JPH0739621B2 - 建材用アルミニウム合金圧延板の陽極酸化処理後の色調の調整方法 - Google Patents

建材用アルミニウム合金圧延板の陽極酸化処理後の色調の調整方法

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JPH0739621B2
JPH0739621B2 JP1239141A JP23914189A JPH0739621B2 JP H0739621 B2 JPH0739621 B2 JP H0739621B2 JP 1239141 A JP1239141 A JP 1239141A JP 23914189 A JP23914189 A JP 23914189A JP H0739621 B2 JPH0739621 B2 JP H0739621B2
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雅美 古屋
守 松尾
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スカイアルミニウム株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明はビルのカーテンウォールや内装材などの建材
の用途において陽極酸化処理を施して使用されるアルミ
ニウム合金圧延板の製造方法に関し、特に同一の成分組
成の合金を用いて陽極酸化処理後の色調を無彩色系の暗
灰色〜淡灰色〜乳白色の3段階に調整する方法に関する
ものである。
従来の技術 一般にカーテンウォールや内装材などの用途に使用され
るアルミニウム合金圧延板は、耐食性の観点から、陽極
酸化処理を施して使用することが多い。これらの用途の
陽極酸化処理用アルミニウム合金としては、淡灰色から
シルバー系のものが多く、このような合金としては一般
にJIS 1050合金、1100合金、5005合金等が多用されてお
り、また灰色系のものとしてはAl−1〜4%Si合金が一
般的である。一方、陽極酸化処理としては、経済性およ
び耐食性の観点から、特に大型の建材では硫酸浴陽極酸
化が用いられるのが通常である。
ところで前述のような用途では、美観のために陽極酸化
処理後の表面に対して所要の色調を有することが要求さ
れることが多い。陽極酸化処理板に所要の色調を与える
方法としては、塗装、染色、二次電解着色、合金発色、
陽極酸化処理液による発色などがあるが、経済性および
耐食性の観点から、陽極酸化処理のままでの発色、特に
硫酸浴による陽極酸化処理のままでの発色が望まれる。
一方、ビルのカーテンウォール、内装材等としては、デ
ザイン上の要請から、何種類かの異なる色調の陽極酸化
処理板、特に無彩色系で暗灰色から乳白色までの異なる
色調の陽極酸化処理板を組合わせて使用する場合があ
る。このような場合、従来は異なる成分組成の合金を組
合せるか、あるいは同一の成分組成の合金を用いて陽極
酸化処理条件や二次電解条件を異ならしめるか、そのほ
か染色によって色調を異ならせるなどの手法が適用され
ている。
発明が解決しようとする課題 前述のように何種類かの異なる色調の陽極酸化処理板を
組合せて使用する場合に、異なる成分組成の合金を組合
せることは、次のような点で問題があった。すなわちこ
の場合には合金ごとに陽極酸化処理条件が異なり、また
デスマット等の前処理条件も合金ごとに異なるから、同
一の合金を処理する場合と比較して大幅なコスト上昇を
招いてしまう。またこの場合、成分組成が異なる合金が
組合されるため、スクラップの個別管理が必要となり、
また電食の問題や溶接の問題等に対する配慮が必要で、
使用する合金の種類に制約がある。
一方、同一の成分組成の合金を用いて、陽極酸化処理条
