JPH0730409B2 - 低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法 - Google Patents

低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法

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JPH0730409B2 JP2190441A JP19044190A JPH0730409B2 JP H0730409 B2 JPH0730409 B2 JP H0730409B2 JP 2190441 A JP2190441 A JP 2190441A JP 19044190 A JP19044190 A JP 19044190A JP H0730409 B2 JPH0730409 B2 JP H0730409B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、鉄損が極めて低い一方向性珪素鋼板の製造方
法に関し、特に、その表面を効果的に仕上げることによ
って、鉄損特性の顕著な改善を図ろうとするものであ
る。
〔従来の技術〕 一方向性珪素鋼板は、電気機器の磁気鉄芯として多用さ
れ、エネルギロスを少なくすべく、鉄損が少ないもので
あることが要求される。而して、一方向性珪素鋼板の鉄
損を低減する手段として、仕上焼鈍後の材料表面にレー
ザビームを照射して局部的な歪を与え、それによって磁
区を細分化して鉄損を低下させる方法が、たとえば特開
昭58−26405号公報に開示されている。また、一方向性
珪素鋼板を鉄芯へ加工した後、歪取り焼鈍(応力除去焼
鈍)を施しても磁区細分化効果が消失しない磁区細分化
手段が、たとえば特開昭62−8617号公報に開示されてい
る。これらの技術的手段によって、一方向性珪素鋼板を
鉄損値を低下させることができる。しかしながら、さら
に鉄損値の低減を図ろうとするときは、仕上焼鈍後の材
料表面に存在するグラス皮膜を除去し、鋼板表面近傍の
磁区の動きを阻害する地鉄表面の凹凸を取り除くことが
重要である。そのためには、仕上焼鈍後の材料表面を鏡
面に仕上げる必要がある。仕上焼鈍後の材料表面を鏡面
に仕上げる方法として、特開昭64−83620号公報に開示
されている、化学研磨或は電解研磨による方法がある。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来、鋼板表面を鏡面仕上げの手段として化学的な手
段、電解研磨、磁石、ブラシ等による機械的な手段が採
られてきた。化学的な手段、電解研磨等は、少量の試料
を作るのに適しているけれども、工業的に多量生産され
る金属ストリップ、たとえば珪素鋼ストリップ表面を鏡
面仕上げするためには、薬液濃度の管理、温度の管理、
公害設備の設置等の諸点で非常な困難を伴う。機械的研
磨による場合は、工業的に大きな面積をもつ材料に均一
な鏡面研磨を行うことは、非常に困難である。而して本
発明は、工業的生産規模で珪素鋼ストリップを鏡面仕上
げする手段を含む低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法を
提供することを目的としてなされた。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の特徴とする処は、仕上焼鈍された後の一方向性
珪素鋼板の表面酸化物層をたとえば化学研磨或は機械研
磨などの手段により除去して地鉄面を露出させた後、体
積率で水素を50%以上含む混合ガス雰囲気中1000℃以上
の温度域で鋼板或はストリップを焼鈍して表面を鏡面化
し次いで、張力皮膜を表面に形成する低鉄損一方向性珪
素鋼板の製造方法にあり、また、仕上焼鈍された後の一
方向性珪素鋼板の表面酸化物層をたとえば化学研磨或は
機械研磨などの手段により除去して地鉄面を露出させた
後、鋼板の層間にアルミナ、マグネシア、(アルミナ+
マグネシア)パウダー、フォルステライト皮膜付の珪素
鋼板をスペーサとして介挿し、体積率で水素を50%以上
含む混合ガス雰囲気中1000℃以上の温度域で鋼板(或は
ストリップ)を焼鈍して表面を鏡面化し次いで、張力皮
