JPH0730196B2 - 架橋ポリオレフイン系樹脂発泡体の製造法 - Google Patents

架橋ポリオレフイン系樹脂発泡体の製造法

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JPH0730196B2
JPH0730196B2 JP61092372A JP9237286A JPH0730196B2 JP H0730196 B2 JPH0730196 B2 JP H0730196B2 JP 61092372 A JP61092372 A JP 61092372A JP 9237286 A JP9237286 A JP 9237286A JP H0730196 B2 JPH0730196 B2 JP H0730196B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、成形性、耐熱性および強靭性に優れ、均一な
気泡を有する架橋ポリオレフイン系樹脂発泡体を電離性
放射線架橋と化学的架橋とを併用することによって製造
する方法に関する。
(従来の技術) 従来、架橋ポリオレフイン系樹脂発泡体の商業的製造法
には、電子線に代表される電離性の放射線を使用する架
橋発泡法と過酸化物や有機シランをグラフトしシラノー
ル縮合を利用する化学的架橋を使用する架橋発泡法が知
られているが、これらの方法は手段としての特徴はある
が、いずれも得られる架橋ポリオレフイン系樹脂発泡体
の強靭性、成形性、気泡の均一性、耐熱性ならびに圧縮
特性などの発泡体に要求される総合的物性を満足するも
のではなく、実用性能の上で必ずしも十分とはいえなか
った。
(発明の解決しようとする問題点) 本発明の目的は、架橋ポリオレフイン系樹脂発泡体に要
求される上記総合的な物性を満足し、実用性能の上で極
めて優れた架橋発泡体の製造法を提供するにある。
(問題点を解決するための手段) 上記本発明の目的は、 架橋剤および発泡剤を含有するポリオレフイン系樹脂組
成物をシート状に成形し、該シート状成形物に電離性放
射線を照射して架橋指数(G)が10〜40%の範囲内に達
するまで部分架橋せしめた後、加熱して発泡せしめると
同時に化学架橋を行い、該架橋指数(G)を最終的に20
〜80%の範囲内に到達せしめることによって達成するこ
とができる。
本発明の特徴は、公知の前記電離性放射線架橋法や化学
架橋法をそれぞれ単独で適用するのではなく、以下に詳
述する製造法を採用し、工業的に製造することに成功し
たものである。
本発明に使用されるポリオレフイン系樹脂としては、広
義には、たとえば低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポ
リエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エ
チレン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸ア
ルキルエステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合
体、エチレン−ビニルアリルエーテル共重合体、エチレ
ン−αオレフイン共重合体、エチレン−メチルメタクリ
レート−無水マレイン酸三元共重合体などに代表される
エチレンを必須成分とする各種共重合体があり、これら
の樹脂は、単独または2種類以上の配合物であってもよ
いし、さらにポリ塩化ビニル、塩化ビニルグラフト共重
合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレンなど
の他の樹脂を配合した樹脂組成物であってもよい。
特に好ましくは、低密度ポリエチレンまたは直鎖状低密
度ポリエチレンを20%以上含有する樹脂組成物がよい。
これらのポリオレフイン系樹脂には、化学架橋剤とし
て、ジクミルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキ
サイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジチルハイドロ
パーオキサイド、ジブチルパーオキサイドなど公知の各
種有機過酸化物が単独またはそれらの少なくとも2種以
上が、前記ポリオレフイン系樹脂100重量部当り0.05〜1
0重量部の範囲内で配合され、さらに、公知の各種熱分
解型化学発泡剤、代表的なものとしてアゾジカルボンア
ミドなどが同時に単独または2種以上を併用して、上記
