JPH07293665A - 差動制限装置におけるカム機構 - Google Patents

差動制限装置におけるカム機構

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JPH07293665A
JPH07293665A JP8285194A JP8285194A JPH07293665A JP H07293665 A JPH07293665 A JP H07293665A JP 8285194 A JP8285194 A JP 8285194A JP 8285194 A JP8285194 A JP 8285194A JP H07293665 A JPH07293665 A JP H07293665A
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Japan
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cam
differential
adjusting member
angle adjusting
pressure ring
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JP8285194A
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Inventor
Yasunori Haga
康則 芳賀
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GKN Driveline Japan Ltd
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Tochigi Fuji Sangyo KK
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 走行中においても走行状態に応じた適切なト
ランスファーレシオを得ることができる差動制限装置に
おけるカム機構を提供する。 【構成】 多板クラッチ9、10の接続によって前記デ
フケース1と各サイドギヤ7、8との間の差動制限を行
うリミテッドスリップデフ型の差動制限装置において、
ピニオンギヤ6におけるピニオン軸4と一対のプレッシ
ャリング2、3の対向面に設けられた所定角度のカム面
2D、3Dとの間にカム角度調整部材5を配置した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、片輪空転時等に発生す
る過剰な差動作用を抑制して低速回転側の車輪にも駆動
トルクを伝達することのできるリミテッドスリップデフ
型の差動制限装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の、片輪空転時等に発生する過剰
な差動作用を抑制して低速回転側の車輪にも駆動トルク
を伝達することのできるリミテッドスリップデフ型の差
動制限装置として、従来、特開昭58−221046号
公報に開示された図7(および図8、図9)に示したよ
うなものがある。この従来例のものは、図示しないエン
ジンからの駆動力がドライブピニオン31と傘歯噛合す
るリングギヤ32に伝達され、該リングギヤ32を一体
に固定するデフケース21を回転させる。該デフケース
21内にリミテッドスリップデフ型の差動制限装置が収
納され、その構成は、前記デフケース21の回転軸方向
にスプライン部22S、23Sによってスライド自在に
前記デフケース21内に支持された左右のプレッシャリ
ング22、23と、該プレッシャリング22、23内に
おいて周方向に配置された複数個のピニオンギヤ26に
軸方向の両側から噛合する左右のサイドギヤ27、28
と、前記左右のプレッシャリング22、23の対向面に
設けられた所定角度のカム面22D、23Dと、該カム
面22D、23Dを介して前記ピニオンギヤ26におけ
るピニオン軸24を駆動する際に生じるスラスト力によ
る各プレッシャリング22、23の軸方向のスライドに
よって接続するプレッシャリング22、23とデフケー
ス21との間に配置された左右の多板クラッチ29、3
0とから構成されている。
【0003】この従来例の動作を図8によって説明する
と、前記デフケース21からの駆動入力は左右のプレッ
シャリング22、23に伝達され、これらプレッシャリ
ング22、23は図8(B)のごとく矢印D(ドライ
ブ)側に回転し、それらの対向面に設けられた所定角度
のドライブ側カム面22D、23Dを介して差動装置を
