JPH07324245A - 嵩高ループヤーンおよびその製造方法 - Google Patents

嵩高ループヤーンおよびその製造方法

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JPH07324245A
JPH07324245A JP6140896A JP14089694A JPH07324245A JP H07324245 A JPH07324245 A JP H07324245A JP 6140896 A JP6140896 A JP 6140896A JP 14089694 A JP14089694 A JP 14089694A JP H07324245 A JPH07324245 A JP H07324245A
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yarn
loop
nozzle
filament
loops
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JP6140896A
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English (en)
Inventor
Akihiro Maekawa
明弘 前川
Hisao Inuyama
久夫 犬山
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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  • Yarns And Mechanical Finishing Of Yarns Or Ropes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スパンライクな外観、ピーチタッチ感付与に
寄与できる均一かつ十分なループを有しており、さら
に、フィラメント相互の交絡性が高いため製織時の張力
に対しても形態堅牢性の高い、高次通過性の良い嵩高ル
ープヤーンと、該ループヤーンを安定して製造できる方
法を提供する。 【構成】 マルチフィラメント糸からなるループヤーン
であって、糸表面より0.50mm以上1.00mm以
下突出したループ数が100個/m以上であり、かつ編
込み状交絡の数が50個/m以上である嵩高ループヤー
ン、およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スパンライクな外観を
有し、高次通過性に優れた嵩高ループヤーンおよびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、スパンライクな外観を有するフィ
ラメント糸として、マルチフィラメント糸条に流体噴射
処理を施したループヤーン、いわゆるタスラン糸が、広
く知られており、その加工方法もタスラン加工として広
く用いられている。
【0003】しかしながら、近年コストダウンに対する
要求が強まっており、そのため製織の高速化に対応でき
るループヤーンが要望されるようになった。ところが、
特にタスラン糸にあっては、ループの粗大化による糸解
舒の不良や、ネップ(結び目状欠点)の発生およびルー
プの形態堅牢性の低下などの問題が発生する。従来は、
このような問題に対処するために流体噴射処理時に糸条
への湿潤処理を施すのがその有効な解決手段とされてお
り、例えば、特公昭36−13120号公報や特開昭5
6−68130号公報などに記載された方法が提案され
ている。
【0004】しかし、これらの湿潤処理の場合には、糸
条に付着された油剤が脱落しやすく、同時にオリゴマー
やポリマー屑等も脱落することになる。これら脱落物が
流体噴射処理を行うノズルの糸条通路内や、その出入口
に付着して噴射流体の流れを阻害したり、糸条走行の抵
抗となって、糸条に形成させるループや交絡の形成効果
を低下させるなどの欠点を有している。
【0005】さらに近年こういった問題を解決すべく、