件や二次電解条件を異ならせることによって異なる色調
とした板材を組合せることは、大幅なコスト上昇を招く
問題があり、またそればかりでなく陽極酸化処理条件や
二次電解条件では特に色味の少ない無彩色系で暗灰色か
ら乳白色まで確実に色調を異ならしめることは極めて困
難であった。
さらに、染色法による場合、耐食性が著しく劣るため、
ビルのカーテンウォール等の建材に用いれば色調の減退
が生じてしまい、したがって建材には実際上適用し得な
かった。
そこで、同一の成分組成の合金を用いて陽極酸化処理条
件は変えずに陽極酸化処理のままで色調を異ならしめる
方法、特に無彩色系で暗灰色〜淡灰色〜乳白色に調整す
る方法の開発が望まれているが、従来はこのような方法
は実用化困難と考えられていた。
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、建
材用アルミニウム合金圧延板を製造するにあたって、同
一の成分組成の合金を素材とし、陽極酸化処理条件も同
一として陽極酸化処理後の色調を暗灰色〜淡灰色〜乳白
色の3段階に調整する方法を提供することを目的とする
ものである。
課題を解決するための手段 本発明者等は前述の課題を解決するべく、鋭意実験・検
討を重ねた結果、合金の成分組成を適切に設定してお
き、製造条件、特に鋳塊加熱条件を変化させて、金属間
化合物を制御することにより、同一の成分組成の合金を
用いかつ陽極酸化処理条件を変更することなく、陽極酸
化処理後の色調を暗灰色〜淡灰色〜乳白色の3段階に調
整できることを見出し、この発明をなすに至った。
具体的には、請求項1の発明は、同一の成分組成を有す
るアルミニウム合金を素材として建材用アルミニウム合
金圧延板を製造するにあたって、その圧延板の陽極酸化
処理後の色調を、暗灰色、淡灰色、乳白色の3段階に調
整する方法において、素材として、Feを0.8〜2.0wt%含
有しかつSiを0.2wt%以下に規制し、残部がAlおよびそ
の他の不可避的不純物よりなるアルミニウム合金を用
い、その合金の溶湯を35〜150mm/minの範囲内の鋳造速
度でDC鋳造法により鋳造し、得られた鋳塊に対して、圧
延板の陽極酸化処理後に得るべき色調に応じて、 A 暗灰色の色調を得る場合: 350℃以上500℃未満 B 淡灰色の色調を得る場合: 500℃以上550℃未満 C 乳白色の色調を得る場合: 550℃以上630℃以下 以上のA,B,Cのうちいずれかの温度条件を選択してその
温度条件範囲内の温度で0.5〜24時間の加熱を施した
後、熱間圧延し、さらに冷間圧延を施して最終板厚と
し、これにより金属間化合物の90%以上が5μm以下の
大きさであってかつ金属間化合物の総量が2.5〜7wt%の
範囲内にあり、しかも金属間化合物Al6Feの量とAl3Feの
量との比が、陽極酸化処理後に得るべき色調に応じて、 a 暗灰色の色調の場合: Al6Fe/(Al3Fe+Al6Fe)≧0.7 b 淡灰色の色調の場合: 0.7<Al6Fe/(Al3Fe+Al6Fe)>0.1 c 乳白色の色調を得る場合: 0.1≧Al6Fe/(Al3Fe+Al6Fe) 以上a,b,cのうちいずれかの範囲内となっている圧延板
を得ることを特徴とするものである。
また請求項2の発明は、前記同様に同一の成分組成を有
するアルミニウム合金を素材として建材アルミニウム合
金圧延板を製造するにあたって、その圧延板の陽極酸化
処理後の色調を、暗灰色、淡灰色、乳白色の3段階に調
整する方法において、素材として、Feを0.8〜2.0wt%含
有するとともに、Mn0.05〜0.2wt%、Mg0.05〜1.5wt%、
Cr0.05〜0.1wt%のうちのいずれか1種または2種を含
有し、かつSiが0.2wt%以下に規制され、残部がAlおよ
びその他の不可避的不純物よりなるアルミニウム合金を
