JPH07275U - ミシンの上糸繰り出し装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】安価で簡単な装置によってミシンの上糸を正確
に繰り出し得るようにする。 【構成】上糸繰り出し量に応じた角度で揺動する天秤支
え４に鉤状の繰り出しレバー３が固定され、その自由端
の内側に先端部より基部に向けて天秤支え４の揺動軸７
からの距離が徐々に縮小するカム面3a及びそれに続く引
出し部3bが形成されている。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、ミシンにおける縫製に必要な上糸の繰り出し量を一針毎に予め確 保する上糸繰り出し装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

ミシンの上糸繰り出し装置として、従来、図５及び図６に示すものが知られて いる。その上糸繰り出し装置は、第１ソレノイド１、エンコーダー２、糸案内軸 １０、繰り出しレバー１１、第２ソレノイド１２等を経て上糸ボビンＢより引き 出される上糸Ｙを天秤８に案内する過程で、主軸１３に設けた繰り出しカム１４ の回転により繰り出しレバー１３を左右に移動させることによって縫い目１針毎 の必要上糸量を繰り出すものである。その上糸の繰り出しに当たっては、第１ソ レノイド１がオフ、第２ソレノイド１２がオンとされ、その間、繰り出しレバー １１が右に移動し、エンコーダー２によって測定した繰り出し糸量が必要値に達 したときに、第１ソレノイド１がオン、第２ソレノイド１２がオフとされる。な お、第１ソレノイド１がオフのときにソレノイドアマチュアとの間にある上糸Ｙ は通過可能となる。第２ソレノイド１２も同様である。この他に、図７に示す示 すものも知られている。その上糸繰り出し装置は、天秤の動きにより揺動する天 秤支え４の動きを利用して繰り出しレバー３’を駆動するものである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

図５及び図６に示す糸繰り出し装置は、図７に示す糸繰り出し装置に比べ、繰 り出しカム１４、リンク１５、リンク１６等の部品点数が多くなり、コスト高と なっている。また、図７に示す糸繰り出し装置は、天秤支え４が上方又は下方へ 揺動するときの上軸位相がそれぞれ１００〜１５０°と狭く、必要最大糸量を確 保するには、図４の実線で示すように、繰り出しが急激になされる。従って、エ ンコーダー２で読み込んだ必要糸量のタイミングで第１ソレノイド１をオンして も、応答遅れ等により繰り出し糸量が理論値よりも大となり、特に、薄ものを縫 製したり、細かいピッチで縫製する場合には、糸締まり不良等による縫い目ムラ が発生する。

【０００４】 この考案は、安価で簡単な装置によってミシンの上糸を正確に繰り出し得るよ うにすることを目的としている。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、この考案のミシンの上糸繰り出し装置は、上糸繰 り出し量に応じた角度で揺動する天秤支えに鉤状の繰り出しレバーが固定され、 その自由端の内側に先端部より基部に向けて天秤支えの揺動軸からの距離が徐々 に縮小するカム面及びそれに続く引出し部が形成されているものである。

【０００６】

【作用】

上記のように構成されたミシンの上糸繰り出し装置においては、天秤支えの回 動開始からしばらくの間は、上糸はカム面に係合してゆっくりと繰り出され、引 出し部に係合した後は、急速に繰り出される。

【０００７】

【実施例】

図１ないし図４を参照し、この考案のミシンの糸繰り出し装置について説明す る。

【０００８】 このミシンの糸繰り出し装置は、第１ソレノイド１、エンコーダー２、糸案内 軸５、天秤支え４に固定された繰り出しレバー３、糸案内軸６及び図示省略した 第２ソレノイドを経て図示省略した上糸ボビンより引き出される上糸Ｙを天秤８ に案内する過程で、繰り出しレバー３の動作によって必要上糸量を繰り出すよう 構成されている。

【０００９】 第１ソレノイド１は、上部にソレノイドアマチュア１ａを備えており、通電（ オン）によってソレノイドアマチュア１ａを本体側に引き付け、本体とソレノイ ドアマチュア１ａとの間を通る上糸Ｙを挟持するものである。また、図示省略し た第２ソレノイドも同様な構成である。

【００１０】 第１ソレノイド１をオフとすると共に、図示省略した第２ソレノイドをオンと し、天秤支え４の動きにより繰り出しレバー３が回動すると、上糸Ｙが引き込ま れる。

【００１１】 このときの上糸Ｙの引き込み量の測定は、エンコーダー２によって行われる。 その上部には、移動する上糸Ｙによって回転する測長用のローラー２ａが設けら れている。

