JPH0727766B2 - イオン打込み装置及びイオン源装置作動方法 - Google Patents

イオン打込み装置及びイオン源装置作動方法

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JPH0727766B2 JP59170335A JP17033584A JPH0727766B2 JP H0727766 B2 JPH0727766 B2 JP H0727766B2 JP 59170335 A JP59170335 A JP 59170335A JP 17033584 A JP17033584 A JP 17033584A JP H0727766 B2 JPH0727766 B2 JP H0727766B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は一般に選定された化学元素のイオンをターゲッ
ト素子に打込む装置及び方法に関し、特に、例えば大規
模集積回路チップのような半導体装置の製造工程の一部
として導電率変換用の化学不純物を半導体ウェーハに打
込む装置及び方法に関する。さらに詳述すると、本発明
はイオン打込み装置の電極バイアス印加装置および該電
極バイアス印加装置を通してイオン源装置を作動させる
方法に関する。
(従来の技術) 本発明の装置及び方法は、金属の表面にイオンを打込ん
で表面合金化を生じさせるのに有用であり、また他の用
途にも有用であるが、現今のイオン打込みの主な商業上
の使用は大規模集積回路(LSIC)チップの製造である。
それで、本明細書においては本発明の方法及び装置をLS
ICチップの製造について説明するが、本発明はこれに限
定されるものではない。LSIC分野における本発明の重要
性を理解するための一助として、IC製造に対する若干の
背景情報を以下説明する。
半導体処理過程におけるイオン打込み技術の使用 集積回路(IC)チップ上の半導体装置の集積化の規模及
びかかる装置の動作速度における極めて大きな改良が過
去数年間において得られている。かかる改良は、集積回
路製造設備における数多くの進歩、及び未加工の半導体
ウェーハをICチップに加工する際に用いる材料及び方法
の改良によって可能となったものである。製造設備にお
ける最も顕著な進歩は、リソグラフィ及びエッチング装
置の改良、及び導電率変換用不純物のイオンを半導体ウ
ェーハに打ち込む装置の改良であった。
一般に、集積回路の密度及びその動作速度は、半導体ウ
ェーハのマスキング層内に回路素子のパターンを形成す
るのに用いるリソグラフィ及びエッチング装置の精度及
び分解能に大きく依存する。しかし、密度及び速度はま
た、ウェーハのドーピング領域、即ち導電率変換用不純
物の実質的な濃度が添加された領域の形状の厳格な制御
にも依存する。ウェーハドーピングの厳格な制御は、イ
オン打込みの技術及び設備を用いて最良に達成すること
ができる。
導電体絶縁体シリコン(CIS)装置の大規模集積回路(L
SI)及び超大規模集積回路(VLSI)は、ウェーハ面積を
より効率的に利用し、装置間の相互接続体を短かくし、
形状をより小さくし、及びノイズを減らすことによって
改良される。これら改良の全ては、その大部分が、イオ
ン打込みドーピング方法を用いることによって可能とな
る。
バイポーラ回路の製造もイオン打込みで改良されてきて
いる。この加工技術においては、改良は、イオン打込み
で予備デポジションを行ない、且つ同時に、イオン打込
み設備の特性である低汚染性及びホトレジストマスキン
グとの融和性を利用することによってなされている。
ウェーハの表面にドーパント材の気体式またはスピンオ
ン式のデポジションを行ない、次いで高温炉拡散操作を
行なってドーパント材を半導体ウェーハ内に等方性的に
追い込む、即ち、ドーパント分子がウェーハ内に横方向
及び垂直方向に入ってゆく、という方法では半導体ウェ
ーハの小さな幾何学的領域のドーピングを適切に行なう
ことができないということは業界に周知である。LSICま
たはVLSIC(超大規模集積回路)ウェーハに対して要求
されるドーパントの分布、濃度及び横形状の種類によ
り、イオン打込みは精選されたドーピング加工となる。
イオン打込みをもってのみ得られるドーピングの一様性
は、より小形の装置の製作において極めて重要なもので
ある。また、ウェーハを横切るドーピングの一様性及び
ウェーハからウェーハへの反復性は、イオン打込みをも
って得られるものであり、高密度装置の製作歩留りを著
しく改善する。
イオン打込み技術の使用例 第1図ないし第3図に、半導体ウェーハ上にCIS集積回
路装置を作る際に用いる一続きのイオン打込み工程を示
す。第1図は、ウェーハのフィールド領域14内に低濃度
打込み部を作るためにP形ウェーハ10に対して行なわれ
る第1のイオン打込み工程を示すものである。フィール
ド領域14とは、ここでは、ホトレジストの領域11で覆わ
れてないウェーハの領域と定義する。ホトレジストの領
域11は標準のリソグラフィ加工を用いて形成される。即
ち、レジストの薄い層をウェーハの全面に広げ、次い
で、マスクパターンを通じて、または直接走査式電子ビ
ームによって、選択的に露光する。その次に現像工程が
続き、光または電子にさらされたホトレジストの領域を
除去する。これはポジティブレジスト材を用いるポジテ
ィブリソグラフィ処理として知られている。上記レジス
ト層を露光及び現像した後、一般に、熱酸化物の薄層12
が上記半導体ウェーハの露光済み面の上をおおって成長
させられ、フィールド領域14への打込みは上記薄い酸化
物層を通じて行われることになる。
硼素のようなP形材料のイオンの浅い打込みを、イオン
打込み装置を用いて行なう。このフィールド打込みは、
ホトレジスト材の領域11の下に横たわっている装置の活
性領域の間の電気的絶縁を大きくするために行われる。
第1図に示す打込み工程の後、一般に、ウェーハ10を炉
に入れ、厚いフィールド酸化物領域15を湿式酸化処理で
成長させる。この酸化処理中に、フィールド領域14に打
込まれたイオンは半導体基体内へ追い込まれてフィール
ド酸化物領域15の下に横たわる。
この工程の後、マスキング領域即ちホトレジスト領域11
を除去し、薄いゲート酸化物17を活性領域18内に形成す
る。この時点で、燐のようなN形ドーパント材を用いて
第2のイオン打込みを行ない、上記活性領域内に形成さ
れるべきシリコンゲート電界効果トランジスタ装置のス
レショルド電圧を調整する。即ち、浅い打込み工程にお
いてN形ドーパントイオン16をゲート酸化物層17を通し
て打込んで、打込み済み領域18を作る。
この浅いスレショルド設定用打込みを行なった後、リソ
グラフィ及びエッチング工程を行なってウェーハ上に電
界効果トランジスタ装置を形成し、第3図に示すような
装置構造を作る。その後、N形イオンの高濃度打込みを
行って、シリコンゲート領域19並びにソース領域21及び
ドレイン領域22を同時にドーピングし、シリコンゲート
電界効果トランジスタ装置の基本的構造を作り上げる。
集積回路を完成にするには上記のほかに多くの製作工程
が必要であり、これら工程としては、ウェーハ全体をお
おう酸化物または窒化物の絶縁層の形成、ソース、ドレ
インおよびシリコンゲートに対する接点開口部を作るた
めにリソグラフィ及びエッチング処理による接点開口部
の形成、及びその後に、ウェーハ上の種々の装置を接続
して総合集積回路にするために導電体回路網を作るため
の導電材の通路の形成がある。
以上の概略説明から解るように、未加工のウェーハから
完成品半導体IC装置を作るために半導体ウェーハに対し
て行う多数の個別的処理工程がある。これら個別的処理
工程の各々は、歩留りの損失を生ずる可能性のある操作
である。即ち、該工程が適切に行われないと、個別のウ
ェーハ(またはバッチ処理操作におけるバッチのウェー
ハ)上のIC装置の全部または大きな部分が不良となる可
能性がある。また、イオン打込みのような処理工程で
は、ウェーハの面を横切るイオン打込み部の放射線量の
均一性によって各個別的ウェーハ上の良品チップの歩留
りが決まることが極めて大きい。
イオン打込み装置の望ましい特徴 イオン打込み技術を用いるLSI装置製造分野において切
望されているものの一つは、特に、LSI製造処理におい
て益々一般化しつつある高濃度打込みに対して、打込み
実施費用を甚だしく増大させることなしにイオン打込み
装置のウェーハ処理能力を改善することである。イオン
打込み装置におけるウェーハ処理量を決定する主なパラ
メータはイオンビーム電流である。約10ミリアンペア
(mA)の砒素イオンビーム電流を発生するような、今日
のところ高電流装置と考えられているものを備えた、イ
オンビーム電流発生能力を大幅に変えることが可能な多
数の各種装置の開発が要望されている。
従来のイオン打込み装置 現時の高電流装置は極めて大形且つ高価である。例え
ば、代表的な160kV、10mAイオン打込み装置としては、
幅約3.35m(11フィート)、長さ約5.49m(18フィート)
の装置がある。イオン打込み装置の技術上の基本的な核
心的部分はイオンビームライン自体にある。その代表的
な一例を第5図に示す。このビームラインの寸法によ
り、イオン打込み装置全体の大きさがかなりの程度まで
決まる。
第4図及び第5図に、従来のイオン打込み装置の主な構
成部材及び従来の全てのイオン打込み装置の代表的なイ
オンビームオプティクス(イオン光学系)を示す。第4
図は「ヌークリア・インストルーメンツ・アンド・メソ
ッズ」(Nuclear Instruments and Methods)誌、第139
巻(1976年)、第125頁ないし第134頁に所載の本発明者
の論文「200kV工業用高電流イオン打込み装置に対する
設計原理」(The Design Philosophy for a 200kV Ind
ustrial High Current Ion Implantor)から取ったシリ
ーズIII AITイオン打込み装置の配置を略示するもので
ある。この論文に記載されている装置は、商用型を作る
前に細部を若干変更したが、構成部材の一般的配置は同
じままになっている。第5図はビームライン構成部材の
略斜視図である。イオンビーム31は引出し電極組立体25
によってイオン源30から引き出される。上記イオン源か
ら出てくるビームは横断面矩形のリボン状ビームであ
り、8:1ないし30:1の一般的縦横比を有す。
イオン源30からの発散ビームは、回転式入口磁極46を有
する分析磁石に入る。これにより、上記ビームは、静電
式合焦レンズを何等使用せずに、分解スリット51内に合
焦させられる。上記ビームが分析磁石40の両極間の飛行
管を通過すると直ちに、該ビームは、ウェーハ処理装置
70へ到達するビーム電流を制御するベーン装置48に来
る。上記ベーン装置は高速ステップモータによって駆動
され、1ステップ当たり約0.1%ずつ電流を変化させる
ことができる。このステップ時間は1ミリ秒である。上
記ベーン装置及び分析磁石並びに上記イオン源は加速器
端末内にあり、該端末は160kVの電圧まで浮動して上記
ビームの後段加速を行うことができる。
上記イオンビームの後段加速は単一のギャップ55の中で
達成される。後段加速ギャップ55の直ぐ後には、磁気的
に制御されるシャッタ56が配置され、ビームがウェーハ
処理装置70に入る前のビーム電流を測定する。
真空装置は、差動ポンプ作用する4つの段から成ってい
る。その拡散ポンプの機能は、半導体用に使用される場
合に、主として、装置内の空気分圧を低く保持すること
である。
従来の一般的なイオンビームオプティクス 第5図について説明すると、従来のイオン打込み装置に
おける代表的なビームラインは、イオン源装置30、分析
磁石装置40、分解スリット装置50、後段加速装置60、及
びウェーハ処理装置70を有す。イオン源30において発生
したイオンは電極構造体(図示せず)によって引出さ
れ、分析磁石40の磁極ギャップへ向かって導かれるリボ
ン状ビームとなる。図示のように、上記イオンビーム
は、分析磁石40の分散平面と平行な平面内で発散する。
上記分散平面は上部磁極面41と下部磁極面42との間の中
央平面である。
上部磁極41と下部磁極42との間の磁極ギャップ内で、イ
オンビーム31中のイオンはその電荷対質量比に従って分
類される。各個別イオンが上記磁極ギャップに入ると、
その飛行線は、該イオンの質量の平方根に比例する半径
Rの経路内へ曲げられる。上記引出し電極構造体は、イ
オンが上記磁石の両極間の飛行管に入るときに同質量の
全てのイオンが実質的に同じ速度を有するように働き、
従ってイオンの調和的分散が上記分析磁石内で生ずる。
分析磁石装置40はまた、上記飛行管を飛行するイオンの
半径路長の変化によって発散するビームを再収束する。
選定された電荷対質量比を有するイオンは、分解スリッ
ト装置50のアパーチャ即ち分解スリット51を通るように
上記分析磁石によって合焦されて後段加速装置60に入
り、該後段加速装置において該イオンは予め選定された
エネルギーに更に加速され、その後、ウェーハ処理装置
70内のヒートシンク装置72上に取付けられているウェー
ハ71を衝撃する。
電荷対質量比を実質的に異にするイオンは分析磁石を通
過して分解スリット51の左または右へ収束させられ、こ
のようにして、目標のウェーハ71を衝撃する最終的イオ
ンビームから選別される。
従来のイオン打込み装置における発展的開発 最初のイオン打込み装置においては、イオン源アパーチ
ャは一般に点源に近似した小さな穴であった。イオンビ
ーム電流を高めるために、この円形穴の大きさを増大さ
せたが、許容可能な品質のイオンビームを与えることの
できる円形穴の大きさの増大には限界があるということ
がやがて見い出された。ステップ源アパーチャの垂直方
向及び水平方向の寸法を同時に増した場合に、不安定な
プラズマのメニスカス(メニスカスについては後で詳述
する)のためにビームが不安定になった。しかし、円形
穴を長くして矩形スリットにすることにより、ビームの
不安定性なしにより高いビーム電流を得ることができる
ということが見い出された。この矩形スリットは磁石の
分散平面に対して垂直方向に向いており、分析磁石の磁
極片に対して同じ方向に向いているイオン源の出口孔す
なわちイオン出口孔を用いたアイソレータセパレータに
おいてより高い電流を得たのと平行的な開発段階をたど
った。イオンビームオプティクスすなわちイオン光学系
の観点からは、細長いスリット状のイオン出口孔は連続
した一連の点源と考えることができ、この一連の点源は
分解スリット51における長く伸びた矩形領域となる。
従来の技術においては、アイソトープセパレータの技術
における研究に基づいて、垂直スリットが磁石の分散平
面に垂直に配置することが、最大の電流を得るには最も
よい方法であると考えられた。このような方法では、イ
オン源出口孔も分析磁石の磁極面に対して同じ配向を有
する(すなわち垂直である)ならばさらに高い電流が得
られることは明らかである。従って、従来の技術では、
イオン打ち込みに類似の技術分野においてうまくいくと
思われる方法と同じ方法が採用された。
イオンビーム電流を益々高くするために、イオン出口孔
の長さを次第に大きくしたが、その真直ぐな垂直方向の
配置は第5図に示す如くに保持された。イオン出口孔32
の増大した長さを受入れるために、分析磁石40の磁極ギ
ャップdも増大させて、より大きなビーム厚さを受入れ
るようにしなければならなかった。これは、分析磁石装
置が必要とする大きさ、費用及び電力を著しく増大させ
ることになった。これを第6図に略示する。この図は、
イオン分散平面と平行なイオン光学系を水平に見たもの
である。(図示の便宜上、イオン経路を展開してイオン
源及び分解スリットを共通平面内に示してある。これ
は、イオン分散平面と平行なイオン光学系を示すための
標準的な方法である)。イオン出口孔32′の長さが短け
れば、長いイオン出口孔3に必要な磁極ギャップdより
もかなり小さな磁極ギャップd′を有する分析磁石を用
いることができる。
細長いイオン出口孔を取り扱うのに必要となる磁極ギャ
ップの増大の程度を減らすために、従来の若干の装置
は、第7図及び第8図に示すように、磁石の分散平面と
垂直な平面内で収束するイオンビームを生じさせる湾曲
したイオン出口孔をもって設計された。湾曲したイオン
出口孔32Aにより、有効イオンビーム源長dよりもか
なり小さい磁極ギャップdの使用が可能となる。その
