JPH0739356A - 食品用保存剤 - Google Patents

食品用保存剤

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JPH0739356A
JPH0739356A JP5206925A JP20692593A JPH0739356A JP H0739356 A JPH0739356 A JP H0739356A JP 5206925 A JP5206925 A JP 5206925A JP 20692593 A JP20692593 A JP 20692593A JP H0739356 A JPH0739356 A JP H0739356A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 保存性の高い、人に安全な、しかも食品の品
質に影響しない食品保存剤を提供すること 【構成】 乳酸菌ペデイオコッカス属菌によって生産さ
れたバクテリオシン(ペデイオシン)と、有機酸(塩)
類;多価アルコールの脂肪酸エステル類;アミノ酸;抗
菌性を有するペプチド、蛋白質類;糖、糖酸、アミノ糖
よりなる多糖類、その部分分解物;香辛料、その精油、
植物成分;アルコール類からなる群から選ばれる少なく
とも1種を併用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、食品用保存剤に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】食品の流通過程、店頭または家庭におけ
る貯蔵・保存は、人間の歴史とともに常に解決を求めら
れる課題としてあり、そのための対策として、あらゆる
物理的あるいは化学的方法が考案されてきた。例えば、
冷凍、冷蔵、乾燥、塩蔵、糖蔵、加熱減菌、加熱殺菌
(壜、缶詰)、包装加熱、包装内部の気相置換、などの
ほかに酢漬け、乳酸醗酵、さらには安息香酸やソルビン
酸などの化学的保存料の使用などがそれらの対応策とし
て採られてきた。
【0003】食品の貯蔵や保存方法の開発は、古くより
続けられたものとはいえ、食品自体に対する要求は、時
代の流れに伴い変化する。安全性はいつの時代において
も第一に要求されるが、近年特に、健康と食物に対する
関心が深まり、それと共に、天然または自然に近い食品
に対する関心が高まってきている。
【0004】このような近年の食品に対する指向は、食
品の保存方法にも著しい影響を与えている。安全性指向
からは食品にできるだけ合成保存料の添加を減らし、天
然指向からは冷凍や冷蔵、乾燥や塩蔵などもあまり好ま
れず、グルメ指向からはできるだけ新鮮なものが求めら
れ、健康指向からはできるだけ食塩濃度を減らしたいと
いう様々な要求に対して、種々の方法の開発が行われて
きている。
【0005】さらに現代の食品の抱える問題は、食品類
の国境が無くなってきていることであり、世界中のあら
ゆる所から食品素材あるいは食品そのものが輸入されて
来ていることである。このことは食品とともに、食品に
付着ないし汚染している各種の微生物が広く食品市場に
入ってきていることを意味し、多くの新しい食中毒菌例
えば、Listeria monocytogenesや、幾つかのサルモネラ
菌、従来あまり日本では検出されなかったボツリヌスA
あるいはB型菌などによる食中毒の危険性が指摘される
に到っている。
【0006】さらに現代の食品の問題は、調理済食品の
増加で、例えば、サラダ類、サンドイッチ類、玉子焼
き、カスタ−ドクリ−ム、チキンナゲット、チキンバス
ケット、フライ類など、さらにそれらを組み合わせた、
いわゆるおかずの類が、それなりに一定期間の微生物に
対する安定性の保証を求められながら市販されるに至っ
ていることである。
【0007】さらに食品の健康指向から、あらゆる保存
性食品において食塩濃度を低下させることが行われてお
り、たとえば、イカの塩辛の食塩濃度は10数%あった
ものが、4〜5%に低下され、漬物では12〜3%のも
のが4〜6%に、肉製品では2.5〜3%のものが1〜
2%に、味噌では13%程度のものが4〜8%に、魚介