糸条に仮ヨリ加工を施し、ケン縮やトルクを付与するこ
とで開繊性を向上させた後、流体処理を施すことで微細
ループヤーンを得る方法として、例えば特開昭63−3
15632号公報や特開平5−311528号公報が提
案されている。
【0006】しかしながら、本発明者が追試を行ったと
ころ、これらの方法によって得られるループヤーンは、
形成されるループサイズが微小すぎるため、織物とした
ときにループヤーンの特徴であるピーチタッチ感が不足
したものとなり、さらに、仮ヨリ加工で付与されたケン
縮を有しているため、ふかつき感の強い加工糸織物様の
物しか得られなかった。さらに、単糸条流体処理加工を
した場合、ケン縮、トルクを有したフィラメントでは通
常の交絡糸状になってしまい、ループが十分形成できな
いという大きな問題を有していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る問題を解消し、スパンライク外観、ピーチタッチ感付
与に寄与できる均一かつ十分なループを有しており、さ
らに、フィラメント相互の交絡性が高いため製織時の張
力に対しても形態堅牢性の高い、すなわち高次通過性の
良い嵩高ループヤーンと、該ループヤーンを安定して製
造できる方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課
題を解決するために、鋭意検討した結果、糸条断面に部
分変形を付与した糸条を流体噴射ノズルに供すること
で、糸条表面に形態堅牢性と均一性に優れた多数のルー
プを形成できること、さらに、交絡性が向上することを
見出だして本発明に到達した。
【0009】すなわち、本発明の嵩高ループヤーンは、
マルチフィラメント糸からなるループヤーンであって、
糸表面より0.50mm以上1.00mm以下突出した
ループ数が100個/m以上であり、かつ編込み状交絡
の数が50個/m以上であることを特徴とするものから
なる。
【0010】ここで、ループヤーンを構成するすべての
フィラメントが非ケン縮で、かつトルクヨリ数が10T
/m以下であることが好ましい。
【0011】また、本発明の嵩高ループヤーンの製造方
法は、マルチフィラメント糸にそのガラス転移点以下の
温度で捩じり変形を付与した後、流体噴射ノズルに供す
ることを特徴とする方法からなる。
【0012】この本発明方法においては、上記流体噴射
ノズルが交絡ノズルであることが好ましい。また、多糸
条を同時に流体処理ノズルに供給する場合には、複数の
マルチフィラメントを流体加工するに際し、芯糸に対し
て、鞘糸に少なくとも10%以上のオーバーフィード率
差を与えながら、捩じり変形装置に供給することが好ま
しい。
【0013】本発明において最も重要なことは、嵩高
感、スパンライク感、ピーチタッチ感に必要なサイズの
ループを通常のタスラン糸並に有しながら、タスラン糸
にはほとんど観られない強固に交絡した部分を数多く有
していることである。
【0014】すなわち、一般的にループサイズはある範
囲に分布しているが、本発明も同様にそのループサイズ
は、0〜数mmにわたり分布している。これまでの発明
者らの検討の結果、そのループサイズが風合い、高次通
過性に与える影響として次のようなことがわかった。
0.50mm以下の微小なループの場合は、スパン感は
得られるがタスラン糸の特徴であるピーチタッチ感に乏
しく、その風合いは仮撚ケン縮加工糸ライクなものであ
る。このような微小なループは、仮撚ケン縮加工糸のケ
ン縮クリンプのサイズと近似しており、当然その触感も
似たものとなる。さらに、一旦ケン縮加工を施した糸条
を流体噴射加工したものは、風合いに寄与するであろう
表面に突出したループサイズが小さいことに加え、比較
的収束した部分もケン縮を有しているため、布帛にした
ときには過度のふくらみから、ふかつき感を呈し、布帛
全体としてケン縮加工糸ライクな物になるだけである。
また、1.00mm以上の粗大ループは糸条を経糸とし
て供した場合、ループ相互の絡みから製織の際の開口不
良の原因となったり、織機の綜絖、筬の通過性も悪化さ
