JPH07316139A - 光学活性2−低級アルキルピペラジンの製造方法 - Google Patents

光学活性2−低級アルキルピペラジンの製造方法

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JPH07316139A
JPH07316139A JP13260194A JP13260194A JPH07316139A JP H07316139 A JPH07316139 A JP H07316139A JP 13260194 A JP13260194 A JP 13260194A JP 13260194 A JP13260194 A JP 13260194A JP H07316139 A JPH07316139 A JP H07316139A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 キノリン系抗菌剤などの医薬品の中間体とし
て有用な(S)−2−低級アルキルピペラジンを、原料
化合物(S)−3−低級アルキル−2−ピペラジノンの
光学活性を保持しながら製造する方法を提供する。 【構成】 下記一般式[1]で表される(S)−3−低
級アルキル−2−ピペラジノンをベンジル化して一般式
[2]の化合物とし、これを還元して一般式[3]で表
される化合物とし、さらにこれを脱ベンジル化して一般
式[4]で表される(S)−2−低級アルキルピペラジ
ンの製造方法。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、(S)−2−低級アル
キルピペラジンの製造方法に関する。さらに詳しくは、
キノリン系抗菌剤などの医薬品の中間体として有用な
(S)−2−低級アルキルピペラジンを、原料化合物
(S)−3−低級アルキル−2−ピペラジノンの光学活
性を保持しながら製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光学活性2−低級アルキルピペラジン、
特に光学活性2−メチルピペラジンの製造方法に関して
は数多くの文献がある。例えば光学活性2−メチルピペ
ラジンを合成反応で得る方法としては、特開平2−1
24873号公報の参考例11では、(3S)−メチル
−2−オキソピペラジン(化合物名は文献記載の通りと
する。以下同様。)をテトラヒドロフラン中でリチウム
アルミニウムヒドリドを用いて還元し、(2S)−メチ
ルピペラジンを合成している。またOrg.Pre
p.Proced.Int.22巻(6),761頁
(1990)には、(S)−(−)−3−メチル−1−
(フェニルメチル)−2,5−ピペラジン−ジオンから
リチウムアルミニウムヒドリドを用いて得られる(S)
−(−)−3−メチル−1−(フェニルメチル)ピペラ
ジンを、メタノール中で水素圧下、パラジウム炭素を用
いて還元する方法が記載されている。一方、(RS)−
2−メチルピペラジンを光学分割する方法としては、
Chem.Lett.,(3),513頁(1988)に
は2−メチルピペラジンのラセミ体を包接化合物を使用
して分割する方法が記載されている。また特開平1−
149775号公報や特開平3−279375号公報な
どには、2−メチルピペラジンのラセミ体をL−酒石酸
を用いて分割する方法が記載されており、また特開平4
−18084号公報や特開平4−128270号公報に
はアミノ酸誘導体を用いて分割する方法が記載されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記従来技術のうち、
合成法により(S)−2−メチルピペラジンを製造する
方法として、は(3S)−メチル−2−オキソピペラ
ジンを直接還元するものであり、製造工程も短く一見有
利に見える。しかし、(3S)−メチル−2−オキソピ
ペラジンは精製が困難であり、特にの方法では、(3
S)−メチル−2−オキソピペラジンを製造する段階で
生成した不純物を除くことができない。このことから、
次の工程の還元剤の使用量が多くなる。また、還元剤に
