JPH07316503A - コーティング組成物 - Google Patents

コーティング組成物

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JPH07316503A
JPH07316503A JP13831794A JP13831794A JPH07316503A JP H07316503 A JPH07316503 A JP H07316503A JP 13831794 A JP13831794 A JP 13831794A JP 13831794 A JP13831794 A JP 13831794A JP H07316503 A JPH07316503 A JP H07316503A
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Sumitomo Seika Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】分子内に五員環カーボナート基を平均少なくと
も1個有する化合物で化学修飾されたコラーゲン類を含
有してなるコーティング組成物。 【効果】本発明のコーティング組成物を木材、繊維、合
成樹脂、金属など各種基材にコーティングすることによ
り、皮革に類似の触感を有し、汚れの付き難い塗膜を形
成することが出来る。従って、家具、装飾品その他調度
品の塗装あるいは皮革類似のシートの作製に本発明のコ
ーティング組成物は極めて有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な化学修飾されたコ
ラーゲン類を主成分として含むコーティング組成物に関
するもので、特に、吸湿性、吸油性を有し、天然皮革に
類似の触感を有する塗膜を形成し得るコーティング組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】天然皮革は通気性・柔軟性に富み、保湿
性、吸油性を備え、且つ機械的強度にも恵まれた素材で
あり、古くより日用品その他幅広い分野で活用されてき
た。しかしその消費の急速な拡大に伴い、均質な材料を
安定した価格で大量に供給することに困難をきたし、人
工皮革、合成皮革といった天然皮革に類似の外観、強度
を有する材料が普及するに至った。
【0003】しかしながら、これらの材料は天然皮革の
有する機能を十分に満たすには至らず、引き続き機能面
で天然皮革に近づいた人工皮革、合成皮革の開発研究が
続けられている。一方、天然皮革の有する特性を皮革素
材に求め、そこから新しい素材を創生する試みとして、
皮革の微粉末や皮革成分のコラーゲンおよびその加水分
解生成物であるゼラチンを利用し、これらを含む塗料、
コーティング剤から天然皮革の有する機能を備えた合成
皮革や塗膜を形成する手法が確立されるに至った。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】現在、確立されている
手法の一つとして、皮革微粉末、コラーゲン又はゼラチ
ン(以下、本発明においてはこれをコラーゲン類とい
う)を合成樹脂類又はゴム類をバインダーとして基材表
面に塗布したり、基材に含浸したりする方法がある。こ
の方法では、用いたバインダー成分がコラーゲン類と反
応性を有しない場合、コラーゲン類はバインダー樹脂相
又はゴム相中に分散した状態にあり、乾燥固化した後は
コラーゲン類の表面はバインダー成分で覆われ、コラー
ゲン類の有する機能が充分に発揮され難い。また、それ
を避けてコラーゲン類の機能を充分に引き出すためにバ
インダー成分に対するコラーゲン類の配合割合を大幅に
増大した場合は、バインダーの結合力が低下し、バイン
ダー樹脂相又はゴム相の機械的強度が低下し、場合によ
ってはコラーゲン類の脱落・剥離の恐れも生じる。
【0005】コラーゲン類は、分子内に反応性官能基と
してヒドロキシル基、カルボキシル基およびアミノ基を
含有している。バインダーの合成樹脂類又はゴム類がコ
ラーゲン類と反応し得る場合、コラーゲン類とバインダ
ー成分がグラフトした形になり、乾燥固化した膜の性状
はこのグラフト化合物の性状に依存する。コラーゲン類
とバインダー成分との化学反応性は、用いるバインダー
の化学的性質によって変わるが、コラーゲン類の含有す
る3種の反応性官能基それぞれの反応性は通常近似して
おり、バインダーと選択的に反応させることは難しい。
このためコラーゲン類とバインダーとの化学反応がマイ
ルドな条件で行われる時にはグラフト化率は低く、単に
バインダー相内にコラーゲン類が分散した状態となる。
逆に反応条件がシビアーな場合には、コラーゲン類の全
反応性官能基がバインダーの有する化学反応基と結合
し、架橋・縮合が進み、コラーゲン類の有する機能が阻
害され、あるいはバインダー類の性質、例えば柔軟性、
伸び率等が変わるなどの悪影響が生じる。
【0006】最近、コラーゲン類の有する反応性官能基
を利用して反応性化合物と反応させて化学的に修飾され
たコラーゲン類を得た後、この生成物をさらに基材と反
応させる方法が発表されており、例えば特開平4−54
200号公報では、コラーゲン類のカルボキシル基とア
リルアルコールとのエステル化反応を行った後、このエ
チレン性不飽和二重結合を有する修飾されたコラーゲン
類をさらに基材にグラフトしている。しかしこの場合も
コラーゲン類の有する反応性官能基の反応性が低いた
め、化学修飾は充分に行われず、反応温度を高めるなど
シビアーな反応条件を採用した場合はコラーゲン類の変
質により目的のコラーゲン類の有する機能特性が消滅す
る恐れが出る。
【0007】一方、式(1)で示される五員環カーボナ
