JPH0742845Y2 - 農作業車の前車輪支持部 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、前車軸ケースに内装の差動軸と前車輪の車軸
とを、前記前車軸ケースの外端部に固定された筒状伝動
ケースに内装の上下方向軸芯を有した伝動軸を介して連
動連結するとともに、前記差動軸から車軸への伝動系
に、前記差動軸の回転出力を前記伝動軸に装着の小径ベ
ベルギヤと、前記車軸側に装着の大径受動ギヤとからな
る減速機構を介装して、前車輪に駆動力を伝動すべく構
成し、前記減速機構を内装する減速ケースを、前記筒状
伝動ケースに外嵌して前記上下方向軸芯周りで操向回動
可能な筒ケース部と、前記車軸を支承するとともに前記
大径受動ギヤを内装して前記筒ケース部に固定された大
径ケース部とから構成し、さらに、その減速ケースの大
径ケース部を前車輪のホイールの内側に入込み配置して
前記前車輪を伝動軸の上下方向軸芯周りに回動可能に構
成してある農作業車の前車輪支持部に関する。

〔従来の技術〕

この種の農作業車の前車輪支持部では、前輪デフ機構か
ら左右に延出された差動軸に下向きのベベルギヤ軸を連
動連結し、このベベルギヤ軸下端の小径ベベルギヤに前
車輪の車軸に嵌着の大径受動ギヤを咬合させて減速機構
を構成してある。そのため前車輪の径が小さい場合、大
径ケース部の外径は、前車輪のタイヤの内径に等しくな
るくらいの大きさになっている。（実開昭60−143964号
公報参照）。

〔考案が解決しようとする課題〕

このような前車輪支持部では、減速ケースの一部、例え
ば大径ケース部の外周部や、筒ケース部の下端部がホイ
ールに極めて接近することになる。そのため走行中に小
石などが前車輪の内側に飛んできて、前車輪の回転に巻
き込まれて減速ケースとホイールとの隙間に入り込み、
ホイールや減速ケースを損傷させてしまうことがあっ
た。

本考案に係わるに農作業車の前車輪支持部は、このよう
な実情に着目して創案されたものであり、その目的は、
前車輪と減速ケースが前記隙間に入り込む石などによっ
て損傷するのを防止することにある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案の特徴は、前車軸ケースに内装の差動軸と前車輪
の車軸とを、前記前車軸ケースの外端部に固定された筒
状伝動ケースに内装の上下方向軸芯を有した伝動軸を介
して連動連結するとともに、前記差動軸から車軸への伝
動系に、前記差動軸の回転出力を前記伝動軸に装着の小
径ベベルギヤと、前記車軸側に装着の大径受動ギヤとか
らなる減速機構を介装して、前車輪に駆動力を伝動すべ
く構成し、前記減速機構を内装する減速ケースを、前記
筒状伝動ケースに外嵌して前記上下方向軸芯周りで操向
回動可能な筒ケース部と、前記車軸を支承するとともに
前記大径受動ギヤを内装して前記筒ケース部に固定され
た大径ケース部とから構成し、さらに、その減速ケース
の大径ケース部を前車輪のホイールの内側に入込み配置
して前記前車輪を伝動軸の上下方向軸芯周りに回動可能
に構成してある農作業車の前車輪支持部において、前記
減速ケースの筒ケース部の機体外方側の下部に、前記ホ
イールの内周側に入り込む状態でスクレーパを設け、こ
のスクレーパに、平面視で前車輪の回転面に対して斜め
に交差し、かつ、その傾斜方向が車輪回転方向での下手
側ほど機体幅方向での内方側に向かう方向である傾斜面
を備えさせてある点にあり、その作用・効果は次のとお
りである。

〔作用〕

スクレーパが前車輪と減速ケースとの隙間に臨んでお
り、前車輪の回転に巻き込まれて隙間に入り込もうとす
る小石などを、その先細り先端で受けて車輪外方に排除
するのである。

〔考案の効果〕

その結果、前車輪の回転に巻き込まれた小石などによっ
て前車輪や減速ケースが損傷するのを防止できるように
なった。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。

