JPH0751536B2 - テトラキス〔3−(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル〕メタンの製造法 - Google Patents

テトラキス〔3−(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル〕メタンの製造法

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JPH0751536B2 JP63021626A JP2162688A JPH0751536B2 JP H0751536 B2 JPH0751536 B2 JP H0751536B2 JP 63021626 A JP63021626 A JP 63021626A JP 2162688 A JP2162688 A JP 2162688A JP H0751536 B2 JPH0751536 B2 JP H0751536B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ポリオレフィンなどの酸化防止剤として賞用
されているテトラキス〔3−(3,5−ジ第3級ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル〕
メタン〔以下、化合物(I)と略することもある〕の製
造法に関する。
〔従来の技術〕
化合物(I)はペンタエリスリトールと、少なくともペ
ンタエリスリトールに対して化学量論量以上の、すなわ
ち、少なくともペンタエリスリトール1モルに対して4
モル以上の3−(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオン酸アルキルエステル〔以下、化
合物(II)と略することもある〕とを、たとえばアルカ
リ金属低級アルコキシドなどの触媒の存在下にエステル
交換反応を行なうことにより製造し得ることは公知であ
る(特公昭42−19083号公報明細書)。
〔発明が解決しようとする課題〕
この方法により、化合物(I)を製造する際に前記公報
明細書に記載されるように、不純物として、特にペンタ
エリスリトールの水酸基が置換不完了の生成物、すなわ
ち式 で表わされるペンタエリスリトールのトリ置換物〔以
下、副生物と略することもある〕が副生し混入する。
この副生物(III)の副生は、当然のことながら目的と
する化合物(I)の収率を低下させる。さらに、本発明
者らの知見によれば副生物(III)は単なる再結晶法に
よっては、化合物(I)との分離が困難であり、化合物
(I)の純度を向上できなかった。したがって、副生物
(III)の生成を抑制させることは工業上極めて好まし
いことである。
一方、当該公報明細書では化合物(II)を化学量論量よ
り最大15%までの過剰量、すなわち、ペンタエリスリト
ール1モルに対して、該化合物(II)を最大4.6モルま
で使用して副生物(III)の生成を抑制する旨の示唆が
記載されている。本発明者らは、この示唆に基づき化合
物(II)とペンタエリスリトールとのモル比と副生物
(III)生成量との関係を詳細に調べたところ、ペンタ
エリスリトール1モルに対して化合物(II)を4.6モル
以上使用すれば、副生物(III)の生成量をペンタエリ
スリトールを基準として約10%、好ましくは約5%以下
の収率に抑制でき、その後の精製工程を終えることによ
り、実質的に副生物(III)の存在しない目的(I)が
得られることを知ったが、この方法では高価な化合物
(II)を未反応のままに損失せざるを得なく、製品コス
トが高いものであった。
〔課題を解決するための手段〕
以上の課題を解決すべく本発明者らは、原料として化合
物(II)とペンタエリスリトールとを使用して、化合物
(I)を製造する際に高価な化合物(II)を多量に使用
することなく、副生物(III)の生成量を少量として、
収率よく純度の高い化合物(I)を製造する方法を提供
することを目的として、鋭意研究を重ねた結果、本発明
を完成させるに至った。
すなわち、本発明者らは化合物(II)とペンタエリスリ
トールとをエステル交換反応させる際、式 で表わされるビス〔2,2,2−トリス(ヒドロキシメチ
ル)エトキシ〕メタン(ペンタエリスリトールのビス体
と略することもある)をペンタエリスリトールに対し
て、好ましくは少量、就中0.05〜1.5重量%反応系に共
存させると、副生物(III)の生成を少量とすることが
でき、しかも、収率よく目的物(I)を得ることができ
るという驚くべき事実を見出した。
したがって、本発明は塩基性触媒の存在下、化合物(I
I)とペンタエリスリトールとをエステル交換反応させ
るに際し、ビス〔2,2,2−トリス(ヒドロキシメチル)
エトキシ〕メタンの存在下に反応を行なうことを特徴と