構成するピニオン軸24のドライブ側シャフトカム面2
4Dを所定の駆動力F2によって駆動して、スラスト力
P2を得る。これによって通常の直進走行時、特に加速
時等においては、所定の駆動力を受けて発生したスラス
ト力で軸方向外側に移動した前記プレッシャリング2
2、23が左右の多板クラッチ29、30を接続し、デ
フケース21と回転を共にするアウタークラッチ板29
A、30Aと、それぞれ左サイドギヤ27、右サイドギ
ヤ28と回転を共にするインナークラッチ板29B、3
0Bとが接続されるので、前記各部材が一体となって確
実に駆動力を伝えることが出来る。
【0004】また、車両が泥濘地等の悪路に遭遇して片
輪空転等により過剰な差動作用が発生しようとした場合
には、高速車輪側には該車輪の路面抵抗に相当するトル
クが伝達されるのみであるが、プレッシャリングがピニ
オン軸を駆動することによって高速車輪側の多板クラッ
チが接続してブレーキングを生じた分、過剰な差動作用
を抑止して低速車輪側に配分トルクを加算して増大させ
ることができるので、悪路脱出を可能にするものであ
る。ところが、このようなリミテッドスリップデフ型差
動制限装置においては、図8に示すように、前記プレッ
シャリング22、23の対向面に設けられた、ピニオン
軸24のドライブ側シャフトカム面24Dを所定の駆動
力F2によって駆動するところのドライブ側カム面22
D、23Dのカム角度は、デフケースの回転軸とのなす
角度が所定角度(図8(B)ではθ2)で一定である。
このために、図6(A)に示すように、一方の車輪がス
ピンする時に他方の車輪がロックする特性を表したトラ
ンスファーレシオRtは、前記カム角度が一定であるた
めに駆動入力に比例した関係にある。したがって、前記
カム角度が一定であると、車両走行時において中速度に
とって適当であるトランスファーレシオRtが低速度に
とっては高すぎる場合があり、該低速度において生じる
スラスト力で前記プレッシャリングが軸動して差動制限
のための多板クラッチを接続してしまい、低速走行時の
差動作用が阻害され、低速度時であるがために目立つい
わゆるタイトコーナーブレーキング現象を引き起こすこ
とになった。
【0005】そこで、前記図7、図8および図9に示し
た従来例では、前記プレッシャリング22、23の対向
面に設けられたカム面およびピニオン軸24のシャフト
カム面のカム角度をドライブ側(図面下方のカム面)と
コースト側(図面上方のカム面)で異ならせ、必要に応
じてこれらプレッシャリング22、23およびピニオン
軸24を組み付け直して、図8(B)のドライブ側のカ
ム角度が大なるθ2の状態から図8(C)のドライブ側
のカム角度が小なるθ1の状態にし、この2種類のカム
角度を選択することによりいずれかの適切なトランスフ
ァーレシオRtを得ていた。
【0006】あるいは、前記従来例では、前記2種類の
カム角度を選択する方法として、図9に示すようなもの
が採用されている。図9の例では、ピニオン軸24の両
先端に小カム角度θ1の小傾斜角シャフトカム面部24
Aとその僅か内側に大カム角度θ2の大傾斜角シャフト
カム面部24Bとを形成し、これらに対応したプレッシ
ャリング22、23におけるカム面として、図9(B)
のように小カム角度θ1の小傾斜角カム面22A、23
Aを直径の両側部に設けて、これらに前記ピニオン軸2
4の両先端の小傾斜角シャフトカム面部24Aを適合さ
せた場合(図9(A)実線)と、図9(C)のように前
記小傾斜角カム面22A、23Aとは円周で90°ずれ
た位置に設けられたプレッシャリング22、23におけ
る大カム角度θ2の大傾斜角カム面22B、23Bに前
記ピニオン軸24の大傾斜角シャフトカム面部24Bを
適合させた場合(図9(A)鎖線)を選択できるように
したもので、この選択は、前記図9(A)で判るように
ピニオン軸24を円周で90°回転させて組み付け直す
必要があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように従来の
ものでは、異なるカム角度を選択して適切なトランスフ
ァーレシオを得るためには、部品の組み付け直しが必要
であり、きわめて面倒かつ、非実用的であったため、こ
のような部品の組み付け直しは、用途の異なる車種間で
の部品の組付けに限られていた。このため本発明では、
上記従来のリミテッドスリップデフ型差動制限装置にお
ける諸課題を解決して、走行中においても走行状態に応
じた適切なトランスファーレシオを得ることができる差
