JPH0735636Y2 - 圧造成形機における素材供給装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は圧造成形機における素材
供給装置、特に、機台の一側に設けられた素材供給部よ
り供給される素材を該供給部に隣接する圧造ステーショ
ンに搬送する素材供給装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、圧造成形機においては、機台の
一側に設けられた素材供給部より供給されるバー材を該
バー材の軸線方向と直行する方向に往復駆動されるカッ
ター機構により所定寸法に切断し、この切断された素材
を相対向するダイとパンチとにより構成される複数段の
圧造ステーションで粗から精に順次段階的に圧造して所
定形状の製品を成形するように構成されているのである
が、例えば、ステンレス鋼や高炭素鋼等のような難成形
バー材を使用する場合、あるいは所定の圧造ステーショ
ンにおける据え込み量が大きい成形品や複雑形状の成形
品を成形する場合には、高周波加熱等の適宜の方法によ
りバー材を予め所定の加工温度に予備加熱し、この加熱
されたバー材を素材供給部より供給すると共に、これを
カッター機構により所定寸法に切断し、且つ該カッター
機構により素材供給部に隣接する圧造ステーションに搬
送することが行われる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
に予め所定の加工温度に加熱されて素材供給部より供給
されるバー材を、カッター機構により切断して所定寸法
の素材を形成する場合に、切断面が素材の軸芯に対して
垂直に切断されず、傾斜状に切断されることがあり、こ
のように切断端面が傾斜した状態の素材をダイとパンチ
とにより構成される圧造ステーションで圧造した場合に
は、該素材を所定の形状ないし所定の寸法精度に成形す
ることが困難となり、不良品発生が発生することにな
る。

【０００４】そこで、上記バー材を切断端面が傾斜する
ことのないように、冷間状態で所定寸法に精度良く切断
したのち、この切断素材を加熱炉等を通過させて所定の
加工温度に加熱し、これを圧造成形機における機台の一
側に設けられた素材供給部より供給したいという要望が
あるが、このように予め所定寸法に切断された切断素材
を、上記のようなバー材を切断するためのカッター機構
により挟持して確実に搬送することが困難であり、切断
素材が不適切な姿勢で搬送されたり、あるいは該切断素
材の掴み損ないが発生し、このため、上記供給部より順
次供給される切断素材を連続的に圧造加工することが困
難となる。

【０００５】そこで本考案は、圧造成形機における機台
の一側に設けられた素材供給部より供給される素材を該
供給部に隣接する圧造ステーションに搬送する素材供給
装置において、上記素材供給部より供給される素材が、
予め所定寸法に切断された切断素材もしくはバー材のい
ずれであってもこれらの素材を素材供給部に隣接する圧
造ステーションに確実に搬送することのできる素材供給
装置を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本考案は次のように構成したことを特徴とする。

【０００７】即ち、機台に並設された複数のダイと、こ
れらの各ダイに向かって進退動するラムの前面に各ダイ
と相対向するように取り付けられた複数のパンチと、上
記各ダイとパンチとにより構成される複数段の圧造ステ
ーションに、予め所定の加工温度に加熱されて機台の一
側に設けられた素材供給部より供給される素材を順次移
送する複数の素材移送用チャックとを有し、上記各圧造
ステーションで素材を粗から精に順次段階的に圧造する
ことにより所定形状の製品を成形する圧造成形機におけ
る素材供給装置において、上記素材供給部と該供給部に
隣接する圧造ステーションとの間で上記ラムの進退動作
に同期して往復駆動されるスライドベースを設けると共
に、上記素材供給部より供給される予め所定寸法に切断
された切断素材の周面部を挟持して該素材をスライドベ
ースの往復動作に伴って素材供給部に隣接する圧造ステ
ーションに搬送する上記素材移送用チャックとは別の切
断素材用チャック、もしくは上記素材供給部より供給さ
れるバー材を所定寸法に切断し、且つこの切断された素
材をスライドベースの往復動作に伴って素材供給部に隣
接する圧造ステーションに搬送するカッター手段が上記
スライドベースに固着手段を介して着脱自在に取り付け
たことを特徴とする。

