JP3594201B2 - 光学活性2−低級アルキルピペラジンの製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、(S)−2−低級アルキルピペラジンの製造方法に関する。さらに詳しくは、キノリン系抗菌剤などの医薬品の中間体として有用な(S)−2−低級アルキルピペラジンを、原料化合物(S)−3−低級アルキル−2−ピペラジノンの光学活性を保持しながら製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光学活性2−低級アルキルピペラジン、特に光学活性2−メチルピペラジンの製造方法に関しては数多くの文献がある。例えば光学活性2−メチルピペラジンを合成反応で得る方法としては、▲1▼特開平2−124873号公報の参考例11では、(3S)−メチル−2−オキソピペラジン(化合物名は文献記載の通りとする。以下同様。)をテトラヒドロフラン中でリチウムアルミニウムヒドリドを用いて還元し、(2S)−メチルピペラジンを合成している。また▲2▼Org.Prep.Proced.Int.22巻(6),761頁(1990)には、(S)−(−)−3−メチル−1−(フェニルメチル)−2,5−ピペラジン−ジオンからリチウムアルミニウムヒドリドを用いて得られる(S)−(−)−3−メチル−1−(フェニルメチル)ピペラジンを、メタノール中で水素圧下、パラジウム炭素を用いて還元する方法が記載されている。一方、(RS)−2−メチルピペラジンを光学分割する方法としては、▲3▼Chem.Lett.,(3),513頁(1988)には2−メチルピペラジンのラセミ体を包接化合物を使用して分割する方法が記載されている。また▲4▼特開平1−149775号公報や特開平3−279375号公報などには、2−メチルピペラジンのラセミ体をL−酒石酸を用いて分割する方法が記載されており、また特開平4−18084号公報や特開平4−128270号公報にはアミノ酸誘導体を用いて分割する方法が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術のうち、合成法により(S)−2−メチルピペラジンを製造する方法として、▲1▼は(3S)−メチル−2−オキソピペラジンを直接還元するものであり、製造工程も短く一見有利に見える。しかし、(3S)−メチル−2−オキソピペラジンは精製が困難であり、特に▲1▼の方法では、(3S)−メチル−2−オキソピペラジンを製造する段階で生成した不純物を除くことができない。このことから、次の工程の還元剤の使用量が多くなる。また、還元剤に関して▲1▼は工業的に使用困難なリチウムアルミニウムヒドリドを用いている。本発明者等の知見によればリチウムアルミニウムヒドリドの代りに、ナトリウム水素化ビスメトキシエトキシアルミニウムを用いた場合、(S)−2−メチルピペラジンの光学純度は低下した。
この様に、(S)−3−低級アルキル−2−ピペラジノンを原料に用いて光学純度を保ちながら、(S)−2−低級アルキルピペラジンを工業的に得る方法は、未だ確立されていなかった。
【0004】
因みに、▲2▼については、出発原料が(S)−3−低級アルキル−2−ピペラジノンとは異なる(S)−(−)−3−メチル−1−(フェニルメチル)−2,5−ピペラジン−ジオンを用いているが、(S)−(−)−3−メチル−1−(フェニルメチル)ピペラジンへの還元に、▲1▼と同様、工業的に使用困難なリチウムアルミニウムヒドリドを用いている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記のような従来技術に鑑み、(S)−3−低級アルキル−2−ピペラジノンを用いて光学純度を保持しながら(S)−2−低級アルキルピペラジンを収率良く得る方法に関し鋭意研究した結果、(S)−3−低級アルキル−2−ピペラジノンを一旦ベンジル化したものは抽出あるいは晶析により精製が可能であり、これを還元することにより還元剤の必要量が少なくて済み、かつ光学活性を維持できること、さらに還元された1−ベンジル−(S)−2−低級アルキルピペラジンから脱ベンジル化により容易に目的化合物が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、下記一般式[1]で表される(S)−3−低級アルキル−2−ピペラジノンをベンジル化して一般式[2]で表される1−ベンジル−(S)−2−低級アルキル−3−ピペラジノンを得る第1反応工程、
前記1−ベンジル−(S)−2−低級アルキル−3−ピペラジノンを還元して一般式[3]で表される1−ベンジル−(S)−2−低級アルキルピペラジンを得る第2反応工程、および、