結果、装置の分析磁石装置の小形化についてかなりの改
良が得られた。イオン出口孔の曲率半径は比較的高く保
持されていなければならないが、イオンビーム電流と磁
極ギャップとの間の全体的関係のかなりの改善が、この
湾曲したイオン出口孔の形状を用いて得られた。
第7図及び第8図に示すように、イオン源30は、実質上
イオン出口孔32Aの後ろに位置する「仮想線源」から出
て分析磁石に入るようにイオンを発生する。ここで、
「仮想線源」とは、イオンビームオプティクスすなわち
イオン光学系の焦点である仮想点(虚の焦点)の集まり
であるいわゆる虚の線源のことである。従来のイオン光
学系における上記仮想線源の位置は、第22図及び第23図
に示すように、厳密にプラズマメニスカスの形状の関数
である。(第8図、第22図及び第23図の各場合おけるイ
オン出口孔の幅は、線源の位置が解かるように拡大して
描いてある。実際には、上記孔は、安定なプラズマメニ
スカスを保持するために、1ないし3ミリメートルの範
囲内、通例は約2ミリメートルの幅で形成されてい
る。)第22図には凹状メニスカスを示してあり、線源は
孔32の前面において位置31A′にある実の線源である。
第23図には凸状のメニスカスを示してあり、この形状の
結果として、第8図における位置と同じように、イオン
出口孔の後ろに位置31B′に仮想線源すなわち虚の線源
があることになる。案定なプラズマメニスカス、従って
また安定な実または虚の線源(仮想線源)の位置は、分
解スリットにおける分析済みイオンビーム像の安定な合
焦に対して極めて重要である。
第9図及び第10図は、イオン出口孔が湾曲した形状のも
のであっても、ビーム電流をもっと高くしようとする
と、限界があるということを示すものである。例えば、
第7図に示す構成を用いると、90mmのイオン出口孔長及
び40mmの磁極ギャップを用いて10ないし12mAまでのイオ
ンビームが可能であった。しかし、イオン出口孔長をも
っと長くしてイオン電流をもっと高くするには、第9図
に示すように磁極ギャップをもっと大きくするか、また
は第10図に示すようにイオン源を分析磁石からもっと遠
く離すことが必要である。しかし、イオンビーム電流を
増大させるためのこれらの試みはいずれも不所望な付随
効果を伴う。第9図に示す試みを用いる磁極ギャップの
増大には上述の不所望な効果が伴う。
イオン源30を分析磁石40から遠く離すと磁極ギャップを
大きくする必要がなくなるが、このような変更によって
他の欠点が装置に生ずる。例えば、より大きなビーム発
散を取扱うために磁極の幅を大きくしなければならな
い。イオンビーム源30をもっと遠く離すと、イオンビー
ムのような大きな部分がイオン源と分析磁石との間のよ
り長い飛行線領域において中性化されるので、より長い
イオン出口孔による追加のビーム電流における利得の若
干が失われる。これを妨げるには、分析磁石による分析
及び分解スリット内への合焦が不可能である中性化され
たイオン種としての損失を避けるために、イオン源から
磁石までの領域内の圧力を低下させる、より大形且つよ
り高価な真空ポンプが必要となる。従って、イオン源30
を分析磁石40からもっと遠く離すと、これに対応して装
置全体の大きさが増大し、これは直ちに製造費及び設置
費を増大することになる。
ウェーハ処理量を高くするためにイオンビーム電流を増
大させようとする現在のイオン打込み装置における発展
中の開発としては、基本的には、第5図ないし第10図に
示すイオンビームオプティクスの使用を継続している。
従って、この構成を用いる装置は、より高いイオンビー
ム電流の追求において、ビームライン構成部材及び付属
の真空ポンプ設備の大きさ及び費用が著しく増大してい
る。
第10図ないし第13図は、「レビュー・サイエンティフィ
ック・インストルーメンツ」(REVIEW SIENTIFIC INSTR
UMENTS)誌、1981年9月号に所載の論文「高効率イオン
ビーム加速装置」(High Efficiency Ion Beam Acceler
ator System)においてジー・アストン(G.Aston)によ
って提案されている従来のイオンオプティクス装置の変
形型を示すものである。この装置は、第13図の拡大図に
示すように配列されたイオン出口孔の二次元アレイ32A
を有するイオン源を用いている。この孔のアレイの長辺
は、磁石40のイオン分散平面と垂直の平面内にある。上
記孔は、アレイの各列の中心線がイオン源の前面の近く
にある共通交点に収束するように形成されている。収束
グリッド36が、イオン出口孔のアレイ32Aの前面に配置
されており、そして個々のイオン出口孔からのビームに
対して個々の収束レンズを形成するようにバイアス印加
されている。このようにして、個々の孔から引き出され
た個々のビームは、引出し電極37によって加速させられ
るにつれて、イオン源の前面にある線源へ向かって導か
れる。
この変形した装置においては、イオンビームは、イオン
分散平面と平行な平面内に第5図に示すイオン源におけ
る細い出口孔の幅よりも大きい、或る程度の広がりを有
するイオン放出エンベロープから形成される。ここで、
「イオン放出エンベロープ」とは、イオン出口孔から発
生したイオンビームが占めるイオン源から分析磁石の方
へ延びた領域のことである。アストンのイオン源の個々
のイオン出口孔はいずれも、約2.08mm(0.082インチ)
の直径を有しその幅は、第5図に示す型の単一スリット
形装置に用いられているイオン出口孔の幅の1ないし3m
m(0.04ないし0.12インチ)の範囲中で大きな方であ
る。アストンが用いたアレイにおける53個のイオン出口
孔は、幅約12.7mm(約0.5インチ)、長さ約25.4mm(約
1インチ)のイオン放出エンベロープを形成する。しか
し、このイオン放出エンベロープは、次いで、個々のビ
ームが上記線源へ向かって合焦させられるにつれて狭く
なり、その後、引出し電極37を通過する。イオン源の前
面に位置する線源に個々のビームを収束させるという要
件があるために、アストンが提案した装置に用いること
のできるイオン出口孔のアレイの全体的幅は非常に制限
される。幅がもっとかなり広い孔のアレイを用いたとす
ると、ビームの品質が急速に低下し始めるであろう。
高度に収束した二次元アレイの孔を用いることにより、
イオン放出エンベロープがイオン分散平面と平行に延
び、そして単一イオン出口孔において発生するよりもか
なり大きなイオン電流密度を有するイオンビームが引き
出される。アストン型イオン源においては、イオン分散
平面と平行な平面内でのイオン放出エンベロープの実際
上の延長の程度は、イオン源製作についての実際的考慮
及び半導体素子に対するイオン打込みにおいて要求され
るビーム品質により、非常に制限される。アストン型イ
オン源のアレイの孔を5列以上配列すると、個々のビー
ムを該イオン源の近くの線源に収束させることが次第に
困難になり、ビーム品質が許容不能に劣化することにな
るであろう。従って、アストン型イオン源からの全体的
イオンビーム電流を更に増大させるには、従来の装置に
おいて一般的であるようにイオン分散平面と垂直の方向
にイオン放出エンベロープを延長させることが必要とな
る。
アストンのイオン源は、収束した孔の機械的配列によっ
てメニスカスの総体的な形状、すなわち、イオン放出エ
ンベロープの全体について単一のメニスカスとみなされ
るメニスカスの形状が維持されるので、プラズマメニス
カスの安定性を損なうことなしにイオン引出しスリット
の幅を増大させることができるという効果を奏する。
(発明が解決しようとする問題点) 第29図は従来の代表的なフリーマン型イオン源、引出し
電極及び接地電極のバイアス印加装置を示すものであ
る。フリーマン型イオン源自体は例えば+40kVの予備加
速電圧にバイアス印加される。引出し電極37は、42kVの
総計引出し電位に対して−2kVにバイアス印加される。
接地電極38は引出し電極及びイオン源に対して零電位に
ある。引出し電極37と接地電極38との間の−2kVは、さ
もないと接地電極38と引出し電極37との間の領域からイ
オン源30自体内へ加速され易い電子をはね返す。かかる
電子は、分析磁石40のギャップ内で空間電荷中性化済み
ビームを提供することによってビームのそれ以上の広が
りを防止することが必要である。この従来のバイアス印
加装置は関連発明の改良されたイオンオプティクス形状
に利用することができる。
第29図に示す従来の代表的なバイアス印加装置におい
て、フリーマン型イオン源30に40kVの電位を与える電源
は安定した電源(また強い電源と屡々呼ばれる)であ
る。このことは、電源が高い電流能力を備えておってあ
らゆる電流値において電圧を40kVに保持しようとするこ
とを意味する。全てのイオン打込み装置にある本来的特
性の一つは、装置の作動中にイオン源と引出し電極との
間にスパーク放電が生ずる傾向があるということであ
る。各装置はまた始動に際して調整期間を通過して電源
電圧を一杯の値まで徐々に上げ、これにより、低に電圧
においては穏やかなスパーク放電が生じ、また装置の実
働中に余り激しいスパーク放電の生じないようにする。
それにもかかわらず、実際の装置作動中には、スパーク
放電状態が時折り生ずる。
イオン源に+40kVを与える安定した電源を用いてある
と、イオン源30と引出し電極37との間のスパーク放電
は、スパーク放電状態中に高い電流が電源によって保持
されているために、極めて激しいまたは強いスパークを
含む傾向がある。このスパークは、上記安定した電源の
電流能力がなくなり、これにより上記40kVの電圧がスパ
ークの消滅するまでに低下してはじめて消滅する。しか
し、上記40kV電位が低下するにつれて、合計引出し電位
も低下し、イオンの合計予備分析加速電位が低下する。
そのために、分析磁石に入ってゆくイオン速度が著しく
変化し、これにより、スパークが消滅している期間中
に、そして上記電圧が再び40kVまで上昇する前に、ター
ゲット領域を衝撃させたい予め選定されたイオンが分解
スリットを通って上記ターゲットへ導かれなくなる。そ
の代わりに、選定されていないイオンがターゲットに導
かれる可能性があり、そしてこのイオンは汚染性イオン
である可能性があり、この期間中にビームによって走査
されるウェーハの部分上の良品集積回路チップの歩留り
を著しく低下させる可能性がある。
また、従来の装置において分析磁石40に入ってくるビー
ム内のイオンの速度は40kV加速から生ずるものであり、
この速度のビームを取扱うために分析磁石40の大きさ及
び力を調節しなければならない。一般に、ビームの速度
が高いほど、全体的面積の観点または磁石ギャップにお
ける磁束密度の観点から、分析磁石を大きくしなければ
ならない。磁束密度は飽和効果が生ずる前の或る点まで
しか増大させることができず、従って、より大きな磁石
面積が通例必要となる。
発明の目的 従って、本発明の目的は、上述したようにイオン源と引
出し電極との間にスパーク放電が生じたときに、引き出
されたイオンの速度にほとんど影響を与えずにスパーク
放電のエネルギーを制限し、そのスパーク放電を迅速に
止めることにある。
更に、本発明の目的は、改良された電極バイアス印加装
置を有するイオン打込み装置を提供すること及び該電極
バイアス装置を通して改善されたイオン源装置の作動方
法を提供することにある。
(問題点を解決するための手段) 上記目的を達成するため、本発明は、ターゲット素子に
イオンを打込む装置において、発生したイオンが自由に
通過することができるイオン出口孔を有し安定化された
事前分析加速電圧に電気的にバイアスされたイオン源、
前記イオン出口孔の近くに配置され前記イオン源からイ
オンを引出し加速するのに十分な引出し電圧にバイアス
された引出し電極、前記引出し電極の下流に配置された
減速電極であって、減速電極と引出し電極との間を通過
するイオンの速度を実質的に落とすのに十分な電圧にバ
イアスされた減速電極、および、前記引出し電極に前記
引出し電圧を供給する電源であって、前記イオン源と引
出し電極との間にスパーク放電が生じたときに引出し電
極の電圧の大きさを急速に低下させる特性を有する安定
化されない電圧を加える電源から成ることを特徴とする
イオン打込み装置を提供する。
イオン放射領域を有するイオン源、前記イオン放射領域
の近くに配置された引出し電極、および前記引出し電極
にほぼ隣接して配置された第2電極を有するイオン源装
置を作動させる、次の諸ステップより成る方法であっ
て、(イ)前記イオン源に事前分析加速電圧を加えるこ
と、(ロ)前記イオン源からイオンを引き出し加速する
ため前記事前分析加速電圧に対して或る値を有するバイ
アス電圧を前記引出し電極に加えること、および(ハ)
前記引出し電極と前記第2電極の間を移動するイオンの
速度を十分に落とすため前記引出し電極に加えられたバ
イアス電圧に対して或る値を有するバイアス電圧を前記
第2電極に加えること、前記イオン源に前記事前分析加
速電圧を加える前記ステップは、前記イオン源に安定化
された電圧を加えるステップより成り、前記引出し電極
にバイアス電圧を加える前記ステップは、前記引出し電
極に前記イオン源と引出し電極との間にスパーク放電が
起きたとき前記引出し電極のバイアス電圧の大きさを急
速に低下させる特性を有する安定化されない電圧を加え
るステップより成ることを特徴とするイオン源装置を作
動させる方法を提供する。
本発明の主要部の構成及び作用 本発明の主要部は、イオン打込み装置の電極バイアス印
加装置及びイオン源装置作動方法のバイアス印加方法に
あり、以下これらのの構成について概略説明する。
電極バイアス印加装置 本発明においては、イオン源装置は、事前分析加速電圧
に電気的にバイアス印加されたイオン源手段を具備す
る。引出し電極がイオン放出領域の付近に配置されてお
り、出口孔と該引出し電極との間の領域においてイオン
源からイオンを引き出して加速するために上記事前分析
加速電圧に対して或る電圧値にバイアス印加されてい
る。減速電極が上記引出し電極の下流側に配置されてお
り、上記電極相互間の領域を通過するイオンの速度をか
なり低下させるために引出し電圧値に対して或る電圧値
にバイアス印加されている。先ず高電界領域においてイ
オンが加速して高い引出し電流を得、その後、上記イオ
ンを分析手段に入る前に減速することにより、イオンの
速度が低下するのでより小形の分析手段を用いることが
できる。
さらに、安定した電源を用いて事前分析加速電圧をイオ
ン源に与え、そして非安定の電源を用いて引出し電極に
電圧を与える。このようにすると、スパーク放電(これ
は全てのイオン打込み装置の本来的特性である)が上記
イオン源と引出し電極との間に生ずるときに上記引出し
電極の電圧は大きさが急速に低下する。これにより、引
き出されて分析手段に入ってゆくイオンの速度に実質的
な影響を与えることなしに、上記スパークのエネルギー
が制限され、そしてスパークが迅速に消滅させられる。
イオン源装置の作動方法 本発明はまた、イオン放出領域を有するイオン源と、上
記イオン放出領域の付近に配置された引出し電極と、上
記引出し電極に実質的に隣接して配置された第2の電極
とを具備するイオン源装置を作動させるための方法を特
徴とする。この方法は、事前分析加速電圧を上記イオン
源に印加する段階と、上記イオン源からイオンを引き出
し且つ加速するために上記事前分析加速電圧に対して或
る値を有するバイアス電位を上記引出し電極に印加する
段階と、上記第2の電極と分析磁石の入口と間のイオン
走行速度を実質的に低下させるために上記引出し電極上
のバイアス電位値に対して或る値を有するバイアス電位
を上記第2の電極に印加する段階とを有す。
さらに、上記事前分析加速電圧をイオン源に印加する段
階は、安定した電位を該イオン源に印加することを含
み、上記バイアス電位を引出し電極に印加する段階は、
上記イオン源と引出し電極との間にスパーク放電が生ず
るときに上記電位の大きさが急速に低下するように非安
定の電位を該電極に印加することを含む。これにより、
上述したように、スパークのエネルギーが制限され、ス
パークが急速に消滅させられる。
以下、このイオン打込み装置及びイオン源装置作動方法
の実施例について、第30及び第31図を参照して詳細に説
明する。
(実施例) 第30図は本発明の一つの特徴に従う改良されたイオン源
装置の電極バイアス印加装置すなわちイオン源バイアス
印加装置を示すものである。このバイアス印加装置の全
