JPH07282809A - 水素吸蔵合金電極および製造法 - Google Patents

水素吸蔵合金電極および製造法

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JPH07282809A
JPH07282809A JP6066151A JP6615194A JPH07282809A JP H07282809 A JPH07282809 A JP H07282809A JP 6066151 A JP6066151 A JP 6066151A JP 6615194 A JP6615194 A JP 6615194A JP H07282809 A JPH07282809 A JP H07282809A
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alloy
hydrogen storage
electrode
phase
storage alloy
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JP6066151A
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Koji Yamamura
康治 山村
Hajime Seri
肇 世利
Yoichiro Tsuji
庸一郎 辻
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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    • H01MPROCESSES OR MEANS, e.g. BATTERIES, FOR THE DIRECT CONVERSION OF CHEMICAL ENERGY INTO ELECTRICAL ENERGY
    • H01M4/00Electrodes
    • H01M4/02Electrodes composed of, or comprising, active material
    • H01M4/36Selection of substances as active materials, active masses, active liquids
    • H01M4/38Selection of substances as active materials, active masses, active liquids of elements or alloys
    • H01M4/383Hydrogen absorbing alloys
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 水素ガス吸蔵量の大きいZr系およびZr−
Ti系水素吸蔵合金を改良して、低温における高率放電
特性に優れた水素吸蔵合金を提供する。 【構成】 ZrまたはZrとTiを含む水素吸蔵合金中
に、NiおよびCoよりなる群から選択される少なくと
も1種の元素とYとを主成分とする合金相を30重量%
以下含有する合金またはその水素化物からなる水素吸蔵
合金電極。また、この製造方法は、Y−Ni合金、Y−
Co合金およびY−Ni−Co合金よりなる群から選択
される合金をあらかじめ作成し、これをZrまたはZr
とTiを含む水素吸蔵合金とともに溶解して合金を製造
する工程を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気化学的な水素の吸
蔵・放出を可逆的に行える水素吸蔵合金電極に関する。
【0002】
【従来の技術】各種の電源として広く使われている蓄電
池には鉛電池とアルカリ電池がある。このうちアルカリ
蓄電池は高信頼性が期待でき、小形軽量化も可能などの
理由から、小型電池は各種ポ−タブル機器用に、また大
型電池は産業用にそれぞれ使われてきた。このアルカリ
蓄電池において、正極としては一部空気極や酸化銀極な
ども取り上げられているが、ほとんどの場合ニッケル電
