JPH09194948A - 絶縁コーティング密着性の良好な方向性珪素鋼板の製造方法 - Google Patents
絶縁コーティング密着性の良好な方向性珪素鋼板の製造方法Info
- Publication number
- JPH09194948A JPH09194948A JP8003584A JP358496A JPH09194948A JP H09194948 A JPH09194948 A JP H09194948A JP 8003584 A JP8003584 A JP 8003584A JP 358496 A JP358496 A JP 358496A JP H09194948 A JPH09194948 A JP H09194948A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- annealing
- steel sheet
- silicon steel
- grain
- subjected
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Classifications
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01F—MAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
- H01F1/00—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
- H01F1/01—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
- H01F1/03—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
- H01F1/12—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials
- H01F1/14—Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of soft-magnetic materials metals or alloys
- H01F1/147—Alloys characterised by their composition
- H01F1/14766—Fe-Si based alloys
- H01F1/14775—Fe-Si based alloys in the form of sheets
- H01F1/14783—Fe-Si based alloys in the form of sheets with insulating coating
Landscapes
- Physics & Mathematics (AREA)
- Electromagnetism (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Dispersion Chemistry (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Power Engineering (AREA)
- Soft Magnetic Materials (AREA)
- Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 仕上げ焼鈍皮膜が無い、すなわち打ち抜き
性、剪断性が良好もしくは鉄損が低い方向性珪素鋼板
の、絶縁皮膜に対する密着性を改善する。 【解決手段】 仕上げ焼鈍の焼鈍分離剤に用いるアルミ
ナに、ＴｉＯ2 、Ｔｉ3Ｏ5 もしくはＣｒ2 Ｏ3 を重量
で０．５〜２０％添加する。 【効果】 仕上げ焼鈍皮膜が無く、かつ鋼板への付与張
力の大きい絶縁コーティングに対する密着性の良好な方
向性珪素鋼板が製造できる。
性、剪断性が良好もしくは鉄損が低い方向性珪素鋼板
の、絶縁皮膜に対する密着性を改善する。 【解決手段】 仕上げ焼鈍の焼鈍分離剤に用いるアルミ
ナに、ＴｉＯ2 、Ｔｉ3Ｏ5 もしくはＣｒ2 Ｏ3 を重量
で０．５〜２０％添加する。 【効果】 仕上げ焼鈍皮膜が無く、かつ鋼板への付与張
力の大きい絶縁コーティングに対する密着性の良好な方
