JPH07275976A - ステイオンタブ式缶蓋及びその製造方法 - Google Patents

ステイオンタブ式缶蓋及びその製造方法

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JPH07275976A
JPH07275976A JP7188794A JP7188794A JPH07275976A JP H07275976 A JPH07275976 A JP H07275976A JP 7188794 A JP7188794 A JP 7188794A JP 7188794 A JP7188794 A JP 7188794A JP H07275976 A JPH07275976 A JP H07275976A
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勝巳 永井
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 パネル上におけるタブの回転を確実に防止す
ることができるステイオンタブ式缶蓋を提供すると共
に、その缶蓋を容易に効率良く製造することができる製
造方法を提供する。 【構成】 ステイオンタブ式缶蓋Aにおいて、リベット
2の近傍のパネル1に突起9を設ける。タブ3の略中央
部に形成された舌片4に、突起9に係合する係合穴10
を設ける。突起9の周壁は、パネル1面から上方に向か
って45°〜90°の角度を存して傾斜する。突起9の
周壁と係合穴10の内壁とを係合してタブ3の回転を阻
止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、缶入り飲料の飲み口等
を容易に開口することができるステイオンタブ式缶蓋及
びその製造方法に関し、特に、タブのリベット廻りの回
転が防止されたステイオンタブ式缶蓋及びその製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、実開平6−3827号公報に開示
されたステイオンタブ式缶蓋が知られている。図9に示
すように、この種のステイオンタブ式缶蓋Bは、パネル
40と、該パネル40の開口形状に沿って刻設されたス
コア41と、該パネル40上にリベット42を介して取
付られたタブ43とを備えている。該タブ43は、前記
スコア41に包囲される開口部44にその先端45が臨
むように設けられ、後端には開口作業時に手指を掛ける
把持部46が形成されている。該タブ43は、その略中
央部分に形成された舌片47を介して、前記リベット4
2によって固着されている。また、該リベット42の近
傍には、断面円弧状に突出する突起48が形成されてお
り、タブ43の舌片47には該突起48に係合する穴部
49が形成されている。
【0003】該缶蓋Bを開口するとき、タブ43の把持
部46側を起立させる。これにより、該タブ43は、前
記リベット42に固着された舌片47の一端縁47aを
介して揺動される。このとき、タブ43の先端が開口部
44を押圧する際に該タブ43が不用意にリベット42
廻りに回転されると、タブ43の先端45が開口部44
の所定の押圧位置からズレてしまうおそれがあるが、タ
ブ43は、舌片47の穴部49がパネル40の突起48
に係止されているので、リベット42廻りに回転するこ
とが防止されており、これによって、開口時には、タブ
43の先端45が開口部44の所定の位置を確実に押圧
して確実に開口することができる。
【0004】しかし、前記缶蓋Bは開口時のタブ43の
回転については十分に防止されているが、缶の製造時の
缶蓋の巻締工程において、例えば図示しないノックアウ
トパッド等が該缶蓋Bのタブ43に接触した際の衝撃に
よって、該タブ43に比較的大きな回転トルクが加えら
れた場合には、前記舌片47が突起48により回り止め
されていても該突起48による係止が外れて該タブ43
がリベット42廻りに回転してしまう不都合がある。
【0005】従って、缶の製造時において該タブ43の
回転を確実に防止するためには、前記舌片47の穴部4
9とパネル40の突起48との係合状態を更に確実とす
る必要がある。
【0006】そこで考えられるのは、前記突起48の突
出量を比較的大として穴部49からの離脱を阻止するこ
とである。
【0007】しかし、前記突起48は前記舌片47の穴
部49に係合可能な位置、即ち、リベット42の近傍に
設ける必要があり、リベット42の外周は、リベット4
2の成形時にリベット42に肉厚を寄せるコイニング加
工が行われるために比較的肉薄となっている。このた