【０００８】

【作用】上記の構成によれば、圧造成形機における機台
の一側に設けられた素材供給部とこれに隣接する圧造ス
テーションとの間で往復駆動されるスライドベースに対
して、切断素材用チャックもしくはカッター手段が着脱
自在に取り付けられていることにより、予め所定寸法に
切断され、且つ所定の加工温度に加熱された切断素材を
使用する場合には、上記スライドベースに切断素材用チ
ャックを取り付けることにより、素材供給部より供給さ
れる切断素材が切断素材用チャックに挟持されて該素材
供給部よりこれに隣接する圧造ステーションに確実に搬
送されることになる。また、素材として予め所定の加工
温度に加熱されたバー材を使用する場合には、上記切断
素材用チャックに換えてスライドベースにカッター手段
を取り付けることにより、素材供給部より供給されるバ
ー材がカッター手段により所定寸法に切断され、且つこ
の切断された素材が該素材供給部よりこれに隣接する圧
造ステーションに確実に搬送されることになる。このよ
うに、使用する素材に応じてスライドベースに対して切
断素材用チャック機構とカッター機構とを選択的に取り
付けることにより、使用する素材が上記切断素材あるい
はバー材のいずれであってもこれらの素材を確実に素材
供給部より該供給部に隣接する圧造ステーションに搬送
することが可能となる。

【０００９】

【実施例】以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明
する。

【００１０】図１，２に示すように、本考案に係る素材
供給装置が装備された圧造成形機１における機台２の所
定位置には、ダイブロック３が配設されていると共に、
このダイブロック３には、複数個のダイ４ａ〜４ｄ（図
２参照）が一定の間隔で並設されている。また、上記ダ
イ４ａに向かって進退動する第１ラム５ａの前面には、
該ダイ４ａと対向するパンチ６ａが取り付けられている
と共に、上記各ダイ４ｂないし４ｄに向かって進退動す
る第２ラム５ｂの前面には、これらの各ダイ４ｂ〜４ｄ
とそれぞれ対向するように複数個のパンチ６ｂ〜６ｂが
各パンチホルダ７…７を介して取り付けられており、図
１に示すように、上記機台１の前方に配置された駆動モ
ータ８により駆動されるクランク機構９を介して上記第
１ラム５ａおよび第２ラム５ｂが、各ダイ４ａ〜４ｄに
向かって進退動されるようになっている。これにより、
上記各ダイ４ａ〜４ｄと各パンチ６ａ〜６ｄとにより構
成される複数段の圧造ステーション（イ）〜（ニ）で、
上記機台１の一側より供給される予め所定寸法に切断さ
れた切断素材ｂを粗から精に順次段階的に圧造加工する
ことにより所定形状の製品を成形するようになってい
る。

【００１１】なお、上記第１ラム５ａと第２ラム５ｂと
は、異なったタイミングで進退動されるように構成され
ている。

【００１２】更に、図２に示すように、上記ダイブロッ
ク３の一側には、所定寸法に切断された切断素材ｂが供
給される素材供給部１０が設けられていると共に、この
供給部１０の前方には、該供給部１０よりダイブロック
３の前方に押し出される切断素材ｂの先端面が当接する
ストッパ部材１１が配置されており、このストッパ部材
１１は、機台２の所定位置に配設された駆動モータ１２
により駆動されるベベルギヤ機構１３と一体のネジ軸１
３ａの回転に伴って進退動され、これにより、切断素材
ｂの寸法に応じてストッパ部材１１とダイブロック３の
前面との間隔を調整するようになっている。