極である。ポケット式から焼結式に代わって特性が向上
し、さらに密閉化が可能になるとともに用途も広がっ
た。一方、負極としてはカドミウムの他に亜鉛、鉄、水
素などが対象となっているが、現在のところカドミウム
電極が主体である。最近では、一層の高エネルギ−密度
を達成するために金属水素化物、つまり水素吸蔵合金極
を使ったニッケル−水素蓄電池が注目され、製法などに
多くの提案がされている。水素を可逆的に吸収・放出し
うる水素吸蔵合金を使用する水素吸蔵合金電極は、理論
容量密度がカドミウム電極より大きく、亜鉛電極のよう
な変形やデンドライトの形成などもないことから、長寿
命・無公害であり、しかも高エネルギー密度を有するア
ルカリ蓄電池用負極として期待されている。
【0003】このような水素吸蔵合金電極に用いられる
合金として、一般的にはTi−Ni系およびLa(また
はMm)−Ni系の多元系合金がよく知られている。T
i−Ni系の多元系合金は、ABタイプとして分類でき
る。このタイプの合金は、充放電サイクルの初期には比
較的大きな放電容量を示すが、充放電を繰り返すと、そ
の容量を長く維持することが困難であるという問題があ
る。また、AB5タイプのLa(またはMm)−Ni系
の多元系合金は、近年電極材料として多くの開発が進め
られており、これまでは比較的有力な合金材料とされて
いた。しかし、この合金系も比較的放電容量が小さく、
電池電極としての寿命性能が不十分であり、材料コスト
が高いなどの問題を有している。したがって、さらに高
容量化が可能で長寿命である新規水素吸蔵合金材料が望
まれていた。これに対して、AB2タイプのラ−バス
(Laves)相合金(A:Zr、Tiなどの水素との
親和性の大きい元素、B:Ni、Mn、Crなどの遷移
元素)は、水素吸蔵能が比較的高く、高容量かつ長寿命
の電極として有望である。すでにこの合金系について
は、例えばZrαVβNiγMδ系合金(特開昭64−
60961号公報)やAxyNiz系合金(特開平1−
102855号公報)などが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のZr系およびZ
r−Ti系水素吸蔵合金は、水素ガス吸蔵量が多く高容
量の水素吸蔵合金が可能であり、電池電極としても大き
い放電容量を示す水素吸蔵合金電極が得られている。し
かし、これら合金は、水素吸蔵合金電極として低温状態
においては反応性が低いために、高率放電に優れた特性
を有する合金を得ることができなかった。本発明は、水
素吸蔵合金における上記問題点に鑑み、良好な特性の合
金を探索した結果得られたものであり、特に、低温状態
での高率放電特性や寿命などの電極性能に優れた蓄電池
を与える水素吸蔵合金電極を提供することを目的とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の水素吸蔵合金電
極は、ZrまたはZrとTiを含む水素吸蔵合金中に、
NiおよびCoよりなる群から選択される少なくとも1
種の元素とYとを主成分とする合金相を30重量%以下
含有する合金またはその水素化物からなるものである。
ここにおいて、ZrまたはZrとTiを含む水素吸蔵合
金が、一般式Zr1.2-aTiaMnwxNiyz(ただ
し、MはB、Al、Si、Cr、Fe、Co、Cu、Z
n、Nb、Mo、TaおよびWよりなる群から選択され
る少なくとも1種の元素、0≦a<1.2、0.1≦w
≦1.2、0≦x≦0.4、0.8≦y≦1.6、0<
z≦1.2であり、かつ1.7≦(v+w+x+y+
z)≦2.7)で示される合金であり、合金相の主成分
がC14(MgZn2)またはC15(MgCu2)型ラ
−バス相であることが好ましい。さらに、前記合金相
は、YNix、YCoxおよびY(Ni−Co)x(ただ
し、1≦x<5)よりなる群から選択される合金相であ
ることが好ましい。
【0006】また、上記の水素吸蔵合金電極の製造方法
は、Y−Ni合金、Y−Co合金およびY−Ni−Co
合金よりなる群から選択される合金をあらかじめ作成
