JP3053697B2 - 低ＮＯｘバーナ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、給湯器や暖房装置等
の各種ガス器具に装備されるガスバーナ、特に、有害な
ＮＯｘ（窒素酸化物）を抑制できるように構成された低
ＮＯｘバーナに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】低ＮＯｘ化を図るためには全１次燃焼が
有効であることが知られている。この燃焼方式による
と、炎の温度を低く抑えるために、ガスがエアリッチの
状態で燃焼されるので、火炎を安定させることが困難で
ある。そこで、従来、主炎の両側に袖火を形成して、主
炎を安定させる技術が提案されている。例えば、特開平
３−２６３５０１号公報または実開平３−３８５１５号
公報には、袖火を形成するために、ノズルの構造を改変
したり、バーナプレートの上流側にスロートチューブを
設けたり、ファンの出口を仕切ったりする技術が開示さ
れている。また、従来の全１次燃焼方式のプレート状バ
ーナにおいては、火炎が小さくなりバーナ温度が上昇す
るため、セラミックプレートが多用されている。一方、
プレスバーナユニットを備えた低ＮＯｘバーナとして
は、従来、例えば、特開平３−２７４３０７号公報また
は実開平２−１１５６２７号公報に開示された技術が知
られているが、ここでは、複数列に並設されたバーナユ
ニットの上端に、主炎を形成する主炎口と袖火を形成す
る補助炎口とが設けられている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の低Ｎ
Ｏｘバーナによると、空気供給路の構造が複雑化するば
かりでなく、高価なセラミックプレートを使用する必要
もあり、そのうえ、炎口がバーナユニット上に設けられ
ているため、燃焼生成物等のゴミがバーナ上に落ちて炎
口に詰まり、振動燃焼が発生しやすいという問題点があ
った。そこで、この発明の課題は、バーナユニットとバ
ーナユニットとの間で全１次燃焼させて、簡単かつ安価
な構造でＮＯｘを抑制できるとともに、炎口のゴミ詰ま
りを防止できる低ＮＯｘバーナを提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、この発明の低ＮＯｘバーナは、複数のバーナユニ
ットを所定の間隔をおいて並設し、各バーナユニットに
燃焼ガスと１次空気とからなる濃混合気を導入する濃混
合気室を設け、各バーナユニットの腹部には、濃混合気
を導出する上部連通孔及び下部連通孔を形成するととも
に、上部連通孔及び下部連通孔からの濃混合気を分離し
て案内するガイド板を設け、隣接するバーナユニットと
バーナユニットとの間には下部連通孔からの濃混合気に
２次空気を混合して淡混合気を生成する開放空間を設
け、開放空間の上方においてガイド板の上端間に淡混合
気を吐出する主炎口を形成し、主炎口の両側には上部連
通孔からの濃混合気を吐出する補助炎口を形成し、各バ
ーナユニットの頂部には短絡２次空気を吐出する短絡２
次空気吐出口を設けて構成される。

【０００５】第２の発明は、前記ガイド板がバーナユニ
ットの上面より高く突出するように設けられる。また、
第３の発明では、前記短絡２次空気吐出口が主炎口及び
補助炎口と略同じ高さの低位吐出口と、それよりも高い
高位吐出口とから構成される。

【０００６】

【作用】この発明の低ＮＯｘバーナにおいては、主炎が
主炎口から吐出される淡混合気によって形成されるの
で、主炎の温度が抑制されてＮＯｘが低下する。主炎の
両側には補助炎口から吐出される濃混合気により袖火が
形成され、これによって主炎がリフトすることなく安定
した形態で燃焼する。バーナユニット上の短絡２次空気
吐出口から吐出される短絡２次空気は、隣接する火炎と
火炎とを分割し、袖火を完全燃焼させ、主炎を安定燃焼
させるとともに、バーナユニットの上部を冷却してフラ
ッシュバックを防止する。したがって、主炎口、補助炎
口、及び短絡２次空気吐出口に至る３系統の空気供給路
を、ノズルを改変したり、またセラミックプレートを用
いたりすることなく、簡単かつ安価な構造のプレスバー
ナに形成でき、これをもって全１次燃焼と同等の低ＮＯ
ｘ効果を発揮するバーナを構成することが可能になる。
しかも、主炎口は隣接するバーナユニットとバーナユニ
ットとの間に形成されるので、主炎口の中へゴミを落と
して、主炎口のゴミ詰まりを防止でき、振動燃焼を未然
に回避することができる。

