JPH07324594A - トンネル内の連続ズリ排出用コンベア装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 トンネル掘削工事において切羽口２から出る
ズリを鉱口まで落砿をなくして連続搬出するコンベア装
置を提供する。 【構成】 先頭コンベア３及びこれに続く後続コンベア
は移動可能に且つ上下２段にスライド可能なフレーム内
に支持され、各コンベアは往路を上部が常時開放の断面
Ｕ字状に形成され、復路側は断面円形に形成されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、トンネル等の狭隘な
掘削工事において多量に排出されるズリをダンプカー等
の走行搬出手段によらずに、無公害、かつ、省力、省ス
ペースで連続搬出するコンベア装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】トンネル工事は他の土木工事と異なり、
作業面積が狭い上、出入口が１個所であって、図１，図
２に示すようにズリ排出用ダンプトラック１０の他にコ
ンクリート吹付車、ミキサー車、ショベルローダ等各種
の作業車１１が頻繁に往復する現場である。トンネルの
掘削施工には種々な工法が施工されているが、いずれの
工法も、掘削により生ずる膨大なズリをトンネルの外部
に搬出されなければならない。ズリ搬出の手段として、
レールを敷設したトロッコ、台車による搬出方式が採用
されて来たが、輸送能力、スペース等の難点があり、最
近は主としてダンプカー等のタイヤ工法によって行なわ
れている。このタイヤ工法は、トンネル内部の載荷現場
で折返す際には、ターンテーブル１２を用いるか又は特
殊な積載車を用いなければならない等、非能率である。
最近特にトンネルの大型化長距離化に伴い、工期の短
縮、運搬能力の増加、運搬合理化の要請が強いが、タイ
ヤ車輌の使用燃料による排気ガス、車輌走行による粉塵
発生等の環境汚染が激しいことからタイヤ工法は適切と
は言い難い。従来工法において、周知のコンベア手段は
連続輸送のため輸送能力が大きく、省力であり、かつ、
排気公害等のない合理的輸送手段として知られていたに
も拘らず、このコンベア工法は、部分的には用いられて
も、連続ズリ出し装置として用いられなかったのは次の
理由によるからである。通常のベルトコンベアは、直線
路輸送のみで、曲線路輸送は困難であって、そのために
頻繁な荷の積替えが必要となる。更に通常のベルトコン
ベアは、走行中のベルトの片寄り、蛇行現象を避けるた
め確固な基礎の上に装置を固定しなければならない。移
動又は可搬式の場合はベルトの伸びを吸収する簡易緊張
装置を備えた極めて短いコンベアに限られる。通常のベ
ルトコンベアはベルトの永久伸び（２〜３％）を吸収
し、調節するために、一般に大きなスペースを要する重
錘式緊張装置を設ける必要があり、狭隘なトンネル内で
の設置は困難である。更に通常コンベアは輸送中と荷の
積替え時の荷こぼれ及び帰りベルトに付着した荷の落砿
が大きく、積替えの頻度、運転時間及び輸送距離の増大
に比例して輸送効率の低下が著しく、ベルト通路に沿う
落砿の処理も困難である。トンネル内は狭隘な上に作業
用構築物、機械等の障害物が存在し、また、トンネル工
法においては掘削の進行に従って運搬距離も延長する必
要がある等構造上の適応が求められる他、経済的には工
事終了後のコンベア装置の撤去、移設、再利用等の条件
にも適応することを求められる等、諸条件に対応できな
いため、通常コンベアによるトンネル内連続ズリ出し工
法は困難とされて来た。

【０００３】

【解決しようとする問題点】本発明は、往路側のベルト
断面をＵ字状に形成し、復路側を円筒状に形成するコン
ベア複数台を重ね合わせ、連続的に輸送距離を調整する
スライド伸縮直線路コンベアと、前記Ｕ字状コンベアの
フレームを分割して３次元的に曲走するコンベア装置と
を組合せてトンネル内に配設して掘削切羽口からトンネ
ル出口まで掘進速度と搬送距離に合わせて連続搬出可能
にするものである。本発明はトンネル内の作業スペース
を広くできる他、コンベア輸送の難点とされる落砿を防
ぎ、輸送効率のよいコンベア装置を提供するものであ
る。本発明は従来のコンベア装置に不可欠であったベル
トの永久伸び吸収手段としての重錘垂下装置を不要とす
る長距離輸送コンベアを提供するものである。更に本発
明は、コンベアフレームを分割することにより、３次元
的フレキシブルな安定輸送を可能にするばかりでなく、
コンベア装置の移動及び分解搬送等を容易にし、移設、
転用及び再利用等を可能にした経済的コンベア装置を提
供するものである。

