の HS 78〜80か
ら HS 73〜75に HS 5 程度低下して中間ロールとワーク
ロールとの硬度差を HS 14以上に拡大しても、転動疲労
寿命が従来の中間ロールと同等かそれ以上であって、例
えばゼンジマーミル等の小径多段ミル用中間ロール材ま
たは6Hiミルの中間ロール材として用いるのに好適な、
低硬度、長寿命転動疲労強度焼入れロール鋼を提供する
ことにある。
凹み対策として中間ロールの硬度を現状の HS 78〜80か
ら HS 73〜75に HS 5 程度低下して中間ロールとワーク
ロールとの硬度差を HS 14以上に拡大しても、転動疲労
寿命が従来の中間ロールと同等かそれ以上であって、例
えばゼンジマーミル等の小径多段ミル用中間ロール材ま
たは6Hiミルの中間ロール材として用いるのに好適な、
低硬度、長寿命転動疲労強度焼入れロール鋼を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような現
状に鑑み、転動疲労寿命を低下することなくワークロー
ルの耐凹み性を改善することができるロール材、例えば
中間ロール材を提供するためになされたものである。
状に鑑み、転動疲労寿命を低下することなくワークロー
ルの耐凹み性を改善することができるロール材、例えば
中間ロール材を提供するためになされたものである。
【0008】すなわち、本発明は、C:0.40〜1.00%、
Si:0.30〜3.00%、Mn:0.10〜2.00%、Ni:0.30〜3.00
%、Cr:2.5 〜7.5 %、Mo:0.20〜3.0 %、V:0.05〜
2.00%、Si+Ni≧1.0 %、必要に応じてW:0.20〜3.00
%、残部Feおよび不可避的不純物である合金よりなるこ
とを特徴とする低硬度、長寿命転動疲労強度焼入れロー
ル鋼である。本発明の重要な特徴は、Si含有量およびNi
含有量を最適な範囲に設定することにより、低硬度化と
転動疲労強度の長寿命化とをともに達成した点にある。
Si:0.30〜3.00%、Mn:0.10〜2.00%、Ni:0.30〜3.00
%、Cr:2.5 〜7.5 %、Mo:0.20〜3.0 %、V:0.05〜
2.00%、Si+Ni≧1.0 %、必要に応じてW:0.20〜3.00
%、残部Feおよび不可避的不純物である合金よりなるこ
とを特徴とする低硬度、長寿命転動疲労強度焼入れロー
ル鋼である。本発明の重要な特徴は、Si含有量およびNi
含有量を最適な範囲に設定することにより、低硬度化と
転動疲労強度の長寿命化とをともに達成した点にある。
【0009】
【作用】以下、本発明を作用効果とともに詳述する。ま
ず、本発明にかかるロール鋼の組成を限定する理由を順
に説明する。
ず、本発明にかかるロール鋼の組成を限定する理由を順
に説明する。
【0010】C:0.40〜1.00% Cは、鉄鋼材料においては諸性質に著しい影響を及ぼす
主要な元素の一つであり、本発明においても重要な元素
である。最終製品であるロールが目的とする耐摩耗性や
研削性等に応じて必要な炭化物量が定まるため、C量に
も自ずから適正な範囲が存在する。すなわち、C量が0.
40%より少ないと硬度が低くなり過ぎ、一方C量が1.00
%を越えると残留オーステナイト量が多くなり過ぎ、次
第に硬度が低下し必要な硬度が得られなくなるととも
に、耐クラック性および靱性も劣化してしまう。そこ
で、本発明ではC量は、0.40%以上1.00%以下と限定す
る。
主要な元素の一つであり、本発明においても重要な元素
である。最終製品であるロールが目的とする耐摩耗性や
研削性等に応じて必要な炭化物量が定まるため、C量に
も自ずから適正な範囲が存在する。すなわち、C量が0.