向性珪素鋼板が製造できる。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として変圧器そ
の他の電気機器等の鉄芯として利用される一方向性珪素
鋼板の製造方法に関するものであり、特に、仕上げ焼鈍
皮膜を形成させない、もしくは除去した珪素鋼板の絶縁
コーティング密着性を確保しようとするものである。
の他の電気機器等の鉄芯として利用される一方向性珪素
鋼板の製造方法に関するものであり、特に、仕上げ焼鈍
皮膜を形成させない、もしくは除去した珪素鋼板の絶縁
コーティング密着性を確保しようとするものである。
【０００２】
【従来の技術】多くの電気機器に磁気鉄芯として用いら
れる一方向性珪素鋼板は、Ｓｉを０．８〜４．８％含有
し、製品の結晶組織を｛１１０｝〈００１〉方位に高度
に集積させた鋼板である。方向性珪素鋼板の一般的な製
造プロセスは概略以下の通りである。Ｓｉを４％以下含
有する珪素鋼スラブを熱延し、熱延板焼鈍を施すかある
いは施さずに、１回もしくは中間焼鈍をはさむ２回の冷
延により最終板厚に仕上げ、湿潤雰囲気中の焼鈍により
脱炭とＳｉＯ2 を主体とするサブスケールを形成させ
る。続いてＭｇＯを主体とする焼鈍分離剤を水に懸濁し
てスラリー状にして塗布し、乾燥の後コイルに巻き取
り、高温仕上げ焼鈍を行う。
れる一方向性珪素鋼板は、Ｓｉを０．８〜４．８％含有
し、製品の結晶組織を｛１１０｝〈００１〉方位に高度
に集積させた鋼板である。方向性珪素鋼板の一般的な製
造プロセスは概略以下の通りである。Ｓｉを４％以下含
有する珪素鋼スラブを熱延し、熱延板焼鈍を施すかある
いは施さずに、１回もしくは中間焼鈍をはさむ２回の冷
延により最終板厚に仕上げ、湿潤雰囲気中の焼鈍により
脱炭とＳｉＯ2 を主体とするサブスケールを形成させ
る。続いてＭｇＯを主体とする焼鈍分離剤を水に懸濁し
てスラリー状にして塗布し、乾燥の後コイルに巻き取
り、高温仕上げ焼鈍を行う。
【０００３】この高温仕上げ焼鈍により、鋼板中におい
ては優れた磁気特性を発揮するゴス方位の二次再結晶粒
が発達し、一方鋼板表面においては焼鈍分離剤中のＭｇ
Ｏとサブスケール中のＳｉＯ2 が反応してフォルステラ
イト（Ｍｇ2 ＳｉＯ4 ）を主体とす仕上げ焼鈍皮膜が形
成される。
ては優れた磁気特性を発揮するゴス方位の二次再結晶粒
が発達し、一方鋼板表面においては焼鈍分離剤中のＭｇ
Ｏとサブスケール中のＳｉＯ2 が反応してフォルステラ
イト（Ｍｇ2 ＳｉＯ4 ）を主体とす仕上げ焼鈍皮膜が形
成される。
【０００４】珪素鋼板がＡｌを含む場合には、フォルス
テライトに加えて仕上げ焼鈍皮膜中にスピネル（ＭｇＡ
ｌ2 Ｏ4 ）、コージライト（Ｍｇ2 Ａｌ4 Ｓｉ5 Ｏ18）
等の複合酸化物が形成されることもある。従って、本発
明で仕上げ焼鈍皮膜とは、ＭｇＯ焼鈍分離剤を用いて仕
上げ焼鈍を行った場合に生じる、フォルステライトを主
体としスピネルやコージライトを含み得る皮膜のことを
言う。
テライトに加えて仕上げ焼鈍皮膜中にスピネル（ＭｇＡ
ｌ2 Ｏ4 ）、コージライト（Ｍｇ2 Ａｌ4 Ｓｉ5 Ｏ18）
等の複合酸化物が形成されることもある。従って、本発
明で仕上げ焼鈍皮膜とは、ＭｇＯ焼鈍分離剤を用いて仕
上げ焼鈍を行った場合に生じる、フォルステライトを主
体としスピネルやコージライトを含み得る皮膜のことを
言う。
【０００５】仕上げ焼鈍後の方向性珪素鋼板には絶縁コ
ーティングが施される。絶縁コーティングとしては、特
開昭４８−３９３３８号公報で開示されたコロイド状シ
リカと燐酸塩を主体とするコーティング液を採用するの
が一般的である。同コーティング液を８００℃程度の温
度で焼き付けると、冷却後に鋼板に対して張力を付与
し、鉄損低減に有効であるからである。最近では、酸化
アルミニウムと硼酸を主体とするコーティング液も開発
されつつある（特開平６−３０６６２８号公報）。
ーティングが施される。絶縁コーティングとしては、特
開昭４８−３９３３８号公報で開示されたコロイド状シ
リカと燐酸塩を主体とするコーティング液を採用するの
が一般的である。同コーティング液を８００℃程度の温
度で焼き付けると、冷却後に鋼板に対して張力を付与
し、鉄損低減に有効であるからである。最近では、酸化