【００１３】また、図１に示すように、機台２の後方に
は、上記素材供給部１０に切断素材ｂを供給するための
素材供給ステーション１４が構成されており、この供給
ステーション１４には、コイル状のバー材Ｂを所定寸法
に切断するバー材切断機構１５と、この切断機構１５に
より切断された切断素材ｂが貯留されるホッパー１６
と、該ホッパー１６内に貯留された切断素材ｂを搬入部
１７に搬送するリフター機構１８と、複数のガイドロー
ラ１９…１９に支持され、且つ図示しない適宜の駆動手
段により所定のストロークで往復駆動される押し出しロ
ッド２０と、上記搬入部１７と圧造成形機１における機
台２との間に配置されて高周波加熱等の方法により切断
素材ｂを所定の加工温度に予備加熱する加熱炉２１とが
備えられており、上記搬入部１７に搬送された切断素材
ｂが、押し出しロッド２０により押し出されて加熱炉２
１内に順次供給されると共に、最前列の切断素材ｂが上
記素材供給部１０よりストッパ部材１１に当接するまで
押し出されるようになっている。

【００１４】なお、切断素材ｂを素材供給部１０より上
記ホッパー１６内に排出する排出シュート２２と、最終
圧造ステーション（ニ）により圧造された完成品を製品
取り出し用コンベア２３上に搬送するための搬送シュー
ト２４が設けられていると共に、上記排出シュート２２
の途中には、形状不良等の切断素材ｂを選別してホッパ
ー２５内に排出する選別シュート２２ａが設けられてい
る。

【００１５】そして、図２，３に示すように、上記素材
供給部１０より前方に押し出された切断素材ｂを、上記
ダイ４ａとパンチ６ａとにより構成される圧造ステーシ
ョン（イ）に搬送する素材供給装置２６が設けられてい
ると共に、上記ダイブロック３の上面には、切断素材ｂ
を上記各圧造ステーション（イ）〜（ニ）に順次搬送す
る素材移送用チャック機構２７が設けられており、この
チャック機構２７は、ダイブロック３上に固設されたブ
ロック２８に各ダイ４ａ〜４ｄの並設方向に往復動自在
に支持されたスライド部材２９と、このスライド部材２
９の前面に取り付けられた各一対の爪部材３０ａ，３０
ｂを有する複数の素材移送用チャック３０…３０と、上
記スライド部材２９に一側部に連結されて該スライドブ
ロック２９を所定のストロークで往復駆動することによ
り、各素材移送用チャック３０を隣接するダイの軸芯前
面位置間で往復動させる駆動ロッド３１とを有する。

【００１６】上記素材供給装置２６は、素材供給部１０
と圧造ステーション（イ）を構成するダイ４ａの軸芯前
面位置との間で第１ラム５ａの進退動作に同期した所定
のタイミングで往復駆動されるスライドベース３２と、
このスライドベース３２に複数の取付ボルト３３，３３
により着脱自在に取り付けられた切断素材用チャック本
体３４と、この本体３４に回動自在に支持されて素材供
給部１０より押し出される切断素材ｂの周面部を上下方
向より挟持する一対の爪部材３５，３６とを有し、一方
の爪部材３５と一体のガイドロッド３５ａの上端部が、
チャック本体３４の上端部に支持されたリンク部材３７
の先端部に連結されていると共に、該爪部材３５および
他方の爪部材３６が、コイルスプリング３８，３９によ
りそれぞれ付勢されて図示の姿勢を維持するように構成
されている。また、上記リンク部材３７をコイルスプリ
ング３８に抗して回動させて一方の爪部材３５を上方に
移動させるシリンダ４０がブラケット４１を介して機台
２の所定位置に設けられている。従って、上記スライド
ベース３２が、上記第１ラム５ａの進退動作に動機した
所定のタイミングで往復駆動されることにより、素材供
給部１０より前方に押し出されて各爪部材３５，３６に
より挟持された切断素材ｂが、ラム５ａが後死点位置か
ら前死点位置に達するまでの間にダイ４ａの軸芯前面位
置に搬送され、このダイ４ａとパンチ６ａとの間で図
２，３に鎖線で示すように圧造される場合に、上記シリ
ンダ４０を駆動してシリンダロッド４０ａの先端部に取
り付けられた押圧部材４０ｂによりリンク部材３７を回
動させて爪部材３５を上方に退避させると共に、上記ス
ライドベース３２の復動作に伴って切断素材用チャック
本体３４が再び素材供給部１０の前面位置に復帰される
ようになっている。