膜を表面に形成する低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法
にある。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者等は、上記従来技術における問題を解決するた
めに、種々の検討を加えた結果、体積率で50%以上の水
素ガスを含む混合ガス中で、地鉄が露出した珪素鋼板を
1000℃以上の温度域で焼鈍した処、容易に鏡面を作成で
きることを見出した。この処理を単板で行う場合は、ス
ペーサの必要はないが、ストリップコイルの形態或はシ
ートを積層した状態でこの処理を行う場合は、板間に焼
付きを生じるから板間にアルミナ、マグネシア或はこれ
らの混合パウダーをスペーサとして塗布することが必要
である。
前記スペーサとして、フォルステライト皮膜付の板を当
てることもできる。
フォルステライト皮膜付のストリップと仕上焼鈍後の地
鉄を露出せしめた珪素鋼ストリップを二枚重ねにしてス
トリップコイルとし、体積率で50%以上の水素ガスを含
む混合ガス中で、1000℃以上の温度域で焼鈍すれば容易
に鏡面とすることができる。
上記スペーサは、焼鈍後も板に焼き付くことがなく容易
に除去することが可能である。こうして得られる一方向
性珪素鋼板に、特公昭63−44804号公報、特公昭63−661
1号公報に開示されている如き、一方向性珪素鋼板を鉄
芯に加工した後歪取り焼鈍を施しても、磁区細分化効果
が消失しない磁区制御技術を適用することができること
は勿論である。
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
重量で、4%以下のSiを含有する鋼スラブを加熱し、熱
間圧延して熱延板とし、必要に応じてこの段階で焼鈍を
施し、次いで、1回或は中間焼鈍を介挿する2回の冷間
圧延を施して最終板厚とした後、脱炭焼鈍し焼鈍分離剤
を塗布しこれを巻き取ってストリップコイルとし、次い
で、高温長時間の仕上焼鈍を施し{110}<001>方位の
二次再結晶粒を発達させた鋼板のフォルステライト皮膜
を化学的或は機械的に除去して仕上焼鈍後の表面の粗度
が3μm以下となるようにした後、体積率で水素50%以
上を含む混合ガス中、1000℃以上の温度域で焼鈍する。
還元ガスを含む混合ガス中で地鉄を露出させた鋼板を加
熱することによって、表面から原子の蒸発および原子の
移動が起こり磁気的にピンニングのない平滑な表面が現
出する。水素ガスの体積率が50%未満になると、鋼板の
表面が酸化し磁気的性質が劣化する。水素ガスと混合さ
せるガスは、窒素ガスあるいはアルゴンガスのような不
活性ガスがよい。工業的には、水素と窒素の混合ガスを
使用するのが最も安価である。水素ガスの体積率を増し
て行くと鋼板の鏡面化効果が大きくなり、体積率で50%
程度の水素ガスを含有すると効果が現れる。水素ガスの
体積含有率が50%より少なくなると、鋼板表面の金属光
沢が鈍り、磁気的性質が劣化する。
焼鈍温度が高い方が短時間に鏡面が得られる。1000℃以
上であれば、鋼板表面原子を効果的に蒸発および移動さ
せることが可能であるので、1000℃を下限とした。
1000℃未満の温度域では、鏡面化の効率が悪くなり、工
業的なプロセスとならない。第1図に、水素ガス100%,
50%のときの鋼板表面の平均粗度0.3μm以下で、かつ
磁気的にピンニングする酸化皮膜のない鏡面が得られる
温度と時間の関係を示す。温度があまり低くなると長時
間を要し、工業的なプロセスとならない。
このようにして得られた鏡面をもつ試料に、張力付与コ
ーティング液を塗布し焼付け処理した処、化学研磨によ
って作成した鏡面材に張力付与コーティングしたものと
同様な鉄損値が得られた。なお、本発明を、CVD,PVD、
イオンプレーティング等の皮膜形成処理技術と組合せて
使用できること勿論である。本発明は、従来の化学研
磨、電解研磨に比し、鏡面化するときの作業が容易か
つ、安定性に優れていることに加えて鏡面作成時の材料
の重量減が従来の方法にくらべて1/10以下と極めて少な
い。以下、実施例について述べる。
〔実施例〕
実施例1 重量で、Si:3.2%を含む板厚:0.23mmの仕上焼鈍後の高
磁束密度一方向性珪素鋼板を、硫酸と弗酸の混合液中に
浸漬してフォルステライト皮膜を除去し水洗乾燥した