アルミニウムと硼酸を主体とするコーティング液も開発
されつつある（特開平６−３０６６２８号公報）。
【０００６】方向性珪素鋼板に求められる製品特性とし
て、まず鉄損（Ｗ17/50 で代表される）が低いことが要
求される。特に、最近では地球環境保全や省エネルギー
の見地から、電力損失の少ない鉄芯材料、すなわち鉄損
の低い方向性珪素鋼板が求められている。鉄損が低いほ
ど発電機、変圧器等に使用された場合の変換ロスが減少
するからである。
て、まず鉄損（Ｗ17/50 で代表される）が低いことが要
求される。特に、最近では地球環境保全や省エネルギー
の見地から、電力損失の少ない鉄芯材料、すなわち鉄損
の低い方向性珪素鋼板が求められている。鉄損が低いほ
ど発電機、変圧器等に使用された場合の変換ロスが減少
するからである。
【０００７】方向性珪素鋼板の鉄損値を低減させる手段
としては、鋼板板厚の減少、鋼中Ｓｉ含有量の増加、鋼
板の高磁束密度化、皮膜による鋼板への張力付与などが
検討されてきた。最近では鋼板に線状の歪や溝を導入す
る磁区制御技術も開発されている。これらの鉄損低減技
術は工業的にはほぼ完成されたと言ってよく、さらなる
低鉄損化を図るためには新しい手段を開発する必要があ
る。
としては、鋼板板厚の減少、鋼中Ｓｉ含有量の増加、鋼
板の高磁束密度化、皮膜による鋼板への張力付与などが
検討されてきた。最近では鋼板に線状の歪や溝を導入す
る磁区制御技術も開発されている。これらの鉄損低減技
術は工業的にはほぼ完成されたと言ってよく、さらなる
低鉄損化を図るためには新しい手段を開発する必要があ
る。
【０００８】最近注目されている課題は、鋼板と皮膜界
面の平坦化である。現行の方向性珪素鋼板においてはグ
ラス皮膜と鋼板との界面の凹凸が激しく、磁化過程にお
ける磁壁移動を阻害している。したがってグラス皮膜の
ない方向性珪素鋼板を製造できるならば、さらなる低鉄
損化がはかれる。
面の平坦化である。現行の方向性珪素鋼板においてはグ
ラス皮膜と鋼板との界面の凹凸が激しく、磁化過程にお
ける磁壁移動を阻害している。したがってグラス皮膜の
ない方向性珪素鋼板を製造できるならば、さらなる低鉄
損化がはかれる。
【０００９】鉄損のほかに方向性珪素鋼板に求められる
項目は、打ち抜き性や剪断性といった加工のしやすさで
ある。すなわち、鉄芯は金型による打ち抜きもしくは剪
断によって所定形状に加工された方向性珪素鋼板の積層
によって製造される。打ち抜きの際に問題となるのは返
りである。返りが大きくなると鉄芯積層体において端面
短絡が起こり、鉄損の異常増加が起こる。
項目は、打ち抜き性や剪断性といった加工のしやすさで
ある。すなわち、鉄芯は金型による打ち抜きもしくは剪
断によって所定形状に加工された方向性珪素鋼板の積層
によって製造される。打ち抜きの際に問題となるのは返
りである。返りが大きくなると鉄芯積層体において端面
短絡が起こり、鉄損の異常増加が起こる。
【００１０】現行の方向性珪素鋼板の表面には、前述の
ようにフォルステライトを主体とするグラス皮膜が形成
されているが、この皮膜は硬質である。したがって、打
ち抜きのための金型の摩耗が激しく、打ち抜き返りを防
止するためには金型の再研磨あるいは交換を頻繁に行わ
なければならない。これは作業性を著しく低下させ、ま
た、コストの上昇をまねく。
ようにフォルステライトを主体とするグラス皮膜が形成
されているが、この皮膜は硬質である。したがって、打
ち抜きのための金型の摩耗が激しく、打ち抜き返りを防
止するためには金型の再研磨あるいは交換を頻繁に行わ
なければならない。これは作業性を著しく低下させ、ま
た、コストの上昇をまねく。
【００１１】したがって、より優れた方向性電磁鋼板、
すなわち鉄損がより低いあるいは打ち抜きおよび剪断性
がより改善された方向性珪素鋼板を製造するためには、
仕上げ焼鈍時のグラス皮膜形成を防止すればよいことに
なる。
すなわち鉄損がより低いあるいは打ち抜きおよび剪断性
がより改善された方向性珪素鋼板を製造するためには、
仕上げ焼鈍時のグラス皮膜形成を防止すればよいことに
なる。
【００１２】仕上げ焼鈍においてグラス皮膜を形成させ
ないために、ＳｉＯ2 系酸化物に対して不活性な酸化物
を焼鈍分離剤として用いる方法が提案されている。例え
ば、U.S.Patent 3,785,882においては、高純度の粗粒ア
