JPH07323596A - サーマルヘッド駆動制御方法及び装置 - Google Patents

サーマルヘッド駆動制御方法及び装置

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JPH07323596A
JPH07323596A JP12160494A JP12160494A JPH07323596A JP H07323596 A JPH07323596 A JP H07323596A JP 12160494 A JP12160494 A JP 12160494A JP 12160494 A JP12160494 A JP 12160494A JP H07323596 A JPH07323596 A JP H07323596A
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data
bias
heating
gradation
line
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JP12160494A
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English (en)
Inventor
Nobuo Katsuma
伸雄 勝間
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Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 各発熱素子の抵抗値誤差に起因する濃度むら
を少なくする。 【構成】 抵抗値検出回路37により各発熱素子の抵抗
値Ri を測定する。標準抵抗値R0 から抵抗値Ri を引
いて、抵抗値誤差ΔRi を求める。バイアス熱エネルギ
誤差を補正するバイアス補正データを加味した基本バイ
アスデータDB0 i を抵抗値誤差ΔRi に基づき求め
る。階調表現熱エネルギ誤差を補正するための階調補正
データDB1i を、画像データDGi と階調補正係数デ
ータΔR2iを乗じて求める。基本バイアスデータDB
i と階調補正データDB1i とを加算・リミッタ43
で加算して、修正バイアスデータDBCi を求める。こ
の修正バイアスデータDBCi により修正バイアス加熱
する。 【効果】 バイアスパルス数の増減により、階調表現加
熱の際の発熱むらが無くなり、階調データに対して補正
を行う必要がなくなる。これにより、高速処理タイプの
補正回路を用いる必要がなくなり、装置構成が簡単にな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、サーマルプリンタに用
いられるサーマルヘッド駆動制御方法及び装置に関し、
更に詳しくは、バイアス加熱駆動パルスと階調表現加熱
駆動パルスとを発生させるためのサーマルヘッド駆動制
御方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】サーマルプリンタには、熱転写プリンタ
と感熱プリンタとがある。前者の熱転写プリンタには、
溶融型と昇華型とがあり、これらはインクフイルムを記
録紙に重ね、インクフイルムの背後からサーマルヘッド
を押し当てて加熱し、インクフイルムのインクを記録紙
に転写するものである。後者の感熱プリンタは、感熱記
録紙をサーマルヘッドで加熱して、感熱記録紙を発色さ
せて熱記録するものである。これらのサーマルヘッド
は、多数の発熱素子(抵抗素子)をライン状に配列した
発熱素子アレイと、各発熱素子を駆動するドライバとを
持っている。
【0003】例えば、カラー感熱プリンタでは、特開昭
61−213169号に記載されているように、シアン
感熱発色層,マゼンタ感熱発色層,イエロー感熱発色層
をベース上に順次設けたカラー感熱記録材料が用いられ
る。各感熱発色層を選択的に発色させるために、各感熱
発色層は発色熱エネルギが異なっている。深層の感熱発
色層ほど高い発色熱エネルギが必要である。また、次の
感熱発色層を熱記録する際に、その上にある熱記録済み
の感熱発色層が再度熱記録されないように、特有な電磁
波を照射して熱記録済みの感熱発色層を光定着する。
【0004】サーマルヘッドの各発熱素子は、記録すべ
き感熱発色層の特性曲線に基づいた発色熱エネルギをカ
ラー感熱記録材料に与え、カラー感熱記録材料上で仮想
的に四角に区画した記録画素中に、所望の濃度を持った
インクドットを形成する。この発色熱エネルギは、記録
すべき感熱発色層が発色する直前の熱エネルギ(以下、
これをバイアス熱エネルギという)と、所望の濃度に発
色させるための熱エネルギ(以下、これを階調表現熱エ
ネルギという)とからなる。バイアス熱エネルギは、感
熱発色層の種類に応じて変化する。画像データは、記録
画素の階調レベルを表している。階調表現熱エネルギが
大きいほど、インクドットの発色濃度が高くなる。ま
た、高階調を表現するには、細かなステップで発熱制御
を行い、階調表現熱エネルギを発生させる。
【0005】バイアス熱エネルギは、1個のバイアス加
熱駆動パルス(以下、バイアスパルスという)で発熱素
子を駆動することによって発生する。階調表現熱エネル
ギは、画像データに応じた個数の階調表現加熱駆動パル
ス(以下、階調パルスという)で発熱素子を駆動するこ
とによって発生する。一般的には、このバイアスパルス
の幅は、数ms〜数十msであり、階調パルスの幅は数
μs〜数十μsである。また、バイアス加熱期間中に、
1個のバイアスパルスで発熱素子を連続駆動する他に、
複数個のバイアスパルスで間欠的に発熱素子を駆動する
ことも可能である。
【0006】また、昇華型の熱転写プリンタの場合も、
記録紙(受像紙)上の1個の記録画素に、所望の濃度の
インクを転写するときに、インクの転写が始まる直前ま
で加熱するための少なくとも1個のバイアスパルスと、
インクの転写量を調節するために画像データに応じた個
数の階調パルスとが用いられる。更に、溶融型の熱転写
プリンタの場合では、階調は、記録画素内に転写される
インクドットの面積を変えることによって表現される。
この際に、インクの転写が始まる温度まで加熱するため
のバイアスパルスと、この温度を維持するための複数の
階調パルスとが用いられる。この階調パルスは、受像紙
が1サブライン分移動する毎に発熱素子に供給され、各
サブラインにインクを転写する。1個の記録画素は、複
数のサブラインで構成され、この記録画素の階調はイン
