JPH0748456A - ポリマー粒状体及びその製造方法 - Google Patents

ポリマー粒状体及びその製造方法

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JPH0748456A
JPH0748456A JP5211059A JP21105993A JPH0748456A JP H0748456 A JPH0748456 A JP H0748456A JP 5211059 A JP5211059 A JP 5211059A JP 21105993 A JP21105993 A JP 21105993A JP H0748456 A JPH0748456 A JP H0748456A
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隆 塚原
Masahiro Takahashi
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ポリカーボネート等を、その有機溶媒溶液から
乾燥性のよい粒状体として 回収する方法を見出すこ
と。 【構成】ポリカーボネートの溶液から回収された粒状体
であり、該粒状体の少なくとも表面には、それを構成す
るそれぞれの独立した小粒子が集積構造を形成している
ことを特徴とするポリカーボネート粒状体及び、ポリカ
ーボネート溶液に貧溶媒を加え、加熱下、剪断力付与作
用を伴う攪拌をしつつポリカーボネート小粒子を粒状体
に転動造粒することを特徴とするポリカーボネート粒状
体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリマーの溶媒溶液から
回収された特殊な外表面形状のポリマー粒状体及びその
製造方法に関する。さらに詳しくは、特殊な外面形状を
持ち、残留溶媒の少ない球状のポリマー粒状体、特にポ
リカーボネート粒状体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】固形ポリマーをその有機溶媒溶液から回
収する手段として種々提案され、また実用化されてい
る。特にポリカーボネートの場合、通常は界面重縮合方
法によって製造され、その有機溶媒溶液を経て小粒子、
その集合した粒状体等固形ポリカーボネートの形で回収
されることが多い。従来種々提案されている固形ポリカ
ーボネートの回収方法は、特殊な装置を必要とするもの
が多く、設備的に安価に単離回収する方法は未だない。
例えば、上記のポリマーを回収する方法として、ポリマ
ー溶液に単に貧溶媒を添加する方法(特公昭42-1447
4)、ニーダーによる粉砕方法(特公昭53-15899)、温
水に投入、粉砕する方法(特開昭64-74231)等が知られ
ているが、これらの方法はいずれも特殊な設備を要する
ため、設備費用、回収費用が高くなり好ましくない。
【0003】一方、ポリマーの有機溶媒溶液、特にポリ
カーボネートの有機溶媒溶液からのポリマーの回収にお
いては、通常、固形ポリマー中の残留溶媒量が多く、ポ
リカーボネート等ポリマー製品の品質、物性等を低下さ
せていた。この問題を解決するための種々の技術が開示
されている。例えばポリカーボネート粒状体存在下にポ
リマー溶液を供給し、溶媒を蒸発する方法(特開平4-18
9835、特開平4-226541)があるが、この方法では緻密な
ポリカーボネート粉体が形成されるため、乾燥性が非常
に悪化し、またその乾燥性を良くするために250℃程
度迄の加熱をした場合はポリマー粒子間の融着やポリマ
ー自体の劣化を起こしやすいという問題がある他、この
方法による連続運転においては得られる粒子の粒径は肥
大化するのみであり、工業的規模での連続運転は実質的
に不可能でる。更に、この方法の改良方法として、ポリ
マー溶媒溶液に貧溶媒を投入して上記操作を行う方法
(特開平5-17586 )があるが、この方法により得られた
粒状体についても長時間の乾燥を必要とする問題があ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明は、ポリ
マー、特にポリカーボネートの上記従来の回収方法の場
合よりも乾燥性のよい粒状体の製造方法を提供するこ
と、また上記従来のポリマーの回収方法で得られたポリ
マー粉体よりも、はるかに乾燥性に優れたポリマー粒状
体、特にポリカーボネート粒状体を提供することを課題
とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
解決するため鋭意研究をした結果、回収されたポリマー
粒状体の表面又は全体の形状、大きさ等の特性を特定す
ることにより得られる特定のポリマー粒状体が上記課題
を解決し、また特定の条件下に特殊な攪拌、造粒をする
ことにより所期の課題を解決することを見いだし、この
知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明の要旨は、 (1)ポリマーの溶媒溶液から回収されたポリマー粒状
体であって、該粒状体の少なくとも表面が独立したポリ
マー小粒子の集積構造となっているポリマー粒状体。 (2)ポリマーの溶媒溶液から回収されたポリマー粒状
体であって、該粒状体がポリマー小粒子の形態を保持し
つつ凝集して形成されたポリマー粒状体。 (3)ポリマーの溶媒溶液から回収されたポリマー粒状
体であって、該粒状体の真球度がWadellの真球度に換算
して0.8〜1.0である上記(1)又は(2)のポリマー