用い、請求項1の発明と同様に処理して、金属間化合物
を前記同様に調整するものである。
先ず素材アルミニウム合金の成分限定理由について説明
する。
作用 Fe: FeはAl−Fe系の金属間化合物を生成して、陽極酸化処理
後の色調を決定付ける重要な元素である。すなわち、鋳
塊加熱条件(均質化処理条件)との組合せによって金属
化合物Al6Feが増加すれば陽極酸化処理後の色調が暗灰
色になり、Al3Feが多くなれば陽極酸化処理後の色調が
乳白色となる。Fe量が2.0wt%を超えれば粗大化合物が
増加して陽極酸化処理後の色調が黄味を帯びるようにな
り、一方Fe量が0.8wt%未満ではAl−Fe系金属間化合物
の絶対数が少なく、全体に色が浅くなって鋳塊加熱条件
による陽極酸化処理後の色調の変化の幅も小さくなる。
したがってFe量は0.8〜2.0wt%の範囲内とした。
Si: Siは鋳塊中に樅の木組織と称される異常組織を生成させ
やすい。鋳塊に樅の木組織が発生すれば、圧延板を陽極
酸化処理した際に表面ストリークスと称される帯状の模
様が生じ、外観を損なう。この樅の木組織の発生を防ぐ
ためには、Si量を0.2wt%以下に規制する必要がある。
異常のFe,Siのほかは基本的にはAlおよびその他の不可
避的不純物とすれば良いが、必要に応じてMn,Mg,Crのう
ちの1種または2種以上を添加しても良い。これらの添
加理由、添加量限定理由は次の通りである。
Mn: Mnは鋳塊中のAl6Feを安定化し、樅の木組織を発生しに
くくする元素であり、特にSi量が0.1〜0.2wt%程度と比
較的多い場合に、Mnの添加による樅の木組織発生防止効
果が大きい。Mn量が0.05wt%未満では上述の効果が不充
分であり、一方0.2wt%を超えれば陽極酸化処理後の色
調が赤味を帯び、この発明で目的とする無彩色系から外
れてしまう。したがってMnを添加する場合のMn添加量は
0.05〜0.2wt%とした。
Mg: Mgは強度向上のために添加されることがある。Mg量が0.
05wt%未満では強度向上効果が十分に得られず、一方1.
5wt%を超えれば鋳塊に樅の木組織が発生しやすくなっ
てしまう。したがってMgを添加する場合のMg添加量は0.
05〜1.5wt%の範囲内とした。
Cr: Crも強度向上のために添加されることがある。Cr量が0.
05wt%未満では強度向上効果が充分に得られず、一方0.
1wt%を超えれば陽極酸化処理後の色調が黄味を帯びる
ようになり、無彩色系から外れる。したがってCrを添加
する場合のCr添加量は0.05〜0.1wt%の範囲内とした。
また一般のアルミニウム合金においては、鋳塊の結晶粒
微細化のために微量のTi、もしくはTiおよびBを添加す
ることがあるが、この発明の場合も微量のTiもしくはTi
およびBが添加されても良く、これらの添加による結晶
粒微細化効果によって圧延板のキメ、ストリークスを防
止する効果が得られる。その場合、Tiが0.003wt%未満
では上記の効果が得られず、一方Tiが0.15wt%を超えれ
ばTiAl3の粗大金属間化合物が生成されるおそれがある
から、Tiは0.003〜0.15wt%の範囲内とすることが好ま
しい。またBはTiとの共存により結晶粒微細化効果を発
揮するが、Bが1ppm未満ではその効果が得られず、100p
pmを越えれば粗大TiB2粒子による線状欠陥が発生するか
ら、Bは1〜100ppmの範囲内とすることが望ましい。
次に製造条件について説明する。
先ず前述のような成分組成範囲内のアルミニウム合金の
溶湯を常法にしたがって溶製し、鋳造速度35〜150mm/mi
nにてDC鋳造(半連続鋳造)する。ここで、鋳造速度は
鋳塊における樅の木組織発生に影響し、鋳造速度が速過
ぎれば樅の木組織が発生しやすくなる。鋳造速度が35mm