ポリオレフイン系樹脂100重量部当り3〜30重量部の範
囲内で配合される。
次いで、これらのポリオレフイン系樹脂組成物は、前記
の発泡剤および架橋剤が分解しない温度、具体的には、
100〜180℃の温度範囲内に保持して溶融成形、たとえば
シート状に成形される。そして、この成形されたシート
状物に電離性放射線、たとえば、高エネルギー線として
α、β、γ、X線、電子線、中性子線等、通常は、高エ
ネルギー電子線照射機を使用して照射、好ましくは1〜
30Mradの範囲内の線量の電子線を照射し、該成形シート
の架橋指数(G)が10〜40%の範囲内になるように架橋
することが重要である。すなわち、成形時の温度範囲が
100℃よりも小さいと、樹脂組成物の成形性および生産
性が低下し、好ましくないし、成形温度が180℃よりも
高くなると、成形シートの架橋が進行し、放射線架橋前
に化学架橋が起るために好ましくない。
そしてこの成形シートの放射線架橋後の架橋指数(G)
が10よりも小さいと、実質的に化学架橋法だけによる架
橋発泡体と同じく気泡直径が荒くなるために好ましくな
いし、40よりも大きくなると、実質的に放射線架橋法だ
けによる架橋発泡体と同じく初期の架橋度が大きくなり
過ぎて高倍率の発泡体を得ることが難しくなるために好
ましくない。
ここで、溶融した樹脂組成物をシート化する際に、化学
架橋剤の1部が分解、架橋するケースがあるが、この時
の架橋指数(G)は溶融シート化後の電子線照射のみに
よる架橋指数(G)の範囲内に止め、極力溶融シート化
の段階での架橋を避けるべきである。
かくして部分架橋されたポリオレフイン系樹脂成形シー
トは、熱風雰囲気中またはソルト浴上、たとえば、熱風
雰囲気温度が200〜300℃またはソルト浴温度が180〜250
℃の温度の条件下で加熱され、成形シート内部に含有さ
れる発泡剤を急激に分解させることによって発泡せしめ
ると同時に化学架橋を行い、最終的に本発明に規定する
範囲内の架橋指数(G)20〜80%、好ましくは25〜60%
を満足する架橋発泡体に転換される。
また、本発明の目的を損わない範囲で、特に本発明の方
法によって得られる発泡体の圧縮指数や強靭指数などに
影響を及ぼさない範囲内で、前記ポリオレフイン系樹脂
組成物に対して、無機系充填材、滑剤、酸化防止剤、紫
外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、その他の性
能を付与する各種無機物など、好ましくは粒子径が0.5
〜60ミクロンの無機系充填材を1〜20重量%の範囲量配
合することができる。
得られた本発明になる架橋ポリオレフイン系樹脂発泡体
には、その少なくとも1面にコロナ放電処理、コーティ
ングなどにより接着剤を付与し、ラミネート加工し、そ
の加工性の向上を図ることができるし、プラスチックフ
ィルムやシート、他の発泡体シートや金属箔を貼り合わ
せたり、押出ラミなどにより複合構造を付与したりす
る、すなわち各種の加工技術を適用することができる。
(発明の効果) かくして得られる本発明の架橋ポリオレフイン系樹脂発
泡体は、0.2〜0.8mmの範囲内の平均気泡径(L)を有
し、強靭指数(H)が500〜15000Kg/cm2・%および成形
性指数(D)が0.5以上であるという大きな特徴を有す
る。
この本発明によって得られる架橋ポリオレフイン系樹脂
発泡体の平均気泡径(L)が0.2mmよりも小さいと、発
泡倍率を広範囲に亘ってとることが困難になるので好ま
しくないし、0.8mmを越えるときは、気泡が大きくな
り、発泡体の表面に凹凸が生じ易くなるために好ましく
ない。
また、該発泡体の架橋指数(G)が20%未満の場合は、
成形性は良好であるが、耐熱性に乏しく、80%よりも大
きいと、耐熱性は良好であるが、成形性が低下するため
に好ましくない。
そして、本発明の該架橋発泡体は、このような平均気泡
径(L)を有すると共に、強靭指数(H)が500〜15000
Kg/cm2・%、好ましくは1000〜12,000Kg/cm2・%であ
り、かつ成形性指数(D)が0.5以上、好ましくは0.5〜
1.5であることに特徴がある。
すなわち、強靭指数(H)が500Kg/cm2・%よりも小さ
いと、発泡体としての特性の低下が著しく、折曲げる程
度で容易にクラックが生じ、実用性に欠けるし、15000K
g/cm2・%よりも大きいと、発泡体としの特性は良好で
あるものの、発泡体の緩衝性が失われために好ましくな
い。
そして、成形性指数(D)が0.5よりも小さいと、成形
加工などの後加工面での制約が著しくなり、その用途が