め、前記突起48の突出量を増加させると、パネル40
裏面のリベット42外周の肉薄の部分やそこに被覆され
ている内面被覆層に亀裂が発生して金属が溶出する不都
合がある。また、パネル40やその被覆層の損傷を防止
するために、前記突起48の突出量を多数の工程によっ
て徐々に増加させることが考えられるが、工程数が増加
して作業効率が低下する不都合がある。
【0008】以上のことから、缶の製造時において、ノ
ックアウトパッド等がタブに接触しても該タブの回転を
確実に防止することができる形状の突起が望まれてお
り、また、そのような突起をパネルを損傷することなく
容易に効率よく成形することができる成形方法が望まれ
ていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】かかる不都合を解消し
て、本発明は、ステイオンタブ式缶蓋とその製造方法の
改良を目的とするものであり、具体的には、パネル上に
おけるタブの回転を確実に防止することができるステイ
オンタブ式缶蓋を提供すると共に、その缶蓋を容易に効
率良く製造することができる製造方法を提供することを
目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、種々の試験
の結果、缶の製造時におけるタブへのノックアウトパッ
ド等の接触に対抗しうるタブの回転トルクを検討した。
そして、パネルに設ける突起の周壁の傾斜を45°〜9
0°とし、該突起を舌片の穴部に係合させることによ
り、回り止め効果が向上することを知見した。
【0011】そこで、かかる目的を達成するために、本
発明のステイオンタブ式缶蓋は、開口形状に刻設した開
口用スコアと、該スコアを破断して開口する開口用タブ
と、該タブをパネル上に固着するリベットとを備えてな
るステイオンタブ式缶蓋において、前記パネルのリベッ
トの近傍を隆起させた突起を設け、前記タブの略中央部
に形成された舌片に、前記リベットを貫挿して固着され
るリベット穴と該リベット穴近傍で前記突起に係合する
係合穴とを設け、前記突起はパネル面から上方に向かっ
て45°〜90°の角度を存して傾斜する周壁を備え、
該周壁が前記係合穴の内壁と係合して前記舌片を介して
タブの回転を阻止することを特徴とする。
【0012】また、本発明のステイオンタブ式缶蓋の製
造方法は、板材を打ち抜いて成形された缶蓋素材のパネ
ルのリベット成形位置を該パネルの裏面側から押圧して
リベット成形用膨出部を成形する工程と、該リベット成
形用膨出部の外周の肉厚をリベット成形用膨出部周壁に
寄せるコイニング加工を行いつつリベットに近似した形
状に成形する工程と、リベットに近似した形状を所定の
リベットに成形する工程と、該リベット外周のコイニン
グ加工を行った部分を除く部分にコイニング加工を行い
つつ、該リベット外周のコイニング加工を行った部分及
びその近傍にかけてのパネルをその裏面側から押圧して
突起成形用膨出部を成形する工程と、開口形状に沿った
スコアを刻設する工程と、前記突起成形用膨出部の外周
を上方から拘束すると共に該突起成形用膨出部の下方か
ら押圧して前記突起成形用膨出部の周壁をパネル面から
上方に向かって45°〜90°の角度を存して起立させ
て該突起成形用膨出部を所定の突起に成形する工程と、
前記リベットに、前記タブの略中央部に備えられた舌片
に形成されたリベット穴を貫挿すると共に、該舌片のリ
ベット穴近傍に形成された係合穴を前記突起に係合させ
て該リベットをかしめてパネル上にタブを取り付ける工
程とを備えることを特徴とする。
【0013】該製造方法においては、前記所定のリベッ
トを成形する工程と、前記突起成形用膨出部を成形する
工程とを同時に行うことが好ましく、また、前記スコア
を刻設する工程と、前記所定の突起を成形する工程とを
同時に行うことが好ましい。
【0014】更に、前記所定の突起を成形する工程は、
前記突起成形用膨出部の外周と共にその頂部を上方から
拘束し、該突起成形用膨出部の下方から押圧して頂部を
略平坦とする突起に成形することが好ましい。
【0015】
【作用】本発明の缶蓋の突起は、その周壁の傾斜が45
°〜90°とされていることにより、該突起と前記舌片
の係合穴とが係合状態のとき、タブに大きなトルクが与
えられても、舌片が突起に乗り上げることが防止され
る。これにより、タブはリベット廻りに回転が阻止さ
れ、開口操作中や缶の製造時の不用意なタブの回転が防
止される。
【0016】本発明の缶蓋の製造方法は、先ず、缶蓋素
材のパネルのリベット成形位置にリベット成形用膨出部
が成形される。次いで、該リベット成形用膨出部がリベ