後、フォルステライト皮膜付の珪素鋼板と交互に積層し
て1200℃×5時間、水素100%の雰囲気中で焼鈍した。
その後、鋼板に燐酸系張力皮膜溶液を塗布し、830℃×
5分間の焼付け処理を施した。こうして得られた製品の
鉄損値を、第1表に示す。
本発明によるときは、従来法に比し鉄損特性が極めて向
上している(鉄損値が低くなっている)ことが分る。
実施例2 重量で、Si:3.2%を含む板厚:0.23mmの仕上焼鈍後の高
磁束密度一方向性珪素鋼板のフォルステライト皮膜を、
#150のエメリーペーパーで除去した後、アルミナパウ
ダーをメチルアルコール中で撹拌したものを塗布して積
層した。この材料に水素ガス50%+窒素ガス50%の雰囲
気中、1100℃×20時間の焼鈍を施した。
その後、燐酸系張力付与皮膜溶液を塗布して830℃×3
分間の焼付け処理を施した。得られた製品の鉄損値を、
第2表に示す。
本発明によるときは、従来法に比し鉄損特性が極めて向
上している(鉄損値が低くなっている)ことが分る。
実施例3 重量で、Si:3.3%を含む板厚:0.30mmの仕上焼鈍後の一
方向性珪素鋼板のフォルステライト皮膜を、硫酸と弗酸
の混合溶液中に浸漬して除去した後、水洗、乾燥し、マ
グネシアパウダーをエチルアルコール中で撹拌したもの
を塗布して積層した。
この材料を、1000℃×30時間、水素ガス75%+アルゴン
ガス25%の雰囲気中で焼鈍した。次いで、燐酸系張力付
与皮膜溶液を塗布し、840℃×4分間の焼付け処理を施
した。得られた製品の鉄損値を、第3表に示す。
本発明によるときは、従来法に比し鉄損特性が格段に向
上している(鉄損値が低くなっている)ことが分る。
〔発明の効果〕
本発明は、仕上焼鈍後の珪素鋼板のフォルステライト皮
膜を除去した後、体積率で50%以上の水素ガスを含む雰
囲気中で、1000℃以上の温度域で熱処理を施すことによ
って材料表面を鏡面化し、張力皮膜を形成することによ
り製品の鉄損を著しく低下させる方法である。本発明に
よるときは、従来の鏡面化技術による場合に比し、安価
かつ高い生産性下に、方向性珪素鋼板の鉄損を大きく低
下せしめ得、その工業的な効果は甚大である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、仕上焼鈍後の方向性珪素鋼板の表面を鏡面化
するに際し、鏡面となる熱処理温度・時間関係領域を、
水素ガスの体積含有率をパラメータとして示す図であ
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】仕上焼鈍された後の一方向性珪素鋼板の表
    面酸化物層を除去して地鉄面を露出させた後、体積率で
    水素を50%以上含む混合ガス雰囲気中1000℃以上の温度
    域で鋼板を焼鈍して表面を鏡面化し次いで、張力皮膜を
    表面に形成することを特徴とする低鉄損一方向性珪素鋼
    板の製造方法。
  2. 【請求項2】仕上焼鈍された後の一方向性珪素鋼板の表
    面酸化物層を除去して地鉄面を露出させる手段が、化学
    研磨或は機械研磨である請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】仕上焼鈍された後の一方向性珪素鋼板の表
    面酸化物層を除去して地鉄面を露出させた後、鋼板の層
    間にアルミナ、マグネシア、(アルミナ+マグネシア)
    パウダー、フォルステライト皮膜付の珪素鋼板をスペー
    サとして介挿し、体積率で水素を50%以上含む混合ガス
    雰囲気中1000℃以上の温度域で鋼板を焼鈍して表面を鏡
    面化し次いで、張力皮膜を表面に形成することを特徴と
    する低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】仕上焼鈍された後の一方向性珪素鋼板の表
    面酸化物層を除去して地鉄面を露出させる手段が、化学
    研磨或は機械研磨である請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】前記鋼板がストリップである請求項3又は
    4記載の方法。
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