体的性質は、質的には、従来の装置に見られる性質と同
じである。しかし、本発明においては、イオン源130
を、従来用いられている40ないし80kVよりも実質的に低
い事前分析加速電圧(+20kV)にバイアス印加する。そ
して、高い引出し電位を得るために、引出し電極137
を、接地電極138よりも実質的により負の電位、例えば
第30図に示すように−30kVにバイアス印加する。従っ
て、合計のイオン引出し電位は50kVであることが解か
る。しかし、引出し電極137と接地電極138との間の領域
においては、イオンは実質的に減速され、そして全体的
の2kV加速電界によって作られる速度で磁石ギャップに
入る。このように、本発明のバイアス印加装置は、高い
引出し電位という確実な利点と磁極相互間の飛行管に入
ってゆく低い速度とを組み合わせ、これにより、磁石に
必要な大きさ及び力を低減し、装置全体の小形化に寄与
するものである。また、接地電極(このバイアス印加装
置においてはまた減速電極として知られている)間のバ
イアスの実質的差異により、引出し電極137と接地(減
速)電極との間の領域に円筒状静電レンズ190が形成さ
れる。この円筒状の収束レンズは、発散するイオンビー
ムを、分析磁石140の飛行管に入る前に、より平行な経
路内に合焦させる傾向がある。
本発明のこの特徴は、バイアス電位極性を逆転すること
により負イオンについて用いることもできる。「実質
的」なる語は、ここでは、引出し電極と接地(減速)電
極との間のイオン減速が、電子はね返しの目的で、そし
て正イオンの有意な減速の目的ではなしに、従来の装置
において用いられていた−2kVまたは−3kVの電位差によ
って得られていたものよりも有意に大きいということを
表すために用いてある。
第31図は、本発明のこの同じイオン加速減速バイアス印
加原理が、イオンオプティクスの分解力を劣化させるで
あろうビーム収差の導入を防止するように静電レンズ19
0′の力を充分に低く保持するならば、第5図に示す従
来のイオンオプティクスに適用可能であるということを
示すものである。これは、電位差を小さくし且つレンズ
を大きくすることによって可能となる。
第30図に示す本発明のバイアス印加装置及びそのバイア
ス印加方法によって得られる磁石設計の小形化可能とい
う利点のほかに、安定なまたは強い電源からイオン源13
0に+20kVの事前分析加速電圧を与え、且つ非安定なま
たは弱い電源から−30kVの引出し電位を与えることによ
り、更に他の利点を得ることができる。このような組合
わせにより、電気スパークが遥かに弱くなり、装置の作
動中に迅速に消滅させられる。これは、引出し電極に対
する電源が高電流を保持しないのでスパーク発生状態の
下では急速に低下する引出し電極137上の電位の結果と
して生ずる。引出し電圧がスパーク発生中に著しく低下
すると、スパークは急速に消滅し、そして、従来のバイ
アス印加及び電源装置において到達したのと同じ電流値
には到達しない。
更にまた、そしてもっと重要なこととして、本発明のバ
イアス及び電源装置の下でのスパーク発生状態は、引出
し電極上の電圧とは無関係に+20kVの事前分析加速電圧
が接地または減速電極に対して保持されるので、分析磁
極相互間の飛行管に入ってゆくイオンの速度を甚だしく
変えることがない。従って、ビーム電流はスパーク発生
状態の下で低下し、そして、弱いが急速に消滅するスパ
ーク放電中にウェーハの小さな区域内のイオンのドーズ
量に影響を及ぼすが、スパーク発生状態中の全体的イオ
ン速度の変化のために汚染性イオンが分解スリット内に
収束させられそしてそこからターゲットに入ってゆくと
いうことがない。イオン汚染が例えばナトリウムイオン
の打込みを含んでいるという臨界的な場合には、かかる
イオンの高い移動傾向は極めて大きな害となる可能性が
ある。
このように、本発明の新規なイオン源バイアス印加の特
徴は関連発明のイオンオプティクス装置のより高い電流
能力の寄与を補足し、実際上極めて小形の高電流イオン
打込み装置を実現するのに寄与するものであり、この装
置は、分析磁石装置及びイオン源装置の大きさが極めて
小さいので、そのままのビームラインの状態で輸送する
ことができる。本発明の原理を用いると、ビームライン
を組み込んだ装置の幅を工場の1.83m(6フィート)の
二枚開き戸以下にすることができるので、ビームライン
及びウェーハ処理装置の全体をそのままの状態で輸送で
きるようにイオン打込み装置を作ることができる。従っ
て、ビームライン構成部材の望ましからざる分野及び再
組立てが必要でなくなる。従って、上述したように、小
形のビームライン及び全体的に小形のイオン打込み装置
についての他の多くの利点を、本発明の原理を用いて実
現することができる。
なお、本件出願人は、本発明に関連して発明された複数
の発明について本願と同時に他の出願を行っており、本
発明はこれらの他の関連発明とあいまって優れた効果を
奏する。よって参考として、これらの関連発明の主要な
構成及び効果について以下説明する。
(関連発明の主要な構成) (a)イオン源・分析装置 関連発明の一つの態様においては、イオンをターゲット
素子に打込むための装置が提供される。この装置は、イ
オンビームを発生するイオン源装置、及び上記ビーム内
の種々のイオン(イオン種)を質量に基づいて選択的に
分離して分析済みビームを作るためのビーム分析手段
(一般には分析磁石)を有す。ビーム分解装置が、予め
選定されたイオン種をターゲット素子へ通過させるため
に上記分析済みビームの経路内に配置されている。分析
手段は、これと関連するイオン分散平面を有す。イオン
源手段は、上記イオン分散平面と平行な平面内のかなり
の延長面積を占める付属のイオン放出エンベロープを有
しており、該イオン源と上記分析手段との間の領域の全
体にわたる上記イオン分散平面と平行な平面内にかなり
の延長面積を保持するエンベロープを有するイオンビー
ムを発生する。上記分析手段に入るイオンは、実質的
に、上記イオン分散平面と垂直な平面内に在る仮想線源
へ向かってまたはそこから出ていくように走行する。
関連発明の一実施例においては、イオン放出エンベロー
プは、プラズマイオン源のアーク室内の連続した長く伸
びた矩形スリットのような実質的に連続したイオン放出
領域によって形成される。関連発明の他の実施例におい
ては、イオン放出エンベロープは複数の別々のイオン放
出領域によって形成される。かかるイオン源の一例は、
複数の矩形イオン出口孔を有するものであり、各矩形状
イオン出口孔の長辺の各々はイオン分散平面と平行にな
っている。
前述したように、安定なイオンビームを保持し、及び充
分な分解パワーを持つためには、イオン源のイオン出口
孔の幅を1ないし3ミリメートルの範囲内の寸法に制限
することが必要であるというように、イオン打込みのた
めのイオン源の分野にたずさわっている人々に従来から
広く考えられていた。関連発明によれば、イオン出口孔
を3ミリメートルよりもかなり広く、例えば5または6
ミリメートルにし、しかもなお安定な充分なビームを保
持することが可能であるということが解明された。この
解明は、従来よりもかなり大量の未処理ビーム電流をイ
オン源から引き出すことを容易ならしめるものである。
例えば、関連発明にかかる試作品装置において、幅が5
ミリメートル、長さが100ミリメートルのイオン出口孔
を有するイオン源から、硼素の24ミリアンペアの未処理
ビーム電流及び砒素の67ミリアンペアの未処理ビーム電
流が引き出された。
関連発明によれば、幅広スリットでは安定ビームを維持
できないとした従来の知識は従来の形状に対してだけの
真実に過ぎなかったということが明らかにされる。関連
発明の幅広スリットの実際の構造は、従来技術により幅
広スリットを形成することにより簡単に達成できる。関
連発明の技術に従って構成されたイオン打込み装置によ
れば、幅広イオン出口孔を用いることができ、従って実
質的に大量のビーム電流をそのイオン源によって得るこ
とができる。
関連発明においては、イオン源装置は、イオン源及び該
イオン源からイオンを引き出して加速するための電極装
置、並びに、上記電極装置を通過するイオンビームか
ら、仮想線源へ向かってまたはそこから出ていく経路か
ら実質的にそれている経路上にあるイオンを実質的に除
去するために上記電極装置と分析装置との間に配置され
た視準装置を有す。プラズマ源アーク室内に1つまたは
それ以上の長く伸びた矩形状のイオン出口孔を有してい
るイオン源装置の場合には、イオンビームから、該ビー
ム内の個々のイオンの熱エネルギー速度成分のために上
記仮想線源へ向かってまたはそこから出ていく経路から
実質的にかたよった経路を持つイオンを除去するため
に、上記視準装置が用いられる。
他の実施例においては、イオン源は、複数の対応のイオ
ンビームを発生するために所定の形状に配置された複数
の小さなイオン出口孔を有しており、上記イオンビーム
の外部線はイオン放出エンベロープを構成する。この場
合には、視準装置は第1及び第2の視準格子を有し、各
格子は、他方の格子の対応の孔と、及びイオン出口孔と
整合する孔を有し、上記イオンビームの各々から、仮想
線源へ向かってまたはそこから出ていく経路から実質的
にそれている経路を持つイオンを実質的に除去するよう
になっている。上記イオン出口孔は、上記イオン放出エ
ンベロープがイオン分散平面と平行な平面内にかなりの
延長面積を有している限り、単一列にも、規則的な二次
元アレイにも、または他の任意の配列にも配置される。
(b)イオン源 関連発明の装置はまたイオン源手段を特徴とするもので
あり、このイオン源手段は、各々が実質的に矩形状を有
している複数のイオン出口孔を有するイオン源を有して
おり、上記矩形の長辺はイオン分散平面と実質的に平行
になっている。複数のイオン出口孔の使用は、イオンビ
ーム出口孔の長辺を、従来の構成における垂直関係か
ら、イオン分散平面と平行な関係に方向変更することに
よって可能となる。これにより、上記以外の点ではイオ
ンオプティクスおよびこれに付属の諸部材の形状及び大
きさに実質的な影響を与えることなしにより高いイオン
ビーム電流を得ることができる。
関連発明の一つの態様においては、イオン打込み装置は
イオン源室を具備するイオン源手段を用いており、上記
イオン源室は、その一つの壁に長く伸びたイオン出口孔
を有し、且つ該イオン源室内に縦に配置された長く伸び
たフィラメント陰極を有している。上記フィラメント陰
極両端間に電流発生用電位差を与えて該陰極を加熱する
ためのバイアス印加装置が用いられ、且つ同時に、上記
室とフィラメント陰極との間にアーク発生用バイアスを
かけて上記室に導入された蒸気またはガスからイオンを
発生させるための手段が用いられる。イオン源の両端間
に通例見られる不均一なイオン発生特性を打ち消す均一
な場の強さを有しておって上記フィラメント陰極と平行
である磁界を適用するための磁気手段が用いられる。
好ましくは、上記イオン源手段はまた、複数の別々の陽
極部材が内部に取付けられているイオン源室を具備し、
上記陽極と上記室とは電気的に絶縁されている。上記別
々の陽極構造体に別々のバイアス電圧を印加して各陽極
構造体付近に発生するイオン電流を独立に制御するため
のバイアス電圧装置が用いられる。これにより、更に、
イオンビームの幅を横切るイオン電流の分析及び制御を
行なってビーム均一性を改善することができる。
(c)ビーム分解装置 関連発明にかかるイオン打込み装置は好ましくは、複数
のビーム分解部材を具備するビーム分解装置を有し、上
記ビーム分解部材の各々は、分解スリット、及び上記ビ
ーム分解部材の一つを分析済みビームの経路内に選択的
に位置決めするための装置を有す。
複数のビーム分解部材を備えることにより、該部材の各
々を特定のイオン種の用に供し、他のイオン種からの汚
染を排除することができる。即ち、上記他のイオン種
は、分解部材の縁に沈着し、その後、他のイオンを用い
るイオン打込み処理中にたたき出される可能性があるの
である。また、複数の分解部材を用いて、装置によって
得られる最終的ビーム純度を選択的に変化させることが
できる。例えば、アンチモンを打ち込む場合に、ビーム
純度を低下させて質量121及び質量123の両方のアンチモ
ンイオンビームを電解スリットを通過させ、これによ
り、全体的のアンチモンイオンビーム電流を効果的に増
加させるのに有利である。
(d)イオンビーム発生及び分析方法 関連発明のこの方法は、イオンビーム内の種々のイオン
(イオン種)を質量に基づいて分離するための付属のイ
オン分散平面を有するイオンビーム分析磁界を発生させ
る段階を有す。イオンビームを発生させ、そして上記イ
オンビーム分析磁界内に導く。上記イオンビームは付随
の全体的イオンビームエンベロープを有しており、該エ
ンベロープは、上記分析磁界内へのビームの走行領域の
全体にわたって上記イオン分散平面と平行な平面内にか
なり延長した横断面積を有す。最終段階は、予め選定さ
れたイオン種を具備するイオンを分析済みビームから分
離することである。
(関連発明の主要な効果) (a)装置の小形化及びイオン電流の増大 関連発明の上記の種々の特徴は、イオン打込み装置にお
けるイオン電流を著しく増大させ、しかも装置の全体的
大きさを減少させることに寄与する。イオン放出エンベ
ロープの延長領域(例えば、実施例における長く伸びた
イオン出口孔)を、従来の装置における垂直の方向付け
に対して、分析磁石のイオン分散平面と平行に向けると
いう新規な方向付けにより、従来の10ないし12mA級の装
置よりも小形の装置において発生され且つ使用される硼
素のイオンビーム電流を少なくとも4または5倍(即ち
50mA)に増大させることができる。例えば、関連発明の
イオンオプティクスを使用し且つ上述した幅広のイオン
出口孔を有する研究用試作品装置のビームラインにおい
て、硼素の24ミリアンペア及び砒素の67ミリアンペアの
未処理ビーム電流が観測された。これはイオン打込み性
能の大きな進歩を示すものであり、また関連発明の他の
改良特徴の極めて効果的な利用につながる。この改良特
徴の若干はまた独立に従来の装置を改良することができ
る。
また、この新規なイオン源方向付けをすれば、使用する
イオン出口孔が湾曲しているかまたは直線状であるかと
は無関係に、イオン源を分析磁石に極めて近づけて配置
することができる。これにより、分析磁石に入ってくる
イオンビームの高さが減り、またイオン源と分析磁石と
の間の領域において生じるイオン中性化が減る。これに
より、BF3ガスからの硼素のようなガスで与えられるイ
オン種で得られるビーム電流を高くすることができる。
関連発明の他の特徴を用いることにより、分析磁石の大
きさがかなり小さくなって、引出し済みイオンが引出し
電極と減速電極との間で減速され、従って該イオンはよ
り低い速度を持って上記磁石に入る。イオンビームの同
じ湾曲角度をより小さい分析磁石面積で得ることがで
き、これも装置の大きさ、複雑性及び費用を低減するの
に大きく寄与する。
関連発明によれば、イオン源磁石の形状によってイオン
分散平面におけるプラズマメニスカスの形状の機械的制
御が行われ、従って、分析済みビームを分解スリット内
に収束させるための磁石上の回転式入口磁極または静電
式収束装置の必要がなくなる。
ここで、「プラズマメニスカス」とは、イオン源におい
て発生されそこに含まれるプラズマの、イオン源の出口
孔における境界のことである。メニスカスの形状は、多
くの要因により影響される。その要因には、イオン源の
出口孔を透過する電界、イオン源内の磁界及び電界並び
にイオン源のガス圧等がある。メニスカスの形状は、イ
オン源を出る際の各イオンの軌跡すなわち経路を決定す
る。これらの軌跡は、そのメニスカス外の、すなわち焦
点合わせされた静電界及び磁界により変えられる。従っ
て、メニスカス形状の制御はイオンビームの制御の一つ
の特徴である。
関連発明においては、イオン源および磁石はそのプラズ
マメニスカスが収束に影響を与えないような形状に設計
されている。プラズマメニスカスの機械的制御とは、イ
オン源及び磁石の幾何学的形状がイオン源及び磁石の機
械的な構造および配置の関数である、ということを意味
している。
関連発明のイオン源の分散平面の形状により、イオン出
口孔を積み重ねることができるようになり、これによ
り、同じイオン源対磁石形状内で及び分析磁石内の実質
的に同じ磁極ギャップをもって、より高いビーム電流を