せたりする。また、大きすぎるループは、単糸剛性の関
係から布帛表面上に直立しておらず、嵩高感やピーチタ
ッチ感には寄与しにくく、生糸感が強調されてしまう。
したがって、風合いと高次通過性の両方を満足する適性
ループサイズとして0.50mm以上1.00mm以下
であることが好ましい。本発明のループヤーンは、適性
ループサイズ、つまり0.50mm以上1.00mm以
下のループを通常のタスラン糸と同じくらい十分に、す
なわち100個/m以上有している。
【0015】一般的に交絡と言うと、フィラメントを構
成する単糸相互がある程度の自由度を持って部分的に絡
まった状態を指す。いわゆるタスラン糸の連続交絡も同
様で、絡み合ったそれぞれの単糸はある程度の自由度を
有している。本発明でいう編込み状交絡とは、フィラメ
ント単糸相互が交錯し合い、組紐の様な形態を持ったも
ので、その絡まった状態が強固に固定されているため、
外力に対して交絡部での単糸の自由度がほとんどない、
つまり単糸がズレないような交絡のことをいう。本発明
の嵩高ループヤーンでは、このような編込み状交絡が多
数あることで、つまり、50個/m以上あることで、粗
大ループ相互の絡まりや絡まりによるループの引き出し
を防止し、よって良好な高次通過性を得ることが可能で
あるとともに、編込み状交絡部は、あたかも撚糸された
ような形態を有しているため、通常のタスラン糸や交絡
糸に比べハリ、コシのあるドライな風合いを備えてい
る。
【0016】また、本発明のループヤーンの製造におい
て重要なことは、単糸の曲げ剛性を小さくすることと、
流体噴射処理時の単糸相互の開繊性をよくすることであ
る。ループ形成の過程では、流体の作用により単糸に様
々な方向から力が加わり、その力と単糸剛性のバランス
から、仮のループが生成する。その状態で絡まり固定さ
れたものが、最終的なループとして残る。ループサイズ
はこの生成過程で決定される。すなわち単糸剛性が高け
ればループを形成しにくく、できたループのサイズも大
きなものとなる。反対に単糸剛性が小さければループを
形成しやすく、ループサイズも小さくなる。
【0017】本発明では、ループヤーンを構成するフィ
ラメント糸のガラス転移点以下の温度で捩じり変形を付
与することで、単糸断面に圧痕に似た部分変形を付与
し、局部的に曲げ剛性の小さな部分をつくり、ループを
生成しやすくすることが好ましい。また、この変形部で
の微小な屈曲により単糸相互間に空間が形成され、その
空間に噴射流体が流れ込むことにより開繊性が向上し、
さらに微小屈曲により単糸間の接触面積が小さくなるこ
とで単糸が糸長方向にずれやすくなる。これらの作用の
相乗効果が均一なループ形成を助長していると考えられ
る。
【0018】また、捩じり変形に際しては、ループヤー
ンを構成するフィラメントに、特にガラス転移点以下の
温度で上記変形を付与することは特に重要である。それ
以上の温度で変形を施すと、変形が熱固定されてしま
い、得られる糸条は通常の仮ヨリケン縮糸となる。仮ヨ
リケン縮糸のように、単糸が3次元に屈曲し嵩高となっ
たものは、その立体構造に伴う障害のために、ループ形
成上重要である単糸の糸長方向のずれが生じにくい。こ
のことは特に単糸条流体加工のときに顕著であり、いわ
ゆる単糸条タスラン加工を施してもループをほとんど形
成し得ず、通常の交絡糸になってしまう。さらにガラス
転移点以上の温度で捩じり加工したケン縮加工糸の交絡
の場合、開繊部と交絡部との嵩高性の差異が大きく、か
つ周期性を有しているために、織物とした時に比較的収
束した交絡部と嵩高性を持った開繊部との視覚的な差異
が強調されて、干渉縞調ムラとなり好ましくない。ガラ
ス転移点以下の温度で捩じり加工したフィラメントは、
部分的な変形は有しているが、ヨリ変形は固定されてお
らず嵩高性は通常のケン縮糸に比べ高くないために、こ
ういった干渉縞調のムラは見えにくい。このように、本
発明方法においては、変形加工を施す際は、その形態を
強固に固定しないようにフィラメントのガラス転移点以
下の温度であることは必須の要件となる。