ート基はエポキシ基と二酸化炭素とを触媒の存在下で反
応し、ほぼ定量的に得られるもので、エポキシ基を有す
る低分子(モノマー)化合物或いはエポキシ基を有する
高分子化合物から、それぞれ対応する五員環カーボナー
ト基を有する化合物が得られることが知られている(特
開昭62−45584号公報)。
【0008】
【化2】
【0009】この五員環カーボナート基は、アミノ基と
選択的に反応しヒドロキシウレタン基を生成すること
が、さらに知られている(例えば、Makromol. Chem. 19
3, 1481 〜 1492(1992))。しかしながら、これらは五員
環カーボナート基を有するモノマーあるいはポリマー化
合物と低分子のモノ又はポリアミン化合物との選択的反
応に関するものについての開示であり、コラーゲン類の
如く、アミノ基のほかカルボキシル基、ヒドロキシル基
の反応性官能基を分子内に多数含有し、多数のアミノ基
から構成されている高分子化合物と五員環カーボナート
基との選択的反応の研究については報告されていない。
【0010】本発明は前記の欠点を解消し、コラーゲン
類の有する機能特性を生かした新規な化学修飾されたコ
ラーゲン類を主成分として含むコーティング組成物を提
供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らはコラーゲン
類の特性を残した化学修飾につき永年研究を続けてきた
ところ、分子内に五員環カーボナート基を有する化合物
がコラーゲン類の含有するアミノ基とも選択的に容易に
反応することを確認すると同時にこの分子内に五員環カ
ーボナート構造を有する化合物とコラーゲン類との反応
により得られる化学修飾されたコラーゲン類を主成分と
して含むコーティング組成物が、吸湿性・吸油性に富
み、天然皮革に類似の触感を有する塗膜形成能を有する
ことを見出し、本発明を完成させた。
【0012】即ち、本願発明の要旨は、(1) 分子内
に式(1)で示される五員環カーボナート基を平均少な
くとも1個有する化合物で化学修飾されたコラーゲン類
を含有してなるコーティング組成物、
【0013】
【化3】
【0014】(2) 化学修飾されたコラーゲン類が、
ゼラチンと分子内に五員環カーボナート基を平均少なく
とも1個有する化合物との反応物である前記(1)記載
のコーティング組成物、(3) 分子内に五員環カーボ
ナート基を平均少なくとも1個有する化合物が、飽和ま
たはエチレン性不飽和基を有するモノ−またはポリカル
ボン酸(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イ
ル)メチルエステル、飽和またはエチレン性不飽和基を
有するモノ−または多価アルコール(2−オキソ−1,
3−ジオキソラン−4−イル)メチルエーテル、4−ヒ
ドロキシメチル−2−オキソ−1,3−ジオキソラン、
エチレン性不飽和基を有するモノ−またはポリカルボン
酸(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メ
チルエステルと他の共重合し得るエチレン性不飽和基を
有する単量体との共重合体、およびエチレン性不飽和基
を有するモノまたは多価アルコール(2−オキソ−1,
3−ジオキソラン−4−イル)メチルエーテルと他の共
重合し得るエチレン性不飽和基を有する単量体との共重
合体からなる群より選ばれた1種以上である前記(1)
又は(2)記載のコーティング組成物、(4) 化学修
飾されたコラーゲン類が、コラーゲン類100gに対し
五員環カーボナート基を0.04〜0.2モルの比率
で、分子内に五員環カーボナート基を平均少なくとも1
個有する化合物と反応させて得られるものである前記
(1)、(2)又は(3)記載のコーティング組成物、
(5) 化学修飾されたコラーゲン類が、前記(4)に
記載の反応により得られる化学修飾されたコラーゲン類
に対して、分子内に五員環カーボナート基を平均少なく
とも1個有する化合物以外の他の化合物で、さらに反応
せしめて得られるものである前記(1)〜(4)いずれ
か記載のコーティング組成物、並びに(6) 更に着色
用顔料・染料、無機充填材、有機充填材、酸化防止剤、
紫外線劣化防止剤、分散剤、粘度調整剤、レオロジーコ
ントロール剤、消泡剤、界面活性剤、可塑剤、硬化剤、
硬化促進剤、溶媒を含む添加剤類から選ばれた1種類ま
たはそれ以上の添加剤を含有してなる前記(1)〜
(5)いずれか記載のコーティング組成物、(7) 硬
化剤がポリイソシアナート化合物もしくはその変性物、
又はエポキシ化合物である前記(6)記載のコーティン
グ組成物、に関する。
【0015】本発明のコーティング組成物は、分子内に
五員環カーボナート基を平均少なくとも1個有する化合
物で化学修飾されたコラーゲン類を含有してなることを
特徴とするものである。
【0016】本発明において用いられるコラーゲン類
は、牛、豚など動物類のスキン組織あるいは動物類の骨
組織中に存在し、化学的にはグリシン、プロリン、ヒド
ロキシプロリン、グルタミン酸、リジンなど18種類の
アミノ酸から構成されているポリペプチドであることが
知られている。精製されたコラーゲンとしては、通常、
動物類の皮又は骨を酸又はアルカリで抽出するか、酵素
を用いて水抽出し、乾燥固化してゼラチンの形で得られ
る。ゼラチンは分子量が数1000以上100万位まで
の高分子量ポリペプチドであり、ゼラチンとコラーゲン
とは化学的には同一成分よりなり、分子間水素結合の生
成・消滅に伴い両者間で構造転移が生ずる。ゼラチンが
スパイラル状のポリペプチドからなるのに対し、コラー
ゲンは3本のポリペプチドのヘリカル構造をとり、コラ
ーゲンでは分子内立体障害により反応性官能基の化学反