/min未満では生産性が低過ぎて経済的ではなく、一方15
0mm/minを越えれば樅の木組織が発生して圧延板にスト
リークスが生じ、外観を損なう。したがって鋳造速度は
35〜150mm/minの範囲内とした。
次いで、鋳塊に対し0.5〜24時間の加熱処理を施す。こ
の鋳塊加熱は、一般的な鋳塊組織均質化のために必要で
あるばかりでなく、陽極酸化処理後の色調に大きな影響
を及ぼす。すなわちこの鋳塊加熱温度が高ければ鋳塊中
の金属間化合物Al6FeがAl3Feに変態し、圧延板の陽極酸
化理後の色調が暗灰色から淡灰色へ、さらに乳白色へと
変化する。したがって鋳塊加熱温度を制御することによ
って、圧延板の陽極酸化処理後の色調を調整することが
できる。具体的には、鋳塊加熱温度条件は、陽極酸化処
理後に得るべき色調に応じて、次のA,B,Cの3種に分け
られる。
A:350℃以上、500℃未満 この場合はAl6FeはAl3Feへほとんど変態せず、金属間化
合物は70%以上がAl6Fe相となり、陽極酸化処理後に暗
灰色の色調が得られる。
B:500℃以上、550℃未満 この場合はAl6Feがある程度Al3Feへ変態し、Al6FeとAl3
Feとが混在する組織、すなわちAl3Feが30〜90%の組織
となり、陽極酸化処理後に淡灰色の色調が得られる。
C:550℃以上、630℃以下 この場合はAl6Feのほとんど全てがAl3Feに変態し、金属
間化合物は90%以上がAl3Fe相となり、陽極酸化処理後
に乳白色の色調が得られる。
なお鋳塊加熱温度が350℃未満では、熱間圧延後の組織
のキメが粗くなり、表面に模様が生じて外観を損なう。
一方630℃を越えれば、結晶粒の粗大化が生じてストリ
ークスが発生し、また場合によっては局部溶融が生じて
しまう。
また鋳塊加熱時間が0.5時間未満では上述の効果が充分
に得られず、一方24時間を越えても効果は飽和し、コス
ト上昇を招くだけであるから、0.5〜24時間に限定し
た。
上述のような鋳塊加熱の後、熱間圧延および冷間圧延を
行なって最終板厚とする。ここで、熱間圧延は常法にし
たがって行なえば良いが、鋳塊の加熱温度以下で行なう
のが一般的である。熱間圧延の直後、あるいは冷間圧延
の間には、中間焼鈍を行なっても良い。中間焼鈍は、25
0〜450℃で0.5〜12時間行なうのが一般的である。
このようにして得られた最終板厚の圧延板において、陽
極酸化処理後の色調が暗灰色〜淡灰色〜乳白色に調整さ
れるためには、次に述べるように金属間化合物の量、サ
イズおよび種類が重要である。
先ず金属間化合物の量は陽極酸化処理後の色調の変化を
可能にするために重要である。金属間化合物の量が2.5w
t%未満では、色が浅くなって、暗灰色、乳白色のいず
れも達成されない。すなわち鋳塊の加熱条件を変えても
色調の変動幅が少なく、淡灰色しか得られない。一方金
属間化合物の量が7.0wt%を越えれば、乳白色の色調を
得ることが困難となる。すなわち、前述の鋳塊加熱条件
Cとしても、黄色味が強くなって乳白色から外れてしま
う。したがって金属間化合物の総量は2.5〜7.0wt%の範
囲内とする必要がある。
また、金属間化合物のうち、5μmを越える大径の金属
間化合物の数の割合が10%を越えれば、陽極酸化処理後
の色調が浅くなり、暗灰色から乳白色まで変動させるこ
とが困難となる。したがって5μm以下の金属間化合物
が90%以上を占める必要がある。
さらに、金属間化合物の相Al6FeとAl3Feの比が陽極処理
後の色調を決定付ける。すなわち、重量比でAl6Fe/(A
l3Fe+Al6Fe)の値により、 a:Al6Fe/(Al3Fe+Al6Fe)≧0.7で暗灰色の色調、 b:0.7>Al6Fe/(Al3Fe+Al6Fe)≧0.1で淡灰色の色調 c:0.1≧Al6Fe/(Al3Fe+Al6Fe)で乳白色の色調 がそれぞれ得られる。このような金属間化合物の相の比