前記1−ベンジル−(S)−2−低級アルキルピペラジンを脱ベンジル化して一般式[4]で表される(S)−2−低級アルキルピペラジンを得る第3反応工程、からなる(S)−2−低級アルキルピペラジンの製造方法に関する。
【0007】
【化4】
【0008】
また本発明は第1反応工程のベンジル化が、下記一般式[5]で表される(R)−脂肪酸エステル誘導体とエチレンジアミンとを反応させて得られる(S)−3−低級アルキル−2−ピペラジノンの反応溶液に、塩化ベンジルを加えて反応させるものである前記(S)−2−低級アルキルピペラジンの製造方法に関する。
【0009】
【化5】
【0010】
また本発明は、(S)−2−低級アルキルピペラジン、とくに好ましくは前記(S)−2−低級アルキルピペラジンの製造方法により製造された(S)−2−低級アルキルピペラジンを再結晶することを特徴とする精製(S)−2−低級アルキルピペラジンの製造方法に関する。
【0011】
さらに本発明は、一般式[2]で表される1−ベンジル−(S)−2−低級アルキル−3−ピペラジノンをナトリウム水素化ビスメトキシエトキシアルミニウムにより還元することを特徴とする一般式[3]で表される1−ベンジル−(S)−2−低級アルキルピペラジンの製造方法に関する。以下に、本発明を詳細に説明する。
【0012】
【化6】
【0013】
本発明の(S)−2−低級アルキルピペラジンの製造方法において、第1反応工程では、前記一般式[1]で表される(S)−3−低級アルキル−2−ピペラジノンをベンジル化して一般式[2]で表される1−ベンジル−(S)−2−低級アルキル−3−ピペラジノンとする。原料となる(S)−3−低級アルキル−2−ピペラジノンは、いかなる方法で得られたものでもよい。例えば、特開平2ー124873号公報に記載の方法により、L−アラニンエチルエステル塩酸塩にシアン化ナトリウムとホルムアルデヒド溶液を作用させてN−シアノメチル−L−アラニンエチルエステルを得たのち、これをアンモニアエタノール、ラネーニッケルと共に水素圧下で反応させて製造したものを使用してもよい。
【0014】
しかし原料の(S)−3−低級アルキル−2−ピペラジノンとしては、前記一般式[5]で表される(R)−脂肪酸エステル誘導体とエチレンジアミンとを低級アルコール中で反応させて得られる(S)−3−低級アルキル−2−ピペラジノンの前記低級アルコール反応溶液をそのまま用いることが好ましい。以下に、この方法による原料の調製方法について説明する。
【0015】
一般式[5]で表される(R)−脂肪酸エステル誘導体において、RおよびR2は好ましくは共に炭素数1〜4の低級アルキル基であり、各々メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基等を例示することができる。特に、Rはメチル基であることが好ましい。またR1はトシルオキシ基またはClである。トシルオキシ基としては、p−トシルオキシ基、m−トシルオキシ基、o−トシルオキシ基が挙げられ、中でもp−トシルオキシ基が好ましい。
【0016】
一般式[5]で表される(R)−脂肪酸エステル誘導体は、公知の方法により製造し、あるいは入手することができる。例えば、(R)−2−トシルオキシプロピオン酸メチルは市販されているし、文献記載の方法に準じて得ることも出来る[Chem. Pharm. Bull.,27(3),747(1979), J. Org. Chem.,50(8),1229(1985), Tetrahedron,46(19),6623(1990),特開昭59−172442号公報,特開昭62−53976号公報,特開昭62−126189号公報,特開昭63−154690号公報等参照]。また例えば(R)−2−クロロプロピオン酸メチルは、特開昭61ー57534号公報または特開平2ー104560号公報に記載の方法、すなわち光学活性2ークロロスルフィンオキシプロピオン酸エステルを極性非プロトン化合物触媒または塩基性触媒を用いて分解させて製造することができる。
【0017】