得ることができる。
従来可能と考えられていたよりも広いイオン出口孔の有
用性が解明されたが、かかる広いスリットからのイオン
ビームはより大きく発散し易い。関連発明のイオンオプ
ティクス装置とともに用いると、この大きなビーム発散
のために磁極ギャップを大きくすることが必要となる傾
向がある。しかし、充分に鋭い角度の入口磁極面(例え
ば約45度)によって与えられる強い入口収束作用を有す
る均質な磁石を使用すれば、このビームのより大きな発
散を取扱うのに必要となる磁極ギャップの増加を最少限
にすることができる。
(b)イオン源動作の改善 関連発明の引出し及び減速電極装置を用いるイオンの加
速及び減速の組合せにより、上記減速電極から進んでゆ
くリボン状ビームの発散を更に減少させる円筒状の収束
レンズから作られるという有利な効果が得られる。
故意に非安定化した電源(即ち、出力電圧の低下前に電
流発生能力が制限される電源)を用いて引出し電極に電
圧を与えることにより、分析磁石に入ってゆくイオン種
の全体的速度を実質的に変えることなしに、スパークを
極めて迅速に消滅させることができる。従来の装置にお
いては、イオン源と引出し電極との間に規則的に生ずる
かなりのスパーク発生は、イオン源に事前分析加速電圧
を与える電源の電流発生能力がなくなってイオンの有効
加速電位が低下するときにのみ消滅させられる。スパー
クを短時間消滅させると、イオン加速電圧が正常状態よ
りもかなり低くなる。このようになると、汚染性のイオ
ン種が分解スリットを通って合焦させられて後段加速構
造体に入り、そしてターゲット素子自体に入り込むこと
になる。半導体処理作業においては、かかる汚染性のイ
オン種はウェーハ上の良品装置の歩留りを低下させる可
能性がある。即ち、イオンビームがウェーハを走査する
間に汚染性のイオンがウェーハに打ち込まれてウェーハ
の領域内に不良品装置が生ずる。
なお、本発明の装置は、イオンビームに対して選択的に
位置決め可能な複数分解スリットという利点を提供する
ものであり、これにより、半導体処理環境内の他の汚染
源を排除することができる。
(関連発明の実施例) 本発明の他の目的、特徴及び利点は、図面を参照して行
なう本発明に対する関連発明の実施例についての以下の
詳細な説明から明らかになる。
関連発明のイオンオプティクス及び基本原理 関連発明のイオンオプティクスと従来のイオンオプティ
クスとの間の基本的な差異は、従来のイオンオプティク
スの一例を示す第7図及び第8図と、関連発明の一実施
例におけるイオンオプティクスを示す第17図及び第18図
とを比較すれば解る。第7図及び第8図(並びに第22図
及び第23図)に示すように、従来のイオンオプティクス
における線源(虚のまたは実の)の位置はプラズマメニ
スカスの形状によって決定され、何等かの幾何学的因子
によるのではない。
すなわち、従来の技術では、実際にアパーチャの形状を
規定して線源の決定を行うのはメニスカスの表面であ
る。
第11図ないし第13図の従来の構成においては、線源は複
数のイオン出口孔の共通の焦点によって機械的に制御さ
れるが、良好な全体的ビーム品質を保持するためにはイ
オン源の前面に近くになければならない。これに対し
て、関連発明のイオンオプティクス原理を用いる装置に
おける仮想線源は、イオン分散平面内の単一のまたは複
数のイオン出口孔の幾何学的構造のみによって決定さ
れ、イオン源の前面に遠く離れていることも(第17図、
第18図)またはイオン源の後ろにある(第19図、第20
図)こともできる。直線状のイオン出口孔を用いると、
仮想線源は無限大距離にある。もっと重要なこととし
て、イオン分散平面と平行な平面内のイオン源のイオン
放出エンベロープの延長の程度は、第7図及び第8図に
示す従来の標準的手段及び第11図ないし第13図のアスト
ンのイオン源におけるように制限されることがない。
イオン打込み装置の像形成装置は光学系の配列と考えら
れている。従って、光学系の分野において当てはまる一
般的認識による原理はプラズマ光学系を理解する目的に
も適用できる。レンズの配列による光学系では、収束は
レンズとその対象物との間の関係を変えることにより達
成される。従来の技術では、イオンビームが収束されな
ければならず、そしてこの収束は、イオン出口孔の焦点
に、すなわちイオン源の前面付近に、線源を有すること
により達成される。
関連発明に関して、本願明細書には、イオン出口孔の形
状は、プラズマメニスカスの形状とは無関係であり、線
源の位置を決定する(第17図ないし第20図参照)。さら
に、基本的な光学理論によれば、孔、例えばピンホール
の寸法及び形状が、その孔の一方の側を通過して入射し
てくるビームの孔外の焦点を決定する。これは従来の技
術のイオン打込み装置においてビームを収束させるため
の基本である。これに対して、関連発明は、ビーム分析
手段のイオン分散平面に平行なイオン源を与えており、
このビーム分析手段では、イオン分散平面の領域全体に
わたってビームエンベロープが延びている。出願人は、
この装置により大きな電流がイオンレンズ装置を通して
ターゲットの方へ転送され、イオン源から分析手段を通
して転送されるイオンの転送効率が従来の技術に比べて
大きく改善される、ことを発見した。従って、関連発明
では、線源の位置を決定するのに重要なのは出口孔であ
る。
従来技術の方法によれば、イオン源と分析手段の間のイ
オンビームの発散は、電流の大きな損失を招く。という
のは、イオン放出エンベロープが分散平面に対して垂直
な方向に延びており、従ってエンベロープの発散が分散
平面の境界に垂直な地点において分散平面を超えるから
である。これに対して、関連発明はイオン分散平面に平
行に延びるイオン放出エンベロープを与えている。従っ
て、エンベロープの如何なる発散も分散平面内に含ま
れ、電流損失の低減を達成でき、それにより大量の電流
転送を達成できる。
装置全体の大きさを小さくしても、従来の装置において
可能であるよりもかなり大きなイオンビーム電流発生能
力が得られるのはこの基本的差異によるのである。積重
ね形の複数イオン出口孔は、従来の装置(第11図ないし
第13図の制限的構成を除いて)においては用いることが
できない。即ち、複数イオン出口孔では単一の仮想線源
がなく、そして複数の実の線像が分解スリットに現れる
からである。換言すれば、分解スリットにおいて各質量
のイオン種の共通合焦像を有する単一の分析済みイオン
ビームは、複数イオン出口孔を有する従来の装置におい
ては得ることができなかった。
関連発明の装置においては、仮想線源の位置が、複数イ
オン出口孔の各々に対して同じにすることのできる幾何
的因子によって決まるので、複数イオン出口孔を用いる
ことができる。即ち、複数イオン出口孔は、分解スリッ
トにおいて選定された質量のイオン種に対して単一の合
焦点像になる。
また、第46図ないし第50図について後で詳述するよう
に、イオン視準装置を用い、イオン源のイオン放出エン
ベロープ内で発生して分析手段に入り込まされるイオン
を、実質的に、イオン分散平面と垂直な平面内に在る仮
想線源に向かってまたはそこから走行させるということ
を行なうならば、関連発明のイオンオプティクスは複数
の小さな孔源を単一線にまたは二次元領域に延長して用
いることができる。以上から解るように、関連発明にお
けるイオンオプティクス原理の使用は従来の技術とは著
しく異なっており、イオン打込み装置の性能を格段に改
善するものである。
ビームライン構成部材の一般的配置 第14図は関連発明にかかるイオンビームライン構成部材
の一般的配置を示すものである。イオン源装置130がイ
オンビーム131を発生し、該ビーム131はビーム分析装置
140に入る。イオン源装置130は、ビーム分析装置140の
イオン分散平面と平行な平面内のかなり延長面積を含む
付属のイオン放出エンベロープを有す。更に、イオン源
装置130は、上記イオン分散平面と垂直な平面内に在る
仮想線源について実質的にこれに向かってまたはこれか
ら走行しておってビーム分析装置140に入るイオンを発
生する。このイオン分散平面は、第14図に略示するよう
に電磁石型ビーム分析装置を使用する場合に、ビーム分
析装置140の磁極面相互間に横たわる中央平面である。
組合せ形の電界磁界装置のような他の分析装置を用いる
こともできるが、ここでは磁界装置が好ましい。イオン
源は、フリーマン(Freeman)型プラズマ源、またはエ
ーラーズ(Ehlers)ほか著の「多重光点イオン源の効率
向上」(Incresasing the Efficiency of a Multicusp
Ion Source)(「レビュー・サイエンティフィック・イ
ンスルーメンツ」、59(3)1982年9月、pp1429〜143
3)に記載されているような多磁極プラズマ源であって
もよい。他の周知のイオン源、例えばソリッドイオン放
出面を有するイオン源及び電界放出源も或る場合には用
いることができるが、半導体処理用には現在はプラズマ
源が好ましい。
第17図及び第18図に示すように収束形イオンビームの場
合には、仮想線源はイオン源装置の前面にある。第19図
及び第20図に示す発散ビーム装置においては、仮想線源
はイオン源装置130の後ろにある。イオン源のイオン出
口孔が凸状でも凹状でもなく、第15図及び第16図におけ
るように直線状である場合には、仮想線源は無限大距離
にある線であると数学的にみなされる。
第15図及び第16図は関連発明の主な特徴のうちの一つの
核心にある改良されたイオンビームオプティクスを略示
するものである。(このビームラインの構成部材は、第
5図の従来のものと比較の便宜状、水平な平面内に配置
して示してあるが、好ましい配置方向は第35図及び第36
図に示す如くであり、イオンビームを分析磁極ギャップ
内へ垂直に導くようになっている。)第15図に示すイオ
ン打込み装置100は、ウェーハ処理装置170のヒートシン
ク172上に取付けられた半導体ウェーハ171のようなター
ゲット素子にイオンを打ち込むために用いられる。イオ
ン打込み装置100は、イオンビーム131を発生するイオン
源装置130を有す。電磁石装置140のようなビーム分析装
置がイオンビーム131を受入れ、そして該イオンビーム
内の種々のイオン種を質量(即ち電荷対質量比)に基づ
いて分離し、分析装置140から出てゆく分析済みビーム1
31′を作る。
ビーム分析装置140は、磁極面141と142との間のギャッ
プを通過する中央平面であるイオン分散平面を有す。ビ
ーム分解装置150が分析済みビーム131′の経路内に配置
されており、予め選定されたイオン種のみをターゲット
素子である半導体ウェーハ171へ通過させる。第5図の
従来のイオンオプティクス形状におけるイオン源装置30
の配置方向と比較すると、第15図に示す関連発明の実施
例におけるイオン源装置は、ビーム分析装置140に対し
て、イオンビーム横断面の長辺131Aがビーム分析装置14
0のイオン分散平面とほぼ平行になるように方向付けさ
れている。第15図に示す実施例においては、イオン源装
置130は、イオン出口孔132を有するイオン源手段を有
す。イオン出口孔132のほかに、種々の電極構造体(こ
こでは示してないが後で説明する)がイオン源装置の一
部として用いられる。
第15図に示し、また第16図の略立図面に示すように、イ
オンビーム131は、イオン出口孔132から分析磁石装置14
0のギャップ143へ向かって走行するにつれて発散する。
後でもっと詳細に説明するように、種々の磁気収束装置
を選択して、上部磁極と下部磁極との間に配置されたイ
オン飛行管を衝撃するビーム内のイオンを排除するため
に収束的合焦作用が与えられる。
第15図及び第16図に示すように、矩形状イオンビーム13
1の長辺をビーム分析装置140のイオン分散平面と平行に
し、及びイオン源と磁石との間隔を縮小するという新規
な配置により、狭い磁極ギャップdを用いることがで
きる。
第15図は、直線状のイオン出口孔132を用いる場合の関
連発明の基本的なイオンビームオプティクスを示すもの
である。この場合には、イオン出口孔132から出てくる
イオンビーム131は真直ぐに走行してビーム分析装置140
に入る。第17図及び第18図は、弯曲しているイオン出口
孔により、ビーム分析装置140の磁極片の幅を対応的に
増大させる必要なしに、ビーム電流をかなり増大させる
ことができるということを示すものである。その収束す
るビームはまた、分解スリットを通過するビームの収束
角度を減少させる。弯曲したイオン出口孔132から出て
くるイオンビームは、イオン分散平面と垂直な平面内の
仮想線源に収束する。
第15図に示すように、イオン源130によって発生するイ
オンビーム131は、ビーム分析装置140により、第5図に
示す従来の装置に対するイオン分散平面においてビーム
分析装置によって行われる合焦と本質的に同じ仕方で合
焦させられる。分解スリット150における分析済みイオ
ンビーム131′の像は、イオン源の幾何学的構造で成る
イオン源オプティクス装置の分解力及びビーム分析装置
140の分解力によって定まる分散平面内の寸法を有す。
分解スリット装置150における分析済みビーム131′の像
の高さは、第16図に示すようにイオン出口孔132の投映
物体136の有限高、及び分散平面と垂直なビームの全体
的発散度によって定まる。この発散度は、分析磁石装置
により、またはビーム分析装置及び第21図に示す分離静
電レンズ180の組合わせによって分散平面と垂直なビー
ムに加えられる収束度によって定まる。
静電的合焦を用いてイオン分散平面と垂直な平面内のビ
ームの発散を変えることができるということは関連発明
の有利な特徴である。かかる静電的合焦は、さもなけれ
ば分析磁石の磁極面相互間に配置されているイオン飛行
管を衝撃する可能性のあるビームによるイオンの損失を
減らし、また分析磁石の磁極ギャップを減らすことを可
能ならしめ、これにより、分析磁石に対する全体的小形
化及びパワー減少の必要条件に寄与する。この静電的合
焦は、イオン分散平面内にないので、イオンオプティク
ス装置の分解力を妨げることがない。
イオンビーム31の発散を減らすために第5図の従来のイ
オン源装置において要求されるような分散平面における
静電的合焦は、極めて高品質のイオンオプティクスが提
供されないと装置の分解力に悪影響を与える。しかし、
かかる高品質のイオンオプティクスは得ることが困難で
ある。一般に、イオンオプティクスの分野においては、
レンズの屈折力が弱く、そしてレンズの中央部のみを使
用するならば、高品質の静電レンズが提供される。強い
静電レンズは一般に低品質であり、分散平面において適
用するとかかるレンズの収差が分解力に悪影響を与え
る。後で詳述するように、関連発明のイオンオプティク
スは、イオンビームの静電的合焦とイオンビームの組合
わせ式加速減速との有利な組合わせを可能ならしめ、イ
オン打込み装置におけるビームラインの全体的大きさの
減少に更に寄与する。
第22図及び第23図に示すように、細長いイオン出口孔を
有するフリーマン型イオン源のような従来のプラズマ源
は、イオンが引き出される孔におけるプラズマメニスカ
スの曲率に応じて、イオン出口孔32に近接する実または
虚の線源形状を有す。第22図に示すように、イオンプラ
ズマメニスカス31Aは凹状の形状を有し、第23図におけ
るプラズマメニスカス31Bは凸状の形状を有す。上記プ
ラズマメニスカスの形状は、イオン源と引出し電極構造
体との間のイオン引出し電位を含む複数の因子によって
定まる(後で説明する)。プラズマメニスカス31Aはイ
オン出口孔32に近接してその前面にある実の線源31A′
を作り、プラズマメニスカス31Bはイオン出口孔32に近
接してその後ろにある虚の線源31B′を作る。
第5図に示す従来の例においては、イオン分散平面にお
けるイオンビーム31の発散度はプラズマメニスカスの形
状によって決まる。しかし、発散を減らすための静電的
合焦は、前述したように静電レンズの収差が分解力に悪
影響を与える可能性があるので、一般に用いることがで
きない。これに対して、関連発明にかかるイオンビーム
オプティクスは、第14図及び第15図に示すように、プラ
ズマメニスカスの形状に基づくイオンビーム131の発散
の、分析磁石の磁極ギャップに入ってくるビームの幅に
対する影響を比較的小さくするようにイオン分散平面と
垂直な平面内の静電的合焦を行うことができる。
