JP7347370B2 - 車両の後部構造 - Google Patents
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Description
まず、図1に示すミニバンタイプの車両2を一例に、車両2の後部の概要について説明する。この車両2では、その後面に形成されたドア開口部3が、バックドア4により開閉可能に構成されている。またバックドア4の下方には、衝撃緩和装置としてのリヤバンパー5が設けられている。このリヤバンパー5は、図1の車両後方の平面視において、左右一対のリヤタイヤ2a,2b間を横断するように左右方向(車幅方向)に延びている。
図1~図3に示す突出部20は、走行時の車両2の下側に生ずる空気流に当たることでその向きを制御するフィン形状の部材であり、上述したバンパーカバー6の縦壁部7に設けられている。この突出部20は、図3~図5に示すように、外装材としてのリヤスポイラー9と一体成形されており、このリヤスポイラー9とともに縦壁部7に取付けられている。すなわち突出部20は、図4に示すように、その上端でリヤスポイラー9下端に一体となり、このリヤスポイラー9が縦壁部7に取付けられた状態で縦壁部7の下端付近(後述のコーナー部7a付近)に設けられている。また突出部20は、図3及び図5に示すように左右方向に長尺に形成されており、リヤスポイラー9の組付け凹部10と概ね同一の左右方向の寸法を有している。そしてリヤスポイラー9が縦壁部7に取付けられることで、このリヤスポイラー9と一体の突出部20が、車両後方の平面視において、左右のリヤタイヤ2a,2bの間に概ね連続的に配置される。こうして突出部20は、リヤスポイラー9と一体となって縦壁部7に取付けられるため、突出部用の取付け部材等を要さず、車両2に対する優れた取付け作業性を有している。
ここで図4及び図7を参照して、縦壁部7に対する突出部20の下方への突出寸法は、車両2の下側の空気流に当たるならば特に限定しないが、典型的には突出部20の角度θや車種を考慮して設定できる。例えば縦壁部7の下端付近には、下方に向かうにつれて次第に前方に曲がるコーナー部7aが設けられ、このコーナー部7aは、車両下面をなすフロアパン2fよりも高い位置に配置されている。またコーナー部7aは、路面を臨む底壁部8に連続しており、この底壁部8の前縁は、縦壁部7の下端部をなすようにその最下端位置HT1に配置されている。そこで突出部20の下端部をなす下面22を、縦壁部7の底壁部8(下端部)の最下端位置HT1よりも低い位置(HT2)に配置することで、この突出部20をより確実に空気流に当たるように設けることができる。そして本実施例では、突出部20を、車両の下面をなすフロアパン2fではなく、その上方に位置するリヤバンパー5の縦壁部7に設けている。このため適度な突出寸法を備える突出部20を、路面等との意図しない接触を極力回避しつつ設けることが可能となり、突出部20の優れた取付け性の確保に資する構成となっている。このとき突出部20の下面22を、車両下面(各図ではフロアパン2f)の最下端位置HT0と同位置又はそれよりも高い位置に配置することで、突出部20と路面等の意図しない接触を一層確実に回避することができる。また図4に示す突出部20の前後方向の寸法は、空気流を制御可能ならば特に限定しないが、突出部20の後端位置(L1)は、リヤバンパー5の後端位置(L0)を考慮して設定することができる。例えば突出部20の後端位置(L1)を、リヤバンパー5の後端位置(L0)と同位置又はそれよりも前方に設定する。このような設定であると、車両2に対して後方から加わる外力をリヤバンパー5で受けられるようになり、この外力による突出部20の変形を抑制することができる。なお本実施例では、リヤバンパー5の後端位置(L0)に、リヤスポイラー9(外装材)のガーニッシュ11の外面11aが配置し、突出部20の後端位置(L1)に、後述するカバー部30の下部が配置している。
また図4に示す突出部20は、上述したようにリヤスポイラー9と一体であるため優れた剛性を有している。さらに図4及び図6を参照して、突出部20には、その補強構造として、縦壁部7に当接可能な当て板部24が設けられている。この当て板部24は、突出部20の上端を形成し且つ前方に張出している部位であり、縦壁部7の下部に設けられたコーナー部7aに沿うように形成されている。そして例えば洗車時などに突出部20が後方から力を受けた際に、この当て板部24が、コーナー部7aに面接触して突出部20を支持する。また図5及び図6を参照して、突出部20の後面23には、立壁状のリブ部25が複数形成されており、各リブ部25によって突出部20が補強されている(図5では、便宜上、一つのリブ部にのみ対応する符号25を付す)。そして各リブ部25の上側には、後述する意匠用のカバー部30を係止め可能な係止孔H2が、左右方向に適宜の間隔をあけて複数設けられている(図5では、便宜上、各係止孔に共通の符号H2を付す)。