粒状体。 (4)ポリマーの溶媒溶液から回収されたポリマー粒状
体であって、該粒状体の粒径(X)mm に対する重量分布が
(I) 式で表され、該分布は(II)式で表されるEf(測定数
n)が3×10-4以内でほぼ正規分布に一致しており、標準
偏差σ≦0.5であり、0.3≦嵩密度(g/cc)≦0.7である
上記(1)又は(2)のポリマー粒状体。
【数3】
【数4】 (5)ポリマー小粒子の粒子径が0.001〜0.2mmであ
る上記(1)又は(2)のポリマー粒状体。 (6)ポリマー粒状体の比表面積が1〜100m2/gであ
る上記(1)又は(2)のポリマー粒状体。 (7)ポリマー粒状体の粒径が0.5〜5mmである上記
(1)ないし(4)のいずれかのポリマー粒状体。 (8)ポリマー粒状体の嵩密度が0.3〜0.7g/cc であ
る上記(1)ないし(4)のいずれかのポリマー粒状
体。 (9)ポリマーがその主鎖中にエステル結合を有する上
記(1)又は(2)のポリマー粒状体。 (10)主鎖中にエステル結合を含有するポリマーがポ
リカーボネートである上記(9)のポリマー粒状体。 (11)ポリマーの溶媒溶液に液状の又は気化させた貧
溶媒を加え、加熱雰囲気下において剪断力付与作用を伴
う攪拌をしながらポリマー小粒子を粒状体に転動造粒す
るポリマー粒状体の製造方法。 (12)ポリマーの溶媒溶液に液状の又は気化させた貧
溶媒を加え、加熱雰囲気下において剪断力付与作用を伴
う攪拌をしてポリマー小粒子を形成し、続いて転動造粒
するポリマー粒状体の製造方法。 (13)貧溶媒の使用量を、貧溶媒量×100/{ポリ
マー溶液量×(1−ポリマー溶液濃度(%)/10
0)}=5〜80とする上記(11)又は(12)のポ
リマー粒状体の製造方法。 (14)貧溶媒がn−ヘプタンである上記(11)又は
(12)のポリマー粒状体の製造方法。 (15)剪断速度が10〜80 m/m・sec である剪断力
を付与する上記(11)又は(12)のポリマー粒状体
の製造方法。 (16)剪断力付与作用を伴う攪拌によるポリマー小粒
子の形成及び転動造粒を同一造粒槽内で行う上記(1
1)又は(12)記載のポリマー粒状体の製造方法。 (17)剪断力付与作用を伴う攪拌によるポリマー小粒
子の形成及び転動造粒をシングル又はダブルヘリカルの
回転翼を有してなる造粒槽内で行う上記(11)又は
(12)のポリマー粒状体の製造方法にある。
【0007】本発明において対象とするポリマーはポリ
カーボネート、ポリアリレート、ポリエステルポリカー
ボネート、ポリアミド等、主として溶媒を用いた重縮合
反応で得られるものであり、ポリカーボネート及びポリ
アリレートが最適である。
【0008】ポリカーボネートは、通常の重縮合反応に
よって得られるが、具体的には2価フェノールとホスゲ
ン又は炭酸エステル化合物とを反応させることにより容
易に製造することができる。2価フェノールとしては、
ハイドロキノン;4,4’−ジヒドロキシジフェニー
ル;ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン〔例え
ば、ビスフェノールAなど〕;ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)シクロアルカン;ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)オキシド;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフ
ィド;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン;ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等及びこれらのハロ
ゲン置換化合物が挙げられる。また、炭酸エステル化合
物としてはジフェニールカーボネート等のジアリールカ
ーボネート;ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネ
ート等のジアルキルカーボネートが挙げられる。ポリカ
ーボネートの重縮合法による製造方法を、その代表的な
ホスゲン法について簡単に説明する。最も一般的には、
ビスフェノールAとホスゲンを塩化メチレン等の不活性
溶媒中で第三級アミン(トリエチルアミン等)の触媒の
存在下で反応させることによりポリカーボネートを得る
ことができる。
【0009】一方、ポリアリレートは、通常の重縮合反
応によって得られるものであり、2価フェノールとテレ
フタール酸ジクロリド,イソフタル酸ジクロリド等芳香
族多塩基酸の塩化物とを反応させることにより容易に製
造することができる。2価のフェノールとしては、上記
と同様のものが使用できる。
【0010】ポリエステルポリカーボネートは前記ポリ
カーボネートの技術がそのまま応用できる。ポリアミド
(特に芳香族ポリアミド)は、芳香族ジカルボン酸クロ
リドと芳香族ジアミンとをジメチルアセトアミドのよう
な極性溶媒中で、室温のような温和な条件下で重縮合さ
せることにより得ることができる。
【0011】本発明において使用される良溶媒としては
有機溶媒であり、当然、対象ポリマーを溶解することが
できるものでなければならないが、ポリマーに対して実
質的に不活性であり、更にポリマー回収工程とか溶媒精
製回収工程における温度で実質的に安定であることが要
求される。このような有機溶媒としては、ポリマー回収
工程におけるポリマー粒状体からの有機溶媒の除去を考