(R)−脂肪酸エステル誘導体とエチレンジアミンの反応溶媒としては、水;メタノール,エタノール,プロパノール等の低級アルコール;アセトニトリル等のニトリル;ピリジン;テトラヒドロフラン(THF),DMF,DMSO等の極性非プロトン溶媒;ベンゼン,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素;塩化メチレン,四塩化炭素,トリクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素;ジエチルエーテル等のエーテル類を例示することができる。これらの中では、低級アルコール、ニトリル、極性非プロトン溶媒が好ましく、特にはメタノール,エタノール等の低級アルコールが好ましい。また溶媒の使用量は、エチレンジアミン100重量部に対して、通常0(不使用)〜1000重量部の範囲、特には100〜500重量部の範囲が好ましい。また、(R)−脂肪酸エステル誘導体とエチレンジアミンのモル比は、前者1モルに対して、後者が通常0.5〜10.0モル、更に好ましくは1.0〜10.0モル、特には1.2〜4.0モルの範囲である。反応温度は、通常0〜100℃、特には20〜80℃の範囲であることが好ましく、さらに光学純度と収率の両者から40〜80℃の範囲が好ましい。反応時間は、原料化合物、溶媒、反応温度等により異なるが、通常、1〜24時間である。こうして得られる(S)−3−低級アルキル−2−ピペラジノンの反応溶液を、そのまま本発明の第1反応工程のベンジル化に用いることができる。
【0018】
ベンジル化には、前記反応溶液に含まれる(S)−3−低級アルキル−2−ピペラジノン1モルに対して、塩化ベンジルを通常1.0〜5.0モルの範囲、好ましくは1.4〜3.7モルの範囲の割合で用いる。反応温度は、通常20〜100℃、好ましくは40〜80℃の範囲で、通常5〜30時間、好ましくは10〜25時間反応させる。反応後は、溶媒を除去し、一般式[2]で表される1−ベンジル−(S)−2−低級アルキル−3−ピペラジノンを得ることができる。これを、必要に応じて、抽出,晶析等の方法により精製できる。
【0019】
本発明の(S)−2−低級アルキルピペラジンの製造方法における第2反応工程は、前記第1反応工程で得られる一般式[2]で表される1−ベンジル−(S)−2−低級アルキル−3−ピペラジノンの還元工程である。本発明の還元としては、ヒドリド還元あるいは接触水素還元が例示される。前者のヒドリド還元剤としては、例えばナトリウム水素化ビスメトキシエトキシアルミニウム、トリエチルアミンやピリジンなどの塩基存在下の水素化ホウ素ナトリウム、酢酸,三フッ化ホウ素あるいは四塩化チタンなどの酸存在下の水素化ホウ素ナトリウム、オキシ塩化リン存在下の水素化ホウ素ナトリウム、ボラン錯体、ジボラン、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化アルミニウム等が挙げられる。また後者の接触水素還元剤としては、例えば水素雰囲気下あるいはギ酸存在下、白金,酸化白金あるいはパラジウム炭素触媒による水素化が挙げられる。これらの中では、特にナトリウム水素化ビスメトキシエトキシアルミニウムを用いることが好ましい。その場合、ナトリウム水素化ビスメトキシエトキシアルミニウムの使用量は、1−ベンジル−(S)−2−低級アルキル−3−ピペラジノン1モルに対して、通常1.5〜3.0モルの範囲、好ましくは1.5〜2.0モルの範囲の割合で用いる。
【0020】
反応溶媒としては、反応に不活性なベンゼン,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素;ヘキサン,シクロヘキサン等の脂肪族または脂環族炭化水素、ジオキサン,テトラヒドロフラン,ジイソプロピルエーテル等のエーテル類を挙げることができる。これらの中では、芳香族炭化水素が好ましく、特にトルエンが好ましい。反応温度は、通常20〜160℃、好ましくは60〜110℃の範囲で、通常0.5〜20時間、好ましくは1〜5時間反応させる。反応後は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ水溶液を加え、有機層から溶媒を濃縮除去することにより、一般式[3]で表される1−ベンジル−(S)−2−低級アルキルピペラジンを得ることができる。これを、さらに必要に応じて、蒸留、あるいは硫酸塩等の塩として晶析する方法等により精製してもよい。
【0021】
本発明の(S)−2−低級アルキルピペラジンの製造方法における第3反応工程は、前記第2反応工程で得られる一般式[3]で表される1−ベンジル−(S)−2−低級アルキルピペラジンの脱ベンジル工程である。脱ベンジルは、公知の方法(例えばOrg.Prep.Proced.Int.,22巻(6),761頁,1990)に従い、通常水素圧下、パラジウム炭素を用いて行われる。パラジウム炭素は1−ベンジル−(S)−2−低級アルキル−2−ピペラジン100重量部に対して、通常1〜50重量部の範囲で用いる。反応溶媒としては、メタノール,エタノール,プロパノール等の低級アルコール;水,酢酸,塩酸水溶液等が好ましい。水素圧力は通常1〜20kg/cm2、特には5〜10kg/cm2、温度は20〜100℃において5〜100時間、特には5〜70時間反応させる。反応後はパラジウム炭素を濾別し、溶媒を除去することにより、目的物である一般式[4]で表される(S)−2−低級アルキルピペラジンを得ることができる。