類の干物では2〜3%のものが0.6〜1%に低下して
きている。このことは食品類の微生物に対する安定性が
著しく低下することになり、単に腐敗し易いのみなら
ず、各種の食中毒菌に対する安全性も低下することにな
ってきている。
【0008】このような食品類の貯蔵・保存策として、
先ず第一に食品類を製造する環境を清潔にし、生産と食
品の包装工程において微生物の汚染をできるだけ少なく
する、微生物の汚染度の出来るだけ少ない食品材料を使
用する、製造工程から包装工程を出来るだけ低温に管理
する、製品は低温に保存するなどの基本的な対策を行う
のが通例である。しかしながら、食品原材料中の微生物
の数を、完全にゼロにすることは極めて困難であり、通
常生の肉や魚介類であれば、最低でも、103/g程度の微
生物が存在するし、また製造工程中に60〜80℃程度
の加熱殺菌工程があっても、耐熱性の細菌芽胞が残留す
ることは避けられない。
【0009】さらに、食品を低温に置いた場合でも細菌
類のなかには低温でよく発育するものがある。食中毒細
菌のなかにも低温で発育するものがあり、Yersinia ent
erocolitica 、Listeria monocytogenes、Clostridium
botulinum E 型菌などは、5℃位の低温に保存しても次
第に発育し、食中毒を起こすに足る菌量や毒素の産生を
行うに到る。もちろん通常の低温細菌は、時間の経過と
ともに発育し食品を腐敗させる。食品の保存と微生物的
な安全性の確保は、単に食品の製造者や流通業者の問題
だけではなく、消費者の手元に移った後も温度と時間の
経過によって左右される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このような理由から、
生産、流通過程において微生物的な管理を十分実施する
としても、なお食品それ自体に微生物に対する安定性な
いしは抵抗性を持たせることが必要である。そのために
所謂化学的保存料の利用がある。しかし合成保存料の安
息香酸、ソルビン酸、プロピオン酸、パラベン類などの
使用は、安全性に対する疑問を持つ消費者もあるため、
天然に存在する酢酸や乳酸などの有機酸またはその塩類
の利用、グリシンなどのアミノ酸の利用、魚の白子のタ
ンパク質であるプロタミンの利用などが図られている。
しかし、これらの天然系の物質は、安全性の利点はある
ものの、食品保存の効果上からは,例えば抗菌スペクト
ルが狭い、大量に使用しなければならない、色や特有の
匂いがつくなどの問題点があった。
【0011】従って、安全性が高く、しかも食品の保存
と微生物に対する安全性の向上を図ることのできる物質
の探索が、鋭意実施されてきており、例えば、乳酸菌の
生産するペプチドまたはタンパク質で、抗菌性を有しな
がら、しかも人間の消化酵素で分解消化されるバクテリ
オシンの利用が検討されている(例えば、Food Technol
ogy 164〜167, Jan. 1989) 。しかし、バクテリオシン
は、一般的に抗菌スペクトルの範囲が狭く、それ単独で
広い範囲の食品を保存することは困難であった。
【0012】そこで、本発明は、バクテリオシンのなか
でも比較的抗菌スペクトルの広いペデイオシンを選び、
これと相乗的に作用する物質を併用することにより、広
範な食品の保存性を高めることができ、さらに安全性の
高い、しかも食品の品質を損うことのない食品用保存剤
を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、ペデイオコッ
カス属細菌によって生産されたバクテリオシンと、有機
酸およびその塩類;多価アルコール類の脂肪酸エステル
類;アミノ酸類;抗菌性を有するペプチドもしくはタン
パク質類;糖、糖酸およびアミノ糖よりなる多糖類およ
びその部分分解物;香辛料およびその精油または植物成
分;およびアルコール類からなる化合物群より選ばれた
少なくとも1種を含有する食品用保存剤を提供するもの
である。
【0014】本発明において用いるバクテリオシンは、
乳酸菌の一種であるペデイオコッカス(Pediococcus)属
