JPH11310641A - ポリカーボネート粒状体の製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート粒状体の製造方法

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JPH11310641A
JPH11310641A JP12052298A JP12052298A JPH11310641A JP H11310641 A JPH11310641 A JP H11310641A JP 12052298 A JP12052298 A JP 12052298A JP 12052298 A JP12052298 A JP 12052298A JP H11310641 A JPH11310641 A JP H11310641A
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polycarbonate
granules
polycarbonate resin
organic solvent
vessel
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JP12052298A
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English (en)
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Koji Tsuchide
宏司 土手
Toshinori Matsuura
利則 松浦
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粉体量が少なくろ過性が良好で、また、残留
溶媒量の低いポリカーボネート樹脂粒状体を得ることが
できるポリカーボネート樹脂粒状体の製造方法を提供す
る。 【解決手段】 ポリカーボネート粒状体と温水との混合
物が存在する容器中に、攪拌状態で、ポリカーボネート
の有機溶媒溶液を連続的に供給して、該溶媒を蒸発させ
ることにより、ポリカーボネートの有機溶媒溶液からポ
リカーボネート粒状体を製造する方法において、該容器
内の温度を特定の範囲内に保持し、攪拌速度が60〜1
00rpmであり、且つ攪拌能力が5〜10kw/hr
・m3であることを特徴とするポリカーボネート粒状体
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリカーボネート
の有機溶媒溶媒からポリカーボネート粒状体を製造する
方法に関するものである。更に詳しくは、粉体が少な
く、ろ過性が良好で、また乾燥性に優れたポリカーボネ
ート粒状体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネートの有機溶媒溶液からポ
リカーボネート粉粒状体を製造する方法は、従来から数
多く提案されており、熱水または水蒸気と接触させてフ
レーク化または粒状化する方法、濃縮、冷却またはポリ
カーボネート粉末を添加してゲル化させ、これを粉砕す
る方法、非溶媒あるいは貧溶媒を添加してゲル化させ、
これを粉砕または細粒化する方法などが知られている。
【0003】例えば、特公昭40−3533号公報には
40〜100℃、殊に90〜100℃の乱流水中にポリ
カーボネートの溶液を注加する方法が示され、得られる
フレークは、内部に多くの空隙を有する状態のものであ
るために、嵩密度は0.1g/cm3以下であり、取扱
い上極めて不便である。フレークの生成を避け、あるい
は嵩密度を上げる手段として特公昭46−37424号
公報は攪拌下にある50〜75℃の温水の水面上または
水面下に、ポリカーボネート溶液を細孔に通して噴射す
る方法を開示しているが、得られる固体状ポリカーボネ
ートは小風船状になったり、紐状になったりして、成形
に適する満足すべき粒状体を得ることが困難である。こ
の改良方法として特開昭59−133228号公報およ
び特開昭61−27208号公報は造粒槽中の水スラリ
ーの一部を湿式粉砕機に通して循環する方法を提案して
いるが、この装置は複雑になり、また造粒槽と粉砕機の
間で配管詰まりを生じたり、粉砕工程で結晶化したりし
て必ずしも満足できるものではない。
【0004】さらに、特開昭63−286436号公報
では、ポリカーボネート粒状体と温水との混合物に、攪
拌状態で、ポリカーボネートの有機溶媒溶液を連続的に
供給して、ポリカーボネート粒状体を製造する方法にお
いて、温水の温度を60〜80℃の範囲内に保持し、且
つポリカーボネート粒状体の量をポリカーボネート粒状
体と温水との合計重量に基づいて25〜40重量%の範
囲内に維持する方法が示されている。しかしながら、か
かる方法において得られる粒状体は、粉体を多量含んで
おりろ過性に劣る場合があり、また乾燥性も不十分な粒
状体であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、ポリカー