第３図に示されているのは農作業車の一例である農用ト
ラクタであり、その前車輪支持部は、第２図に示すよう
に構成してある。

即ち、前車軸ケース（１）の外端に筒状伝動ケース
（２）を下向きにボルト連結し、この筒状伝動ケース
（２）に減速ケース（３）を上下方向軸芯（Ｐ）周りで
回動自在外嵌してある。第２図に示すように、前車軸ケ
ース（１）には、前輪デフ機構（図示せず）から延出さ
れた差動軸（５）を内装してあり、この差動軸（５）の
端部には、筒状伝動ケース（２）に内装されたベベルギ
ヤ軸（６）を連動連結してある。そして、このベベルギ
ヤ軸（６）下端のベベルギヤ（７）を、前車輪（11）の
車軸（８）に外嵌固定された大径受動ギヤ（９）に噛み
合わせて、ベベルギヤ（７）と大径受動ギヤ（９）とか
らなる減速機構を介して差動軸（５）の駆動力を大幅に
減速して前車軸（８）に伝達できるようなっている。

また、前記減速ケース（３）は、筒状伝動ケース（２）
にベアリング（10）を介して外嵌してある筒ケース部
（3a）と、大径受動ギヤ（９）を内装している大径ケー
ス部（3b）とからなり、そして、大径ケース部（3b）
は、前車輪（11）の内側に入り込むように配置してあ
り、その外径はホイール（12）の内径よりやや小さい程
度である。そのため、筒ケース部（3a）の下端はホイー
ル（12）に対して極めて接近している。

前記筒ケース部（3a）の機体外方側の下部には、前後方
向に突出する状態で先細り状のスクレーパ（13），（1
3）を一体形成してある。つまり、第１図に示すよう
に、筒ケース部（3a）の機体外方側の下部に、ホイール
（12）の回転面に沿う面（13a）と、ホイール（12）の
回転面に対して直交するよりもやや機体内方側に向いた
傾斜面（13b）とを備えた三角形状のスクレーパ（1
3），（13）を設けて、走行中に飛び跳ねた小石などが
前車輪（11）の内側に入り込まないようにしてある。ス
クレーパ（13）を筒ケース部（3a）の前後に形成してあ
るのは、車体の前後進を考慮してのことである。

尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対照を便利
にするために符号を記すが、該記入により本考案は添付
図面の構造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る農作業車の前車輪支持部の実施例を
示し、第１図はホイールとスクレーパの位置関係を示す
平面図、第２図は縦断正面図、第３図は農用トラクタの
側面図である。 （１）……前車軸ケース、（２）……筒状伝動ケース、
（３）……減速ケース、（3a）……筒ケース部、（3b）
……大径ケース部、（５）……差動軸、（６）……伝動
軸、（７）……小径ベベルギヤ、（８）……車軸、
（９）……大径受動ギヤ、（11）……前車輪、（12）…
…ホイール、（13）……スクレーパ、（13b）……傾斜
面、（Ｐ）……上下方向軸芯。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】前車軸ケース（１）に内装の差動軸（５）
   と前車輪（11）と車軸（８）とを、前記前車軸ケース
   （１）の外端部に固定された筒状伝動ケース（２）に内
   装の上下方向軸芯（Ｐ）を有した伝動軸（６）を介して
   連動連結するとともに、前記差動軸（５）から車軸
   （８）への伝動系に、前記差動軸（５）の回転出力を前
   記伝動軸（６）に装着の小径ベベルギヤ（７）と、前記
   車軸（８）側に装着の大径受動ギヤ（９）とからなる減
   速機構を介装して、前車輪（11）に駆動力を伝動すべく
   構成し、前記減速機構を内装する減速ケース（３）を、
   前記筒状伝動ケース（２）に外嵌して前記上下方向軸芯
   （Ｐ）周りで操向回動可能な筒ケース部（3a）と、前記
   車軸（８）を支承するとともに前記大径受動ギヤ（９）
   を内装して前記筒ケース部（3a）に固定された大径ケー
   ス部（3b）とから構成し、さらに、その減速ケース
   （３）の大径ケース部（3b）を前車輪（11）のホイール
   （12）の内側に入込み配置して前記前車輪（11）を伝動
   軸（６）の上下方向軸芯（Ｐ）周りに回動可能に構成し
   てある農作業車の前車輪支持部であって、 前記減速ケース（３）の筒ケース部（3a）の機体外方側
   の下部に、前記ホイール（12）の内周側に入り込む状態
   でスクレーパ（13）を設け、このスクレーパ（13）に、
   平面視で前車輪（11）の回転面に対して斜めに交差し、
   かつ、その傾斜方向が車輪回転方向での下手側ほど機体
   幅方向での内方側に向かう方向である傾斜面（13b）を
   備えさせてある農作業車の前車輪支持部。