ルミナを用いてグラス皮膜形成を防止する方法が開示さ
れている。
ないために、ＳｉＯ2 系酸化物に対して不活性な酸化物
を焼鈍分離剤として用いる方法が提案されている。例え
ば、U.S.Patent 3,785,882においては、高純度の粗粒ア
ルミナを用いてグラス皮膜形成を防止する方法が開示さ
れている。
【００１３】グラス皮膜が無くかつ鉄損の低い方向性珪
素鋼板の製造方法として、発明者らは、脱炭焼鈍板の酸
化層を酸洗等により除去しアルミナ等の焼鈍分離剤を用
いて仕上げ焼鈍を行う方法（特開平６−２５６８４８号
公報）や、アルカリ金属不純物の多い焼鈍分離剤を使用
する方法（特願平７−１２０３４５号）を提案してい
る。
素鋼板の製造方法として、発明者らは、脱炭焼鈍板の酸
化層を酸洗等により除去しアルミナ等の焼鈍分離剤を用
いて仕上げ焼鈍を行う方法（特開平６−２５６８４８号
公報）や、アルカリ金属不純物の多い焼鈍分離剤を使用
する方法（特願平７−１２０３４５号）を提案してい
る。
【００１４】これらの製造法によって得られた方向性珪
素鋼板に絶縁コーティングを施すならば、U.S.Patent
3,785,882による場合は打ち抜きおよび剪断性の優れた
珪素鋼板が得られ、特開平６−２５６８４８号公報や特
願平７−１２０３４５号による場合は、極めて鉄損の低
い珪素鋼板が得られる。
素鋼板に絶縁コーティングを施すならば、U.S.Patent
3,785,882による場合は打ち抜きおよび剪断性の優れた
珪素鋼板が得られ、特開平６−２５６８４８号公報や特
願平７−１２０３４５号による場合は、極めて鉄損の低
い珪素鋼板が得られる。
【００１５】しかしながら、仕上げ焼鈍皮膜の無い珪素
鋼板の絶縁コーティング密着性は悪い。特に鋼板への付
与張力の大きい、したがって鉄損低減効果の大きいコー
ティング（コロイド状シリカと燐酸塩を主体とする、あ
るいは酸化アルミニウムと硼酸を主体とする絶縁コーテ
ィング）に対する密着性は極めて悪く、焼付後に直ちに
剥離してしまう。
鋼板の絶縁コーティング密着性は悪い。特に鋼板への付
与張力の大きい、したがって鉄損低減効果の大きいコー
ティング（コロイド状シリカと燐酸塩を主体とする、あ
るいは酸化アルミニウムと硼酸を主体とする絶縁コーテ
ィング）に対する密着性は極めて悪く、焼付後に直ちに
剥離してしまう。
【００１６】仕上げ焼鈍皮膜のない珪素鋼板の絶縁コー
ティング密着性を確保する方法として、仕上げ焼鈍後に
弱酸化性雰囲気下で再焼鈍することにより、表面に外部
酸化型ＳｉＯ2 膜を形成させる方法が開示されている
（特開平６−１８４７６２号公報）。外部酸化型ＳｉＯ
2 皮膜は下地鋼板との密着性が良好であり、かつ酸化物
系セラミックスとの密着性も良い。したがって、珪素鋼
板の絶縁コーティング密着性は格段に改善される。しか
しながら、仕上げ焼鈍工程と絶縁コーティング工程との
間に焼鈍工程を付加することは、珪素鋼板の製造工程を
増やすことになり、製造コストが増大する。
ティング密着性を確保する方法として、仕上げ焼鈍後に
弱酸化性雰囲気下で再焼鈍することにより、表面に外部
酸化型ＳｉＯ2 膜を形成させる方法が開示されている
（特開平６−１８４７６２号公報）。外部酸化型ＳｉＯ
2 皮膜は下地鋼板との密着性が良好であり、かつ酸化物
系セラミックスとの密着性も良い。したがって、珪素鋼
板の絶縁コーティング密着性は格段に改善される。しか
しながら、仕上げ焼鈍工程と絶縁コーティング工程との
間に焼鈍工程を付加することは、珪素鋼板の製造工程を
増やすことになり、製造コストが増大する。
【００１７】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、アルミナ焼
鈍分離剤の採用により、打ち抜き性、剪断性もしくは鉄
損値に優れた方向性珪素鋼板、すなわち仕上げ焼鈍皮膜
のない方向性珪素鋼板を製造するに当たり、特に鋼板へ
の張力を付与しうる絶縁コーティングの密着性を安価に
確保する方法を開示するものである。
鈍分離剤の採用により、打ち抜き性、剪断性もしくは鉄
損値に優れた方向性珪素鋼板、すなわち仕上げ焼鈍皮膜
のない方向性珪素鋼板を製造するに当たり、特に鋼板へ
の張力を付与しうる絶縁コーティングの密着性を安価に
確保する方法を開示するものである。
