JPH0748421Y2 - シートスライド装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、自動車等の乗り物用シートの前後位置を調整
するための電動式シートスライド装置に関する。

［従来の技術］ 自動車用シートの前後方向の位置を調整するためのシー
トスライド装置には種々の構造のものが知られており、
手動式のもの以外に、電動式のシートスライド装置も知
られている。

例えば特開昭64−9043号公報あるいは特開平２−169335
号公報に見られる電動式シートアジャスタのように、ロ
アレールとアッパレールとの間にリードスクリューやス
クリューナットあるいはローラ等を内蔵したものが提案
されている。上記ローラは、ロアレールとアッパレール
とに転接し、小さな駆動力でもアッパレールを円滑に移
動させることができるようにしてある。

これらの先行技術の場合、ロアレールおよびアッパレー
ルの形状的な制約から、上記ローラをロアレールの底壁
とアッパレールの天井壁との間に収容せざるを得なかっ
た。

［考案が解決しようとする課題］ 上記先行技術においては、ロアレールとアッパレールと
の間の狭い空間にリードスクリューやスクリューナット
およびローラ等が収容されるため、アッパレールが長手
方向に所定量移動した時に、スクリューナットとローラ
が互いに干渉する。このため、アッパレールのスライド
ストロークを充分確保するには、かなり長いアッパレー
ルおよびロアレールが必要である。このことは、シート
外観を損ねたり、重量が増加する原因となる。

また、実開平２−110539号公報に見られるように、ロア
レールの左右一対の立上がり壁の上端に逆Ｕ形に折り曲
げた湾曲部を設け、これら湾曲部の上にそれぞれ鼓形ロ
ーラを乗せるようにしたものも提案されている。しかし
ながらこのような湾曲部にそれぞれ鼓形ローラを支持さ
せるものでは、アッパレールが移動する際に鼓形ローラ
の拳動が不安定になりやすく、しかもアッパレールの上
から加わる荷重によって上記湾曲部が撓むことがあるな
ど、アッパレールの移動が円滑になりにくいという問題
がある。従ってこのような従来技術に電動式のリードス
クリューやスクリューナットを組込んでも、アッパレー
ルが円滑に動かないことがあるなど作動信頼性に欠け
る。従って本考案の目的は、スクリューナットがローラ
に干渉することを避けることができしかもアッパレール
を円滑に移動させることができるようなシートスライド
装置を提供することにある。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を果たすために開発された本考案のシートスラ
イド装置は、ロアレールとアッパレールが軽合金製押出
し型材からなり、ロアレールの一方の立上がり壁の上端
面とアッパレールの天井壁との相互対向部またはアッパ
レールの垂直壁の下端面とロアレールの底壁との相互対
向部に、フランジ状のローラ転接面と平坦なローラ転接
面とレールの長手方向に沿うガイド凸条とを有する第１
のローラ収容部を設けるとともに、ロアレールの他方の
立上がり壁の上端面とアッパレールの天井壁との相互対
向部に、フランジ状のローラ転接面と平坦なローラ転接
面とレールの長手方向に沿うガイド凸条とを有する第２
のローラ収容部を設け、第１のローラ収容部の上記ロー
ラ転接面に転接するローラを配置するとともに、第２の
ローラ収容部の上記ローラ転接面に転接するローラを配
置し、かつ、上記一対のローラ収容部の間にスクリュー
ナットを配置したことを特徴とするものである。

ロアレールとアッパレールが、それぞれアルミニウム合
金等の軽合製押出し型材からなるものであれば、上記ガ
イド凸条や平坦なフランジ状のローラ転接面をロアレー
ルの立上がり壁の上端面やアッパレールの垂直壁の下端
面に容易に成形することができ、このようなローラ転接
面に各ローラをコンパクトに収容することができる。

［作用］ 本考案のシートスライド装置において、アクチュエータ
によってリードスクリューが回転させられると、リード
スクリューの軸線方向にスクリューナットが相対的に螺
進することにより、アッパレールがロアレールに対し長
手方向に移動する。ロアレールとアッパレールとの間に
はローラが介在しているため、アッパレールの移動は円
滑になされる。ロアレールとアッパレールとが相対移動
すると、ローラとスクリューナットとの関係も変化する
が、スクリューナットはローラと干渉しないように左右
のローラ収容部の間に位置しているので、レールユニッ
トにスクリューナットとローラが内蔵されていても、ア
ッパレールの移動ストロークが制約を受けずにすむ。