応性はゼラチンのそれよりも低い。
【0017】本発明の方法で化学修飾を受けるコラーゲ
ン類としては、皮革微粉末、コラーゲンおよびゼラチン
のいずれもが選ばれ得るが、五員環カーボナート基との
反応性を考えるとゼラチンが好ましい原料である。従っ
て、ゼラチンと分子内に五員環カーボナート基を平均少
なくとも1個有する化合物との反応物が、本発明では好
適に用いられる。
【0018】本発明で用いられる分子内に五員環カーボ
ナート基を有する化合物は、次のエポキシ基を有する化
合物から誘導される。
【0019】(1)飽和またはエチレン性不飽和基を有
するモノ−またはポリカルボン酸のグリシジルエステ
ル。例えばアクリル酸、メタクリル酸、アジピン酸、テ
トラヒドロフタル酸などのグリシジルエステル等が挙げ
られる。これらのうち、好ましくはアクリル酸グリシジ
ルエステル、およびメタクリル酸グリシジルエステルか
ら誘導される。
【0020】(2)飽和またはエチレン性不飽和基を有
するモノ−または多価アルコールのグリシジルエーテ
ル。例えばアリルアルコール、1個またはそれ以上の芳
香族核を有するフェノールまたは多価フェノール、1個
またはそれ以上の芳香族核を有する多価フェノールと炭
素数2ないし4個のアルキレンオキシドとの付加反応で
得られるアルコール性ポリヒドロキシ化合物、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、炭素数2ないし4
個のアルキレンオキシドから得られるポリアルキレング
リコール、ソルビトール、グリセロール、ペンタエリス
リトール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、炭素数6個以上の飽和炭化水素アルコールなどのグ
リシジルエーテル等が挙げられる。これらのうち、好ま
しくはアリルグリシジルエーテルおよびポリアルキレン
グリコールグリシジルエーテルから誘導される。
【0021】(3)グリシドール (4)エチレン性不飽和基を有するモノ−またはポリカ
ルボン酸のグリシジルエステルと、他の共重合し得るエ
チレン性不飽和基を有する単量体との共重合体で、平均
少なくとも1個のエポキシ基を主鎖もしくは側鎖に有す
るもの。ここで、該共重合体を構成するグリシジルエス
テルの例としては上記(1)に記載したグリシジルエス
テルがあり、また他の共重合し得る単量体の例としては
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、
マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基含有単量
体;2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプ
ロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレ
ート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシ
ブチルアクリレート、アリルアルコールなどのヒドロキ
シル基含有単量体;ジメチルアミノエチルアクリレート
などの含窒素アルキルアクリレート;アクリルアミド、
メタクリルアミドなどの重合性アミド;アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリルなどの重合性ニトリル;メチル
アクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレ
ート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレ
ート、2−エチルヘキシルアクリレートなどのアルキル
(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレ
ン、ビニルトルエンなどの重合性芳香族化合物;酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニルなどのビニル化
合物;エチレン、プロピレンなどのα−オレフィン;ブ
タジエン、イソプレンなどのジエン化合物など、および
分子内に2個以上のエチレン性不飽和基を有する多官能
単量体として、エチレングリコールジアクリレートなど
の多価アルコールの重合性不飽和モノカルボン酸エステ
ル;ジアリルテレフタレート、ジアリルフタレート、ト
リアリルイソシアヌレートなどの多塩基酸の重合性不飽
和アルコールエステルおよびジビニルベンゼンなどの2
個以上のビニル基で置換された芳香族化合物がある。こ
れらのうち、好ましくはアクリル酸グリシジルエステル
とアクリル酸との共重合体、アクリル酸グリシジルエス
テルとメチルメタクリレートとの共重合体、およびメタ
クリル酸グリシジルエステルとスチレンとの共重合体か
ら誘導される。
【0022】(5)エチレン性不飽和基を有するモノ−
または多価アルコールのグリシジルエーテルと、他の共
重合し得るエチレン性不飽和基を有する単量体との共重
合体で、平均少なくとも1個のエポキシ基を主鎖もしく
は側鎖に有するもの。ここで、該共重合体を構成するグ
リシジルエーテルの例としては上記(2)に記載のもの
があり、他の共重合し得る単量体の例としては上記
(4)に記載のカルボキシル基含有単量体、ヒドロキシ
ル基含有単量体、含窒素アルキルアクリレート、重合性
アミド、重合性ニトリル、アルキルアクリレート、アル
キルメタクリレート、重合性芳香族化合物、ビニル化合
物、α−オレフィン、ジエン化合物、多価アルコールの
重合性不飽和モノカルボン酸エステル、多塩基酸の重合
性不飽和アルコールエステルおよび2個以上のビニル基