イオン源の形状及び電極構造体の変形例 細長いイオン出口孔におけるプラズマメニスカスの長辺
の形状を機械的に制御する能力は、従来の装置に対して
第8図に示し及び関連発明の装置に対して第17図に示す
ように、これら2つの装置に用いられる全体的イオンオ
プティクスに対して著しく異なる結果を有す。第5図の
従来の装置においては、第8図に略示するように、弯曲
したイオン出口孔が磁極ギャップの大きさの減少を可能
ならしめる。しかし、分散平面内で発散するであろうイ
オンビームを静電的合焦させたとしても、磁極の入口部
分の幅は、減少させることはできない。これに対して、
関連発明のイオンオプティクスは、長手方向のプラズマ
メニスカスの形状を機械的に制御する能力を利用して第
17図に示すように分析磁極の幅をイオン出口孔の幅より
も小さくする(即ち、イオンビームの幅が、イオン出口
孔から出るときよりも磁極ギャップに入るときの方が狭
くなる)と同時に第21図に示す如き静電的合焦を使用し
て装置の分解力に悪影響を与えることなしに非分散平面
内のビーム発散を制御することができるという利点があ
る。
このように、関連発明の手法を用い、非分散平面内のビ
ーム発散の静電的制御及び分散平面内のビーム収束の機
械的制御によってビーム電流を増加させることが可能と
なったのであり、これらはいずれも、より小形化したイ
オン源対ビーム分析装置の関係でより高いビーム電流を
効果的に得ることを可能ならしめる。
第24図及び第25図は、イオン源装置からイオンを引き出
すためにこれに用いられる弯曲したイオン出口孔及び電
極装置の形状を略示するものである。説明の都合上、イ
オン源130を、凹状弯曲出口孔132を有する普通のフリー
マン型イオン源であると見なすが、直線状出口孔または
凸状出口孔も用いることができる。第24図は、イオン出
口孔132の長辺がイオン分散平面内にあるイオン分散平
面を上から見た図である。第25図は同じ電極構造を略立
面図で示すものである。フリンジ制御電極136がイオン
出口孔132に隣接して設けられている。引出し電極137が
フリンジ電極136の下流側に設けられており、接地電極1
38が引出し電極137の下流側に設けられている。
説明の都合上、正イオンのビームを用いるものとする。
イオン出口孔132と接地電極138との間の領域において
は、正イオンはまだ、接地電極138とビーム分析装置140
の磁極面への入口との間の領域において発生する傾向の
ある電子によって空間電荷中性化されてない。従って、
イオンビーム131の中央部分を通過中のイオンは周囲の
正イオンに会うだけであり、従ってその正常の走行路か
らそれることはないが、ビーム131の縁領域にあるイオ
ンは周囲に正イオンがなく、進路をそらされ易い。この
理由で、フリンジ電極136は、イオン出口孔132と引出し
電極137との間の分散平面内でビームの広がりを制限す
る作用をなす正電位を与えられている。
正イオン源・電極装置においては、引出し電極137は、
一般に、従来の装置においては、電極構造体とビーム分
析装置との間の領域に発生する電子をはね返すために、
接地電極138よりも若干負の電圧にバイアス印加され
る。引出し電極上にこの負電圧がないと、上記電子がプ
ラズマ源内へ加速されることになる。その結果、正イオ
ン電流効果なしにプラズマ源電流が増加し、またX線が
発生し、プラズマ源領域における遮蔽作用を増すことが
必要となる。また、イオンビームを空間電荷中性化する
電子は殆ど存在しない。従来のバイアス印加装置におい
ては、接地電極138は、一般に、イオン源に加えられて
いる+40ないし+80kVの事前分析加速電圧、及び引出し
電極137に加えられている−2ないし−3kVの電圧に対し
て、接地電位にある。
第24図に示すように、接地電極138とビーム分析装置140
への入口との間に収差制御ベーン190を用いてイオンビ
ーム131から異常イオンを除去する。即ち、上記ビーム
の縁において確実に停止させないと未選択のイオン種を
装置の分解スリット150に入り込ませる可能性のある方
向に走行しつつあるイオンを除去する。ビームの縁は、
かかる異常イオン経路が極めて生じ易い場所である。異
常イオン経路上のイオンを除去するための他の装置につ
いては後で説明する。
イオン出口孔の長辺、即ち矩形状イオンビームの長辺を
分析装置のイオン分散平面と平行に向けることにより、
複数イオン出口孔を用いてイオンビーム電流を増加させ
ることができる。第5図に示す従来の装置においては、
分散平面と垂直な複数線源が分解スリットの平面に複数
線源を作るので、複数イオン出口孔を用いることができ
ない。従って、選定されたイオン種の分析済みビームを
かかる装置において分解することはできない。
しかし、イオン分散平面と平行な長く伸びたイオン出口
孔にすれば、複数のイオン出口孔を用いることができ
る。第26図に2つのイオン出口孔132A及び132Bを示す。
これら2つのイオン出口孔とともに、これから引き出さ
れて単一焦点に収束するリボン状イオンビーム131A及び
131Bを示す。説明の都合上、分散平面内のイオンビーム
の発散を無視するが、これはプラズマメニスカスの形状
によって存在する。
第26図に示すように、2イオン出口孔形の配置の対称性
により、使用すべき2つのリボン状ビームに共通な単一
の引出し電極137及び接地電極138の配置を用いることが
できる。しかし、第27図の3イオン出口孔形の配置にお
いては、第26図に示す電極構造を用いたとすると、イオ
ン出口孔132Aから出る中央ビームが引出し電極137の加
速電界から遮蔽され易い。従って、これら3つのビーム
の各々に対する別々の引出し電極領域137A、137B及び13
7Cを有する引出し電極構造137′が好ましく、これによ
り、3つのビーム全部に対するビーム加速が実質的に同
じになる。この同じ配置を第26図の2イオン出口孔形イ
オン源に用いることができる。共通の接地電極138を用
い、また選択自由の第2の引出し電極137″を用い、そ
して第2の引出し電極137″と接地電極138との間の領域
内でイオンビームを減速するように接地電極138に対し
てバイアス印加する。このバイアス印加によって収束レ
ンズが形成され、ビーム分析装置140のギャップ143に入
る前にイオンビームを収束する。
第28図に示す他の構成においては、別々の接地電極孔13
8A、138B及び138Cを有する接地電極138を設け、これに
より、事実上、3つのイオンビーム131A、131B及び131C
の各々に対して別々の電極領域を提供するようにする。
この構成は第26図の構造に適用することもできる。第24
図ないし第28図は、イオン源と電極構造体とビーム分析
装置140との間の形または幾何学的関係を正確に描写し
ようとするものではない。これらの図は本質的に略図で
あり、関連発明の現実の機械的実施例においては種々の
実際的構造が用いられる。また、関連発明は1個ないし
3個のイオン出口孔に限定されるものではなく、3個を
越えるイオン出口孔を用いることもできる。関連発明の
この新規なイオンオプティクスを用いると、イオン源の
イオン放出エンベロープをイオン分散平面と平行及び垂
直の両方の方向に大幅に延長し、比較的小形のイオン源
及び磁石をもってビーム電流を格段に増大させることが
できる。
分析磁極の形状の変形例 第32図ないし第34図に、イオンオプティクスとともに便
利に用いることのできるビーム分析装置140のいくつか
の特徴の細部及び関連発明の他の原理を示す。第33図
は、ビーム分析装置140の入口点におけるフリンジ合焦
の使用を示すものである。磁極片の前面146は、ビーム1
31の経路と垂直な線に対して、0゜ないし45゜の範囲内
の角度θだけ傾斜している。磁極片の前面のこの角度は
この場所に収束用磁気レンズを形成し、該レンズは磁極
ギャップに入ってくるビーム131に対して、第16図に示
してある該ビームの発散の程度を減少させえる作用をな
す。
第32図に示すように、電磁石の磁極141及び142の内面14
1A及び142Aを互いに傾斜させて磁極ギャップ内に不均質
な磁界を作ることができる。この不均質な磁界は、ビー
ムが分析磁石を通過するときに該ビームに対して連続収
束的合焦作用をなす。これは、磁極側相互間の磁石真空
室の頂面及び底面を衝撃するイオンの数を減らし、従っ
て該磁石から出てゆく有効ビーム電流を増大させるとい
う利点を有す。
第21図及び第30図に示す収束的静電合焦作用及び第33図
に示す入口フリンジ合焦作用と第32図に示す連続的不均
質磁界合焦作用とを組み合わせると、分析磁石ギャップ
を通過して分析済みビームとして出てゆくイオンビーム
の伝送効率を格段に改善することができる。
第34図は関連発明のイオンオプティクス装置に用いるこ
とのできる他の改善例を示すものである。磁極の鉄片14
1及び142を、電磁石の巻線147と148との間の内部磁極面
142A及び141Aの領域内に延長し、ビーム分析装置の磁極
ギャップ飛行管に入ってくるイオンビームを早く捕らえ
るようにする。このようにすると、入ってくるイオンビ
ームに対して分析磁石がより早く作用し始めるので、ビ
ーム分析装置全体をもっと小形にすることができ、また
装置の分解力が改善される。
これら手法の全てを、関連発明のイオン源オプティクス
で得られる高電流能力及び小形設計と組み合わせると、
業界において今まで得られていたものよりも格段に高い
ビーム電流を有する極めて小形のイオン打込み装置の製
造を可能ならしめることが期待される。また、関連発明
の原理を極高電流装置に適用し、これにより、例えば表
面冶金(即ち表面合金)の分野を質量分析済みイオン打
込み技術に対して開き、及び半導体IC製作における新規
なイオン打込み処理を実施する機会を作ることができ
る。例えば、関連発明のイオンオプティクスを用いるこ
とにより、埋設酸化物絶縁領域を作るために、打込み酸
化物領域を半導体ウェーハ内に深く作ってそこにある半
導体材料を局部的に酸化するということを初めて商業的
に可能化することができる。この能力により、VISI回路
が到達することのできる密度及び速度を更に格段に増大
させることができる。
関連発明の特殊な実施例 第35図ないし第41図に、関連発明の一般的原理を用いた
イオン源装置及びビーム分析装置の特殊な実施例を示
す。ビームライン装置200は、イオン源モジュール230、
イオンビーム電極モジュール235、イオン源モジュール2
30に対する電磁石装置280、ビーム分析装置240、ビーム
幅制御装置290、及び真空ゲート弁装置300を有す。
イオン源モジュール230は、内部にフィラメント230Dが
延びているアーク室230Cを具備するフリーマン型イオン
源を有す。上記イオン源に対するバイアス及び動作電位
はバイアス接続線230Aによって与えられる。アーク室23
0C内でイオン化されるべきガス状材料は、供給配管装置
230Bを通じて、またはイオン源組立体に内設の気化炉か
ら与えられる。イオン源モジュール230は比較的標準的
なフリーマン型イオン源構造であり、その外形を、ビー
ムライン装置200のオプティクスのより小形の形状に適
合させてある。
フリンジ電極236、引出し電極237及び接地または減速電
極238が、柱235Dによって支持された基板235A上にモジ
ュール的に取付けられている。調節装置235Bにより、ビ
ーム整合のために上記電極モジュールの位置をイオン源
に対して微調節することができる。上記電極構造体に対
する冷却剤が、該電極構造体に普通の仕方で連結されて
いる導管235Cを介して供給される。上記諸電極の全体的
構造を第38図に示す。フリーマン型イオン源をイオン源
ハウジング230F内に取付けるにはいくつかの方法があ
り、また上記電極構造体をハウジング230F内にアーク室
230Cの上方に取付けるにはいくつかの方法がある。イオ
ン源電磁石装置は、磁極281、別々の電磁石巻線282、及
び真空ポンプへ通ずる出入口の下でハウジング230Fの一
方の側を通る磁束戻りバーが283を有す。
ビーム分析装置240は、該ビーム分析装置240の入口面24
6において電磁石コイル247及び248の下に延びる入口フ
リンジ磁極241A′及び242A′を有する磁極片241及び242
を有す。第36図に略示するように、フリンジ磁極部材24
1A′及び242A′の入口面は傾斜しており、磁極片241と2
42との間の飛行管243に入ってくるビームのフリンジ合
焦作用を与えるようになっている。
ビーム幅制御装置290を第35図、第39図及び第40図に示
す。電気ステップモータ291が親ねじ装置292を回転させ
てカム板293を往復動させる。カム板293の往復運動によ
ってレバーアーム294が回転させられ、該アームは、互
いに噛み合っているギヤ295、296及び297を回転させ
る。ギヤ295及び297は軸295A及び297Aに取付けられてお
り、該軸は中空であり、冷却剤導管299を介して冷却剤
を受入れる。適当な真空封止装置が点295B及び297Bに設
けられている。軸295A及び297Aが回転すると、これに固
定されているページ298が対応的に回転させられる。
ベーン298が回転して、接地または減速電極238から出て
くるイオンビームの経路に入り込むことにより、ビーム
分析装置の真空室即ち飛行管234に入ってくるイオンビ
ームの幅が効果的に制御される。ベーン298が第35図に
破線で示す広く開いた位置にあるときに、最大幅のビー
ムがビーム分析装置の真空室に入る。しかし、ビームの
縁にある異常イオンビーム成分は、この広く開いた位置
にあるベーン298によってさえぎられ、ビーム分析装置
に入ることを妨げられる。これは、このビーム制御ベー
ンをイオン源電極モジュール235の直ぐ下流のこの場所
に配置しておくことの極めて有利な点である。
また、ビーム幅制御のために往復式ベーンの代りに回転
式ベーンを用いることは、ベーンが互いの方へ向かって
回転するにつれて得られる微細制御によってビーム幅の
微細調整度が増すという点において極めて有利である。
上記ステップモータの各ステップに対するビーム幅の変
化の程度は、上記ベーンがその角度的回転において互い
に近づくにつれて、該ベーンの端部が互いに遠く離れて
いるときよりも小さくなる。一般に、上記ステップモー
タは、実際のビーム電流の検知に応答して該ステップモ
ータを駆動するサーボ機構装置によって制御される。
第35図、第36図及び第41図に真空封止装置300を示す。
この真空封止装置は、フィラメント陰極230Dの補給また
は他の保守のためにイオン源モジュール装置230を変更
しつつあるときに、イオン源室ハウジング230Fの頂部孔
230F′を封止し、これにより、分析磁極相互間の飛行管
及びビームラインの他の構成部材内を真空に保持するよ
うにする。軸301が、1対のアーム303によってスライド
式ゲート弁304に連結されている作動用レバー302を作動
させる。矩形状ガスケット305が、上記イオン源ハウジ
ングの上壁に対して真空封止を行なっている。スライド
式ゲート弁304はレール307に乗っているガイド306を有
し、上記レールは該スライド式ゲートを上記イオン源ハ
ウジングの上壁と堅く嵌合接触させるように傾斜してい
る。ストップ装置308が上記真空ゲートの過大走行を妨
げ、該デートを、孔230Fを覆う所定位置にあらしめる。
第35図及び第36図に示すイオン源モジュール230は、磁
極281を該イオン源のフィラメント230Dと整合させた電
磁石装置280を用いており、これにより、上記フィラメ
ントから放出された電子を旋回させ、アーク室230Cを満
たしているガス状材料のイオンを発生させるようになっ
ている。業界に周知のように、アーク室からのイオン放
出は該アーク室の一端から他端へ向かって変化し、イオ
ンビームの電流密度を不均一ならしめる傾向がある。或
る程度までは、関連発明においては、イオン源の各側に
ある磁極281相互間の磁極ギャップ内に不均一磁界を発
生することにより、イオンビームの不均一性を補償する
ことができる。これは、磁極の各々に付属する界磁コイ
ル即ち巻線282内の電流を独立に制御することによって
行なうことができる。
フリーマン型イオン源の改良 第42図ないし第44図に改良された型のフリーマン型イオ
ン源を示す。このイオン源はまた、イオン源室330から
イオン出口孔332を通って出てくるイオンビームを均一
化するために用いられる。イオン室ハウジング314は、
誘電体スペーサ手段316によって該室ハウジング314から
