JP2708496B2 - オレフィン系樹脂架橋発泡体の製造方法 - Google Patents

オレフィン系樹脂架橋発泡体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡体の製造方
法に関する。
[従来の技術] オレフィン系樹脂発泡体は、独立気泡を有し柔軟で断
熱性および機械的強度が大きいという特性を有している
ため、断熱材や緩衝材として各種の分野で広く使用され
ている。
このようなオレフィン系樹脂発泡体の製造方法として
は、たとえば以下に示すような方法が採用されている。
オレフィン系樹脂に、たとえばジクミルパーオキサ
イドのような有機過酸化物と発泡剤とを添加混合し、た
とえば押出成形法によって架橋発泡性樹脂組成物素シー
トを作製し、この素シートに熱処理を施して架橋発泡さ
せる。
予めビニルアルコキシシランをグラフト反応もしく
は共重合させたオレフィン系樹脂に発泡剤を混合し、た
とえば押出成形法によって発泡性樹脂組成物素シートを
作製する。次いで、この発泡性樹脂組成物素シートを発
泡剤の分解温度未満の温度の熱水槽または水蒸気槽中に
長時間浸漬し、発泡に必要な縮合反応架橋を得た後、加
熱して架橋発泡させる。
オレフィン系樹脂に発泡剤を混合し、たとえば押出
成形法によって架橋発泡性樹脂組成物素シートを作製
し、この素シートに電子線や放射線を照射して架橋させ
た後、熱処理を施して発泡させる。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、上述した〜の各方法には、以下に
示すような欠点があった。
(a) 上記の方法は、押出しなどの成形時に有機過
酸化物が分解し、部分的に架橋が起こりやすく、気泡や
外観に異状が発生しやすい。また、架橋と発泡が相前後
して起こるため、熱処理時の温度条件を厳しく制御する
必要があるとともに、気泡径が大きくなりやすく、表面
が粗になりやすい。
(b) 上記の方法は、樹脂中の微量水分などによっ
て押出機などの成形機内で部分的に架橋が起こりやす
く、上記と同様に気泡や外観に異状が発生しやすい。
また、発泡に必要な架橋を得るために、長時間熱水槽な
どで処理しなければならず、生産性が極めて悪い。
(c) 上記の方法は、生産性が高く気泡や外観の品
質が安定した発泡体を得られやすいが、発泡時または発
泡後に架橋が進行しないため、発泡体に歪が残留しやす
く、熱寸法安定性が悪い。
本発明は、このような従来技術の課題に対処するため
になされたもので、放射線や電子線による架橋を利用し
た方法の生産性や品質面での利点を有効に生かし、かつ
成形性を安定させるとともに熱寸法安定性に優れたオレ
フィン系樹脂架橋発泡体を製造する方法を提供すること
を目的としている。
[課題を解決するための手段] すなわち本発明は、オレフィン系樹脂と化学分解型発
泡剤とビニルアルコキシシランとを少なくとも含有する
混合原料を前記化学分解型発泡剤の分解温度未満の温度
で所望の形状に成形する工程と、この成形物に放射線も
しくは電子線を照射し前記オレフィン系樹脂をラジカル
反応架橋させるとともに前記ビニルアルコキシシランを
前記オレフィン系樹脂にグラフト反応させる工程と、こ
のラジカル反応架橋させた成形物を前記化学分解型発泡
剤の分解温度以上に加熱し発泡させるとともに前記ビニ
ルアルコキシシランによる縮合反応架橋を生じさせる工
程とを有することを特徴としている。
本発明において使用するオレフィン系樹脂としては、
低密度ポリエチレン(直鎖状を含む)、高密度ポリエチ
レン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合
体、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸
などとの共重合体などが例示され、これらを単独である
いは、2種以上の混合物として用いる。
また、本発明におけるビニルアルコキシシランとして
は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ランなどが例示され、化学分解型発泡剤としては、アゾ
ジカルボンアミド、オキシベンゼンスルホニルヒドラジ
ドなどが例示される。
そして、これらオレフィン系樹脂とビニルアルコキシ
シランと化学分解型発泡剤とを少なくとも混合し、この
混合原料を出発原料として用いる。このビニルアルコキ
シシランの配合量は、オレフィン系樹脂に対して0.2〜
2.5重量%が好ましく、より好ましくは0.7〜1.5重量%
の範囲である。なお、この混合原料中には、必要に応じ
て滑剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤などを添加するこ
とが可能であり、またビニルアルコキシシラン間の重合
を抑制するため、メルカプタンなどの反応禁止剤を添加
してもよい。
次に、この混合原料を用いて押出成形などによって発
泡性樹脂組成物素シートを作製し、この発泡性樹脂組成
物素シートに対して放射線あるいは電子線を照射して、
発泡性樹脂組成物素シート中のオレフィン系樹脂をラジ
カル反応架橋させ、発泡に必要な架橋を得る。そして、
この反応と同時に、オレフィン系樹脂分子からのラジカ