【００１８】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、珪素鋼
板を、熱延板焼鈍を施すかあるいは施さずに、１回もし
くは中間焼鈍をはさむ２回以上の冷間圧延により最終板
厚とし、次いで脱炭焼鈍を行い、窒化処理を施すかある
いは施さず、アルミナを主体とする焼鈍分離剤を塗布し
てコイルに巻き取り、しかる後に仕上げ焼鈍を行うこと
により、仕上げ焼鈍皮膜のない方向性珪素鋼板を製造す
る方法において、焼鈍分離剤中にＴｉＯ2 、Ｔｉ3 Ｏ5
もしくはＣｒ2 Ｏ3 を重量で０．５〜２０％添加するこ
とを特徴とする絶縁コーティング密着性の良好な方向性
珪素鋼板の製造方法である。
板を、熱延板焼鈍を施すかあるいは施さずに、１回もし
くは中間焼鈍をはさむ２回以上の冷間圧延により最終板
厚とし、次いで脱炭焼鈍を行い、窒化処理を施すかある
いは施さず、アルミナを主体とする焼鈍分離剤を塗布し
てコイルに巻き取り、しかる後に仕上げ焼鈍を行うこと
により、仕上げ焼鈍皮膜のない方向性珪素鋼板を製造す
る方法において、焼鈍分離剤中にＴｉＯ2 、Ｔｉ3 Ｏ5
もしくはＣｒ2 Ｏ3 を重量で０．５〜２０％添加するこ
とを特徴とする絶縁コーティング密着性の良好な方向性
珪素鋼板の製造方法である。
【００１９】以下に本発明の内容を詳細に説明する。本
発明者らは、新たな工程を付加させることなく外部酸化
型ＳｉＯ2 皮膜を形成する方法を探索した。すなわち、
仕上げ焼鈍中でのＳｉＯ2 膜形成による絶縁コーティン
グ密着性の確保を検討した。
発明者らは、新たな工程を付加させることなく外部酸化
型ＳｉＯ2 皮膜を形成する方法を探索した。すなわち、
仕上げ焼鈍中でのＳｉＯ2 膜形成による絶縁コーティン
グ密着性の確保を検討した。
【００２０】珪素鋼板を、Ｆｅに対しては還元性でかつ
Ｓｉに対しては酸化性である弱酸化性雰囲気中で焼鈍す
れば、合金成分であるＳｉのみが酸化してＳｉＯ2 外部
酸化膜が形成される。そこでまず仕上げ焼鈍の雰囲気を
制御することを試みた。しかしながら、仕上げ焼鈍はコ
イルによるバッチ焼鈍であり、コイル板間に外部雰囲気
が十分に浸透することは難しい。コイル板幅方向に均一
にＳｉＯ2 膜を形成することは困難であった。
Ｓｉに対しては酸化性である弱酸化性雰囲気中で焼鈍す
れば、合金成分であるＳｉのみが酸化してＳｉＯ2 外部
酸化膜が形成される。そこでまず仕上げ焼鈍の雰囲気を
制御することを試みた。しかしながら、仕上げ焼鈍はコ
イルによるバッチ焼鈍であり、コイル板間に外部雰囲気
が十分に浸透することは難しい。コイル板幅方向に均一
にＳｉＯ2 膜を形成することは困難であった。
【００２１】次に試みたことは、弱い酸化力を有する酸
化剤を焼鈍分離剤に添加することである。適当な解離圧
を有しかつ非水和性の酸化物を検討したところ、ＴｉＯ
2 、Ｔｉ3 Ｏ5 もしくはＣｒ2 Ｏ3 の添加が有効である
ことがわかった。すなわち、これら酸物をアルミナ焼鈍
分離剤に０．５％以上添加して仕上げ焼鈍を行ったとこ
ろ、フォルステライトを主体とする仕上げ焼鈍皮膜が形
成されないのは勿論のこと、実施例に示すように、鋼板
に対する付与張力の大きい絶縁コーティングに対する密
着性が著しく改善された。ただし、添加量が２０％を越
えるとアルミナの焼付が顕著になり、焼鈍分離剤として
適当でなくなる。
化剤を焼鈍分離剤に添加することである。適当な解離圧
を有しかつ非水和性の酸化物を検討したところ、ＴｉＯ
2 、Ｔｉ3 Ｏ5 もしくはＣｒ2 Ｏ3 の添加が有効である
ことがわかった。すなわち、これら酸物をアルミナ焼鈍
分離剤に０．５％以上添加して仕上げ焼鈍を行ったとこ
ろ、フォルステライトを主体とする仕上げ焼鈍皮膜が形
成されないのは勿論のこと、実施例に示すように、鋼板
に対する付与張力の大きい絶縁コーティングに対する密
着性が著しく改善された。ただし、添加量が２０％を越
えるとアルミナの焼付が顕著になり、焼鈍分離剤として
適当でなくなる。
【００２２】なお、Ｔｉ酸化物は仕上げ焼鈍中で還元さ
れ鋼板に固溶し、雰囲気中の窒素と反応して鋼中にＴｉ
Ｎとして析出し、磁気特性を劣化させる可能性がある。
しかしながら、実際に仕上げ焼鈍後の鋼板の窒素量を分
析したところ、２０％のＴｉ酸化物添加の場合ですら２