電気的に絶縁されている複数の別々のU字形陽極部材31
7を取り囲んでいる。フィラメント陰極315が個々の陽極
部材317の中央領域を通って延びている。第42図に示す
ように、別々の陽極部材317の各々は個別のバイアス印
加装置318を用いて別々にバイアス印加される。また、
フィラメント陰極315と上記個々の陽極部材との間に流
れる電流は個別の計器319を用いて別々に表示される。
個別のバイアス電圧装置318を用いて、イオン源の長さ
に沿う種々の領域におけるフィラメント対陽極部材のバ
イアスを変化させ、上記個別の陽極部材の各々の領域に
おいてイオン出口孔332から放出されるイオン電流を制
御することができる。イオン源の不均一な磁気的バイア
ス印加及び個別の陽極部材の不均一な電気的バイアス印
加を組み合わせると、イオン出口孔332から出てくるリ
ボン状ビームに対する均一性が著しく改善される。比較
的均一なイオンビームが発生されるならば、他のイオン
源を関連発明に用いることもできる。例えば、前掲のエ
ーラーズほかの輪文に示されているような多磁極型の適
当なイオン源を関連発明に用いることができる。
複数ビーム分解部材 第45図に、ビーム分解装置350を使用した関連発明の実
施例を示す。このビーム分解装置は複数のビーム分解部
材(以下、分解スリットと称する)351Aないし351Cを有
し、該分解スリット351Aないし351Cは適宜の位置決め手
段352を用いて分析済みビームの経路内に選択的に位置
決めすることが可能である。複数分解スリットを用いる
ことにより、イオン打込み装置においていくつかの利点
が得られる。これら利点の一つは、各分解スリットを一
つの特定のイオン種に専用としてイオン種の相互汚染の
可能性を除去することができるということである。上記
の相互汚染は、単一の分解スリットを用いる場合に生ず
る可能性があり、一つの種からのイオンはその前の打込
み処理において選定された前の種からのイオンを分解ス
リットの縁からたたき出して、ターゲットを衝撃する最
終イオンビーム内に入らせる。複数分解スリットの他の
用途としては、質量選択性及びビーム純度の選定があ
る。例えば、アンチモンの両質量種を分解スリットを通
過させてターゲットウェーハを衝撃させるためには幅の
広い分解スリット(例えば315A)のあることが望まし
い。アンチモンの打込みは2つの比較的接近している質
量種のいずれか一方または両方をも用いることができる
から、一方または他方の種を分解することに比べ両種を
用いることにより、ドーズ量従ってまたウェーハ処理量
を増大させることができる。
イオンビーム視準装置 関連発明にかかるイオンビームライン構成部材の配置に
含まれている一つの因子は、装置の分解力が熱雑音によ
って若干劣化するということである。これは、個別のイ
オンがイオン出口孔から引き出されるときに有する可能
性のある瞬時的熱雑音のために個別イオン経路の方向が
変化することによって生ずる。熱雑音のための上記引き
出し済みイオンの瞬時的速度が、実質的に引出し電界に
基づくイオンの速度成分と垂直であり且つイオン分散平
面と平行であると、上記個別イオンは、ビーム分析装置
に入る直線イオン経路と垂直な速度成分を有することと
なり、その結果、イオン経路はこの直線経路から若干角
度がかたよる。第46図に示すように、引き出し済みイオ
ンの瞬時的熱速度が、実質的に、まっすぐな通しのイオ
ン経路と垂直であり且つイオン分散平面と平行であると
いうことのためにかたよったイオン経路を持つイオン
を、イオン源130から放出された全体的イオンビームか
ら除去するために視準装置139を用いることができる。
視準装置139は、減速即ち接地電極138とビーム分析装置
140の入口面との間に配置された一連りの個別視準構造
体139A、139B及び139Cを具備する。他の配置の視準用格
子及び/又はスクリーンを用いてもよい。2つまたはそ
れ以上の格子またはスクリーンは一つの視準機能をな
す。
第46図に示すように、経路131aのようなまっすぐなビー
ム経路を持つイオン視準格子装置をまっすぐに通過して
ビーム分析装置140に入る。経路131bのようなかたよっ
た経路を走行するイオンは、一般に、視準格子装置139
内の一つのバーにつき当り、従ってビーム分析装置140
に入ることができない。しかし、視準格子装置139が占
めている体積があるので、131cのような直線イオンビー
ム経路のうちの若干もまだビーム分析装置140に入るこ
とを阻止される。その正味の結果として、第46図の装置
はビーム分析装置140に入る全体的イオンビーム電流を
減少させる。従って、イオンビームの視準を用いる際に
はかね合いがある。即ち、装置の全体的分解力を改善す
るためにビーム電流を犠牲にすることになる。
第46図に示すように、装置139のような視準装置を用い
た場合にビーム分析装置140に入る実際のイオンビーム
は、イオン源130の前面壁内の別々の孔から出てくるよ
うに見える一連のビームを含んでいる。従って、第47図
に示すように、個別的イオン出口孔、例えば出口孔132A
及び132Bを有するイオン源130′を視準装置139とともに
用いることができる。第48図及び第49図に示すように、
視準格子139A、139B及び139Cは、上記個別イオン出口孔
から出てくるビームがビーム分析装置140のイオン分散
平面と垂直な平面内で発散することを許す一連りの間隔
垂直バーを具備している。従って、各イオン出口孔から
放出されるイオンビームの、上記イオン分散平面と平行
な平面内の発散成分のみが、ビーム分析装置に入るイオ
ンビームから除去される。装置において正確に分解され
ない成分がある。
再び関連発明の一般的概念について説明すると、第47図
ないし第49図のイオン源装置は関連発明の新規な一般原
理、即ち、イオン源が実質的に、イオン分散平面と垂直
な平面内に在る仮想線源向かってまたはそこから出て分
析手段(例えばビーム分析装置140)に入るイオンを発
生するという原理を用いるものである。第44図及び第45
図に示す直線状前面壁のイオン源の場合には、仮想線源
は無限大距離にある。しかし、第17図ないし第20図に示
す凸状または凹状のイオン源装置も、収束性または発散
性のビームを取扱うように視準格子の配置を適切に変更
すれば、使用可能である。イオン源の前面が凸状または
凹状である場合には、仮想線源はイオン源の後ろかまた
はイオン源前面にある。
第50図に示すように、積み重ねた数列のイオン出口孔を
イオン源の前面壁に形成してもよい。この配置は第26図
ないし第28図に示す積重ね形の出口孔配置に類似してい
る。即ち、一般的に言うと、関連発明の原理を実施する
とビームライン装置は、ビーム分析装置140のイオン分
散平面と平行な平面内のかなりの延長面積を含むイオン
放出エンベロープを有するイオン源を有し、このビーム
エンベロープは、上記イオン源とビーム分析装置との間
の領域全体にわたる分散平面内かなりの延長部を保有す
る。第15図ないし第25図に示す単一のイオン出口孔の場
合には、イオン放出エンベロープは単に単一の矩形出口
孔の面積である。明らかに解るように、矩形出口孔の長
辺はイオン分散平面と平行に向いているから、かかるイ
オン放出エンベロープはイオン分散平面と平行な平面内
にかなりの延長面積を有す。
第26図ないし第28図に示す複数矩形出口孔の場合には、
イオン放出エンベロープは、別個の矩形出口孔の最外縁
によって境界づけされた幾何学的面積である。この場合
においては、また明らかに解るように、共同してイオン
放出エンベロープを形成している矩形出口孔の各々がイ
オン分散平面と平行な平面内にかなりの長さを有してい
るから、上記イオン放出エンベロープは上記イオン分散
平面と平行な平面内にかなりの延長面積を有している。
第49図及び第50図に示す個別イオン出口孔の配置につい
て説明すると、イオン放出エンベロープを破線矩形13
2″及び132で、即ち個別外縁イオン出口孔を境界づけす
る幾何学的面積で示してある。この場合には、また、イ
オン分散平面と平行な平面内に在るイオン出口孔の延長
列があるので、このイオン放出エンベロープは上記イオ
ン分散平面と平行な平面内にかなりの延長面積を有す。
このようにすべき論理的理由はないが、適切な視準装置
を用い、もって、全体的イオン源装置が、イオン分散平
面と垂直な平面内に在る仮想線源について実質的にこれ
へ向かってまたはこれから走行して分析手段に入るイオ
ンを発生するという条件を満足するようにするならば、
複数出口孔の場合における個別イオン出口孔の配列は不
規則なイオン放出エンベロープを作る任意の不規則な幾
何学的形状であってよい。
第47図ないし第50図に示す複数イオン出口孔装置は、単
一の矩形出口孔または複数の積み重ねた矩形出口孔を用
いたイオン源装置ほどの利点はない。しかし、これら複
数出口孔の実施例は関連発明の他の多くの利点を有して
いる。即ち、これら実施例を用いると、イオン放出エン
ベロープの面積をイオン分散平面と平行な平面内に延長
し、及びイオン源とビーム分析装置との間の領域全体に
わたるイオン分散平面内にかなりの延長部を保持すると
いう原理を用いることにより、従来のイオン源が持ち得
たよりも高い電流を持つイオンビームを発生することが
できる。特に、第50図に示す複数積重ねアレイのイオン
出口孔は、より小さい全体的装置の大きさにおいて、従
来のビームライン装置から発生させることのできたより
もかなり高いイオンビーム電流を発生させることができ
る。小形化及びビーム分析装置の所要電力の低減という
他の全ての利点は上記複数出口孔形イオン源をもって得
られる。但し、減速電極138とビーム分析装置140との間
に視準装置139を設ける必要があるので、上記小形化の
程度は若干減る。
第51図は、関連発明の好ましい実施例によるイオン打込
み装置のビームライン400の主要素を示している。この
ビームライン400は、イオン源装置410と、イオン質量分
析装置420と、質量分解装置430と、分解されたイオンビ
ームをターゲット素子450に向って加速する後段階加速
装置440とを備えている。イオン源装置410は、イオン源
組立体411と、イオン源磁石組立体412と、イオンビーム
引出し(イオンビーム抽出)組立体413とを備えてい
る。イオン質量分析装置420は、イオンビーム飛行管421
と、ビーム分析磁石組立体422とを備えている。質量分
解装置430は、真空ゲート弁431と、イオンドリフト管43
2と、質量分解スリット組立体433とを備えている。後段
階加速装置440は、多数の構成をとることができる。
第51図に示したイオン打込み装置の種々のビームライン
構成要素は、イオン源磁石組立体412以外は、他の図面
を参照して以下に詳細に説明する。イオン源磁石組立体
412は、イオン源装置410にフリーマン型イオン源組立体
を組み込んだ時に用いられる。イオン源磁石組立体412
は、両側からイオン源ハウジング内へと延びている磁極
412Aと、コイル412Bとを含んでいる。各々のコイル412B
は、これにより発生される磁界を個々に制御できるよう
に、別々に作動されるのが好ましい。磁界の戻り磁路
は、垂直の磁気戻りバー412Cと、U字型の磁気戻りヨー
ク412Dとで構成され、このヨーク412Dは、イオン源装置
410の底部を経て戻り磁界を通す。
この構成を用いると、イオン源磁石組立体412の戻り磁
路は、イオン源室及びイオン源組立体411の前面至近領
域に垂直磁界成分、即ち、引出しイオンビームに平行な
磁界を発生してイオン質量分析装置420の磁界成分に相
互作用を及ぼすことはない。イオン源の戻り磁路が、単
にU字型の磁気戻りヨークとして、磁極412Aの高さに設
けられている場合には、ビーム分析磁石組立体422と相
互作用する磁界により、イオン源の効率を低下させるよ
うな合成垂直磁界成分が形成されることが分かった。
換言すれば、フリーマン型のイオン源を効率よく作動す
るには、フリーマン型イオン源のフィラメント陰極と整
列された磁極412A間の磁界がフィラメント陰極と実質的
に平行になって、陰極から放射された電子が陰極のまわ
りで螺旋状となり、イオン源内のガスを高い効率でイオ
ン化することが必要とされる。もし、電子の螺旋路がそ
の至近位置でビームに平行な磁界成分によって妨げられ
た場合には、イオン源のイオン発生効率が実質的に低下
し、イオンビーム引出し組立体413によって引出すこと
ができるイオンビームが相当に減少される。戻り磁路の
構成について示した第51図のイオン源磁石組立体412
は、イオン源の前方に垂直磁界成分が発生しないように
し、これにより、充分高い効率でフリーマン型イオン源
を作動して、イオンビーム流を多量に形成し、引出すこ
とができる。
第52図は、イオン源装置410を詳細に示している。イオ
ン源ハウジング460は、イオン源組立体411及びビーム引
出し組立体413のための基本的な真空の管を構成する。
ハウジング460は、その上壁に長方形の孔461を有し、こ
の孔461は発生されたイオンビームをこの上壁の上に取
り付けられた飛行管421へ送り込むためのものである。
ハウジング460の片側に設けられた真空ポンプポート462
は、ハウジングを真空にするための真空ポンプ装置に連
通している。ハウジング460の底壁には、ビーム引出し
組立体413及びイオン源組立体411を受け入れるためのポ
ート463がある。ビーム引出し組立体413及びイオン源組
立体411の両方は、個々に取り外しできるモジュールと
して構成され、即ち、各組立体は清掃及び保守を行うた
めに別々のユニットとして完全に取り外しできる。更
に、これら2つの組立体は、イオン源と引出し電極との
整列をチェックするために一緒に取り外すことができ
る。
ビーム引出し組立体413は、多数の図面を参照して以下
で詳細に説明する。然し乍ら、ここでは、ビーム引出し
組立体413が、個々のモジュール構成という点で、引出
し組立体のフランジ413Aを含んでいて、このフランジは
ハウジング460の底壁に取りつけられてこれに支持され
るが、ビーム引出し組立体の他の全ての部品、支持ベー
ス部材413B及び引出し・減速電極413Cを含む、は支持柱
装置413Dに取り付けられることを理解されたい。このよ
うなモジュール構成により、引出し組立体のフランジ41
3Aを取り外した時には、これら部品全部をハウジング46
0から取り外すことができる。
同様に、イオン源組立体411は、一体的な単一モジュー
ルとしてハウジング460から取り外すことができ、これ
については、第52図ないし55図を参照して以下で詳細に
説明する。
イオン源組立体411の主たる要素は、イオン源組立体フ
ランジ471と、イオン源絶縁体472と、イオン源室支持装
置474と、イオン源ガス供給装置475と、イオン源の電気
バイアス装置であり、このバイアス装置は、フィラメン
トバイアス・電気供給装置476A及び476Bと、陽極電流供
給装置476Cとを含む。イオン源のフランジ471及びイオ
ン源の絶縁体472は、取り付けボルト(図示せず)を用
いて、ビーム引出し組立体のフランジ413Aに取り外し可
能に取り付けられる。イオン源のフランジ471は、取り
付けボルト・翼ナット装置477によって絶縁体472に取り
付けられる。イオン源のアーク室組立体473のための支
持組立体474は、第53図に示したようにペデスタル479に
取り付けられた垂直の支持柱478を備えている。ペデス
タル479は、次いで、イオン源のフランジ471に支持さ、
イオン源のガス供給組立体475を受け入れる中空のペデ
スタル構造体を備えている。
イオン源のアーク室473は、ハウジング480を含み、その
底壁には個々のU次型陽極481が支持されている。フィ
ラメント陰極482は、その両端がフィラメント支持体482
Aに配置されている。フィラメントクランプ483はフィラ
メント陰極482の各端にクランプされ、その各々はフィ
ラメントリード線484に接続されていて、このフィラメ
ントリード線484はペデスタル479の上部を貫通してイオ
ン源フランジ471の大電流フィードスルー485に接続され
ている。適当なフィラメント絶縁体486が、フィラメン
ト陰極をイオン源組立体478から電気的に分離してい
る。第52図に示すように、個々の電気バイアスリード線
487が個々の陽極481に接続されていて、第42図ないし第
44図に関連して上記した目的で個々のバイアス電圧を印
加する。
複数の熱シールドフィンより成る熱シールドフィン装置