クが転写されたサブラインの本数で表現される。
【0007】ところで、きめ細かな発熱制御が印画結果
に正確に反映されるためには、各発熱素子の抵抗値が全
て均一であることが必要である。しかしながら、発熱素
子の抵抗値は、一般に5〜10%程度のばらつきがあ
り、このため記録画像に濃度むらや色むら等の不都合な
現象が発生する。各発熱素子の抵抗値が例えば2400
オームとなるように作製されているから、120〜24
0オームの抵抗値誤差がある。
【0008】これを改善するため、例えば特開平2−2
48262号公報に記載されているように、サーマルヘ
ッドに設けられた数百個の発熱素子の抵抗値を全て測定
し、この測定結果に基づいて画像データを補正してプリ
ントするサーマルプリンタが提案されている。また、画
像データを補正する代わりに、特開平2−292060
号公報に記載されているように、抵抗値に応じた濃度補
正駆動パルスを階調パルスの間に挿入して、濃度むらを
補正するサーマルプリンタが提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、画像デ
ータに直接補正データを乗じて階調パルスの個数や幅を
変更する方法では、1フレームの画素数に対応した大量
の演算処理が必要になる。これは、高速演算回路を必要
とするから、製造コストが高くなる。特に、演算結果を
量子化して階調パルスの個数に変換する場合には、この
量子化誤差が大きくなってしまうため、プリント画像に
擬似輪郭が発生してしまい、プリント品質が低下する。
【0010】また、濃度補正駆動パルスを階調パルスの
間に挿入する方法では、濃度補正駆動パルス発生回路が
新たに必要になり、構成が複雑になって製造コストが高
くなる。更に、濃度補正駆動パルスを階調パルスの間に
割り込ませるために、プリント時間が長くなってしま
う。
【0011】これに対し、各発熱素子の抵抗値に応じて
パルス数を増減させたバイアスパルス列及び階調パルス
列を発生させることも考えられるが、この場合には、バ
イアスパルスと階調パルスの2種類のパルス発生回路が
必要になり、回路構成が複雑になるという問題がある。
【0012】本発明は、各発熱素子の抵抗値のばらつき
に起因する濃度むらや色むらの発生をバイアス加熱の際
と階調表現加熱の際との両方で抑えるようにしたサーマ
ルヘッド駆動制御方法及び装置を提供することを目的と
するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に記載したサーマルヘッド駆動制御方法
は、各発熱素子の抵抗値誤差に起因する熱エネルギ誤差
を、バイアス加熱の際に発生するバイアス熱エネルギ誤
差と、階調表現加熱の際に発生する階調表現熱エネルギ
誤差とに分けて予め求めておき、これらの熱エネルギ誤
差をバイアス加熱駆動パルスのパルス個数又はパルス幅
を変更することにより無くすようにしたものである。
【0014】また、請求項2に記載したサーマルヘッド
駆動制御装置は、画像データを1ライン分記憶するため
の第1のラインメモリと、各発熱素子の抵抗値誤差に起
因してバイアス加熱の際に発生するバイアス熱エネルギ
誤差を補正するためのバイアス補正データを加味したバ
イアスデータを各発熱素子毎に記憶した手段と、このバ
イアスデータを1ライン分記憶するための第2のライン
メモリと、各発熱素子の抵抗値誤差に起因して階調表現
加熱の際に発生する階調表現熱エネルギ誤差を補正する
ための階調補正係数データを各発熱素子毎に記憶した手
段と、階調補正係数データを1ライン分記憶するための
第3のラインメモリと、第1のラインメモリから読み出
した画像データと第3のラインメモリから読み出した階
調補正係数データとを乗算して階調補正データを算出す
る乗算器と、この乗算器からの階調補正データと第2の
ラインメモリからのバイアスデータとを加算する加算器
と、加算器及び第1のラインメモリの一方を選択してこ
れのデータを出力するセレクタと、比較データを発生す
るプリントコントローラと、セレクタからの各データと
プリントコントローラからの比較データとを比較して各
発熱素子毎の駆動データを発生するコンパレータとを備
えたものである。
【0015】また、請求項3記載のサーマルヘッド駆動
制御装置は、階調補正係数データをX倍した後に第3の
ラインメモリに書き込み、乗算器からの出力を1/Xし
た後に加算器に送るようにしたものである。また、請求
項4記載のサーマルヘッド駆動制御装置は、バイアスデ
ータに、シェーディング補正データを加味したものであ
る。
【0016】
【作用】各発熱素子間では、その抵抗値が違っているの
で、同じ状態で駆動しても発生する熱エネルギが異な
る。例えば、一定個数のバイアスパルスで発熱素子を駆
動してバイアス加熱を行った場合に、正規の抵抗値も持
った発熱素子では、発色直前のバイアス熱エネルギを発
生することができるが、抵抗値誤差を持った発熱素子で
は、発生する熱エネルギは、バイアス熱エネルギよりも
大きく、又は小さくなる。
【0017】抵抗値誤差に起因するバイアス熱エネルギ
誤差を補正するために、抵抗値誤差に応じて、バイアス
パルスの個数を調節する。抵抗値誤差は、設計上定めた
抵抗値と、各発熱素子の抵抗値との差である。設計上の
標準抵抗値を基準にすると、抵抗値のばらつきによっ
て、バイアスパルスの個数の最大値が個々のサーマルプ
リンタで異なってしまう。これは、サーマルプリンタ毎
に、バイアス加熱のソフトの変更を招くことになる。こ
れを防止するには、発熱量が最も少ない最大抵抗値の発
熱素子に対して、予め決めたバイアスパルスの最大値を
割り当てればよい。そして、発熱素子の抵抗値とこの最
大抵抗値との差を抵抗値誤差として用い、この抵抗値誤
差に応じた補正値を最大値から減算する。この場合に
は、バイアスデータによって発生する熱エネルギは発色
点近辺の値となることがあるが、発色直前となる正規な
バイアス熱エネルギとわずかに違うだけであるから、こ
の熱エネルギもバイアス熱エネルギとみなすことができ
る。この正規でないバイアス熱エネルギを用いて濃度む
らや色むらを無くすことができる。
【0018】色が目立たないイエローではバイアス熱エ
ネルギと階調表現熱エネルギとはほぼ同じであるが、色
の目立つマゼンタ,シアンではバイアス熱エネルギはか
なり大きい。したがって、抵抗値誤差によるバイアス熱
エネルギ誤差は、濃度むらや色むらに大きな影響を与え
る他に、プリント画像の濃度に対しても大きな影響を与
える。そこで、このバイアス熱エネルギ誤差を補正する
