JPH0752704Y2 - 針板固定装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、被縫製物が載置され
る針板をフリーアームなどを構成するミシンフレームに
対して着脱可能に固定するための針板固定装置に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、ミシンの針板はミシンフレーム
に対して着脱可能に設けられており、実行すべき縫製形
式に応じて、適宜適当な形状を有するものに交換してい
る。例えば、本縫いミシンにおいては、直線縫いと、ジ
グザグ縫いとでそれぞれ異なる針板を用い、また、オー
バーロックミシンでは、巻き縫いと、かがり縫いとで異
なる針板を用いる必要がある。

【０００３】そして、それら針板は、いずれもミシンフ
レームへねじによって固定しているのが現状である。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、針板の
交換作業に伴ってその都度ドライバーなどを持ち出し、
ねじの締め外しを行うことは、作業者にとってかなり煩
わしい作業となっており、作業能率の低下を招いてい
た。この考案は、上記のような針板交換時の不便さを解
消するためになされたもので、極めて容易に、言わばワ
ンタッチで針板の着脱を可能とすることを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この考案は、針板の裏面
に板状部材を出没させ得る挿入部を形成すると共に、前
記ミシンフレームの針板装着部近傍に針板固定レバーを
水平回転可能に軸着してなり、前記針板固定レバーは、
その一端部を押圧して水平回転させることにより、他端
部が前記挿入部内に対して出没し、没入時には他端部の
下面部が前記挿入部内面を下方へ押圧し針板下面をミシ
ンフレームの上面に圧接させるようにしたものである。

【０００６】

【作用】この考案においては、作業者が針板固定レバー
を正方向あるいは逆方向へ回転させることによってワン
タッチで針板の固定、取り外しを行うことができる。す
なわち、針板を固定する場合には、ミシンフレームに対
して針板を所定位置に保持させた後、針板固定レバーを
正方向へ回転させれば、針板固定レバーの他端部は針板
に形成された挿入部内にその内面を下方へ押圧しながら
挿入され、針板の下面をミシンフレームの上面に圧接さ
せる。これにより、針板は確固に固定される。また、針
板を取り外す場合には、逆方向へ針板固定レバーを回転
させ、その一端部を挿入部内から抜脱させれば良く、極
めて容易に針板の着脱を行うことができる。

【０００７】

【実施例】以下、この考案の実施例を図面に基づき説明
する。なお、ここでは、袖あるいは、ズボンなどの円筒
状に形成された縫製物にかがり縫いを施すオーバーロッ
クミシンのフリーアームＭ（図４参照）にこの考案を適
用した場合の実施例を説明する。

【０００８】図１において、１はフリーアームＭの下部
外郭をなすミシンフレームである。このミシンフレーム
１の支持面１ａには、支持板２が水平に固定されてお
り、さらに、この支持板２には上方へ突出する２本の位
置決めピン２ａ，２ｂが突設されている。

【０００９】また、ミシンフレーム１の先端部には、そ
の上面を覆うフリーアームカバー３が設けられている
（図２参照）。このフリーアームカバー３は前記ミシン
フレーム１の先端側部上面に一側部が軸着され、図２に
示すように軸４を支点として開閉可能となっている。

【００１０】６は前記ミシンフレーム１の上面に固定さ
れる針板であり、前記フリーアームカバー３及びミシン
フレーム１と共に、ミシンのフリーアームＭを構成して
いる。この針板６としては、従来と同様に、かがり縫
い、巻き縫いなどの縫い形式に応じた形状をなすものが
用意されているが、いずれの針板６にも、前記支持板２
に突設した位置決めピン２ａ，２ｂに嵌合する位置決め
孔６ａ，６ｂが形成されると共に、裏面に凹溝６ｃが形
成されている。なお、図１に示す針板６はかがり縫い用
の針板を示している。そして、前記両位置決め孔６ａ，
６ｂのうち、一方の位置決め孔６ａは長孔となってお
り、両位置決めピン２ａ，２ｂへの挿入を容易に行い得
るよう配慮されている。また、針板６の裏面には、前記
凹溝６ｃとの対向位置に凹溝６ｃを跨いで針板固定板７
が固定されており、前記凹溝６ｃとの間には後述する板
状部材を挿入し得る空隙ｇが形成されている。なお、上
記凹溝６ｃと針板固定板７とによって挿入部が形成され
ている。