［実施例］ 以下に本考案の第１実施例について、第１図および第２
図に示されたシートスライド装置１を参照して説明す
る。

シートスライド装置１のレールユニット２は、ロアレー
ル３とアッパレール４を備えて構成されている。ロアレ
ール３は自動車の床等に固定される。このロアレール３
は、軽合金の一例としてのアルミニウム合金からなる押
出し型材を、所定長さに切断したものである。

第２図に示されるように、ロアレール３は、底壁６と、
左右一対の立上がり壁7,8とが一体成形されており、断
面形状が略Ｕ字状をなしている。底壁６と立上がり壁7,
8とをつなぐコーナー部分には、強度を高めるために厚
肉部9,10が設けられている。

立上がり壁7,8の上端に、平坦でかつ水平なフランジ状
のローラ転接面13,14を有するローラ支持壁15,16が設け
られている。ローラ転接面13,14の上がローラ収容部20,
21として使われる。図示左側のローラ転接面13の縁に、
第１のガイド凸条23が設けられている。この凸条23は、
ロアレール３の長手方向に連続している。

アッパレール４は、ロアレール３の長手方向に移動自在
に嵌合させられている。このアッパレール４もアルミニ
ウム合金製の押出し型材からなる。アッパレール４は、
天井壁26と、左右一対の垂直壁27,28とが一体成形され
ており、断面形状が逆Ｕ字状をなしている。垂直壁27,2
8の下端に、互いに対向する側（内側）を向くボール支
持壁31,32が設けられている。このボール支持壁31,32と
ローラ支持壁15,16との間に、それぞれ左右２個ずつの
スチールボール33,34が回転自在に収容されている。

天井壁26の下面において、前述したロアレール３のロー
ラ転接面13,14と対向する平坦でかつ水平なローラ転接
面40,41が設けられている。そして図示右側のローラ転
接面41に沿って、第２のガイド凸条42が設けられてい
る。第２のガイド凸条42は、アッパレール４の長手方向
に連続している。

図示左側のローラ収容部20に、大径な第１のローラ45が
回転自在に収容されている。他方のローラ収容部21に、
小径な第２のローラ46が回転自在に収容されている。す
なわち各ローラ45,46は、ロアレール３のローラ転接面1
3,14とアッパレール４のローラ転接面40,41にそれぞれ
回転自在に接している。しかも各ローラ45,46は、ガイ
ド凸条23,42によって左右方向の位置が規制されてい
る。従ってアッパレール４は、ロアレール３に対し、長
手方向にまっすぐかつ円滑に移動することかできる。

ボール33,34とローラ45,46は、リテーナ50によって、互
いの位置関係が変わらないように保持されている。リテ
ーナ50は、ロアレール３とアッパレール４の双方に対し
て長手方向に自由に移動できるようになっている。ロー
ラ45,46の移動範囲を規制するためのストッパ（図示せ
ず）は、例えばアッパレール４にあけられた孔に、ブラ
インドリベット等によって固定されている。リテーナ50
の腕部51,52は、ロアレール３とアッパレール４との間
の隙間53,54に通されている。

なお、上述したボール33,34とローラ45,46およびリテー
ナ50からなるアセンブリは、レール3,4のフロント側と
リヤ側にそれぞれ配置されている。

レールユニット２の内部に、リードスクリュー60がレー
ルユニット２の長手方向に沿って設けられている。本実
施例の場合、第１図に示されるように、リードスクリュ
ー60の一端側はアッパレール４に固定されたギヤボック
ス61の軸受部に回転自在に支持されている。リードスク
リュー60の他端側は、図示しない軸受部品を介してアッ
パレール４に支持されている。

ギヤボックス61の入力軸63には、正逆回転可能なアクチ
ュエータの一例としての電動モータ64の出力軸65が接続
されている。従って、モータ64の回転方向に応じて、リ
ードスクリュー60が正転あるいは逆転する。

リードスクリュー60にスクリューナット67が螺合されて
いる。この実施例の場合、スクリューナット67は、ボル
ト68によってロアレール３に固定されている。上記スク
リューナット67は、左右一対のローラ収容部20,21の間
に配置されており、ローラ45,46と干渉しないようにな
っている。なお、リードスクリュー60はロアレール３に
支持させてもよい。その場合、スクリューナット67はア
ッパレール４に固定される。