は、既に述べたように鋳塊加熱条件の制御によって調整
可能である。
以上のように最終板厚の圧延板における金属間化合物を
所定の条件範囲内に規制することによって、その後の陽
極酸化処理板の色調を、暗灰色、淡灰色、乳白色のいず
れかに制御することができる。
なお陽極酸化処理は、常法にしたがって行なえば良い
が、硫酸電解浴を用いることが経済性および耐食性の点
から有利であり、前述のようにして得られた圧延板で
は、硫酸電解浴を用いた陽極酸化処理によって前述のよ
うに暗灰色〜淡灰色〜乳白色の色調を得ることができ
る。
陽極酸化処理にあたっては、予め表面の汚れおよび表面
の欠陥を除去しておくため、脱脂およびエッチングを行
なうのが一般的である。エッチングは、苛性ソーダ系の
アルカリエッチングを行なうのが通常である。そして陽
極酸化処理自体は、H2SO4濃度が10〜25vol%の硫酸浴を
用い、浴温度15〜30℃、電流密度0.5A/dm2以上1.0A/dm2
未満で行ない、膜厚10〜25μmの陽極酸化皮膜を生成さ
せることが望ましい。
ここで、硫酸浴のH2SO4濃度が10vol%未満では陽極酸化
処理後の色調が黄味を帯びるようになり、また皮膜の多
孔度が減少して浴電圧が高くなる。一方H2SO4濃度が25v
ol%を越えれば、表面が荒れて陽極酸化皮膜が柔かくな
る。また浴温度が15℃未満では陽極酸化処理後の色調に
黄味が強くなって無彩色系からずれてしまい、一方30℃
を越えれば陽極酸化処理後の耐食性が低下してしまう。
さらに電流密度は、1.0A/dm2以上では陽極酸化処理後の
色調が黄味を帯びて、無彩色系からずれてしまい、一方
0.5A/dm2未満では、所要の膜厚の陽極酸化皮膜を生成す
るためにかなりの時間を要してしまって生産性を阻害す
るとともに、耐食性も低下する。また生成される陽極酸
化皮膜の膜厚が10μm未満では充分な耐食性が得られ
ず、一方30μmを越えるまで厚くすることは経済的でな
く、しかも陽極酸化処理後の色調が黄味を帯びて無彩色
系からずれる。
なお陽極酸化処理後の色調については、ハンターの色差
式(JIS Z8730参照)による明度指数Lとクロマティク
ネス指数a,bの値によって評価することができる。すな
わち、明度指数のL値は高いほど白く、一方クロマティ
クネス指数は着色度についてのものであってそのa値は
高いほど赤味が強く、b値は高いほど黄味が強いことを
あらわす。ここで、無彩色系の暗灰色、淡灰色、乳白色
は、次のように判定できる。
暗灰色:L値<60、−3<a値<3 −3<b値<3 淡灰色:60≦L値<75、−3<a値<3 −3<b値<3 乳白色:75≦L値、−3<a値<3 −3<b値<3 実施例 先ず鋳造速度および合金成分組成が鋳塊の組織と圧延板
のストリークスに及ぼす影響を次のようにして調べた。
第1表に示す合金No.1〜No.8の溶湯を常法に従って溶製
し、第2表中に示すような鋳造速度(主に65mm/min、一
部は175mm/min)で半連続鋳造法(DC鋳造法)によって
断面寸法100×300mmの鋳塊を鋳造した。その一部をスラ
イスして、鋳塊組織を調べた。また得られた鋳塊に対し
600℃×6時間の加熱を施した後、400℃で熱間圧延して
板厚6mmの熱延板を得、次いで冷間圧延を施して板厚4mm
とした段階で350℃×5時間の中間焼鈍を施し、さらに
冷間圧延を施して板厚2.5mmの圧延板を得、常法に従っ
て硫酸電解浴による陽極酸化処理を施して、ストリーク
スの発生の有無を調べた。
鋳塊組織およびストリークスの発生の有無を調べた結果
を第2表中に示す。
第2表に示すように、鋳造速度を175mm/minとした比較