関しては工業的に使用困難なリチウムアルミニウムヒ
ドリドを用いている。本発明者等の知見によればリチウ
ムアルミニウムヒドリドの代りに、ナトリウム水素化ビ
スメトキシエトキシアルミニウムを用いた場合、(S)
−2−メチルピペラジンの光学純度は低下した。この様
に、(S)−3−低級アルキル−2−ピペラジノンを原
料に用いて光学純度を保ちながら、(S)−2−低級ア
ルキルピペラジンを工業的に得る方法は、未だ確立され
ていなかった。
【0004】因みに、については、出発原料が(S)
−3−低級アルキル−2−ピペラジノンとは異なる
(S)−(−)−3−メチル−1−(フェニルメチル)
−2,5−ピペラジン−ジオンを用いているが、(S)
−(−)−3−メチル−1−(フェニルメチル)ピペラ
ジンへの還元に、と同様、工業的に使用困難なリチウ
ムアルミニウムヒドリドを用いている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは前記のよう
な従来技術に鑑み、(S)−3−低級アルキル−2−ピ
ペラジノンを用いて光学純度を保持しながら(S)−2
−低級アルキルピペラジンを収率良く得る方法に関し鋭
意研究した結果、(S)−3−低級アルキル−2−ピペ
ラジノンを一旦ベンジル化したものは抽出あるいは晶析
により精製が可能であり、これを還元することにより還
元剤の必要量が少なくて済み、かつ光学活性を維持でき
ること、さらに還元された1−ベンジル−(S)−2−
低級アルキルピペラジンから脱ベンジル化により容易に
目的化合物が得られることを見い出し、本発明を完成す
るに至った。
【0006】すなわち、本発明は、下記一般式[1]で
表される(S)−3−低級アルキル−2−ピペラジノン
をベンジル化して一般式[2]で表される1−ベンジル
−(S)−2−低級アルキル−3−ピペラジノンを得る
第1反応工程、前記1−ベンジル−(S)−2−低級ア
ルキル−3−ピペラジノンを還元して一般式[3]で表
される1−ベンジル−(S)−2−低級アルキルピペラ
ジンを得る第2反応工程、および、前記1−ベンジル−
(S)−2−低級アルキルピペラジンを脱ベンジル化し
て一般式[4]で表される(S)−2−低級アルキルピ
ペラジンを得る第3反応工程、からなる(S)−2−低
級アルキルピペラジンの製造方法に関する。
【0007】
【化4】
【0008】また本発明は第1反応工程のベンジル化
が、下記一般式[5]で表される(R)−脂肪酸エステ
ル誘導体とエチレンジアミンとを反応させて得られる
(S)−3−低級アルキル−2−ピペラジノンの反応溶
液に、塩化ベンジルを加えて反応させるものである前記
(S)−2−低級アルキルピペラジンの製造方法に関す
る。
【0009】
【化5】
【0010】また本発明は、(S)−2−低級アルキル
ピペラジン、とくに好ましくは前記(S)−2−低級ア
ルキルピペラジンの製造方法により製造された(S)−
2−低級アルキルピペラジンを再結晶することを特徴と
する精製(S)−2−低級アルキルピペラジンの製造方
法に関する。
【0011】さらに本発明は、一般式[2]で表される
1−ベンジル−(S)−2−低級アルキル−3−ピペラ
ジノンをナトリウム水素化ビスメトキシエトキシアルミ
ニウムにより還元することを特徴とする一般式[3]で
表される1−ベンジル−(S)−2−低級アルキルピペ
ラジンの製造方法に関する。以下に、本発明を詳細に説
明する。
【0012】
【化6】
【0013】本発明の(S)−2−低級アルキルピペラ
ジンの製造方法において、第1反応工程では、前記一般
式[1]で表される(S)−3−低級アルキル−2−ピ
ペラジノンをベンジル化して一般式[2]で表される1
−ベンジル−(S)−2−低級アルキル−3−ピペラジ
ノンとする。原料となる(S)−3−低級アルキル−2
−ピペラジノンは、いかなる方法で得られたものでもよ
い。例えば、特開平2ー124873号公報に記載の方
法により、L−アラニンエチルエステル塩酸塩にシアン
化ナトリウムとホルムアルデヒド溶液を作用させてN−
シアノメチル−L−アラニンエチルエステルを得たの
