JPH07324492A - 鉄骨柱の組立方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 大重量の柱部材と仕口部材との位置合わせ作
業を高精度に行えるようにする。 【構成】 水平に対して４５度をなす２つの傾斜面がＶ
型のＶ型架台４と、水平に対して４５度をなす２つの傾
斜面Ａ，Ｂが逆Ｖ型の逆Ｖ型架台５とを設け、Ｖ型の仮
想谷線の方向にＶ型架台を水平移動可能に床上に設置す
るとともに、Ｖ型架台の移動経路上に逆Ｖ型の仮想稜線
の方向に水平移動可能に逆Ｖ型架台を床上に設置する。
逆Ｖ型架台は水平移動台車部分に対して水平移動方向と
直交する平面内で２つの傾斜面を２次元に位置調整可能
に構成しておく。柱部材１をＶ型架台の傾斜面上に載置
して位置決めし、仕口部材２を２本の梁仕口鋼材２ｂが
逆Ｖ型架台の傾斜面上に当接するように載置し、移動機
構により柱部材と仕口部材とを中心軸方向に移動させて
突き合せ、逆Ｖ型架台に付設した位置調整機構により仕
口部材を変位させて、柱仕口鋼材２ａの中心軸を柱部材
の中心軸に一致させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は鉄骨柱の組立方法に関
し、特に、柱部材と、柱仕口鋼材の外周に梁仕口鋼材を
固着した梁仕口部材とを溶接により継ぎ合せる際の位置
決め方法の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の代表的な鉄骨柱の組立方法の概要
を図１に示している。この例は、所定長さの角型鋼管か
らなる柱部材１と、短い角型鋼管からなる柱仕口鋼材２
ａの４面の外周に４本の梁仕口鋼材２ｂを十字型をなす
ように固着してなる仕口部材２とを継ぎ足す場合であ
る。Ｈ型鋼で組んだ作業台３の所定部分に仕口部材２を
載置するが、そのとき作業台３の長手方向の大引き３ａ
間に柱仕口鋼材２ａの両側の梁仕口鋼材２ｂを掛け渡す
ように設置する。また、柱部材１は作業台３の根太３ｂ
上に掛け渡すように載置する。

【０００３】作業台３の所定部分には位置基準線が設定
してあり、クレーンやチェーンブロックにより吊り下げ
た仕口部材２および柱部材１を作業台３の上に載置する
際に、それらの位置基準部分を作業台３の基準線にほぼ
合わせるように置く。さらに、柱部材１または仕口部材
２の一方または両方の位置をチェーンブロックやジャッ
キなどによって水平方向に押したり、引き寄せることに
よって、それらの微妙な位置調整を行い、仕口部材２の
柱仕口鋼材２ａの中心軸と柱部材１の中心軸とを一致さ
せ、かつ両者を突き合せる。その状態で両者を溶接して
継ぎ合わせる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】チェーンブロックやジ
ャッキ等で柱部材１や仕口部材２を水平方向に押し引き
しながら、作業台３上での位置調整を手動で行って、両
者の位置を正確に合わせる位置決め作業は非常に面倒で
あり、労力および時間がかかるという問題があった。し
かも面倒な手動調整では、高精度な位置決めを行うのは
困難であった。また、梁仕口鋼材２ｂが長いと、作業台
３上に載せた仕口部材２の下向きの梁仕口鋼材２ｂが床
に干渉しないように、工場の床にピットと呼ぶ凹溝を設
けておき、そこに作業台３を設置しなければならない。
このような工場の設備はコストがかかる。ピットを設け
るのに代えて作業台３を高くする対策も考えられるが、
その場合は作業台３が高すぎて人により作業がやりにく
くなる。

【０００５】この発明は前述した従来の問題点に鑑みな
されたもので、その目的は、大重量の柱部材と仕口部材
との位置合わせ作業を簡単で高精度に行えるようにした
鉄骨柱の組立方法を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この発明の組立方法は、
柱仕口鋼材の外周に少なくとも２本の直交した梁仕口鋼
材を固着してなる仕口部材と、鋼材からなる柱部材とを
用意し、前記仕口部材の前記柱仕口鋼材の端部と前記柱
部材の端部とを両者の中心軸を揃えて突き合せて溶接す
るに際し、つぎのような構成と方法で前記仕口部材と柱
部材を位置決めするものである。