法、およびSi量が高い合金No.6では鋳塊に樅の木組織が
発生し、またMg量が高い合金No.8では鋳塊の組織が粗大
で不均一となり、いずれも圧延板にストリークスが発生
し、外観不良と判定された。
次に、この発明の方法の実施例、および比較例の方法と
して、次のようなプロセスを実施した。
第1表に示す各成分組成の合金のうち、第2表でストリ
ークスの発生しなかった合金(No.1〜5,No.7)につい
て、DC鋳造法により鋳造速度65mm/minで鋳造し、断面寸
法100×300mmの鋳塊を得た。次いで各鋳塊について第3
表中に示すように種々条件を変えて鋳塊加熱を行なった
後、前記と同様に熱間圧延−冷間圧延−中間焼鈍−冷間
圧延を行なって板厚2.5mmの圧延板とした。その後、各
圧延板に対して、硫酸濃度15vol%の硫酸電解浴を用い
て浴温20℃、電流密度1.5A/dm2にて陽極酸化処理を施し
た。
各板の陽極酸化皮膜の表面色調について、スガ試験機製
カラーメーターSM-3-MCHを用いて調べた。色調は、ハン
ターの色差式による明度指数Lおよびクロマティクネス
指数a,bを用いて評価した。その結果を第3表中に示
す、なおここで無彩色系の暗灰色〜淡灰色〜乳白色とし
ては、a値,b値はいずれも−3〜3,L値は60未満で暗灰
色、60以上75未満では淡灰色、75以上で乳白色と判定で
きる。
また一方、各板について、金属間化合物の総量、5μm
以下の金属間化合物の数の割合、およびAl6Fe/(Al3Fe
+Al6Fe)の比の値を調べた。その結果を第3表中に併
せて示す。なお、金属間化合物の量の測定は、次のよう
にして行なった。すなわち、先ず試料を約0.5〜1g採取
し、フェノール溶液100ml中において170〜180℃で30分
溶解し、さらにフェノール溶液の凝固を防ぐためベンジ
ルアルコールを140℃で50ml添加した後、濾過して、残
渣をアルコールで洗浄し、さらにその残渣を重量分析し
た。
また金属間化合物の相の同定は次のようにして行なっ
た。すなわち、先ず試料を約0.5〜1g採取し、フェノー
ル溶液100ml中において170〜180℃で30分溶解し、フェ
ノール溶液の凝固を防ぐためにベンジルアルコールを14
0℃で50ml添加した後、濾過し、残渣をアルコールで洗
浄した後、その残渣をX線回折により同定した。
さらに金属間化合物のサイズは、試料を研磨した後、画
像解析により金属間化合物の最大長さの分布を測定し
た。但し0.5μm未満の微細な金属間化合物は無視し
た。
第3表に示すように、この発明の成分組成範囲内の合金
(No.1〜No.4)について、この発明のプロセスを適用し
た場合には、陽極酸化処理後の色調を無彩色系の暗灰色
〜淡灰色〜乳白色に確実に調整することができ、しかも
ストリークス等の外観不良も発生しないことが明らかで
ある。
発明の効果 この発明の方法によれば、陽極酸化処理を施して用いら
れる建材用アルミニウム合金圧延板を製造するにあたっ
て、同一の成分組成の素材を用いしかも陽極酸化処理条
件を変えることなく、陽極酸化処理後の色調を無彩色系
で暗灰色〜淡灰色〜乳白色の3段階に確実に調整するこ
とができる。したがってこの発明の方法を適用すること
によって、無彩色系の異なる色調を組合せた建材を得る
にあたってそのコストを従来よりも大幅に低減すること
ができ、また陽極酸化処理のまま、得に硫酸電解浴によ
る陽極酸化処理のままで異なる色調を得ることができる
ため耐食性も良好な建材を得ることができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】同一の成分組成を有するアルミニウム合金
    を素材として建材用アルミニウム合金圧延板を製造する
    にあたって、その圧延板の陽極酸化処理後の色調を、暗