【００１７】一方、上記圧造ステーション（イ）の下方
には、該圧造ステーション（イ）で圧造された切断素材
ｂをパンチ６ａの後退に伴って上方に押しあげて素材移
送用チャック３０に挟持させるための押し上げ部材４２
が設けられており、この押し上げ部材４２により押し上
げられた中間成形品が、図３に鎖線で示すように、圧造
ステーション（イ）の上方に復帰した素材移送用チャッ
ク３０に挟持され、このチャック３０により圧造ステー
ション（ロ）の軸芯前面位置に搬送されると共に、各圧
造ステーションで圧造された中間成形品が各素材移送用
チャック３０により挟持されて後段側の圧造ステーショ
ンに順次移送されるようになっている。

【００１８】また、上記切断素材用チャック本体３４
が、スライドベース３２に対して着脱自在とされている
ことにより、該チャック本体３４をスライドベース３２
より取り外すと共に、図４に示すように、カッター機能
を有するカッター本体４３を複数の取付ボルト３３，３
３によりスライドベース３３に取付可能であり、このカ
ッター本体４３には、該本体４３の側部に固定された円
弧状のカッター４４と、本体４３の上部に揺動自在に支
持された一対のリンク部材４５，４６と、これらのリン
ク部材４５，４６の先端部に枢着されて上記カッター４
４との間で切断された切断素材ｂを挟持する爪部材４７
とが備えられており、この爪部材４７がコイルスプリン
グ４８により付勢されて図示の姿勢を維持するように構
成されている。

【００１９】そして、上記スライドベース３２にカッタ
ー本体４３を取り付けた場合には、上記素材供給部１０
より供給される素材として予め所定寸法に切断された上
記切断素材ｂに換えてバー材Ｂを使用することが可能で
あり、この場合には、図１に示す押し出しロッド２０に
より加熱炉２１内および機台２内にある全ての切断素材
ｂを排出シュート２２上に排出したのち、押し出しロッ
ド２０に換えてバー材Ｂを装着すると共に、このバー材
Ｂを素材供給部１０よりストッパ部材１１に当接するま
で前方に突出させることにより、上記スライドベース３
２の往復動作に伴ってカッター本体４３に備えられたカ
ッター４４により、バー材Ｂが所定寸法に切断されて切
断素材ｂが形成されると共に、この切断素材ｂが、上記
カッター４４と爪部材４７とにより挟持されてスライド
ベース３２の移動に伴ってダイ４ａの軸芯前面位置に搬
送されるようになっている。

【００２０】なお、ダイ４ａとパンチ６ａとの間で切断
素材ｂが、図４に鎖線で示すように圧造される場合に、
一方にリンク部材４６に端部に設けられたローラ部材４
６ａを、上記と同様のシリンダ等の適宜の手段により下
方に押し下げることにより、各リンク部材４５，４６が
上方に揺動し、これに伴って爪部材４７を上方に退避さ
せてパンチ６ａとの干渉を回避し得るようになってい
る。