ち、これをアンモニアエタノール、ラネーニッケルと共
に水素圧下で反応させて製造したものを使用してもよ
い。
【0014】しかし原料の(S)−3−低級アルキル−
2−ピペラジノンとしては、前記一般式[5]で表され
る(R)−脂肪酸エステル誘導体とエチレンジアミンと
を低級アルコール中で反応させて得られる(S)−3−
低級アルキル−2−ピペラジノンの前記低級アルコール
反応溶液をそのまま用いることが好ましい。以下に、こ
の方法による原料の調製方法について説明する。
【0015】一般式[5]で表される(R)−脂肪酸エ
ステル誘導体において、RおよびR2は好ましくは共に
炭素数1〜4の低級アルキル基であり、各々メチル基、
エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル
基、i−ブチル基、sec−ブチル基等を例示すること
ができる。特に、Rはメチル基であることが好ましい。
またR1はトシルオキシ基またはClである。トシルオ
キシ基としては、p−トシルオキシ基、m−トシルオキ
シ基、o−トシルオキシ基が挙げられ、中でもp−トシ
ルオキシ基が好ましい。
【0016】一般式[5]で表される(R)−脂肪酸エ
ステル誘導体は、公知の方法により製造し、あるいは入
手することができる。例えば、(R)−2−トシルオキ
シプロピオン酸メチルは市販されているし、文献記載の
方法に準じて得ることも出来る[Chem. Pharm. Bull.,2
7(3),747(1979), J. Org. Chem.,50(8),1229(1985),Tet
rahedron,46(19),6623(1990),特開昭59-172442号公報,
特開昭62-53976号公報,特開昭62-126189号公報,特開昭6
3-154690号公報等参照]。また例えば(R)−2−クロ
ロプロピオン酸メチルは、特開昭61ー57534号公
報または特開平2ー104560号公報に記載の方法、
すなわち光学活性2ークロロスルフィンオキシプロピオ
ン酸エステルを極性非プロトン化合物触媒または塩基性
触媒を用いて分解させて製造することができる。
【0017】(R)−脂肪酸エステル誘導体とエチレン
ジアミンの反応溶媒としては、水;メタノール,エタノ
ール,プロパノール等の低級アルコール;アセトニトリ
ル等のニトリル;ピリジン;テトラヒドロフラン(TH
F),DMF,DMSO等の極性非プロトン溶媒;ベン
ゼン,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素;塩化メ
チレン,四塩化炭素,トリクロロエチレン等のハロゲン
化炭化水素;ジエチルエーテル等のエーテル類を例示す
ることができる。これらの中では、低級アルコール、ニ
トリル、極性非プロトン溶媒が好ましく、特にはメタノ
ール,エタノール等の低級アルコールが好ましい。また
溶媒の使用量は、エチレンジアミン100重量部に対し
て、通常0(不使用)〜1000重量部の範囲、特には
100〜500重量部の範囲が好ましい。また、(R)
−脂肪酸エステル誘導体とエチレンジアミンのモル比
は、前者1モルに対して、後者が通常0.5〜10.0
モル、更に好ましくは1.0〜10.0モル、特には
1.2〜4.0モルの範囲である。反応温度は、通常0
〜100℃、特には20〜80℃の範囲であることが好
ましく、さらに光学純度と収率の両者から40〜80℃
の範囲が好ましい。反応時間は、原料化合物、溶媒、反
応温度等により異なるが、通常、1〜24時間である。
こうして得られる(S)−3−低級アルキル−2−ピペ
ラジノンの反応溶液を、そのまま本発明の第1反応工程
のベンジル化に用いることができる。
【0018】ベンジル化には、前記反応溶液に含まれる
(S)−3−低級アルキル−2−ピペラジノン1モルに
対して、塩化ベンジルを通常1.0〜5.0モルの範
囲、好ましくは1.4〜3.7モルの範囲の割合で用い
る。反応温度は、通常20〜100℃、好ましくは40
〜80℃の範囲で、通常5〜30時間、好ましくは10
〜25時間反応させる。反応後は、溶媒を除去し、一般