ことによって、プリント品質が大幅に向上する。他方、
階調表現加熱の場合も、抵抗値誤差に起因する階調表現
熱エネルギ誤差が発生する。この階調表現熱エネルギ誤
差の値は色が目立つマゼンタ,シアンでは小さいが、こ
れも補正するとそれだけプリント品質が良くなる。それ
ゆえ、抵抗値誤差に起因するバイアス熱エネルギ誤差及
び階調表現熱エネルギ誤差の両方を補正するのがよい。
【0019】ところで、階調表現熱エネルギ誤差を階調
表現加熱時に補正する場合には、画像データの演算処理
のために、階調加熱に時間がかかる。すなわち、階調パ
ルスはパルス幅が短いから、パルスが発生する間で演算
することが難しく、結果的にパルス周期が長くなる。こ
れは、熱損失を招くとともに、プリント速度を遅くす
る。そこで、階調表現熱エネルギ誤差の修正をバイアス
加熱時に行うのがよい。これは、階調表現熱エネルギ誤
差に応じて、バイアス熱エネルギ誤差を考慮して決めた
バイアスパルスの個数を再調節すればよい。また、階調
表現熱エネルギ誤差を補正するための階調補正データ
は、抵抗値誤差と個々の画像データとにより精度よく求
まる。
【0020】階調表現熱エネルギ誤差を補正する場合に
は、階調補正係数データが第3ラインメモリに書き込ま
れる。乗算器は、階調補正係数データと画像データとを
乗じて階調補正データを求める。加算器は、バイアスデ
ータと階調補正データとを加算してバイアスパルス列の
パルス数を求め、これを修正バイアスデータとする。こ
れにより修正バイアス加熱される。したがって、このバ
イアス加熱は階調表現加熱の際の抵抗値誤差に起因する
補正量が加味されており、インク転写又は発色が始まる
直前の状態まで加熱するバイアス加熱の定義からする
と、厳密な意味でバイアス加熱とは言えなくなる。本明
細書では、このように階調補正データを加味した加熱を
正規のバイアス加熱と区別する意味で修正バイアス加熱
と表現する。
【0021】
【実施例】カラー感熱プリンタを示す図2において、プ
ラテンドラム10は、パルスモータ9で駆動される回転
軸11に取り付けられており、プリント時に矢線方向に
回転する。このプラテンドラム10の外周には、カラー
感熱記録材料12が巻き付けられ、その先端部がクラン
パ13で固定されている。クランパ13はカム機構8に
より開閉制御されるようになっている。また、プラテン
ドラム10の外周には、サーマルヘッド14,マゼンタ
定着用紫外線ランプ15,イエロー定着用紫外線ランプ
16とが配置されている。
【0022】サーマルヘッド14の下面には発熱素子ア
レイ17が設けられている。この発熱素子アレイ17に
は、図1に示すように、多数の発熱素子171 〜17n
が主走査方向にライン状に形成されている。各発熱素子
171 〜17n は抵抗素子から構成されており、1画素
を熱記録する際に、発色の直前まで加熱するバイアス熱
エネルギと、発色濃度に応じた階調表現熱エネルギとを
カラー感熱記録材料12に与える。マゼンタ定着用紫外
線ランプ15は、発光ピークが365nm付近の紫外線
を放出し、イエロー定着用紫外線ランプ16は、発光ピ
ークが420nm付近の紫外線を放出する。
【0023】図3に示すように、カラー感熱記録材料1
2は、支持体20の上に、シアン感熱発色層21,ほぼ
365nmの紫外線による光定着性を有するマゼンタ感
熱発色層22,ほぼ420nmの紫外線による光定着性
を有するイエロー感熱発色層23,保護層24とが順次
層設されている。これらの感熱発色層21〜23は、熱
記録される順番に配置されている。図3では、各間熱発
色層21〜23を分かりやすくするために、イエロー感
熱発色層23に対しては「Y」,マゼンタ感熱発色層2
2に対しては「M」,シアン感熱発色層21に対しては
「C」を付してある。また、図3では省略されている
が、各感熱発色層21〜23の間には、マゼンタ感熱発
色層22,シアン感熱発色層21の熱感度を調節するた
めの中間層が形成されている。支持体20としては、不
透明なコート紙又はプラスチックフイルムが用いられ、
そしてOHPシートを作製する場合には、透明なプラス
チックフイルムが用いられる。
【0024】図4は各感熱発色層の発色特性を示すもの
である。この実施例のカラー感熱記録材料12は、イエ
ロー感熱発色層23の発色熱エネルギが最も低く、シア
ン感熱発色層21の発色熱エネルギが最も高い。イエロ
ー(Y)の画素を熱記録する場合には、バイアス熱エネ
ルギBYに階調表現熱エネルギGYJ を加えた発色熱エ
ネルギがカラー感熱記録材料12に与えられる。このバ
イアス熱エネルギBYは、イエロー感熱発色層23が発
色する直前の熱エネルギであり、1画素の記録の始めの
バイアス加熱期間中にカラー感熱記録材料12に与えら
れる。階調表現熱エネルギGYJ は、記録すべき画素の
発色濃度に相当した階調レベルJに応じて決められるも
のであり、バイアス加熱期間に続く階調表現加熱期間中
に、カラー感熱記録材料12に与えられる。なお、マゼ
ンタM,シアンCも同様であるので、記号のみを付して
ある。
【0025】図1は、カラー感熱プリンタの電気回路を
示すものである。フレームメモリ30には、例えば電子
スチルカメラで撮影した1フレームの画像データが、色
毎に分離された状態で書き込まれている。この画像デー
タは、階調レベルを表しており、この画像データに応じ
て記録画素に形成されるインクドットの濃度を決める。
階調表現加熱に際して、システムコントローラ31によ
り、フレームメモリ30からプリントすべき色の画像デ
ータが1ラインずつ読み出されて画像データラインメモ
リ32に書き込まれる。
【0026】システムコントローラ31はマイクロコン
ピュータから構成されており、各部をシーケンス制御す
る。また、システムコントローラ31には、画像データ
ラインメモリ32の他に、バイアスデータラインメモリ
33,階調補正係数データラインメモリ34,乗算器3
8,及び加算・リミッタ39が接続されており、階調補
正データDB1i を加味した修正バイアスデータDBC
i を作成し、これに基づき修正バイアス加熱する。
【0027】システムコントローラ31は、ラインメモ
リ33に基本バイアスデータDB0 i (i=1〜n(n
は総発熱素子数))を書き込むとともに、ラインメモリ
34に階調補正係数データΔR2i を書き込む。そし
て、システムコントローラ31は、乗算器38,加算・
リミッタ39,メモリコントローラ42,プリントコン
トローラ43を制御して、基本バイアスデータDB0i