【0019】本発明方法で製造したループヤーンは、通
常のタスラン糸に比べて交絡が強固で、その数も多い。
単糸断面に部分変形を与えることは同時に交絡部の拘束
を強固にする働きがある。すなわち、交絡の拘束を解く
ような外力が加わった時でも、変形部が引っ掛かりとな
ってそれを防いでいるのである。したがって、織物の経
糸に用いる場合は、製織性を向上させるために、さらに
交絡数を増やすことが好ましく、そのためには流体噴射
ノズルに交絡ノズルを使用することが好ましい。ここで
いう、流体噴射ノズルとは、圧縮気体を少なくとも1つ
以上の噴射孔から噴射するノズルであればよく、気体の
種類やノズルの形状、材質など特に限定するものではな
い。また、交絡ノズルとは、通常主に間欠交絡を付与す
るために用いられるノズルのことで、ここでは、図1に
示すように、流体噴射ノズルNの糸条通路Aの中心線
と、流体噴射孔Yの中心線のなす角度θが70度以上1
10度以内であるノズルのことをいう。
【0020】多糸条を同時に流体処理ノズルに供給する
場合、それらにフィード差がある時は糸条相互の干渉に
より鞘糸のオーバーフィード率が限定される。この干渉
を最小限に抑えるために、個々の糸条のノズルへの供給
角度を調節することが有効であることは広く知られてい
る。本発明で、複数の糸条を同時に加工する場合、芯糸
に対して鞘糸に少なくとも10%のオーバーフィード率
差を与えながら捩じり変形部に供給することで、その後
の流体処理ノズル入り口での糸条走行が安定し、その結
果、芯糸鞘糸間により大きな糸長差を与えられることが
わかった。捩じり変形部で与えられた糸長差は鞘糸が芯
糸の巻き付くことによって吸収され、捩じり変形部を出
て、巻付構造が緩和された後も、糸長差を持った鞘糸が
芯糸の周りを反転を伴いながら緩やかに巻き付いてい
る。このため、高糸長差をもった糸条でも芯糸に運ばれ
るような形で、ノズルに到達できることが、安定加工に
寄与していると考えられる。
【0021】なお、本発明に用いるマルチフィラメント
としては、ポリエステル、ポリアミドなどの合繊繊維、
レーヨンなどの再生繊維、あるいは絹などの天然繊維な
ど材質は特に限定せず、マルチフィラメント状繊維であ
れば良い。ガラス転移点がない材料の場合は捩じり変形
での形態が強固に固定されないような温湿度条件を適宜
とればよい。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれにより限定されるものではない。な
お、実施例における糸特性は次の方法により求めたもの
である。
【0023】(1)ループ数 走行中の糸のループ数や毛羽数をを計測する光電型毛羽
測定器(TORAYFRAY COUNTER)を用
い、糸速度50m/分、走行張力0.1g/dの条件で
測定し、糸表面から0.50mm以上突出したループ個
数/mをA、同様に糸表面から1.00mm以上突出し
たループ個数/mをBとして、0.50mm以上1.0
0mm以下突出したループ個数/m(B−A)を計算で
求めた。
【0024】(2)編込み状交絡部数 20cmの長さにサンプリングした試料糸を、図6に示
したように実体顕微鏡で50倍に拡大し目視でカウント
し、1mあたりに換算して求めた。なお、参考のために
通常のタスラン糸の顕微鏡写真を図7の(A)、
(B)、(C)、(D)に示す。
【0025】(3)トルクヨリ数 図5に示すように、1mの長さにサンプリングした試料
糸Sの両端(糸端:E1,E2)を横方向に固定し、加
工糸の中央に0.5mg/dの荷重Wを吊した状態で徐
々に両端を近づけ、完全に両端が一致した時にヨリ合っ
た数を50cmあたりのトルクヨリ数として測定し、1
mあたりの換算して求めた。
【0026】次に実施例と比較例をもって説明する。表
1はこれらをまとめたものである。
【0027】実施例1 供給糸条としてナイロン6マルチフィラメント糸140
D−136f(M)を用い、図2に示した装置を用い
て、供給ローラー(FR1)、捩じり加工装置(摩擦式
ヨリ掛け装置)(T)、供給ローラー(FR2)、流体
