JPH07326011A - 磁気ヘッドの製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、アジマス角を有してなる磁気ヘッ
ドを効率良く正確に製造することのできる磁気ヘッドの
製造方法を提供することを目的とする。 【構成】 磁気コア半体ブロック２，３の少なくとも何
れか一方に磁気ギャップＧ１（Ｇ２）のデプスＤ１（Ｄ
２）方向において略々対称な巻線溝６，７を形成し、こ
れら一対の磁気コア半体ブロック２，３同士をギャップ
材を介して突き合わせて磁気ヘッドブロック１とした
後、この磁気ヘッドブロック１を磁気ギャップＧ１（Ｇ
２）のアジマス角（θ）に応じて斜めに切断し、磁気ギ
ャップＧ１（Ｇ２）のデプスＤ１（Ｄ２）方向における
両端面２ａ，３ａ（２ｂ，３ｂ）うちの何れかを磁気記
録媒体摺動面とすることで、アジマス方向が互いに逆方
向である２種類の磁気ヘッド１０Ａ（１０Ｂ）の何れか
とすることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、磁気ギャップが所定の
アジマス角を有してなる磁気ヘッドの製造方法に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、ビデオテープレコーダー等に搭載
される磁気ヘッドとして、図５に示すように、磁気ギャ
ップが所定のアジマス角を有してなる磁気ヘッドが知ら
れている。

【０００３】この図５に示す磁気ヘッド１０１，１１１
は、幅方向Ｗに対してそれぞれプラス（＋θ）、マイナ
ス（−θ）というアジマス方向が互いに逆方向の２種類
の磁気ヘッド（所謂ダブルアジマス）によって、磁気記
録媒体に対する磁化方向を異ならせ、所謂アジマス損失
により、隣接するトラック間の所謂クロストークを低減
することができるものである。

【０００４】他方、磁気ギャップが所定のアジマス角を
有してなる磁気ヘッドは、上記のようなダブルアジマス
のものばかりでなく、いずれか単独でも使用されるが、
この場合には、いわゆる疑似ギャップの影響を避けるた
めに、磁気ギャップに対して疑似ギャップが斜めになる
ように角度が付与されている。

【０００５】ところで、これらの磁気ギャップがアジマ
ス角を有する磁気ヘッドの製造方法は、プラスのアジマ
ス角（＋θ）の磁気ヘッド１０１を製造する場合とマイ
ナスのアジマス角（−θ）の磁気ヘッド１１１を製造す
る場合とで別々に行われている。

【０００６】まず、上記プラスのアジマス角（＋θ）の
磁気ヘッド１０１を製造する場合は、図３に示すよう
に、一対の磁気コア半体ブロック１０２，１０３を突き
合わせ接合一体化して、プラスのアジマス角（＋θ）用
の磁気コアブロック１０４を作製する。次いで、この磁
気コアブロック１０４を所定のアジマス角でスライシン
グし、磁気ヘッド１０１となる磁気ヘッドチップにチッ
プ切断した後、バック側を切削等することにより、上記
磁気ヘッド１０１が製造される。

【０００７】他方、上記マイナスのアジマス角（−θ）
の磁気ヘッド１１１を製造する場合、まず、図４に示す
ように、一対の磁気コア半体ブロック１１２，１１３を
突き合わせ接合一体化して、マイナスのアジマス角（−
θ）用の磁気コアブロック１１４を作製する。次いで、
この磁気コアブロック１１４を所定のアジマス角でスラ
イシングし、磁気ヘッド１１１となる磁気ヘッドチップ
にチップ切断した後、バック側を切削等することによ
り、上記磁気ヘッド１１１が製造される。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】このように、従来の磁
気ヘッドの製造方法において、アジマス角を有する磁気
ヘッド、或いは、アジマス方向が互いに逆方向である磁
気ヘッドを製造する場合には、磁気ヘッドの製造の初期
工程からヘッドコアのアジマス角を考慮して作らなけれ
ばならなかった。したがって、生産性が悪く、また、コ
ストが割高になっているという問題点を有していた。

【０００９】また、アジマス方向が互いに逆方向である
磁気ヘッドを製造する場合には、別々に製造された磁気
コアブロック１０４，１１４を別々に角度を付けてスラ
イシングするため、プラスのアジマス角（＋θ）とマイ
ナスのアジマス角（−θ）とが同じ角度（＋θ＝−θ）
の磁気ヘッドを製造するには、高度に熟練された技術を
要していた。