【０００４】

【解決するための手段】本発明において、コンベアベル
トは両端耳縁付のベルトであり、この耳はベルトの剛性
を保ち、コンベアの形状を維持し、安定した走行と落砿
防止の役割を果たす。該ベルトは支持フレーム内におい
て多数のローラ群によって上段往路は荷積側としてＵ字
状に支持されると共に下段を復路側として円筒状に形成
支持される。而して多段重ね式直線路コンベアは各々ス
クリューネジ式の簡単なベルト緊張装置を備えた１本の
フレームによりベルトを支持すると共に荷卸側（ヘッド
側）に排出シュートが設けられたほぼ同長のコンベアを
重ね、上段コンベアが積荷口の進行に伴ってスライド伸
長することにより、該コンベアの排出シュートにより積
荷は直下に位置する下段のコンベアのＵ字状ベルトに投
入され、更にこのコンベアの排出シュートより更に下方
のコンベアに投入されることにより、積荷口の進行に伴
ってコンベア輸送の距離が伸長又は調整できるようにさ
れている。この多段重ね式コンベアは、夫々全体がコロ
又は台車等により移動することができ、上下段コンベア
は夫々レール又はコロ等によりコンベアの長手方向に水
平に任意にスライド伸縮できる。また、３次元曲走路コ
ンベアは、前記と同様のコンベアベルトで、１本のベル
トが複数の分割フレームによって前記同様に支持される
と共に各フレーム間は、３次元的に屈曲可能な伸縮装置
付連結装置によって連結されている。本発明装置は、フ
レームを分割することにより、３次元の曲走を可能にす
るだけでなく、ベルトの永久伸びの吸収を確実にし、か
つ、個々のフレームは製作と運搬に便利なように長さ１
０ｍ前後の箱型に組立て、トラック等で運搬することが
できるようにされている。更に、使用前のコンベア装置
の全体の組立て又は使用後の分解作業は使用の現場付近
で実施でき、更に完成したコンベア装置の移動、運搬は
各フレームにコロ等を取付け或は台車等を用いて容易に
行なえるようにされている。

【０００５】

【実施例】図３，図４は二段式直線路用コンベア装置を
示すものであって、車輪等の移動手段２１と脱着交換自
在の脚柱２２を備えたフレーム２０Ａ，２０Ｂが上下に
重なる位置関係で設置されている。２３は積荷側、２４
はテールプーリー、２５は荷卸側、２６はヘッド側駆動
プーリー、２７は駆動モータ、２８は荷卸側端部に設け
られた排出シュートである。２０Ｃは多段式コンベア上
段２０Ｂに荷を投入する前方コンベアである。３０は両
耳縁付ベルトであって、図５に示すように両側端縁に耳
縁部３１，３２が設けられている。コンベア２０Ａ，２
０Ｂの各フレームは往路側３６と復路側３７に区分さ
れ、往路側においてはベルト断面がＵ字状に形成され、
復路側においてはベルト断面が円筒形に形成されて走行
する。３３，３４，３５はベルト形成用ローラである。
３８は下段フレームの上面に固設されている溝状のガイ
ド壁でベルトの常時開口即ちＵ字状を保持している。上
段コンベアにおいては連続全面開口は必要でなく、また
フレームの強度を増すために補強板３９の下面に取付け
たベルト耳保持用ガイドローラ３９ａによって保持する
のがよい。下段コンベアのガイド壁３８の内側にはコン
ベア２０Ｂの排出シュート２８の排出口２９が位置し、
該排出口はコンベア２０Ｂのスライド移動中もＵ字状ベ
ルト開口部内に位置している。図６の４０は積荷側のテ
ールプーリ２４に設けられたベルト緊張装置であって、
プーリ軸受４１を案内溝４２内に設けると共にスクリュ
ーネジ軸４３とナット４４によってテールプーリ２４の
位置調節を行なうものである。

【０００６】トンネル内において被搬送物である土砂又
はズリの発生現場が進行移動するに従って上方のコンベ
ア装置から順次前方に移動する。この場合、上方のコン
ベア装置における排出口２９は、下方のコンベア装置の
上段Ｕ状ベルトの開放部に沿って図３の矢印ＸＢの方向
に移動するからこの間の搬送に支障を来すことなく進行
できる。即ち、本装置において荷の乗継ぎ部はフレーム
の積荷側に限らず上段Ｕ状ベルトのどこの位置でも可能
である。掘削が進行して最後方のコンベアの後に新たな
コンベアを追加する場合は搬送を一時的に中止して最後
方のフレームをＸＡ矢印方向即ち進行方向に移動させて
新たなコンベア２０Ｎを連接する。追加に際してコンベ
アの地上高が必要な場合は短い傾斜コンベアを介装させ
る。このようにして必要台数の縦列連結が可能になる。
各コンベア装置においてベルトの復路側は図５の如くベ
ルトの被搬送物の接触面が内面とされて断面円形に形成
されると共に両側のいずれか一方の耳が円筒内面に強く
接するので、仮りに落砿の原因となる付着物があっても
荷積側に戻されるだけであるから、従来の如くフレーム
に沿って落砿するのを防ぐことができる。