【００１１】８は支持板２に中間部を支点軸８ｃによっ
て水平方向へ回動可能に支持させた針板固定レバーであ
る。この針板固定レバー８は可撓性を有する部材によっ
て形成されており、針板固定レバー８の一端部に設けら
れた操作つまみ８ｂを把持し、正方向（矢符ａ方向）ま
たは逆方向（矢符ｂ方向）へ回転させることにより、他
端部（板状部材）８ａが針板６と針板固定板７との間に
形成された空隙ｇ内を出没するようになっている。ま
た、針板固定レバー８の他端部８ａが前記空隙ｇ内から
離脱した状態で、一端部に設けられた操作つまみ８ｂは
フリーアームカバー３とミシンフレーム１の先端部上面
１ｂの上方に位置するようになっている。

【００１２】なお、９ａ，９ｂは針板固定レバー８の回
転範囲を規制するストッパである。

【００１３】この実施例における針板固定装置は上記の
ように構成されており、いま、針板６をミシンフレーム
１に固定する場合には、まず、フリーアームカバー３を
開成状態とし、針板固定レバー８をストッパ９ｂに当接
させて、その他端部８ａをミシンフレーム１の先端部上
面１ｂ上の上方に位置させる。この後、針板６をミシン
フレーム１の上に載置すると共に、針板６の位置決め孔
６ａ，６ｂを支持板２に突設された位置決めピン２ａ，
２ｂに嵌合させる。これにより、針板６はミシンフレー
ム１上の所定位置に位置決めされる。

【００１４】次いで、針板固定レバー８の一端部８ｂを
把持してこれを正方向へ回転させる。これにより、針板
固定レバー８の他端部８ａは、針板６の凹溝６ｃと針板
固定板７との間隙ｇに挿入されるが、このとき、針板固
定レバー８の他端部８ａはその下面に突設された突起８
ａ１が前記針板固定板７の下方に傾斜する傾斜部７ａの
上面に圧接しながら挿入される。その結果、針板固定板
７は下方へ押し下げられ、針板６の下面はミシンフレー
ム１の上面に圧接して確固に固定される。そして、その
後フリーアームカバー３を閉じれば、針板固定作業は完
了する。

【００１５】なお、針板を固定した状態で、針板固定レ
バー８の操作つまみ８ｂはミシンフレーム１の先端部上
面１ｂより内方に位置しているため、フリーアームカバ
ー３と操作つまみ８ｂとが干渉することはなく、適正に
閉じることができる。従って、この実施例では針板固定
レバー８にて針板６を固定しない限り、フリーアームカ
バー３を閉じることができないようになっており、針板
６の止め忘れを未然に防ぐことができる。

【００１６】また、上記のようにして装着した針板６を
取り外す場合には、フリーアームカバー３を開け、針板
固定レバー８を逆回転させてその他端部８ａを針板６と
針板固定板７との間隙ｇから抜脱させれば良く、極めて
容易に、針板６を取り外すことができる。

【００１７】以上のように、上記実施例においては、針
板６の裏面に、針板固定レバー８を挿入させるための挿
入部を、針板裏面に形成した溝６ｃと針板固定板７とに
よって形成したが、針板６に図５に示すような穴６１を
形成し、その内部底面６１ａに前記針板固定レバー８を
圧接させるようにしても良い。

【００１８】また、上記実施例においては、オーバーロ
ックミシンのフリーアームにおいてこの考案を適用した
が、この考案はその他のミシン、例えば、本縫いミシン
などにも適用可能であり、特に上記実施例に限定される
ものではない。

【００１９】

【考案の効果】以上説明したとおり、この考案に係る針
板固定装置においては、針板の着脱を、針板固定レバー
を回転させるというワンタッチ操作で、極めて容易に針
板の着脱を行うことができ、作業能率を大幅に向上させ
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案のフリーアームカバーを欠如し針板を
ミシンフレームに装着した一実施例を示す平面図であ
る。

【図２】図１に示したものの正面図である。

【図３】この考案の針板の要部拡大縦断側面図である。

【図４】この考案を適用したオーバーロックミシンの全
体構成を示す斜視図である。

【図５】この考案の他の実施例における針板の要部拡大
縦断側面図である。

【符号の説明】

１ ミシンフレーム ６ 針板 ８ 針板固定レバー ６ｃ 凹溝 ７ 針板固定板

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ミシンフレームに対し、被縫製物を載置
   するための針板を着脱可能に固定する針板固定装置であ
   って、前記針板の裏面に板状部材を出没させ得る挿入部
   を形成すると共に、前記ミシンフレームの針板装着部近
   傍に針板固定レバーを水平回転可能に軸着してなり、前
   記針板固定レバーは、その一端部を押圧して水平回転さ
   せることにより、他端部が前記挿入部内に対して出没
   し、没入時には他端部の下面部が前記挿入部内面を下方
   へ押圧し針板下面をミシンフレームの上面に圧接固定さ
   せることを特徴とする針板固定装置。