【００１０】そこで、本発明は、かかる従来の技術的な
課題に鑑みて提案されたものであって、アジマス角を有
してなる磁気ヘッドを効率良く正確に製造することので
きる磁気ヘッドの製造方法を提供することを目的とす
る。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明に係る磁気コアブ
ロックは、上述の課題を解決し目的を達成するために、
磁気ギャップが所定のアジマス角を有してなる磁気ヘッ
ドを製造するに際し、磁気コア半体の少なくとも何れか
一方に磁気ギャップのデプス方向において略々対称な巻
線溝を形成し、磁気ギャップのデプス方向における両端
面のうちの何れかを磁気記録媒体摺動面とすることで、
アジマス方向が互いに逆方向である２種類の磁気ヘッド
の何れかとすることを特徴とする。

【００１２】また、磁気コア半体ブロックの少なくとも
何れか一方に磁気ギャップのデプス方向において略々対
称な巻線溝を形成し、これら一対の磁気コア半体ブロッ
ク同士をギャップ材を介して突き合わせて磁気ヘッドブ
ロックとした後、この磁気ヘッドブロックを磁気ギャッ
プのアジマス角に応じて斜めに切断し、磁気ギャップの
デプス方向における両端面のうちの何れかを磁気記録媒
体摺動面とすることで、アジマス方向が互いに逆方向で
ある２種類の磁気ヘッドの何れかとすることを特徴とす
る。

【００１３】また、上記磁気コア半体、又は、磁気コア
半体ブロックの少なくとも何れか一方に、磁気ギャップ
のデプス方向において略々対称な一対の巻線溝を形成す
ることを特徴とする。

【００１４】また、上記磁気コア半体、又は、磁気コア
半体ブロックの少なくとも一方が磁気ギャップ近傍に強
磁性金属膜が成膜されてなることを特徴とする。

【００１５】

【作用】本発明に係る磁気ヘッドの製造方法において
は、磁気コア半体又は磁気コア半体ブロックの少なくと
も何れか一方に磁気ギャップのデプス方向において略々
対称な巻線溝を形成する工程を備える。これにより、従
来の一対の磁気コア半体の突き合わせ面と直交する方向
の一方の端面でしか磁気記録媒体摺動面としていなかっ
たこととは異なり、上記一方の端面と相対向する他方の
端面でもこの面を磁気記録媒体摺動面として使用でき
る。

【００１６】そして、上記磁気コア半体を突き合わせる
と、磁気ギャップのデプス方向における両端面のうちの
何れかを磁気記録媒体摺動面とすることで、アジマス方
向が互いに逆方向である２種類の磁気ヘッドの何れかが
製造される。

【００１７】また、上記磁気コア半体ブロック同士をギ
ャップ材を介して突き合わせて磁気ヘッドブロックとし
た後、この磁気ヘッドブロックを磁気ギャップのアジマ
ス角に応じて斜めに切断すると、磁気ギャップのデプス
方向における両端面のうちの何れかを磁気記録媒体摺動
面とすることで、アジマス方向が互いに逆方向である２
種類の磁気ヘッドの何れかが製造される。

【００１８】

【実施例】以下、本発明を適用した具体的な実施例につ
いて図面を参照しながら詳細に説明する。

【００１９】本実施例は、薄膜の金属磁性層を非磁性絶
縁層を介して何層にも積層した積層膜構造の金属磁性薄
膜を主コアとしてなるメタル・イン・ギャップ型の磁気
ヘッド１０Ａ，１０Ｂの製造方法に適用したものであ
る。

【００２０】まず、図１及び図２（ａ），（ｂ）に示す
ように、上記各磁気ヘッド１０Ａ，１０Ｂは、同じ磁気
コアブロック１から製造されるものである。この磁気コ
アブロック１は、一対の磁気コア半体ブロック２，３同
士を突き合わせてガラス融着により接合一体化してな
る。

【００２１】すなわち、上記磁気コアブロック１は、フ
ェライト等からなる一対の磁気コア半体ブロック２，３
の突き合わせ面を磁気ギャップＧ１（Ｇ２）に対して斜
めに切り欠き、この斜面４上にセンダスト等の強磁性金
属膜８を被着形成し、これら磁性金属膜８を突き合わせ
て融着ガラス５により、接合一体化されてなる。なお、
図示しないが、上記一対の磁気コア半体ブロック２，３
間にはギャップ材が介在されて突き合わせられてなる。

【００２２】そして、上記磁気コアブロック１の突き合
わせ面には、少なくとも二つの略々対称な巻線溝６，７
が形成されている。この巻線溝６，７は、上記磁気ギャ
ップＧ１，Ｇ２のデプスＤ１，Ｄ２を規制するととも
に、図示しないコイルを巻装するためのものである。そ
して、上記二つの巻線溝６，７は、各磁気ギャップＧ
１，Ｇ２のデプスＤ１，Ｄ２を規制する傾斜面６ａ，７
ａが互いに逆方向となるように長手方向に沿って形成さ
れてなる。なお、上記巻線溝６，７は、磁気コアブロッ
ク１の突き合わせ面に二つ巻線溝６，７を形成したもの
であるが、上記のものに限らず、磁気コア半体ブロック
２，３のいずれか一方に形成されたものであっても良
い。