菌の生産するバクテリオシンであり、一般にペデイオシ
ン(Pediocin) と称されるものである。これらのペデイ
オシンとしては、例えば、Pediococcus acidilactici H
の生産するペデイオシンAcH 、Pediococcus acidilacti
ci PAC1.0 の生産するペデイオシンPA1 およびPediococ
cus pentosaceous FBB61の生産するペデイオシンA を挙
げることができる。
【0015】これらのペデイオシンは、いずれも抗菌性
を有するタンパク質もしくはペプチドであり、多くの醗
酵乳製品のなかから高い比率(28%)で分離され、普
通の乳製品の中には常在しているものと推定されるとと
もに、人間の消化管からも生産菌が分離されている。ま
た、ペデイオシンは、いずれも人間の消化酵素のペプシ
ン、トリプシン、キモトリプシンなどによって、完全に
分解消化される。また、熱に対する安定性が高く、いず
れも100℃で20分以上の加熱によっても活性を失わ
ない。さらに、基本的にはグラム陽性細菌類、特に乳酸
菌に対して抗菌作用を示すと共に、ブドウ球菌、枯草
菌、クロストリジウム菌、リステリア菌に対しても抗菌
性を示す。
【0016】本発明において、ペデイオシンとともに使
用する有機酸およびその塩類としては、蟻酸、酢酸、プ
ロピオン酸、吉草酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ
酸、フマ−ル酸、修酸、コハク酸、アジピン酸、ピルビ
ン酸、グルタール酸、ソルビン酸、それらのナトリウム
塩もしくはカリウム塩、ラウリル硫酸およびそのビタミ
ンB1 塩などを挙げることができる。なかでも、酢酸、
プロピオン酸、乳酸、クエン酸、アジピン酸、ソルビン
酸、それらのナトリウム塩もしくはカリウム塩、ラウリ
ル硫酸およびそのビタミンB1 塩が好ましい。
【0017】これらの有機酸類をともに含有させること
により、ペデイオシンの抗菌作用の強くないグラム陰性
の細菌類や、真菌類に対して抗菌効果を補うばかりでな
く、ペデイオシン自体の作用を強め、同じ微生物に対す
るペデイオシンの抗菌作用を数倍に高めることができ
る。また、ペデイオシンの作用が明瞭でなかったグラム
陽性細菌の一部の株に対して、その作用が明瞭に現れる
ようになる。この理由は明らかでないが、特に乳酸、ク
エン酸、リンゴ酸のような有機酸類はタンパク質類の安
定性を高める作用が強いので、食品中でペデイオシンの
分解や不活性化を防ぐのであろう。有機酸類はペデイオ
シンに対し、0.1〜500の割合(重量比)で配合す
ることが好ましい。
【0018】本発明において、ペデイオシンとともに使
用する多価アルコール類の脂肪酸エステル類は、プロピ
レングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エス
テル、蔗糖脂肪酸エステルおよび脂肪酸ポリグリセリン
エステルからなる群より選択される。これらのエステル
類を構成する脂肪酸としては、例えばカプリル酸、カプ
リン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ス
テアリン酸およびオレイン酸を挙げることができる。
【0019】なかでも、グリセリン脂肪酸エステルとし
ては、カプリル酸、カプリン酸およびラウリン酸のモノ
エステルが好ましく、蔗糖脂肪酸エステルとしては、ラ
ウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリ
ン酸のモノエステルが好ましい。また、脂肪酸ポリグリ
セリンエステルとしては、デカグリセロールのカプリル
酸、ペラルゴン酸、カプリン酸およびラウリル酸エステ
ルが好ましい。
【0020】これらの多価アルコール類の脂肪酸エステ
ル類は、ペデイオシンと併用すると、ペデイオシンの微
生物菌体への浸透性が高められると推定され、その結
果、最小発育阻止濃度が低くてすむことになるものと思
われる。本発明において、多価アルコール類の脂肪酸エ
ステル類は、ペデイオシンに対し、0.05〜250の