式[2]で表される1−ベンジル−(S)−2−低級ア
ルキル−3−ピペラジノンを得ることができる。これ
を、必要に応じて、抽出,晶析等の方法により精製でき
る。
【0019】本発明の(S)−2−低級アルキルピペラ
ジンの製造方法における第2反応工程は、前記第1反応
工程で得られる一般式[2]で表される1−ベンジル−
(S)−2−低級アルキル−3−ピペラジノンの還元工
程である。本発明の還元としては、ヒドリド還元あるい
は接触水素還元が例示される。前者のヒドリド還元剤と
しては、例えばナトリウム水素化ビスメトキシエトキシ
アルミニウム、トリエチルアミンやピリジンなどの塩基
存在下の水素化ホウ素ナトリウム、酢酸,三フッ化ホウ
素あるいは四塩化チタンなどの酸存在下の水素化ホウ素
ナトリウム、オキシ塩化リン存在下の水素化ホウ素ナト
リウム、ボラン錯体、ジボラン、水素化ジイソブチルア
ルミニウム、水素化アルミニウム等が挙げられる。また
後者の接触水素還元剤としては、例えば水素雰囲気下あ
るいはギ酸存在下、白金,酸化白金あるいはパラジウム
炭素触媒による水素化が挙げられる。これらの中では、
特にナトリウム水素化ビスメトキシエトキシアルミニウ
ムを用いることが好ましい。その場合、ナトリウム水素
化ビスメトキシエトキシアルミニウムの使用量は、1−
ベンジル−(S)−2−低級アルキル−3−ピペラジノ
ン1モルに対して、通常1.5〜3.0モルの範囲、好
ましくは1.5〜2.0モルの範囲の割合で用いる。
【0020】反応溶媒としては、反応に不活性なベンゼ
ン,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素;ヘキサ
ン,シクロヘキサン等の脂肪族または脂環族炭化水素、
ジオキサン,テトラヒドロフラン,ジイソプロピルエー
テル等のエーテル類を挙げることができる。これらの中
では、芳香族炭化水素が好ましく、特にトルエンが好ま
しい。反応温度は、通常20〜160℃、好ましくは6
0〜110℃の範囲で、通常0.5〜20時間、好まし
くは1〜5時間反応させる。反応後は、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウムなどのアルカリ水溶液を加え、有機
層から溶媒を濃縮除去することにより、一般式[3]で
表される1−ベンジル−(S)−2−低級アルキルピペ
ラジンを得ることができる。これを、さらに必要に応じ
て、蒸留、あるいは硫酸塩等の塩として晶析する方法等
により精製してもよい。
【0021】本発明の(S)−2−低級アルキルピペラ
ジンの製造方法における第3反応工程は、前記第2反応
工程で得られる一般式[3]で表される1−ベンジル−
(S)−2−低級アルキルピペラジンの脱ベンジル工程
である。脱ベンジルは、公知の方法(例えばOrg.P
rep.Proced.Int.,22巻(6),761
頁,1990)に従い、通常水素圧下、パラジウム炭素
を用いて行われる。パラジウム炭素は1−ベンジル−
(S)−2−低級アルキル−2−ピペラジン100重量
部に対して、通常1〜50重量部の範囲で用いる。反応
溶媒としては、メタノール,エタノール,プロパノール
等の低級アルコール;水,酢酸,塩酸水溶液等が好まし
い。水素圧力は通常1〜20kg/cm2、特には5〜
10kg/cm2、温度は20〜100℃において5〜
100時間、特には5〜70時間反応させる。反応後は
パラジウム炭素を濾別し、溶媒を除去することにより、
目的物である一般式[4]で表される(S)−2−低級
アルキルピペラジンを得ることができる。
【0022】前記第3反応工程で得られる(S)−2−
低級アルキルピペラジンの光学純度を向上させるために
は、即ち僅かに含まれる(R)−2−低級アルキルピペ
ラジンを除くためには、さらに精製を行うことが好まし
い。その方法として再結晶が特に有効である。再結晶溶
媒としては、ペンタン,ヘキサン,トルエン,イソプロ
ピルアルコール,イソプロピルエーテル,メチルイソブ
チルケトン等が挙げられる。これらは各単独で使用する
ことができるが、これらの混合溶媒を用いてもよい。こ