ル発生を利用して、ビニルアルコキシシランをオレフィ
ン系樹脂に対してグラフト反応させる。
この後、化学分解型発泡剤の分解温度以上の温度に加
熱することによって発泡させる。この発泡工程の際に、
発泡と同時にもしくは発泡の後にビニルアルコキシシラ
ンによる縮合反応架橋が進行する。このビニルアルコキ
シシランによる縮合反応架橋は、発泡に要する加熱と樹
脂中または加熱処理時の雰囲気、たとえば空気中の微量
水分によって充分に達成される。
[作用] ビニルアルコキシシランを予め添加混合したオレフィ
ン系樹脂の成形物に、放射線または電子線を照射するこ
とによって、オレフィン系樹脂はラジカル反応架橋を起
こし、発泡に必要な架橋が得られるとともに、このラジ
カル発生によってビニルアルコキシシランがオレフィン
系樹脂に対してグラフト反応する。すなち成形物の形成
時には、ビニルアルコキシシランは単に混合されている
状態であるため、部分的な架橋を起こして成形性を阻害
するようなことがない。そして、放射線や電子線による
架橋によって一定した架橋が得られるため、この後に行
う発泡工程において、気泡径の均一な気泡が得られやす
く、また外観品質も安定するとともに、生産効率も向上
する。そして、この後に化学分解型発泡剤の分解温度以
上の温度で発泡処理することによって、発泡処理時の熱
と樹脂中や処理雰囲気中の微量の水分とでビニルアルコ
キシシランの縮合反応架橋が発泡時にあるいはその後に
進行し、発泡気泡の残留歪が緩和されるとともに高架橋
となり、熱寸法安定性に優れた発泡体が得られる。
[実施例] 次に、本発明の実施例について説明する。
実施例 MI(メルトインデックス)2.5g/10分、密度0.923、融
点ピーク111℃の定密度ポリエチレン100重量部に対し、
ビニルトリメトキシシラン1.3重量部、化学分解型発泡
剤としてアゾジカルボンアミド15重量部を加えて充分に
混合した後、直径65mmの2軸押出機で常温下において押
出し、厚さ1.5mmの発泡性樹脂組成物素シートを作製し
た。
次に、この発泡性樹脂組成物素シートに対して電子線
照射機で3.1Mradの電子線を照射してポリエチレンをラ
ジカル反応架橋させるとともに、ビニルトリメトキシシ
ランをグラフト反応させた。
この後、このラジカル反応架橋させた発泡性樹脂組成
物素シートを約250℃に設定した加熱炉中に配置し、発
泡処理を行って厚さ4mm(発泡倍率:約30倍)の発泡体
を得た。
このようにして得た発泡体の架橋度をゲル分率評価法
(測定方法:試験片を130℃のキシレンに24時間浸漬
し、非溶解分を乾燥した後に重量測定し、初期の重量に
対する比率として評価)によって測定した。まず、電子
線を照射した後の発泡性樹脂組成物素シートは37%であ
り、発泡後は75%であった。また、発泡体は気泡が細か
く均一で、外観も表面平滑性に優れたものであった。
また、本発明との比較として、ビニルトリメトキシシ
ランを用いない以外は上記実施例と同一の発泡性樹脂組
成物素シートを作製し、2.8Mradの電子線を照射して架
橋させた後、上記実施例と同一条件で厚さ4mm(発泡倍
率:約30倍)の発泡体を作製した。
この発泡体についても上記実施例と同様にして架橋度
を測定したところ、38%であった。
これら実施例および比較例で作製した発泡体をそれぞ
れ15mm×150mmに切断し、120℃の加熱炉中に24時間放置
して寸法の変化率を測定した。その結果を次表に示す。
この表の結果かも明らかなように、この実施例による
発泡体は、電子線によるラジカル反応架橋だけを利用し
た比較例の発泡体に比べて、熱寸法安定性に非常に優れ
たものである。
[発明の効果] 以上の実施例からも明らかなように、本発明のオレフ
ィン系樹脂架橋発泡体の製造方法によれば、成形物を作
製した後に発泡に必要な架橋を電子線や放射線の照射に
よって得るとともに、ビニルアルコキシシランをグラフ
ト反応させているので、従来の熱水槽等による処理に比
べて大幅に生産効率が向上するとともに、架橋度も一定
することによって気泡や外観の品質も向上し、さらに成
形物の形成工程も安定化できる。そして、発泡時または
その後に架橋が進行するので、熱寸法安定性にも優れた
発泡体が得られる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】オレフィン系樹脂と化学分解型発泡剤とビ
    ニルアルコキシシランとを少なくとも含有する混合原料
    を前記化学分解型発泡剤の分解温度未満の温度で所望の
    形状に成形する工程と、この成形物に放射線もしくは電
    子線を照射し前記オレフィン系樹脂をラジカル反応架橋
    させるとともに前記ビニルアルコキシシランを前記オレ
    フィン系樹脂にグラフト反応させる工程と、このラジカ
    ル反応架橋させた成形物を前記化学分解型発泡剤の分解
    温度以上に加熱し発泡させるとともに前記ビニルアルコ
    キシシランによる縮合反応架橋を生じさせる工程とを有
    することを特徴とするオレフィン系樹脂架橋発泡体の製
    造方法。
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