割合で含有させることが好ましい。
【0021】また、本発明において、ペデイオシンとと
もに使用するアミノ酸としては、グリシン、アラニン、
シスチン、スレオニン、ヴァリン、リジンおよびアルギ
ニンを挙げることができるが、殊にグリシンおよびアラ
ニンが望ましい。これらのアミノ酸類は、細菌類の細胞
壁の合成阻害を起こすので、ペデイオシンの細菌菌体内
部への浸透が促進され、その抗菌作用が大幅に増強され
るものと推定される。アミノ酸はペデイオシンに対し
0.1〜500の割合(重量比)で含有させることが効
果的である。
【0022】また、ペデイオシンとともに使用する抗菌
性を有するペプチドもしくはタンパク質としては、プロ
タミンおよびその分解物、リゾチ−ムおよびポリリジン
を挙げることができる。プロタミンは細菌細胞の細胞膜
と結合して細胞内容物を漏出させ、リゾチ−ムはグラム
陽性細菌の細胞壁成分の分解酵素で、作用の結果細菌細
胞の溶解を起こす。ポリリジンは、やはり細菌の細胞壁
構造体に損傷を与えるので著しいタンパク質の合成阻害
が起こるとされており、いずれの場合もペデイオシンの
細菌細胞内部への侵入を高めるものと推定される。これ
らのペプチドまたはタンパク質はペデイオシンに対し
0.05〜250の割合(重量比)で含有させることが
好ましい。
【0023】本発明において、ペデイオシンと共に使用
する糖、糖酸およびアミノ糖よりなる多糖類およびその
部分分解物としては、ペクチン、ペクチン分解物、オリ
ゴガラクチュロン酸、ガラクチュロン酸、キトサン、キ
トサン分解物を挙げることができる。これらの物質を併
用することによる微生物に対する阻害作用の理由につい
てはまだ明確でない部分が多いが、実際の食品中におい
ては、明らかに相乗的な作用の現れることが多く、従っ
て有用に組み合わせて使用することができる。糖、糖酸
およびアミノ糖よりなる多糖類およびその部分分解物は
ペデイオシンに対し0.1〜500の割合(重量比)で
含有させることが好ましい。
【0024】また、本発明において、香辛料としては、
抗菌性を有する香辛料、例えば、シンナモン、ローズマ
リー、メースなどを挙げることができる。それらの抽出
物や精油も用いることができる。また、植物成分として
は、それらのアルコールなどの有機溶媒抽出物、例えば
唐辛子抽出物、甘草抽出物、ワサビ抽出物、ホップ抽出
物、孟宗竹抽出物;茶ポリフェノール類、例えば茶タン
ニン、茶カテキン類;桂皮酸、フェルラ酸、コーヒー酸
およびヒノキチオールなどを挙げることができる。これ
らの物質の作用は、フェノール性の成分による微生物の
細胞膜に対する損傷が多く、従ってペデイオシンの微生
物細胞への侵入を助けるものと推定される。これらの香
辛料およびその精油または植物成分は、ペデイオシンに
対し0.05〜250の割合(重量比)で含有させるこ
とが好ましい。
【0025】さらに、アルコール類としては、プロピレ
ングリコールおよびエチルアルコールを挙げることがで
きる。これらのアルコ−ル類が、微生物細胞の膜組織の
損傷によって微生物を阻害または、死滅させるのはよく
知られたところであるが、本発明のように、ペデイオシ
ンと組み合わせ使用するとき、著しい作用の増大を招
く。これはやはり、微生物菌体内部へのペデイオシンの
侵入を助けることがその理由であろうと推定される。ア
ルコール類はペデイオシンに対し0.05〜250の割
合(重量比)で含有させることが効果的である。
【0026】本発明において、ペデイオシンと共に使用
する各物質については、必ずしも一つだけではなく、幾
つかのものを組み合わせて使用してもよい。対象となる
食品の種類、組成、予想される汚染ないし変敗原因微生
物、pH、水分活性、要求される保存温度、保存期間な
どに応じて、適宜二つないし三つの、時にはそれ以上の
物質を組み合わせて使用することができる。
【0027】例えば、食肉製品に対して、有機酸および
/またはその塩類とアミノ酸類を併用するとよいことが
多い。ペプチドまたはタンパク質をさらに併用してもよ
い。漬物類に対しては、有機酸および/またはその塩類
と、香辛料およびその精油または植物成分の併用がよ