488がイオン源の室480とペデスタル479との間に挿入さ
れていて、イオン源の室からの熱がペデスタル及び蒸気
供給装置475へ達しないように上記室に向って反射す
る。
蒸気供給装置475は、フランジ489を含む別個のモジュー
ルであり、フランジ489は、取り付けボルト・翼ナット
組立体によりイオン源のフランジ471に取り付けられ
る。ガス供給組立体490は、フランジ489に支持されてい
てペデスタル479の上部を貫通してアーク室480へ直接延
びている管を備え、三弗化炭素のようなガスをイオン源
の室内に直接供給する。1対の固体装填カプセル491が
カートリッジヒータ492の熱電対型温度センサ493に組合
わされていて、イオン源用の固体物質例えば砒素を蒸発
させ、供給管494を経てアーク室480へ蒸気を送り込む。
イオン源のアーク室480の前部プレート495は、イオン出
口孔496を備えており、この構造細部については以下で
説明する。
第56図ないし第60図は、イオンビーム引出し組立体413
を示しており、この組立体は、第59図及び60図に示され
たように、引出し組立体のフランジに支持されたビーム
制御翼組立体を備えている。
先ず、第56図ないし第58図を説明すれば、ビーム引出し
組立体のフランジ500には電極支持台501がのせられてい
る。この台は、整列支持装置502によってフランジ500に
支持されている。整列支持装置502は、円錐形の支持上
面を有する1対の支持ポスト503を備え、上記円錐形の
支持上面にはリング状の台501が傾斜可能に支持され
る。カムホロワ装置504は、支持ポスト503にのせられた
引出し電極支持台501の傾斜を制御する。張力バネ505
は、その一端が、電極支持台501に固定された取り付け
ポスト506に接続されていると共に、その他端が、フラ
ンジ500に取り付けられた支持ポスト507に接続されてい
る。この構成により、カムホロワ504aはカム504Bに接触
するように偏位される。カム504Bは親ネジ508によって
駆動され、この親ネジ508はギヤ機構509を介して電気モ
ータ510に接続される。このモータ制御式の電極支持台
傾斜機構により、ビーム引出し及び減速電極を、イオン
源のイオン出口孔に対して整列することができる。
この整列機構は、電極支持台501、減速電極支持柱511及
び減速電極512と共に、端子電位にある。引出し電極支
持柱513は、金属の柱部分514と、絶縁材の柱部分515と
の複合体で構成され、セラミックのシールド装置516に
よって絶縁材部分515が汚染粒子及び沈着物から遮断さ
れる。引出し電極517は、片持梁の形態で支持柱513の上
部に取り付けられる。これと同様に、減速電極512も、
片持梁の形態で支持柱511に取り付けられる。
フリンジ電極装置も同様に設けられており、フリンジ電
極支持柱518が支持台501に支持され、U字型のフリンジ
電極519が片持梁式の取り付け構成でこれに支持されて
いる。
引出し電極517は、一般的に長方形の孔517Bを含む厚い
中央部分517Aを備え、引出されたイオンビームは上記孔
517Bを通過する。同様に、減速電極512も、一般的に長
方形の孔512Bが形成された中央部分512Aを備え、イオン
源から引出されたイオンビームはこの孔を通過する。
引出し電極517及び減速電極512が片持梁式の取り付け構
成にされていることにより、全電極取り付け装置は開放
空間が広くなり、イオン源のイオン出口孔から流れ出す
ガスのポンピングコンダクタンスが良くなる。第37図及
び第38図を参照して上記で説明した電極取り付け装置で
は、引出し電極237を減速電極支持装置235に支持してい
る絶縁材を汚染から遮断する必要がある。この遮断装置
は、第37図及び第38図に示してないが、減速電極の孔を
効果的に取り巻くように絶縁材の内側に取り付けられ、
従ってその領域の真空ポンピングコンダクタンスが相当
に低下する。
このようなイオン源及び電極組立体を三弗化ホウ素のよ
うなガス供給源で作動した時には、アーク室内の比較的
高いガス圧力によって相当量の三弗化ホウ素ガスがイオ
ン出口孔から引出し及び減速電極領域へと押し流され
る。絶縁材のシールドが配置された状態では、この三弗
化ホウ素ガスがイオン飛行管へ多量に逸脱し、ビームラ
インの他の構成要素に浸透する傾向がある。これに対し
て、第56図及び第57図に示された電極支持装置では、引
出し電極が片持梁形態でそれ自体の支持柱に別個に取り
付けられており、これら支持柱は、引出し及び減速電極
自体の付近に置かれていないシールド装置516によって
電極支持台501から電気的に分離されている。この領域
でのポンピングコンダクタンスが改善されることによ
り、第52図に示されたようにイオン源ハウジングと連通
する真空ポンプ装置は、イオン源の前部プレートに設け
られたイオン出口孔から逸脱する三弗化ホウ素ガスを効
果的に除去することができる。これにより、飛行管及び
下流のビーム成分に達するガスの量が減少される。
第59図及び第60図を参照し、ビーム翼制御装置520につ
いて説明する。ビーム翼制御装置520は、個々の支持ア
ーム523、524の一端に取り付けられたビーム遮断翼素子
521、522を備え、支持アームの他端は第60図に示すよう
にシャフト525に取り付けられている。シャフト525はカ
ムアーム526も支持しており、このカムアーム526は、張
力バネ527により、カムホロワプレート529に支持された
カムホロワ528にのるように偏位される。カムホロワプ
レート529はガイドポスト530に沿って垂直方向に移動
し、電気モータ532によりベルト伝動装置533を介して付
勢される駆動ネジ装置531によって上下に駆動される。
1対のソレノイド534、535は、参照番号526で示された
カムアームに対してカムストッパをなすように、遠隔制
御のもので個々に作動できる。カムアーム526が最も垂
直となる位置にありそしてビーム制御翼521の縁がイオ
ンビームの中心線に置かれている間にソレノイド534、5
35の一方を作動することにより、他方のビーム制御翼を
カムホロワプレート及びカムアーム装置によって別個に
作動して、ビーム制御翼をビームに対してスイープさせ
て、ビーム電流を増分的に測定することができる。
ホロワプレート537には位置感知ポテンショメータ536が
支持されており、このポテンショメータは、駆動シャフ
ト531に支持されたギヤ素子539を含むギヤ装置538によ
って駆動される。このようにして、ビーム制御翼の位置
を示す電気信号が、イオン打込み装置の手動もしくはコ
ンピュータ制御式の作動制御装置に送られる。
ビーム制御翼組立体の通常の作動中には、両ソレノイド
534及び535が消勢され、従ってこれに対応するストッパ
素子が引っ込められ、両方のカムアーム526が自由に回
転し、これと共にカムホロワプレート529が動く。
このようにして、ビーム制御翼521及び522を用いて、分
析磁石組成体のビーム飛行管に入るビームの流れが制御
される。
ビーム翼制御装置520は、ビーム引出し組立体のフラン
ジ500に完全に取り付けられて支持されるので、ビーム
制御翼組立体及び引出し電極組立体は単一のモジュール
としてイオン源ハウジング460から取り外すことができ
る。この実施例に示すビーム翼制御組立体520は、ビー
ム制御翼521及び522自体がビーム引出し電極装置の上の
高温領域に配置されているだけであるから、第35図及び
第36図の実施例で述べたビーム翼制御組立体よりも好ま
しい。ビーム制御翼のためのアクチュエータ機構及び回
転式取り付けシャフト(真空シール525Aを含む)は、高
温のビーム引出し領域から離れたところに配置され、従
って熱によって機能が低下することはほとんどない。
第52図に示されたイオン源のハウジング460は、その上
面に設けられた長方形の孔461をシールする真空ゲート
弁を有していないことに注意されたい。この実施例で
は、ビーム飛行管の信頼性を高めると共に、清掃のため
にビーム飛行管を取り外した時に後段階加速装置と連通
しないようにするために、ビーム飛行管の他側に対して
真空ゲート弁が除去されている。第36図に示されたゲー
ト弁装置は、室の上面に設けれたビーム翼組立体に冷媒
が流れるにも関わらず、高い温度となる。第52図ないし
第59図に示した実施例では、翼521、522が高温に耐える
グラファイトのような材料で形成されると共に、アクチ
ュエータ装置の鋭敏な部品が高温領域から取り去られて
いるために、ビーム制御翼の冷却は不要である。
第61図ないし第63図は、イオン質量分析装置420を示し
ており、これは、基本的に、第51図に示したイオンビー
ム飛行管421の各側に配置された個々の電磁石組立体を
備えている。電磁石組立体の構造が分かりにくくならな
いようにするため、第61図ないし第63図にはイオンビー
ム飛行管を示してない。ビーム分析磁石組立体では、電
磁石が対称的に配置されているので、全組立体の片側の
みについて説明する。
電磁石組立体を中央のビーム飛行管領域から外方に向っ
て説明すると、この組立体は、内部磁極片550及び内部
コイル551と、外部磁極片555及び外部コイル556とを備
えている。内部磁極片550の磁極面552は、第62図の中央
の斜線領域で示した一般的な形状を有している。内部磁
極片550の入口縁553は、対向した内部磁極面間にあるビ
ーム飛行管領域に入るリボン状イオンビームの経路に対
して約45゜の角度で配置されている。内部磁極の出口縁
554は、垂直に対して約35゜の角度で配置されている。
磁極面間にあるビーム飛行管領域から出るイオンビーム
は、分析されたイオンビームであり、選択された質量を
もつイオン、即ち、選択されたイオン種に対応するイオ
ンが、質量分解スリット−これは第51図に示したように
ドリフト管領域の端に配置されている−に位置した焦点
に収束される。これらの比較的急な角度にされた内部磁
極の入口縁及び出口縁は、両領域に焦点の合ったビーム
収束フリンジを形成する。
外部磁極片555、これに関連した電磁石コイル556、並び
に戻り磁路ヨーク537によって、ビーム分析磁石組立体4
20の半分が完成される。ビーム分析磁石のイオンビーム
入口領域には入口分路装置560が設けられており、これ
はフリンジ磁界領域562の付近に磁界のない領域を形成
する。この入口分路がないと、充分なフリンジ収束性能
が得られない。ビーム分析装置のビーム出口側でイオン
のオプティクスを制御するという本質的に同じ日的で、
内部磁極面間の領域からイオンビームの出口縁に出口分
路565が設けられている。
内部磁極の全体的な形状は、選択されたイオン種を分解
スリットに収束するような輪郭にされる。どのようなイ
オン質量を分解スリットで分解するかについての選択
は、磁極ギャップ内の磁界強度によって決まり、これ
は、次いで電磁石コイル551及び556に供給する電流の大
きさによって制御される。
コイル556及び磁極片555より成る外部電磁石組立体は、
冷却容器(図示せず)内に収容され、これを通して冷却
流体を循環し、コイルの電流によって発生した熱を消散
させる。
第64図ないし第68図は、関連発明の実施例による質量分
解装置430を示しており、この装置は1対のサイドフェ
ンス581と582との間に形成されたイオンドリフト領域58
0を有している。サイドフェンスは円筒状の端子電極583
内に取り付けられており、この端子電極は円筒カップ状
のエンドキャップ584を有している。端壁585には出口孔
586が形成されており、これを通して、選択されたイオ
ン種の収束イオンビームが分解スリット組立体587へ送
られる。分解スリット組立体587は第66図に拡大端面図
で示されており、この分解スリット組立体587は、既に
述べた目的で複数の分解スリット挿入体589が取り付け
られた分解スリットフレーム588を備えている。第65図
に示したように、分解スリットフレーム588は、片持梁
式に揺動アーム590に取り付けられており、該揺動アー
ム590の他端は結合ブロック591に取り付けられ、次いで
この結合ブロック591は第69図に示された回転シャフト
装置に取り付けられている。冷媒管592及び593の平行装
置が揺動アーム590の長さ方向に延びていて、分解スリ
ットフレーム588を冷却するように働く。第64図及び第6
7図に示したように、冷媒管592及び593は、イオンドリ
フト管領域580の終りにある端壁585に冷却流体を供給す
る。これらの冷媒管592及び593は、イオンビーム中の選
択されないイオンが当たるサイドフェンス581及び582も
冷却する。
第64図及び65図には、ファラデーカップ装置595が示さ
れており、ファラデーカップ596が片持梁式に揺動アー
ム597に取り付けられ、そしてこのアーム597は、ファラ
デーカップ596をイオンビームに近づけたり離したりす
るために回転可能なシャフトに固定された結合ブロック
598に取り付けられる。イオンドリフト管領域の端には
抑制磁石装置600が配置されており、これは、孔586の長
さに対して垂直な成分をもつ磁界を形成し、ファラデー
カップ596がビーム内に配置された時に電子がファラデ
ーカップ596から逃げないようにする。
第68図及び第69図は、スライド真空ゲート弁装置610を
示している。この装置は、分析磁石組立体又はイオン源
組立体のいずれかに対して保守作業を行う時に−ドリフ
ト管より手前のビームライン構成要素において真空状態
が失われる−、ドリフト管領域580の端を選択的に密封
して、ドリフト管及び後段階加速装置に真空状態を維持
するように作動される。第68図及び第69図には、複数分
解スリット組立体及びファラデーカップ組立体のための
アクチュエータ620及び621も示されている。これら駆動
機構は本質的に同じものであるから、アクチュエータ62
0についてのみ詳細に示す。
ゲート弁装置610は、空気シリンダ611を備え、これはベ
ロー装置613を通して延びているシャフト612に接続され
ていて、ゲート弁ブロック614を駆動させる。このゲー
ト弁ブロック614はローラ615にのせられており、バネ付
勢式のカム機構617によって互いに接続されたブロック
下部614Aとブロック上部614Bとを有している。シャフト
612がスライド式のゲート弁ブロック614を開方向に向っ
て押すにつれて、結局は、ブロック下部614Aがストッパ
616に当たる。この点において、ブロック上部614Bの行
き過ぎ移動によってカム機構617がブロック下部614A
を、壁580Aと真空シール接触状態に押しつける。
アクチュエータ620は、シャフト624を駆動するように空
気シリンダ623によって作動されるラチェット・ポール
機構622を備えている。シャフト624は、カム機構626を
介して、回転可能に取り付けられたシャフト625を駆動
する。シャフト625は中空シャフトであり、この中には
同心的な流体接触管が配置されていて、揺動アーム590
を経て延びる冷媒チャンネルへ冷媒流体を送る。光学式
の位置センサ626が設けられていて、実際のシャフト位
置、ひいては、複数分解スリットフレーム又はファラデ
ーカップの位置を表す信号を制御装置に送る。
第70図は、第52図及び第53図に示されたイオン源の前部
プレート495に設けられた小寸法のイオン出口孔496に対
する好ましい形状を拡大断面図で示している。ここに示
す特定の実施例では、前部プレート495は、厚みが約6mm
のグラファイトで形成される。イオン出口孔496の底496
Aは約5mmである。その長さは、大きい方の寸法で110mm
である。厚み約0.25mmの垂直方向の段により第1の垂直
壁部分496Bが形成され、この最初の壁部分に続いて、約
45゜の角度で第2の壁部分496Cが形成される。
5mm幅のイオン出口孔は、市場に出回っている公知の全
てのイオン打込み装置に用いられている1ないし3mm幅
の孔と対照的である。前記したように、イオン打込みの
分野の当業者及び専門家は、安定なイオンビームを維持
しそして充分な分解性能を得るためにはイオン出口孔の
幅を1ないし3mmの範囲内の値(典型的には約2mm)に限
定する必要があると誰もが考えていた。関連発明の原理
を用いて試作したイオン打込み装置は、第71図に示した
5mm幅の孔で首尾よく作動した。孔の幅の上限は、分析
装置で許容できる最大ビーム発散度の関数であると考え
られる。イオン出口孔幅を限定する更に別の因子は、イ
オン出口孔幅を広くした場合にビームの質を維持するた