れらの中ではヘキサン,イソプロピルエーテルが特に好
ましい。再結晶溶媒の使用量は、用いる溶媒の種類、精
製前の(S)−2−低級アルキルピペラジンの光学純
度、および目標とする精製(S)−2−低級アルキルピ
ペラジンの光学純度などにより異なるが、通常(S)−
2−低級アルキルピペラジン100重量部に対して、5
00〜5000重量部、好ましくは500〜2000重
量部の範囲である。
【0023】なお、本発明は(S)−3−低級アルキル
−2−ピペラジノンを原料として(S)−2−低級アル
キルピペラジンを製造するものであるが、原料として
(R)−3−低級アルキル−2−ピペラジノンを用いる
ことにより、本発明と同様にして(R)−2−低級アル
キルピペラジンが得られる。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例にて更に詳しく説明す
るが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるもので
はない。なお、これらの実施例は、各一般式中のRで表
される低級アルキル基が特に好ましいメチル基の場合の
例である。
【0025】(参考例1) 『(S)−3−メチル−2−ピペラジノンの合成』メタ
ノール71mlにエチレンジアミン20.3g(0.3
4mol)を加え、そこへ20℃で(R)−2−トシル
オキシプロピオン酸メチル41.6g(0.16mo
l)を滴下し1時間熟成した後、60℃で4時間加熱し
て(S)−3−メチル−2−ピペラジノンを合成した。
反応液の液体クロマトグラフィー(条件は表−1に記載
の通り)による分析より、(S)−3−メチル−2−ピ
ペラジノン12.9g(0.11mol)が収率70%
で得られることを確認した。反応液の一部を濃縮し、ク
ロロホルム50mlを加えてエチレンジアミントシル酸
塩を晶析させ、濾別した。濾液から溶媒を除去した残渣
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒はク
ロロホルム:メタノール=20:1)に通し、(S)−
3−メチル−2−ピペラジノンの白色固体を得た。以下
の条件にて分析した結果、光学純度は97.1%eeで
あった。
【0026】(光学純度の決定)(S)−3−メチル−
2−ピペラジノン10重量部にクロロホルム250重量
部とトリエチルアミン11重量部を加え、この中に室温
下、塩化ベンゾイル15重量部を滴下して30分放置し
た。反応液をNaHCO3水溶液で洗浄分液し、有機層
の溶媒を濃縮した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(展開溶媒は酢酸エチル:メタノール=4:1)
に通し、精製した1−ベンゾイル−(S)−2−メチル
−3−ピペラジノンを表−2のHPLC条件にて分析し
た。
【0027】残りの反応液から(S)−3−メチル−2
−ピペラジノンを単離することなく、実施例1のベンジ
ル化にそのまま用いた。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】(実施例1) 『1−ベンジル−(S)−2−メチル−3−ピペラジノ
ンの合成』参考例1の(S)−3−メチル−2−ピペラ
ジノン反応液に塩化ベンジル30.6g(0.24mo
l)を加え、さらに60℃で20時間反応した。反応液
から溶媒を除去した残渣をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(展開溶媒 酢酸エチル:メタノール=4:
1)に通し、1−ベンジル−(S)−2−メチル−3−
ピペラジノン19.1g(0.094mol)を得た。
収率は83%であり、光学純度は表−3のHPLC分析
より97.5%eeであった((R)−2−トシルオキ
シプロピオン酸メチルからの一貫収率58%)。
【0031】1H-NMRスヘ゜クトル(CDCl3,δ):1.50(3H,d)、2.48
〜3.29(5H,m)、3.43(1H,d)、3.93(1H,d)、6.32(1H,s)、7.82
(5H,m).