【0022】
前記第3反応工程で得られる(S)−2−低級アルキルピペラジンの光学純度を向上させるためには、即ち僅かに含まれる(R)−2−低級アルキルピペラジンを除くためには、さらに精製を行うことが好ましい。その方法として再結晶が特に有効である。再結晶溶媒としては、ペンタン,ヘキサン,トルエン,イソプロピルアルコール,イソプロピルエーテル,メチルイソブチルケトン等が挙げられる。これらは各単独で使用することができるが、これらの混合溶媒を用いてもよい。これらの中ではヘキサン,イソプロピルエーテルが特に好ましい。再結晶溶媒の使用量は、用いる溶媒の種類、精製前の(S)−2−低級アルキルピペラジンの光学純度、および目標とする精製(S)−2−低級アルキルピペラジンの光学純度などにより異なるが、通常(S)−2−低級アルキルピペラジン100重量部に対して、500〜5000重量部、好ましくは500〜2000重量部の範囲である。
【0023】
なお、本発明は(S)−3−低級アルキル−2−ピペラジノンを原料として(S)−2−低級アルキルピペラジンを製造するものであるが、原料として(R)−3−低級アルキル−2−ピペラジノンを用いることにより、本発明と同様にして(R)−2−低級アルキルピペラジンが得られる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例にて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、これらの実施例は、各一般式中のRで表される低級アルキル基が特に好ましいメチル基の場合の例である。
【0025】
(参考例1)
『(S)−3−メチル−2−ピペラジノンの合成』
メタノール71mlにエチレンジアミン20.3g(0.34mol)を加え、そこへ20℃で(R)−2−トシルオキシプロピオン酸メチル41.6g(0.16mol)を滴下し1時間熟成した後、60℃で4時間加熱して(S)−3−メチル−2−ピペラジノンを合成した。反応液の液体クロマトグラフィー(条件は表−1に記載の通り)による分析より、(S)−3−メチル−2−ピペラジノン12.9g(0.11mol)が収率70%で得られることを確認した。
反応液の一部を濃縮し、クロロホルム50mlを加えてエチレンジアミントシル酸塩を晶析させ、濾別した。濾液から溶媒を除去した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒はクロロホルム:メタノール=20:1)に通し、(S)−3−メチル−2−ピペラジノンの白色固体を得た。以下の条件にて分析した結果、光学純度は97.1%eeであった。
【0026】
(光学純度の決定)
(S)−3−メチル−2−ピペラジノン10重量部にクロロホルム250重量部とトリエチルアミン11重量部を加え、この中に室温下、塩化ベンゾイル15重量部を滴下して30分放置した。反応液をNaHCO3水溶液で洗浄分液し、有機層の溶媒を濃縮した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒は酢酸エチル:メタノール=4:1)に通し、精製した1−ベンゾイル−(S)−2−メチル−3−ピペラジノンを表−2のHPLC条件にて分析した。
【0027】
残りの反応液から(S)−3−メチル−2−ピペラジノンを単離することなく、実施例1のベンジル化にそのまま用いた。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
(実施例1)
『1−ベンジル−(S)−2−メチル−3−ピペラジノンの合成』
参考例1の(S)−3−メチル−2−ピペラジノン反応液に塩化ベンジル30.6g(0.24mol)を加え、さらに60℃で20時間反応した。反応液から溶媒を除去した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 酢酸エチル:メタノール=4:1)に通し、1−ベンジル−(S)−2−メチル−3−ピペラジノン19.1g(0.094mol)を得た。収率は83%であり、光学純度は表−3のHPLC分析より97.5%eeであった((R)−2−トシルオキシプロピオン酸メチルからの一貫収率58%)。
【0031】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δ):1.50(3H,d)、2.48〜3.29(5H,m)、3.43(1H,d)、3.93(1H,d)、6.32(1H,s)、7.82(5H,m).