噴射ノズル(N)、デリベリローラー(DR)を通し、
巻取り張力TWにて巻き取った。このとき、デリベリロ
ーラー速度300m/分、供給糸条をオーバーフィード
率−3%のもとで3000T/mの捩じり加工をした
後、オーバーフィード率10%で流体噴射ノズルに供し
た。流体噴射ノズルは、流体噴射孔角度が60度のもの
を用いて500kPaの圧縮空気を供給し流体処理を施
しループヤーンを得た後、巻取張力0.05g/Dで巻
取った。得られたループヤーンのループ数、編込み状交
絡部数は表1に示す通りで十分なループを有し、かつ通
常のタスラン糸より交絡の多いものであった。次に経糸
にナイロン6フィラメント糸50D−18f、ここで得
られた糸を緯糸に、経密度96本/2.54cm、緯密
度68本/2.54cmで製織した後、ナイロンの通常
の染色を行った。得られた織物は、交絡による交絡ムラ
もなく、織物表面上に十分なループが密生したスパンラ
イクな外観を持ち、適度なドライ感を有したものであっ
た。製織時の糸解舒速度は、780m/分であったがル
ープの引掛りなどの解舒不良はなかった。
【0028】実施例2 図2に示した装置の流体処理ノズルを、流体噴射孔角度
が80度である交絡ノズルにし、ノズルに供する圧縮流
体圧力を300kPaにした以外は、実施例1と同様の
条件で加工を施し、ループヤーンを得た。得られたルー
プヤーンのループ数、編込み状交絡部数は表1に示す通
りで十分なループを有し、かつ通常の交絡糸並の多くの
交絡部を有するものであった。次に実施例1と同様の条
件で製織、染色仕上げを行った。得られた織物は、交絡
ムラもなく、織物表面上に十分なループが密生したスパ
ンライクな外観を持ち、適度なコシと、適度なドライ感
を有したものであった。製織時の糸解舒速度は、780
m/分であったがループの引掛りなどの解舒不良はなか
った。
【0029】比較例1 部分変形時に120℃の熱を糸条に与えること以外は実
施例1と同様の条件で加工を施し、ループヤーンを得
た。得られたループヤーンのループ数、編込み状交絡部
数は表1に示す通りでほとんどループを有せず、ケン縮
加工糸の高交絡糸のようで、トルクをも有するものであ
った。次に、実施例1と同様の条件で製織、染色仕上げ
を行った。得られた織物は、交絡による交絡ムラを有
し、スパンライク感の乏しい加工糸織物の様であった。
製織時の糸解舒速度は、780m/分であったがループ
の引掛りなどの解舒不良はなかった。
【0030】実施例3 供給糸条Aとしてナイロン6マルチフィラメント糸70
D−68fを用い、図3に示した装置を用いて、デリベ
リローラー速度300m/分、供給糸条をオーバーフィ
ード率−3%のもとで摩擦式ヨリ掛け装置を用い300
0T/mの捩じり加工をした後、オーバーフィード率1
5%で、同時に供給糸条Bとして、ナイロン6マルチフ
ィラメント糸70D−68fをオーバーフィード率5%
で供給ロ−ラー(FR3)から、それぞれ流体噴射ノズ
ルに供した。流体噴射ノズルは、流体噴射孔角度が60
度のものを用いて500kPaの圧縮空気を供給し流体
処理を施しループヤーンを得た後、巻取張力0.05g
/Dで巻取った。得られたループヤーンのループ数、編
込み状交絡部数は表1に示す通りで十分なループを有
し、かつ通常のタスラン糸より交絡の多いものであっ
た。次に、経糸にナイロン6マルチフィラメント糸50
D−18f、ここで得られた糸を緯糸に、経密度96本
/2.54cm、緯密度68本/2.54cmで製織し
た後、ナイロンの通常の染色を行った。得られた織物
は、交絡による交絡ムラもなく、織物表面上に十分なル
ープが密生したスパンライクな外観を持ち、適度なドラ
イ感を有したものであった。製織時の糸解舒速度は、7
80m/分であったがループの引掛りなどの解舒不良は
なかった。
【0031】実施例4 図3に示した装置の流体処理ノズルを、流体噴射孔角度
が80度である交絡ノズルにし、ノズルに供する圧縮流
体圧力を300kPaにした以外は、実施例3と同様の
条件で加工を施し、ループヤーンを得た。得られたルー
