JPH0729501Y2 - 電波暗室及び電波暗室用金属室の内壁面構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は電波暗室の構造に関し，特にパネル式の金属室
内壁面の構造に関する。

［従来の技術］ 電子応用機器から発生する電磁波（妨害波）の測定やア
ンテナの特性測定を行う電波暗室は，外来電磁波を完全
に遮蔽する金属で囲んだ部屋（電磁シールドルーム）を
作り，室内壁面に（床面を除いた全面に）板状磁性損失
材料，例えばフェライトおよびピラミッド形誘電性損失
材料，例えば発泡ウレタンなどの電波吸収体を設けて壁
面の電磁波の反射を防止する構造である。

電波暗室は，既成の建物または部屋の室内壁面に金属板
を張り廻らせて電磁シールドルームとする場合と，骨格
となる絶縁板，例えば，合板の片面または両面に金属板
を貼り付けたシールドパネルを組み合わせて既成の建物
や部屋の中に，または屋外に電磁シールドルームを作る
場合とがある。第３図に示すとおり，シールドパネルを
用いる従来の電磁シールドルームの金属室内壁面は，シ
ールドパネル１上の互いに隣接した金属板２間の境目を
覆い隠すように，金属接合板４を架設してビス５でシー
ルドパネル１の絶縁板３に固定する構造であった。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら，電波暗室の室内壁面にフェライト板およ
び発泡ウレタンピラミッドを設ける場合，第３図に示す
ように，金属接合板４による凸部が金属室内壁面に生じ
るため，フェライト板６を突き合わせて連続的に貼り付
けることができず，例えば鎖線で示すようにフェライト
板6aを金属接合板４の両側にフェライト板６に架け渡し
て設ける必要があった。

金属接合板４によるシールドパネル１の組合せ作業が厄
介であることに加えて，フェライト板の貼付け作業と図
示しないは発泡ウレタンピラミッドの設置作業が繁雑で
あるので，電波暗室の工事期間が長いという問題があっ
た。

［課題を解決するための手段］ 本考案によれば、それぞれ絶縁板と、該絶縁板の片面又
は両面に設けられた金属板とを有する複数のシールドパ
ネルを一平面上で互いに離間するように配して金属室用
の骨組に固定することにより構成する電波暗室用金属室
の内壁面構造であって、前記絶縁板の端面の少なくとも
一部を前記金属板の辺縁部で被せて前記各シールドパネ
ルを構成し、隣接して配された前記シールドパネル間に
金属製パッキングを設け、当該シールドパネル間を磁気
的に一体としたことを特徴とする電波暗室用金属室の内
壁面構造が得られる。

本考案によれば，前記金属室内壁に，フェライト板を貼
り付けて成ることを特徴とする電波暗室が得られる。

［作用］ 金属製パッキングは，シールドパネルの絶縁板の端面に
被せた金属板端部に弾接し，金属板同士を接続し，電磁
シールドを行う。

［実施例］ 次に，本考案の実施例を図面を参照して説明する。

第１実施例 電波暗室の側壁の要部横断面図を第１図に示す。シール
ドパネル７は絶縁板３の片面に絶縁板３より一回り大き
い金属板８を貼り付けて，外方に延びる金属板端部９を
絶縁板３の辺縁に沿って折り曲げて絶縁板３の端面に被
せるものである。金属板８が室内側にあるようにしてシ
ールドパネル７を上下左右に並べて部屋の骨組（図示し
ない）に固定し，シールドパネル７の境目に弾力性に富
む金属製パッキング10を，境目からはみ出ないようにし
て押し込んで，境目の両側の金属板端部９と弾接させて
金属板８同士を接続し，一体となった金属室内壁面を形
成して，この凸部のない金属室内壁面全体にフェライト
板６を貼り付けている。

金属製パッキング10は，細い金属線を筒編みにした網
（メッシュ）を重ねて断面方形，円形の長尺材としたも
ので，柔軟性・弾力性・復元性に富むものであり，図で
は断面方形のものを示している。

フェライト板６を金属室内壁面に重ねずに突き合わせて
貼り付けできるので，図示しない発泡ウレタンピラミッ
ドをフェライト板６上に固着した室内壁面をもつ電波暗
室にすることも容易である。

第２実施例 本考案の他の実施例を第２図に示す。

第１図と異なる点は，シールドパネル７の絶縁板３端面
に被せた金属板端部９に，その自由端縁近傍に断面円弧
状の突起11を周設したことである。

シールドパネル７の境目の室内側は，フェライト板６で
すべて閉鎖されるが，境目の室内側は閉鎖されない部分
があり，金属製パッキング10の逸脱の惧れがある。突起
11は，このような金属パッキング10の室外側への抜けを
阻止する働きと，金属製パッキング10と金属板端部９の
接触を確実にする働きがある。

また，シールドパネル７の境目の隙間が僅小であって，
薄手の金属製パッキング10を十分な深さに押し込むこと
が困難である場合，突起11同士が弾接して金属パッキン
グ10に頼らないで金属板端部同士を接続する働きもあ
る。

［考案の効果］ 金属板端部を絶縁板の端面に被せた複数のシールドパネ
ルを一平面上で互いに離間するように配して金属室用の
骨組に固定し、隣接して配されたシールドパネル間に金
属製パッキンを設けて電波暗室用金属室の内壁面を構成
したので、凸部のないパネル式の金属室内壁面を能率良
く形成でき、フェライト板の貼付け作業が容易であり、
その結果電波暗室の施工期間及び工数を大幅に削減でき
る効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る電波暗室の側壁の第１実施例を示
す要部横断面図，第２図は同じく側壁の第２実施例を示
す要部横断面図，第３図は側壁の従来例を示す要部横断
面図である。 1,7……シールドパネル,2,8……金属板,3……絶縁材,4
……金属接合板,6,6a……フェライト板,9……金属板端
部,10……金属製パッキング,11……突起。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】それぞれ絶縁板と、該絶縁板の片面又は両
   面に設けられた金属板とを有する複数のシールドパネル
   を一平面上で互いに離間するように配して金属室用の骨
   組に固定することにより構成する電波暗室用金属室の内
   壁面構造であって、前記絶縁板の端面の少なくとも一部
   を前記金属板の辺縁部で被せて前記各シールドパネルを
   構成し、隣接して配された前記シールドパネル間に金属
   製パッキングを設け、当該シールドパネル間を磁気的に
   一体としたことを特徴とする電波暗室用金属室の内壁面
   構造。
2. 【請求項２】請求項１記載の電波暗室用金属室の内壁に
   フェライト板を貼り付けて成ることを特徴とする電波暗
   室。