限定されるために好ましくない。
換言すれば本発明方法によって得られる架橋ポリオレフ
イン系樹脂発泡体は、平均気泡径が前記の範囲内を満足
するだけでなく、その強靭指数(H)および成形性指数
(D)がそれぞれ上記の特定された数値範囲内の値を満
足するから、成形性、耐熱性、などが顕著に改良された
発泡体であるといえる。
したがって、優れた成形性、気泡の均一性、耐熱性など
を有すると同時に強靭性に優れた本発明の発泡体は、各
種の保温材、断熱材、自動車の内装材、緩衝材などの用
途に要求される厳しい要求特性を満足するものであり、
その工業的価値は極めて高いといえる。
以下に、本発明の効果について、実施例に基づき、さら
に具体的に説明する。
なお、本発明において、架橋指数(G)、強靭指数
(H)、成形性指数(D)、平均気泡径(L)は、次の
方法により測定した値である。
(1)架橋指数(G): 発泡体からサンプルを切出して微小細断し、その0.2gを
秤量する。この試料を135℃のテトラリン中に3時間浸
漬し、未架橋部を溶出した後、不溶部を取出してエタノ
ールで洗浄し、風乾、真空乾燥して揮発分を除去した
後、精秤し(Wとする)、次式にしたがって架橋指数
(G)を算出する。
架橋指数(G)=(W/0.2)×100 (2)強靭指数(H) 次式で表される値である。
H(Kg/cm2・%)=(破断強度)×(破断伸び) ここで破断強度および破断伸びJIS−K−6767に規定さ
れている測定法に準じて測定した値である。
(3)成形性指数(D) 発泡体を円筒形の金型を使用して真空成形し、発泡体が
破れることなく、円筒形状に成形された場合の深さを円
筒形の直径に対する比率をもってDとし、次式にしたが
って算出した。
D=(深さ)/(直径) (4)平均気泡径(L) 発泡体の厚さ方向1cm2、発泡体の中心部をスライスした
ときの平面部1cm2中にある気泡を拡大透視し、全ての気
泡の直径を測定し、次式にしたがってその値の平均値を
算出し、mmで表示した。
実施例1〜3、比較例1〜3 第1表に示したポリオレフイン系樹脂組成物について、
該組成物中に含まれる発泡剤、過酸化物が分解しない温
度に設定された押出機に導入し、押出成形し、シートに
成形した。
これらの成形シートを電子線照射装置(日新ハイボルテ
ージ(株)製IR−2)を用いて1〜30Mradの範囲内で線
量を変更して照射し、架橋指数の異なる部分架橋成形シ
ートを得た。得られた部分架橋成形シートを220〜240℃
の温度に設定した薬液浴に導入し、加熱、発泡させ、最
終架橋指数の異なる架橋発泡体成形シートを得た。
また、比較のために、架橋方法として、化学架橋単独お
よび化学架橋した後電子線架橋した例についても併せて
示した。
得られたこれらの架橋発泡体シートの性能を第2表に示
した。
表から、実施例1〜3の架橋発泡体成形シートは、平均
気泡系(L)、架橋指数(G)および成形性指数(D)
共に本発明に規定する値を同時に満足する、優れた性能
を有する発泡体であった。
これに対して比較例1〜3の発泡体は、平均気泡系
(L)、架橋指数(G)および成形性指数(D)のいず
れかが本発明に規定する範囲外であり、従来の発泡体と
大差のないものであった。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】架橋剤および発泡剤を含有するポリオレフ
    イン系樹脂組成物をシート状に成形し、該シート状成形
    物に電離性放射線を照射して架橋指数(G)が10〜40%
    の範囲内に達するまで部分架橋せしめた後、加熱して発
    泡せしめると同時に化学架橋を行い、該架橋指数(G)
    を最終的に20〜80%の範囲に到達せしめることを特徴と
    する架橋ポリオレフイン系樹脂発泡体の製造法。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項において、架橋ポリ
    オレフイン系樹脂発泡体の平均気泡径(L)が0.2〜0.8
    mmおよび架橋指数(G)が20〜80%、強靭指数(H)が
    500〜15000および成形性指数(D)が0.5以上の範囲内
    である架橋ポリオレフイン系樹脂発泡体の製造法。
JP61092372A 1986-04-23 1986-04-23 架橋ポリオレフイン系樹脂発泡体の製造法 Expired - Lifetime JPH0730196B2 (ja)

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