し、これをZrまたはZrとTiを含む水素吸蔵合金と
ともに溶解して合金を製造する工程を有する。前記溶解
した合金の溶融液は、銅などからなる単ロ−ル上に落下
させて急冷する急冷法、ガスアトマイズ法、デイスクア
トマイズ法などを用いて製造することが好ましい。さら
に、前記溶解した合金の溶融液を冷却した後、真空中も
しくは不活性ガス雰囲気中において800〜1200℃
で熱処理する工程を有することが好ましい。
【0007】
【作用】本発明の水素吸蔵合金電極は、水素吸蔵合金中
にY−Ni、Y−CoあるいはY−Ni−Co系の合金
相を形成した水素吸蔵合金を用いている。Zr系、また
はZr−Ti系水素吸蔵合金においては、Zr−Ni、
Zr−Ti−Ni等の偏析相が合金中に形成されるが、
水素吸蔵合金の水素ガス吸蔵量にもっとも大きく影響す
るZrやTiをこのような偏析相形成のために消費する
と、水素吸蔵合金の水素ガス吸蔵量が減少し、大きな放
電容量を有するような水素吸蔵合金電極を得ることがで
きなくなる。このことから水素吸蔵量の多い合金を得る
ためにはこれらの偏析相の無い、均一な合金が望まし
い。しかし、合金が均一化することにより合金の結晶粒
子が成長して大きくなるために電極反応等が低下する。
このため合金の電極反応性を維持し、水素吸蔵量を大き
く向上させるには、合金結晶の粒成長を阻止することの
できるようなZr−Ni、Zr−Ti−Ni等の偏析相
に替わる効果的な相を合金中に多く形成する必要があ
る。
【0008】このような水素ガス吸蔵量増大と電極反応
性の維持の反する条件を解決するのがY−Ni、Y−C
oもしくはY−Ni−Co系の合金偏析相である。水素
吸蔵合金融液を急冷し、合金を均一状態もしくは各合金
相が細かく分散した状態にした後、合金の熱処理を行い
水素吸蔵能を有する合金相の結晶化を行う。Y−Ni、
Y−CoもしくはY−Ni−Co系の合金偏析相は、合
金の熱処理時の水素吸蔵能を有する合金相の結晶の粒成
長を阻止するものである。以上のように水素吸蔵能を有
する合金相の結晶粒成長が阻止され、結晶粒子が微細な
ことで水素吸蔵量が多く、電極反応性にも優れた水素吸
蔵合金が得られる。
【0009】
【実施例】以下に本発明の実施例について図面とともに
説明する。 [実施例1]一般式ZrMn0.30.1Cr0.4Ni1.3
示される水素吸蔵合金を用い、これら合金中にY−Ni
合金の偏析相を形成させた水素吸蔵合金の例を示す。水
素吸蔵合金は以下の方法で作成した。まず、YとNiを
原子比で1:2の割合でアルゴン雰囲気中、アーク溶解
炉で加熱溶解することによりYNi2を合成した。金属
Yを直接用いることもできるが、酸化され易く、水素吸
蔵合金作成時にはこれら酸化物を除去する必要がある。
ZrやTiを含む合金系ではYの酸化物によりZrが酸
化されるためにA、Bサイト元素の比率の変動を起こし
易い。このためY−Niの比較的酸化されにくい合金に
するとともに合金作成時に凝集した酸化物を除去するこ
とにより、水素吸蔵合金作成時に混入するY酸化物の量
を少なくすることができる。
【0010】次に、所定量の各種金属材料にあらかじめ
作成したYNi2を所定量加えて、アルゴン雰囲気中、
アーク溶解炉で加熱溶解することにより、YNi2系合
金相を含む一般式ZrMn0.30.1Cr0.4Ni1.3で示
される水素吸蔵合金を作成した。合金中に添加するYN
2合金量は、合金作成時のYNi2の仕込量により調整
し、それぞれ仕込量の0重量%から40重量%まで10
重量%おきに合金を作成した。この合金試料の一部はX
線回折などの合金分析および水素ガス雰囲気における水
素吸収−放出量測定(通常のP(水素圧力)−C(組
成)−T(温度)測定、以降PCT測定とする)に使用
し、残りは電極特性評価に用いた。
【0011】まず、各水素吸蔵合金の真空熱処理後の試
料についてX線回折測定をしたところ、各合金とも主に
C15型相のピ−クのみが認められ、他の相のピークは
認められなかった。しかし、合金の研摩面の組織観察の
結果では、一般式ZrMn0.30.1Cr0.4Ni1.3で示