【００２３】このように巻線溝６，７が形成された上記
磁気コアブロック１は、上記各磁気ギャップＧ１（Ｇ
２）の各デプスＤ１（Ｄ２）方向における両端面２ａ，
３ａ（２ｂ，３ｂ）のうちの何れかを磁気記録媒体摺動
面とすることができる。すなわち、磁気ギャップＧ１の
デプスＤ１方向における一方の端面２ａ，３ａを磁気記
録媒体摺動面とすると、磁気ヘッド１０Ａが形成でき、
磁気ギャップＧ２のデプスＤ２方向における他方の端面
２ｂ，３ｂを磁気記録媒体摺動面とすると、磁気ヘッド
１０Ｂが形成されるようすることができる。この点、プ
ラスとマイナスのものを別々の使用していた従来のもの
と大きく異なる特徴点である。

【００２４】本願発明者等は、上記のような構成の磁気
コアブロック１がその一方の端面２ａ，３ａを磁気記録
媒体摺動面として、磁気ギャップＧ１（Ｇ２）にプラス
のアジマス角（＋θ）を付与すると、他方の端面２ｂ，
３ｂには、必然的に、上記一方の端面２ａ，３ａとはア
ジマス方向が互いに逆方向であるマイナスのアジマス角
（−θ）が現れるという性質を有効に利用した。

【００２５】ここに、アジマス方向が互いに逆方向であ
るアジマス角は、後述するように、この磁気コアブロッ
ク１をスライシングするときの角度により、上記アジマ
ス角（θ）を付与されるものであるが、予め、プラスか
マイナスの角度を磁気コアブロック１自体に所定のアジ
マス角（θ）が形成されるように製作しておき、この磁
気コアブロック１を水平方向にスライシングすることに
より、所定のアジマス角が形成された磁気ヘッドチップ
１０が製作されるものでも良い。

【００２６】このような構成の磁気コアブロック１は、
図１に示す所定のアジマス角（θ）が付与されるよう
に、Ａ−Ａ’線、Ｂ−Ｂ’線に沿ってスライシングする
ことで、図２（ａ），（ｂ）に示すように、アジマス方
向が互いに逆方向である磁気ヘッド１０Ａ，１０Ｂを有
する磁気ヘッドチップ１０を製作することが可能であ
る。

【００２７】したがって、次に、上記スライシングによ
って作製された磁気ヘッドチップ１０のバック側のＣ−
Ｃ’線に沿って切断する。すなわち、図２（ａ）に示す
プラスのアジマス角（＋θ）の磁気ヘッド１０Ａを製造
する場合には、図中鎖線で示すバック側が不要となるた
め、上記Ｃ−Ｃ’線に沿って切断することにより、プラ
スのアジマス角（＋θ）の磁気ヘッド１０Ａが製造され
る。

【００２８】一方、図２（ｂ）に示すマイナスのアジマ
ス角（−θ）の磁気ヘッド１０Ｂを製造する場合には、
図中鎖線で示すバック側が不要となるため、上記Ｃ−
Ｃ’線に沿って切断することにより、マイナスのアジマ
ス角（−θ）の磁気ヘッド１０Ｂが製造されることとな
る。

【００２９】このように、本発明に係る磁気ヘッドの製
造方法は、磁気コアブロック１を共用でき、製造工程も
同一となるため、磁気ヘッドの生産性の向上が図られる
とともに、低コストにより製造することが可能となる。
そして、このように製造された磁気ヘッド１０Ａ，１０
Ｂは、アジマス方向が互いに逆方向であるから、図９に
示すような所謂ダブルアジマスヘッドとして使用するに
適したものである。

【００３０】なお、上記実施例は、磁気コアブロック１
をスライシングするときの角度によりアジマス角を付与
したものであるが、本発明は、例えば、磁気コアブロッ
ク１自体に所定のアジマス角が形成されるように製作し
ておき、上記スライシングの場合には、この磁気コアブ
ロック１を水平方向にスライシングするような場合にも
適用されるものである。また、上記実施例は、いわゆる
メタル・イン・ギャップ型の磁気ヘッドの製造方法につ
いて説明したが、アジマス角（θ）を有する磁気ヘッド
を製造するものであれば、上記実施例のものに限定され
ないことは言うまでもない。

【００３１】

【発明の効果】本発明は、磁気コア半体の少なくとも何
れか一方に磁気ギャップのデプス方向において略々対称
な巻線溝を形成し、磁気ギャップのデプス方向における
両端面のうちの何れかを磁気記録媒体摺動面とすること
で、アジマス方向が互いに逆方向である２種類の磁気ヘ
ッドの何れかとするものである。したがって、磁気コア
半体が共用できるため、、アジマス角を有してなる磁気
ヘッドの生産性の向上が図られるとともに、低コストに
より製造することが可能となる。