ボネート有機溶媒溶液から、ろ過性に優れた粉体量の少
ない粒状体を得て、これを乾燥することにより有機溶媒
の含有量の少ないポリカーボネート粒状体を提供するこ
とを目的として鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネー
ト樹脂の分子量により容器内の温度を設定し、且つ特定
の攪拌条件とすることにより、上記目的を達成すること
を見い出し本発明に到達した。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明によれ
ば、ポリカーボネート粒状体と温水との混合物が存在す
る容器中に、攪拌状態で、ポリカーボネートの有機溶媒
溶液を連続的に供給して、該溶媒を蒸発させることによ
り、ポリカーボネートの有機溶媒溶液からポリカーボネ
ート粒状体を製造する方法において、該容器内の温度を
下記式に示されたT1(℃)またはT2(℃)の範囲内に
保持し、攪拌速度が60〜100rpmであり、且つ攪
拌能力が5〜10kw/hr・m3であることを特徴と
するポリカーボネート粒状体の製造方法が提供される。 0.0018×M1+37≦T1(℃)≦0.0018×
1+42 (M1:平均分子量 13,000〜20,000) 0.0007×M2+59≦T2(℃)≦0.0007×
2+64 (M2:平均分子量 20,000以上)
【0007】本発明において使用されるポリカーボネー
ト樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反
応させて得られるものである。ここで使用される二価フ
ェノールの代表的な例としては、ハイドロキノン、レゾ
ルシノール、4,4′−ジヒドロキシジフェニル、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒド
ロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通
称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキ
シ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス
{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プ
ロパン、2,2−ビス{(3,5−ジブロモ−4−ヒド
ロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3−イ
ソプロピル−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、
2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−フェニル)フェ
ニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−3−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−3,3−ジメチルブタン、2,4−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イ
ソプロピルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサ
ン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレ
ン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フ
ェニル}フルオレン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α′−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピル
ベンゼン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
−p−ジイソプロピルベンゼン、1,3−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−5,7−ジメチルアダマンタン、
4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4′
−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4′−ジ
ヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4′−ジヒドロ
キシジフェニルケトン、4,4′−ジヒドロキシジフェ
ニルエーテルおよび4,4′−ジヒドロキシジフェニル
エステル等があげられ、なかでも2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に、ビス
フェノールAが好ましく使用される。これらは単独また