【０００７】まず、水平に対して４５度をなす２つの傾
斜面がＶ型の谷状に組み合わされたＶ型架台と、水平に
対して４５度をなす２つの傾斜面が逆Ｖ型に組み合わさ
れた逆Ｖ型架台とを設け、前記Ｖ型架台をその谷線の方
向に水平移動可能に床上に設置するとともに、前記Ｖ型
架台の移動経路上において前記逆Ｖ型架台をその稜線の
方向に水平移動可能に床上に設置し、かつ前記逆Ｖ型架
台はその水平移動台車部分に対してその水平移動方向と
直交する平面内で前記２つの傾斜面を２次元に位置調整
可能に構成しておく。

【０００８】そして、前記柱部材を前記Ｖ型架台の前記
２つの傾斜面上に載置して位置決めするとともに、前記
仕口部材を前記２本の梁仕口鋼材が前記逆Ｖ型架台の前
記２つの傾斜面上に当接するように載置して位置決め
し、前記移動機構により前記柱部材と前記仕口部材とを
中心軸方向に移動させて突き合せ、かつ前記逆Ｖ型架台
に付設した前記位置調整機構により前記仕口部材を変位
させて、前記柱仕口鋼材の中心軸を前記柱部材の中心軸
に一致させて位置決めする。

【０００９】

【作用】前記柱部材を前記Ｖ型架台の前記２つの傾斜面
上に載置すると、重力がＶ型の谷底方向に働いているの
で、機械工作の分野で広く使用されているＶブロックと
同じ自動調心作用が働き、柱部材の中心軸はＶ型架台の
谷線の真上に所定間隔をおいた位置に正確に位置決めさ
れる。同様に、前記仕口部材を前記２本の梁仕口鋼材が
前記逆Ｖ型架台の前記２つの傾斜面上に当接するように
載置すると、逆Ｖ型の自動調心作用により逆Ｖ型の稜線
の真上に所定間隔をおいた位置に柱仕口鋼材の中心軸が
正確に位置決めされる。前記移動機構により柱部材と仕
口部材の一方を中心軸方向に変位させることで、中心軸
方向の位置決めが行え、前記逆Ｖ型架台に付設した前記
位置調整機構により前記仕口部材を変位させることで、
両者の中心軸を一致させることができる。

【００１０】

【実施例】この発明の一実施例による鉄骨柱の組立方法
の概要を図２、図３、図４に示している。この例は、図
１の従来例と同様に、所定長さの角型鋼管からなる柱部
材１と、短い角型鋼管からなる柱仕口鋼材２ａの４面の
外周に４本の梁仕口鋼材２ｂを十字型をなすように固着
してなる仕口部材２とを継ぎ足す場合である。柱部材１
はＶ型架台４に載置され、仕口部材２は逆Ｖ型架台５に
載置され、両者の位置決め突き合せ作業が行われる。Ｖ
型架台４と逆Ｖ型架台５とは別体に構成されており、工
場の床に敷設されたレール６に沿って同じ経路上を矢印
ｃで示すようにそれぞれ移動可能になっている。

【００１１】Ｖ型架台４は、図３に示すように、移動台
車４１上にＨ型鋼でＭ型に組み立てた２つの支持桟４２
を適宜間隔をおいて配設したものである。このＭ型支持
桟４２においては、水平に対して４５度をなす２つの傾
斜面４２ａと４２ｂがＶ型の谷状に組み合わされてい
る。２つの支持桟４２のＶ型の仮想谷線は一直線上に並
んでおり、移動台車４１の移動方向（矢印ｃ）はこの仮
想谷線と平行な関係になっている。２つの支持桟４２間
に掛け渡すように柱部材１を載置すると、Ｖ型の傾斜面
４２ａと４２ｂとに柱部材１の２面が当接し、Ｖブロッ
クと同じ自動調心作用により、柱部材１の中心軸はＶ型
の仮想谷線の真上に所定間隔をおいた位置に正確に位置
決めされる。