動制限装置におけるカム機構を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明では、上
記した従来の課題を解決するための手段として、デフケ
ースの回転軸方向にスライド自在にデフケース内に支持
された一対のプレッシャリングと、該プレッシャリング
内において周方向に配置された複数個のピニオンギヤに
軸方向の両側から噛合する一対のサイドギヤと、前記一
対のプレッシャリングの対向面に設けられた所定角度の
カム面と、該カム面を介して前記ピニオンギヤにおける
ピニオン軸を駆動する際に生じるスラスト力による各プ
レッシャリングの軸方向のスライドによって接続するプ
レッシャリングとデフケースとの間に配置された一対の
多板クラッチと、該多板クラッチの接続によって前記デ
フケースと各サイドギヤとの間の差動制限を行うリミテ
ッドスリップデフ型の差動制限装置において、前記ピニ
オンギヤにおけるピニオン軸と一対のプレッシャリング
の対向面に設けられた所定角度のカム面との間にカム角
度調整部材を配置したことを特徴とするものである。本
発明における前記カム角度調整部材は、前記プレッシャ
リングに作用する入力トルクの増加に応じて回転軸との
なす角度が増加して前記ピニオン軸との間のスラスト力
を増大する可動部を有して構成されるものであり、前記
カム角度調整部材は、可動部と基部が一体に形成された
ほぼL字状の弾性材より構成され、あるいは、前記カム
角度調整部材は、基部に枢着された可動部と前記プレッ
シャリングにおけるカム面との間にスプリングを配置し
て構成され、あるいは、前記カム角度調整部材は、可動
部がテーパ状の弾性材を介して前記プレッシャリングに
おけるカム面に固着されて構成されていることを特徴と
するものである。
【0009】
【作用】本発明は、上記手段によって、デフケース1か
らの駆動入力が左右のプレッシャリング2、3に伝達さ
れると、これらプレッシャリング2、3は矢印D(ドラ
イブ)側に回転し、それらの対向面に設けられた所定角
度のドライブ側カム面2D、3Dを介して差動装置を構
成するピニオン軸4を所定の駆動力によって駆動する。
前記ピニオン軸4と左右のプレッシャリング2、3にお
ける少なくとも駆動面側のカム面2D、3Dとの間に配
置されたカム角度調整部材5は、前記プレッシャリング
2、3に作用する入力トルクの増加に応じて回転軸との
なす角度が増加して前記ピニオン軸4との間のスラスト
力を増大する可動部を有して構成されているので、車両
が低駆動入力の低速度時には、前記カム角度調整部材5
におけるカム角度が小さいためプレッシャリング2、3
に発生するスラスト力も小さく(トランスファーレシオ
Rtが小さい。図6(B))、従来のもののように低速
走行時における差動作用が阻害されてタイトコーナーブ
レーキング現象を引き起こすことがない。また、車両が
泥濘地等の悪路に遭遇して片輪空転等により過剰な差動
作用が発生しようとしたり、高速度での荒地走行中に片
輪空転の後に急激な接地によるショックロード(尻振
り)が発生しようとしても、大なる駆動入力によって前
記プレッシャリング2、3におけるカム面2D、3Dが
前記ピニオン軸4を駆動する際、前記カム角度調整部材
5におけるカム角度を増大させ、発生するスラスト力も
増大させるので、空転高速車輪側の多板クラッチも接続
してブレーキングし、このブレーキングを生じた分、過
剰な差動作用を抑止して低速車輪側に配分トルクを加算
して増大させることができるので、前記の現象を有効に
防止できることとなる。しかも、これらのカム角度の調
整は走行中に駆動入力の大きさに応じて自動的になされ
るので、部品の組み付け直し等の非現実的な作業を伴う
こともなく、さらに前記カム角度の調整は無段階で行え
る等その実用的効果は絶大である。
【0010】
【実施例】以下本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。図1、図2は本発明の差動制限装置におけるカム機
構の第1実施例を示すものであり、図1は全体図を示
し、図2は要部の断面図である。図示しないエンジンか
らの駆動力がドライブピニオンと傘歯噛合するリングギ
ヤに伝達され、該リングギヤを一体に固定するデフケー
ス1を回転させる。該デフケース1内にリミテッドスリ
ップデフ型の差動制限装置が収納され、その構成は、前
記デフケース1の回転軸方向にスプライン部2S、3S
によってスライド自在に前記デフケース21内のスプラ
イン部1Sに嵌合支持された左右のプレッシャリング
2、3と、該プレッシャリング2、3内において周方向
に配置された差動装置を構成するところの複数個のピニ