される水素吸蔵合金相(仕込組成であり、製造時のロス
や偏析相のため各成分量は多少変化する)と、Zr−N
i合金相およびY−Ni合金相が認められた。Y−Ni
合金相の元素分析の結果では、Ni量はYに対して原子
比で1.3〜1.8であり、仕込組成の2より少ないこ
とがわかった。また、この相には若干のV、Mn等も含
まれていた。このように添加したYNi2のNiの一部
が一般式ZrMn0.30.1Cr0.4Ni1.3で示される水
素吸蔵合金相に取り込められるために、PCT測定より
求めた水素平衡圧は、YNi2の添加量の増加により上
昇した。また、水素圧力5気圧までの水素吸蔵量はYN
2の添加量の増加により減少した。
【0012】次に、これら合金について電気化学的な充
放電反応によるアルカリ蓄電池用負極としての電極特性
を評価するために単電池試験を行った。各合金を400
メッシュ以下の粒径になるように粉砕し、この合金粉末
1gと導電剤としてのカーボニルニッケル粉末3gおよ
び結着剤としてのポリエチレン微粉末0.12gを十分
混合攪拌し、プレス加工により直径24.5mm、厚み
2.5mmの円板状に成形した。これを真空中、130
℃で1時間加熱し、結着剤を溶融させて水素吸蔵合金電
極とした。この水素吸蔵合金電極にニッケル線のリード
を取り付けて負極とし、正極として過剰の容量を有する
焼結式ニッケル電極を、セパレータとしてスルフォン化
処理したポリプロピレン不織布をそれぞれ用い、比重
1.30の水酸化カリウム水溶液を電解液として、25
℃において一定電流で充電と放電を繰り返し、各サイク
ルにおいて放電容量を測定した。なお、上記の充放電サ
イクルにおいて、充電は水素吸蔵合金1gあたり100
mAの電流で5時間行い、放電は同様に1gあたり50
mAの電流で行い、0.8Vでカットした。図1に充放
電20サイクルまでの各合金単極の最大放電容量を示し
た。また、図2に各合金単極の最大放電容量になるまで
に要した充放電サイクル数を示した。図1よりYNi2
を10重量%添加した合金の放電容量が他の合金に比べ
もっとも大きな放電容量を示すことがわかった。これは
YNi2を合金に加えることにより合金表面の電極反応
性が向上し、このために放電容量が増大したものと考え
られる。しかし、YNi2の添加量が多くなると、合金
表面の電極反応性が向上するのに対し、合金の水素吸蔵
量が低下するために放電容量は減少したものと考えられ
る。
【0013】次に、YNi2の添加量が30重量%以下
の各合金を用いて密閉形ニッケル−水素蓄電池を構成
し、その低温条件下での放電特性を比較した。蓄電池は
以下の方法で作成した。合金の400メッシュ以下の粉
末とカルボキシメチルセルローズの希水溶液と混合攪拌
してそれぞれペースト状にし、電極支持体としての平均
ポアサイズ150ミクロン、多孔度95%、厚さ1.0
mmの発泡状ニッケルシートに充填した。これを120
℃で乾燥してローラープレスで加圧し、さらにその表面
にフッ素樹脂粉末をコーティングして水素吸蔵合金電極
とした。これらの電極を幅3.3cm、長さ21cm、
厚さ0.40mmに調整し、リード板を所定の2カ所に
取り付けた。そして、正極(容量3.0Ah)およびセ
パレータと組み合わせて渦巻き状にして捲回してSCサ
イズの電槽に収納した。ここに用いた正極は、公知の発
泡式ニッケル電極で、そのサイズは幅3.3cm、長さ
18cmである。この正極にもリード板を2カ所に取り
付けた。また、セパレータは親水性を付与したポリプロ
ピレン不織布を使用した。比重1.20の水酸化カリウ
ム水溶液に水酸化リチウムを30g/l溶解した電解液
を注液後、電槽を封口して密閉形電池とした。
【0014】このようにして作製した電池を0.5C
(2時間率)で120%まで充電し、0.2C(5時間
率)で終止電圧0.8Vまで放電する充放電を5サイク
ル行い、20℃において0.1Cで充電後、0℃におい
て1Cで放電を行った。図3にその結果を示した。YN
2を添加しない合金ではほとんど放電しなかったのに
対し、YNi2を添加した合金では20℃における0.