ットに近似した形状に成形される。該リベット成形用膨
出部は、その外周の余肉をリベット成形用膨出部周壁に
寄せるコイニング加工が行われながら成形される。その
後、リベットに近似した形状の前記リベット成形用膨出
部が所定のリベットに成形される。一方、リベット外周
のコイニング加工を行った部分及びその近傍にかけての
パネルには突起成形用膨出部が成形される。該突起成形
用膨出部は、その外周のうち、前記リベット外周のコイ
ニング加工が行われた部分を除く他の部分においてコイ
ニング加工が行われながら成形される。これにより、該
突起成形用膨出部は、その周壁に余肉が確保されながら
容易に成形される。しかも、このときのコイニング加工
により、突起成形用膨出部の外周が、前記リベット外周
のコイニング加工が行われた部分と同様の肉厚となる。
【0017】なお、所定のリベットを成形する際に、同
時に突起成形用膨出部の成形及び該突起成形用膨出部外
周のコイニング加工を行うようにすることが好ましく、
それによって、工程数の増加を防止することが可能とな
る。
【0018】次いで、開口形状に沿ったスコアが刻設さ
れる。一方、前記突起成形用膨出部の外周が拘束され、
その状態で該突起成形用膨出部の下方から押圧して、そ
の周壁がパネル面から上方に向かって45°〜90°の
角度を存するように起立される。これにより、前記リベ
ットの近傍に所定の突起が形成される。該突起が形成さ
れるとき、突起成形用膨出部の外周が、前記リベット外
周と均一の肉厚であることから、突起成形用膨出部の周
壁を45°〜90°の角度に起立させるといった比較的
大きな成形量を加えた際の応力が一部に集中することが
ない。従って、リベット外周やそこを被覆する被覆層に
亀裂等を発生させることのない突起の成形が可能とな
る。
【0019】なお、スコアを刻設する際に、同時に所定
の突起の成形を行うようにすることが好ましく、それに
よって、工程数の増加を防止することが可能となる。
【0020】その後、前記リベットに、タブのリベット
穴が貫挿されると共に、前記突起に前記タブの係合穴が
係合され、リベットがかしめられてパネル上にタブが取
り付けられる。
【0021】また、前記突起を成形する際には、前記突
起成形用膨出部の外周及び頂部が上方から拘束された状
態で、該突起成形用膨出部がその下方から押圧される。
これにより、突起の上部の余肉が周壁に向かって移動さ
れながら突起が成形されるので、その周壁を45°〜9
0°の角度に起立させるといった比較的大きな成形量が
与えられる突起の成形が容易となる。
【0022】
【実施例】本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
本実施例のステイオンタブ式缶蓋A(以下、缶蓋Aと言
う)は、図1に平面図を示すように、パネル1にリベッ
ト2を介して固着されたタブ3を備え、該タブ3はその
略中央部分のタブ3先端側に連設した舌片4を介して、
パネル1のリベット2によって固着されている。該タブ
3は、パネル1に刻設されたスコア5に包囲される開口
部6にその先端7が臨むように設けられ、後端には開口
作業時に手指を掛ける把持部8が形成されている。そし
て、パネル1のリベット2の近傍には、略円錐台形状に
突出する突起9が形成されており、タブ3の舌片4には
該突起9に係合される係合穴10が形成されている。該
突起9はパネル面から上方に向かって約70°の角度を
存して傾斜する周壁を備えている。パネル1の突起9と
舌片4の係合穴10とが係合状態であることにより、タ
ブ3はリベット2廻りに回転が阻止され、缶の製造時や
開口作業時に不用意にタブが回転することを防止するこ
とができる。
【0023】次に、前記缶蓋Aを製造する各工程を図2
乃至図6を参照して説明する。先ず、図2(a)及び図
4(a)に示すように、板材を打ち抜いて成形された円
盤状の缶蓋素材aのパネル3の中央部がリベット2の成
形に先立って余肉を確保しつつ押圧され、リベット成形
用の椀状の膨出部11が成形される。
【0024】次いで、図2(b)及び図4(b)に示す
ように、前記膨出部11は、該膨出部11の外周の肉厚
を該膨出部11の周壁に寄せるコイニング加工が行われ
ながら、リベット2に近似した形状に成形される。この
ときのコイニング加工によって膨出部11の周壁に余肉
が与えられつつ膨出部11は縮径される。一方、図4
(b)に示すように、膨出部11の外周のコイニング部
12aは肉厚が比較的薄くなる。
【0025】続いて、図3(a)及び図4(c)に示す
ように、前記膨出部11の形状が整えられて所定の形状