40%より少ないと硬度が低くなり過ぎ、一方C量が1.00
%を越えると残留オーステナイト量が多くなり過ぎ、次
第に硬度が低下し必要な硬度が得られなくなるととも
に、耐クラック性および靱性も劣化してしまう。そこ
で、本発明ではC量は、0.40%以上1.00%以下と限定す
る。
【0011】Si:0.30〜3.00% Siは、通常は基地に固溶して焼戻し抵抗性を高める効果
を有する。一方、Siは脱酸剤でもあるために不可避的に
ある量が含有される。しかし、本発明では、これらの効
果にとどまらずさらに重要な効果を有する。すなわち、
Niと適量だけ複合添加されることにより、ロールの転動
疲労寿命を大幅に向上させることができる。かかる効果
を発揮させるためには0.30%以上の添加が必要である。
一方3.00%超添加するとロールが脆くなってしまう。そ
こで、本発明ではSi量は、0.30%以上3.00%以下と限定
する。好ましくは0.50〜2.00%である。
を有する。一方、Siは脱酸剤でもあるために不可避的に
ある量が含有される。しかし、本発明では、これらの効
果にとどまらずさらに重要な効果を有する。すなわち、
Niと適量だけ複合添加されることにより、ロールの転動
疲労寿命を大幅に向上させることができる。かかる効果
を発揮させるためには0.30%以上の添加が必要である。
一方3.00%超添加するとロールが脆くなってしまう。そ
こで、本発明ではSi量は、0.30%以上3.00%以下と限定
する。好ましくは0.50〜2.00%である。
【0012】Mn:0.10〜2.00% Mnは、焼入れ性を改善するとともに基地に固溶し易い。
また、これまでに述べた元素とは異なり変態点を下げる
ため焼入れ温度を低下することが可能である。さらに、
Siと同様に脱酸元素であるため必ず含有される元素であ
り、通常は0.10%以上含有される。一方、2.00%を越え
て含有されると耐クラック性を悪化させる。そこで、本
発明ではMn量は、0.10%以上2.00%以下と限定する。
また、これまでに述べた元素とは異なり変態点を下げる
ため焼入れ温度を低下することが可能である。さらに、
Siと同様に脱酸元素であるため必ず含有される元素であ
り、通常は0.10%以上含有される。一方、2.00%を越え
て含有されると耐クラック性を悪化させる。そこで、本
発明ではMn量は、0.10%以上2.00%以下と限定する。
【0013】Ni:0.30〜3.00% Niは、鉄鋼材料の靱性向上に有効な元素であるとともに
焼入れ性も著しく向上させる元素である。炭化物は殆ど
作らないため残留オーステナイトを安定化させる。さら
に、本発明では、Siとの複合添加により転動疲労寿命を
大幅に向上させる。かかる効果を奏するためには、0.30
%以上の添加が必要である。一方、3.00%超添加すると
脆くなる。そこで、本発明ではSi量は、0.30%以上3.00
%以下と限定する。好ましくは0.80〜2.00である。
焼入れ性も著しく向上させる元素である。炭化物は殆ど
作らないため残留オーステナイトを安定化させる。さら
に、本発明では、Siとの複合添加により転動疲労寿命を
大幅に向上させる。かかる効果を奏するためには、0.30
%以上の添加が必要である。一方、3.00%超添加すると
脆くなる。そこで、本発明ではSi量は、0.30%以上3.00
%以下と限定する。好ましくは0.80〜2.00である。
【0014】Si+Ni:1.0 %以上 Si+Niが1.0 %未満であると、転動疲労寿命が低下し、
所望の性能が得られない。そこで、本発明では、Si+Ni
量は、1.0 %以上と限定する。
所望の性能が得られない。そこで、本発明では、Si+Ni
量は、1.0 %以上と限定する。
【0015】Cr:2.5 〜7.5 % Crは、炭化物形成元素であり高温のオーステナイト状態
に加熱した時に基地に最も固溶し易い元素である。1000
℃以上の温度から焼入れを行って高温で焼戻しを行うと
2次硬化が顕著に現れ、耐凹み性や耐摩耗性の改善に大
きく寄与する。Cr量が2.5 %未満ではかかる効果が少な