で置換された芳香族化合物がある。これらのうち、好ま
しくはアリルグリシジルエーテルとアクリル酸との共重
合体、およびアリルグリシジルエーテルとメチルメタク
リレートとの共重合体から誘導される。
【0023】以上のような、分子内にエポキシ基を有す
る化合物を、四級アンモニウム塩、アルカリ金属ハライ
ドなど既知の触媒の存在下、溶媒中又は無溶媒下で、常
圧ないし加圧下、二酸化炭素と反応させることにより、
エポキシ基を定量的に五員環カーボナート基に転換せし
め、エポキシ基含有化合物を対応する五員環カーボナー
ト基含有化合物とすることができる。
【0024】当該化合物としては、具体的には、飽和ま
たはエチレン性不飽和基を有するモノ−またはポリカル
ボン酸(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イ
ル)メチルエステル、飽和またはエチレン性不飽和基を
有するモノ−または多価アルコール(2−オキソ−1,
3−ジオキソラン−4−イル)メチルエーテル、4−ヒ
ドロキシメチル−2−オキソ−1,3−ジオキソラン、
エチレン性不飽和基を有するモノ−またはポリカルボン
酸(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メ
チルエステルと他の共重合し得るエチレン性不飽和基を
有する単量体との共重合体、およびエチレン性不飽和基
を有するモノまたは多価アルコール(2−オキソ−1,
3−ジオキソラン−4−イル)メチルエーテルと他の共
重合し得るエチレン性不飽和基を有する単量体との共重
合体からなる群より選ばれた1種以上が挙げられる。こ
れらのうち、特に好ましくは(2−オキソ−1,3−ジ
オキソラン−4−イル)メチルメタクリレート、(2−
オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアリ
ルエーテル、(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4
−イル)メチルメタクリレートとスチレンとの共重合体
および(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イ
ル)メチルアリルエーテルとメチルメタクリレートとの
共重合体から誘導される。
【0025】本発明では、かくして得られる分子内に平
均少なくとも1個の五員環カーボナート基を有する化合
物を用いてコラーゲン類を化学修飾する。化学修飾の反
応は溶媒の存在下または不存在下に室温ないし180
℃、望ましくは40℃ないし140℃の温度で行う。
【0026】反応は室温でも充分早く進行するが、より
速い反応の進行を求める場合は180℃、好ましくは1
40℃まで加熱することが出来る。これ以上の高温下で
は定かではないが五員環カーボナートの架橋反応あるい
はコラーゲン類中に含有されている反応性官能基の関与
する反応等に起因すると推測される不溶体の生成やコラ
ーゲンの変質など、コラーゲンの有する特性の消滅、そ
の他の不都合が生ずる傾向がある。一方、室温より低温
では反応速度が低下し、コラーゲン類の化学修飾が不十
分に行われる恐れが生じる。
【0027】溶媒については、コラーゲン類および五員
環カーボナート基を有する化合物の両者に対して良溶媒
となり得ると共に、反応条件下不活性な溶媒の選択が、
反応を均一に進行せしめる上で有効である。しかし、こ
れらに限定されるものではなく、無溶媒あるいは不活性
溶媒中に分散した状態で反応することも可能である。例
えば、分子内に五員環カーボナート基を有する化合物が
液体であり、且つコラーゲン類を溶解ないし膨潤させ均
一に混合し得る場合、溶媒の存在しない状態で反応は均
一に進行する。
【0028】コラーゲンないしゼラチンの良溶媒として
は水、グリセリン、プロピレングリコール、あるいはエ
タノールと水との混合系、ジメチルスルホキサイド、
N,N−ジメチルホルムアミド、スルホランなどの極性
の高い有機溶媒と水との混合系などがある。これらの溶
媒は五員環カーボナート基を有する化合物の有する性質
に応じて適宜選択することができる。
【0029】コラーゲン類と五員環カーボナート基を有
する化合物との反応は、コラーゲン類100gに対し五
員環カーボナート基を0.04〜0.2モルの比率、好
ましくは0.04〜0.08モルの比率で反応せしめる
ものである。五員環カーボナート基の割合がこの範囲よ
り小さい時、未反応のコラーゲン類が残りやすい傾向が
あり、逆にこの範囲より大きい時には不溶性物質が生成
し易い傾向がある。
【0030】コラーゲン類と五員環カーボナート基を有
する化合物との反応において、コラーゲン類の不溶化、
五員環カーボナート基を有する化合物の架橋不溶化を避
ける注意が必要であり、反応温度、反応化合物の割合の
ほか、クロム、アルミニウムのような多価金属イオンの
混入あるいはアルデヒド類の混入もコラーゲン類の不溶
化を引起し五員環カーボナート基との均一な反応を阻害
するので避けることが好ましい。
【0031】以上の反応を解析すべく、コラーゲン類と
してゼラチンと分子内に五員環カーボナート基を有する
化合物との反応の前後のIRスペクトルを解析した場
合、五員環カーボナート特有のC=O結合の吸収(18
01cm-1)の消滅、ウレタン基のC=O結合の吸収
(1710cm-1)およびアルコールのH−O結合の吸
収(3390cm-1)の生成が観測され、ゼラチンのよ
うな高分子量のアミノ基含有化合物においても五員環カ
ーボナート基とアミノ基とが選択的に反応し、ヒドロキ
シルウレタン基が生成することが確認される。
【0032】コラーゲン類と分子内に五員環カーボナー