プヤーンのループ数、編込み状交絡部数は表1に示す通
りで十分なループを有し、かつ通常の強交絡糸並の交絡
を有したものであった。次に、実施例1と同様の条件で
製織、染色仕上げを行った。得られた織物は、交絡によ
る交絡ムラもなく、織物表面上に十分なループが密生し
たスパンライクな外観を持ち、適度なコシと、適度なド
ライ感を有したものであった。製織時の糸解舒速度は、
780m/分であったがループの引掛りなどの解舒不良
はなかった。
【0032】比較例2 部分変形時に120℃の熱を糸条に与えること以外は実
施例3と同様の条件で加工を施し、ループヤーンを得
た。得られたループヤーンのループ数、編込み状交絡部
数は表1に示す通りで、微小ループがほとんどでピーチ
タッチ感に寄与すると考えられるサイズのループの少な
い、ケン縮加工糸の交絡糸のようで、トルクをも有する
ものであった。次に、実施例1と同様の条件で製織、染
色仕上げを行った。得られた織物は、交絡による交絡ム
ラはないが、スパンライク感の乏しい加工糸織物の様で
あった。製織時の糸解舒速度は、780m/分であった
がループの引掛りなどの解舒不良はなかった。
【0033】比較例3 図3に示した装置の部分変形時に120℃の熱を糸条に
与え、流体処理ノズルを流体噴射孔角度が80度である
交絡ノズルにし、ノズルに供する圧縮流体圧力を300
kPaにした以外は実施例3と同様の条件で加工を施
し、ループヤーンを得た。得られたループヤーンのルー
プ数、編込み状交絡部数は表1に示す通りでほとんどル
ープを有せず、単に交絡部を数多く持った、通常のケン
縮加工糸の高交絡糸であった。
【0034】比較例4 供給糸条Aに部分変形加工を施さないこと以外は、実施
例3と同様の条件で加工を施し、ループヤーンを得た。
得られたループヤーンのループ数、編込み状交絡部数は
表1に示す通りで、ループは有するが編込み状交絡部を
ほとんど持たない通常のタスラン糸であった。次に実施
例1と同様の条件で製織、染色仕上げを行った。得られ
た織物は、自然なスパンライク感を有するものであった
が、全体的にヌメリ感の強い、ハリ、コシに欠けるもの
であった。製織時の糸解舒速度は、780m/分であっ
たがループの引掛りなどの解舒不良はなかった。
【0035】比較例5 供給糸条Aに部分変形加工を施さず、図3に示した装置
の流体処理ノズルを、流体噴射孔角度が80度である交
絡ノズルにしノズルに供する圧縮流体圧力を300kP
aにしたこと以外は実施例3と同様の条件で加工を施
し、ループヤーンを得た。得られたループヤーンのルー
プ数、編込み状交絡部数は表1に示す通りで、編込み状
交絡部を数多く有するが、ループサイズは全体的に大き
く、同一箇所にループの集中した混繊交絡糸の様であっ
た。次に、実施例1と同様の条件で製織、染色仕上げを
行った。得られた織物は、スパンライク感のまったくな
い生糸織物の様であった。また、交絡ムラが強く、織物
上に干渉縞を呈するものであった。製織時の糸解舒速度
は、780m/分であったが、両端の十分に交絡されて
いないループが引掛かる解舒不良があった。
【0036】実施例5 供給糸条Aとしてナイロン6マルチフィラメント糸70
D−68f、供給糸条Bとして、ナイロン6マルチフィ
ラメント糸70D−68fを用い、図4に示した装置を
用いて、デリベリローラー速度300m/分、供給糸条
Aをオーバーフィード率−3%、供給糸条Bをオーバー
フィード率7%のもとで摩擦式ヨリ掛け装置Tに同時に
供給し、3000T/mの捩じり加工をした後、オーバ
ーフィード率5%で流体噴射ノズルに供した。流体噴射
ノズルは、流体噴射孔角度が60度のものを用いて50
0kPaの圧縮空気を供給し流体処理を施しループヤー
ンを得た後、巻取張力0.05g/Dで巻取った。得ら
れたループヤーンのループ数、編込み状交絡部数は表1
に示す通りで十分なループを有し、かつ通常のタスラン
糸より交絡の多いものであった。次に経糸にナイロン6
マルチフィラメント糸50D−68f、ここで得られた
糸を緯糸に、経密度96本/2.54cm、緯密度68
