JPH07329631A - ヘッドランプとフロントバンパーとの位置決め構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ヘッドランプとフロントバンパーとの間隔の
安定化及び左右一致性を確保することのできる、ヘッド
ランプとフロントバンパーとの位置決め構造を提供す
る。 【構成】 ヘッドランプ１の下端部には、取付部２が突
設されており、取付部２には上部クリップ３が装着され
ている。上部クリップ３には、車体前後方向に延在する
係合溝６が設けられている。ヘッドランプ１の下部に
は、フロントバンパー２２が配置され、このフロントバ
ンパー２２のバンパーフェイシア２４に下部クリップ１
３が挾持されている。下部クリップ１３の上部には、係
止片２１が設けられ、該係止片２１を係合溝６に内嵌す
ることにより、両クリップ３，１３は係合している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ヘッドランプと該ヘッ
ドランプの下部に配置されるフロントバンパーとの位置
決め構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、車体前部は、例えば図８に示した
ように構成されている（実開昭５６−４２４４８号公報
参照）。すなわち、車体の前部左右両側には、ヘッドラ
ンプ５０が装着されており、該ヘッドランプ５０の周部
にはヘッドランプフィニッシャ５１が配置されている。
ヘッドランプフィニッシャ５１とヘッドランプ５０と
は、略垂直状のラジエータコアサポート５２に、図外の
部位において支持されており、該ラジエータコアサポー
ト５２の下端部はファーストクロスメンバ５３に結合さ
れている。ヘッドランプ５０の下部には、車幅方向に延
在するフロントバンパー５４が配置されている。該フロ
ントバンパー５４は、バンバーステイ５５を介して、車
体前後方向に延在するサイドメンバ（図示せず）に固定
されている。

【発明が解決しようとする課題】このように車体前部に
おいて、ヘッドランプ５０とヘッドランプフィニッシャ
５１にあっては、垂直方向の車体部材であるラジエータ
コアサポート５２に支持され、フロントバンパー５４に
あっては、バンバーステイ５５を介して、車体前後方向
の車体部材であるサイドメンバに支持されている。つま
り、ヘッドランプ５０とフロントバンパー５４とは、各
々異なる車体部材であって、しかも異なる方向の部材に
支持されていることから、車体組立時の誤差が、両者の
組み付け位置に影響を及ぼし易く、ヘッドランプ５０と
フロントバンパー５４との間隔にバラツキが生じてしま
う。このため、車種毎に安定した外観品質を確保するこ
とができないばかりでなく、個々の車両において、左右
のヘッドランプ５０とフロントバンパー５４との間隔が
一致しない場合が発生し、車両個々の外観品質も低下し
てしまうものであった。

【０００３】本発明は、このような従来の課題に鑑みて
なされたものであり、ヘッドランプとフロントバンパー
との間隔の安定化及び左右一致性を確保することのでき
る、ヘッドランプとフロントバンパーとの位置決め構造
を提供することを目的とするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に本発明にあっては、車体に配設されるヘッドランプの
下端部に、車体前後方向に延在する係合溝が設けられた
第１のクリップを装着する一方、前記ヘッドランプの下
部に配置されるフロントバンパーの上端部に、係止片を
有する第２のクリップを装着し、該係止片を前記係合溝
に内嵌して、両クリップを係合させてなる。

【０００５】

【作用】前記構成において、第１のクリップと第２のク
リップとが係合することにより、ヘッドランプの下端部
とフロントバンパーの上端部とが両クリップを介して連
結され、これによりヘッドランプとフロントバンパーと
の間隔は画一化する。

【０００６】また、フロントバンパーのみが障害物に衝
突する軽衝突が発生した際、フロントバンパーが後退変
形すると、これに伴って第２のクリップには車体後方へ
の荷重が入力される。しかし、この第２クリップの係止
片が内嵌している第１のクリップの係合溝は、車体前後
方向に設けられていることから、係止片は係合溝内を車
体後方に摺動し、係合溝から離脱する。これにより、両
クリップの係合が解除されて、フロントバンパー側から
ヘッドランプ側への衝突荷重の伝達が阻止される。

【０００７】また、両クリップは、車体前後方向の係合
溝に係止片が内嵌することにより、係合状態が維持され
ていることから、ヘッドランプとともに第１のクリップ
を係止片に沿って摺動させれば、両クリップの係合を解
除し、あるいは再係合することができ、これによりヘッ
ドランプ単独の脱着性は確保される。