は2種以上を混合して使用できる。
【0008】カーボネート前駆体としては通常カルボニ
ルハライドが使用され、具体的にはホスゲンが挙げられ
る。
【0009】上記二価フェノールとホスゲンを反応させ
てポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に
応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止剤
等を使用してもよい。またポリカーボネート樹脂は三官
能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカ
ーボネート樹脂であっても、芳香族または脂肪族の二官
能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート
樹脂であってもよく、また、得られたポリカーボネート
樹脂の2種以上を混合した混合物であってもよい。
【0010】かかる二価フェノールとホスゲンは、通常
酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合
剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム
等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化
合物が用いられる。有機溶媒としては、塩化メチレン、
二塩化エチレン、クロロホルム等の低級塩素化炭化水素
が用いられる。また、反応促進のために例えばトリエチ
ルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイ
ド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の第
三級アミン、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホ
ニウム化合物等の触媒を用いることもできる。その際、
反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分〜5時間
程度、反応中のpHは9以上に保つのが好ましい。
【0011】また、かかる重合反応において、通常末端
停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フ
ェノール類を使用することができる。単官能フェノール
類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用
され、また得られたポリカーボネート樹脂は、末端が単
官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているの
で、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。か
かる単官能フェノール類としては、例えばフェノール、
p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノー
ルおよびイソオクチルフェノールが挙げられ、なかでも
p−tert−ブチルフェノールが好ましい。
【0012】ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平
均分子量(M)で13,000〜50000のものが好
ましく、15,000〜40,000のものがより好ま
しく、20,000〜30,000のものが特に好まし
く使用される。粘度平均分子量がかかる範囲内のもの
は、粉体量の少ない、乾燥性の良い残留溶媒量の低いポ
リカーボネート樹脂粒状体が得られ易く好ましい。本発
明でいう粘度平均分子量は塩化メチレン100mLにポ
リカーボネート樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液か
ら求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたもので
ある。 ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]
は極限粘度) [η]=1.23×10-40.83 c=0.7
【0013】本発明において使用される有機溶媒は、上
述した反応の際使用される溶媒、具体的には、塩化メチ
レン、二塩化エチレン、クロロホルム等の沸点が60℃
以下の低級塩素化炭化水素が好ましく、なかでも塩化メ
チレンが好ましく用いられる。これらの溶媒は単独また
は二種以上混合して使用してもよい。
【0014】また、ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶
液は、ポリカーボネート樹脂を有機溶媒に溶解して調製
してもよいが、上述したように二価フェノールとホスゲ
ンと反応させて得られるポリカーボネート樹脂の有機溶
媒溶液が好ましく使用される。
【0015】かかるポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶
液の濃度は10〜30重量%が好ましく、12〜25重
量%がより好ましく、12〜20重量%が特に好まし
い。ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶液の濃度が上記
範囲内であると、溶液の粘度が適当で容器への供給がス
ムーズに行え、回収する溶媒量が多くなることもなく工
程全体として効率的であり、また、粉体量が少なく、残
留溶媒量の低いポリカーボネート樹脂が得られ易くなる
ため好ましい。
【0016】本発明において、ポリカーボネート粒状体
と温水との混合物が存在する容器中に、攪拌状態で、ポ
リカーボネートの有機溶媒溶液を連続的に供給して、該
溶媒を蒸発させることにより、ポリカーボネートの有機
溶媒溶液からポリカーボネート粒状体を製造する方法が
用いられる。
【0017】本発明の方法において、かかる容器内の温
度を上記式に示されたT1(℃)またはT2(℃)の範囲
内に保持することが必要である。造粒するポリカーボネ
ート樹脂の分子量にしたがって、容器内の温度を調整す
ることにより、粉体を含まず乾燥性の良いポリカーボネ
ート樹脂粒状体を得ることができる。容器内の温度が、
1(℃)またはT2(℃)の範囲を外れると、乾燥性が
劣り残留溶媒量の高いポリカーボネート樹脂粒状体とな
ったり、粉体を多量に含みろ過性に劣るポリカーボネー
ト樹脂粒状体が得られることとなり好ましくない。な
お、容器内の温度とは、容器内に存在する温水とポリカ
ーボネート樹脂粒状体との混合物(以下、これをスラリ
ーと称する場合がある)の温度を意味する。温度の維持
は、温水あるいは水蒸気の供給、ジャケット加熱などの
方法によるが、特に水蒸気の供給による場合は内容物の
局部加熱にならないように配慮することが必要である。
【0018】また、本発明においては、攪拌速度が60
〜100rpmであり、且つ攪拌能力が5〜10kw/
hr・m3であることが必要である。
【0019】かかる攪拌速度が60rpm未満では、ポ
リカーボネート樹脂粒状体と温水の攪拌混合が不均一に
なるために温度むらを生じ好ましくなく、100rpm
を超えると粒状体同士の摩擦が過度になる等生成するポ
リカーボネート樹脂粒状体の分布を大幅に広げる結果と
なり、造粒工程後のポリカーボネート粒状体と温水との
分離において、ろ過性に劣りフィルター詰まりが起こり
易く、また、分離水内にポリカーボネート粉状体が混入
する等好ましくない。
【0020】また、かかる攪拌能力が5kw/hr・m
3未満では粒状体同士の摩擦がその間に介在する水の層
によって妨げられるので、粒状体表面に粘着したポリカ
ーボネートが引きちぎられずにそのまま固化して多孔質
の塊を生じるようになり好ましくなく、10kw/hr
・m3を超えると粒状体同士の摩擦が過度になる等生成
するポリカーボネート樹脂粒状体の分布を大幅に広げる
結果となり、造粒工程後のポリカーボネート粒状体と温
水との分離において、ろ過性に劣りフィルター詰まりが
起こり易く、また、分離水内にポリカーボネート粉状体
が混入する等好ましくない。ここで攪拌能力とは、スラ
リーの容量(m3)に対する攪拌に要する電力(kw/
hr)を表すものである。
【0021】本発明において使用される容器としては、
水平軸回転形、垂直軸回転形、気流形、重力形などの混
合機が挙げられ、なかでも水平軸回転形の混合機が好ま
しく、特に二軸式の水平軸回転形の混合機が好ましく使
用され、また、その攪拌羽根としては、リボン型、スク
リュー型、パドル型等の形状の羽根が挙げられ、なかで
も粉体量の少ないポリカーボネート粒状体が得られ易く
なるため、攪拌能力の弱いリボン型形状のものが好まし
く使用される。
【0022】本発明において、スラリー中のポリカーボ
ネート樹脂粒状体に対する温水量の割合は、温水量/ポ
リカーボネート樹脂粒状体(容量比)で4〜6の範囲に
保持することが好ましい。供給されたポリカーボネート
樹脂の有機溶媒溶液は、加温されて溶媒を蒸発させなが
ら急速に粘度を増しそして固体に変化してゆくが、その
過程において粒状体に粘着し、それが粒状体同志の非常
に軽い摩擦により引きちぎられて再分化される。従っ
て、スラリー中のポリカーボネート樹脂粒状体に対する
温水量の割合がかかる範囲内であると、ポリカーボネー
ト樹脂粒状体と温水との攪拌混合が均一になるために温
度むらを生じず、粒状体同士の摩擦が適度であり粉状体
を生成し難くなり、また、粒状体同士の摩擦がその間に
介在する水の層によって妨げられることもなく、粒状体
表面に粘着したポリカーボネート樹脂が引きちぎられず
にそのまま固化して多孔質の塊を生じることもなく、本
発明の目的を達成しやすくなるため好ましい。
【0023】本発明において、ポリカーボネート樹脂粒
状体を温水中に存在させる方法としては、容器内に予め
ポリカーボネート樹脂粒状体を入れておくことが好まし
く、かかるポリカーボネート樹脂粒状体の平均粒径は5
〜15mmとすることが好ましい。
【0024】また、本発明の方法において、n−ヘプタ