い。香辛料およびその精油または植物成分を併用する
と、食品の酸化防止、変色防止効果を発現するという利
点もある。
【0028】さらに具体的には、例えば、ペデイオシン
とプロタミンを組み合わせ使用するときには、この他に
酢酸もしくは乳酸またはそれらの塩類、さらにはグリシ
ンを配合すると、多くの肉製品、例えばソーセージ、ハ
ムまたは蒲鉾類の保存期間を延長することができるとと
もに、微生物的な安定性を向上させることができる。
【0029】本発明の食品用保存剤を使用するに当たっ
ては、食品中の食塩濃度と効果の関係に注意することが
必要であり、食塩濃度が比較的高いと効果が大きい。こ
のような場合、ペデイオシンと、特に乳酸ナトリウムや
リンゴ酸ナトリウムとの併用、ならびに数%以下(食品
中)のアルコール類を組み合わせると、絶大な保存効果
を得ることができる。このような時に、さらにリゾチー
ムもしくはポリリジンの併用によりさらに効果を高める
ことができる。
【0030】ペデイオシンは、肉のスラリー中では加熱
に対して不安定であるが、一般に熱に対して極めて安定
なタンパク質であり、120℃、20分の加熱に耐え
る。従って、食品を加熱することによって生存している
菌数を減らし、さらに本発明のペデイオシンを含有する
保存剤を使用することによって、効果的に保存性を高め
ることが出来る。
【0031】
【実施例】以下、本発明の効果を実施例によって説明す
る。なお、下記実施例に用いたペデイオシンの製法は以
下のとおりである。すなわち、1リットルの三角フラス
コを3個用意し、それぞれに、5%コーンシロップおよ
び0.5%酵母エキスからなる培地500mlを入れ、
98℃、30分間加熱殺菌し、前記3種のPediococcus
属菌をそれぞれ接種して、37℃、約20時間培養し
た。この培養液を80℃、10分間加熱した後、濃縮、
噴霧乾燥して、3種のペデイオシン(ペデイオシン Ac
H、ペデイオシンAおよびペデイオシン PA1)を得た。
【0032】また、表1および3中の各種成分としては
次のものを用いた。 グリセリン脂肪酸エステル:理研ビタミン(株)製、M
−100 蔗糖脂肪酸エステル:三菱化成食品(株)製、S−1570 ペクチン分解物、キトサン、唐辛子抽出物、ワサビ抽出
物およびホップ抽出物:アサマ化成(株)製
【0033】実施例1 合い挽き肉1,000g、玉ねぎ300g、小麦粉60
g、水50gを配合したハンバ−グの基本組成に対し、
表1左欄に示す各種の保存剤成分を表1に示す割合にな
るように添加し、塩酸またはカ性ソ−ダでpHを5.8
に調整した後、30gづつ成型して、25分間蒸し上げ
し、冷却した。これを一試験区あたり5個づつ用意し、
25℃に保存して、外観と臭いのチェックによる保存試
験を行った。試験結果を表1右欄に保存日数として5個
の平均値で示す。
【0034】本発明の保存剤を添加した試験区は、保存
試験前、色、味、臭い、形態等については対照区と全く
差が認められず、添加による品質上の悪影響は認められ
なかった。
【0035】
【表1】
【0036】実施例2 塩蔵大根(タクアン)を食塩含量が3%になるまで流水
下で脱塩し、表2の処方の調味液に3日間冷蔵庫中で調
味漬けした。次に、表2の調味液に、表3左欄の保存剤
を4倍の濃度で添加し、このもの100mlに対して調
味漬けしたタクアン300gを加えて袋詰めした(保存
剤の濃度は表3記載の濃度となる)。同様の方法で各種
の試験群を調整し、20℃に保存して、タクアン液部の
濁り、袋の膨れなどの観察により保存日数を調べた。そ
の結果を表3右欄に示す。
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】実施例3 スケソウダラSA級冷凍すり身2.5kg、食塩75
g、みりん50g、グルタミン酸ソ−ダ25g、砂糖2
5g、馬鈴薯澱粉175g、および氷水1kgを配合し
た基本組成に、表4左欄に組成を示す保存剤を、基本組
成に対する添加剤の各成分の割合が、表4に示す割合
(重量%)となるように、各種添加剤を添加し、30分
らいかい後、塩化ビニリデンフィルム(折径50mm)