慮すると、200℃以下の沸点を有するものが好まし
く、通常はメチレンクロライド、クロロホルム、クロロ
ベンゼン等の塩素系有機溶媒を始め、ジオキサン、テト
ラヒドロフラン等の溶媒が好適であり、これらは単独ま
たは混合物の形で使用される。
【0012】上記有機溶媒はポリマーの良溶媒である必
要性と共に、該溶液から回収されるポリマー粒状体から
の容易な分離性、乾燥性が要求される。しかし、この要
求は両立し難く、この分離性、乾燥性と回収されるポリ
マーの形状との関係を検討した結果、小径のポリマー小
粒子がその形状を残してそのまま多数集積した球形の粒
状体のものが優れていることを見出した。この集積した
状態を維持している力は何であるか定かではないが、有
機溶媒存在時に湿潤状態で接触し、そのままの状態で乾
燥され、付着状態を維持しているのではないかと考えら
れる。この集積に際しては、小径のポリマー小粒子が押
し潰されるような外力は受けることがないと考えられる
が、現に集積して形成された粒状体の内部にも空隙が残
っていることが観察されることもこれを裏付けるもので
ある。この状態は電子顕微鏡による粒状体の表面写真、
断面写真(実施例、比較例参照)からも良く理解され
る。
【0013】また、ポリマー粒状体は、小径のポリマー
小粒子間の凝集力によって該ポリマー小粒子の形態を保
持しつつ凝集する態様によっても形成される。この凝集
力による場合は、個々の小粒子は変形したり、表面が完
全に溶解したりして隣接粒子と一体になるようなことが
ない。従って、小粒子が凝集してできた粒状体は前記同
様にその表面には個々の小粒子の球状形が残り、凹凸の
多い表面を形成し、粒状体としては大きい外表面積を有
している。
【0014】この集積又は凝集してできた粒状体は球状
体に近く、Wadellの真球度に換算して0.8〜1.0の真球
度を有するものである。真球度が高いほど粒状体のハン
ドリング性が良く、成形時に好都合である。また、粉体
の充填効率が上がり、嵩密度は向上する。更には真球状
であることにより、各種の添加剤や顔料を分散させる上
にも、均一になりやすく好都合である。
【0015】また集積又は凝集してできた粒状体は、通
常その粒径(X)mm に対する重量分布が前記(I) 式で表さ
れ、該分布は前記(II)式で表されるEf(測定数n)が3×
10-4以内でほぼ正規分布に一致しており、標準偏差がσ
≦0.5であり、0.3≦嵩密度(g/cc)≦0.7である。この
点からも本発明に係る粒状体のハンドリング性は良く、
また成形時の扱いにおいて好都合である。粒径分布がこ
こに示されるように狭いということは、輸送時の偏析が
生じにくく、添加剤等を均一に混合するのに都合が良く
なる。また微粉、粗粉がないので、コンパウンド、アロ
イ化のときも均一性を保持しやすく、ホッパー投入時の
微粉の舞い上がりない。
【0016】上記、集積又は凝集してできた粒状体の外
径は、溶媒の揮発性をよくする上で0.5〜5mmが好ま
しく、それを構成する小粒子の外形は0.001〜0.2m
mであることが好ましい。さらに同様に溶媒の揮発性を
向上させる要素であるポリマー粒状体の比表面積は1〜
100m2 /gであることが好ましい。なお、上記小粒
子の集合状態で定まる嵩密度は0.3〜0.7g/ccであるこ
とが上記同様、溶媒の揮発除去上好ましく、粉体の移送
及び輸送にも好都合である。
【0017】次に本発明に係るポリマー粒状体の製造方
法について詳述する。本発明のポリマー粒状体を得るた
めに使用されるポリマー溶液と共に、ポリマーの良有機
溶媒溶液からの回収性向上(小粒子の形成性向上、溶媒
残留量の低下)等のために貧溶媒が使用される。貧溶媒
としてはベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族化合
物、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等のアル
カン類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類又
はこれらの混合溶媒である。これら貧溶媒は、液体とし
て供給されるほか気化させて蒸気として供給してもよ
く、供給時期はまたポリマーの有機溶剤溶液を造粒槽に
供給する際に予め該有機溶媒溶液に供給してもよく、ま
た造粒槽にポリマー有機溶媒溶液を供給後、攪拌しなが
ら槽壁より供給するなど、有機溶媒溶液とは別々に供給
してもよい。貧溶媒はポリマー有機溶媒溶液に集中して
添加されることはポリマーの異常な固形化を招きやすい
ので、攪拌下に徐々に均一に添加する方法が最も好まし
い。
【0018】貧溶媒の投入量は、ポリマーが析出してし
まうほど多くなければ特に制限されるものではないが、
溶媒/(ポリマー溶液量×{1−ポリマー溶液濃度})
×100=混入量(%)の値が5〜80重量%が好まし
く、より好ましくは10〜70重量%である。ここで5
重量%未満では、従来法と変わらず微粉体(小粒子)の
形成性は悪く、また回収ポリマーからの溶媒の揮発性も
向上しないので好ましくない。逆に80重量%を超える
と形成されるポリマー粒状体の嵩密度が低下し、好まし
くない。
【0019】ポリマーの良有機溶媒溶液の濃度は3〜6
0重量%、好ましくは10〜50重量%が選択される。
ここで上記濃度が3%未満では、予め適宜濃縮しておか
ない限り、回収する溶媒量が多くなりポリマー粒状体製
造工程全体として非効率的であり好ましくない。また逆
に60重量%を超えると、上記溶液の粘度が上がり、高