【0032】
【表3】
【0033】
(実施例2)
『1−ベンジル−(S)−2−メチル−3−ピペラジノンの合成』
実施例1と同じ条件で塩化ベンジルのモル比を変えた場合、1−ベンジル−(S)−2−メチル−3−ピペラジノンの収率は表−4のようになった。
【0034】
【表4】
【0035】
(実施例3)
『1−ベンジル−(S)−2−メチルピペラジンの合成』
実施例1と同様の反応を行い、反応液からトルエンによる抽出および晶析により得られた光学純度97.5%eeの1−ベンジル−(S)−2−メチル−3−ピペラジノン19.1g(0.094mol)に68gのトルエンを溶媒として加え、さらにナトリウム水素化ビスメトキシエトキシアルミニウムの70%トルエン溶液53.5g(0.185mol)を加え、90℃で3時間加熱した。加熱終了後、室温下10wt%の水酸化ナトリウム68.5gを加えて分液した有機層を、さらに水68.5gにて洗浄し、有機溶媒を濃縮除去した。残渣はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 メタノール:トリエチルアミン=20:1)に通し、1−ベンジル−(S)−2−メチルピペラジン15.6g(0.082mol)を得た。収率88%であり、表−5のHPLC分析より光学純度は95.8%eeであった。
【0036】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δ):1.13(3H,d)、1.44(1H,s))、2.05〜2.90(7H,m)、3.18(1H,d)、4.05(1H,d)、7.28(5H,m).
【0037】
【表5】
【0038】
(比較例1)
トルエン8ml溶媒中、光学純度96.7%eeの(S)−3−メチル−2−ピペラジノン0.97g(8.49mmol)にナトリウム水素化ビスメトキシエトキシアルミニウムの70%トルエン溶液4.95g(17.2mmol)を加え、90℃で3時間加熱した。加熱終了後、室温にて10wt%の水酸化ナトリウム5.3gを加えた。分液した有機層から溶媒を濃縮除去した残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 メタノール)に通し、(S)−2−メチルピペラジン0.61g(6.11mmol)を得た。収率は72%であり、光学純度は後記表−7の条件に従った結果、90.6%eeであった。
【0039】
(実施例4)
『1−ベンジル−(S)−2−メチルピペラジンの合成』
実施例3と同じ条件でナトリウム水素化ビスメトキシエトキシアルミニウムのモル比を変えた場合、1−ベンジル−(S)−2−メチルピペラジンの収率は表−6のようになった。
【0040】
【表6】
【0041】
(実施例5)
『(S)−2−メチルピペラジンの合成』
光学純度95.8%eeの1−ベンジル−(S)−2−メチルピペラジン15.6g(81.8mmol)にメタノール100mlを加え、5%パラジウム炭素1.6gを窒素雰囲気下加えた。この反応液を室温下5kg/cm2に加圧した水素雰囲気で67時間攪拌した。攪拌終了後パラジウム炭素を濾別し、溶媒を除去して(S)−2−メチルピペラジン8.04g(80.3mmol)を収率98%で得た。光学純度は下記の条件にて分析した結果、95.8%eeであった。
【0042】
1H−NMRスペクトル(CDCl3,δ):1.00(3H,d)、1.53(2H,s)、2.32〜2.40(1H,m)、2.68〜2.98(6H,m).