図7に示す走行時の車両2の後部では、空力性能の確保の観点から、突出部20によって、車両2の下側の空気流を下方且つ後方に向けるように制御する(図7中、実線で示す空気流AFの流れを参照)。この種の構成では、車両2の空力性能の確保とともに各種性能の確保が望まれている。そこで図4に示すリヤバンパー5は、その一部をなして車両2の高さ方向に延びる縦壁部7を有するとともに、車両2の後端側で車両後方を臨む縦壁部7には、後方に向かうにつれて次第に下方に傾斜している突出部20が設けられている。このような構成によると、図7に示す車両2の下側に生じる空気流AFは、フロアパン2fの下側を通過したのち、車両2の後端側に位置する突出部20に当たる。そして空気流AFは、突出部20の前面21に沿って後方且つ下方に導かれ、さらに突出部20の下面22に沿って後方に向けて直線的に流れていく。このように空気流AFを突出部20にて後方且つ下方に導くことで、この空気流AFの巻き上がりを、図7の実線で示すように車両2から極力離れた位置で生じさせることが可能となり、車両2の空力性能の確保に資する構成となる。そして本実施例では、下方且つ後方に傾斜する突出部20が、車両2の後端側に位置する縦壁部7付近で空気流AFを制御する。こうして適切な形状の突出部20にて、空気流AFを過度に下方に導かないように制御しつつ車両後方に素早く流すことで、この空気流AFが車両2を浮き上がらせるように作用することを極力回避できる。さらに巻き上がる空気流AFがバックドア4に強く当たることを極力回避でき、この空気流AFが原因となるバックドア4への汚れの付着を抑制できる。そして本実施例では、上述したように突出部20をリヤバンパー5の縦壁部7に設けることで、車両2の走行時に突出部20と路面等との意図しない接触を極力回避することが可能となっている。
2a,2b リヤタイヤ
2f フロアパン
3 ドア開口部
4 バックドア
5 リヤバンパー
6 バンパーカバー
7 縦壁部(本発明の縦壁部)
7a コーナー部
7x,7y サイド縦壁部
8 底壁部(本発明の縦壁部の下端部)
9 リヤスポイラー(本発明の外装材)
9a (リヤスポイラーの)外面
10 組付け凹部
11 ガーニッシュ
11a (ガーニッシュの)外面
12 係合片
20 突出部
21 突出部の前面
22 突出部の下面(本発明の突出部の下端部)
23 突出部の後面
24 当て板部
25 リブ部
30 カバー部
32 下縁爪
33 上縁爪
AF 空気流
BS ビス
H1 係合孔
H2 係止孔
WS ウエザーストリップ
HT0 車両下面(フロアパン)の最下端位置
HT1 縦壁部の最下端位置
HT2 突出部の下面の位置
L0 リヤバンパーの後端位置
L1 突出部の後端位置
Claims (4)
- 車幅方向に延びるリヤバンパーと、走行時の車両の下側に生ずる空気流に当たるように設けられた突出部とを備えた車両の後部構造において、
前記リヤバンパーは、その一部をなして車両の高さ方向に延びる縦壁部と、前記縦壁部の外面に対して後側に突出するように設けられた外装材としてのリヤスポイラーとを有するとともに、前記車両の後端側で車両後方を臨む前記縦壁部の外面側には前記突出部が設けられており、
前記突出部の上端部は、前記縦壁部の外面に当接可能な当て板部が設けられた状態で前記リヤスポイラーに一体化されていると共に、前記突出部は、その上端部よりも下側の部分が次第に前記縦壁部から離間するように、後方に向かうにつれて次第に下方に傾斜している車両の後部構造。 - 前記突出部の下端部が、前記縦壁部の下端部よりも低い位置に配置されている請求項1に記載の車両の後部構造。
- 車両後方の平面視において、車幅方向に延びる前記突出部が、前記車両の一対のリヤタイヤの間に配置されている請求項1又は2に記載の車両の後部構造。
- 前記突出部の下端部が、前記車両の下面をなすフロアパンと同一の高さ位置又はそれよりも高い位置に配置されている請求項1~3のいずれか一項に記載の車両の後部構造。
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2021
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