オンギヤ6に軸方向の両側から噛合する左右のサイドギ
ヤ7、8と、前記左右のプレッシャリング2、3の対向
面に設けられた所定角度のドライブ側カム面2D、3D
と、該ドライブ側カム面2D、3Dを介して前記ピニオ
ンギヤ6におけるピニオン軸4を駆動する際に生じるス
ラスト力による各プレッシャリング2、3の軸方向のス
ライドによって接続するプレッシャリング2、3とデフ
ケース1との間に配置された左右の多板クラッチ9、1
0とから構成されている。
【0011】図2に拡大して要部の概略を示すように、
本発明では、前記ピニオン軸4と左右のプレッシャリン
グ2、3の対向面に設けられたカム面の少なくともドラ
イブ側(図面下方)カム面2D、3Dとの間には、前記
プレッシャリング2、3に作用する入力トルクの増加に
応じて回転軸とのなす角度が増加して前記ピニオン軸4
との間のスラスト力を増大するドライブ側可動部5Dを
有するカム角度調整部材5が配置される。図2の第1実
施例におけるカム角度調整部材5は、ドライブ側可動部
5Dと回転方向(図面上下方向)に延びる基部5Aが一
体に形成されたほぼL字状の弾性材より構成され,前記
基部5Aは適宜にカム面の底部に固定される。図2
(A)は低駆動入力時を、図2(B)は高駆動入力時を
それぞれ示しており、図2(A)の低駆動入力時では、
プレッシャリング2、3が矢印D(ドライブ方向)方向
に回転し、比較的低い駆動力F1によって前記カム角度
調整部材5のドライブ側可動部5Dがピニオン軸4を押
圧駆動する。この時、前記ドライブ側可動部5Dの回転
軸とのなすカム角度θ1も比較的小さいために、ピニオ
ン軸4とカム角度調整部材5のドライブ側可動部5Dと
の間に発生するスラスト力P1も比較的小さい。したが
って、低速での走行時等において差動作用が阻害されて
タイトコーナーブレーキング現象を引き起こすことが抑
制される。
【0012】次に、図2(B)の高駆動入力時では、プ
レッシャリング2、3が矢印D方向に回転して比較的高
い駆動力F2によって前記カム角度調整部材5のドライ
ブ側可動部5Dがピニオン軸4を押圧駆動すると、前記
ドライブ側可動部5Dの回転軸とのなすカム角度θ2も
増大する(最大で前記ドライブ側可動部5Dがカム面2
D、3Dに密着する)ために、ピニオン軸4とカム角度
調整部材5のドライブ側可動部5Dとの間に発生するス
ラスト力P2も増大する。したがって、高駆動入力時、
例えば車両が泥濘地等の悪路に遭遇して片輪空転等によ
り過剰な差動作用が発生しようとした場合や高速度での
荒地走行中に片輪空転の後に急激な接地によるショック
ロード(尻振り)が発生しようとしても、前記増大した
スラスト力P2によって高速車輪側の多板クラッチが接
続してブレーキングを生じた分、低速車輪側との間にお
ける過剰な差動作用が抑止され、低速車輪側に配分トル
クを加算して増大させることができるので、悪路脱出を
可能にしたり、ショックロードを有効に防止できる。な
お、前記カム角度調整部材5のドライブ側可動部5D
は、駆動入力が低下すると自身の弾性によって図2
(A)の原状に復する。
【0013】次に、図3について本発明の差動制限装置
におけるカム機構の第2実施例を説明する。本実施例で
は、前記カム角度調整部材5は、基部5Aに枢着された
ドライブ側可動部5Dと前記プレッシャリング2、3に
おけるドライブ側カム面2D、3Dとの間にスプリング
5Eを配置して構成したものである。本実施例では,駆
動入力の増大によって前記スプリング5Eが圧縮される
ことにより、カム角度が増大して発生するスラスト力も
増大する。本実施例のカム角度調整部材5におけるドラ
イブ側可動部5Dは弾性材である必要はなく、前記スプ
リング5Eのばね定数が設定されるべきトランスファー
レシオRtに依存して選択される。
【0014】次に、図4について本発明の差動制限装置
におけるカム機構の第3実施例を説明する。本実施例で
は、前記カム角度調整部材5は、ドライブ側可動部5D
がテーパ状の弾性材5Fを介して前記プレッシャリング
2、3におけるドライブ側カム面2D、3Dに固着して
構成したものである。本実施例では,駆動入力の増大に
よって前記ドライブ側可動部5Dの背面のテーパ状の弾
性材5Fが圧縮されることにより、カム角度が増大して
発生するスラスト力も増大するものである。弾性材5F
としてはゴム、プラスチック等適宜の材質のものが選択
される。本実施例のカム角度調整部材5におけるドライ
ブ側可動部5Dも、前記第2実施例同様に弾性材である
必要はなく、前記テーパ状の弾性材5Fの弾性係数が設