本実施例のシートスライド装置１において、モータ64に
よってリードスクリュー60が回転させられると、リード
スクリュー60の回転方向と回転量に応じて、スクリュー
ナット67がリードスクリュー60の軸線方向に所定量だけ
螺進する。このためアッパレール４がロアレール３に対
して長手方向に所定量移動する。ロアレール３とアッパ
レール４との間にはローラ45,46が介在しているため、
アッパレール４の移動は円滑になされる。ロアレール３
に対するアッパレール４の幅方向への動きは、ボール3
3,34によって規制されるため、アッパレール４はロアレ
ール３の長手方向にまっすぐに移動することができる。

上記のようにロアレール３とアッパレール４とが相対移
動すると、ローラ45,46とスクリューナット67との関係
も変化するが、スクリューナット67はローラ45,46と干
渉しないように左右のローラ収容部20,21間に位置させ
られているので、ローラ45,46とスクリューナット67が
アッパレール４の移動ストロークに影響を与えることは
ない。従ってロアレール３に対するアッパレール４の移
動ストロークを大きくとることが可能である。

また、リードスクリュー60やスクリューナット67および
ギヤボックス61等がレールユニット２の内部にコンパク
トに収容されているため、着座者がレールユニット２に
触れても、リードスクリュー60等に塗布されているグリ
スが、着座者の手や衣類あるいは靴などに付着するおそ
れがないとともに、シート下の狭いスペースにも電動式
のシートスライド装置１を配置することが可能である。

第３図は本考案の第２実施例を示している。以下にこの
実施例について説明する。

この実施例のシートスライド装置70のレールユニット72
も、ロアレール73とアッパレール74とを備えている。ロ
アレール73とアッパレール74は、いずれもアルミニウム
合金からなる押出し型材を所定長さに切断したものであ
る。ロアレール73は、第１のガイド凸条76を有する底壁
77と、この底壁77の左右両側から立上がる立上がり壁7
8,79を備えている。一方の立上がり壁78の上端に、ボー
ル支持壁80が設けられている。他方の立上がり壁79の上
端に、第２のガイド凸条82を有するローラ支持壁83が設
けられている。

底壁77の図示左側において、ガイド凸条76と立上がり壁
78との間に、平坦なローラ転接面85が設けられている。
このローラ転接面85の上が第１のローラ収容部86として
使われる。図示右側に位置するローラ支持壁83の上面側
に、第２のローラ転接面87が設けられている。このロー
ラ転接面87の幅方向中間部に、第２のガイド凸条82が設
けられている。第１および第２のガイド凸条76,82は、
それぞれロアレール73の長手方向に沿って設けられてい
る。ローラ転接面87の上が第２のローラ収容部88として
使われる。

アッパレール74は、天井壁90と、左右一対の垂直壁91,9
2とを備えている。一方の垂直壁91の下端には、平坦で
かつ水平なフランジ状のローラ転接面94を有するローラ
支持壁95が設けられている。この支持壁95と前記ボール
支持壁80との間に、スチールボール96が回転自在に収容
されている。図示右側の垂直壁92の下端にもボール支持
壁97が設けられており、このボール支持壁97と前記ロー
ラ支持壁83との間に、スチールボール98が回転自在に収
容されている。

天井壁90の下面の一部は、平坦でかつ水平なローラ転接
面110となっている。

また、図示左側のローラ転接面85とローラ支持壁95との
間、すなわち第１のローラ収容部86に、小径な第１のロ
ーラ111が設けられている。図示右側のローラ転接面87
と天井壁90のローラ転接面110との間、すなわち第２の
ローラ収容部88に、大径な第２のローラ112が設けられ
ている。第２のローラ112の幅方向中間部には周方向に
連続する溝113が設けられており、この溝113に第２のガ
イド凸条82が嵌合することによって、ローラ112が幅方
向に移動しないようになっている。

ボール96,98とローラ111,112は、リテーナ115によっ
て、互いの位置関係が変わらないように保持されてい
る。リテーナ115は、ロアレール73とアッパレール74の
双方に対して長手方向に自由に移動できる。