温又は更に高圧にしなければ流動性がなく造粒槽への供
給自体が困難になる。もっとも、高濃度で供給する方法
としては、より低濃度の溶液を加熱してフラッシュしつ
つ供給する方法がある。この場合、高温に加熱し過ぎる
と、ポリマーの熱劣化を招くので温度の選択には注意を
要する。ポリカーボネートの塩化メチレン溶液では25
0℃を超えるとポリカーボネートの熱劣化を起こしはじ
めるので好ましくなく、200℃以下が好ましく、さら
に180℃以下がより好ましい。ポリマー溶媒溶液を加
熱する場合、供給管の中での溶媒の気化発泡を抑えるた
め、少なくともヒーター部では加圧して発泡を抑え、造
粒槽の中又は造粒槽にできるだけ近い場所でフラッシュ
させることが好ましい。この一例を図1に示す。攪拌翼
15付き造粒槽11に入るポリマー溶媒溶液12はヒーター1H
で加熱されるが、バルブ1Vを僅かに閉めて圧力アップを
図ることが好ましい。17は小粒子の層であり、1Eは粒状
体排出口である。なお、横型の攪拌機であれば攪拌機の
かみ合わせ部に供給するのが剪断力を与える点で好まし
い。
【0020】造粒槽においてはポリマー有機溶媒溶液と
貧溶媒が攪拌されながらポリマーの小粒子が生成し、こ
の小粒子は転動造粒されてポリマー粒状体となるが、攪
拌は加熱雰囲気下で行われ、且つ剪断力付与作用を伴う
ものでなければならない。これは、造粒されて生成して
くる小粒子がそのまま大径の粒子になってしまうことを
抑えるために、絶えず一定の径以下に維持させようとす
ることと、必要な小径粒子を得るためのものである。ま
た、加熱雰囲気下で行うことは、形成された小径粒子が
独立した粒子となるために必要な操作となり、加熱しな
ければ、分散しても溶液のままで、小径粒子を形成しな
いと考えられる。このような作用を伴う装置としては、
剪断型の翼とかパドルを有するものであればよいが、剪
断型翼としてはパドル翼やヘリカル翼があり、又、ニー
ダーとか横型攪拌機でもよい。造粒は加熱下に行われる
ため、造粒装置自体にジャケットを設け、スチーム加
熱、温水加熱の他オイル加熱も可能にしておくことが好
ましい。
【0021】前記攪拌機により小粒子を生成するために
は、該攪拌機に剪断力付与作用を伴う必要があるが、該
剪断力の大きさは特には限定されない。この剪断力は攪
拌機の翼と壁面との間の間隙dc(m) 及び相対速度V(m
/s) から計算される剪断速度F=V/dc(m/m・sec)
により決まり、この値が10〜80(m/m・sec)である
ことが好ましいが、20〜80(m/m・sec) がより好ま
しい。この場合、10(m/m・sec)未満では回収されるポ
リマーが小粒子(粉体)にならず固体塊を作ってしま
い、それ以上小粒子を作ることが困難になる。逆に80
(m/m・sec)を超えると、必要以上に装置動力が大きくな
り、特に有利な点はない。なお、ヘリカル型攪拌機付き
縦型攪拌槽では、攪拌槽の静止壁面に対するヘリカル型
翼の外周速度V、二軸攪拌機付き攪拌槽では、それぞれ
の翼の先端部の相対速度Vを取れば良い。この好ましい
範囲の値は、少なくとも槽内にポリマー溶媒溶液が供給
される部分、例えば槽内の小粒子に直接供給される部分
の値が該当すればよい。
【0022】上記造粒槽を用いて造粒操作を行うときの
操作温度は、ポリマー溶媒溶液の該溶媒の沸点以上であ
ることが好ましい。沸点未満では溶媒の除去効率が悪い
ばかりか、ポリマーの造粒自体が困難になる。また、操
作圧力は−500mmHg〜10KgG/cm2 が最も好ましい。
−500mmHg未満では減圧装置が大型になり、逆に10
KgG/cm2 を超えると耐圧容器が必要となり、共にコスト
的その他の点で好ましくない。
【0023】造粒槽へのポリマー溶媒溶液の供給位置
は、ポリマーの固形分が異常に攪拌機の翼や槽内壁に付
着しない状態であれば特に制限されないが、ポリマー溶
媒溶液の供給開口部に対して、攪拌されているポリマー
小粒子(粉体)によるセルフクリーニング効果を出すた
め、該小粒子の層中に供給するのが最も好ましい。この
場合、前記供給孔の開口方向によっては、攪拌されてい
るポリマー小粒子により開口部が閉塞されやすいので、
攪拌下の小粒子の流れ方向を考慮して開口方角が決めら
れる。また、ポリマー溶媒溶液の供給開口部が閉塞し難
いように又は生成した小粒子に適当な範囲で剪断力が与
えられるように、剪断速度が最大である位置にポリマー
溶媒溶液を供給することが剪断力付与の効果の点で最も
好ましい。
【0024】上記のようにして所定の剪断力を受けつつ
生成したポリマーの小径の小粒子は、次に転動造粒され
大径の粒状体になる。転動造粒は先の攪拌造粒工程の終
了後、又はそれと並行して行われる。装置としては、縦
型槽であればヘリカル翼、パドル翼を有する攪拌機が好
ましいが、横型槽ではニーダー、ディスク型攪拌機が使
用できる。転動造粒は上記小粒子を転がし、そのもとの
形を可及的に保持しつつ大径の粒状体に造粒するのみで
あるので、動力はほとんど必要とせず、約0.1〜5Kw/m
3・Hrで良い。滞留時間としては、好ましくは0.1〜1
0Hr、より好ましくは0.2〜5Hrである。0.1Hr未満で
は、造粒が充分に進行せず、10Hrを超えて実施しても
格別の効果はない。
【0025】粒状体への造粒は、前記小粒子の造粒工程
に続いてそのまま直ちに、又は更めてバインダーを添加
して行われえる。即ち、先の造粒工程で完全には溶媒が
揮発していなければ、小粒子表面はまだ濡れた状態にあ
り、転動により集積または凝集状態になりうるが、ほと
んど完全に揮発しておれば、バインダーを添加したほう
