JPH0729553Y2 - 電磁接触器の鉄心保持構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はモータ等の電源を開閉する電磁接触器の鉄心保
持構造に関する。

〔従来の技術〕

電磁接触器はこれを投入したとき、可動鉄心が固定鉄心
に衝突する際の衝撃を緩和するため第３図または第４図
に示すようにクッションばねまたはゴム材のような弾性
体を備えている。第３図において、励磁コイル１を巻回
したボビン２の中にＥ型固定鉄心３の中央脚が挿入され
ている。この固定鉄心３はその厚さ方向に貫通孔４が設
けられ、この貫通孔４に両端が貫通孔４から突出するよ
うに支持板５が挿入されている。この支持板５の貫通孔
４からの突出部分とボビン２のつばの下面との間にクッ
ションばね６が挾まれている。また第４図においては、
ボビン２のつばの下面と固定鉄心３の各脚の連結部との
間に弾性体７が挾まれている。固定鉄心３に対する可動
鉄心８は第３図，第４図ともに連結棒９により可動接点
支え10と結合され、図示しない復帰ばねに支えられ可動
接点支え10の上部を残して固定鉄心３とともに下部フレ
ーム11に収納され、固定鉄心３の背部が下部フレーム11
の底面に載置されている。可動接点支え10に取付けられ
た可動接点12が下部フレーム11に取付けられた固定接点
13と相対している。14は接触ばねであり、15は上部フレ
ームである。

励磁コイル１に通電すると、固定・可動両鉄心3,8が互
いに吸引し合い可動鉄心８が移動して固定鉄心３に衝突
する。そして第４図の場合、可動接点12は固定接点13に
接触し電気回路を閉じる（第３図では断面位置の関係上
接点は図示されていない）。通電を断つと可動鉄心８は
釈放され図示しない復帰ばねにより固定鉄心３から離れ
るから可動接点12は固定接点13から開離し、電気回路を
開く。固定・可動両鉄心3,8が衝突するとき、第３図で
はクッションばね６、第４図では弾性体７でこの衝突が
緩和され、接点のチャタリングが防止される。

〔考案が解決しようとする課題〕

第３図，第４図に示すような従来の構造では縦寸法の制
約からクッションばね６を長くし、また弾性体７を厚く
して緩和効果を増すことが困難である。さらに固定・可
動両鉄心3,8が吸引し合ったとき、固定鉄心３は下部フ
レーム11から浮上する状態となり、やがて両鉄心3,8は
一体となって下部フレーム11の底面に衝突し、所定位置
に落ち着く。このときの衝撃は電磁接触器全体に振動を
与えるという欠点がある。

本考案の目的は、固定鉄心と可動鉄心との衝突時の衝撃
や鉄心と下部フレームとの衝突時の衝撃を緩和し、接点
のチャタリングや電磁接触器全体の振動を防止した電磁
接触器の鉄心保持構造を提供することにある。

〔課題を解決するための手段〕

上述の課題は本考案によれば、励磁コイルのボビンに脚
を挿入した固定鉄心背部を下部フレームの底面に向け、
前記固定鉄心を前記下部フレームと前記ボビンにより保
持する電磁接触器の鉄心保持構造において、前記固定鉄
心の厚さ方向に設けた貫通孔に両端が前記固定鉄心から
突出するように支持板を挿通し、この支持板の前記固定
鉄心から突出した部分の両面に、前記下部フレームとボ
ビンで挟持される弾性体を取付け、前記下部フレームの
底面の固定鉄心との対向部に弾性シートを敷き、前記弾
性体の厚さ寸法を、前記弾性シートと固定鉄心の背部と
の間に間隙が形成される大きさに設定することにより達
成される。

〔作用〕

励磁コイルに通電すると固定・可動両鉄心は互いに吸引
し合うが両鉄心が衝突する前に固定鉄心は支持板を介し
て弾性体を圧縮し、衝突は緩和される。その後一体とな
った両鉄心は下部フレームに衝突して落ち着くがこのと
きにも弾性体が圧縮されて衝突は緩和される。しかも固
定鉄心は弾性シートで受けて下部フレームに大きな衝撃
を与えない。