【００２１】上記の構成によれば、圧造成形機１におけ
る機台２の一側に設けられた素材供給部１０とこれに隣
接する圧造ステーション（イ）との間で往復駆動される
スライドベース３２に対して、切断素材用チャック本体
３４もしくはカッター本体４３が複数の取付ボルト３
３，３３を介して着脱自在に取り付けられていることに
より、予め所定寸法に切断され、且つ所定の加工温度に
加熱された切断素材ｂを使用する場合には、上記スライ
ドベース３２に切断素材用チャック本体３４を取り付け
ることにより、素材供給部１０より供給される切断素材
ｂが切断素材用チャック本体３４における一対の爪部材
３５，３６に挟持されて素材供給部１０よりこれに隣接
する圧造ステーション（イ）を構成するダイ４ａの軸芯
前面位置に確実に搬送されることになる。また、素材と
して予め所定の加工温度に加熱されたバー材Ｂを使用す
る場合には、上記切断素材用チャック本体３４に換えて
スライドベース３２にカッター本体４３を取り付けるこ
とにより、素材供給部１０より供給されるバー材Ｂが該
カッター本体４３のカッター４４により所定寸法に切断
され、且つこの切断素材ｂがカッター４４と爪部材４７
により挟持されて素材供給部１０よりこれに隣接する圧
造ステーション（イ）を構成するダイ４ａの軸芯前面位
置に確実に搬送されることになる。このように、使用す
る素材に応じてスライドベース３２に対して切断素材用
チャック本体３４とカッター本体４３とを選択的に取り
付けることにより、使用する素材が上記切断素材ｂある
いはバー材Ｂのいずれであってもこれらの素材を確実に
素材供給部１０より該供給部１０に隣接する圧造ステー
ション（イ）に搬送することができる。

【００２２】

【考案の効果】以上のように、本考案によれば、圧造成
形機における機台の一側に設けられた素材供給部とこれ
に隣接する圧造ステーションとの間で往復駆動されるス
ライドベースに対して、切断素材用チャックもしくはカ
ッター手段を着脱自在に取り付けるようにしたので、使
用する素材に応じてスライドベースに対して切断素材用
チャックとカッター手段とを選択的に取り付けることに
より、使用する素材が上記切断素材あるいはバー材のい
ずれであってもこれらの素材を確実に素材供給部より該
供給部に隣接する圧造ステーションに搬送することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 圧造成形機およびその周辺部の全体概略側
面図。

【図２】 圧造成形機の要部拡大横断面図。

【図３】 素材供給装置の構成を示す要部拡大縦断面
図。

【図４】 素材供給装置の構成を示す要部拡大縦断面
図。

【符号の説明】

１ 圧造成形機 ２ 機台 ４ａ〜４ｄ ダイ ６ａ〜６ｄ パンチ ５ａ 第１ラム ５ｂ 第２ラム １０ 素材供給部 ２６ 素材供給装置 ３０ 素材移送用チャック ３４ 切断素材用チャック本体 ４３ カッター本体 （イ）〜（ニ） 圧造ステーション Ｂ バー材 ｂ 切断素材

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 機台に並設された複数のダイと、これら
   の各ダイに向かって進退動するラムの前面に各ダイと相
   対向するように取り付けられた複数のパンチと、上記各
   ダイとパンチとにより構成される複数段の圧造ステーシ
   ョンに、予め所定の加工温度に加熱されて機台の一側に
   設けられた素材供給部より供給される素材を順次移送す
   る複数の素材移送用チャックとを有し、上記各圧造ステ
   ーションで素材を粗から精に順次段階的に圧造すること
   により所定形状の製品を成形する圧造成形機における素
   材供給装置であって、上記素材供給部と該供給部に隣接
   する圧造ステーションとの間で上記ラムの進退動作に同
   期して往復駆動されるスライドベースが備えられている
   と共に、上記素材供給部より供給される予め所定寸法に
   切断された切断素材の周面部を挟持して該素材をスライ
   ドベースの往復動作に伴って素材供給部に隣接する圧造
   ステーションに搬送する上記素材移送用チャックとは別
   の切断素材用チャック、もしくは上記素材供給部より供
   給されるバー材を所定寸法に切断し、且つこの切断され
   た素材をスライドベースの往復動作に伴って素材供給部
   に隣接する圧造ステーションに搬送するカッター手段が
   上記スライドベースに固着手段を介して着脱自在に取り
   付けられていることを特徴とする圧造成形機における素
   材供給装置。