【０００７】また、ガイド板をバーナユニットの上面よ
り高く突設すれば、袖火が主炎の基部に連続的に形成さ
れるので、主炎のリフトを確実に防止して、主炎をより
安定した形態で燃焼させることができ、騒音も低下す
る。更に、短絡２次空気吐出口を低位吐出口と高位吐出
口とから構成した場合には、短絡２次空気が高低両吐出
口から分配して吐出されるので、炎の基部への空気供給
量を制限し、かつ、炎の先端部には空気を過剰供給し
て、炎全体の温度を低下でき、もってＮＯｘをより効果
的に抑制することが可能になる。

【０００８】

【実施例】以下、この発明を具体化した実施例を図面に
基づいて説明する。図１及び図２は第一実施例の低ＮＯ
ｘバーナを示すもので、ここにはプレスバーナ構造のバ
ーナユニット１が所定の間隔をおいて複数列並設されて
いる。各バーナユニット１には燃焼ガスと１次空気とか
らなるガスリッチ（例えば、空気過剰率＝０．３〜０．
５）の濃混合気２を導入する濃混合気室３が設けられて
いる。各バーナユニット１の腹部には、濃混合気室３の
濃混合気２を導出する上部連通孔１３及び下部連通孔７
がそれぞれ多数形成されている。隣接するバーナユニッ
ト１とバーナユニット１との間には、下部連通孔７から
の濃混合気２に２次空気４を混合してエアリッチ（例え
ば、空気過剰率＝１．１〜１．３）の淡混合気５を生成
する開放空間６が設けられている。

【０００９】各バーナユニット１の腹部には、上部連通
孔１３及び下部連通孔７からの濃混合気２を分離して案
内するガイド板８がバーナユニット１と同じ高さで設け
られている。開放空間６の上方においてガイド板８の上
端間には、淡混合気５を吐出して主炎９を形成する主炎
口１０が設けられ、この主炎口１０の両側には、上部連
通孔１３からの濃混合気２を吐出して袖火１１を形成す
る補助炎口１２が設けられている。そして、各バーナユ
ニット１の頂部には、その長手方向後端から２次空気の
一部を短絡２次空気１４として導入する導入管１５が重
合固着され、その導入管１５の上面には短絡２次空気１
４を吐出する短絡２次空気吐出口１６が幅方向に複数設
けられている。

【００１０】上記のように構成された第一実施例の低Ｎ
Ｏｘバーナにおいては、主炎９が主炎口１０から吐出さ
れるエアリッチの淡混合気５によって形成される。この
ため、主炎９の温度を抑制して、ＮＯｘを低下すること
ができる。また、袖火１１は補助炎口１２から吐出され
る濃混合気２により主炎９の両側に形成される。したが
って、この袖火１１により主炎９を、リフトさせること
なく、安定した形態で燃焼させることが可能になる。更
に、導入管１５の短絡２次空気吐出口１６から吐出され
る短絡２次空気１４は、隣接する火炎と火炎とを干渉し
ないように分割し、袖火１１を完全燃焼させ、主炎９を
安定燃焼させるとともに、導入管１５の上面を冷却して
フラッシュバックを防止するように作用する。

【００１１】その結果、主炎口１０、補助炎口１２、及
び短絡２次空気吐出口１６に至る３系統の空気供給路
を、従来のようにノズルを改変したり、またセラミック
プレートを用いたりすることなく、簡単かつ安価な構造
のプレスバーナに形成でき、これをもって全１次燃焼と
同等の低ＮＯｘ効果を発揮するバーナを構成することが
可能になる。しかも、主炎口１０は隣接するバーナユニ
ット１とバーナユニット１との間に形成されているの
で、主炎口１０の中へゴミを落として、主炎口１０のゴ
ミ詰まりを防止でき、振動燃焼を未然に回避することが
できる。

【００１２】図３は第二実施例の低ＮＯｘバーナを示す
もので、ここでは、ガイド板８がバーナユニット１の上
面より高く突出するように設けられている。この構成に
よれば、ガイド板８が火炎の内部に進入するので、袖火
１１が主炎９の基部に連続的に形成される。したがっ
て、主炎９のリフトを確実に防止できて、主炎９をより
安定した形態で燃焼させることができ、その結果、騒音
も低下する。

