JPH0754049Y2

JPH0754049Y2 - マスタシリンダ用リザーバ

Info

Publication number: JPH0754049Y2
Application number: JP1989009631U
Authority: JP
Inventors: 光宏池田; 久仁男柳
Original assignee: 自動車機器株式会社
Priority date: 1989-01-30
Filing date: 1989-01-30
Publication date: 1995-12-13
Anticipated expiration: 2004-01-30
Also published as: JPH02100870U

Description

【考案の詳細な説明】 a.産業上の利用分野本考案は、マスタシリンダ用リザーバに関するもので、
詳しくはリザーバ内に設置されるダイヤフラムの改良に
関するものである。

b.従来の技術マスタシリンダ用リザーバには、リザーバ室内への湿気
と異物の侵入を防止するとともに、リザーバ室を常にほ
ぼ大気圧に保持するために、リザーバ本体とキャップと
の間にダイヤフラムを介装させ、該ダイヤフラムによっ
てリザーバ室と大気室に画成したものがある。即ち、こ
のようなリザーバでは、作動液の液面が低下すると、リ
ザーバ室は拡大され、それに伴って該室は負圧になる
が、ダイヤフラムが直ちに下方へ変形・変位して、リザ
ーバ室の容積を減少せしめ、それによってリザーバ室の
圧力をほぼ大気圧に保持し、また温度が上昇すると、リ
ザーバ室の空気が膨張し、それによってリザーバ室の圧
力が高くなるが、ダイヤフラムが直ちに上方へ変形・変
位して、リザーバ室を拡大するため、リザーバ室はほぼ
大気圧に保持される。

c.考案が解決しようとする課題ところで、上記のようなダイヤフラムを備えたリザーバ
では、ダイヤフラムをリザーバ室の圧力変化の全範囲に
対して応動させようとするには、変形・変位量の相当大
きなダイヤフラムと、そのダイヤフラムの変形・変位量
を許容し得る大きさのリザーバタンクを必要とする。

そこで、ダイヤフラムの中央にスリットを形成して、そ
こに閉止弁を構成し、ダイヤフラムが上限または下限に
達した後、さらにリザーバ室の圧力が増大または減少す
る場合には、上記閉止弁を開成させ、リザーバ室から空
気を大気室へ逃がすか、リザーバ室に大気室から空気を
取入れて、リザーバ室をほぼ大気圧に維持させるように
し、もってリザーバタンクの小型化を図ったリザーバが
提供されている（例えば、実開昭54-42881号公報）。

このようなリザーバのダイヤフラムでは、ダイヤフラム
が上限または下限に達した後、さらにリザーバ室の圧力
が増大または減少する場合には、第６図に示したよう
に、ダイヤフラムａのスリット形成部が撓んでスリット
ｂが開けられる。

しかし、このようなダイヤフラムでは、図からも明らか
なように、直上に設けられているキャップに開口を有せ
ず、このキャップの内面にダイヤフラムが当接し、スリ
ットを開成させるための圧力差が大きくなってしまうと
いう欠点がある。また、スリットと対向する位置に開口
を有するキャップを用いると、水や塵埃が侵入し易いと
いう欠点がある。

本考案の目的は、上記従来の欠点を解消しダイヤフラム
が上限位置または下限位置に達したときに、低い圧力差
で確実にスリットを開成させ、リザーバ室内の圧力を常
にほぼ大気圧に確実に保持できるマスタシリンダ用リザ
ーバを提供することにある。

d.課題を解決するための手段本考案のマスタシリンダ用リザーバでは、ダイヤフラム
に形成したスリットの周辺で、該スリットの中心を通り
該スリットの切込方向に対して角度をもった線上のダイ
ヤフラム表面に突起を形成するとともに、上記ダイヤフ
ラムの上方または下方に、上記ダイヤフラムが上方また
は下方に変位した位置で、上記突起に当接するストッパ
をリザーバタンクに配設し、上記突起がストッパに突当
った状態で上記リザーバ室の圧力と大気圧との差圧によ
って、上記スリットに沿う直線を境界にしたダイヤフラ
ムの両側部分が該スリットを含む垂直平面に関し互いに
非面対称に変形して該スリットを開成させる位置に上記
突起を設けたことを特徴とする。