ト基を有する化合物との反応により生成したコラーゲン
類誘導体(以下、これを「化学修飾されたコラーゲン
類」と言う)は、そのまま又はさらに化学的修飾を加え
た上、本発明の改良されたコーティング組成物の主成分
として用いる。
【0033】化学修飾されたコラーゲン類の含有量は、
コーティング組成物の全固形分に対し、通常20〜10
0重量%、好ましくは40〜98重量%である。この範
囲より少ないとコラーゲン類の有する吸水性、吸油性な
どの特性をコーティング膜に充分に持たすことが難しく
なる。
【0034】コラーゲン類の化学修飾に用い得る分子内
に五員環カーボナート基を有する化合物は、前記詳述し
た如くモノマーからポリマーまで幅広く、さらに化学修
飾されたコラーゲン類には強い反応性を有するものか
ら、反応性が無いものまで含まれる。化学修飾によりポ
リマーがグラフトしたコラーゲン類は本発明のコーティ
ング組成物の主成分として用いることができる。ポリマ
ーがグラフトしたコラーゲン類をさらに他の化合物と反
応させて本発明のコーティング組成物の主成分として用
いることもできる。モノマーで修飾したコラーゲン類は
他の化合物と反応させてから用いることが多いが、反応
することなく、そのままコーティング組成物の主成分と
して用いることもできる。特にコーティング組成物中に
反応性化合物を添加し、組成物のアプリケーションの
際、化学修飾されたコラーゲン類と反応させる方法は望
ましい。
【0035】化学修飾されたコラーゲン類が、分子内に
五員環カーボナート基を平均少なくとも1個有する化合
物以外の他の化合物で、さらに反応せしめてなるもので
ある場合、具体的にはその他の化合物として、エチレン
性二重結合を有する化学修飾されたコラーゲン類と酢酸
ビニル、アクリル酸エステル、スチレンなどのビニル基
含有モノマーとの共重合体、並びに反応性水酸基を有す
る化学修飾されたコラーゲン類とフタル酸、マレイン酸
などの二塩基酸および酸無水物との縮合物等を挙げるこ
とができる。
【0036】本発明のコーティング組成物は、化学修飾
されたコラーゲン類を主成分として含むほか、更に着色
用顔料・染料、無機充填材、有機充填材、酸化防止剤、
紫外線劣化防止剤、分散剤、粘度調整剤、レオロジーコ
ントロール剤、消泡剤、界面活性剤、可塑剤、硬化剤、
硬化促進剤、溶媒を含む添加剤類から選ばれた1種類ま
たはそれ以上の添加剤を含有していてもよく、その他コ
ーティング剤に必要な各種添加剤を含むことが出来る。
本発明のコーティング組成物は含有成分の性質に応じて
選ばれた溶媒を含むことができる。溶媒の選択は主成分
の化学修飾されたコラーゲン類の性質に基づき行われ
る。
【0037】化学修飾されたコラーゲン類は、種類によ
って水性エマルジョン化することが可能なものがある。
この場合、本発明のコーティング組成物は水性エマルジ
ョンとすることができる。さらに化学修飾されたコラー
ゲン類の種類によって界面活性剤を加えることなく自己
乳化可能なものがある。この場合、本発明のコーティン
グ組成物はソープレス又は乳化剤を大幅に減少した組成
物とすることが出来る。本発明のコーティング組成物
は、使用に先立って全成分を予め混合した一液型のほ
か、一部の成分、例えば硬化剤、硬化促進剤を別途使用
直前に主要成分に加え混合する二液型とすることが出来
る。ここで、硬化剤としては、ポリイソシアナート化合
物またはその変性物、エポキシ化合物等が、化学修飾さ
れたコラーゲン類との反応性が高く、かつ商業的に容易
に入手できるので好ましい。
【0038】本発明のコーティング組成物は、繊維・紙
・木材・コンクリート、モルタル、石材、セラミック
ス、硝子、プラスチック類、金属など各種基材の表面に
直接又は下塗りシーラーを介して塗布し得るほか、基材
内部に含浸させ固化させることもできる。
【0039】本発明のコーティング組成物はスプレー、
ハケ塗り、ディッピング等の他、ローラーコーティング
など既知の手法を用いて塗工し得る。塗工後、乾燥・製
膜は常温ないし180℃までの温度で行い長時間高温に
さらすことは避ける。
【0040】本発明のコーティング組成物の一つの用途
は塗料であり、木材、繊維、金属、石材、セラミック、
プラスチックなど各種の基材表面に塗布することにより
保湿性、柔軟性に富んだ塗膜を形成する能力を有する。
特に家具・調度品、家庭用・オフィス用機器類などの塗
装に用いた場合、天然皮革のもつ暖かみのある触感が得
られ、人間の指紋など脂類が付着しても塗膜内部に移行
してコラーゲン類に吸収され、表面には残らない。さら
にコラーゲン類のもつ帯電防止性能により空中の塵埃の
付着が減少し、結露防止、防曇効果なども重なり塗膜表
面はクリーンに保たれる特徴が発揮される。
【0041】本発明のコーティング組成物の他の一つの
用途は衣料製品、人工皮革製品への応用である。本発明
のコーティング組成物から形成される膜は、コラーゲン
類の有する特性に加えて化学修飾に用いた化合物の性質
あるいは組成物に加えた添加物の性質を併せて保持し得
る。本発明のコーティング組成物を織布、編布、不織
布、紙などのシート状基材の表面に塗布したり、内部含
浸せしめ固化した場合、基材の組織密度、塗膜の物性・
厚み等により変わるが、一般的に通気性・吸湿性・吸油
性を有するシートが得られる。かかるシート状製品は吸
汗性、通気性、吸油性、帯電防止性、防塵性などの特徴
を生かして防水衣料、医療・電子産業分野などでの着衣
・マスク・手袋・帽子など、椅子などのシート、ブック
カバーなど衣料、小物製品、家具など各種分野で利用し
得る。
【0042】
【実施例】以下、製造例、および実施例により本発明を
さらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等に
よりなんら限定されるものではない。なお、特にことわ
りのない場合、部は重量部を表す。
【0043】製造例1〜6 攪拌機付きステンレス製反応容器中にて、トルエン溶媒
中で触媒として四級アンモニウム塩とアルカリ金属ハラ
イドを用い、エポキシ基を有する化合物に二酸化炭素を
連続的に導入しつつ、ゲージ圧0.2気圧の加圧下で反
応させることにより、エポキシ基を五員環カーボナート
基に転化せしめ、対応する五員環カーボナート基を有す
る化合物を得た。この反応条件は表1に示す通りであっ
た。
【0044】
【表1】
【0045】製造例7〜12 製造例1および2で得られた五員環カーボナート基を有
する単量体と他の共重合し得るエチレン性不飽和基を有
する単量体を共重合することにより、五員環カーボナー
ト基を分子内に平均少なくとも1個有する重合体を得
た。この重合条件は表2に示す通りであった。
【0046】
【表2】
【0047】製造例13〜24 製造例1〜12で、それぞれ得られた分子内に五員環カ
ーボナート基を有する化合物とゼラチンとの反応を行
い、ゼラチンが有するアミノ基と五員環カーボナート基
との選択的反応により、化学修飾されたゼラチンを得
た。この化学修飾反応の反応条件は表3に示した通りで
ある。用いたゼラチンは豚皮の酸処理によるもの、牛骨
の石灰処理によるもの、および豚皮の酵素処理によるも
のを市中より入手した。反応生成物のIRスペクトル解
析を行い、νc=O (1801cm-1)の消滅、ν
H-O (3390cm-1)とνc=O (1710cm-1)の
吸収を確認し、反応の進行を確かめた。
【0048】反応終了後、反応液は減圧下で溶媒の一部
を留出濃縮した後、溶媒の混合比(重量比)をエタノー
ル:水=40:50、イソプロパノール:水=50:5
0とした上、各製造例の生成物はいずれも固形分濃度2
0重量%になるよう調整した。
【0049】
【表3】
【0050】製造例25〜28 製造例13及び14にて得たエチレン性不飽和基を有す
る化学修飾されたゼラチンとエチレン性不飽和基を有す
る単量体との共重合反応により、ゼラチンにアクリル系
重合体をグラフトする修飾を行った。共重合の条件は表
4に示す通りであった。
【0051】
【表4】
【0052】実施例1 製造例15で得た分子量約1600のポリアルキレング
リコール(エチレンオキサイドとプロピレンオキサイド
のモル比1:1のブロック共重合体)の五員環カーボナ
ートエーテルをグラフトした化学修飾されたゼラチンを
主成分とする木材用塗料を次の配合組成で調製した。 化学修飾されたゼラチン(ビヒクル) 20部 顔料 Pig Red 112 (12370) 3部 硫酸バリウム 5部 顔料分散剤 ヘキサメタリン酸ソーダ 0.2部 消泡剤(シリコーン系) 0.1部 硬化剤 4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナートのオキシムブロ ック体 4部 硬化触媒 1,3−ジアセトキシテトラブチルジスタノキサン 0.1部 溶媒(エタノール:水の重量比は40:60) 67.6部
【0053】この塗料を木材(表面ポリウレタン樹脂シ
ーラー処理済み)面にスプレー塗布し常温乾燥後、14
0℃の熱風で30分加熱焼付けした。得られた塗膜は光
沢のある鮮赤を有し、基材との密着性も良好であった。
タバコ灰付着テストでも灰の静電気による付着はなく、
また指紋をつけた後3分間放置すると指紋の跡は完全に
消失した。
【0054】実施例2 製造例16で得たスチレン(2−オキソ−1,3−ジオ
キソラン−4−イル)メチルメタクリレート共重合体
〔分子量約1万、スチレン−メタクリレートのモル比は
3:1〕にて修飾されたゼラチン溶液(イソプロパノー
ル:水の重量比50:50混合液)を部分的に濃縮後、
酢酸イソプロピルを加え、固形分(修飾されたゼラチ
ン)濃度20wt%のイソプロパノール−水−酢酸イソ
プロピル(重量比30:40:30)混合溶液を調製し
た。この溶液を主要成分とする下記配合の塗料組成物を
調製した。 配合 化学修飾されたゼラチン(ビヒクル) 18部 顔料 グラファイト*1) 2部 硫酸バリウム 5部 ウレタン微粒子*2) 3部 顔料分散剤 0.1部 溶媒*3) 71.9部 *1)黒色カラー顔料 *2)粒径20ミクロンのウレタン粒子(大日本インキ
化学 バーノックCFB600C) *3)イソプロパノール−水−酢酸イソプロピル混合溶
媒(重量比30:40:30)
【0055】実施例3 製造例17で得たスチレン(2−オキソ−1,3−ジオ
キソラン−4−イル)メチルメタクリレート共重合体
〔分子量約2万、スチレン−メタクリレートのモル比は
3:1〕で修飾されたゼラチン溶液をベースに実施例2
と同様の配合塗料を調合した。
【0056】実施例4 製造例18で得たメチルアクリレート(2−オキソ−
1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアリルエーテ
ル共重合体〔分子量約7000、メチルアクリレート−
(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチ
ルアリルエーテルのモル比は3:1〕にて修飾されたゼ
ラチン溶液(溶媒:イソプロパノール−水の重量比は5
0:50混合液)を部分的に濃縮後、酢酸イソプロピル
を加え、修飾されたゼラチン濃度20wt%のイソプロ
パノール−水−酢酸イソプロピル(重量比30:40:
30)混合溶液を調製した後、これを主要成分とする実
施例2と同一の配合組成の塗料組成物を調合した。
【0057】実施例5 製造例19で得たメチルアクリレート(2−オキソ−