【００１２】逆Ｖ型架台５においては、図４に示すよう
に、移動台車５１上にＨ型鋼でＭ型に組み立てた２つの
ガイド桟５２を適宜間隔をおいて配設されている。この
Ｍ型ガイド桟５２においては、水平に対して４５度をな
す２つの傾斜面５２ａと５２ｂがＶ型の谷状に組み合わ
されている。２つのガイド桟５２のＶ型の仮想谷線は一
直線上に並んでおり、移動台車５１の移動方向（矢印
ｃ）はこのＶ型の仮想谷線と平行な関係になっている。

【００１３】２つのガイド桟５２に掛け渡すように２つ
の支持桟５３ａと５３ｂが配設されている。支持桟５３
ａは傾斜面５２ａに沿って矢印ａ方向に移動するように
ジャッキ５４ａを介して台車５１に取り付けられてい
る。支持桟５３ｂは傾斜面５２ｂに沿って矢印ｂ方向に
移動するようにジャッキ５４ｂを介して台車５１に取り
付けられている。

【００１４】支持桟５３ａの傾斜面５２ａに接する面の
直交面Ａと支持桟５３ｂの傾斜面５２ｂに接する面の直
交面Ｂとが、水平に対して４５度をなして逆Ｖ型に組み
合わされた２つの傾斜面Ａと傾斜面Ｂを形成している。
ジャッキ５４ａと５４ｂの全長を等しく制御すると、傾
斜面ＡとＢとがなす逆Ｖ型の仮想稜線の水平面への投影
直線が、前記傾斜面５２ａと５２ｂとがなすＶ型の仮想
谷線の水平面への投影直線と同一直線上に並ぶ関係にな
っている。

【００１５】図４に示すように、仕口部材２の直交する
２つの梁仕口鋼材２ｂで逆Ｖ型架台５の支持桟５３ａと
５３ｂとを跨ぐような状態で、仕口部材２を逆Ｖ型架台
５の上に載置する。そうすると、仕口部材２の直交する
２つの梁仕口鋼材２ｂの側面が逆Ｖ型をなす２つの傾斜
面ＡとＢとにそれぞれ当接し、逆Ｖ型の自動調心作用に
より逆Ｖ型の仮想稜線の真上に所定間隔をおいた位置に
柱仕口鋼材２ａの中心軸が正確に位置決めされる。柱仕
口鋼材２ａの中心軸の高さは、２つのジャッキ５４ａと
５４ｂとを等しい量だけ伸縮することで精密に調整する
ことができる。また、仕口部材２の中心軸の位置を若干
補正する必要が生じた場合には、図７にその原理を示す
ように、例えば一方のジャッキ５４ａをαだけ伸長さ
せ、また他方のジャッキ５４ｂをαだけ収縮させること
で、水平方向Ｘに２^1/2 ・αの変位を与えることもで
き、きわめて精度の高い位置調整を行うことができる。
この調整で柱仕口鋼材２ａの中心軸と柱部材１の中心軸
とを同一直線上に並べることができる。そして、レール
６に沿って両部材の一方を矢印ｃ方向に変位させれば、
柱仕口鋼材２ａと柱部材１とを突き合せることができ
る。殊にこの柱仕口鋼材２ａと柱部材１との突き合わせ
に際しては、本実施例の架台４，５によって両者の中心
軸を精度高く位置合わせすることができるために、これ
ら柱仕口鋼材２ａと柱部材１とは、殊更両者をできる限
り近づける必要はなく、互いに所要の間隔を保って突き
合わせることも可能であり、したがって設計寸度に合致
させた配置状態でこれら柱仕口鋼材２ａと柱部材１とを
接合することができて、きわめて高精度な組立を実施す
ることができる。その状態で両者を溶接する。

【００１６】図５は逆Ｖ型架台５の他の実施例を示して
いる。ここでは逆Ｖ型をなす２つの傾斜面ＡとＢを有す
る山形の支持台５５があり、この支持台５５がジャッキ
５６により垂直方向に変位可能になっているとともに、
スライド台５７とジャッキ５８を介して水平方向（図２
の矢印ｃ方向と直交方向）に変位可能になっている。支
持台５５上に載置された仕口部材２は傾斜面ＡとＢによ
る自動調心作用で位置決めされるが、これと柱部材１と
の微細な位置合わせをジャッキ５６と５８で簡単に行う
ことができる。