【0032】
【表3】
【0033】(実施例2) 『1−ベンジル−(S)−2−メチル−3−ピペラジノ
ンの合成』実施例1と同じ条件で塩化ベンジルのモル比
を変えた場合、1−ベンジル−(S)−2−メチル−3
−ピペラジノンの収率は表−4のようになった。
【0034】
【表4】
【0035】(実施例3) 『1−ベンジル−(S)−2−メチルピペラジンの合
成』実施例1と同様の反応を行い、反応液からトルエン
による抽出および晶析により得られた光学純度97.5
%eeの1−ベンジル−(S)−2−メチル−3−ピペ
ラジノン19.1g(0.094mol)に68gのト
ルエンを溶媒として加え、さらにナトリウム水素化ビス
メトキシエトキシアルミニウムの70%トルエン溶液5
3.5g(0.185mol)を加え、90℃で3時間
加熱した。加熱終了後、室温下10wt%の水酸化ナト
リウム68.5gを加えて分液した有機層を、さらに水
68.5gにて洗浄し、有機溶媒を濃縮除去した。残渣
はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 メ
タノール:トリエチルアミン=20:1)に通し、1−
ベンジル−(S)−2−メチルピペラジン15.6g
(0.082mol)を得た。収率88%であり、表−
5のHPLC分析より光学純度は95.8%eeであっ
た。
【0036】1H-NMRスヘ゜クトル(CDCl3,δ):1.13(3H,d)、1.44
(1H,s))、2.05〜2.90(7H,m)、3.18(1H,d)、4.05(1H,d)、7.2
8(5H,m).
【0037】
【表5】
【0038】(比較例1)トルエン8ml溶媒中、光学
純度96.7%eeの(S)−3−メチル−2−ピペラ
ジノン0.97g(8.49mmol)にナトリウム水
素化ビスメトキシエトキシアルミニウムの70%トルエ
ン溶液4.95g(17.2mmol)を加え、90℃
で3時間加熱した。加熱終了後、室温にて10wt%の
水酸化ナトリウム5.3gを加えた。分液した有機層か
ら溶媒を濃縮除去した残渣をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(展開溶媒 メタノール)に通し、(S)−
2−メチルピペラジン0.61g(6.11mmol)
を得た。収率は72%であり、光学純度は後記表−7の
条件に従った結果、90.6%eeであった。
【0039】(実施例4) 『1−ベンジル−(S)−2−メチルピペラジンの合
成』実施例3と同じ条件でナトリウム水素化ビスメトキ
シエトキシアルミニウムのモル比を変えた場合、1−ベ
ンジル−(S)−2−メチルピペラジンの収率は表−6
のようになった。
【0040】
【表6】
【0041】(実施例5) 『(S)−2−メチルピペラジンの合成』光学純度9
5.8%eeの1−ベンジル−(S)−2−メチルピペ
ラジン15.6g(81.8mmol)にメタノール1
00mlを加え、5%パラジウム炭素1.6gを窒素雰
囲気下加えた。この反応液を室温下5kg/cm2に加
圧した水素雰囲気で67時間攪拌した。攪拌終了後パラ
ジウム炭素を濾別し、溶媒を除去して(S)−2−メチ
ルピペラジン8.04g(80.3mmol)を収率9
8%で得た。光学純度は下記の条件にて分析した結果、
95.8%eeであった。
【0042】1H-NMRスヘ゜クトル(CDCl3,δ):1.00(3H,d)、1.53
(2H,s)、2.32〜2.40(1H,m)、2.68〜2.98(6H,m).
【0043】((S)−2−メチルピペラジンの光学純
度の決定)クロロホルム2ml、(S)−2−メチルピ
ペラジン0.10g(1.00mmol)とトリエチル
アミン0.22g(2.18mmol)の中に室温下塩
化ベンゾイル0.31g(2.19mmol)を加えて
30分放置した。反応液をNaHCO3水溶液で洗浄分
液し、有機層の溶媒を濃縮した残渣はシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(展開溶媒 酢酸エチル:ヘキサン
=2:1)に通し1,4−ジベンゾイル−(S)−2−
メチルピペラジンを得た。これを表−7のHPLC条件
にて分析した。なお、以下の(S)−2−メチルピペラ
ジンの分析は、全てこの方法にて行った。
【0044】
【表7】
【0045】(実施例6) 『(S)−2−メチルピペラジンの精製』参考例1にお
いて、(R)−2−トシルオキシプロピオン酸メチルの
代りに(R)−2−クロロプロピオン酸メチルを用い、
60℃で13時間反応させ、実施例1,3および5の方