【0043】
((S)−2−メチルピペラジンの光学純度の決定)
クロロホルム2ml、(S)−2−メチルピペラジン0.10g(1.00mmol)とトリエチルアミン0.22g(2.18mmol)の中に室温下塩化ベンゾイル0.31g(2.19mmol)を加えて30分放置した。反応液をNaHCO3水溶液で洗浄分液し、有機層の溶媒を濃縮した残渣はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 酢酸エチル:ヘキサン=2:1)に通し1,4−ジベンゾイル−(S)−2−メチルピペラジンを得た。これを表−7のHPLC条件にて分析した。なお、以下の(S)−2−メチルピペラジンの分析は、全てこの方法にて行った。
【0044】
【表7】
【0045】
(実施例6)
『(S)−2−メチルピペラジンの精製』
参考例1において、(R)−2−トシルオキシプロピオン酸メチルの代りに(R)−2−クロロプロピオン酸メチルを用い、60℃で13時間反応させ、実施例1,3および5の方法で合成した(S)−2−メチルピペラジン(光学純度86.5%ee)0.61gにヘキサン,イソプロピルアルコール(94:6)の混合溶媒6.5gを加えた。50℃にて溶解した後、5℃にて晶析した結晶を濾別し、乾燥すると(S)−2−メチルピペラジンの白色結晶0.28g(収率46%)が得られた。この光学純度は99.5%eeであった。
【0046】
(実施例7)
『(S)−2−メチルピペラジンの精製』
実施例6で用いた光学純度86.5%eeの(S)−2−メチルピペラジン0.7gにイソプロピルエーテル7.0gを加えた。50℃にて溶解した後、5℃にて晶析した結晶を濾別し、乾燥すると(S)−2−メチルピペラジンの白色結晶0.36g(収率51%)が得られた。このものの光学純度は98.1%eeであった。
【0047】
(実施例8)
『(S)−2−メチルピペラジンの精製』
実施例3で得られた光学純度95.8%eeの(S)−2−メチルピペラジン0.7gにヘキサン7.0gを加えた。60℃にて溶解した後、室温にて晶析した結晶を濾別し、乾燥すると(S)−2−メチルピペラジンの白色結晶0.49g(収率70%)が得られた。このものの光学純度は99.9%eeであった。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、工業的に有利な方法で、(S)−2−低級アルキルピペラジンが極めて高光学純度で得られる。特に、本発明により再結晶した(S)−2−低級アルキルピペラジンは、極めて高光学純度である。こうして得られる高光学純度の(S)−2−低級アルキルピペラジンはキノリン系抗菌剤などの医薬品の中間体として有用である。
Claims (6)
- 下記一般式[1]で表される(S)−3−低級アルキル−2−ピペラジノンをベンジル化して一般式[2]で表される1−ベンジル−(S)−2−低級アルキル−3−ピペラジノンを得る第1反応工程、
前記1−ベンジル−(S)−2−低級アルキル−3−ピペラジノンを還元して一般式[3]で表される1−ベンジル−(S)−2−低級アルキルピペラジンを得る第2反応工程、および、
前記1−ベンジル−(S)−2−低級アルキルピペラジンを脱ベンジル化して一般式[4]で表される(S)−2−低級アルキルピペラジンを得る第3反応工程、からなる(S)−2−低級アルキルピペラジンの製造方法。
- 第2反応工程における還元がナトリウム水素化ビスメトキシエトキシアルミニウムによるものである請求項1記載の(S)−2−低級アルキルピペラジンの製造方法。
- 第1反応工程のベンジル化が、下記一般式[5]で表される(R)−脂肪酸エステル誘導体とエチレンジアミンとを反応させて得られる(S)−3−低級アルキル−2−ピペラジノンの反応溶液に、塩化ベンジルを加えて反応させるものである請求項1〜2のいずれかに記載の(S)−2−低級アルキルピペラジンの製造方法。
- Rが示す低級アルキル基がメチル基である請求項1〜3のいずれかに記載の(S)−2−低級アルキルピペラジンの製造方法。
- 一般式[2]で表される1−ベンジル−(S)−2−低級アルキル−3−ピペラジノンをナトリウム水素化ビスメトキシエトキシアルミニウムにより還元することを特徴とする一般式[3]で表される1−ベンジル−(S)−2−低級アルキルピペラジンの製造方法。
- Rが示す低級アルキル基がメチル基である請求項5記載の1−ベンジル−(S)−2−低級アルキルピペラジンの製造方法。
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