JPH0740821Y2 - 衝炎バーナ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、燃焼空間の省スペー
ス化と燃焼生成物であるＣＯ／ＣＯ２，ＮＯＸ（窒素酸
化物）の低減を図った衝炎バーナに関する。

【０００２】

【従来の技術】大気汚染の主原因となっているＣＯ、Ｎ
Ｏｘの削減対策については、環境保存の見地からその対
応が迫られており、ガス給湯器等の各種ガス燃焼器具に
ついても例外ではない。

【０００３】そこで、ガス燃焼器具においてＣＯ、ＮＯ
ｘの排出量を低減するには、バーナの燃焼速度を遅延さ
せて燃焼炎の温度を低下させるのが最も効果的である。

【０００４】そのため、従来の技術では、バーナの燃焼
炎中に金属製の板片、コイル等を挿入するか、バーナの
燃焼炎に水蒸気を混入するなどの手段をもってバーナの
燃焼速度を遅らせ燃焼炎の温度低下を図っている。

【０００５】図１０に示されているバーナ主体Ａ′の炎
口部１′の上面に相対向する炎口２′を平面状に設けた
従来の衝炎バーナにおいても上記ＣＯ／ＣＯ₂ 、ＮＯｘ
の低減手段を採っているにすぎない。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】上記従来の技術にあっ
ては、板片、コイル又は水蒸気の噴出ノズル等をバーナ
の主炎口等に臨ませて別に取り付け設置することから燃
焼空間を大きくする必要があり、かつ、構造的に複雑と
なりコスト的にも高価となる。

【０００７】また、特開平２ー２９０４１０には２つの
バーナ本体の燃焼面を向い合せて衝突火炎を形成させ、
それを上下方向に複数設けたものも知られているが、こ
の構成では衝突火炎が形成される炎口の前面方向に大き
な燃焼空間を必要とする。また、能力アップを図る場合
は、さらに、大きな燃焼空間が必要とされる。尚、上部
火炎の基部が下部火炎の排ガスの影響を受けて燃焼する
とＮＯＸ低減効果を生じるが、この従来例では下部火炎
の排ガスの影響を受ける上部火炎は燃焼反応が進んだ火
炎先端部であるために、ＮＯＸ低減効果は少ない。

【０００８】この考案は、従来の技術の有する斯かる問
題点に鑑み、衝炎バーナにおいて、背面に備えた２次空
気路面を隣接するバーナ本体の前面に備えた炎口面と向
い合せて並設し、燃焼空間の省スペース化を図ると共に
その相対向する多段炎口に形成される火炎に２次空気を
効率的に接触させてその短炎化及び温度低下による低Ｃ
Ｏ／ＣＯ２，低ＮＯＸ化を図った衝炎バーナの提供を目
的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この考案の衝炎バーナは、相対向する一対の炎口を
上下に多段に配列した炎口面を前面に備えると共に、背
面に２次空気路を備え、該２次空気路に流れた２次空気
を上記炎口面の上部に形成される火炎に導く構成とした
バーナ本体を複数並設した衝炎バーナであって、上記バ
ーナ本体は、その２次空気路面を隣接するバーナ本体の
炎口面と向い合せて並設したことを要旨とする。また、
本考案の第２の衝炎バーナは、第１の考案において、上
記２次空気路には、隣接する上記バーナ本体の炎口面に
向い合う面に２次空気通過孔を穿設し、上記２次空気路
に流れた２次空気を上記向い合う隣接の炎口面に形成さ
れる火炎に導く構成としたことを要旨とする。

【００１０】

【作用】この考案の衝炎バーナは、上記構成としたか
ら、隣接するバーナ本体間には一方の火炎しか存在しな
いので相互の干渉がなく炎口の前面の燃焼空間は小さく
てすむ。 また、炎口面に形成される火炎に２次空気路か
らの２次空気が効率的に接触して火炎を低温かつ短炎化
するから、火炎は低温で酸化されＣＯ／ＣＯ２，ＮＯＸ
は低減する。

【００１１】なお、相対向する一対の炎口は上下に多段
に設けられているから、上部炎口の炎は下部炎口の炎の
排ガスの影響を受けて燃焼し、上部炎口の炎の燃焼速度
は下部炎口の炎の排ガスが混入した分だけ遅くなり、上
部炎口の炎の温度は低下する。

【００１２】そして、上部炎口の炎に下部炎口の炎の排
ガスが合流し加熱に供されるから、上部炎口の炎の温度
は低下してもその熱量は本来の熱量に維持されるもので
ある。