に階調補正データDB1 i を加算して修正バイアスデー
タDBCi を算出し、これをセレクタ40に送る。
【0028】修正バイアスデータDBCi の一例を次の
数式1に示す。
【0029】
【数1】DBCi =DB0i +DB1i =(BB+ΔR
i +BHshade +BVshade )+(ΔR2i ・D
i ) ここで、 DB0i :基本バイアスデータであり、以下の数式2で
求める。
【0030】
【数2】 DB0i =BB+ΔR1i +BHshade +BVshade DB1i :階調補正データであり、以下の数式3で求め
る。
【0031】
【数3】DB1i =ΔR2i ・DGi BB:標準抵抗値R0 (例えば発熱素子のうちの最大と
なる抵抗値)に基づき決定した基礎データであり、バイ
アスパルスの個数で表される。 ΔR1i :バイアス熱エネルギ誤差を補正するためのバ
イアス補正データであり、各発熱素子の抵抗値Ri から
標準抵抗値R0 を引いた抵抗値誤差ΔRi (=(Ri
0 ))に係数k1を乗じたもの(k1はバイアスパル
ス数に換算するための係数) BHshade :Hシェーディング補正データである。サー
マルヘッドの蓄熱によって、最終行に向かうにつれて発
色濃度が除々に高くなるのを補正するものであり、バイ
アスパルスの個数で表される。図5にその一例を示す。 BVshade :Vシェーディング補正データであり、サー
マルヘッドの両端で熱が逃げてしまうため、濃度が下が
るのを補正するものであり、バイアスパルスの個数で表
される。 ΔR2i :階調熱エネルギ誤差を補正するための係数デ
ータであり、抵抗値誤差ΔRi に係数k2を乗じたもの
(k2はバイアスパルス数に換算するための係数) DGi :画像データ
【0032】演算要素BB、k1,k2,BHshade ,
BVshade は予め実験等により決定され、これらがシス
テムコントローラ31のメモリに書き込まれている。
【0033】本実施例では、8ビットのデータを用いて
いるため、修正バイアスデータDBCi の最大パルス数
は「256」個となる。したがって、基本バイアスデー
タDB0i 分として例えば最大「224」個のバイアス
パルスを割り当てるとともに、階調補正データDB1i
として、最大「32」個のバイアスパルスを割り当てて
いる。また、基礎データとして176個のバイアスパル
スを割り当て、バイアス補正データR1i として、48
個のバイアスパルスを割り当てている。なお、この割り
当て比率は、発熱素子のサイズや種類,感熱記録材料の
種類等に応じて変化するが、最大使用パルス個数の30
%程度を、バイアス補正データ,階調補正データ,各シ
ェーディング補正データ等に割り当てるとよい。
【0034】図1に示すように、各発熱素子171 〜1
n の抵抗値Ri (iは1〜n)は、サーマルプリンタ
の工場出荷時やサーマルヘッド14の交換後の初期設定
時に、抵抗値検出回路37で検出され、これがRAM3
6内に書き込まれる。抵抗値検出回路37は、トランジ
スタ481 〜48n により各発熱素子171 〜17n
1個ずつ選択してこれに所定の電圧を印加し、これの電
圧降下時間から抵抗値Ri を検出するものであり、この
抵抗値検出方法については、例えば本出願人が既に出願
した特願平4−233626号に詳しく説明されてい
る。システムコントローラ31は、検出した抵抗値Ri
に基づきROM38に記憶した変換テーブルにより基本
バイアスデータDB0i ,階調補正係数データΔR2i
を各発熱素子毎に求め、これをRAM36内の所定領域
に記憶するとともに、これらデータをラインメモリ3
3,34に書き込む。なお、抵抗値検出回路37は装置
に内蔵させる他に、別途抵抗値検出装置を設け、これに
より各抵抗値を検出するようにしてもよい。
【0035】システムコントローラ31は、プリント開
始信号によりシステム1ラインスタート信号を発生し、
これをメモリコントローラ42に出力する。また、シス
テムコントローラ31はカウンタ31aを備えており、
システム1ラインスタート信号をカウントしており、こ
のカウント値pにより記録ライン数を制御する。メモリ
コントローラ42は、システム1ラインスタート信号を
受け取ると、セレクタ40を切り換えて、加算・リミッ
タ39をコンパレータ41に接続するとともに、1ライ
ンスタート信号をプリントコントローラ43に出力す
る。これにより、バイアス加熱シーケンスを実行する。
プリントコントローラ43は、1ラインスタート信号を
受け取ると「0」〜「FF」の256個の比較データを
コンパレータ41に出力する。
【0036】このバイアス加熱シーケンスでは、メモリ
コントローラ42は、ラインメモリ33から基本バイア
スデータDB0i を読み出して、これを加算・リミッタ
39に送るとともに、ラインメモリ34から階調補正係
数データΔR2i を読み出して、これを乗算器38に送
る。また、メモリコントローラ42は、ラインメモリ3
2から画像データDGi を読み出してこれを乗算器38
に送る。乗算器38は、階調補正係数データΔR2i
画像データDGi とを乗じて階調補正データDB1i
算出し、これを加算リミッタ39に送る。加算・リミッ
タ39は、基本バイアスデータDB0i と階調補正デー
タDB1i とを加算して修正バイアスデータDBCi
求め、これをセレクタ40を介してコンパレータ41に
送る。この加算・リミッタ39は、加算によりデータが
8ビットを越えることのないように、はみ出たものは上
限のデータとする。例えば、基本バイアスデータDB0
iと階調補正データDB1i との加算結果が「FF」を
越えた場合には、上限の「FF」を出力する。
【0037】この1ライン分の修正バイアスデータDB
i の算出は256回行われる。コンパレータ41は、
プリントコントローラ43からの「0」〜「FF」の2
56個の比較データによって、1ライン分のバイアスデ
ータを256回比較する。
【0038】プリントコントローラ43は、比較データ
による比較終了時に、1ラインの印画終了を示す1ライ
ンエンド信号をメモリコントローラ42に出力する。メ
モリコントローラ42は、1ラインエンド信号を受け取
ると、セレクタ40を画像データラインメモリ32に接
続し、階調表現加熱シーケンスを実行する。
【0039】階調表現加熱シーケンスでは、メモリコン
トローラ42は、ラインメモリ32から1ライン分の画
像データDGi を256回読み出して、コンパレータ4
1に送る。コンパレータ41は、プリントコントローラ