【００１３】図４は第三実施例の低ＮＯｘバーナを示す
もので、ここでは、短絡２次空気吐出口１６が主炎口１
０及び補助炎口１２と同じ高さの低位吐出口１６ａと、
それよりも高い高位吐出口１６ｂとから構成されてい
る。高位吐出口１６ｂは、短絡２次空気１４が主炎９の
先端部に向けて吐出されるように、導入管１５に立設し
た起立片１７の上端に設けられている。これによれば、
短絡２次空気１４が高低両吐出口１６ａ，１６ｂから分
配して吐出されるので、火炎の基部への空気供給量を制
限し、かつ、主炎９の先端部には空気を過剰供給して、
火炎全体の温度を低下でき、もってＮＯｘをより効果的
に抑制することが可能になる。なお、この構造によれ
ば、火炎全体の温度を低下できるので、それに応じ、淡
混合気５の空気過剰率を１．０以下（例えば、０．６〜
１．０）に設定してもよい。

【００１４】図５及び図６は第四実施例の低ＮＯｘバー
ナを示すもので、ここでは、バーナユニット１の幅方向
中央部に短絡２次空気１４を下方から導入する一対の導
入壁１８が挿入され、その上端に短絡２次空気吐出口１
６が設けられている。この構成によっても、第一実施例
とほぼ同様の作用効果が得られる。

【００１５】その他、この発明は上記各実施例に限定さ
れるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各
部の形状並びに構成を適宜に変更して具体化することも
可能である。

【００１６】

【発明の効果】以上に詳述したように、請求項１に記載
した発明によれば、バーナユニットとバーナユニットと
の間に主炎口及び補助炎口を設け、バーナユニット上に
は短絡２次空気吐出口を形成したので、各バーナユニッ
ト間で全１次燃焼させて、簡単かつ安価な構造でＮＯｘ
を抑制できるとともに、炎口のゴミ詰まりを防止できる
という優れた効果を奏する。

【００１７】請求項２に記載した発明によれば、ガイド
板をバーナユニットの上面より高く突設したので、主炎
をより安定した形態で燃焼させることができ、騒音も低
下するという効果がある。

【００１８】請求項３に記載した発明によれば、短絡２
次空気吐出口を低位吐出口と高位吐出口とから構成した
ので、炎全体の温度を低下して、ＮＯｘをより効果的に
抑制することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第一実施例を示す低ＮＯｘバーナの断
面図である。

【図２】図１の低ＮＯｘバーナの側面図である。

【図３】本発明の第二実施例を示す低ＮＯｘバーナの断
面図である。

【図４】本発明の第三実施例を示す低ＮＯｘバーナの断
面図である。

【図５】本発明の第四実施例を示す低ＮＯｘバーナの断
面図である。

【図６】図５の低ＮＯｘバーナの側面図である。

【符号の説明】

１・・バーナユニット、２・・濃混合気、３・・濃混合
気室、４・・２次空気、５・・淡混合気、６・・開放空
間、７・・下部連通孔、８・・ガイド板、９・・主炎、
１０・・主炎口、１１・・袖火、１２・・補助炎口、１
３・・上部連通孔、１４・・短絡２次空気、１５・・導
入管、１６・・短絡２次空気吐出口、１６ａ・・低位吐
出口、１６ｂ・・高位吐出口、１７・・起立片、１８・
・導入壁。

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数のバーナユニットを所定の間隔をお
   いて並設し、各バーナユニットに燃焼ガスと１次空気と
   からなる濃混合気を導入する濃混合気室を設け、各バー
   ナユニットの腹部には、濃混合気を導出する上部連通孔
   及び下部連通孔を形成するとともに、上部連通孔及び下
   部連通孔からの濃混合気を分離して案内するガイド板を
   設け、隣接するバーナユニットとバーナユニットとの間
   には下部連通孔からの濃混合気に２次空気を混合して淡
   混合気を生成する開放空間を設け、開放空間の上方にお
   いてガイド板の上端間に淡混合気を吐出する主炎口を形
   成し、主炎口の両側には上部連通孔からの濃混合気を吐
   出する補助炎口を形成し、各バーナユニットの頂部には
   短絡２次空気を吐出する短絡２次空気吐出口を設けてな
   ることを特徴とする低ＮＯｘバーナ。
2. 【請求項２】 前記ガイド板をバーナユニットの上面よ
   り高く突出するように設けたことを特徴とする請求項１
   の低ＮＯｘバーナ。
3. 【請求項３】 前記短絡２次空気吐出口を主炎口及び補
   助炎口と略同じ高さの低位吐出口と、それよりも高い高
   位吐出口とから構成したことを特徴とする請求項１の低
   ＮＯｘバーナ。