【０００８】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図にしたがって説
明する。すなわち、図１〜３に示すように、車体の前部
に配置された左右のヘッドランプ１の下端部には、取付
部２が各ヘッドランプ１毎に２個ずつ突設されており、
各取付部２には第１のクリップとしての、上部クリップ
３が装着されている。該上部クリップ３は、ナイロン製
であって、図４（Ａ）〜（Ｃ）に示すように、クリップ
本体４と該クリップ本体４の上面に一体的に形成された
突片５とから構成されている。そして、該突片５を取付
部２に差し込み係止することにより、上部クリップ３は
ヘッドランプ１の下端部に固定されている。

【０００９】クリップ本体４には、前記取付部２に固定
された状態で車体前後方向に延在する係合溝６が形成さ
れており、また、下面の両端部には同図（Ｃ）に示すよ
うに、凹部８，８が設けられている。前記係合溝６は、
前端及び後端が解放状であって、同図（Ａ）（Ｂ）に示
すように、前側部６ａと後側部６ｂとで構成され、前側
部６ａは幅方向及び上下方向において末広がり状に形成
され、後側部６ｂは均一断面形状に形成されている。さ
らに、係合溝６の下面には同図（Ｃ）に示すように、開
口部６ｃが設けられており、内部には相対向する突起７
・・・が設けられている。

【００１０】クリップ本体４の上面は、前記前側部６ａ
の上部に設けられた斜状部９ａと、該斜状部９ａの後端
に連なる平面部９ｂとから構成され、該平面部９ｂは前
記係合溝６よりもさらに後方に突出している。そして、
固定状態においては、図１に示すように、斜状部９ａが
取付部２よりも前方に位置し、平面部９ｂが取付部２の
下面に沿うように配置される。

【００１１】一方、図２に示すように、ヘッドランプ１
の下部には、バンパーステイ１０が配置されており、該
バンパーステイ１０は後端部を図示しないサイドメンバ
に結合されている。このバンパーステイ１０の側面に
は、起立状のブラケット１１がスポット溶接され、該ブ
ラケット１１の上端部には、車幅方向に延在するリテー
ナ１２がスポット溶接されている。

【００１２】このリテーナ１２上であって、前記上部ク
リップ３と対向する部位には、図３に示すように、第２
のクリップとして下部クリップ１３が差し込み係止され
ている。該下部クリップ１３は、ポリアセタール製であ
って、図５（Ｂ）に示すように、上下に相対向する略水
平状の上部挾持片１４と下部挾持片１５とを、前部側に
有している。下部挾持片１５の下面には、リテーナ１２
に差し込み係止される突片１６が形成され、上部挾持片
１４の下面には爪１７が突設されている。

【００１３】両挾持片１４，１５の後端部には垂直上方
に突出するネック部１８が、一体的に形成されており、
該ネック部１８は、前記係合溝６の開口部６ｃに遊挿可
能な幅を有している。ネック部１８の下端基部には、図
５（Ａ）（Ｃ）に示すように、両挾持片１４，１５と直
交する方向に支持板１９が設けられており、該支持板１
９の先端部には、前記凹部８，８に嵌合可能な凸部２
０，２０が形成されている。

【００１４】ネック部１８の上端部には、略水平状であ
って後方に延出する係止片２１が設けられ、該係止片２
１は、前記係合溝６に挿入可能な幅を有するとともに、
前記突起７・・・間で挟圧され得る肉厚を有している。
また、この係止片２１は、図５（Ａ）に示すように、後
端部２１ａに向かって先細り形状であるとともに、該後
端部２１ａは、同図（Ｂ）（Ｃ）に示すように、薄肉状
に形成されている。さらに、係止片２１の下面には、該
下面からネック部１８及びその下部側に亙って補強リブ
３０が形成されており、該補強リブ３０はネック部１８
の幅よりも遥かに薄い肉厚を有している。

【００１５】他方、前記バンパーステイ１０の先端部に
は、車幅方向に延在するフロントバンパー２２が取り付
けられている。該フロントバンパー２２は、図２に示す
ように、バンパーステイ１０に結合されたバンパーレイ
ンフォース２３と、表面を形成するバンパーフェイシア
２４、及びこのバンパーフェイシア２４とバンパーレイ
ンフォース２３間に介挿された衝撃吸収材２５とで構成
されている。