のリベット2が成形される。同時に、前記コイニング部
12a及びその近傍にかけてのパネル1に前記突起9の
成形に先立って突起成形用の膨出部13が成形される。
このとき、突起成形用の膨出部13は、その外周のう
ち、前記リベット2外周のコイニング部12aを除く他
の部分12bにおいてコイニング加工が行われながら成
形される。突起成形用の膨出部13の成形工程について
更に詳しく説明すれば、図5に示すように、パネル1裏
面に当接されるダイ14a,14bの上方に向かって下
型15により膨出部13の成形位置が押圧される。この
とき、上型16a,16bが膨出部13の外周に当接さ
れる。上型16aにはコイニング加工用の突出部17が
備えられており、前記リベット2外周のコイニング部1
2aを除く他の部分12bが該上型16aによって押さ
え付けられる。これにより、該上型16aの突出部17
に押圧されたパネル1の余肉が膨出部13の周壁に移動
して該周壁に余肉が与えられながら、下型15により膨
出部13が成形される。一方、上型16bによって、前
記リベット外周のコイニング部12aが押さえられ、そ
の肉厚は一定に維持される。これによって、膨出部13
外周のコイニング部12bは、前記リベット2外周のコ
イニング部12aと同様の厚さに成形され、その厚さは
均一とされる。
【0026】また、以上のように、前記膨出部11をリ
ベット2に近似した形状に成形する工程と、突起成形用
の膨出部13の成形及びその外周のコイニング加工を行
う工程とを同時に行うことにより、工程数の増加を防止
することができ、効率良く突起成形用の膨出部13を成
形することができる。なお、前記膨出部11をリベット
2に近似した形状に成形する工程の後に、突起成形用の
膨出部13の成形及びその外周にコイニング加工を行う
工程を行ってもよいことは勿論である。
【0027】更に、図3(a)に示すように、このとき
同時に、後述する工程によりタブ3を所定位置に取り付
けた際に該タブ3の先端部に臨む凹部18、後述する工
程で刻設されるスコア5の破断方向を案内する凹部1
9、スコア5の破断を容易とするためのビード20,2
1,22、また、タブ3の把持部8の外周を係止してタ
ブ3の回転を防止する一対の凸部23,24、及び、タ
ブ3の把持部8側端縁に対応する凹部25が成形され
る。該凹部25は、必ずしも必要ではないが、タブ3を
取り付けたとき、該タブ3の把持部8を把持し易くする
ために設けられるものである。
【0028】次いで、図3(b)に示すように、パネル
1に開口形状に沿ったスコア5が刻設され、同時に、該
スコア5に包囲される内方のパネル1にビード26が成
形される。更にこのとき、図3(b)及び図4(d)に
示すように、前記突起成形用の膨出部13の周壁が、パ
ネル1面から上方に向かって立ち上げられて該膨出部1
3の形状を略円錐台形状として、所定の形状の突起9が
形成される。該突起9の成形工程について更に詳しく説
明すれば、図6に示すように、前記膨出部13の下方か
ら下型26によって該膨出部13が押圧される。該下型
26は、前記突起9の裏側に対応する形状に近似して形
成されている。このとき、該膨出部13の上方には上型
27が当接される。該上型27は、該膨出部13の外周
に当接される外周当接部28と、該膨出部13の頂部1
3aに当接される頂部当接部29とによって構成されて
いる。これにより、該膨出部13は、上型27の外周当
接部28と頂部当接部29とによってその外周が拘束さ
れた状態で下型26に押圧され、その周壁がパネル1に
対して更に立ち上げられる。前記膨出部13の外周のコ
イニング部12bは、前記リベット2外周のコイニング
部12aと均一の厚さに形成されている。これにより、
一部に成形時の応力が集中することがないので、該膨出
部13の外周のコイニング部12b及びリベット2外周
のコイニング部12aの肉薄の部分への影響を小として
突起9が成形される。更に、前記下型26による押圧時
に膨出部13の頂部13aが拘束されていることによ
り、突起9が成形されながら膨出部13の頂部13aの
余肉が周壁に向かって移動するので、その周壁を起立さ
せるといった大きな成形量を必要とする突起9の成形が
容易となるだけでなく、リベット2外周やそこを被覆す
る被覆層に亀裂等が生じることのない突起9の成形が可
能となる。そして、このような下型26と上型27との
押圧により、突起9の周壁のパネル1面を基準とする傾
斜角度θが約70°に形成される。
【0029】また、以上のように、スコア5を刻設する
工程と、所定の形状の突起9を成形する工程とを同時に
行うことにより、工程数の増加が防止でき、効率良く突