ン、n−ヘキサン等のポリカーボネート樹脂の貧溶媒を
添加する必要はない。これらの貧溶媒を添加することに
より、ポリカーボネート樹脂粉状体を生成し易くなるこ
とがある。
【0025】本発明においては、攪拌状態で、ポリカー
ボネート樹脂の有機溶媒溶液を連続的に供給して、溶媒
を蒸発せしめながら、生成されたポリカーボネート樹脂
粒状体と温水は、好ましくは容器の上部または下部から
連続的に排出される。この際、容器内におけるポリカー
ボネート樹脂粒状体の滞留時間は0.5〜2時間の範囲
が好ましい。かかる排出されたポリカーボネート樹脂粒
状体と温水は、必要ならば更に蒸気の吹き込みにより温
度を高めて、ポリカーボネート樹脂粒状体に含まれる有
機溶媒を除去した後、濾過、遠心分離等によってポリカ
ーボネート樹脂粒状体を回収し、乾燥する。また、かか
るポリカーボネート樹脂粒状体は粉砕機により粉砕して
から乾燥、使用する方法も採用される。
【0026】また、容器内にポリカーボネートの有機溶
媒溶液を供給する供給口は、連続的に吐出される溶液が
供給口の全面から吐出されることが望ましいが、例えば
直径1mm以下のように小さくすることは必ずしも必要
ではない。そして供給口の位置は容器内の上部空間で、
吐出された溶液が速やかにポリカーボネート粒状体と温
水の混合物中に分散される位置であることが望ましい。
なお、容器内には、ポリカーボネートの有機溶媒溶液と
ともに、温水を供給しても良く、また、その他に本発明
の目的を損ねない範囲で、窒素、空気等の不活性ガスを
混入させてもよい。また、容器より蒸発除去した有機溶
媒は、冷却器等で凝縮、回収して再使用することもでき
る。
【0027】また、容器内の圧力は、減圧、常圧、加圧
状態のいずれでもよいが、0.1〜10kg/cm2
好ましく、0.5〜2kg/cm2がより好ましい。こ
の範囲内の圧力に容器内を保持することは、有機溶媒の
蒸発速度が適当で、また、耐圧性の容器等が必要でなく
経済的にも有利であり好ましい。
【0028】本発明によって得られるポリカーボネート
樹脂粒状体は、平均粒径が5〜15mmの範囲が好まし
く、7〜13mmの範囲がより好ましい。また、5〜1
5mmの範囲内の粒径を好ましくは80重量%以上、よ
り好ましくは90重量%以上有する粒状体であることが
望ましい。また、該ポリカーボネート樹脂粒状体は、5
mm以下の粉体が好ましくは20重量%以下、より好ま
しくは10重量%以下の粒状体であることが望ましい。
これらの範囲内の粒状体は、温水との分離において、ろ
過性が良好であり、また、乾燥性に優れ、残留溶媒量の
少ない粒状体が得られ易く好ましい。
【0029】また、本発明によって得られるポリカーボ
ネート樹脂粒状体は、嵩密度が0.2〜0.4g/cm
3であることが好ましく、嵩密度がかかる範囲内である
と、乾燥性に優れ、残留溶媒量の低い粒状体が得られ、
また取り扱い性も良好であるため好ましい。さらに、か
かるポリカーボネート樹脂粒状体は、乾燥後の溶媒含有
量が10ppm以下であることが好ましい。
【0030】本発明によって得られるポリカーボネート
粒状体を、殊に光学用途に使用する場合には、異物微粒
子は少ない程好ましい。該異物微粒子は、主として容器
を構成する材料の成分であり、その混入は容器内の攪拌
動力に大きく依存している。従って、スラリー中のポリ
カーボネート粒状体に対する温水量の割合は、温水量/
ポリカーボネート樹脂粒状体(容量比)で4〜6の範囲
に保持することが好ましく、生成したポリカーボネート
粒状体と温水は、速やかに排出せしめることが好まし
い。また、該異物微粒子の発生を抑制するためには、容
器内の材質としてオーステナイト系ステンレス鋼、Fe
−Cr−Ni合金、Ni−Cr−Fe合金、Ni−Ho
−Fe−Cr合金のNi含有率11重量%以上の合金を
使用することが好ましい。
【0031】
【実施例】以下に実施例を挙げてさらに説明する。ま
た、粒径、ろ過性、嵩密度、塩化メチレン量の評価は下
記の方法に従った。
【0032】(1)粒径 試料を、2.5、3、3.5、4、6、8、10、1
6、32、60、100、200メッシュの篩を使用
し、篩い分けた後、重量を基準とした累積粒度分布グラ
フを作成し、累積重量が50%になるところの粒径を求
め、これを平均粒径とした。また、粒径5mm以下の重
量割合は、目開き4メッシュの金網篩を使用し、篩い分
けた後、篩を通過した粒子の重量を測定し、算出した。
【0033】(2)ろ過性 ポリカーボネート粒状体と水を縦型遠心分離機(コクサ
ン製)により1500Gの遠心力で遠心分離し、出口か
ら取り出したポリカーボネート粒状体の含液率およびフ
ィルター詰まりの状況を測定した。ポリカーボネート粒
状体の含液率は、遠心分離後のポリカーボネート粒状体
を減圧乾燥機器で温度140℃、乾燥時間10時間、減
圧度1Torrで乾燥し、乾燥前後の重量を測定し、次
式により算出した。この含液率が低いほど遠心分離によ
り水分が除去され易く、ろ過性に優れることを示してい
る。
【0034】