1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアリルエーテ
ル共重合体〔分子量約3万、メチルアクリレート−(2
−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルア
リルエーテルのモル比は3:1〕にて修飾されたゼラチ
ン溶液をベースに実施例2と同一の配合組成の塗料組成
物を調合した。
【0058】実施例6 実施例2〜5で調合したコーティング組成物を、それぞ
れ次の基材表面にスプレーコーティングし、60℃で3
0分間乾燥して膜厚12ないし18ミクロンの黒色・無
光沢で表面にザラツキのある塗膜を形成した。基材とし
て亜鉛メッキ鋼板、ポリカーボネートシートおよび半硬
質塩化ビニルシートを用いた。各塗膜はピンホール、ふ
くれ、色むらその他の汚れなどが殆どなく美麗な外観を
保持し、直接手で触れても指紋が残ることもなくクリー
ンに保てた。基材との密着性も良好で家具等の塗装に適
していた。
【0059】実施例7〜10 製造例20および25で得た(2−オキソ−1,3−ジ
オキソラン−4−イル)メチルメタクリレート・メチル
アクリレート・ヒドロキシエチルアクリレート(モル比
1:2:1)共重合体修飾ゼラチンならびに製造例22
および27で得た(2−オキソ−1,3−ジオキソラン
−4−イル)メチルアリルエーテル・メチルアクリレー
ト・ヒドロキシエチルアクリレート(モル比1:2:
1)共重合体修飾ゼラチンと、水分散型ブロックイソシ
アナート化合物とを主成分とするコーティング組成物
を、不織布にコーティングした後、乾燥キュアーし皮革
類似のシートを作製した。
【0060】用いたコーティング組成物の配合は次の通
りであった。 化学修飾されたゼラチン*1 14部*2 4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート(ブタノンオキシムブロ ック) 7部*2 1,3−ジアセトキシテトラブチルジスタノキサン 0.2部 Pig Red 53 (15585 : 1) (Lake Red C) 2部 炭酸カルシウム 3部 ヘキサメタリン酸ソーダ 0.2部 消泡剤(シリコーン系) 0.1部 溶媒(イソプロパノール−水−酢酸イソプロピルの重量比30:30:40) 73.5部 *1:各実施例では、次の化合物を用いた。 実施例7:(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−
イル)メチルメタクリレート・メチルアクリレート・ヒ
ドロキシエチルアクリレート共重合体グラフトゼラチン
(製造例20より) 実施例8:(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−
イル)メチルメタクリレート・メチルアクリレート・ヒ
ドロキシエチルアクリレート共重合体グラフトゼラチン
(製造例25より) 実施例9:(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−
イル)メチルアリルエーテル・メチルアクリレート・ヒ
ドロキシエチルアクリレート共重合体グラフトゼラチン
(製造例22より) 実施例10:(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4
−イル)メチルアリルエーテル・メチルアクリレート・
ヒドロキシエチルアクリレート共重合体グラフトゼラチ
ン(製造例27より) *2 固形分として重量部
【0061】各実施例ではポリエステルスパンボンド不
織布(平均繊度2デニール,目付量150g/m2 )に
各コーティング組成物をナイフ・オーバーロール・コー
ターを用いて塗工し、77℃および90℃の2段階の温
度で溶媒を蒸発乾燥した後、140℃で5分間キュアー
した。かくして得られた外観が皮革に類似したシートの
物性は表5の通りであった。
【0062】
【表5】
【0063】実施例11〜14 製造例21および26で得た(2−オキソ−1,3−ジ
オキソラン−4−イル)メチルメタクリレート・メチル
アクリレート・アクリル酸(モル比約1:2:1)共重
合体修飾ゼラチン:ならびに製造例23および28で得
た(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メ
チルアリルエーテル・メチルアクリレート・アクリル酸
(モル比約1:2:1)共重合体修飾ゼラチンを主成分
とし、水溶性エポキシ樹脂を架橋剤として含むコーティ
ング組成物を亜鉛メッキ鋼板基材表面にスプレー塗装し
た後、75℃および90℃の2段階で乾燥し、さらに1
20℃で15分間保持し、架橋キュアーし、膜厚30〜
50ミクロンの塗膜を得た。
【0064】コーティング組成物の配合は次の通りであ
った。 化学修飾されたゼラチン*1 20部*2 トリメチルアミン 0.5部*3 エチレングリコールジグリシジルエーテル 0.8部 酸化チタン 8部 ヘキサメタリン酸ソーダ 0.1部 消泡剤(シリコーン系) 0.1部 溶媒(イソプロパノール:水の重量比は10:90) 70.5部 *1:各実施例では、次の化合物を用いた。 実施例11:(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4
−イル)メチルメタクリレート・メチルアクリレート・
アクリル酸(モル比約1:2:1)共重合体グラフトゼ
ラチン(製造例21より) 実施例12:(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4
−イル)メチルメタクリレート・メチルアクリレート・