定されるべきトランスファーレシオRtに依存して選択
される。
【0015】次に、図5について本発明の差動制限装置
におけるカム機構の第4実施例を説明する。本実施例
は、基本的には前記第1実施例のものと同様であるが、
前記第1実施例のもののカム角度調整部材5が、ドライ
ブ側可動部5Dと回転方向に延びる基部5Aが一体に形
成されたほぼL字状の弾性材より構成されているのに対
し、本実施例では、コースト側にもカム角度調整のため
のコースト側可動部5Cを配置したものである。これに
よって、通常の前進駆動時に駆動入力の増大によってド
ライブ側可動部5Dのカム角度が増大して発生するスラ
スト力も増大することは勿論のこと、前記コースト側可
動部5Cの存在によって、図5の矢印Cのようにプレッ
シャリング2、3が駆動される後進時においても、駆動
入力の増大によってコースト側可動部5Cのカム角度が
増大して発生するスラスト力を増大させることができる
ので、ABS(アンチロックブレーキシステム)に干渉
してその性能を損ねることなく後進での悪路脱出が可能
となる他、エンジンブレーキ時における走行安定性を確
保できる。
【0016】なお、本発明の趣旨の範囲内で前記カム角
度調整部材、スプリング、弾性材の形状、材質およびそ
れらの関連構成は種々のものが採用され得ることは言う
までもないことである。
【0017】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明は、
デフケースの回転軸方向にスライド自在にデフケース内
に支持された一対のプレッシャリングと、該プレッシャ
リング内において周方向に配置された複数個のピニオン
ギヤに軸方向の両側から噛合する一対のサイドギヤと、
前記一対のプレッシャリングの対向面に設けられた所定
角度のカム面と、該カム面を介して前記ピニオンギヤに
おけるピニオン軸を駆動する際に生じるスラスト力によ
る各プレッシャリングの軸方向のスライドによって接続
するプレッシャリングとデフケースとの間に配置された
一対の多板クラッチと、該多板クラッチの接続によって
前記デフケースと各サイドギヤとの間の差動制限を行う
リミテッドスリップデフ型の差動制限装置において、前
記ピニオンギヤにおけるピニオン軸と一対のプレッシャ
リングの対向面に設けられた所定角度のカム面との間
に、前記プレッシャリングに作用する入力トルクの増加
に応じて回転軸とのなす角度が増加して前記ピニオン軸
との間のスラスト力を増大する可動部を有するカム角度
調整部材を配置したことにより、車両が低駆動入力の低
速度時には、前記カム角度調整部材におけるカム角度が
小さいためプレッシャリングに発生するスラスト力も小
さく(トランスファーレシオRtが小さい)、従来のも
ののように低速走行時における差動作用が阻害されてタ
イトコーナーブレーキング現象を引き起こすことがな
い。
【0018】また、車両が泥濘地等の悪路に遭遇して片
輪空転等により過剰な差動作用が発生しようとしたり、
高速度での荒地走行中に片輪空転の後に急激な接地によ
るショックロード(尻振り)が発生しようとしても、大
なる駆動入力によって前記プレッシャリングにおけるカ
ム面が前記ピニオン軸を駆動する際、前記カム角度調整
部材におけるカム角度を増大させ、発生するスラスト力
も増大させるので、空転高速車輪側の多板クラッチも接
続してブレーキングし、このブレーキングを生じた分、
過剰な差動作用を抑止して低速車輪側に配分トルクを加
算して増大させることができるので、前記の現象を有効
に防止できることとなる。さらに、コースト側にもカム
角度調整部材を配置すれば、後進時においても、駆動入
力の増大によってカム角度を増大させて発生するスラス
ト力を増大させることができるので、ABS(アンチロ
ックブレーキシステム)に干渉してその性能を損ねるこ
となく後進での悪路脱出が可能となる他、エンジンブレ
ーキ時における走行安定性を確保できる。しかも、これ
らのカム角度の調整は走行中に駆動入力の大きさに応じ
て自動的になされるので、部品の組み付け直し等の非現
実的な作業を伴うこともなく、さらに前記カム角度の調
整は無段階で行える等その実用的効果は絶大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の差動制限装置におけるカム機構の第1
実施例を示す全体図である。
【図2】図1の要部拡大断面図である。(A)は低駆動
入力時、(B)は高駆動入力時を示す。
【図3】本発明の差動制限装置におけるカム機構の第2
実施例を示す図である。
【図4】本発明の差動制限装置におけるカム機構の第3