起9を成形することができる。なお、スコア5を刻設し
た後に所定の形状の突起9を成形してもよく、所定の形
状の突起9を成形した後にスコア5を刻設してもよい。
【0030】続いて、図3(c)に示すように、パネル
1上にタブ3が取り付けられる。該タブ3は、図4
(e)に示すように、その舌片4に形成されたリベット
穴30がパネル1のリベット2に貫挿され、且つ、該リ
ベット穴30の近傍に形成された係合穴10がパネル1
の突起9に係合される。そして、前記リベット2が上方
から押し潰される。このように、タブ3は、かしめられ
たリベット2によってパネル1上に固着される。しか
も、パネル1の突起9と舌片4の係合穴10との係合に
よってタブ3の回転が阻止される。
【0031】また、前記実施例の方法は缶蓋素材aの肉
厚が比較的薄い場合に好適な缶蓋Aの製造方法である
が、缶蓋素材aの肉厚が比較的厚い場合には、所定の形
状の突起9が形成される工程における他の実施例とし
て、突起成形用膨出部13の頂部13aを拘束しない状
態での突起9の成形が可能となる。
【0032】詳しく説明すれば、図7に示すように、前
記突起成形用の膨出部13を、前記突起9の裏側に対応
する形状に近似して形成された下型31と、該膨出部1
3の外周に当接される上型32とによって押圧する。該
膨出部13の外周には前述の実施例と同様に、膨出部1
3を成形する際にコイニング加工されたコイニング部1
2bが、リベット2外周のコイニング部12aと均一の
肉厚に成形されている。これにより、先ず、該膨出部1
3の外周に上型32が当接された状態で、前記下型31
によって膨出部13が押圧される。該膨出部13は、上
型32によってその外周が拘束された状態で、その周壁
が該下型31によってパネル1面に対して立ち上げられ
る。このとき、該膨出部13の外周のコイニング部12
bは、前記リベット2外周のコイニング部12aと均一
の厚さに形成されており、一部に成形時の応力が集中す
ることがないので、該膨出部13外周のコイニング部1
2b及びリベット2外周のコイニング部12aの肉薄の
部分への影響を小として突起9を成形することができ
る。これにより、リベット2外周やそこを被覆する被覆
層に亀裂等が生じることが防止される。
【0033】本発明者は、本実施例の缶蓋Aにおいて、
突起9の周壁の傾斜角度θと、該突起9に係合された係
合穴10が該突起9から離脱する際のタブの回転トルク
との関係を確認する試験を行った。試験の結果、図6及
び図8に示すように、突起9の周壁の傾斜角度θが30
°のとき、タブが回転されるときのトルクは1.25Kg
f-cmと比較的小さく、前記角度θが45°のとき、タブ
の回転トルクは1.55Kgf-cmを得ることができた。そ
して、タブの回転トルクは、前記角度θが60°のとき
に2.1Kgf-cmと飛躍的に向上し、前記角度θが75°
のときではタブの回転トルクが3.25Kgf-cmとなるこ
とが確認された。一方、缶の製造時におけるタブ3への
ノックアウトパッド等の接触に対抗しうるタブの回転ト
ルクとしては、1.5Kgf-cm以上が望まれる。従って、
缶の製造時にタブ3にノックアウトパッド等が接触して
も、回転が防止できるタブ3の回転トルクを得るために
は、本試験によって、突起9の周壁の傾斜角度θを45
°以上とすることが必要であり、好ましくは、該角度θ
を60°以上とすればよいことが明らかとなった。
【0034】
【発明の効果】以上のことから明らかなように、本発明
の缶蓋は、前記パネル上に突出させた突起を、その周壁
の傾斜を45°〜90°として前記タブの舌片の係合穴
に係合させる。これにより、缶の製造時にタブにノック
アウトパッド等が接触しても、前記パネル上における前
記タブの不用意な回転を確実に防止することができる。
【0035】また、本発明の方法によれば、前記突起成
形用膨出部をリベット外周のコイニング加工を行った部
分及びその近傍にかけてのパネルに成形する際には、該
膨出部の外周のうち、前記リベット外周のコイニング加
工が行われた部分を除く他の部分においてコイニング加
工が行われるので、該膨出部の周壁に余肉を移動させな
がら突起成形用膨出部を容易に成形することができる。
更に、このときのコイニング加工により該膨出部の外周
のパネルの肉厚が均一とされて、該膨出部を所定の形状
の突起に成形する際に比較的大きな成形量が加えられて
も、一部に応力が集中することがないので、リベット外
周やそこを被覆する被覆層に亀裂等を発生させることな
く前記突起を成形することができる。
【0036】更に、前記突起成形用膨出部の成形及びそ
