JPH0748551Y2 - テープカートリッジの収納ケース - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、身と蓋とが一体成形ヒンジを介して連続し
ているワンピース構造の収納ケースに関し、とくにテー
プカートリッジの収納保存に使用する収納ケースを対象
とする。

〔従来の技術〕

ワンピース構造の収納ケースは、例えば実開昭58-60379
号公報に公知である。これはマイクロカセット用の収納
ケースであるが、市販されているビデオテープカートリ
ッジ用の収納ケースにも同種のものがある（文献不
詳）。いずれにしても、身と蓋との間には蓋閉じ状態を
維持するための係合手段が設けられている。

〔考案が解決しようとする課題〕

この種の収納ケースは、ヒンジの繰り返し曲げ変形に耐
える必要上、靱性に優れた軟質のプラスチック材で形成
される。この種のプラスチック材は曲げ変形には強靱さ
を発揮するが、全体に軟らかく成形後の寸法安定性に欠
ける。そのため硬質プラスチック製の収納ケースに比べ
て、ケース周壁の厚さは全体に分厚く設定されている。
それでも、面積の大きな身の底壁や蓋の上壁は、全体が
反り変形したり、部分的に撓み変形することが多い。

蓋閉じ状態においては、前述のような面壁の変形反力と
ヒンジの曲げ反力とが同時に作用する。そのため、この
種の収納ケースでは身と蓋との間に設けられる係合手段
の係合力を強めに設定して、身と蓋の浮き離れを防いで
いる。こうすることでケース外観は良くなるが、係合力
が強いため開き難くなってしまう。とくに、VHS型やβ
型などの大形のビデオテープカートリッジ用の収納ケー
スでは、前記係合力が相当に強くなるため、開き操作し
難い点に問題があった。

要するに従来の収納ケースでは、蓋閉じ時のケース外観
を配慮するあまり、その開き操作性が犠牲になってい
た。

そこで本考案の目的は、蓋閉じ時のケース外観を良好な
状態に維持しながら、開き操作を容易に行える操作性に
優れた収納ケースを得るにある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、第３図および第４図に示すごとく、身２と蓋
３とが背壁４を介して一体に成形されており、身２と背
壁４との間、および蓋３と背壁４との間にそれぞれ薄肉
の一体成形ヒンジ５が設けられており、身２は、左右に
長い長方形状の底壁６を有し、該底壁６の前縁と左右側
縁および後縁の左右端に沿って内周壁７を立設してあ
り、蓋３は、前記底壁６に対向する上壁10を有し、該上
壁10の前縁および左右側縁に沿って外周壁11を突設する
とともに、背壁４に沿って上壁10から上後壁12を突設し
てあり、蓋３を閉じた状態において、内外に重なり合っ
て接合する前記内周壁７と前記外周壁11との接合面間
に、凹凸係合によって蓋閉じ状態を維持する係合手段が
設けられているテープカートリッジ用の収納ケースにお
いて、その係合手段に特徴を有する。

すなわち係合手段は、前記内周壁７の前壁の左右両端寄
り部位、および左右側壁の前端寄り部位に設けた合計４
個の第１係合体14と、この第１係合体14に対応して前記
外周壁11の内面に設けた合計４個の第２係合体15とから
なり、それぞれの第１係合体14をケース内外方向へたわ
み変形可能な独立突片で形成したものである。

〔作用〕

独立突片とした一方の第１係合体14は、その断面積が小
さいので、内外各周壁と一体に設けた係合体に比べて、
より小さな操作力でケース内外方向にたわみ変形して、
対応する係合体15との係合を解除できる。

〔考案の効果〕

本考案の収納ケースによれば、蓋閉じ姿勢を維持する一
対の係合体14・15のうち、その一方の第１係合体14をケ
ース内外方向へたわみ変形可能な独立突片で形成して、
開き操作力が係合手段に作用するとき、第１係合体14が
たわみ変形して係合状態を解除できるようにしたので、
従来に比べて小さな操作力で容易にケースを開き操作で
きる。また、前記係合体14がたわみ変形し始めるときの
応力を、ケース外観を維持するのに必要な値より僅かに
大きくしておくことにより、身２と蓋３とが確実に密着
閉合する良好なケース外観状態を維持しながら、開き操
作を容易に行えて、その操作性を向上できる。とくに、
身１の内周壁７および外周壁11には、各々の前壁の左右
両端寄り部位と、左右側壁の前端寄り部位との合計４箇
所に第１係合体14および第２係合体15をそれぞれ設けた
配置形態にしてあるので、身２と蓋３との閉じ合わせ状
態を確実に維持できる。その一方で、身２に対して蓋３
を開くとき、底壁６および上壁10の前縁の左右中央部付
近に指を掛けて操作することが多いが、その際に身２の
内周壁７の前壁側の左右の第１係合体14・14と、これに
対応する第２係合体15・15との係合が先行して外れか
け、次に該内周壁７の左右側壁の第１係合体14・14と、
これに対応する第２係合体15・15との係合が後追い状に
外れることになるので、ケースの開き操作が円滑に行え
る利点を有する。