が好ましい。このバインダーとしては、良溶媒又は貧溶
媒として使用されている塩化メチレン又はn−ヘプタン
が単独又は混合物として使用される。これらは液体とし
て使用されることもあるが、気化して蒸気として使用す
ることもできる。
【0026】塩化メチレンは単独で使用する場合のほ
か、貧溶媒と併用する場合も小粒子中の含有量は2〜2
5重量%が好ましく、3〜20重量%がより好ましい。
2重量%未満では小粒子の充分な凝集効果が得られず、
25重量%を超えると粒子表面が溶解し、造粒された粒
状体の表面の比表面積を低下させ、乾燥性を悪化させる
ことになり、本発明の本来の効果を達成できない。一
方、併用されることのある貧溶媒は、ポリカーボネート
の小粒子中の含有量は1〜50重量%が好ましく、2〜
40重量%が更に好ましい。ここに、1重量%未満では
混合使用する塩化メチレンが造粒された粒状体の表面を
一部溶解してしまい、好ましくない。逆に、50重量%
を超えると小粒子の凝集効果を阻害するのみではなく、
ポリカーボネート小粒子とは遊離し、液状として存在す
るようになるので、小粒子の取扱が煩雑になる問題が生
じる。
【0027】バインダーとしての塩化メチレン単独又は
貧溶媒との混合物は、上記含量になるような条件下で処
理されるが、好ましい処理形態としては、攪拌中のポリ
カーボネート小粒子中に均一に添加する方法、例えば、
攪拌中の上方の1ないし数カ所から均一に散布する方法
が最も簡単で且つ有効である。バインダーの供給量は該
小粒子に対して時間当たり、0.1〜30重量%が好まし
い。0.1重量未満では処理時間が長くなり効率的でな
く、30重量%を超えると大きい凝集塊を作ったり、塩
化メチレンによって小粒子表面が溶解する可能性が高く
なる。
【0028】処理温度としては、使用する溶媒の種類に
もよるが、小粒子が前記溶媒含量になる状態にするに
は、20〜200℃が好適である。この場合、20℃未
満では処理効率が悪く、逆に200℃を超えるとポリマ
ーの劣化を招き易い。ポリマー中の溶媒含有量を一定に
するためには、小粒子の温度を良溶媒又は貧溶媒の少な
くとも一方の沸点以上として、供給量と蒸発量をバラン
スさせつつ処理することが操作上最も好ましい。
【0029】集積又は凝集して形成されたポリマー粒状
体は、通常0.1〜60重量%の溶剤を含むので、乾燥を
要する。乾燥はN2 ,Ar,CO2 等の不活性ガスによ
る流通、または真空、またはそれらを組み合わせた方法
をとることができる。乾燥温度は50〜220℃が好ま
しく、60〜180℃が更に好ましいが、80〜180
℃が最も好ましい。50℃未満では乾燥効率が悪く、2
20℃を超えると粒状体間の融着によりブロック体を形
成しやすく好ましくない。使用される乾燥機の形式とし
ては、ホッパー型攪拌機、横型攪拌機、縦型攪拌槽等が
使用できる。これらの中、攪拌型のものは粒状体間の融
着を防止でき、乾燥温度を可なり上げることができるの
で好ましい。
【0030】これら小径のポリマー小粒子の形成と大径
のポリマー粒状体の造粒とは別々の装置で行ってもよい
し、また同一の装置で行ってもよい。上記同一の装置で
行う場合、縦型攪拌層(翼タイプはヘリカル型、又はパ
ドル型)や、横型攪拌機が最も好ましい。この同一装置
で行う場合は、翼と層壁間、若しくは翼同士間の相対速
度V(m/m・s),クリアランスdc(m)で決まる剪断速度
Fは10〜80(m/m・s)が好ましいが、20〜80(m/m
・s)がより好ましい。なお、同一装置で行う場合は溶
媒、貧溶媒の蒸発に必要な伝熱を良くする目的で、また
製品が直ぐに得られるように予め用意した同一ポリマー
の小粒子を造粒槽に投入しておいてもよい。予め投入し
ない場合は、この造粒方法で実施しながら形成された小
粒子がそのまま使用できるので、連続生産には便利であ
る。
【0031】以上説明した方法で得たポリマー粒状体に
は、次のような特徴が得られる。 (1) 比表面積として、1〜100m2/g のものが得られ
る。実用上好ましくは5〜50m2/g である。 (2) 嵩密度は0.3〜0.7g/ccのものが得られる。実用
上好ましくは0.4〜0.6g/ccである。
【0032】
【実施例】
(実施例1)ポリマーとして、ポリカーボネート(出光
石油化学株式会社製、製品名タフロンA2200)を用
いて、塩化メチレン(広島和光純薬製、特級)に溶解し
て22重量%のポリカーボネートの塩化メチレン溶液と
した。更にこの溶液に貧溶としてn−ヘプタンを25重
量%(対塩化メチレン)混合して、ポリマー小粒子製造
用溶液を調製した。有効容積が約8リットルの、ダブル
ヘリカル翼25を有している縦型の造粒槽21(図2)を用
意した。また造粒槽には温水による加熱用ジャケット
(図示せず)を備えた。この容器内部を80℃に加熱
し、攪拌翼を120rpmで攪拌している所へ、上記ポ
リカーボネート溶液22を800g/hrの速度で供給した。
供給する位置は、ポリカーボネート溶液が攪拌翼の剪断
を受けるよう、容器の下方部とした。この時、攪拌翼が
有する剪断速度は36(m/m・sec)であった。供給を始め
てからしばらくすると、ポリカーボネートの小粒子が生
成しはじめた。なおも運転を続けると、内部粉体の温度
は約50℃を示し、小粒子は凝集を始め、平均粒径1.3
mm(大径の粒状体)で安定する事が確認された。この安
定性がよい理由は定かではないが、攪拌翼がダブルヘリ
カル型であるため、攪拌能力が高いためではないかと考
えられる。上記条件下更に6Hrの連続運転で、粒状体の