アクリル酸(モル比約1:2:1)共重合体グラフトゼ
ラチン(製造例26より) 実施例13:(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4
−イル)メチルアリルエーテル・メチルアクリレート・
アクリル酸(モル比約1:2:1)共重合体グラフトゼ
ラチン(製造例23より) 実施例14:(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4
−イル)メチルアリルエーテル・メチルアクリレート・
アクリル酸(モル比約1:2:1)共重合体グラフトゼ
ラチン(製造例28より) *2 固形分として *3 純分(30%水溶液の) 得られた塗膜はいずれも光沢があり、色むらその他の汚
れもなく、またピンホールや発泡も殆ど見られなかっ
た。基材との密着性も良好であった。塗膜の表面硬度
(鉛筆硬度)はいずれもBで、手で触れた時の触感は天
然皮革に類似し、指紋の跡もつかなった。
【0065】実施例15 製造例24で入手した4−ヒドロキシメチル−2−オキ
ソ−1,3−ジオキソランで修飾したゼラチン水溶液を
イソシアナート化合物の水性分散液で硬化するコーティ
ング組成物を調製した。その配合は次の通りであった。 化学修飾されたゼラチン 20部 Pig Blue 27(群青) 3部 硫酸バリウム 5部 ヘキサメタリン酸ソーダ 0.2部 消泡剤 0.1部 4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート(オキシムブロック) 8部 1,3−ジアセトキシテトラブチルジスタノキサン 0.2部 溶媒(イソプロパノール:水の重量比は10:90) 63.5部 このコーティング組成物をリン酸処理鋼板上にエアスプ
レーし、75℃および90℃の2段階で乾燥後、140
℃で30分間キュアーし、乾燥膜厚40ミクロン、鉛筆
硬度Bの塗膜を得た。塗膜は光沢があり汚れ、ふくれな
どがなく基材と密着していた。
【0066】
【発明の効果】本発明のコーティング組成物を木材、繊
維、合成樹脂、金属など各種基材にコーティングするこ
とにより、皮革に類似の触感を有し、汚れの付き難い塗
膜を形成することが出来る。従って、家具、装飾品その
他調度品の塗装あるいは皮革類似のシートの作製に本発
明のコーティング組成物は極めて有用である。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子内に式(1)で示される五員環カー
    ボナート基を平均少なくとも1個有する化合物で化学修
    飾されたコラーゲン類を含有してなるコーティング組成
    物。 【化1】
  2. 【請求項2】 化学修飾されたコラーゲン類が、ゼラチ
    ンと分子内に五員環カーボナート基を平均少なくとも1
    個有する化合物との反応物である請求項1記載のコーテ
    ィング組成物。
  3. 【請求項3】 分子内に五員環カーボナート基を平均少
    なくとも1個有する化合物が、飽和またはエチレン性不
    飽和基を有するモノ−またはポリカルボン酸(2−オキ
    ソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルエステ
    ル、飽和またはエチレン性不飽和基を有するモノ−また
    は多価アルコール(2−オキソ−1,3−ジオキソラン
    −4−イル)メチルエーテル、4−ヒドロキシメチル−
    2−オキソ−1,3−ジオキソラン、エチレン性不飽和
    基を有するモノ−またはポリカルボン酸(2−オキソ−
    1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルエステルと他
    の共重合し得るエチレン性不飽和基を有する単量体との
    共重合体、およびエチレン性不飽和基を有するモノまた
    は多価アルコール(2−オキソ−1,3−ジオキソラン
    −4−イル)メチルエーテルと他の共重合し得るエチレ
    ン性不飽和基を有する単量体との共重合体からなる群よ
    り選ばれた1種以上である請求項1又は2記載のコーテ
    ィング組成物。
  4. 【請求項4】 化学修飾されたコラーゲン類が、コラー
    ゲン類100gに対し五員環カーボナート基を0.04
    〜0.2モルの比率で、分子内に五員環カーボナート基
    を平均少なくとも1個有する化合物と反応させて得られ
    るものである請求項1、2又は3記載のコーティング組
    成物。
  5. 【請求項5】 化学修飾されたコラーゲン類が、請求項
    4に記載の反応により得られる化学修飾されたコラーゲ
    ン類に対して、分子内に五員環カーボナート基を平均少
    なくとも1個有する化合物以外の他の化合物で、さらに
    反応せしめて得られるものである請求項1〜4いずれか
    記載のコーティング組成物。
  6. 【請求項6】 更に着色用顔料・染料、無機充填材、有
    機充填材、酸化防止剤、紫外線劣化防止剤、分散剤、粘
    度調整剤、レオロジーコントロール剤、消泡剤、界面活
    性剤、可塑剤、硬化剤、硬化促進剤、溶媒を含む添加剤
    類から選ばれた1種類またはそれ以上の添加剤を含有し
    てなる請求項1〜5いずれか記載のコーティング組成
    物。
  7. 【請求項7】 硬化剤がポリイソシアナート化合物もし
    くはその変性物、又はエポキシ化合物である請求項6記
    載のコーティング組成物。
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