めに必要とされるビーム引出しギャップ及び引き出し電
圧の増加である。特に引出し電圧を高くした場合にはス
パーク発生の問題が多くなるので、或る点で実用限界に
達する。
上記したビーム電流の数値(即ち、ホウ酸について28ミ
リアンペアそして砒素について67ミリアンペア)から容
易に明らかなように、単一出口孔装置に幅の広い出口孔
を使用した場合には(これは、出口孔の前方に単一のフ
ィラメント陰極が配置されたフリーマン型イオン源にと
って好ましい形態である)、イオン打込み装置に顕著な
効果が得られる。高いビーム電流を取り出すためにこの
ような幅の広い出口孔を使用した場合の唯一の欠点は、
イオンビームの発散度が大きくなることである。このよ
うにビーム発散度が大きい場合、関連発明のイオンオプ
ティクスでは、一般に、ビーム分析装置の磁極ギャップ
を広げることが必要とされる。然し乍ら、磁極ギャップ
を広げるというこの必要性は、ビーム分析装置の入口側
にフリンジ収束磁界を用いることによって相当に軽減で
きる。
上記したビーム電流は、磁極ギャップが65mm−これはホ
ウ素及び砒素のイオンビームに対して現在のところ最適
と考えられる−の場合に得られたものである。この同じ
ギャップを、アンチモンのイオンの場合は前段階加速電
圧を12kVにした状態で、使用することができる。或いは
又、アンチモンのイオンの場合には、前段階加速電圧を
20kVにした状態で、50mmの磁極ギャップを使用できる。
関連発明による試作装置に用いられたビーム分析装置は
総重量が約1トンであり、これは公知のオプティクスを
用いたイオン打込み装置で同じビーム電流性能を得るた
めにおそらく必要とされるであろうビーム分析装置の重
量6ないし7トンと比べて対照的である。ビーム分析装
置の寸法及び重量についてのこの減少は、関連発明の新
規なイオンオプティクスに含まれた多数のファクタと、
新規なイオン源及び引出し装置の作動パラメータとによ
って得られる。関連発明の装置は、全体的にみれば、こ
れと同等のビーム電流の発生し始めることができないよ
うな公知の“大電流”装置と大きさ及び重量が同等であ
る。
関連発明によるイオン打込み装置のこの改良されたビー
ム電流発生容量は、商業的に利用されるイオン打込み装
置の製造に今後大きな影響を与えることになろう。関連
発明によるイオン打込み装置は、公知形式のイオン打込
み装置2台ないし4台分の働きをすることができる。こ
の性能は、ビームラインのコストを大幅に増加せずに得
られる。従って、イオン打込みは、半導体集積回路装置
をドーピングするための製造技術の選択のみとなるの
で、関連発明の原理及び関連発明全体を構成する種々の
特徴を用いたイオン打込み装置が市場に出れば、今後高
密度の集積回路を製造する装置に関連した全投下資本を
節減するように大幅に貢献することになろう。
関連発明の新規な技術は、典型的に7段又は8段のイオ
ン打込み工程−或るものはイオン打込み量が少なくそし
て或るものはイオン打込み量が多い−を伴なう高密度CM
OS回路の製造に特に強い影響を与えると考えられる。
又、CMOS製造において必要とされる高イオン量のホウ素
の打込み、例えばイオン量が1平方センチメータ当たり
1016個という打込みに特に大きな影響を与える。
公知のオプティクスについてのビーム電流の改善 公知の一般のイオンオプティクスを用いたイオン打込み
装置に関連発明の幾つかの特徴を組み込んで、実用的な
装置構成で高いイオンビーム電流を得ることも可能であ
る。第5図に示すような一般のオプティクスでは、イオ
ン出口孔32の寸法の長い部分が分析磁石40の分散平面に
垂直である。従って、イオンビームはこの分散平面内で
発散する。引出しビーム電流を増加するために幅の広い
イオン出口孔(即ち、幅が4mm又は5mm)を用いた場合に
は、おそらく、分散平面内でのイオンの発散が相当に増
加することになろう。この変化だけでは、ビームの大幅
な発散を受け入れるように分析磁石の入口面の幅を相当
に広げない限り、より有効なビーム流がビーム分解スリ
ットを通ることにならない。これは、或る状態において
特にイオン出口孔の幅を4mmまで広げただけの場合に実
用的なものとなる。
然し乍ら、幅の広いイオン出口孔を、第31図について説
明した関連発明の加速−減速特徴と組み合わせて用いた
場合には、(おそらく或る程度他の変更を入念に行うこ
とになる)、公知のオプティクスを用いた装置でも相当
に高い有効なイオンビーム電流を得ることができる。関
連発明の加速−減速特徴により、ビームを収束する円筒
レンズが形成され、これを用いて分散平面内でのイオン
ビームの発散を減少することができる。これにより、幅
の広いイオン出口孔からの大きなビーム発散を処理する
のに要する分析磁石の入口面の幅の増加量が減少され
る。更に、関連発明の加速−減速特徴により、イオンビ
ームの速度が下がり、これにより、分析磁石の寸法/電
力要求が下がると共に、磁石の全寸法、重量及び需要電
力を甚だしく増加することなく磁極幅を増加できる。
更に、幅の広いイオン出口孔を、その長さを若干小さく
した状態で(然し、全イオン引出し面積はより大きくす
る)使用し、そしてイオン源を分析磁石に近づけて、磁
石に入る全ビーム幅を減少することができる。幅が広く
長さが短いイオン出口孔(然し、ビーム引出し面積はよ
り大きい)、引出し電極及び減速電極による加速−減速
バイアス機構、及び幅の広い磁石入口面を完全に組み合
わせることにより、公知のイオンオプティクスでも、相
当に大きな有効なイオンビーム電流を得ることができ
る。このようなやり方で、特にホウ素(質量11)のよう
な軽いイオンに対し、50ないし100%の範囲で有効ビー
ム電流を増加することができる。
本発明及び関連発明の数多くの特徴及び実施例について
の上述の説明から解るように、本発明の原理は種々のイ
オン打込み装置に対して広く適用できる。本発明の種々
の特徴の各々は、イオン打込み装置の性能の改善に大き
く寄与する。本発明これら多くの特徴と関連発明の特徴
とを互いに共同させて用いると、装置設計の小形化、高
いイオンビーム電流発生の可能性、及び作用の信頼性の
観点からの全体的イオン打込み装置の極めて大きな改善
が得られる。
以上、本発明及び関連発明をその種々の実施例について
説明したが、当業者には、特許請求の範囲に記載の如き
本発明の範囲を逸脱することなしに種々の変更を行うこ
とが可能である。
(発明の効果) 本発明の電極バイアス印加装置の引出し及び減速電極を
用いるイオンの加速及び減速の組合わせにより、上記減
速電極から進んでゆくリボン状ビームの発散を更に減少
させる円筒状の収束レンズから作られるという有利な効
果が得られる。
すなわち、減速電極によりイオンの速度が実質的に低下
させられるのでイオンビーム分析装置の分析磁石に泌要
な大きさ及び磁力を低減し、よって装置全体の小形化に
寄与する。
故意に非安定化した電源(即ち、出力電圧の低下前に電
流発生能力が制限される電源)を用いて引出し電極に電
圧を与えることにより、分析磁石に入ってゆくイオン種
の全体的速度を実質的に変えることなしに、スパークを
極めて迅速に消滅させることができる。
すなわち、引出し電圧を供給する電源が高電流を保持し
ないのでスパーク放電が生じると引出し電圧は急速に低
下し、よってスパークは急速に消滅する。しかしなが
ら、引出し電圧とは無関係に事前分析加速電圧が減速電
極に対して保持されるのでイオンの速度にはほとんで影
響を与えない。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第3図は半導体処理におけるイオン打込み
の使用を示すための半導体ウェーハの一部の縦断面図、 第4図は、従来のイオン打込み装置の上面図、 第5図は従来のイオン打込み装置に用いられているイオ
ンビームオプティクスの斜視図、 第6図ないし第10図は従来の装置に用いられているイオ
ンビームオプティクスの原理を説明するための略図、 第11図ないし第13図は従来のイオンビームオプティクス
の原理の変形を示すイオンビームオプティクスの例の略
図、 第14図は関連発明にかかるイオン打込み装置及び方法に
用いるイオンビームオプティクスの概略的斜視図、 第15図は半導体処理に適用した関連発明の実施例のイオ
ンビームオプティクスを概略的に示す斜視図、 第16図ないし第28図は関連発明にかかるイオンビームオ
プティクス及びイオン源装置の種々の実施例を示す略
図、 第29図は従来のイオン打込み装置に一般に用いられてい
るイオン源バイアス印加装置の略図、 第30図及び第31図は本発明にかかるイオン源電極バイア
ス印加装置の略図、 第32図ないし第34図は関連発明にかかるイオンビームラ
インの構成部材の種々の構造的細部を示す略図、 第35図は関連発明の実施例におけるイオン源及びビーム
分析装置の一部縦断側面図、 第36図は関連発明の実施例におけるイオン源及びビーム
分析装置の一部縦断正面図、 第37図は第36図の37−37線に沿うイオン源装置の一部横
断平面図、 第38図は第37図の38−38線に沿う電極組立体の一部縦断
面図、 第39図は第36図の39−39線に沿って截断してビーム制御
ベーン装置の構造及び作動的細部を示す部分側面図、 第40図は第39図の40−40線に沿って截断した関連発明に
かかるビーム制御ベーン装置の一部横断上面図、 第41図は第36図の41−41線に沿って截断した真空封止装
置の一部横断上面図、 第42図ないし第44図は関連発明にかかる変形フリーマン
型イオン源装置の一部断面図、 第45図は関連発明にかかる複数分解スリット装置の斜視
図、 第46図ないし第50図は関連発明にかかるイオンビームオ
プティクス及びビームライン構成部材の他の実施例を示
す略図、 第51図は、関連発明によるイオン打込み装置のビームラ
インモジュールを示す部分断面図、 第52図は、イオン源ハウジング、イオン源及びビーム引
出し電極系より成る関連発明のイオン源装置を示す部分
断面側面図、 第53図は、関連発明によるフリーマン型イオン源モジュ
ールを示す部分断面側面図、 第54図は、第53図のイオン源モジュールを54−54線に沿
ってみた上面図、 第55図は、第53図のフリーマン型イオン源の底面図、 第56図ないし58図は、イオン引出し電極モジュールの各
々前面図、側面図及び上面図、 第59図は、関連発明によるビーム制御翼装置の側面図、 第60図は、第59図のビーム制御翼装置を60−60線に沿っ
てみた部分断面図、 第61図は、第62図の61−61線に沿ってみた分析磁石組立
体の前面部分断面図、 第62図は、第61図の62−62線に沿ってみた分析磁石組立
体の断面図、 第63図は、第62図の分析磁石組立体を63−63線に沿って
みた部分断面図、 第64図は、関連発明による質量分解装置及び後段階加速
装置を示す部分断面側面図、 第65図は、関連発明による質量分解装置の上面図、 第66図は、第65図の66−66線に沿ってみた関連発明の質
量分解装置の端面図、 第67図は、第65図の67−67線に沿ってみた関連発明の質
量分解装置を示す別の部分断面端面図、 第68図及び69図は、関連発明による質量分解装置のゲー
ト弁組立体と、質量分解装置の多分解スリット組立体及
びファラデーカップ組立体を駆動するラチェット−カム
機構とを示す部分断面図、そして、 第70図は、関連発明の好ましい実施例によるイオン源出
口孔の全体的な構造形状を示す断面図である。 10……ウェーハ、14……フィールド領域、15……フィー
ルド酸化物領域、18……活性領域、19……シリコンゲー
ト領域、21……ソース領域、22……ドレイン領域、25…
…引出し電極組立体、30……イオン源、32……イオン出
口孔、32A……湾曲イオン出口孔、36……収束グリッ
ド、37……引出し電極、38……接地電極、40……分析磁
石、48……ベーン装置、50……分解スリット装置、51…
…分解スリット、60……後段加速装置、70……ウェーハ
処理装置、72……ヒートシンク装置、100……イオン打
込み装置、130……イオン源装置、132……イオン出口
孔、132″……湾曲イオン出口孔、137……引出し電極、
138……接地電極、139……視準装置、140……ビーム分
析装置、143……ギャップ、147、148……電磁巻線、150
……ビーム分解装置、170……ウェーハ処理装置、171…
…半導体ウェーハ、172……ヒートシンク、180……分離
静電レンズ、190……収差制御ベーン、200……ビームラ
イン装置、230……イオン源モジュール、235……イオン
ビーム電極モジュール、235A……基板、236……フリン
ジ電極、237……引出し電極、238……接地電極、243…
…飛行管、247、248……電磁コイル、290……ビーム幅
制御装置、291……ステップモータ、292……親ねじ装
置、294……レバーアーム、300……真空ゲート弁装置、
302……作動用レバー、304……スライド式ゲート弁、30
5……矩形状ガスケット、308……ストップ装置、315…
…フィラメント陰極、316……誘電体スペーサ、318……
バイアス装置、319……計器、330……イオン源、332…
…イオン出口孔、350……ビーム分解装置、230F……イ
オン源、400……ビームライン、410……イオン源装置、
411……イオン源組立体、412……イオン源の磁石組立
体、413……イオンビーム引出し組立体、420……イオン
質量分析装置、421……イオンビーム飛行管、422……ビ
ーム分析磁石組立体、430……イオン質量分析装置、431
……真空ゲート弁、432……イオンドリフト管、433……
質量分解スリット組立体、440……後段階加速装置、450
……ターゲット素子、460……イオン源ハウジング、461
……孔、462……真空ポンプポート。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭50−9898(JP,A) 実開 昭58−21949(JP,U)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ターゲット素子にイオンを打込む装置にお
    いて、 発生したイオンが自由に通過することができるイオン出
    口孔を有し安定化された事前分析加速電圧に電気的にバ
    イアスされたイオン源、 前記イオン出口孔の近くに配置され前記イオン源からイ
    オンを引出し加速するのに十分な引出し電圧にバイアス
    された引出し電極、 前記引出し電極の下流に配置された減速電極であって、
    減速電極と引出し電極との間を通過するイオンの速度を
    実質的に落とすのに十分な電圧にバイアスされた減速電
    極、および、 前記引出し電極に前記引出し電圧を供給する電源であっ
    て、前記イオン源と引出し電極との間にスパーク放電が
    生じたときに引出し電極の電圧の大きさを急速に低下さ
    せる特性を有する安定化されない電圧を加える電源から
    成ることを特徴とするイオン打込み装置。
  2. 【請求項2】イオン放射領域を有するイオン源、前記イ
    オン放射領域の近くに配置された引出し電極、および前
    記引出し電極にほぼ隣接して配置された第2電極を有す
    るイオン源装置を作動させる、次の諸ステップより成る
    方法であって、 (イ)前記イオン源に事前分析加速電圧を加えること、 (ロ)前記イオン源からイオンを引き出し加速するため
    前記事前分析加速電圧に対して或る値を有するバイアス
    電圧を前記引出し電極に加えること、および (ハ)前記引出し電極と前記第2電極の間を移動するイ
    オンの速度を実質的に落とすため前記引出し電極に加え
    られたバイアス電圧に対して或る値を有するバイアス電
    圧を前記第2電極に加えること、 前記イオン源に前記事前分析加速電圧を加える前記ステ
    ップは、前記イオン源に安定化された電圧を加えるステ
    ップより成り、前記引出し電極にバイアス電圧を加える
    前記ステップは、前記引出し電極に前記イオン源と引出
    し電極との間にスパーク放電が起きたとき前記引出し電
    極のバイアス電圧の大きさを急速に低下させる特性を有
    する安定化されない電圧を加えるステップより成ること
    を特徴とするイオン源装置を作動させる方法。
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