43からの「0」〜「FF」の比較データによって、1
ライン分の画像データを256回比較する。
【0040】プリントコントローラ43は、修正バイア
スデータDBCi との比較を終了した時の他に、階調デ
ータとの比較終了時にも1ラインエンド信号をメモリコ
ントローラ42に送る。メモリコントローラ42は、プ
リントコントローラ43からの1ラインエンド信号の個
数をカウントする1ビットカウンタ42aを備えてお
り、1ラインエンド信号が2回入力される毎に、すなわ
ちバイアス加熱と階調加熱とが終了すると、システム1
ラインエンド信号をシステムコントローラ31に送る。
【0041】本実施例では、修正バイアスデータDBC
i との比較時と、画像データDGiとの比較時との比較
データを「0」〜「FF」として同じ比較データを用い
ているため、プリントコントローラ43の構成を簡単に
することができる。なお、本実施例では、16進数で
「0」〜「FF」の階調比較データを用いて階調数25
6の表現を行うようにしているが、この階調表現数は各
感熱発色層の特性に応じて適宜階調比較データを増減す
ることで変えることができる。この場合には、プリント
コントローラ43に1ビットカウンタ43aを設け、こ
れにより、メモリコントローラ42からの1ラインプリ
ントスタート信号をカウントする。そして、このカウン
ト値が「1」か「0」かにより、バイアス加熱シーケン
スの実行か、階調表現加熱シーケンスの実行かを判断し
て、これに基づき比較データを切り換えるとよい。
【0042】コンパレータ41は、修正バイアスデータ
DBCi 又は画像データDGi と比較データDCとの比
較を行う。そして、比較データDCの方が小さい場合に
は、「H」の駆動データを出力し、それ以外は「L」の
駆動データを出力する。例えば、バイアス加熱では、プ
リントコントローラ43から「0」の比較データが送ら
れると、この比較データに対して1ラインの修正バイア
スデータDBCi を順に比較する。これにより、1ライ
ン分の比較結果がシリアル信号としてコンパレータ41
からシフトレジスタ45に送られる。1ライン分のバイ
アスデータの比較が終了すると、プリントコントローラ
43は「1」の比較データを発生してコンパレータ41
に送り、この比較データに対して1ライン分の修正バイ
アスデータDBCi を順に比較する。以下、同様であ
る。これにより、修正バイアスデータDBCi は256
回比較され、結果的には256ビットの駆動データに変
換される。そして、この256ビットの駆動データは、
1ビットずつ順番にシフトレジスタ45に送られる。同
様にして画像データDGi と階調比較データとの比較も
行われ、256ビットの駆動データに変換される。
【0043】シリアルな駆動データは、クロックによっ
てシフトレジスタ45内でシフトされてパラレル信号に
変換される。シフトレジスタ45でパラレル信号に変換
された駆動データは、ラッチ信号に同期してラッチアレ
イ46にラッチされる。ANDゲートアレイ47は、ス
トローブ信号が入力されている期間内に、駆動データが
「H」の場合に「H」の信号を出力する。
【0044】ANDゲートアレイ47の各出力端子に
は、トランジスタ481 〜48n が接続されている。こ
れらのトランジスタ481 〜48n は、ANDゲートの
出力が「H」の場合にオンする。これらのトランジスタ
481 〜48n には、発熱素子171 〜17n がそれぞ
れ直列に接続されている。
【0045】ストローブ信号発生回路44は、システム
コントローラ31及びプリントコントローラ43からの
信号によって制御され、発熱素子171 〜17n のON
時間とOFF時間とを決定するためのストローブ信号を
発生する。ストローブ信号は、バイアス加熱用と階調表
現用の2種類がある。更に、ストローブ信号は、プリン
トすべき色によってパルス幅又はパルス個数が変えられ
る。このため、各ストローブ信号の設定データは、各色
毎に予め求められ、これがRAM36の所定領域に記憶
されている。なお、ストローブ信号発生回路44として
は、例えば本出願人が既に出願した特願平5−7450
8号に詳しく説明されている。
【0046】次に、上記実施例の作用について図6に基
づいて各図を参照して説明する。プリント開始スイッチ
(図示せず)が操作されると、システムコントローラ3
1は、カラー感熱記録材料12の給紙を行う。これとと
もに、システムコントローラ31は、フレームメモリ3
0から第1ライン目のイエロー画像データを画素毎に読
み出し、これをラインメモリ32に書き込む。また、R
AM36から基本バイアスデータDB0i を読みだし、
これをラインメモリ33に書き込むとともに、RAM3
6から階調補正係数データΔR2i を読みだし、これを
ラインメモリ34に書き込む。また、システムコントロ
ーラ31はカウンタ31aをリセットする(p=0)。
【0047】給紙時には、プラテンドラム10はクラン
パ13が図2において垂直となった状態で停止している
ので、カム機構8が作動すると、クランパ13がクラン
プ解除位置にシフトされる。この後、カラー感熱記録材
料12がプラテンドラム10に送り込まれ、その先端が
クランプに位置するとカム機構8が作動してカラー感熱
記録材料12の先端がクランプ13で押えられる。この
状態でプラテンドラム10が回転するから、カラー感熱
記録材料12はプラテンドラム10に巻き付けつけられ
る。
【0048】プラテンドラム10が一定ステップずつ間
欠回転して、カラー感熱記録材料11の記録エリアの先
端が発熱素子アレイ17に達すると、イエロー画像の第
1ライン目の熱記録が可能となる。システムコントロー
ラ31は、システム1ラインスタート信号を発生させ、
これをメモリコントローラ42に送る。このときに、カ
ウンタ31aはカウント値に1を加えて更新する(p=
p+1)。
【0049】メモリコントローラ42は、システム1ラ
インスタート信号により、セレクタ40を加算・リミッ
タ39に接続し、各発熱素子の修正バイアスデータDB
iがコンパレータ41に送られるようにする。そし
て、メモリコントローラ42は、アドレス指定して第1
発熱素子171 から順に第n発熱素子17n まで、ライ
ンメモリ33から基本バイアスデータDB0i を読み出
し、これを加算・リミッタ39に送る。また、メモリコ
ントローラ42は同じアドレスを指定してラインメモリ
34から同じ発熱素子の階調補正係数データΔR2i
読み出し、これを乗算器38に送る。同様に、メモリコ