０ppm 以下であった。したがって、本発明においてはＴ
ｉＮ形成による磁気特性劣化のおそれは全く無い。な
お、ＴｉＯ2 にはルチル型とアナターゼ型が存在する
が、何れを用いても効果や特性に差はない。
れ鋼板に固溶し、雰囲気中の窒素と反応して鋼中にＴｉ
Ｎとして析出し、磁気特性を劣化させる可能性がある。
しかしながら、実際に仕上げ焼鈍後の鋼板の窒素量を分
析したところ、２０％のＴｉ酸化物添加の場合ですら２
０ppm 以下であった。したがって、本発明においてはＴ
ｉＮ形成による磁気特性劣化のおそれは全く無い。な
お、ＴｉＯ2 にはルチル型とアナターゼ型が存在する
が、何れを用いても効果や特性に差はない。
【００２３】
（実施例１）重量で、Ｓｉ：３．３％、Ｍｎ：０．０７
％、Ｃ：０．０５％、Ｓ：０．０２５％を含有する板厚
２．５mmの熱延珪素鋼帯を酸洗した後、９００℃で２分
間の中間焼鈍を挟む２回冷延法により板厚０．３０mmに
冷延した。この冷延鋼板に対し脱炭焼鈍を施した後、表
１の組成を有する焼鈍分離剤を水スラリー化して塗布、
乾燥し、仕上げ焼鈍を施した。仕上げ焼鈍後の鋼板に、
燐酸塩とコロイダルシリカを主成分とする絶縁コーティ
ングを施し、その密着性を評価した。
％、Ｃ：０．０５％、Ｓ：０．０２５％を含有する板厚
２．５mmの熱延珪素鋼帯を酸洗した後、９００℃で２分
間の中間焼鈍を挟む２回冷延法により板厚０．３０mmに
冷延した。この冷延鋼板に対し脱炭焼鈍を施した後、表
１の組成を有する焼鈍分離剤を水スラリー化して塗布、
乾燥し、仕上げ焼鈍を施した。仕上げ焼鈍後の鋼板に、
燐酸塩とコロイダルシリカを主成分とする絶縁コーティ
ングを施し、その密着性を評価した。
【００２４】
【表１】
【００２５】（実施例２）重量で、Ｓｉ：３．３％、Ｍ
ｎ：０．０７％、Ｃ：０．０７％、Ｓ：０．０２５％、
酸可溶性Ａｌ：０．０２６％、Ｎ：０．００８％、Ｓ
ｎ：０．１％を含有する板厚２．３mmの熱延珪素鋼帯を
１１００℃で２分間焼鈍し、酸洗した後、板厚０．２３
mmに冷延した。この冷延鋼板に対し脱炭焼鈍を施し、そ
の際生成した酸化膜を除去酸洗により除去した。
ｎ：０．０７％、Ｃ：０．０７％、Ｓ：０．０２５％、
酸可溶性Ａｌ：０．０２６％、Ｎ：０．００８％、Ｓ
ｎ：０．１％を含有する板厚２．３mmの熱延珪素鋼帯を
１１００℃で２分間焼鈍し、酸洗した後、板厚０．２３
mmに冷延した。この冷延鋼板に対し脱炭焼鈍を施し、そ
の際生成した酸化膜を除去酸洗により除去した。
【００２６】続いて表２の組成を有する焼鈍分離剤を水
スラリー化して塗布、乾燥し、仕上げ焼鈍を施した。仕
上げ焼鈍後の鋼板に、燐酸塩とコロイダルシリカを主成
分とする絶縁コーティング、もしくはアルミナゾルと硼
酸を主体とする絶縁コーティングを施し、その密着性を
評価した。
スラリー化して塗布、乾燥し、仕上げ焼鈍を施した。仕
上げ焼鈍後の鋼板に、燐酸塩とコロイダルシリカを主成
分とする絶縁コーティング、もしくはアルミナゾルと硼
酸を主体とする絶縁コーティングを施し、その密着性を
評価した。
【００２７】
【表２】
【００２８】（実施例３）重量で、Ｓｉ：３．３％、Ｍ
ｎ：０．１％、Ｃ：０．０５％、Ｓ：０．００７％、酸
可溶性Ａｌ：０．０３％、Ｎ：０．００８％、Ｓｎ：
０．０５％を含有する板厚２．３mmの熱延珪素鋼帯を１
１００℃で２分間焼鈍し、酸洗した後、板厚０．２３mm
に冷延した。この冷延鋼板に対し脱炭焼鈍を施し、続い
て表３の組成を有する焼鈍分離剤を水スラリー化して塗
布、乾燥し、仕上げ焼鈍を施した。仕上げ焼鈍後の鋼板
に、燐酸塩とコロイダルシリカを主成分とする絶縁コー
ティングを施し、その密着性を評価した。
ｎ：０．１％、Ｃ：０．０５％、Ｓ：０．００７％、酸
可溶性Ａｌ：０．０３％、Ｎ：０．００８％、Ｓｎ：
０．０５％を含有する板厚２．３mmの熱延珪素鋼帯を１
１００℃で２分間焼鈍し、酸洗した後、板厚０．２３mm
に冷延した。この冷延鋼板に対し脱炭焼鈍を施し、続い
て表３の組成を有する焼鈍分離剤を水スラリー化して塗
布、乾燥し、仕上げ焼鈍を施した。仕上げ焼鈍後の鋼板
に、燐酸塩とコロイダルシリカを主成分とする絶縁コー
ティングを施し、その密着性を評価した。
【００２９】
【表３】
【００３０】
【発明の効果】本発明によれば、仕上げ焼鈍皮膜が無
く、かつ鋼板への付与張力の大きい絶縁コーティングに