するテトラキス〔3−(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル〕メタン
の製造法に関する。
本発明の方法に従えば、高価な化合物(II)の使用量が
ペンタエリスリトール1モルに対して、4.2〜4.4モルと
わずかな過剰量であっても、副生物(III)の生成量を
ペンタエリスリトール基準で収率約10%以下、好ましく
は約5%以下とすることができ、しかも収率よく化合物
(I)を得ることができ、単純な再結晶法による精製を
適用するだけで高純度の化合物(I)を得ることができ
る。なお、化合物(II)とペンタエリスリトールのビス
体とは、一部反応し、ペンタエリスリトールのビス体の
ジまたはトリ置換体が副生するが、その量はわずかであ
るので、化合物(II)の損失は少なく、また再結晶法に
より当該副生物を容易に除去できるので化合物(I)の
純度を下げることはない。
以下、本発明を詳述するが、これにより本発明の構成、
利点がよりよく理解されるであろう。
本発明では、化合物(II)のアルキルエステルとして
は、特に炭素数1〜4のアルキルエステル、具体的には
メチルエステルまたはエチルエステルが好ましい。
化合物(II)は、ペンタエリスリトールに対して化学量
論量よりやや過剰、すなわち、ペンタエリスリトール1
モル部に対して、約4.2〜4.4モル部使用することが好ま
しいが、それ以上使用してもよい。従来法では、この程
度の過剰量では、前記副生物(III)が相当量生成し、
再結晶によっても除去されないので、目的物(I)の純
度が低かったが、本発明の方法では副生物(III)の副
生量が少なく、後記する単純な再結晶法により除去でき
るので、高純度の製品として化合物(I)が得られる。
本発明の方法にあっては、エステル交換反応触媒を使用
する。その塩基生触媒としては、従来公知の触媒が使用
できる。具体的には、水素化ナトリウム、水素化カルシ
ウム、水素化リチウムなどのアルカリ金属またはアルカ
リ土類金属の水素化物;リチウムメトキシド、ナトリウ
ムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムエトキシ
ド、ナトリウム第3級ブトキシド、カリウム第3級ブト
キシドなどのアルカリ金属低級アルコキシド;金属ナト
リウム、金属カリウムなどのアルカリ金属;ジブチル錫
オキシド、モノブチル錫オキシド、トリブチル錫オキシ
ドなどの有機錫酸化物などを例示できるが、なかでも有
機錫酸化物の使用が好ましい。このような触媒は、従来
公知の量を使用すれば充分であり、通常、化合物(II)
100重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.3〜3
重量部使用する。また、本発明のエステル交換反応にお
いては、溶媒を使用することが好ましい。使用される溶
媒としてはジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミ
ド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグライム、ジ
メチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホアミド、1,2
−ジメトキシエタン、アセトニトリル、第3級ブタノー
ル、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタンなどを例
示することができるが、なかでもトルエン、キシレンの
使用が好ましい。溶媒は、化合物(II)1重量部に対し
て最大5重量部使用され、好ましくは0.1〜10重量部使
用される。
本発明において最も重要な要件は、エステル交換反応時
にペンタエリスリトールのビス体を反応系内に存在させ
ることであり、かつ、その量をペンタエリスリトールに
対して、好ましくは0.05〜1.5重量%とすることであ
る。このような手段を採用することにより、前記副生物
(III)の副生量をペンタエリスリトール基準で約10
%、好ましく約5%以下の収率とすることが可能とな
る。ペンタエリスリトールのビス体の量が0.05重量%未
満では副生物(III)の生成量が多く、1.5重量%を越え
るとペンタエリスリトールのビス体と化合物(II)との
反応が無視できない程進行し、高価な化合物(II)を無
駄に損失するとともに、後記する精製工程で目的物
(I)の再結晶率が著しく低下するなどの欠点を有す
る。
本発明のエステル交換反応は、実質的にメタノール、エ
タノールなどのアルコールの生成が終了するまで行なわ
れ、通常80〜200℃の温度で5〜20時間実施される。該
生成アルコールは反応系から除去される。除去方法は、
エステル交換反応を行なう際の通常の手段が採用され、
たとえば5〜50mmHgの減圧下で留出させる方法などがあ