レベルが槽内の半分以上に上昇してきたので、レベルが
一定となるよう、粒状体を排出口2Eから間欠的に抜き出
し、更に20Hrの運転を実施した。生成した粒状体を抜
き出しはじめてからも、粒状体温度および粒子径は常に
安定した状態で連続運転が可能であった。得られた粒状
体について、120℃のオーブンで乾燥し、重量法に
て、溶剤含量を測定したところ、36重量%であった。
また、この粒状体をジクロルエタンに溶解し、常法にて
含有溶剤の組成を分析したところ、前記36重量%中、
塩化メチレン19重量%、ヘプタン17重量%であるこ
とがわかった。さらに得られた粒状体を内容積200ミ
リリットルの乾燥容器に入れ、窒素の流通下で135℃
で約2時間乾燥し粒状体中の溶剤含量を測定したところ
塩化メチレンは10重量ppm 以下、ヘプタンは、30重
量ppm 以下となり、非常に優れた乾燥性を示すことが分
かった。こうして乾燥した粒状体をさらにふるい分け
し、各粒径毎の粒状体重量分布を測定し、その実測値に
基づく分布形状を各種の粒度分布関数の各関数形との間
で誤差(偏差)が最小となるよう相関関係を見、非線形
最小二乗法により、最も良く合うように定数を決めた。
図11は、上記の方法により得た、実測値と各種分布関
数を示すライン(上記実線、点線、一点鎖線)との相関
関係を示す。同図において●印は実測値であり、実線は
正規分布(平均径Xbar =1.31948,σ=0.269
57)、点線はRosin−Rammler分布(K=
0.103791,n=6.48573)、一点鎖線は対数
正規分布(平均径Xbar =1.14205,σ=1.351
15)をそれぞれ示す。ここにRosin−Ramml
er分布とは、ふるい下積算分布が下記(III)式で表さ
れる分布である。 1−R(X) =1−exp(−KXn ) (III) ここに X :粒子径 R(X) : ふるい上積算割合 K,n:定数 また、対数正規分布とは、ふるい下積算分布が下記(IV)
及び(V) 式で表される分布である。
【数5】 ここに
【数6】 上記の検討の結果、正規分布形状が最も良く一致するこ
とが分かった。また、そのときの誤差関数値Ef(n) は
1.23×10-4(−)であった。次に、この乾燥後の粒
状体について表面および内部(切断面)の状態を電子顕
微鏡で観察すると、図7及び図8 (写真) のようであ
り、平均粒径0.006mmの小径の小粒子が凝集している
状態が観察された。比表面積は、22 m2/g であった。
詳細な条件及び結果は第1表に示す。
【0033】(実施例2)実施例1に記載の方法で、ポ
リカーボネートの塩化メチレン溶液を調製した。次に有
効容積が6リットルで、シングルヘリカル翼35を有する
攪拌機付き縦型造粒槽31を用意した(図3)。この造粒
槽のジャケット( 図示せず) に120℃のスチームを供
給すると共に、攪拌翼を90rpm で攪拌しつつ、上記ポ
リカーボネート溶液を400g/Hrの速度で供給した。
この時、攪拌翼先端の剪断速度は、F=16 (m/m ・se
c)であった。ポリカーボネート溶液の供給を始めてしば
らくすると、ポリカーボネートの小粒子が生成しはじ
め、小粒子レベルが上昇してきた。この間、小粒子層の
温度は83℃となった。造粒槽内に小粒子が一杯となっ
た時点で取り出し、その溶剤含量を重量法にて測定する
と、3.2重量%であった。次に、上記小粒子の入った同
一造粒槽の内温を62℃に保ち、攪拌しつつ塩化メチレ
ンとヘプタンを3:1の割合で混合した溶媒80gを供
給し、その後30分間攪拌をした。その後、ポリカーボ
ネートの粒子を観察したところ、最初に存在した小粒子
はほとんど消え、その凝集した粒状体のみとなってい
た。この粒状体について、溶剤含量およびその組成を分
析したところ、全溶剤は粒状体の25重量%で、その内
訳は塩化メチレン11重量%、ヘプタン14重量%であ
った。この粒状体について実施例1と同様の方法で乾燥
を行い、残留溶媒を調べたところ、塩化メチレンは21
ppm(重量) 、ヘプタンは80ppm(重量) で、やはり乾燥
性に優れるものであることが判った。この粒状体の比表
面積は18m2/g、平均粒径は1.6mmで、平均粒径0.00
6mmの小粒子が凝集している状態が観察された。詳細な
条件及び結果は第1表に示す。
【0034】(実施例3〜8)実施例1において、ポリ
マー溶液濃度, ヘプタン混合量,攪拌機回転数,攪拌翼
の種類を変えた以外は実施例1と同様な方法で実施し
た。詳細な条件および結果は第1表に示す。
【0035】(比較例1)攪拌機として図2に示したも
のを使用し、ジャケット温度を90℃とし、攪拌回転数
を50rpm で回転し、その他は実施例1と同様な条件で
実施した。攪拌における剪断速度は5.6(m/m・sec)であ
った。この条件下、20時間の運転を実施しポリカーボ
ネートの粒状体を得た。この得られた粒状体の平均粒径
は1.3mmであり、粒状体含有溶剤量は33重量%であ
り、その内訳は塩化メチレン16重量%、ヘプタン17
重量%であった。また粒状体を窒素気流下135℃で2
時間乾燥したところ、含有溶媒量即ち塩化メチレンは8
60ppm(重量),ヘプタンは2300ppm(重量) であっ
た。得られた粒状体について電子顕微鏡にて表面および
断面を観測したところ、図9及び図10(写真)のよう
であり、実施例1の場合に比較して表面は滑らかであ
り、切断面については非常に密な状態であり個々の小粒
子の形は残っていなくて、全体として凝集体とはなって