法で合成した(S)−2−メチルピペラジン(光学純度
86.5%ee)0.61gにヘキサン,イソプロピル
アルコール(94:6)の混合溶媒6.5gを加た。5
0℃にて溶解した後、5℃にて晶析した結晶を濾別し、
乾燥すると(S)−2−メチルピペラジンの白色結晶
0.28g(収率46%)が得られた。この光学純度は
99.5%eeであった。
【0046】(実施例7) 『(S)−2−メチルピペラジンの精製』実施例6で用
いた光学純度86.5%eeの(S)−2−メチルピペ
ラジン0.7gにイソプロピルエーテル7.0gを加え
た。50℃にて溶解した後、5℃にて晶析した結晶を濾
別し、乾燥すると(S)−2−メチルピペラジンの白色
結晶0.36g(収率51%)が得られた。このものの
光学純度は98.1%eeであった。
【0047】(実施例8) 『(S)−2−メチルピペラジンの精製』実施例3で得
られた光学純度95.8%eeの(S)−2−メチルピ
ペラジン0.7gにヘキサン7.0gを加た。60℃に
て溶解した後、室温にて晶析した結晶を濾別し、乾燥す
ると(S)−2−メチルピペラジンの白色結晶0.49
g(収率70%)が得られた。このものの光学純度は9
9.9%eeであった。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、工業的に有利な方法
で、(S)−2−低級アルキルピペラジンが極めて高光
学純度で得られる。特に、本発明により再結晶した
(S)−2−低級アルキルピペラジンは、極めて高光学
純度である。こうして得られる高光学純度の(S)−2
−低級アルキルピペラジンはキノリン系抗菌剤などの医
薬品の中間体として有用である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式[1]で表される(S)−3
    −低級アルキル−2−ピペラジノンをベンジル化して一
    般式[2]で表される1−ベンジル−(S)−2−低級
    アルキル−3−ピペラジノンを得る第1反応工程、 前記1−ベンジル−(S)−2−低級アルキル−3−ピ
    ペラジノンを還元して一般式[3]で表される1−ベン
    ジル−(S)−2−低級アルキルピペラジンを得る第2
    反応工程、および、 前記1−ベンジル−(S)−2−低級アルキルピペラジ
    ンを脱ベンジル化して一般式[4]で表される(S)−
    2−低級アルキルピペラジンを得る第3反応工程、から
    なる(S)−2−低級アルキルピペラジンの製造方法。 【化1】
  2. 【請求項2】 第2反応工程における還元がナトリウム
    水素化ビスメトキシエトキシアルミニウムによるもので
    ある請求項1記載の(S)−2−低級アルキルピペラジ
    ンの製造方法。
  3. 【請求項3】 第1反応工程のベンジル化が、下記一般
    式[5]で表される(R)−脂肪酸エステル誘導体とエ
    チレンジアミンとを反応させて得られる(S)−3−低
    級アルキル−2−ピペラジノンの反応溶液に、塩化ベン
    ジルを加えて反応させるものである請求項1〜2のいず
    れかに記載の(S)−2−低級アルキルピペラジンの製
    造方法。 【化2】
  4. 【請求項4】 Rが示す低級アルキル基がメチル基であ
    る請求項1〜3のいずれかに記載の(S)−2−低級ア
    ルキルピペラジンの製造方法。
  5. 【請求項5】 (S)−2−低級アルキルピペラジンを
    再結晶により精製することを特徴とする精製(S)−2
    −低級アルキルピペラジンの製造方法。
  6. 【請求項6】 ヘキサン,イソプロピルアルコール,イ
    ソプロピルエーテルから選ばれる再結晶溶媒を使用する
    ことを特徴とする請求項5記載の精製(S)−2−低級
    アルキルピペラジンの製造方法。
  7. 【請求項7】 一般式[2]で表される1−ベンジル−
    (S)−2−低級アルキル−3−ピペラジノンをナトリ
    ウム水素化ビスメトキシエトキシアルミニウムにより還
    元することを特徴とする一般式[3]で表される1−ベ
    ンジル−(S)−2−低級アルキルピペラジンの製造方
    法。 【化3】
  8. 【請求項8】 Rが示す低級アルキル基がメチル基であ
    る請求項7記載の1−ベンジル−(S)−2−低級アル
    キルピペラジンの製造方法。
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