げられる。
その際、特別な装置は必要とせず撹拌装置、加熱装置、
上記アルコールの留出装置を付した反応容器であれば、
いずれも使用できる。
次に、エステル交換反応終了後の反応生成物から化合物
(I)が精製分離される。この精製分離手段としては、
好ましくは再結晶法が採用される。このとき使用される
溶媒としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、
メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノ
ール、ブタノール、イソブタノールなどを例示できる
が、好ましくはメタノールまたはエタノールが使用され
る。再結晶法に使用される溶媒は純粋である必要はな
く、たとえば市販のエタノールは約5%の水分を含有し
ているが、これでも充分使用可能である。
この再結晶法による精製分離操作では、前記反応生成物
中に化合物(I)が高収率で存在し、しかも副生物が少
ないので損失が少ない。
以上、詳述した本発明の方法により製造される化合物
(I)は、前記副反応物(III)などの副生物の含量が
少なく高純度であり、たとえば酸化防止剤として優れて
いる。
〔実施例〕
以下、具体的に実施例により本発明を説明するが、本発
明はこれにより限定されるものではない。
実施例1 撹拌機、還流冷却器、温度計および窒素導入管を備えた
1容4口フラスコにトルエン300g、ジブチル錫オキシ
ド2.0g、ペンタエリスリトール44.2g、純度99%以上の
3−(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオン酸メチル420g、ビス〔2,2,2−トリス
(ヒドロキシメチル)エトキシ〕メタン0.11gを加え、1
70〜175℃で12時間加熱撹拌しながら、生成するメタノ
ールおよびトルエンを留去した。反応終了後、トルエン
300g、シュウ酸2.0gおよびソルカフロック12gを加え、
還流下に脱水した。トルエンに不溶のジブチル錫オキシ
ドのシュウ酸塩およびソルカフロックを濾過して除き、
次いでトルエンを減圧下に留去したところ、淡黄色飴状
物質420gを得た。この飴状物質を分析した結果、テトラ
キス〔3−(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオニルオキシメチル〕メタンがペンタエ
リスリトール基準で、理論収率97.0%で生成しているこ
とおよび副生物がペンタエリスリトール基準で、理論収
率2.8%で生成していることが認められた。
続いて、飴状物質を95%メタノール−水で再結晶する
と、白色結晶として97%の得率で目的物を得た。この結
晶の純度は99%以上であり、前記副生物の含量は1重量
%以下であった。
実施例2〜4 実施例1において、ビス〔2,2,2−トリス(ヒドロキシ
メチル)エトキシ〕メタンの使用量をペンタエリスリト
ールに対して各々0.5重量%(実施例2)、0.05重量%
(実施例3)、1.5重量%(実施例4)とする以外は、
実施例1と同一の操作を行なった。
化合物(I)の収率、得率、副生物の収率および純度に
関する結果を、実施例1とあわせて第1表に示した。
なお、実施例3、4で得られた結晶をイソプロパノール
を用いて再度再結晶を行なったが純度は第1表に示され
た値と同一であった。
〔発明の効果〕 本発明方法によると、目的とするテトラキス〔3−(3,
5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オニルオキシメチル〕メタンが高収率、かつ高純度に製
造される。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩基性触媒の存在下に、3−(3,5−ジ第
    3級ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ア
    ルキルエステルとペンタエリスリトールをエステル交換
    反応させるに際し、ビス〔2,2,2−トリス(ヒドロキシ
    メチル)エトキシ〕メタンの存在下に反応を行なうこと
    を特徴とするテトラキス〔3−(3,5−ジ第3級ブチル
    −4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチ
    ル〕メタンの製造法。
JP63021626A 1987-02-03 1988-02-01 テトラキス〔3−(3,5−ジ第3級ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル〕メタンの製造法 Expired - Lifetime JPH0751536B2 (ja)

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