【００３２】また、磁気コア半体ブロックの少なくとも
何れか一方に磁気ギャップのデプス方向において略々対
称な巻線溝を形成し、これら一対の磁気コア半体ブロッ
ク同士をギャップ材を介して突き合わせて磁気ヘッドブ
ロックとした後、この磁気ヘッドブロックを磁気ギャッ
プのアジマス角に応じて斜めに切断し、磁気ギャップの
デプス方向における両端面のうちの何れかを磁気記録媒
体摺動面とすることで、アジマス方向が互いに逆方向で
ある２種類の磁気ヘッドの何れかとするものである。し
たがって、磁気コアブロックが共用でき、製造工程の共
通化を通じて、アジマス角を有してなる磁気ヘッドの生
産性の向上が図られるとともに、低コストにより製造す
ることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る磁気コアブロックの一実施例を示
す斜視図である。

【図２】上記磁気コアブロックをスライシングして得ら
れる磁気ヘッドチップを表す図であり、（ａ）は、プラ
スのアジマス角の磁気ヘッドを製造する場合の側面図と
平面図であり、（ｂ）は、マイナスのアジマス角の磁気
ヘッドを製造する場合の側面図と平面図である。

【図３】従来のプラスのアジマス角用の磁気ヘッドを製
造するために使用される磁気コアブロックと該磁気コア
ブロックをスライシングして得られる磁気ヘッドを示す
斜視図である。

【図４】従来のマイナスのアジマス角用の磁気ヘッドを
製造するために使用される磁気コアブロックと該磁気コ
アブロックをスライシングして得られる磁気ヘッドを示
す斜視図である。

【図５】磁気ヘッドのアジマス角を表す平面図である。

【符号の説明】

１ 磁気コアブロック ２，３ 磁気コア半体ブロック ２ａ，３ａ 磁気ギャップのデプス方向における一方の
端面 ２ｂ，３ｂ 磁気ギャップのデプス方向における他方の
端面 ６，７ 巻線溝 ８ 磁性金属膜 １０ アジマス方向が互いに逆方向である磁気ヘッドチ
ップ １０Ａ，１０Ｂ 磁気ヘッド θ アジマス角 Ｇ１，Ｇ２ 磁気ギャップ Ｃ−Ｃ’磁気ヘッドチップの切断線

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 磁気ギャップが所定のアジマス角を有し
   てなる磁気ヘッドを製造するに際し、 磁気コア半体の少なくとも何れか一方に磁気ギャップの
   デプス方向において略々対称な巻線溝を形成し、磁気ギ
   ャップのデプス方向における両端面のうちの何れかを磁
   気記録媒体摺動面とすることで、アジマス方向が互いに
   逆方向である２種類の磁気ヘッドの何れかとすることを
   特徴とする磁気ヘッドの製造方法。
2. 【請求項２】 磁気コア半体の少なくとも何れか一方
   に、磁気ギャップのデプス方向において略々対称な一対
   の巻線溝を形成することを特徴とする請求項１記載の磁
   気ヘッドの製造方法。
3. 【請求項３】 磁気コア半体の少なくとも何れか一方が
   磁気ギャップ近傍に強磁性金属膜が成膜されてなること
   を特徴とする請求項１、又は、請求項２記載の磁気ヘッ
   ドの製造方法。
4. 【請求項４】 磁気コア半体ブロックの少なくとも何れ
   か一方に磁気ギャップのデプス方向において略々対称な
   巻線溝を形成し、これら一対の磁気コア半体ブロック同
   士をギャップ材を介して突き合わせて磁気ヘッドブロッ
   クとした後、 この磁気ヘッドブロックを磁気ギャップのアジマス角に
   応じて斜めに切断し、磁気ギャップのデプス方向におけ
   る両端面のうちの何れかを磁気記録媒体摺動面とするこ
   とで、アジマス方向が互いに逆方向である２種類の磁気
   ヘッドの何れかとすることを特徴とする磁気ヘッドの製
   造方法。
5. 【請求項５】 磁気コア半体ブロックの少なくとも何れ
   か一方に、磁気ギャップのデプス方向において略々対称
   な一対の巻線溝を形成することを特徴とする請求項４の
   磁気ヘッドの製造方法。
6. 【請求項６】 磁気コア半体ブロックの少なくとも一方
   が磁気ギャップ近傍に強磁性金属膜が成膜されてなるこ
   とを特徴とする請求項４、又は、請求項５記載の磁気ヘ
   ッドの製造方法。