対する密着性の良好な方向性珪素鋼板が製造できる。す
なわち、加工性が良好でかつ鉄損の低い方向性珪素鋼板
の製造が可能となる。
く、かつ鋼板への付与張力の大きい絶縁コーティングに
対する密着性の良好な方向性珪素鋼板が製造できる。す
なわち、加工性が良好でかつ鉄損の低い方向性珪素鋼板
の製造が可能となる。
Claims (1)
- 【請求項１】 珪素鋼板を、熱延板焼鈍を施すかあるい
は施さずに、１回もしくは中間焼鈍をはさむ２回以上の
冷間圧延により最終板厚とし、次いで脱炭焼鈍を行い、
窒化処理を施すかあるいは施さず、アルミナを主体とす
る焼鈍分離剤を塗布してコイルに巻き取り、しかる後に
仕上げ焼鈍を行うことにより、仕上げ焼鈍皮膜のない方
向性珪素鋼板を製造する方法において、焼鈍分離剤中に
ＴｉＯ2 、Ｔｉ3 Ｏ5 もしくはＣｒ2 Ｏ3 を重量で０．
５〜２０％添加することを特徴とする絶縁コーティング
密着性の良好な方向性珪素鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8003584A JPH09194948A (ja) | 1996-01-12 | 1996-01-12 | 絶縁コーティング密着性の良好な方向性珪素鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP8003584A JPH09194948A (ja) | 1996-01-12 | 1996-01-12 | 絶縁コーティング密着性の良好な方向性珪素鋼板の製造方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH09194948A true JPH09194948A (ja) | 1997-07-29 |
Family
ID=11561510
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP8003584A Withdrawn JPH09194948A (ja) | 1996-01-12 | 1996-01-12 | 絶縁コーティング密着性の良好な方向性珪素鋼板の製造方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH09194948A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN100448642C (zh) * | 2000-08-15 | 2009-01-07 | 博里利斯技术公司 | 由含有聚乙烯蜡的聚丙烯注塑成型注射器的方法,由此得到的注射器及其颗粒状组合物 |
| JP2010040666A (ja) * | 2008-08-01 | 2010-02-18 | Toyota Motor Corp | 磁性材料のＳｉＯ２薄膜形成方法 |
| US20220074012A1 (en) * | 2018-12-27 | 2022-03-10 | Jfe Steel Corporation | Annealing separator for grain-oriented electrical steel sheet and method of producing grain-oriented electrical steel sheet |
| US11926888B2 (en) * | 2018-12-27 | 2024-03-12 | Jfe Steel Corporation | Annealing separator for grain-oriented electrical steel sheet and method of producing grain-oriented electrical steel sheet |
-
1996
- 1996-01-12 JP JP8003584A patent/JPH09194948A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN100448642C (zh) * | 2000-08-15 | 2009-01-07 | 博里利斯技术公司 | 由含有聚乙烯蜡的聚丙烯注塑成型注射器的方法,由此得到的注射器及其颗粒状组合物 |