に約100gづつ充填し、90℃の熱水中で30分加熱
して得た蒲鉾を、同様にして得た保存剤無添加の蒲鉾と
ともに保存試験標本とした。保存試験は、ケ−シング蒲
鉾を一試験区当たり5本づつ15℃の恒温器で保存し、
保存性を肉眼で観察し、防腐効果を判定した。結果を表
4右欄に示す。
【0040】
【表4】
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、食品の保存性の高い、
安全性の高い、しかも食品の品質を損うことのない食品
用保存剤を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A23L 3/349 501 3/3508 3/3517 3/3562 C12P 1/04 A 7417−4B // C12P 21/00 A 9282−4B (C12P 1/04 C12R 1:01) (C12P 21/00 C12R 1:01)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ペデイオコッカス属細菌によって生産さ
    れたバクテリオシンと、有機酸およびその塩類;多価ア
    ルコール類の脂肪酸エステル類;アミノ酸類;抗菌性を
    有するペプチドもしくはタンパク質類;糖、糖酸および
    アミノ糖よりなる多糖類およびその部分分解物;香辛料
    およびその精油または植物成分;およびアルコール類か
    らなる化合物群より選ばれた少なくとも1種を含有する
    食品用保存剤。
  2. 【請求項2】 有機酸およびその塩類が、蟻酸、酢酸、
    プロピオン酸、吉草酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リン
    ゴ酸、フマール酸、修酸、コハク酸、アジピン酸、ピル
    ビン酸、グルタ−ル酸、ソルビン酸、ラウリル硫酸およ
    びそれらの塩類からなる群より選ばれた少なくとも1種
    である請求項1記載の食品用保存剤。
  3. 【請求項3】 多価アルコール類の脂肪酸エステル類
    が、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン
    脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステルおよび脂肪酸ポリ
    グリセリンエステルからなる群より選ばれた少なくとも
    1種である請求項1記載の食品用保存剤。
  4. 【請求項4】 アミノ酸が、グリシン、アラニン、シス
    チン、スレオニン、ヴァリン、リジンおよびアルギニン
    からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1
    記載の食品用保存剤。
  5. 【請求項5】 抗菌性を有するペプチドもしくはタンパ
    ク質が、プロタミンおよびその分解物、リゾチームおよ
    びポリリジンからなる群より選ばれた少なくとも1種で
    ある請求項1記載の食品用保存剤。
  6. 【請求項6】 糖、糖酸およびアミノ糖よりなる多糖類
    ならびにその部分分解物が、ペクチン、ペクチン分解
    物、オリゴガラクチュロン酸、ガラクチュロン酸、キト
    サン、キトサン分解物からなる群より選ばれた少なくと
    も1種である請求項1記載の食品用保存剤。
  7. 【請求項7】 香辛料およびその精油または植物成分
    が、抗菌性を有する香辛料およびその精油もしくは抽出
    物、桂皮酸、フェルラ酸、コーヒー酸、ヒノキチオー
    ル、孟宗竹抽出物、茶ポリフェノール類からなる群より
    選ばれた少なくとも1種である請求項1記載の食品保存
    剤。
  8. 【請求項8】 アルコール類が、プロピレングリコール
    および/またはエチルアルコールである請求項1記載の
    食品保存剤。
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