【００１６】バンパーフェイシア２４はポリプロピレン
製であって、図６に示すように、上面両側の縁部であっ
てヘッドランプ１の下部となる部位に、斜状に立ち上が
るフィニッシャ部２６が形成されており、該フィニッシ
ャ部２６内側下部には、略水平方向に突出する舌状部２
７が形成されている。この舌状部２７は、図１に明示し
たように先端部が薄肉状であって、前記爪１７が係合す
る孔２８が設けられている。また、舌状部２７は、同図
に示すように、両挾持片１４，１５間に介挿して孔２８
に爪１７を係合させた状態で、フィニッシャ部２６と上
部クリップ３の前端間に空間部２９を形成し得る長さを
有している。

【００１７】また、図７に示すように、前記バンパーレ
インフォース２３は、断面コ字状に形成され、衝撃吸収
材２５は発泡ポリプロピレン製であって、バンパーレイ
ンフォース２３の外面とバンパーフェイシア２４の内面
とに合致する形状を有している。なお、図６において
は、下部クリップ１３は両挾持片１４，１５のみを示し
て、他の部分は省略してある。

【００１８】以上の構成にかかる本実施例において、ヘ
ッドランプ１及びフロントバンパー２２を車体へ組み付
けるに際しては、取付部２に突片５を差し込んで、ヘッ
ドランプ１に予め上部クリップ３を装着しておく。そし
て、この上部クリップ３を予め装着したヘッドランプ１
を、先ず車体に固定する。

【００１９】他方、フロントバンパー２２のバンパーレ
インフォース２３には、バンパーステイ１０を結合し、
該バンパーステイ１０には、ブラケット１１及びリテー
ナ１２を組み付けておく。さらに、両挾持片１４，１５
内に、バンパーフェイシア２４の舌状部２７を挿入し
て、孔２８に爪１７を係合させるとともに、下部クリッ
プ１３の突片１６をリテーナ１２に差し込み係止して、
フロントバンパー２２側に予め下部クリップ１３を装着
しておく。

【００２０】そして、これらバンパーステイ１０等が予
め組み付けられたフロントバンパー２２を、ヘッドラン
プ１が装着されている車体へ組み付けるに際しては、係
合溝６の前側部６ａから係止片２１の後端部２１ａを挿
入する。このとき、係合溝６の前側部６ａは、前述のよ
うに末広がり状であり、しかも係止片２１の後端部２１
ａは薄肉状であることから、容易に係止片２１の後端部
２１ａを係合溝６内に挿入することができる。また 挿
入後フロントバンパー２２を前方から押圧して、係止片
２１を係合溝６内にて後側部６ｂ方向へ摺動し、係止片
２１の後端部２１ａを係合溝６よりも後方に突出させ
る。

【００２１】すると、係止片２１が所定長係合溝６から
突出した時点で、図３に示すように、上部クリップ３側
の凹部８と、下部クリップ１３側の凸部２０と合致し、
両者が嵌合する。また、この凹部８と凸部２０が嵌合し
た状態においては、図１に示すように、係止片２１の前
端部のみが係合溝６内に残存し、この係止片２１の残存
した部分が突起７間で挾持されて（図３）、両クリップ
３，１３が係合する。この両クリップ３，１３の係合に
より、フロントバンパー２２は仮止め状態となり、この
仮止め状態で、バンパーステイ１０を車体のサイドメン
バに固着するとともに、バンパーフェイシア２４を車体
の所定部位に螺着する等により、フロントバンパー２２
の組み付けを完了する。

【００２２】したがって、フロントバンパー２２の組み
付けを完了した時点においては、該フロントバンパー２
２とヘッドランプ１とは、下部クリップ１３と上部クリ
ップ３との係合により連結される。このため、ヘッドラ
ンプ１の下端部とバンパーフェイシア２４の上端部との
間隔が画一化し、車種毎に安定した外観品質を確保する
ことができる。また、個々の車両において、右側のヘッ
ドランプ１とフロントバンパー２２との間隔と、左側の
ヘッドランプ１とフロントバンパー２２との間隔とが一
致し、これにより車両個々の外観品質を向上させること
ができる。しかも、本実施例においては、バンパーフェ
イシア２４に形成されたフィニッシャ部２６により、両
クリップ３，１３が隠蔽されることから、両クリップ
３，１３の露呈による品質感の低下を未然に防止するこ
とができる。