いないことが判った。またこの粒状体について比表面積
を測定したところ1.1m2/gであった。詳細な条件及び
結果は第1表に示した。
【0036】(比較例2及び3)使用するヘプタンの量
を変えた以外は実施例1と同様な操作を実施した。条件
及び結果を第1表に示した。比較例2においては、n−
ヘプタンを全く使用しなかったが、得られた粒状体の粒
径は運転時間の経過と共に大きくなるのみであり、運転
時間約10Hrで中止した。また乾燥性は全く悪いもので
あった。また、比較例3では多量に貧溶媒を使用したも
のであるが、嵩密度が大きく低下している。比較例3で
得られた粉体は、特に粒径分布が広いため、実施例1と
同様に粒径分布関数との相関を試みたところ、いずれの
分布関数にも良好に一致するものはなく、誤差関数値E
f(n) は正規分布関数形で4.5×10-3(−)となっ
た。
【0037】( 比較例4及び5)攪拌機の回転数を変
え、剪断速度を大きく低下させた状態で実施した以外は
実施例1と同様に行った。条件及び結果は第1表に示し
た。なお、比較例4では得られた粒状体の粒径が大き
く、その乾燥性が低下し、比較例5では粒径分布が広が
り、大きな凝集塊が散見された。
【0038】(実施例9)攪拌機の回転数を190rp
mに上げ、剪断速度を63とした以外、実施例7と同様
に行った。詳細な条件及び結果は第1表に示した。
【0039】(実施例10)120℃のオイルバス4Hに
設置されたステンレス製のコイル管を通して、8リット
ルのダブルヘリカル翼45を有する造粒槽41にポリカーボ
ネート−塩化メチレン溶液42を供給すると共に、同時に
ヘプタン48を別の供給口から供給した(図4)以外は実
施例1と同様に行った。なお、ポリカーボネート−塩化
メチレン溶液は予め大気中に放出して、塩化メチレンの
一部がフラッシュ蒸発して45重量%まで濃縮されるこ
とを確認した。上記条件で連続運転を実施したところ、
生成した粒状体47の温度は54℃となり、平均粒径は1.
4mmであった。生成時の粒状体の含有溶剤量は32重量
%であり、その内訳は塩化メチレンが15重量%,ヘプ
タンが17重量%であった。また実施例1に記載の方法
で乾燥後、残留溶剤量を測定したところ、塩化メチレン
20ppm(重量) 、ヘプタン30ppm(重量)であり、乾燥
性の良い粒状体が得られていることがわかった。この粒
状体の比表面積は25m2/gであり、嵩密度は0.49 g/cc
であった。詳細な条件及び結果は第1表に示した。
【0040】(実施例11)貧溶媒として、n−ヘプタ
ンに代えアセトンを使用した以外は、実施例1と同様に
実施した。詳細な条件及び結果は第1表に示した。
【0041】(実施例12)貧溶媒として、n−ヘプタ
ンに代えヘキサンを使用した以外は、実施例1と同様に
実施した。詳細な条件及び結果は第1表に示した。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】(実施例13)小粒子及びこれを凝集せし
めた粒状体を製造するため、図5に示した装置を使用し
た。小粒子を製造するための第1槽A及び粒状体を製造
するための第2槽Bは、それぞれ加熱用ジャケット53A
及び53B を備え、第1槽から第2槽へのポリマー粒子の
輸送はロータリーバルブRを設けて連続的に行えるよう
にした。第1槽に実施例1で調製したポリカーボネート
溶液52を攪拌下に500g/Hrの速度で供給した。な
お、第1槽のジャケットには120℃のスチームSを通
し、生成するポリマーの小粒子57A の温度が95℃とな
るように調節した。しばらくした後、第1槽には平均粒
径0.015mmの小粒子が生成し、排出用開口部から排
出され始めたので、ロータリーバルブを回転して第2槽
に供給を開始した。第2槽Bではジャケットに65℃の
温水Wを通し、一方、塩化メチレンとヘプタンの混合溶
媒54(ヘプタンが塩化メチレンに対して25重量%)を
バインダーとして攪拌中のポリマー小粒子に対し250
g/Hrの速度で供給した。この操作中のポリマーの小粒子
の温度は53℃で一定であった。この操作を始めて後、
第2槽においても平均粒径1.4mmの凝集した粒状体57B
が生成し始めたので下部のバルブを利用して造粒槽内の
レベルが一定になるように粒状体を抜き始めた。第1槽
及び第2槽においてそれぞれ生成した小粒子及び粒状体
の含有溶媒量を測定したところ、前者では塩化メチレン
が0.5重量%、ヘプタンが1.1重量%、後者では塩化メ
チレンが18重量%、ヘプタンが23重量%であった。
第2槽より排出される粒状体について実施例1と同様な
方法で乾燥し、残留溶媒を測定したところ、塩化メチレ
ンが15ppm(重量) 、ヘプタンが120ppm という低い
値であった。なお、粒状体の比表面積は12m2 /gで
あった。
【0047】(実施例14)有効容積が8リットルで、
図6に示すパドル型の攪拌翼65を有する攪拌機を備えた
造粒槽61(攪拌翼と槽壁との間隙は10mm)のジャケ
ット63に120℃のスチームSを供給し、90rpmで
攪拌しつつ実施例1に記載の方法と同じ方法で調製した
ポリカーボネート溶媒溶液62を400g/Hrの速度で供
給した。上記攪拌中の攪拌翼の剪断速度はF=16(m/m
・sec)であった。供給を始めてしばらくすると、造粒槽
内には小粒子67が生成し始めたが、造粒槽の側面にある
抜き出し孔6Eより速やかに取り出した。この時槽内の小
粒子の温度は92℃であり、残留溶媒量は1.1重量%
(その内訳は塩化メチレンが0.4重量%、ヘプタンが0.