ントローラ42は同じアドレスを指定してラインメモリ
32から同じ発熱素子の画像データDGi を読み出し、
これを乗算器38に送る。
【0050】乗算器38は、画像データDGi と階調補
正係数データΔR2i とを乗じて階調補正データDB1
i を求め、これを加算・リミッタに送る。加算・リミッ
タでは、基本バイアスデータDB0i と階調補正データ
DB1i とを加算して修正バイアスデータDBCi を求
め、これをセレクタ40を介してコンパレータ41に送
る。
【0051】また、メモリコントローラ42は、1ライ
ンスタート信号を発生させ、これをプリントコントロー
ラ43に送る。プリントコントローラ43は、この1ラ
インスタート信号により、「0」〜「FF」の比較デー
タの最初の比較データ「0」をコンパレータ41に送
る。
【0052】コンパレータ41は、各発熱素子の修正バ
イアスデータDBCi と、プリントコントローラ43か
ら出力された比較データ「0」とを比較し、前者よりも
後者が小さいときに「H」のバイアス駆動データを出力
する。コンパレータ41から出力された1ライン分のシ
リアルなバイアス駆動データは、シフトレジスタ45に
送られ、そしてクロックによってシフトレジスタ45内
でシフトされてパラレルなバイアス駆動データに変換さ
れる。システムコントローラ31は、第1ライン目が熱
記録の可能な状態にあることを確認してから、ラッチア
レイ45にパラレルなバイアス駆動データをラッチす
る。このラッチされたバイアス駆動データは、ANDゲ
ートアレイ47に送られる。
【0053】他方、プリントコントローラ43からのバ
イアス加熱用ストローブ要求信号により、ストローブ信
号発生回路44はバイアス加熱用ストローブ信号をAN
Dゲートアレイ47に送る。ANDゲートアレイ47
は、バイアス駆動データが「H」となっている場合に、
ストローブ信号が入力されている間中、「H」の信号を
出力する。この信号により、例えばトランジスタ481
がオンするから、ストローブ信号に対応したパルス幅の
バイアスパルスが発熱素子171 に供給され、発熱素子
171 が発熱する。
【0054】以下、「1」〜「FF」の比較データを用
いて、修正バイアスデータDBCiを1ラインずつ比較
し、この比較結果に応じて各発熱素子171 〜17n
駆動する。プリントコントローラ43は、最後の「F
F」の比較データによる1ライン分の修正バイアスデー
タDBCi の比較が終了すると、1ラインエンド信号を
メモリコントローラ42に送る。メモリコントローラ4
2は、この1ラインエンド信号によりセレクタ40を切
り換えて、画像データラインメモリ32をコンパレータ
41に接続するとともに、1ラインスタート信号をプリ
ントコントローラ43に送る。このセレクタ40の切り
換え後に、メモリコントローラ42は、ラインメモリ3
2に書き込まれている1ライン分のイエロー画像データ
を1個ずつ順次読み出し、コンパレータ41に送る。
【0055】プリントコントローラ43には1ラインス
タート信号が入力されるため、比較データDCをコンパ
レータ41に順に出力する。このコンパレータ41は、
最初に「0」の比較データと、ラインメモリ32からの
第1ライン目のイエロー画像データと比較する。前者が
後者よりも小さい場合には、コンパレータ41は、
「H」の階調表現駆動データを出力する。
【0056】コンパレータ41から出力された1ライン
分の駆動データは、シフトレジスタ45,ラッチアレイ
46を経てから、ANDゲートアレイ47に送られる。
そして、ANDゲートアレイ46中で、階調駆動データ
が「H」となっているAND回路の出力が、短いストロ
ーブ信号の入力中に「H」となる。この「H」の信号が
入力されたトランジスタがオンするから、このオンした
トランジスタに接続された発熱素子が、幅が短い階調パ
ルスで駆動されて発熱する。以下同様にして、比較デー
タの「1」から「FF」まで比較され、イエロー画像デ
ータに応じた個数の階調パルスで発熱素子が駆動され
る。
【0057】プリントコントローラ43は、第1ライン
の階調パルス列の発生終了後に、1ラインエンド信号を
メモリコントローラ42に送る。メモリコントローラ4
2は、この2回目の1ラインエンド信号によりシステム
1ラインエンド信号をシステムコントローラ31に出力
する。システムコントローラ31は、システム1ライン
エンド信号により第1ライン目の印字終了を確認し、こ
れにより、プラテンドラム10を1ライン分回転させて
紙送りを行なう。この紙送り中に、システムコントロー
ラ31は、システム1ラインスタート信号をメモリコン
トローラ42に送る。メモリコントローラ42は、セレ
クタ40を切り換えて、加算・リミッタ39からの修正
バイアスデータをコンパレータ41に送る。
【0058】その後、前述したように、複数のバイアス
パルスでバイアス加熱してから、続いてラインメモリ3
2からの第2ライン目のイエロー画像データに応じた個
数の階調パルスで階調表現加熱する。そして、K(Kは
最大256)個のバイアスパルスとJ(Jは最大25
6)個の階調パルスとを各発熱素子に与えて、第2ライ
ン目を熱記録する。以下、同様にして第3ライン目以降
を順次熱記録する。そして、カウンタ31aのカウント
値pが最終ライン数に達すると、イエロー画像の1フレ
ーム分の行記録が終了する。
【0059】このイエロー画像の熱記録中に、図2に示
すように、プラテンドラム10の回転とともに、カラー
感熱記録材料12のイエロー画像を熱記録した部分がイ
エロー定着用紫外線ランプ16に達する。このイエロー
定着用紫外線ランプ16は、420nm付近の近紫外線
をカラー感熱記録材料12に照射する。これにより、イ
エロー感熱記録材料12に含有されたジアゾニウム塩化
合物が分解して発色能力が消失する。
【0060】プラテンドラム10が1回転して記録エリ
アが再びサーマルヘッド14の位置にくると、イエロー
画像と同じような処理により、マゼンタ画像が1ライン
ずつ熱記録される。このマゼンタ画像の記録時のバイア
ス加熱でも、イエロー画像の熱記録と同じ個数のバイア
スパルスが用いられる。しかし、マゼンタ感熱発色層の
バイアス熱エネルギBMが大きいので、パルス幅が長い
ストローブ信号が用いられ、それによりパルス幅が広い
バイアスパルスが作成される。そして、バイアスパルス
の個数を調節することで、全ての発熱素子は修正バイア
ス加熱が行われる。また、マゼンタ画像の記録に用いら
れる階調パルスも、イエローの記録に比べてパルス幅が