【００１７】なお、図６（ａ）のように梁仕口鋼材２ｂ
が３本しかない側柱用の仕口部材２や、図６（ｂ）のよ
うに梁仕口鋼材２ｂが２本しかない側柱用の仕口部材２
にもこの発明の方法を適用することができるのは、その
原理からして当然である。また柱部材１は角型鋼管であ
る必要はなく、図６（ｃ）〜（ｆ）に示すようなＨ型鋼
タイプや丸鋼管であっても良い。

【００１８】

【発明の効果】この発明では、従来の位置決め方法と比
較すると、仕口部材および柱部材を水平軸を中心に４５
度回転させた姿勢で両者の位置決めを行う点がまず相違
する。また、作業台は柱部材用のＶ型架台と仕口部材用
の逆Ｖ型架台とからなり、Ｖ型および逆Ｖ型の自動調心
作用を利用して、単に架台上に部材を載せるだけで重力
の作用で自動的に部材の中心軸が架台上にて位置決めさ
れる。そして、両架台は前記部材の中心軸方向に移動可
能になっているとともに、逆Ｖ型架台はその水平移動台
車部分に対してその水平移動方向と直交する平面内で前
記２つの傾斜面を２次元に位置調整可能に構成してある
ので、これらの変位機構で仕口部材の柱仕口鋼材の中心
軸と柱部材の中心軸とを一致させて両者を突き合せる作
業を極めて簡単に短時間で行うことができる。しかも位
置決め精度も従来より高精度になる。さらに、仕口部材
を水平軸を中心に４５度回転させた姿勢で位置決めを行
うので、柱仕口鋼材の中心軸から下方への突出寸法が従
来より小さくなり、したがって工場の床にピットを設け
る必要がなくなる。さらに鋼管が角型の場合は、その４
面への付帯物の取り付け作業がやりやすくなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来の組立方法の概要を示す斜視図である。

【図２】この発明の一実施例による組立方法の概要を示
す図である。

【図３】同上実施例におけるＶ型架台の正面図である。

【図４】同上実施例における逆Ｖ型架台の正面図であ
る。

【図５】逆Ｖ型架台の他の実施例の正面図である。

【図６】この発明が適用される仕口部材および柱部材の
さまざまな形態例を示す概略図である。

【図７】逆Ｖ型架台による水平方向の位置調整状態を示
す正面図である。

【符号の説明】

１ 柱部材 ２ 仕口部材 ２ａ 柱仕口鋼材 ２ｂ 梁仕口鋼材 ４ Ｖ型架台 ４２ａ、４２ｂ 傾斜面 ５ 逆Ｖ型架台 Ａ、Ｂ 傾斜面

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大塚 英郎 東京都千代田区神田司町２丁目３番地 株 式会社大林組東京本社内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 柱仕口鋼材の外周に少なくとも２本の直
   交した梁仕口鋼材を固着してなる仕口部材と、鋼材から
   なる柱部材とを用意し、前記仕口部材の前記柱仕口鋼材
   の端部と前記柱部材の端部とを両者の中心軸を揃えて突
   き合せて溶接するに際し、前記仕口部材と柱部材を位置
   決めする方法であって、 水平に対して４５度をなす２つの傾斜面がＶ型の谷状に
   組み合わされたＶ型架台と、水平に対して４５度をなす
   ２つの傾斜面が逆Ｖ型に組み合わされた逆Ｖ型架台とを
   設け、前記Ｖ型架台をその谷線の方向に水平移動可能に
   床上に設置するとともに、前記Ｖ型架台の移動経路上に
   おいて前記逆Ｖ型架台をその稜線の方向に水平移動可能
   に床上に設置し、かつ前記逆Ｖ型架台はその水平移動台
   車部分に対してその水平移動方向と直交する平面内で前
   記２つの傾斜面を２次元に位置調整可能に構成し、 前記柱部材を前記Ｖ型架台の前記２つの傾斜面上に載置
   して位置決めするとともに、前記仕口部材を前記２本の
   梁仕口鋼材が前記逆Ｖ型架台の前記２つの傾斜面上に当
   接するように載置して位置決めし、前記移動機構により
   前記柱部材と前記仕口部材とを中心軸方向に移動させて
   突き合せ、かつ前記逆Ｖ型架台に付設した前記位置調整
   機構により前記仕口部材を変位させて、前記柱仕口鋼材
   の中心軸を前記柱部材の中心軸に一致させて位置決めす
   ることを特徴とする鉄骨柱の組立方法。