本/2.54cmで製織した後、ナイロンの通常の染色
を行った。得られた織物は、交絡による交絡ムラもな
く、織物表面上に十分なループが密生したスパンライク
外観を持ち、適度なドライ感を有したものであった。製
織時の糸解舒速度は、780m/分であったがループの
引掛りなどの解舒不良はなかった。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】本発明の嵩高ループヤーンは、布帛にし
たときに、スパンライクな外観を有し、ピーチタッチ感
のある風合いを与える。さらに、強交絡を数多く有する
ことで製織に供したときにループの堅牢性が高く、解舒
不良や経糸の開口不良が少なく、高次通過性に優れてい
る。
【0039】また、本発明の嵩高ループヤーンの製造方
法によれば、従来のように湿度を付与することなく、ノ
ズル汚れが軽微なので、形態堅牢性の高いループをノズ
ル洗浄を頻繁に行なうことなく安定して得ることができ
る。さらに、交絡ノズルを用いることで、より編込み状
交絡部の多いループヤーンを得ることが可能であるばか
りでなく、従来のタスランノズルに比べて圧空消費量が
少ないのでランニングコストを低く抑えることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる流体噴射ノズルの概略構成図で
ある。
【図2】本発明で用いる加工装置の一例のを示す概略構
成図である。
【図3】本発明で用いる加工装置の他の例のを示す概略
構成図である。
【図4】本発明で用いる加工装置のさらに他の例のを示
す概略構成図である。
【図5】トルクヨリ数の測定方法を示す説明図である。
【図6】本発明の一例に係る嵩高ループヤーンの形状を
示す顕微鏡写真である。
【図7】(A)、(B)、(C)、(D)は従来のタス
ラン糸の形状を示す顕微鏡写真である。
【符号の説明】
A 流体噴射孔 Y 糸条通路 M マルチフィラメント糸 FR1 供給ローラー FR2 供給ローラー FR3 供給ローラー T 捩じり加工装置(摩擦式ヨリ掛け装置) DR デリベリローラー N 流体噴射ノズル(タスランノズル、交絡ノズル) TW 巻取り張力 W 荷重 S 試料糸 E1、E2 糸端

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マルチフィラメント糸からなるループヤ
    ーンであって、糸表面より0.50mm以上1.00m
    m以下突出したループ数が100個/m以上であり、か
    つ編込み状交絡の数が50個/m以上であることを特徴
    とする嵩高ループヤーン。
  2. 【請求項2】 ループヤーンを構成するすべてのフィラ
    メントが非ケン縮で、かつトルクヨリ数が10T/m以
    下であることを特徴とする、請求項1記載の嵩高ループ
    ヤーン。
  3. 【請求項3】 マルチフィラメント糸にそのガラス転移
    点以下の温度で捩じり変形を付与した後、流体噴射ノズ
    ルに供することを特徴とする嵩高ループヤーンの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記流体噴射ノズルが交絡ノズルである
    ことを特徴とする、請求項3記載の嵩高ループヤーンの
    製造方法。
  5. 【請求項5】 複数のマルチフィラメントを流体加工す
    るに際し、芯糸に対して、鞘糸に少なくとも10%以上
    のオーバーフィード率差を与えながら、捩じり変形装置
    に供給することを特徴とする、請求項3または4記載の
    嵩高ループヤーンの製造方法。
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WO2005121441A1 (ja) * 2004-06-11 2005-12-22 Maruyasu Co., Ltd. 紐・ペレットおよび紐・ペレットの製造方法並びにそれらの製造装置
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