広い。マゼンタ画像の記録後に、マゼンタ感熱発色層を
定着してから、シアン画像を1ラインずつ記録する。こ
のシアン画像の記録時のバイアス加熱でも、マゼンタ画
像の熱記録と同じ個数の修正バイアスパルスが用いられ
る。しかし、シアン感熱発色層のバイアス熱エネルギB
Cが大きいので、パルス幅が長いストローブ信号が用い
られ、それによりパルス幅が広いバイアスパルスが作成
される。同様に、シアン画像記録時の階調パルスも、マ
ゼンタの記録に比べてパルス幅が広くされる。
【0061】図7にバイアスパルス列と階調パルス列と
の一例を示す。なお、この例では、各シェーディング補
正データを「0」にしている。第1発熱素子により階調
レベル256の画素を記録する場合には、DB01 =2
24,DB11 =32,DBC1 =256,DG1 =2
56となる。また、第2発熱素子が第1発熱素子よりも
抵抗が低い場合で階調レベル256の画素を記録する場
合には、BB=176,ΔR12 =23,DB02 =1
99,DB12 =20,DG2 =256となる。また、
第3発熱素子が第2発熱素子と同じ抵抗値であり、階調
レベル128の画素を記録する場合には、BB=17
6,ΔR13 =23,DB03 =199,DB13 =1
0,DG3 =128となる。また、第4発熱素子が第1
発熱素子よりもやや抵抗が低い場合で階調レベル13の
画素を記録する場合には、BB=176,ΔR14 =3
6,DB04 =212,DB14 =3,DG4 =13と
なる。そして、これら修正バイアスデータDBCi が、
比較データと比較されることにより、各発熱素子が修正
バイアス加熱される。なお、階調補正係数データΔR2
i をラインメモリ62に書き込む代りに、抵抗値誤差デ
ータΔRi を書き込んでもよく、この場合には、乗算器
38で抵抗値誤差データΔRi に係数データk2と画像
データDGi とを乗じる。
【0062】図8は、データの書き込み・読み出しを効
率良く行うために、画像データ用とバイアスデータ用と
に、それぞれ2個のラインメモリを設け実施例を示すも
のである。画像データ用ラインメモリ32a,32bの
一方が読み出し中に、他方に次の1ライン分の画像デー
タDGi が書き込まれる。また、Hシェーディング補
正、Vシェーディング補正を行うために、基本バイアス
データDB0i もライン毎に用意されているから、一方
のバイアスデータ用ラインメモリ33aの読み出し中に
は、他方のバイアスデータ用ラインメモリ33bに、シ
ステムコントローラ50から次のラインの基本バイアス
データDB0i が書き込まれる。なお、図1に示す実施
例と同一構成部材には同一符号が付してある。
【0063】乗算器38による乗算は固定小数点方式を
用いているから、小数点以下の切り捨てにより、大きな
演算誤差が発生する。図9は、固定小数点方式を用いて
も演算誤差が大きくならないようにした実施例を示す。
階調補正係数データ用ラインメモリ34には、階調熱エ
ネルギ誤差を修正するための補正係数データΔR2i
X倍したものがシステムコントローラによって書き込ま
れている。乗算器38は、ΔR2i ・Xと画像データD
i とを乗算する。この後、割算器60で、乗算器38
からの出力をXで割った後、この値を加算・リミッタ3
9に送る。このように、X倍した値に画像データDGi
を乗算し、小数点以下を丸め演算するから、X倍しない
場合に比べて、丸め演算による誤差の発生が少なくな
る。したがって、固定小数点方式の演算を採用しても演
算誤差が大きくならないから、ハード構成が複雑になる
浮動小数点方式の演算を採用する必要がなく、構成を簡
単にすることができる。
【0064】なお、上記実施例では、各発熱素子毎にそ
の抵抗値誤差に基づき修正バイアスデータを決定する際
に、検出した最大抵抗値を基準にして、この標準抵抗値
に対する誤差を求めている。そして、最大抵抗値に対し
ては256個の修正バイアスパルスを与え、各発熱素子
の抵抗値誤差に基づきバイアスパルスを減少するように
したが、この他に検出した抵抗値に基づき平均抵抗値を
求め、この平均抵抗値に対してバイアスパルス数を増減
するようにしてもよい。更には、最小抵抗値を基準にし
て各発熱素子毎のバイアスパルス数を決定してもよい。
また、多数個のバイアスパルスを用いて各熱エネルギ誤
差を無くすようにしたが、これに代えて、1個のバイア
スパルスを用いもよい。この場合には、各熱エネルギ誤
差に基づきパルス幅を変更する。
【0065】また、上記実施例では画像データ用ライン
メモリを2個設けたが、これは3個以上としてもよい。
また、本発明は、感熱記録の他に、熱転写記録に対して
も、抵抗むら補正のために適用することができる。更
に、ラインプリンタの他に、シリアルプリンタにも利用
することができる。また、ストローブ信号のON/OF
F時間を色毎に変える代わりに、バイアスパルスと階調
パルスのパルス数を色毎に変更するようにしてもよい。
また、バイアス加熱と階調表現加熱とでは、ストローブ
信号の長さを変えるようにしたが、同じストローブ信号
を用いるようにしてもよい。この場合には、加熱量に合
わせてそれぞれのパルス数を変更する。
【0066】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、各発熱素子の抵抗値誤差に起因して発生するバイ
アス熱エネルギ誤差と階調表現熱エネルギ誤差とを予め
求めておき、これら誤差をバイアスパルスの幅又は個数
を変えることにより無くすようにしたから、各発熱素子
に抵抗値のばらつきがある場合でも、このばらつきの影
響を無くしてこれに起因する濃度むらや色むらを無くす
ことができる。また、サーマルヘッドの抵抗値誤差に起
因する発熱むらを無くすことができるため、サーマルヘ
ッドに対する抵抗値むらの許容度が増し、サーマルヘッ
ドの歩留りが向上し、コストダウンが可能になる。更
に、多数のパルスからなるパルス列により各発熱素子を
駆動するから、きめ細かな発熱制御を行うことができ、
より一層濃度むらの発生を少なくすることができる。
【0067】また、各発熱素子の抵抗値誤差に起因する
発熱むらの内、階調表現加熱の際に発生する発熱むらに
対しても、バイアスパルス列の個数の変更により行うた
め、演算処理が簡単になる。すなわち、階調データに直
接補正データを乗じて補正する方法では、大量の演算処
理が必要になるため、高速演算回路が必要になり製造コ
ストが高くなるという問題があるが、このような問題を