上記構成のレールユニット72の内部に、第１実施例と同
様のリードスクリュー60とスクリューナット67が設けら
れている。スクリューナット67は、左右一対のローラ収
容部86,88の間に配置されているため、ローラ111,112と
の干渉が避けられている。

［考案の効果］ 本考案によれば、電動式のシートスライド装置を構成す
るリードスクリューやスクリューナットおよびローラ等
をシートの下にコンパクトにまとめることができるとと
もに、アッパレールの移動を円滑なものにするためのロ
ーラがスクリューナットと干渉することを避けることが
でき、規定量のスライドストロークを確保する上でも有
効である。

本考案のロアレールとアッパレールは、アルミニウム合
金等の軽合金製押出し型材からなるため、ガイド凸条や
フランジ状のローラ転接面をロアレールの立上がり壁の
上端面やアッパレールの垂直壁の下端面に容易に成形す
ることができ、このようなローラ転接面に各ローラをコ
ンパクトに収容することができる。しかもロアレールの
立上がり壁の上端面とアッパレールの垂直壁の下端面に
形成されたフランジ状のローラ転接面はアッパレールの
上方から加わる荷重に対して変形しにくく、ローラが回
転しながら相対移動する際のローラの挙動を安定なもの
にすることができるなど、アッパレールの動きが円滑な
ものとなる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１実施例を示すシートスライド装置
の一部の斜視図、第２図は第１図に示されたシートスラ
イド装置の横断面図、第３図は本考案の第２実施例を示
すシートスライド装置の横断面図である。 １……シートスライド装置、２……レールユニット、３
……ロアレール、４……アッパレール、20,21……ロー
ラ収容部、23……ガイド凸条、42……ガイド凸条、45,4
6……ローラ、60……リードスクリュー、64……モータ
（アクチュエータ）、67……スクリューナット、70……
シートスライド装置、72……レールユニット、73……ロ
アレール、74……アッパレール、76……ガイド凸条、82
……ガイド凸条、86,88……ローラ収容部、111,112……
ローラ。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平２−169335（ＪＰ，Ａ) 特開 昭64−9043（ＪＰ，Ａ) 実開 平２−110539（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】左右一対の立上がり壁（7,8,78,79）を有
   するロアレール（3,73）およびこのロアレール（3,73）
   に対し長手方向に移動自在に嵌合しかつ左右一対の垂直
   壁（27,28,91,92）を有するアッパレール（4,74）を備
   えたレールユニット（２）と、上記レールユニット
   （２）の内部にレールユニット（２）の長手方向に沿っ
   て配置されかつアクチュエータ（64）によって回転させ
   られるリードスクリュー（60）と、上記リードスクリュ
   ー（60）に螺合しかつリードスクリュー（60）の回転に
   よって螺進するスクリューナット（67）を備えたシート
   スライド装置であって、 上記ロアレール（3,73）とアッパレール（4,74）がいず
   れも軽合金製押出し型材からなり、 上記ロアレール（３）の一方の立上がり壁（７）の上端
   面とアッパレール（４）の天井壁（26）との相互対向部
   またはアッパレール（74）の垂直壁（91）の下端面とロ
   アレール（73）の底壁（77）との相互対向部に、フラン
   ジ状のローラ転接面（13,94）と平坦なローラ転接面（4
   0,85）とレール（3,73）の長手方向に沿うガイド凸条
   （23,76）とを有する第１のローラ収容部（20,86）を設
   けるとともに、 上記ロアレール（3,73）の他方の立上がり壁（8,79）の
   上端面とアッパレール（4,74）の天井壁（26,90）との
   相互対向部に、フランジ状のローラ転接面（14,87）と
   平坦なローラ転接面（41,110）とレール（4,73）の長手
   方向に沿うガイド凸条（42,82）とを有する第２のロー
   ラ収容部（21,88）を設け、 上記第１のローラ収容部（20,86）に、上記ローラ転接
   面（13,40,85,94）に転接するローラ（45,111）を配置
   するとともに、上記第２のローラ収容部（21,88）に、
   上記ローラ転接面（14,41,87,110）に転接するローラ
   （46,112）を配置し、かつ、上記一対のローラ収容部
   （20,21,86,88）の間に上記スクリューナット（67）を
   配置したことを特徴とするシートスライド装置。