実施例を示す図である。
【図5】本発明の差動制限装置におけるカム機構の第4
実施例を示す図である。
【図6】トランスファーレシオRtの説明図である。
【図7】従来の差動制限装置を示す図である。
【図8】従来の差動制限装置におけるカム機構の拡大図
である。
【図9】従来の差動制限装置におけるカム機構の他の例
の拡大図である。
【符号の説明】 1 デフケース 1S デフケーススプライン部 2 左プレッシャリング 2A 押圧部 2C コースト側カム面 2D ドライブ側カム面 2S スプライン部 3 右プレッシャリング 3A 押圧部 3C コースト側カム面 3D ドライブ側カム面 3S スプライン部 4 ピニオン軸 5 カム角度調整部材 5A 基部 5B 枢軸 5C コースト側可動部 5D ドライブ側可動部 5E スプリング 5F 弾性材 6 ピニオンギヤ 7 左サイドギヤ 8 右サイドギヤ 9 左多板クラッチ 9A 左アウタークラッチ板 9B 左インナークラッチ板 10 右多板クラッチ 10A 右アウタークラッチ板 10B 右インナークラッチ板

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 デフケースの回転軸方向にスライド自在
    にデフケース内に支持された一対のプレッシャリング
    と、該プレッシャリング内において周方向に配置された
    複数個のピニオンギヤに軸方向の両側から噛合する一対
    のサイドギヤと、前記一対のプレッシャリングの対向面
    に設けられた所定角度のカム面と、該カム面を介して前
    記ピニオンギヤにおけるピニオン軸を駆動する際に生じ
    るスラスト力による各プレッシャリングの軸方向のスラ
    イドによって接続するプレッシャリングとデフケースと
    の間に配置された一対の多板クラッチと、該多板クラッ
    チの接続によって前記デフケースと各サイドギヤとの間
    の差動制限を行うリミテッドスリップデフ型の差動制限
    装置において、前記ピニオンギヤにおけるピニオン軸と
    一対のプレッシャリングの対向面に設けられた所定角度
    のカム面との間にカム角度調整部材を配置したことを特
    徴とする差動制限装置におけるカム機構。
  2. 【請求項2】 前記カム角度調整部材は、前記プレッシ
    ャリングに作用する入力トルクの増加に応じて回転軸と
    のなす角度が増加して前記ピニオン軸との間のスラスト
    力を増大する可動部を有して構成されていることを特徴
    とする請求項1に記載の差動制限装置におけるカム機
    構。
  3. 【請求項3】 前記カム角度調整部材は、可動部と基部
    が一体に形成されたほぼL字状の弾性材より構成された
    ことを特徴とする請求項2に記載の差動制限装置におけ
    るカム機構。
  4. 【請求項4】 前記カム角度調整部材は、基部に枢着さ
    れた可動部と前記プレッシャリングにおけるカム面との
    間にスプリングを配置して構成したことを特徴とする請
    求項2に記載の差動制限装置におけるカム機構。
  5. 【請求項5】 前記カム角度調整部材は、可動部がテー
    パ状の弾性材を介して前記プレッシャリングにおけるカ
    ム面に固着されて構成されていることを特徴とする請求
    項2に記載の差動制限装置におけるカム機構。
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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0939246A1 (en) * 1998-02-27 1999-09-01 Kabushiki Kaisha Route Six Limited slip differential gear
US6168545B1 (en) 1999-05-26 2001-01-02 Mclaren Automotive Group, Inc. Limited slip differential with spring-loaded clutches
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JP2015197136A (ja) * 2014-03-31 2015-11-09 株式会社キャロッセ 差動制限機能を有するデファレンシャル装置

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