【００２３】また、フロントバンパー２２のみが障害物
に衝突した軽衝突が発生した際、フロントバンパー２２
が後退変形すると、これに伴って、下部クリップ１３に
は舌状部２７を介して車体後方への荷重が入力される。
しかし、上部クリップ３の係合溝６は、車体前後方向に
延在していることから、係止片２１は突起７に摺接しつ
つ係合溝６内を車体後方に摺動可能である。このため、
フロントバンパー２２に前記荷重が入力されると、凹部
８と凸部２０の嵌合が強制解除された後、係止片２１は
突起７に摺接しつつ係合溝６内を車体後方に摺動し、係
合溝６から離脱する。これにより、両クリップ３，１３
の係合が解除されることから、軽衝突時にフロントバン
パー２２側からの荷重がヘッドランプ１に入力されるこ
とがなく、軽衝突時におけるヘッドランプ１の破損が防
止される。

【００２４】また、図１に示すように、上部クリップ３
とフィニッシャ部２６間には、前述した空間部２９が設
けられていることから、ヘッドランプ１と車体との固着
を解除した後、上部クリップ３が装着されているヘッド
ランプ１を前方に引き出せば、上部クリップ３と下部ク
リップ１３の係合が解除される。よって、フロントバン
パー２２を取り外すことなく、ヘッドランプ１のみを取
り外すことができる。さらに、取り外したヘッドランプ
１に装着されている上部クリップ３の係合溝６を、下部
クリップ１３の係止片２１に外嵌させることにより、フ
ロントバンパー２２を取り外すことなく、ヘッドランプ
１の組み付けも可能となる。よって、ヘッドランプ１の
みの脱着も、従来と同様に確保されることとなる。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように本発明は、ヘッドラ
ンプの下端部に、車体前後方向に延在する係合溝が設け
られた第１のクリップを装着する一方、フロントバンパ
ーの上端部に、係止片を有する第２のクリップを装着
し、該係止片を前記係合溝に内嵌して、両クリップを係
合させる構成とした。よって、ヘッドランプの下端部と
フロントバンパーの上端部とが、両クリップの係合によ
り連結され、これにより、ヘッドランプ下端部とフロン
トバンパーの上端部との間隔を画一化することができ
る。その結果、ヘッドランプとフロントバンパーとを常
に一定にして、車種毎に安定した外観品質を確保するこ
とができるとともに、個々の車両において、左右のヘッ
ドランプとフロントバンパーとの間隔を一致させて、車
両個々の外観品質を向上させることができる。

【００２６】また、係合溝は、車体前後方向に延在して
いることから、フロントバンパーのみが障害物に衝突し
た軽衝突が発生した際、係止片がフロントバンパーと一
体的に、係合溝内を車体後方に摺動して係合溝から離脱
する。よって、クリップを介してヘッドランプとフロン
トバンパーとを結合しても、軽衝突時にフロントバンパ
ー側からの荷重がヘッドランプに入力されることがな
く、軽衝突時におけるヘッドランプの破損を未然に防止
できる。

【００２７】さらに、両クリップは、車体前後方向の係
合溝とこれに内嵌する係止片とにより、係合状態が維持
されていることから、第１のクリップが装着されている
ヘッドランプを同方向に移動させれば、両クリップの係
合を解除し、あるいは再係合させることができる。した
がって、ヘッドランプ単独の脱着は可能であり、よっ
て、クリップを介してヘッドランプとフロントバンパー
とを結合しても、ヘッドランプのみの脱着を従来と同様
に確保できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す図２のｂ部拡大断面図
である。

【図２】同実施例の垂直断面図である。

【図３】図１のａ矢視図である。

【図４】上部クリップを示す図であり、（Ａ）は平面
図、（Ｂ）は正面図、（Ｃ）は右側面図である。

【図５】下部クリップを示す図であり、（Ａ）は平面
図、（Ｂ）は正面図、（Ｃ）は右側面図である。

【図６】フロントバンパー及び予めフロントバンパー側
に組付けられる部材の分解斜視図である。

【図７】バンパーレインフォース及び衝撃吸収材の斜視
図である。

【図８】従来構造を示す垂直断面図である。

【符号の説明】

１ ヘッドランプ ３ 上部クリップ（第１のクリップ） ６ 係合溝 １３ 下部クリップ（第２のクリップ） ２１ 係止片 ２２ フロントバンパー

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体に配設されるヘッドランプの下端部
   に、車体前後方向に延在する係合溝が設けられた第１の
   クリップを装着する一方、前記ヘッドランプの下部に配
   置されるフロントバンパーの上端部に、係止片を有する
   第２のクリップを装着し、該係止片を前記係合溝に内嵌
   して、両クリップを係合させてなることを特徴とするヘ
   ッドランプとフロントバンパーとの位置決め構造。