e.作用本考案のマスタシリンダ用リザーバでは、突起がストッ
パに突当った状態でリザーバ室の圧力と大気圧との差圧
によって、スリットに沿う直線を境界にしたダイヤフラ
ムの両側部分が該スリットを含む垂直平面に関し互いに
非面対称に変形して該スリットを開成させる。したがっ
て、スリットは全体的に開かれる。

f.実施例第１図は本考案に係るマスタシリンダ用リザーバを示
し、第２図はそのリザーバで採用されているダイヤフラ
ムを示している。

このマスタシリンダは、シリンダボディ１の上部にリザ
ーバ２を備えている。リザーバ２の外郭を成すリザーバ
タンク３は、上端に開口を有し、内部に作動液を収容す
るタンク本体４と、該タンク本体４の開口を閉塞するキ
ャップ５とによって構成されている。そして、このリザ
ーバ２では、ダイヤフラム６がリテーナリング７を介し
てタンク本体４とキャップ５との間に挟持されており、
そのダイヤフラム６によって、リザーバタンク３内がリ
ザーバ室８と大気圧９とに画成されている。このリザー
バ室８内には、タンク本体４内に形成したガイド10によ
って、上下方向に案内されるフロート11が配設されてお
り、また大気室９は、リテーナリング７の上端に形成さ
れた溝7aとタンク本体４とキャップ５の間に形成された
環状の間隙12とを介して外部（大気）に開放されてい
る。

上記ダイヤフラム６は、第１図に示したように、周縁の
取付部6aより少し内周に、上方へ湾曲突出する変形部6b
と、該変形部6bの内方端縁に連続する平面状の底部6cと
から形成されている。この底部6cの中央には、閉止弁と
しての機能をもつスリット6dが形成されている。また、
底部6cの上面および下面には、第２図に示したように、
スリット6dを囲むＣ字状のリブ6e,6fが形成されてお
り、特にリブ6eの不連続部6gから変形部6bまでの間に
は、複数個の突起6hが直線状に点在形成されている。さ
らに、上記リブ6e,6fには、それぞれ２つの突起6i,6i,6
j,6jが立設されている。これらの突起6i,6jは、スリッ
ト6dの中心を通り、該スリット6dの切込方向に対して角
度θ（実施例ではθ＝45°）をもった線上に形成されて
いる。

即ち、ダイヤフラム６は、同一側の２つの突起6i,6i又
は6j,6jが対応するストッパとしてのキャップ５又はフ
ロート11に突当った状態でリザーバ室８の圧力と大気圧
との差圧によって、スリット6dに沿う直線を境界にした
両側部分が該スリット6dを含む垂直平面に関し互いに非
面対称に変形して該スリット6dを開成させるような位置
に当該突起が設けられている。

このようなマスタシリンダ用リザーバ２では、リザーバ
室８の圧力が上昇し、ダイヤフラム６が上方へ変形・変
位して底部6cがキャップ（ストッパ）５に接近すると、
まずダイヤフラム６の突起6iがキャップ５に突当る。な
おもリザーバ室８内の圧力によって、ダイヤフラム６の
底部6cが上動されると、スリット6dには該スリット6dを
捩る方向の力が作用し、スリット6dは第３図に示したよ
うに捩られた状態に開成される。なお、その際に、ダイ
ヤフラム６のスリット6d付近を除く他の底部6cは、キャ
ップ５に当接してスリット6dと外部との間の連通を断つ
虞れがあるが、上記実施例では、ダイヤフラム６の底部
6cに突起6hが形成されているため、該突起6hの周辺に通
気路が確保される。

また、リザーバ室８が減圧し、ダイヤフラム６が下方へ
変形・変位して底部6cがフロート（ストッパ）11に接近
すると、まずダイヤフラム６の突起6jがフロート11に突
当り、なおもリザーバ室８が負圧になっていると、ダイ
ヤフラム６の底部6cが下動される。その結果、上記第３
図に基づいて説明したのと同様にしてスリット6dは捩ら
れるようにして開成される。

なお、上記実施例では、スリット6dの周囲にＣ字状のリ
ブ6eを形成し、その不連続部6gによって通気路を確保し
ている。しかし、本考案のリザーバ２では、突起6jによ
って、その周辺の通気路は確保される。したがって、第
４図に示したように環状リブ6e′を形成するとともに、
突起6hと突起6iとが直線状に点在するように突起6hを配
置させればよい。