く、一方7.5 %を越えると網目状炭化物が顕著になり靱
性が低下するとともに硬度も低下する。そこで、本発明
ではCr量は、2.5 %以上7.5 %以下と限定する。
に加熱した時に基地に最も固溶し易い元素である。1000
℃以上の温度から焼入れを行って高温で焼戻しを行うと
2次硬化が顕著に現れ、耐凹み性や耐摩耗性の改善に大
きく寄与する。Cr量が2.5 %未満ではかかる効果が少な
く、一方7.5 %を越えると網目状炭化物が顕著になり靱
性が低下するとともに硬度も低下する。そこで、本発明
ではCr量は、2.5 %以上7.5 %以下と限定する。
【0016】Mo:0.20〜3.0 % Moは、Crと同様に強力な炭化物形成元素であり、硬度、
耐凹み性さらには耐摩耗性に影響を与える元素である。
さらに、焼戻し抵抗性や析出硬化に対してもCr以上に強
い作用を示す元素である。Mo量が0.20%未満であると前
述の諸性質に対する効果が少なく、一方3.0 %を越える
と熱的扱いが困難になるとともにミクロ組織的にも共晶
炭化物の傾向を強め靱性の劣化を生じる。そこで、本発
明ではMo量は、0.20%以上3.0 %以下と限定する。
耐凹み性さらには耐摩耗性に影響を与える元素である。
さらに、焼戻し抵抗性や析出硬化に対してもCr以上に強
い作用を示す元素である。Mo量が0.20%未満であると前
述の諸性質に対する効果が少なく、一方3.0 %を越える
と熱的扱いが困難になるとともにミクロ組織的にも共晶
炭化物の傾向を強め靱性の劣化を生じる。そこで、本発
明ではMo量は、0.20%以上3.0 %以下と限定する。
【0017】V:0.05〜2.00% Vは、Cと結合して安定な炭化物を作る強力な炭化物形
成元素である。また、VはCrやMoよりも基地に固溶し難
く、Moと同様に耐摩耗性や研削性に強い影響を与える元
素である。このようにVは強力な炭化物形成元素である
ため、V量はC量によって大きな制約を受けることにな
る。V量が2.00%を越えると基地中のC量が減少して目
的とする硬度が得られなくなる。一方、0.05%より少な
いと耐摩耗性に優れた炭化物が少なくなり、目的とする
諸性質に対する効果が著しく減少する。そこで、本発明
ではV量は、C量を勘案して、0.05%以上2.00%以下と
限定する。
成元素である。また、VはCrやMoよりも基地に固溶し難
く、Moと同様に耐摩耗性や研削性に強い影響を与える元
素である。このようにVは強力な炭化物形成元素である
ため、V量はC量によって大きな制約を受けることにな
る。V量が2.00%を越えると基地中のC量が減少して目
的とする硬度が得られなくなる。一方、0.05%より少な
いと耐摩耗性に優れた炭化物が少なくなり、目的とする
諸性質に対する効果が著しく減少する。そこで、本発明
ではV量は、C量を勘案して、0.05%以上2.00%以下と
限定する。
【0018】W:0.20〜3.00% Wは、炭化物形成元素であり、耐凹み性や耐摩耗性の改
善に有効である等Moと類似の効果を奏する元素であり、
通常Moの2倍量と等価である。したがって、本発明で
は、Wは必要に応じて添加される任意添加元素であり、
Moと置換して用いられる元素である。かかる効果を奏す
るためには、Wを添加する場合には0.20%以上添加する
ことが望ましいが、W量が3.00%超になると共晶炭化物
が大きく発達し靱性の劣化を来すおそれがある。そこ
で、本発明ではWを添加する場合には、その含有量は0.
20%以上3.00%以下と限定することが望ましい。上記以
外の組成は、Feおよび不可避的不純物である。
善に有効である等Moと類似の効果を奏する元素であり、
通常Moの2倍量と等価である。したがって、本発明で
は、Wは必要に応じて添加される任意添加元素であり、
Moと置換して用いられる元素である。かかる効果を奏す
るためには、Wを添加する場合には0.20%以上添加する
ことが望ましいが、W量が3.00%超になると共晶炭化物
が大きく発達し靱性の劣化を来すおそれがある。そこ
で、本発明ではWを添加する場合には、その含有量は0.