【００１３】

【実施例】以下この考案の衝炎バーナの実施例について
図面を参照して説明する。

【００１４】実施例１ 図１及び図２において、Ａはバーナ本体で、混合管部８
と前面に炎口面１を備えた横長扁平の箱状体とからな
り、実施例１では混合管部８と箱状体を一体形成してい
るが、これらを別々に作り一体に連結して形成してもよ
い。

【００１５】２は前記前面の炎口面１のみに設けた相対
向する一対の炎口で、該炎口２は炎口面１の全体にわた
って多数の炎口２が並列状に多段に配設されている。

【００１６】炎口２は実施例１のようにバーナ本体Ａが
鈑金製の場合、プレス加工によって多数の台形状凸部９
を一定の間隔を存して並列状に膨出形成し、該凸部９の
両側を開口して形成することにより、相隣接する炎口２
が対向し炎が衝突するようになすほか、その他任意の手
段で多数の相対向する一対の炎口を形成してもよい。

【００１７】バーナ本体Ａを実施例１のように鈑金製と
した場合、プレス加工等によって均一な製品の量産が可
能であるから、コスト的にも低廉となる。

【００１８】３はバーナ本体Ａの炎口面１の背面に設け
た２次空気路で、一定の通気間隙を存して案内板１０を
並設せしめて形成され、該案内板１０の上端部を前方へ
屈折して２次空気路３の先端に吹出口４を設け、該吹出
口４を炎口面１の上部に形成される火炎ａに指向させた
構成となっている。

【００１９】２次空気路を実施例１のように、案内板１
０により形成し、その先端吹出口４を炎口面の上部に形
成される火炎ａに指向させた構成のものにあっては、簡
単な構造で所期の目的が達成しうる。

【００２０】前記構成において、バーナ本体Ａの炎口面
１の前面上部には、多数の相対向する一対の炎口２の炎
がそれぞれ衝突して形成される多数の衝炎ａ′が合体し
た１つの火炎ａが形成される。

【００２１】多段に配置された多数の相対向する一対の
炎口２により形成される前記火炎ａには、排ガス混入に
よる温度低下のほかに、火炎ａにバーナ本体Ａの炎口面
１の裏面に設けられた２次空気路３に流れた２次空気流
ｂが先端吹出口４から吹出して接触するから、火炎ａに
２次空気が効率的に接触することになり、火炎ａはさら
に低温かつ短炎化し、ＣＯ／ＣＯ₂ 、ＮＯｘは著しく低
減する。

【００２２】なお、前記衝炎バーナは複数個のバーナを
並設してガス給湯器のバーナ等に使用するものである。
実施例１では２つのバーナを並設したものを示してい
る。

【００２３】実施例２ 図３ないし図５において、バーナ本体Ａの炎口面１の裏
面に多数の２次空気通過孔５を隣接のバーナ本体Ａの炎
口面１側に穿った案内板１１を一定の通気間隙を存して
並設せしめて２次空気路３を形成し、該２次空気路３に
流れた２次空気流ｂが多数の２次空気通過孔５から後方
へ吹出して隣接のバーナ本体Ａの炎口面１に形成される
火炎ａに接触することによりその低温かつ短炎化を図っ
た構成としたもので、前記構成及び作用以外は、実施例
１と同一につき同一部分に同一符号を付してその説明は
省略する。

【００２４】なお、実施例２においては、案内板１１の
先端延長閉塞部１２の前面に穿った通孔１３からも２次
空気路３の２次空気の一部を吹出して当該バーナ本体Ａ
の炎口面１に形成される火炎ａに２次空気を接触させる
ようになしている。

【００２５】また、案内板１１の基端延長板１４に穿っ
た通孔１５から２次空気を上方へ吹出して隣接のバーナ
本体Ａの火炎ａに２次空気を接触させるようになしてい
る。この基端延長板１４は隣接のバーナ本体Ａとの間隔
保持を兼ねるものである。

【００２６】実施例３ 図６ないし図８において、バーナ本体Ａの炎口面１の裏
面に、隣接のバーナ本体Ａの炎口面１の各々の列の炎口
２に略相当する部位に複数の２次空気通過孔６を列穿せ
る横断面が三角形状をした複数個の縦長の通気路７を設
け、該複数個の通気路７をもって２次空気路３を形成せ
しめている。

【００２７】前記２次空気路３の各々の通気路７の２次
空気通過孔６から２次空気を後方へ吹出して隣接のバー
ナ本体Ａの炎口面１の形成される火炎ａに接触させるこ
とによりその低温かつ短炎化を図った構成としたもの
で、前記構成及び作用以外は実施例１と同一につき同一
部分に同一符号を付してその説明は省略する。