〔第１実施例〕 第１図ないし第６図は本考案をビデオ用テープカートリ
ッジの収納ケースに適用した第１実施例を示す。

第３図および第４図において、収納ケース１は身２と蓋
３、および両者２・３間の背壁４を一体に成形したワン
ピース構造とされ、身２と背壁４、および蓋３と背壁４
との間のそれぞれに薄肉の一体成形ヒンジ５を設けてな
る。蓋３を身２の開口上面に被せ付けた状態では、背壁
４が起立して全体は薄い角箱形状となる。

身２は、左右に長い長方形状の底壁６と、その前縁と左
右側縁および後縁の左右端に沿って立設された平面視で
Ｃ字形の内周壁７とで構成する。内周壁７の内面複数個
所には、テープカートリッジの装填姿勢を規定する位置
決め壁９が、ケース内方へ向かって一体に張り出し形成
してある。これらの位置決め壁９は内周壁７の反り変形
を防ぐ補強用としても機能する。

蓋３はこれを閉じた状態において、前記底壁６に対向す
る上壁10と、この上壁10の前縁および左右側壁に沿って
これら三方周縁より内側に突設された、平面視でコ字形
の外周壁11と、背壁４に沿って立設された上後壁12とか
らなる。

蓋３を閉じた状態において、前記周壁７・11は内外に重
なりあって接合し、接合相手壁の内方向または外方向へ
の変形を規制する。外周壁11は背壁４の内法寸法に一致
する高さ寸法で突設されるが、内周壁７は外周壁11より
小さな突出高さ寸法とされており、内周壁７の前部中央
は他より低い高さ寸法に設定されている。上後壁12の突
出高さ寸法も同様に小さい。

閉じ操作された蓋３の姿勢維持のために、内外の周壁７
・11の接合面間に係合手段を有する。この係合手段とし
ては、内周壁７の前壁の左右両端寄り部位、および左右
側壁の前端寄り部位に設けた合計４個の第１係合体14
と、この係合体14に対応して外周壁11の内面に突設した
合計４個の第２係合体15とを含む。

第１図および第２図において第１係合体14は、底壁６か
ら上向きに突出する縦長の独立突片として形成してあ
り、そのケース内方に前記位置決め壁９が設けてある。
つまり第１係合体14は、内周壁７と同一平面上に位置し
ながら、内周壁７とは両側の溝16を介して分離されてお
り、ケース内外方へたわみ変形自在に形成されている。
位置決め壁９は第１係合体14がたわみ変形するためのス
ペースを確保するのに役立つ。

両係合体14・15は凹凸係合によって蓋閉じ状態を維持す
る。詳しくは第１係合体14の外面に断面台形状の係合凹
部17を設け、第２係合体15を断面半円状の突起として形
成した。両係合体14・15は、蓋閉じ状態において第５図
のように係合しており、身２と蓋３とが開き操作される
状態では、第６図のように第１係合体14がケース内方へ
たわみ変形して係合を解除する。

蓋閉じ状態において、身２および蓋３には、底壁６およ
び上壁10の矯正された変形反力や、一体成形ヒンジ５の
曲げ反力が作用しており、この開き方向の力によって両
係合体14・15間には、互いに係合状態を解除する向きの
分力が作用する。この分力に抗して蓋閉じ姿勢を維持す
るために、第１係合体14がケース内方へたわみ変形し始
めるときの応力は、前記分力よりやや大きめに設定し、
収納ケース１が他物と衝突する程度ではケースが開かな
いようにする。このような強度設定を行った場合にで
も、第１係合体14の変形応力は係合体をケース周壁と一
体に設ける場合に比べて、十分に小さいので、容易に収
納ケース１を開き操作できる。