20%以上3.00%以下と限定することが望ましい。上記以
外の組成は、Feおよび不可避的不純物である。
【0019】かかる組成を有する本発明にかかる低硬
度、長寿命転動疲労強度焼入れロール鋼からなるロー
ル、特に中間ロールは、ショアー硬さで5度以上低下さ
せても、転動疲労寿命が従来の中間ロールと同等かそれ
以上であって、例えばゼンジマーミル等の小径多段ミル
用中間ロール材および6Hiミルの中間ロール材として用
いるのに好適な、低硬度、長寿命転動疲労強度焼入れロ
ール鋼である。
度、長寿命転動疲労強度焼入れロール鋼からなるロー
ル、特に中間ロールは、ショアー硬さで5度以上低下さ
せても、転動疲労寿命が従来の中間ロールと同等かそれ
以上であって、例えばゼンジマーミル等の小径多段ミル
用中間ロール材および6Hiミルの中間ロール材として用
いるのに好適な、低硬度、長寿命転動疲労強度焼入れロ
ール鋼である。
【0020】本発明にかかる低硬度、長寿命転動疲労強
度焼入れロール鋼を母材として低硬度、長寿命転動疲労
強度焼入れロールが製造されるが、その製造工程は従来
の焼入れロールと全く同じでよく、何ら限定を要さな
い。例えば、電気炉−炉外製錬装置−真空脱ガス・鋳造
装置を用いる通常工程、およびエレクトロスラグ溶解炉
を用いてインゴットを製造した後、プレスまたはハンマ
による鍛造、焼鈍、外径旋削を行った後、焼入れ、仕上
加工を行い、HS 72 〜74に調整されて製造される。
度焼入れロール鋼を母材として低硬度、長寿命転動疲労
強度焼入れロールが製造されるが、その製造工程は従来
の焼入れロールと全く同じでよく、何ら限定を要さな
い。例えば、電気炉−炉外製錬装置−真空脱ガス・鋳造
装置を用いる通常工程、およびエレクトロスラグ溶解炉
を用いてインゴットを製造した後、プレスまたはハンマ
による鍛造、焼鈍、外径旋削を行った後、焼入れ、仕上
加工を行い、HS 72 〜74に調整されて製造される。
【0021】このように、本発明にかかる低硬度、長寿
命転動疲労強度焼入れロール鋼は、SiおよびNiの複合添
加という新規な鋼組成の選定により、硬度を低下してワ
ークロールの耐凹み性を改善しても、転動疲労寿命とい
う中間ロールの場合には最も重要な特性を損なうことな
く、むしろ向上させることができる。さらに、本発明を
実施例を参照しながら詳述するが、これは本発明の例示
であり、これにより本発明が限定されるものではない。
命転動疲労強度焼入れロール鋼は、SiおよびNiの複合添
加という新規な鋼組成の選定により、硬度を低下してワ
ークロールの耐凹み性を改善しても、転動疲労寿命とい
う中間ロールの場合には最も重要な特性を損なうことな
く、むしろ向上させることができる。さらに、本発明を
実施例を参照しながら詳述するが、これは本発明の例示
であり、これにより本発明が限定されるものではない。
【0022】
【実施例】Si量およびNi量を種々変更させた、表1に示
す組成を有する鋼1ないし鋼13からなる試験片につい
て、試験片の側面 (転動面と90°交差する面) の硬度を
測定して硬度(HRC) を測定するとともに、微小スポーリ
ングを発生した場合に発する異常振動を、加速度計によ
り通常の転動時の振動からの変化をとらえることによ
り、感知し、装置を自動停止したときの総回転数を転動
疲労数 (N) として測定した。
す組成を有する鋼1ないし鋼13からなる試験片につい
て、試験片の側面 (転動面と90°交差する面) の硬度を
測定して硬度(HRC) を測定するとともに、微小スポーリ
ングを発生した場合に発する異常振動を、加速度計によ
り通常の転動時の振動からの変化をとらえることによ
り、感知し、装置を自動停止したときの総回転数を転動
疲労数 (N) として測定した。
【0023】
【表1】
【0024】Si+Ni量 (%) と転動疲労数 (N) との関
係を図1に、表1の試料No.4または試料No.5について焼
入れ条件を変更させて硬度を HRC 52 から HRC 60 の範
囲で変化させた場合の、硬度(HRC) と転動疲労数 (N)
との関係を図2に、それぞれグラフで示す。なお、図2
の横軸にはショア硬さHSも併記する。
係を図1に、表1の試料No.4または試料No.5について焼
入れ条件を変更させて硬度を HRC 52 から HRC 60 の範