【００２８】なお、実施例３においては、各々の通気路
７の基端延長板１６に穿った通孔１７から２次空気を上
方へ吹出して隣接のバーナ本体Ａの火炎ａの下方部に２
次空気を接触させるようになしている。この基端延長板
１６は隣接のバーナ本体との間隔保持を兼ねるものであ
る。

【００２９】実施例２及び３のように、２次空気路３か
らの２次空気を多数の２次空気通過孔５，６から後方へ
吹出して隣接のバーナ本体Ａの火炎ａの各部にまんべん
なく接触させる構造のものにあっては、空気分圧がよい
ので火炎ａに対する２次空気の接触効果が倍加する。

【００３０】上記実施例１〜３について、火炎ａに接触
する過剰空気率〔λ〕に対するＮＯｘ〔ｐｐｍ〕の排出
量を測定した結果、図９のグラフのとおりであった。

【００３１】図９によれば、従来例との対比において、
この考案の衝炎バーナではＮＯｘ排出量が各々の曲線に
見られるように、いずれの実施例においても著しく低減
することが判明した。

【００３２】

【考案の効果】この考案の衝炎バーナは、バーナ本体の
２次空気路面を隣接するバーナ本体の炎口面と向い合せ
て並設する構造としたから隣接するバーナ本体間には一
方の火炎しか存在しないので相互の干渉がなく炎口の前
面の燃焼空間は小さくてすみ全体の燃焼空間の省スペー
ス化が図れる。また、バーナ本体の炎口面に相対向する
一対の炎口を上下に多段に設け、その背面には２次空気
路を設けて火炎に２次空気路に流れた２次空気を接触さ
せる構造としたから、排ガス混入による温度低下と相ま
って火炎に２次空気が効果的に接触し火炎を低温かつ短
炎とするために火炎は低温で酸化され、ＣＯ／ＣＯ２，
ＮＯＸの発生量は飛躍的に減ずる。

【００３３】なお、相対向する炎口を多段に配設したこ
とにより、従来の技術のように相対向する炎口を炎口部
の上面にだけ設けたものに比べ排ガス混入による火炎の
温度低下のほかに以下の効果をも奏する。

【００３４】相対向する炎口の炎を衝突させて乱流状態
をつくり、空気との混合をよくして炎口１個当たりのガ
ス燃焼量を増すことができるという衝炎バーナ特有の効
果がさらに顕著となるほか、背面の２次空気路に穿設し
た２次空気通過孔によりバーナ本体上部への２次空気量
と隣接するバーナ本体への２次空気量の配分調整が容易
にできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案による衝炎バーナの実施例１の斜視図
である。

【図２】その要部だけの断面図である。

【図３】実施例２の一部を切欠いた正面側斜視図であ
る。

【図４】その背面側斜視図である。

【図５】その要部だけの断面図である。

【図６】実施例３の正面側斜視図である。

【図７】その背面側斜視図である。

【図８】その要部だけの断面図である。

【図９】実施例１〜３におけるＮＯｘ測定グラフであ
る。

【図１０】従来例の正面図である。

【符号の説明】

Ａ バーナ本体 １ 炎口面 ２ 炎口 ３ ２次空気路 ａ 火炎 ４ 先端吹出口 ５ ２次空気通過孔 ６ ２次空気通過孔 ７ 通気路

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−24320（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−297615（ＪＰ，Ａ) 特開 昭63−210506（ＪＰ，Ａ) 特開 平２−290410（ＪＰ，Ａ) 実開 平２−14523（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭63−23523（ＪＰ，Ｕ) 特公 昭63−263311（ＪＰ，Ｂ２) 特公 昭56−20442（ＪＰ，Ｂ２) 特公 昭58−49765（ＪＰ，Ｂ２)

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 相対向する一対の炎口を上下に多段に配
   列した炎口面を前面に備えると共に、背面に２次空気路
   を備え、該２次空気路に流れた２次空気を上記炎口面の
   上部に形成される火炎に導く構成としたバーナ本体を複
   数並設した衝炎バーナであって、上記バーナ本体は、そ
   の２次空気路面を隣接するバーナ本体の炎口面と向い合
   せて並設したことを特徴とする衝炎バーナ。
2. 【請求項２】 上記２次空気路には、隣接する上記バー
   ナ本体の炎口面に向い合う面に２次空気通過孔を穿設
   し、上記２次空気路に流れた２次空気を上記向い合う隣
   接の炎口面に形成される火炎に導く構成としたことを特
   徴とする請求項１記載の衝炎バーナ。