2C放電時の放電容量の約30%以上を放電できるよう
になった。この結果より本発明の合金が低温高率放電に
優れていることがわかった。
【0015】[実施例2]一般式Zr0.9Ti0.3Mn
0.60.1Cr0.2Ni1.3で示される水素吸蔵合金を用
い、これら合金中にY−Co合金の偏析相を形成させた
水素吸蔵合金の例を示す。水素吸蔵合金を以下の方法で
作成した。まず、実施例1と同様にYとCoをそれぞれ
原子比で1:2の割合でアルゴン雰囲気中、アーク溶解
炉で加熱溶解することによりYCo2を合成した。次
に、所定量の各種金属材料にあらかじめ作成したYCo
2を所定量加えて、アルゴン雰囲気中、アーク溶解炉で
加熱溶解することにより、Y−Co系合金相を含む一般
式Zr0.9Ti0.3Mn0.60.1Cr0.2Ni1.3で示され
る水素吸蔵合金を作成した。合金中に添加するY−Co
合金は、合金作成時のYCo2の仕込量により調整し、
それぞれ仕込量の0重量%から40重量%まで10重量
%おきに合金を作成した。
【0016】この合金試料の一部はX線回折などの合金
分析および水素ガス雰囲気におけるP−C−T測定に使
用し、残りは電極特性評価に用いた。まず、各水素吸蔵
合金の真空熱処理後の試料についてX線回折測定をした
ところ、実施例1と同様に各合金試料とも主にC15型
相のピ−クのみが認められ、他の相のピークは認められ
なかった。しかし、合金の研摩面の組織観察の結果で
は、一般式Zr0.9Ti0.3Mn0.60.1Cr0.2Ni1.3
で示される水素吸蔵合金相、Zr−Ti−Ni合金相、
そしてY−Co合金相が認められた。Y−Co合金相の
元素分析の結果、Co量はYに対して原子比で1.2〜
1.8であり、仕込組成の2より少ないことがわかっ
た。また、この相には若干のNi、V、Mn等も含まれ
ていた。YCo2の場合も実施例1のYNi2と同様にC
oの一部が一般式Zr0.9Ti0 .3Mn0.60.1Cr0.2
Ni1.3で示される水素吸蔵合金相に取り込められるた
めにP−C−T測定より求めた水素平衡圧は、YCo2
の添加量の増加により上昇した。また、水素圧力5気圧
までの水素吸蔵量はYCo2の添加量の増加により減少
した。
【0017】次に、実施例1と同様にこれら合金につい
て電気化学的な充放電反応によるアルカリ蓄電池用負極
としての電極特性を評価するために単電池試験を行っ
た。図4に充放電20サイクルまでの各合金単極の最大
放電容量を示した。また、図5に各合金単極の最大放電
容量になるまでに要した充放電サイクル数を示した。図
4よりYCo2を10重量%添加した合金の放電容量が
他の合金に比べもっとも大きな放電容量を示すことがわ
かった。これはYCo2を合金に加えることにより合金
表面の電極反応性が向上し、このために放電容量が増大
したものと考えられる。しかし、YCo2の添加量が多
くなると、合金表面の電極反応性が向上するのに対し合
金の水素吸蔵量が低下するために放電容量は減少したも
のと考えられる。
【0018】次に、実施例1と同様にYCo2の添加量
が30重量%以下の各合金を用いて密閉形ニッケル−水
素蓄電池を構成し、その低温条件下での放電特性を比較
した。各電池を0.5C(2時間率)で120%まで充
電し、0.2C(5時間率)で終止電圧0.8Vまで放
電する充放電を5サイクル行い、20℃において0.1
Cで充電後、0℃において1Cで放電を行った。図6に
その結果を示した。YCo2を添加しない合金は、ほと
んど放電しなかったのに対し、YCo2を添加した合金
は、実施例1のYNi2と同様の効果が得られ、20℃
における0.2C放電時の放電容量の約60%以上を放
電できるようになった。この結果より本発明の合金が低
温高率放電に優れていることがわかった。
【0019】[実施例3]一般式ZrMn0.50.1Cr
0.3Ni1.3で示される水素吸蔵合金を用い、これら合金
中にY−Ni−Co系合金の偏析相を形成させた水素吸
蔵合金の例を示す。本実施例ではNiとCoの原子比が
1:1のものについて説明する。水素吸蔵合金を以下の
方法で作成した。まず、実施例1と同様にYとNi−C
oをそれぞれ原子比で1:2の割合でアルゴン雰囲気
中、アーク溶解炉で加熱溶解することによりY(Ni−
Co)2を合成した。次に、所定量の各種金属材料にあ
らかじめ作成したY(Ni−Co)2を所定量加えて、
アルゴン雰囲気中、アーク溶解炉で加熱溶解することに