囲で変化させた場合の、硬度(HRC) と転動疲労数 (N)
との関係を図2に、それぞれグラフで示す。なお、図2
の横軸にはショア硬さHSも併記する。
【0025】図1から、Si+Ni量が1.0 %以上であると
転動疲労数が急激に増加することがわかる。また、図2
から、本発明によれば、転動疲労数が著しく増加してい
ることもわかる。
転動疲労数が急激に増加することがわかる。また、図2
から、本発明によれば、転動疲労数が著しく増加してい
ることもわかる。
【0026】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
ワークロールの凹み対策として中間ロールの硬度を現状
の HS 78〜80から HS 73〜75に低下して中間ロールとワ
ークロールとの硬度差を HS 14以上に拡大しても、転動
疲労寿命が従来の中間ロールと同等かそれ以上であっ
て、例えばゼンジマーミル等の小径多段ミル用中間ロー
ル材または6Hiミル用中間ロール材として用いるのに好
適な、低硬度、長寿命転動疲労強度焼入れロール鋼を提
供できた。
ワークロールの凹み対策として中間ロールの硬度を現状
の HS 78〜80から HS 73〜75に低下して中間ロールとワ
ークロールとの硬度差を HS 14以上に拡大しても、転動
疲労寿命が従来の中間ロールと同等かそれ以上であっ
て、例えばゼンジマーミル等の小径多段ミル用中間ロー
ル材または6Hiミル用中間ロール材として用いるのに好
適な、低硬度、長寿命転動疲労強度焼入れロール鋼を提
供できた。
【図1】本発明にかかる低硬度、長寿命転動疲労強度焼
入れロール鋼におけるSi+Ni量と転動疲労数との関係を
示すグラフである。
入れロール鋼におけるSi+Ni量と転動疲労数との関係を
示すグラフである。
【図2】本発明にかかる低硬度、長寿命転動疲労強度焼
入れロール鋼と従来の熱間ダイス鋼とについて、硬度と
転動疲労数との関係を示すグラフである。
入れロール鋼と従来の熱間ダイス鋼とについて、硬度と
転動疲労数との関係を示すグラフである。
【図3】中間ロールの硬度とワークロールの飛び込み疵
(凹み)の発生率との関係を示すグラフである。
(凹み)の発生率との関係を示すグラフである。
【図4】中間ロール〜ワークロールの硬度差と、ワーク
ロールの飛び込み疵(凹み)の発生率との関係を示すグ
ラフである。
ロールの飛び込み疵(凹み)の発生率との関係を示すグ
ラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 38/00 - 38/60 B21B 27/00
Claims (2)
- 【請求項1】 質量%で、 C:0.40〜1.00%、Si:0.30〜3.00%、Mn:0.10〜2.00
%、Ni:0.30〜3.00%、Cr:2.5 〜7.5 %、Mo:0.20〜
3.0 %、V:0.05〜2.00%、Si+Ni≧1.0 %、残部Feお
よび不可避的不純物である合金よりなることを特徴とす
る低硬度、長寿命転動疲労強度焼入れロール鋼。 - 【請求項2】 前記合金は、質量%で、さらに W:0.20〜3.00% を含有することを特徴とする請求項1記載の低硬度、長
寿命転動疲労強度焼入れロール鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24676492A JP2833374B2 (ja) | 1992-09-16 | 1992-09-16 | 低硬度、長寿命転動疲労強度焼入れロール鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24676492A JP2833374B2 (ja) | 1992-09-16 | 1992-09-16 | 低硬度、長寿命転動疲労強度焼入れロール鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0693373A JPH0693373A (ja) | 1994-04-05 |
JP2833374B2 true JP2833374B2 (ja) | 1998-12-09 |
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