〔実施例〕

第１図と第２図に本考案による電磁接触器の鉄心保持構
造の一実施例を示し、第３図，第４図と同一のものには
第３図，第４図と同一の符号を付している。第１図と第
２図において、従来のものと同様に励磁コイル１を巻い
たボビン２の中にＥ型固定鉄心３の中央脚が挿入されて
いる。またこの固定鉄心３はその厚さ方向に貫通孔４が
設けられ、この貫通孔４に両端が固定鉄心３から突出す
るように支持板５が挿入されている。この実施例におい
て従来例と異なる点は前記支持板５の固定鉄心３から突
出した部分の両面に弾性体16を取付け、この弾性体16を
両鉄心3,8を収納する下部フレーム11と励磁コイル１の
ボビン２でその突起2aを介して挾持し、固定鉄心３を保
持している点である。また、下部フレーム11には固定鉄
心３の背部のほぼ投影面積だけの凹所11aが設けられ、
この凹所11aに固定鉄心３の背部と間隙17を設けて弾性
シート18が敷かれている点も従来のものと異なる。固定
鉄心３に対する可動鉄心８は、従来のものと同様に連結
板（従来例の連結棒と同じ効果）9aにより可動接点支え
10と結合され、復帰ばね19に支えられ、従来例で述べた
ように固定鉄心３とともに下部フレーム11に収納されて
いる。可動鉄心８に結合された可動接点支え10と可動・
固定両接点12,13の構成は従来のものと同様であるから
この説明は省略する。

励磁コイル１に通電すると固定鉄心３と可動鉄心８は互
いに吸引し合い衝突する。このとき支持板５の上面の弾
性体16が支持板５とボビン２の突起2aで圧縮され、緩衝
の役目をする。両鉄心3,8の衝突が完了すると両鉄心3,8
は一体となって下部フレーム11の底面に衝突するがこの
とき支持板５の下面の弾性体16がフレーム11と支持板５
により圧縮され緩衝の役目をなし、さらに弾性シート18
で受けて両鉄心3,8の運動エネルギーを吸収し、衝撃に
よるフレームなどの振動を防止する。なお、弾性体16の
大きさ（特に厚さ）や形状によっては弾性体16だけで十
分な効果が得られるので弾性シート18を省くことも可能
である。可動鉄心支え10に取付けられた可動接点12と下
部フレーム11に取付けられた固定接点13の動作は従来の
ものと同様であるからこの説明は省略する。

〔考案の効果〕

本考案によれば固定鉄心が支持板に取付けられた弾性体
を介して励磁コイルのボビンと下部フレームで保持さ
れ、さらに固定鉄心を弾性シートで受け止めるようにさ
れているので、接点のチャタリングやフレームの振動が
防止される。しかも固定鉄心の貫通孔はその背面からの
寸法を任意に設定することにより、支持板の位置を設定
し、支持板の両面に取付ける弾性体の厚さを任意に設定
することができ、固定鉄心と可動鉄心の衝突時の衝撃の
緩和と、鉄心の下部フレームの衝突時の衝撃の緩和とを
調節することが可能である。なお、下部フレームと固定
鉄心との間の弾性シートは下部フレームの凹所に敷かれ
て、かつ薄いから電磁接触器の縦寸法を大きくすること
がないという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案による電磁接触器の鉄心保
持構造の一実施例を示し、第１図は正面断面図、第２は
側面断面図、第３図および第４図はそれぞれ異なる従来
の電磁接触器の鉄心保持構造を示し、第３図は一例を示
す正面断面図、第４図は第３図と異なる一例を示す側面
断面図である。 1:励磁コイル、2:ボビン、3:固定鉄心、4:貫通孔、5:支
持板、7,16:弾性体、11:下部フレーム、17:間隙、18:弾
性シート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】励磁コイルのボビンに脚を挿入した固定鉄
   心背部を下部フレームの底面に向け、前記固定鉄心を前
   記下部フレームと前記ボビンにより保持する電磁接触器
   の鉄心保持構造において、前記固定鉄心の厚さ方向に設
   けた貫通孔に両端が前記固定鉄心から突出するように支
   持板を挿通し、この支持板の前記固定鉄心から突出した
   部分の両面に、前記下部フレームとボビンで挟持される
   弾性体を取付け、前記下部フレームの底面の固定鉄心と
   の対向部に弾性シートを敷き、前記弾性体の厚さ寸法
   を、前記弾性シートと固定鉄心の背部との間に間隙が形
   成される大きさに設定したことを特徴とする電磁接触器
   の鉄心保持構造。