【００１２】 エンコーダー２の測定による上糸Ｙの引き込み量が設定値に達すると、第１ソ レノイド１がオン、第２ソレノイド１がオフとなり、第１ソレノイド１とソレノ イドアマチュア１ａとの間で糸を挟み、繰り出しレバー３による糸の引込みを停 止する。以上の動作は１針毎に行われる。

【００１３】 天秤支え４の一端は、ミシンフレームに設けられた天秤支え軸７に回動可能に 支持されており、他端は枢軸９によって天秤８に連結されている。従って、天秤 支え４は、天秤８の動きによって天秤支え軸７を中心として上下に回動すること ができる。

【００１４】 繰り出しレバー３は２本の糸案内軸５、６の間に配されており、天秤支え４が 天秤支え軸７を中心として揺動するときに、繰り出しレバー３も上下に回動し、 上糸Ｙが繰り出される。

【００１５】 繰り出しレバー３は鉤状になっており、その自由端の内側には、先端部より基 部に向けて、天秤支え軸７からの距離が徐々に縮小するカム面３ａ及びそれに続 く引出し部３ｂが形成されている。

【００１６】 このように構成されたミシンの上糸繰り出し装置における上糸Ｙの繰り出しは 、天秤支え４が最上位置から下方へ回動を開始し、繰り出しレバー３のカム面３ ａが糸案内軸５、６の間に張られた糸Ｙに接する時点から開始される。そして、 天秤支え４の下方への回動の進行に伴い、上糸Ｙは２本の糸案内軸５、６及びそ れらの取付け板５ａ、６ａとカム面３ａの間で屈曲され、徐々に繰り出される。 そして、繰り出しレバー３の引出し部３ｂが糸案内軸５、６の位置までくると、 上糸Ｙは引出し部３ｂに接するようになる。その後は天秤支え４の回動に応じて 更に上糸Ｙの糸繰り出しが行われる。

【００１７】 即ち、薄ものを縫製したり、細かいピッチで縫製する場合のように、上糸繰り 出し量が少ない場合には、上糸Ｙの繰り出しにカム面３ａが使われる。カム面３ ａによる上糸Ｙの繰り出しは、図４の１点鎖線で示すように、ゆっくりなされる ので、上糸Ｙの繰り出しは、正確に制御される。従って、縫い目のムラは全く気 にならない程に少なくなる。また、厚いもの縫製したり、大きなピッチで縫製す る場合のように、上糸繰り出し量が多い場合には、上糸Ｙの繰り出しにカム面３ ａ及び引出し部３ｂが使われる。引出し部３ｂによる上糸Ｙの繰り出しは、図４ に示すように、急速になされ、繰り出しムラが生じるが、厚いもの縫製したり、 大きなピッチで縫製する場合には、縫い目の多少のバラツキは目立たないので、 差し支えない。

【００１８】

【考案の効果】

この考案は、以上説明したように構成されているので、以下に記載するような 効果を奏する。

【００１９】 即ち、薄ものを縫製したり、細かいピッチで縫製する場合には、上糸をゆっく りと繰り出すことができるので、その繰り出しは正確であり、縫い目ムラはほと んど気にならなくなる。また、厚いものを縫製したり、大きなピッチで縫製する 場合にも、上糸の必要量を速やかに繰り出すことができる。更に、既存の天秤支 えに繰り出しレバーを取り付けるだけの簡単なものであるので、安価に製作する ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案のミシンの上糸繰り出し装置の平面図
である。

【図２】この考案のミシンの上糸繰り出し装置の正面図
である。

【図３】この考案のミシンの上糸繰り出し装置の側面図
である。

【図４】上軸の位相と上糸繰り出し量との関係を示す図
である。

【図５】カムによって繰り出しレバーを駆動する従来の
上糸繰り出し装置の平面図である。

【図６】図５に示す上糸繰り出し装置における繰り出し
レバーと繰り出しカムとの関係を示す正面図である。

【図７】天秤支えの動きによって繰り出しレバーを駆動
する従来の上糸繰り出し装置の側面図である。

【符号の説明】

１ 第１ソレノイド ２ エンコーダー ３ 繰り出しレバー ３ａ カム面 ３ｂ 引出し部 ４ 天秤支え ５ 糸案内軸 ６ 糸案内軸 ７ 天秤支え軸（天秤支えの揺動軸）

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】上糸繰り出し量に応じた角度で揺動する天
   秤支えに鉤状の繰り出しレバーが固定され、その自由端
   の内側に先端部より基部に向けて天秤支えの揺動軸から
   の距離が徐々に縮小するカム面及びそれに続く引出し部
   が形成されているミシンの上糸繰り出し装置。