【０００７】曲走路コンベア装置は図７乃至図１０に示
されている。コンベアベルトは直線路コンベアのものと
全く同様であるが、１本のベルト３０は複数の分割フレ
ームに支持されている。コンベアフレーム５０Ａ，５０
Ｂは夫々例えば５０Ｂ１，５０Ｂ２，・・・５０Ｂ４の
ように分割されているが各フレーム内の構成は直線路コ
ンベアの構成と同一である。各フレームの端部にはユニ
バーサルジョイント又はポールジョイントの如く３次元
的に屈曲できる連結装置５２がスクリューネジ軸５３と
共に設けられナット５５によって間隔を調節できるよう
に設けられている。図７，図８において彎曲度又は屈曲
率を大きくするには各フレームの長さを短くして連結数
を多くすればよい。また、フレーム間の間隔を調節する
ことによってベルトの伸びを吸収できるからこのコンベ
ア装置においては専用のベルト伸長補正装置即ち吸収装
置を設ける必要がない上、専用のベルト伸び吸収装置よ
り大きな調節範囲が期待できる。

【０００８】図１１は本発明コンベア装置を使用した場
合のトンネル内の平面図であって、トンネル１内の切羽
口２において発生する泥状又は塊状のズリをショベルロ
ーダ、バックホウなどの作業車によって先頭コンベア３
の積荷側のスクリーン４上に投入するスクリーンメッシ
ュを通過したズリはコンベアによって搬送され、通過し
なかった塊状物５は側壁側に落下する。トンネル内の床
面コンクリート打設部７までダンプトラックを往復させ
て塊状物５を搬出する。６は段差部である。またトンネ
ル内に防水施工及び壁吹付用等のスライドセントルがあ
る場合は、図８のごとく曲走コンベア装置によってこれ
を回避させるか又は一連のセントルに曲走コンベア装置
を取付固定させて同時にスライドすることができるから
トンネル施工に悪影響を与えずにズリの連続排出が可能
である。

【０００９】

【効果】本発明によれば直線路コンベア装置の尺取り移
動によって常に切羽口近傍に先頭コンベアを設置してお
くことが可能であって、切羽口までズリ搬出用ダンプ等
を往復させる必要がなくなるから作業能率が向上し、作
業面積が広くなると共に排気ガスの発生量の減少と相俟
って、省力、省エネルギーに効果をもたらすと共に、ト
ンネル工法全体を合理化できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】工事中のトンネル断面図。

【図２】同上平面図。

【図３】伸縮スライド式直線部コンベア装置の側面図。

【図４】同上平面図。

【図５】フレーム重なり部の拡大断面図。

【図６】積荷乗継部の部分側面図。

【図７】３次元曲走コンベア装置の側面図。

【図８】同上平面図。

【図９】コンベアフレーム連結部の側面図。

【図１０】同上平面図。

【図１１】本発明装置によるズリ排出方法の実施例を示
す平面図。

【符号の説明】

２０ フレーム ２１ コロ ２３ 積荷側 ２５ 荷卸側 ２８ 排出シュート ３０ 両耳縁付ベルト ３１，３２ 耳縁 ３３，３４，３５ ベルト形成用ローラ ３６ 往路 ３７ 復路 ３８ ベルトガイド壁 ３９ ガイドローラ付補強板 ４０ ベルト緊張装置 ５０ 分割フレーム ５２ 屈曲連結装置

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 レール又はコロ等によって長手方向に移
   動可能に構成されたコンベアフレーム内に両耳縁付コン
   ベアベルトの往路が上面全面荷積可能にＵ字状に開放形
   成されて上段に支持され、復路側がベルト断面を円筒形
   に形成されて、下段に支持されると共にコンベアフレー
   ムの荷卸側には排出シュートが設けられたコンベアが上
   下に重ねられ、上段のコンベアの積荷は前記排出シュー
   トより下段のコンベアのＵ字状開放往路に投入され、上
   下各コンベアの尺取り移動によってコンベアの総体輸送
   距離を調整可能としたことを特徴とする直線路ベルトコ
   ンベア装置。
2. 【請求項２】 １本のコンベアベルトを支持するフレー
   ムが複数に区分されると共に各フレーム間が３次元的に
   屈曲可能な伸縮装置付連結手段によって連結され、前記
   複数フレームのうちの荷受側フレームの端部にはベルト
   緊張装置が設けられ、荷卸側フレームには排出シュート
   が設けられてなるコンベアフレーム内にレール又はコロ
   等によって長手方向に移動可能に構成されたコンベアフ
   レーム内に両耳縁付コンベアベルトの往路が上面全面荷
   積可能にＵ字状に開放形成されて上段に支持され、復路
   側がベルト断面を円筒形に形成されて、下段に支持され
   ると共に前記各コンベアフレームは移動式コロに取付又
   は台車に乗せられて移動可能にされた３次元曲走ベルト
   コンベア装置。
3. 【請求項３】 請求項１記載の直線路ベルトコンベア装
   置と請求項２記載の３次元曲走ベルトコンベア装置がト
   ンネル内において適宜連接されてなるトンネル内連続ズ
   リ排出用コンベア装置。