| JP2010040666A (ja) * | 2008-08-01 | 2010-02-18 | Toyota Motor Corp | 磁性材料のＳｉＯ２薄膜形成方法 |
| US20220074012A1 (en) * | 2018-12-27 | 2022-03-10 | Jfe Steel Corporation | Annealing separator for grain-oriented electrical steel sheet and method of producing grain-oriented electrical steel sheet |
| US11926888B2 (en) * | 2018-12-27 | 2024-03-12 | Jfe Steel Corporation | Annealing separator for grain-oriented electrical steel sheet and method of producing grain-oriented electrical steel sheet |
Similar Documents
| Publication | Publication Date | Title |
|---|---|---|
| JPWO2014013615A1 (ja) | 方向性電磁鋼板の製造方法 | |
| JP5130488B2 (ja) | 磁気特性および被膜密着性に優れた方向性電磁鋼板およびその製造方法 | |
| JP7299511B2 (ja) | 方向性電磁鋼板の製造方法 | |
| JPH0672266B2 (ja) | 超低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法 | |
| JPH05279864A (ja) | 方向性珪素鋼板の絶縁被膜形成方法 | |
| KR102577485B1 (ko) | 방향성 전자 강판의 제조 방법 | |
| JP2620171B2 (ja) | グラス被膜を有しない高磁束密度方向性電磁鋼板の製造方法 | |
| JPH09194948A (ja) | 絶縁コーティング密着性の良好な方向性珪素鋼板の製造方法 | |
| US3932235A (en) | Method of improving the core-loss characteristics of cube-on-edge oriented silicon-iron | |
| JP2003034820A (ja) | 下地被膜を有しない、打ち抜き加工性の良好な方向性電磁鋼板の製造方法 | |
| JP3412959B2 (ja) | 鉄損の低い鏡面方向性珪素鋼板の製造方法 | |
| JP3562433B2 (ja) | 磁気特性と被膜特性に優れた方向性けい素鋼板 | |
| JPH1161261A (ja) | 磁気特性に優れる方向性電磁鋼板の製造方法 | |
| JP3191121B2 (ja) | 超低鉄損一方向性電磁箔帯の製造方法 | |
| JPH02107722A (ja) | 打抜き性の優れた金属光沢を有する方向性電磁鋼板の製造方法 | |
| JPH09279247A (ja) | 磁束密度の高い一方向性電磁鋼板の製造方法 | |
| JP2680529B2 (ja) | 一方向性珪素鋼板用焼鈍分離剤 | |
| JPH09118922A (ja) | 占積率の高い方向性珪素鋼板の製造方法 | |
| JP2691753B2 (ja) | 打抜き性が極めて優れた金属光沢を有する方向性電磁鋼板の製造方法 | |
| JP2001164344A (ja) | 磁気特性の優れた二方向性電磁鋼板およびその製造方法 | |
| JPH0718457A (ja) | 方向性珪素鋼板用焼鈍分離剤 | |
| JP2579714B2 (ja) | 鏡面方向性珪素鋼板の絶縁被膜形成方法 | |
| JPH0335377B2 (ja) | ||
| JP2678858B2 (ja) | 超低鉄損一方向性珪素鋼板の製造方法 | |
| JP3300194B2 (ja) | 鉄損の低い鏡面方向性電磁鋼板の製造方法 |
Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20030401 |