解消することができる。また、階調表現熱エネルギ誤差
を補正するための階調補正データを、補正係数データに
階調画像データを乗じて求めるため、各発熱素子毎に正
確な発熱量制御を行うことができ、抵抗値むらに起因す
る濃度むらや色むらをより一層無くすことができる。
【0068】階調補正係数データをX倍した後にライン
メモリに書き込み、乗算器からの出力をXで割算した後
に加算器に送るようにしたから、装置コストが低くなる
固定小数点方式の演算を採用しても、誤差が大きくなら
ず、安価な装置構成で抵抗値誤差に起因する濃度むらや
色むらを無くすことができる。また、バイアスデータに
シェーディング補正データを加味することにより、抵抗
値誤差に起因して発生する濃度むら等の発生を抑えると
ともに、シェーディング補正も簡単に行うことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のサーマルヘッド駆動制御装置の要部を
示すブロック図である。
【図2】カラー感熱プリンタの概略図である。
【図3】カラー感熱記録材料の層構造を示す説明図であ
る。
【図4】各感熱発色層の発色特性を示すグラフである。
【図5】Hシェーディング補正のパルス数の一例を示す
グラフである。
【図6】カラー感熱プリンタの処理手順を示すフローチ
ャートである。
【図7】バイアスパルス列と階調パルス列との一例を示
す説明図である。
【図8】ラインメモリを2組ずつ設けた他の実施例にお
けるサーマルヘッド駆動制御装置の要部を示すブロック
図である。
【図9】数値演算誤差を少なくした他の実施例における
サーマルヘッド駆動制御装置をの要部を示すブロック図
である。
【符号の説明】
12 カラー感熱記録材料 14 サーマルヘッド 171 〜17n 発熱素子 32,33,34,32a,32b,33a,33b
ラインメモリ 31,50 システムコントローラ 37 抵抗値検出回路 38 乗算器 39 加算・リミッタ 40 セレクタ 41 コンパレータ 42 メモリコントローラ 43 プリントコントローラ 44 ストローブ信号発生回路 60 割算器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B41M 5/26 B41J 3/20 117 C 7267−2H B41M 5/26 P

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の発熱素子をライン状に並べてなる
    サーマルヘッドの各発熱素子に、バイアス加熱駆動パル
    スと、画像データに対応したパルス個数からなる階調表
    現加熱駆動パルスとを与えて画素を記録材料に記録する
    サーマルプリンタのサーマルヘッド駆動制御方法におい
    て、 前記各発熱素子の抵抗値誤差に起因する熱エネルギ誤差
    を、バイアス加熱の際に発生するバイアス熱エネルギ誤
    差と、階調表現加熱の際に発生する階調表現熱エネルギ
    誤差とに分けて予め求めておき、これらの熱エネルギ誤
    差をバイアス加熱駆動パルスのパルス個数又はパルス幅
    を変更することにより解消することを特徴とするサーマ
    ルヘッド駆動制御方法。
  2. 【請求項2】 多数の発熱素子をライン状に並べてなる
    サーマルヘッドの各発熱素子に、バイアス加熱駆動パル
    ス列と、画像データに対応したパルス個数からなる階調
    表現加熱駆動パルス列とを与えて画素を記録材料に記録
    するサーマルプリンタのサーマルヘッド駆動制御装置に
    おいて、 画像データを1ライン分記憶するための第1のラインメ
    モリと、各発熱素子の抵抗値誤差に起因してバイアス加
    熱の際に発生するバイアス熱エネルギ誤差を補正するた
    めのバイアス補正データを加味したバイアスデータを各
    発熱素子毎に記憶した手段と、このバイアスデータを1
    ライン分記憶するための第2のラインメモリと、各発熱
    素子の抵抗値誤差に起因して階調表現加熱の際に発生す
    る階調表現熱エネルギ誤差を補正するための階調補正係
    数データを各発熱素子毎に記憶した手段と、階調補正係
    数データを1ライン分記憶するための第3のラインメモ
    リと、第1のラインメモリから読み出した画像データと
    第3のラインメモリから読み出した階調補正係数データ
    とを乗算して階調補正データを算出する乗算器と、この
    乗算器からの階調補正データと第2のラインメモリから
    のバイアスデータとを加算する加算器と、加算器及び第
    1のラインメモリの一方を選択してこれのデータを出力
    するセレクタと、比較データを発生するプリントコント
    ローラと、セレクタからの各データとプリントコントロ
    ーラからの比較データとを比較して各発熱素子毎の駆動
    データを発生するコンパレータとを備えたことを特徴と
    するサーマルヘッド駆動制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のサーマルヘッド駆動制御
    装置において、階調補正係数データをX倍した後に、第
    3のラインメモリに書き込み、乗算器からの出力を1/
    Xした後に、加算器に送るようにしたことを特徴とする
    サーマルヘッド駆動制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項2又は3記載のサーマルヘッド駆
    動制御装置において、バイアスデータには、シェーディ
    ング補正データが加味されていることを特徴とするサー
    マルヘッド駆動制御装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002279363A (ja) * 2001-03-21 2002-09-27 Nippon Signal Co Ltd:The 表示機能付きカード処理装置およびそれを用いたシステム

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JP2002279363A (ja) * 2001-03-21 2002-09-27 Nippon Signal Co Ltd:The 表示機能付きカード処理装置およびそれを用いたシステム

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