7重量%)であった。このように所定の値以上の剪断力
を加えつつ、適当な加熱を行うと、小粒子が生成するこ
とが分かる。
【0048】
【発明の効果】本発明はポリマーの有機溶媒溶液からポ
リマーを微細な形状で回収するにあたり、造粒槽内で所
定の剪断力を伴う攪拌をしつつ小粒子を形成せしめ、さ
らにこの小粒子を同じ又は他の造粒槽内で集積又は凝集
せしめることにより、乾燥性のよい、嵩密度の高い球状
の粒状体を得ることに成功した。
【図面の簡単な説明】
【図1】高濃度のポリマー溶媒溶液供給に使用する造粒
装置
【図2】ダブルヘリカル攪拌翼付き造粒槽
【図3】シングルヘリカル攪拌翼付き造粒槽
【図4】貧溶媒をポリマー溶媒溶液とは別けて供給する
造粒装置
【図5】造粒を2槽に分けて行う造粒槽
【図6】小粒子生成状態を調べる造粒槽
【図7】実施例1で得られた粒状体の表面の電子顕微鏡
写真(1000倍)
【図8】同上の粒状体の切断面の電子顕微鏡写真(70
倍)
【図9】比較例1で得られた粒状体の表面の電子顕微鏡
写真(1000倍)
【図10】同上の粒状体の切断面の電子顕微鏡写真(7
0倍)
【図11】実施例1で調製した粒状体の粒度分布及びそ
の関数形
【符号の説明】
11,21,31,41,51A,51B,61・・・
造粒槽 12,22,32,42,52,62・・・・ポリマー
溶媒溶液 53A,53B,63・・・・・・・・・・・ジャケッ
ト 54・・・・・・・・・・・・・・・・・・・バインダ
ー 15,25,35,45,65・・・・・・・攪拌翼 17,27,37,47,57A,57B,67・・・
小粒子,粒状体 48・・・・・・・・・・・・・・・・・・・貧溶媒 1E,6E・・・・・・・・・・・・・・・・小粒子,
粒状体排出口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 正浩 千葉県市原市姉崎海岸1番地1 出光石油 化学株式会社内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリマーの溶媒溶液から回収されたポリマ
    ー粒状体であって、該粒状体の少なくとも表面が独立し
    たポリマー小粒子の集積構造となっていることを特徴と
    するポリマー粒状体。
  2. 【請求項2】ポリマーの溶媒溶液から回収されたポリマ
    ー粒状体であって、該粒状体がポリマー小粒子の形態を
    保持しつつ凝集して形成されたことを特徴とするポリマ
    ー粒状体。
  3. 【請求項3】ポリマーの溶媒溶液から回収されたポリマ
    ー粒状体であって、該粒状体の真球度がWadellの真球度
    に換算して0.8〜1.0である請求項1又は2記載のポリ
    マー粒状体。
  4. 【請求項4】ポリマーの溶媒溶液から回収されたポリマ
    ー粒状体であって、該粒状体の粒径(X)mm に対する重量
    分布が(I) 式で表され、該分布は(II)式で表されるEf
    (測定数n)が3×10-4以内でほぼ正規分布に一致してお
    り、標準偏差σ≦0.5であり、0.3≦嵩密度(g/cc)≦0.
    7である請求項1 又は2 記載のポリマー粒状体。 【数1】 【数2】
  5. 【請求項5】ポリマー小粒子の粒子径が0.001〜0.2
    mmである請求項1又は2記載のポリマー粒状体。
  6. 【請求項6】ポリマー粒状体の比表面積が1〜100m2
    /gである請求項1又は2記載のポリマー粒状体。
  7. 【請求項7】ポリマー粒状体の粒径が0.5〜5mmである
    請求項1ないし4のいずれかに記載のポリマー粒状体。
  8. 【請求項8】ポリマー粒状体の嵩密度が0.3〜0.7g/c
    c である請求項1ないし4のいずれかに記載のポリマー
    粒状体。
  9. 【請求項9】ポリマーがその主鎖中にエステル結合を有
    する請求項1又は2記載のポリマー粒状体。
  10. 【請求項10】主鎖中にエステル結合を含有するポリマ
    ーがポリカーボネートである請求項9記載のポリマー粒
    状体。
  11. 【請求項11】ポリマーの溶媒溶液に貧溶媒を加え、加
    熱雰囲気下において剪断力付与作用を伴う攪拌をしなが
    らポリマー小粒子を粒状体に転動造粒することを特徴と
    するポリマー粒状体の製造方法。
  12. 【請求項12】ポリマーの溶媒溶液に貧溶媒を加え、加
    熱雰囲気下において剪断力付与作用を伴う攪拌をしてポ
    リマー小粒子を形成し、続いて転動造粒することを特徴
    とするポリマー粒状体の製造方法。
  13. 【請求項13】貧溶媒の使用量を、貧溶媒量×100/
    {ポリマー溶液量×(1−ポリマー溶液濃度(%)/1
    00)}=5〜80とする請求項11又は12記載のポ
    リマー粒状体の製造方法。
  14. 【請求項14】貧溶媒がn−ヘプタンである請求項11
    又は12記載のポリマー粒状体の製造方法。
  15. 【請求項15】剪断速度が10〜80 m/m・sec である
    剪断力を付与する請求項11又は12記載のポリマー粒
    状体の製造方法。
  16. 【請求項16】剪断力付与作用を伴う攪拌によるポリマ
    ー小粒子の形成及び転動造粒を同一造粒槽内で行う請求
    項11又は12記載のポリマー粒状体の製造方法。
  17. 【請求項17】剪断力付与作用を伴う攪拌によるポリマ
    ー小粒子の形成及び転動造粒をシングル又はダブルヘリ
    カルの回転翼を有してなる造粒槽内で行う請求項11又
    は12記載のポリマー粒状体の製造方法
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