また、上記Ｃ字状リブ6eは、スリット6dを含むその周辺
部がキャップ５に密接しないようにしたり、その周辺部
がダイヤフラム６の動作途中で変形し、それによってス
リット6dが開成されないようにしたりする役割を負うも
のであるが、ダイヤフラム６の動作途中でのスリット6d
の開成が防止されるならば、第５図に示したようにリブ
6eが無くてもよい。

さらにまた、上記実施例では、底部6cの上面および下面
に突起6i,6jを形成しているが、例えばダイヤフラム６
が上限に達した時に、スリット6dをより迅速に開かせよ
うとする場合には、突起6iのみでよく、ダイヤフラム６
が下限に達した時に、スリット6dをより迅速に開かせよ
うとした場合には突起6jのみでよい。

また、上記実施例では２つの突起6i（突起6jの場合も同
じ）をスリット6dに対し点対称位置に配置しているが、
それらの形成位置は、上記位置に限定されず、またスリ
ット6dの中心からスリット6dの切込方向に対して45度の
角度をもった線上に突起6i（突起6jの場合も同じ）を配
置しているが、上記角度は45度に限らず、スリットに沿
った直線を境界にしたダイヤフラムの両側部分の突起が
該スリットを含む垂直平面に関して互いに非面対称に配
置されていればよい。

また、上記実施例では、突起6i（突起6jの場合も同じ）
を２つ配置しているが、突起6i（6j）は１つでもよい。

g.考案の効果上記したように、本考案に係るマスタシリンダ用リザー
バでは、ダイヤフラムの上限または下限位置で、スリッ
トに該スリットを捩る方向の力が作用するため、スリッ
トに沿う直線を境界にしたダイヤフラムの両側部分が、
該スリットを含む垂直平面に関し互いに非面対称に変形
して、ダイヤフラムの膨らみ湾曲だけでなく、捩じりを
加えてスリットを開成させるので、スリット開成時にお
けるリザーバ室の圧力と大気圧との差圧を低くすること
ができるとともに、製造誤差によるバラツキも小さくす
ることができ、スリットは確実に開成される。したがっ
て、このリザーバでは、小型化しても、常にリザーバ室
がほぼ大気圧に保たれる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るマスタシリンダ用リザーバを備え
た断面図、第２図はそのリザーバのダイヤフラムを示し
た斜視図、第３図はそのダイヤフラムにおけるスリット
の開成状態を示した部分拡大斜視図、第４図および第５
図は本考案に係るリザーバで採用されるダイヤフラムの
他の実施例をそれぞれ示した平面図、第６図は従来のダ
イヤフラムにおけるスリットの開成状態を示した部分断
面図である。１……シリンダボディ、２……リザーバ、３……リザー
バタンク、４……タンク本体、５……キャップ、６……
ダイヤフラム、6a……取付部、6b……変形部、6c……底
部、6d……スリット、6e,6f……リブ、6g……不連続
部、6h……突起、6i,6j……突起、７……リテーナリン
グ、7a……溝、８……リザーバ室、９……大気室、10…
…ガイド、11……フロート、12……間隙。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】リザーバ室の圧力の増減に伴い上下動して
リザーバ室をほぼ大気圧に維持するダイヤフラムを備
え、さらに該ダイヤフラムの中央に、該ダイヤフラムが
上方または下方に変位した状態であって、上記リザーバ
室の圧力がさらに増加または減少した際に、大気圧との
差圧によって開成されて該リザーバ室をほぼ大気圧に維
持するスリットを形成したマスタシリンダ用リザーバに
おいて、上記スリットの周辺で、該スリットの中心を通
り該スリットの切込方向に対して角度をもった線上のダ
イヤフラム表面に突起を形成するとともに、上記ダイヤ
フラムの上方または下方に、上記ダイヤフラムが上方ま
たは下方に変位した位置で、上記突起に当接するストッ
パをリザーバタンクに配設し、上記突起がストッパに突
当った状態で上記リザーバ室の圧力と大気圧との差圧に
よって、上記スリットに沿う直線を境界にしたダイヤフ
ラムの両側部分が該スリットを含む垂直平面に関し互い
に非面対称に変形して該スリットを開成させる位置に上
記突起を設けたことを特徴とするマスタシリンダ用リザ
ーバ。