一対の係合体14・15は、内外周壁７・11の前端両端寄り
と、左右側壁寄りとの合計４個所に設ける。この配置形
態によれば、とくにたわみ変形しやすい大面積の底壁６
および上壁10の前端両隅を確実に閉じ合わせることがで
き、ケース外観を良好な状態に維持できる。さらにケー
スを開き操作するときは、底壁６および上壁10の前縁の
長辺付近に指を掛けて操作することが多いが、このとき
前壁側の両係合体14・15が先行して外れかけ、後追い状
に左右側壁の両係合体14・15が外れるので、係合個所が
４個所あり、その内の２個所を左右側壁に設けているに
も関わらず、支障なくケースを開き操作できる。もちろ
ん、第１係合体14の全てを独立突片として形成したこと
が、ケースの開き操作力を軽減することに大きく寄与し
ている。

〔第２実施例〕 第７図は第１係合体14の構造を変更した本考案の第２実
施例を示しており、内周壁７の突出基端から突端に向か
ってコ字形の溝16を形成し、この溝16で囲まれる壁部分
を第１係合体14とした。この場合は内周壁７の上端側を
揺動基端19として、第１係合体14が倒立姿勢でケース内
外方向へたわみ変形する。

〔第３実施例〕 第８図は第１係合体14の構造を更に変更した本考案の第
３実施例を示しており、内周壁７の上端縁から突出基端
にわたってＬ字状の切り込み16aを入れ、この切り込み1
6aで区分された壁部分を第１係合体とした。この場合は
切り込み16aの内奥端の上方近傍を揺動基端19として、
第１係合体14が横臥姿勢でケース内外方向へたわみ変形
する。

〔第４実施例〕 第９図は第１係合体14の構造を更に変更した本考案の第
４実施例を示しており、内周壁７の上端縁を始端にして
一対の直線溝16bを設け、さらに小間隔を設けて前記直
線溝16bの下方にコ字形の溝16cを設けて第１係合体14を
形成した。この場合は両溝16b・16cの間の橋絡部を揺動
変形基端19aとして、第１係合体14がケース内外方向へ
たわみ変形する。

上記以外に第１係合体14に係合突起を、第２係合体15に
係合凹部を設けることなどの変形態様は、本考案の想定
するところである。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第６図は本考案に係る収納ケースの第１実
施例を示しており、 第１図は係合部の平面図、 第２図は第１図におけるＡ矢視図、 第３図は展開状態の平面図、 第４図は展開状態の斜視図、 第５図は蓋閉じ時の係合手段を示す断面図、 第６図は開き操作時の係合手段を示す断面図である。 第７図は本考案の第２実施例を示す第１係合体の正面図
である。 第８図は本考案の第３実施例を示す第１係合体の正面図
である。 第９図は本考案の第４実施例を示す第１係合体の正面図
である。 ２……身、３……蓋、５……一体成形ヒンジ、６……底
壁、７……内周壁、10……上壁、11……外周壁、14……
第１係合体、15……第２係合体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】身（２）と蓋（３）とが背壁（４）を介し
   て一体に成形されており、 身（２）と背壁（４）との間、および蓋（３）と背壁
   （４）との間にそれぞれ薄肉の一体成形ヒンジ（５）が
   設けられており、 身（２）は、左右に長い長方形状の底壁（６）を有し、
   該底壁（６）の前縁と左右側縁および後縁の左右端に沿
   って内周壁（７）を立設してあり、 蓋（３）は、前記底壁（６）に対向する上壁（10）を有
   し、該上壁（10）の前縁および左右側縁に沿って外周壁
   （11）を突設するとともに、背壁（４）に沿って上壁
   （10）から上後壁（12）を突設してあり、 蓋（３）を閉じた状態において、内外に重なり合って接
   合する前記内周壁（７）と前記外周壁（11）との接合面
   間には、凹凸係合によって蓋閉じ状態を維持する係合手
   段が設けられており、 この係合手段は、前記内周壁（７）の前壁の左右両端寄
   り部位、および左右側壁の前端寄り部位に設けた合計４
   個の第１係合体（14）と、この第１係合体（14）に対応
   して前記外周壁（11）の内面に設けた合計４個の第２係
   合体（15）とからなり、 それぞれの第１係合体（14）をケース内外方向へたわみ
   変形可能な独立突片で形成したテープカートリッジの収
   納ケース。