よりY−Ni−Co系合金相を含む一般式ZrMn0.5
0.1Cr0.3Ni1.3で示される水素吸蔵合金を作成し
た。合金中に添加するY−Ni−Co合金の量は、合金
作成時のY(Ni−Co)2の仕込量により調整し、そ
れぞれ仕込量の0重量%から40重量%まで10重量%
おきに合金を作成した。
【0020】この合金試料の一部はX線回折などの合金
分析および水素ガス雰囲気におけるP−C−T測定に使
用し、残りは電極特性評価に用いた。まず、各水素吸蔵
合金の真空熱処理後の試料についてX線回折測定をした
ところ、実施例1と同様に各合金試料とも主にC15型
相のピ−クのみが認められ、他の相のピークは認められ
なかった。しかし、合金の研摩面の組織観察の結果で
は、一般式ZrMn0.50.1Cr0.3Ni1.3で示される
水素吸蔵合金相、Zr−Ti−Ni合金相、そしてY−
Ni−Co合金相が認められた。Y−Ni−Co合金相
の元素分析の結果では、Ni−Co量はYに対して原子
比で1.2〜1.8であり、仕込組成の2より少ないこ
とがわかった。また、この相には若干のV、Mn等も含
まれていた。Y(Ni−Co)2の場合も実施例1のY
Ni2と同様にNi−Coの一部が一般式ZrMn0.5
0.1Cr0.3Ni1.3で示される水素吸蔵合金相に取り込
められるためにPCT測定より求めた水素平衡圧は、Y
(Ni−Co)2の添加量の増加により上昇した。ま
た、水素圧力5気圧までの水素吸蔵量はY(Ni−C
o)2の添加量の増加により減少した。
【0021】次に、実施例1と同様にこれら合金につい
て電気化学的な充放電反応によるアルカリ蓄電池用負極
としての電極特性を評価するために単電池試験を行っ
た。図7に充放電20サイクルまでの各合金単極の最大
放電容量を示した。また、図8に各合金単極の最大放電
容量になるまでに要した充放電サイクル数を示した。図
7よりY(Ni−Co)2を10重量%添加した合金の
放電容量が他の合金に比べもっとも大きな放電容量を示
すことがわかった。次に、実施例1と同様にY(Ni−
Co)2添加量が30重量%以下の各合金を用いて密閉
形ニッケル−水素蓄電池を構成し、その低温条件下での
放電特性を比較した。各電池を0.5C(2時間率)で
120%まで充電し、0.2C(5時間率)で終止電圧
0.8Vまで放電する充放電を5サイクル行い、20℃
において0.1Cで充電後、0℃において1Cで放電を
行った。図9にその結果を示した。Y(Ni−Co)2
を添加しない合金は、ほとんど放電しなかったのに対
し、Y(Ni−Co)2を添加した合金は、20℃にお
ける0.2C放電時の放電容量は約40%以上を放電で
きるようになった。この結果より本発明の合金が低温高
率放電に優れていることがわかった。
【0022】[実施例4]一般式ZrMn0.30.1Cr
0.4Ni1.3で示される水素吸蔵合金にYNi210重量
%添加した水素吸蔵合金を用い、合金製造時の冷却速度
の効果について説明する。冷却速度の比較例としては、
アーク溶解炉による合金製造(以降通常冷却製造とす
る)と回転する銅製単ロール上に合金溶融液を落下させ
て急冷する合金製造(以降急冷製造とする)により行っ
た。各合金ともに溶解冷却後、減圧下1050℃で12
時間熱処理を行った。各金属材料の溶解方法は実施例1
と同様の方法である。まず、通常冷却と急冷製造による
合金についてX線回折測定をしたところ、大きな相違は
認められなかった。しかし、P−C−T測定結果では、
通常冷却製造合金に比べ、急冷製造合金の方がP−C−
T曲線のプラトーが非常に平坦であった。また、合金の
研摩面の組織観察では、通常冷却製造合金中のY−Ni
合金相の粒子サイズは数μmであり、大きいもので長さ
10μmであったのに対し、急冷製造合金では合金中の
Y−Ni合金相の粒子サイズが1μm以下と非常に細か
いことがわかった。
【0023】次に、実施例1と同様にこれら合金につい
て電気化学的な充放電反応によるアルカリ蓄電池用負極
としての電極特性を評価するために単電池試験を行っ
た。図10に充放電20サイクルまでの各合金単極の最
大放電容量を示した。通常製造法に比べ、急冷して合金
を製造することにより電極活性を大きく向上できるため
に放電容量が大きくなった。また、Y−Ni合金相が細
かく、かつ、均一に分布しているためであると考えられ
る。次に、実施例1と同様に各合金を用いて密閉形ニッ
ケル−水素蓄電池を構成し、その低温条件下での放電特