【数1】
【0035】また、フィルター詰まり状況は、遠心分離
機運転後、ポリカーボネート粒状体をフィルターから取
り除いた後のフィルターの状況を観察した。フィルター
は0.5mmのものを使用した。観察の結果、フィルタ
ーにポリカーボネート粒状体の詰まりが少なく良好なも
のを○、また、フィルターにポリカーボネート粒状体の
詰まりが多く、運転上問題となるものを×と評価した。
【0036】(3)嵩密度 1000mLのメスシリンダーにポリカーボネート粉粒
状体をロートでメスシリンダーを満たすまで投入し、そ
の重量を測定し、嵩密度を算出した。
【0037】(4)塩化メチレン量 1、2−ジクロロエタンにポリカーボネート粉粒状体を
溶解し、ガスクロマトグラフィー(FID)により測定
した。
【0038】[実施例1]ポリカーボネートの有機溶媒
溶液供給口、温水供給口、水蒸気導入口、気化有機溶媒
の排気口およびオーバーフロー型排出口を備えた有効内
容積500L水平軸回転形混合機の二軸式の容器に、攪
拌羽根としてリボン型形状を有する攪拌機を装着した。
この容器に平均粒径7mmのポリカーボネート樹脂粒状
体を50gおよび水250gを仕込み、攪拌速度が80
rpmで攪拌しながら、容器内の温度が77℃になった
ところで、平均分子量が22,000であるポリカーボ
ネート樹脂16重量%濃度の塩化メチレン溶液を10k
g/分の速度で供給し、また、温水を10kg/分の速
度で供給した。供給中、容器内の温水量/ポリカーボネ
ート樹脂粒状体(容量比)は約5に保持され、また、容
器内の温度は、圧力2.7kg/cm2の蒸気を使用し
て水蒸気導入口とジャケットの加熱により77℃に保持
した。また、攪拌能力は6kw/hr・m3であった。
供給開始後、容器内のスラリーのレベルが上昇し、容器
内の上部に設けられた排出口より、生成されたポリカー
ボネート樹脂粒状体と温水が排出された。この際、ポリ
カーボネート樹脂粒状体の滞留時間は、1時間であっ
た。
【0039】次に、粒状体が排出され粒状体の性状が安
定してからサンプルを採取した。かかるサンプルにおい
て、ポリカーボネート樹脂粒状体の平均粒径は10mm
であった。また、粒径5mm以下の割合は4重量%であ
った。排出口より排出されたポリカーボネート樹脂粒状
体と温水は、次いで縦型遠心分離機(コクサン製)によ
って1500Gの遠心力で遠心分離し、ポリカーボネー
ト樹脂粒状体をろ過分離した。分離したポリカーボネー
ト樹脂粒状体を、粉砕機により平均粒径2mmに粉砕
し、熱風乾燥機により、140℃、4時間の乾燥を行っ
た。得られたポリカーボネート樹脂粒状体の塩化メチレ
ン含有量は0.0005重量%であった。その粒子を観
察したところ空隙が多い形状の粒状体が得られており、
嵩密度は0.3g/cm3であった。これらの結果を表
1に示した。
【0040】[実施例2〜4]使用するポリカーボネー
ト樹脂の平均分子量と容器内の温度を表1に記載のとお
りに代える以外は、実施例1と同様の方法で行った。そ
れらの結果を表1に示した。
【0041】[比較例1〜5]使用するポリカーボネー
ト樹脂の平均分子量、容器内の温度、攪拌速度、攪拌能
力を表1に記載のとおりに代える以外は、実施例1と同
様の方法で行った。それらの結果を表1に示した。
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】本発明のポリカーボネート樹脂粒状体の
製造方法により得られる粒状体は、粉体量が少なくろ過
性が良好で、また、乾燥性に優れるため、本発明の奏す
る工業的効果は格別なものである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリカーボネート粒状体と温水との混合
    物が存在する容器中に、攪拌状態で、ポリカーボネート
    の有機溶媒溶液を連続的に供給して、該溶媒を蒸発させ
    ることにより、ポリカーボネートの有機溶媒溶液からポ
    リカーボネート粒状体を製造する方法において、該容器
    内の温度を下記式に示されたT1(℃)またはT2(℃)
    の範囲内に保持し、攪拌速度が60〜100rpmであ
    り、且つ攪拌能力が5〜10kw/hr・m3であるこ
    とを特徴とするポリカーボネート粒状体の製造方法。 0.0018×M1+37≦T1(℃)≦0.0018×
    1+42 (M1:平均分子量 13,000〜20,000) 0.0007×M2+59≦T2(℃)≦0.0007×
    2+64 (M2:平均分子量 20,000以上)
  2. 【請求項2】 容器が水平軸回転形混合機の二軸式であ
    り、その攪拌羽根がリボン型形状である請求項1記載の
    ポリカーボネート粒状体の製造方法。
JP12052298A 1998-04-30 1998-04-30 ポリカーボネート粒状体の製造方法 Withdrawn JPH11310641A (ja)

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