    灰色、淡灰色、乳白色の3段階に調整する方法におい
    て、 素材として、Feを0.8〜2.0wt%含有しかつSiを、0.2wt
    %以下に規制し、残部がAlおよびその他の不可避的不純
    物よりなるアルミニウム合金を用い、その合金の溶湯を
    35〜150mm/minの範囲内の鋳造速度でDC鋳造法により鋳
    造し、得られた鋳塊に対して、圧延板の陽極酸化処理後
    に得るべき色調に応じて、 A 暗灰色の色調を得る場合: 350℃以上500℃未満 B 淡灰色の色調を得る場合: 500℃以上550℃未満 C 乳白色の色調を得る場合: 550℃以上630℃以下 以上のA,B,Cのうちいずれかの温度条件を選択してその
    温度条件範囲内の温度で0.5〜24時間の加熱を施した
    後、熱間圧延し、さらに冷間圧延を施して最終板厚と
    し、これにより金属間化合物の90%以上が5μm以下の
    大きさであってかつ金属間化合物の総量が2.5〜7wt%の
    範囲内にあり、しかも金属間化合物Al6Feの量とAl3Feの
    量との比が、陽極酸化処理後に得るべき色調に応じて、 a 暗灰色の色調の場合: Al6Fe/(Al3Fe+Al6Fe)≧0.7 b 淡灰色の色調の場合: 0.7<Al6Fe/(Al3Fe+Al6Fe)>0.1 c 乳白色の色調を得る場合: 0.1≧Al6Fe/(Al3Fe+Al6Fe) 以上a,b,cのうちいずれかの範囲内となっている圧延板
    を得ることを特徴とする、建材用アルミニウム合金圧延
    板の陽極酸化処理後の色調の調整方法。
  2. 【請求項2】同一の成分組成を有するアルミニウム合金
    を素材として建材用アルミニウム合金圧延板を製造する
    にあたって、その圧延板の陽極酸化処理後の色調を、暗
    灰色、淡灰色、乳白色の3段階に調整する方法におい
    て、 素材として、Feを0.8〜2.0wt%含有するとともに、Mn0.
    05〜0.2wt%、Mg0.05〜1.5wt%、Cr0.05〜0.1wt%のう
    ちのいずれか1種または2種以上を含有し、かつSiが0.
    2wt%以下に規制され、残部がAlおよびその他の不可避
    的不純物よりなるアルミニウム合金を用い、その合金の
    溶湯を35〜150mm/minの範囲内の鋳造速度でDC鋳造法に
    より鋳造し、得られた鋳塊に対して、圧延板の陽極酸化
    処理後に得るべき色調に応じて、 A 暗灰色の色調を得る場合: 350℃以上500℃未満 B 淡灰色の色調を得る場合: 500℃以上550℃未満 C 乳白色の色調を得る場合: 550℃以上630℃以下 以上のA,B,Cのうちいずれかの温度条件を選択してその
    温度条件範囲内の温度で0.5〜24時間の加熱を施した
    後、熱間圧延し、さらに冷間圧延を施して最終板厚と
    し、これにより金属間化合物の90%以上が5μm以下の
    大きさであってかつ金属間化合物の総量が2.5〜7wt%の
    範囲内にあり、しかも金属間化合物Al6Feの量とAl3Feの
    量との比が、陽極酸化処理後に得るべき色調に応じて、 a 暗灰色の色調の場合: Al6Fe/(Al3Fe+Al6Fe)≧0.7 b 淡灰色の色調の場合: 0.7>Al6Fe/(Al3Fe+Al6Fe)>0.1 c 乳白色の色調を得る場合: 0.1≧Al6Fe/(Al3Fe+Al6Fe) 以上a,b,cのうちいずれかの範囲内となっている圧延板
    を得ることを特徴とする、建材用アルミニウム合金圧延
    板の陽極酸化処理後の色調の調整方法。
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