性を比較した。各電池を0.5C(2時間率)で120
%まで充電し、0.2C(5時間率)で終止電圧0.8
Vまで放電する充放電を5サイクル行い、20℃におい
て0.1Cで充電後、0℃において1Cで放電を行っ
た。図11にその結果を示した。また、比較のために通
常の製造法で作成した合金を用いた蓄電池の結果も示し
た。この結果より本発明合金をさらに急冷により製造す
ることによって、低温高率放電に優れた合金を得ること
ができることがわかった。
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、放電容量、低温高率放
電特性等の放電特性に優れた水素吸蔵合金電極を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】YNi2を各種の割合で添加した水素吸蔵合金
を用いた電極の充放電サイクルにともなう放電容量の変
化を示す図である。
【図2】水素吸蔵合金のYNi2添加量と最大放電容量
に達するまでのサイクル数の関係を示す図である。
【図3】YNi2を添加した水素吸蔵合金を用いた電極
を備える密閉形蓄電池の低温高率放電特性とYNi2
加量との関係を示す図である。
【図4】YCo2を各種の割合で添加した水素吸蔵合金
を用いた電極の充放電サイクルにともなう放電容量の変
化を示す図である。
【図5】水素吸蔵合のYCo2添加量と最大放電容量に
達するまでのサイクル数の関係を示す図である。
【図6】YCo2を添加した水素吸蔵合金を用いた電極
を備える密閉形蓄電池の低温高率放電特性とYNi2
加量との関係を示す図である。
【図7】Y(Ni−Co)2を各種の割合で添加した水
素吸蔵合金を用いた電極の充放電サイクルにともなう放
電容量の変化を示す図である。
【図8】水素吸蔵合のY(Ni−Co)2添加量と最大
放電容量に達するまでのサイクル数の関係を示す図であ
る。
【図9】Y(Ni−Co)2を添加した水素吸蔵合金を
用いた電極を備える密閉形蓄電池の低温高率放電特性と
YNi2添加量との関係を示す図である。
【図10】各種冷却速度で製造したYNi2添加水素吸
蔵合金を用いた電極を備える密閉形蓄電池の充放電サイ
クルにともなう放電容量の変化を示す図である。
【図11】各種冷却速度で製造したYNi2添加水素吸
蔵合金を用いた電極を備える密閉形蓄電池の低温高率放
電特性を比較した図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ZrまたはZrとTiを含む水素吸蔵合
    金中に、NiおよびCoよりなる群から選択される少な
    くとも1種の元素とYとを主成分とする合金相を30重
    量%以下含有する合金またはその水素化物からなる水素
    吸蔵合金電極。
  2. 【請求項2】 ZrまたはZrとTiを含む水素吸蔵合
    金が、一般式Zr1.2-aTiaMnwxNiyz(ただ
    し、MはB、Al、Si、Cr、Fe、Co、Cu、Z
    n、Nb、Mo、TaおよびWよりなる群から選択され
    る少なくとも1種の元素、0≦a<1.2、0.1≦w
    ≦1.2、0≦x≦0.4、0.8≦y≦1.6、0<
    z≦1.2であり、かつ1.7≦(v+w+x+y+
    z)≦2.7)で示され、合金相の主成分がC14(M
    gZn2)またはC15(MgCu2)型ラ−バス相であ
    る請求項1記載の水素吸蔵合金電極。
  3. 【請求項3】 前記合金相が、YNix、YCoxおよび
    Y(Ni−Co)x(ただし、1≦x<5)よりなる群
    から選択される合金相である請求項1または2記載の水
    素吸蔵合金電極。
  4. 【請求項4】 Y−Ni合金、Y−Co合金およびY−
    Ni−Co合金よりなる群から選択される合金をあらか
    じめ作成し、これをZrまたはZrとTiを含む水素吸
    蔵合金とともに溶解して合金を製造する工程を有する請
    求項1記載の水素吸蔵合金電極の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記溶解した合金の溶融液を冷却した
    後、真空中もしくは不活性ガス雰囲気中において800
    〜1200℃で熱処理する工程を有する請求項4記載の
    水素吸蔵合金電極の製造方法。
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