の外周のコイニング加工を、前記所定のリベットを成形
する際に同時に行い、また、所定の突起の成形を、スコ
アを刻設する際に同時に行うことにより、工程数の増加
を防止して作業効率を向上させることができる。
【0037】更に、前記突起を成形する際に、前記突起
成形用膨出部の外周及び頂部を上方から拘束することに
より、該膨出部の下方から押圧したとき比較的大きな成
形量が加えられても、突起の上部の余肉を周壁に向かっ
て移動させながら突起が成形されるので、パネルの肉厚
が比較的薄い場合であっても、突起を容易に成形するこ
とができると共に、リベット外周やそこを被覆する被覆
層の亀裂等の発生を確実に防止することができる。
【0038】従って、本発明によれば、パネル上におけ
るタブの回転を確実に防止することができるステイオン
タブ式缶蓋を提供することができると共に、その缶蓋を
容易に効率良く製造することができる製造方法を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の缶蓋を示す説明的平面図。
【図2】各工程において形成される缶蓋の説明的平面
図。
【図3】図2に続く各工程において形成される缶蓋の説
明的平面図。
【図4】各工程において形成される缶蓋の要部の説明的
断面図。
【図5】突起成形用膨出部の成形工程を示す要部の説明
的断面図。
【図6】突起の成形工程を示す要部の説明的断面図。
【図7】他の実施例における突起の成形工程を示す要部
の説明的断面図。
【図8】突起の周壁の傾斜角度とタブの回転トルクとの
関係を示す線図。
【図9】従来の缶蓋を示す平面図。
【符号の説明】
A…ステイオンタブ式缶蓋、1…パネル、2…リベッ
ト、3…タブ、4…舌片、5…スコア、9…突起、10
…係合穴、11…リベット成形用膨出部、13…突起成
形用膨出部、30…リベット穴。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】開口形状に刻設した開口用スコアと、該ス
    コアを破断して開口する開口用タブと、該タブをパネル
    上に固着するリベットとを備えてなるステイオンタブ式
    缶蓋において、 前記パネルのリベットの近傍を隆起させた突起を設け、
    前記タブの略中央部に形成された舌片に、前記リベット
    を貫挿して固着されるリベット穴と該リベット穴近傍で
    前記突起に係合する係合穴とを設け、前記突起はパネル
    面から上方に向かって45°〜90°の角度を存して傾
    斜する周壁を備え、該周壁が前記係合穴の内壁と係合し
    て前記舌片を介してタブの回転を阻止することを特徴と
    するステイオンタブ式缶蓋。
  2. 【請求項2】開口形状に刻設した開口用スコアと、該ス
    コアを破断して開口する開口用タブと、該タブをパネル
    上に固着するリベットとを備えてなるステイオンタブ式
    缶蓋の製造方法において、 板材を打ち抜いて成形された缶蓋素材のパネルのリベッ
    ト成形位置を該パネルの裏面側から押圧してリベット成
    形用膨出部を成形する工程と、 該リベット成形用膨出部の外周の肉厚をリベット成形用
    膨出部周壁に寄せるコイニング加工を行いつつリベット
    に近似した形状に成形する工程と、 リベットに近似した形状を所定のリベットに成形する工
    程と、 該リベット外周のコイニング加工を行った部分を除く部
    分にコイニング加工を行いつつ、該リベット外周のコイ
    ニング加工を行った部分及びその近傍にかけてのパネル
    をその裏面側から押圧して突起成形用膨出部を成形する
    工程と、 開口形状に沿ったスコアを刻設する工程と、 前記突起成形用膨出部の外周を上方から拘束すると共に
    該突起成形用膨出部の下方から押圧して前記突起成形用
    膨出部の周壁をパネル面から上方に向かって45°〜9
    0°の角度を存して起立させて該突起成形用膨出部を所
    定の突起に成形する工程と、 前記リベットに、前記タブの略中央部に備えられた舌片
    に形成されたリベット穴を貫挿すると共に、該舌片のリ
    ベット穴近傍に形成された係合穴を前記突起に係合させ
    て該リベットをかしめてパネル上にタブを取り付ける工
    程とを備えることを特徴とするステイオンタブ式缶蓋の
    製造方法。
  3. 【請求項3】前記所定のリベットを成形する工程と、前
    記突起成形用膨出部を成形する工程とを同時に行うこと
    を特徴とする請求項2記載のステイオンタブ式缶蓋の製
    造方法。
  4. 【請求項4】前記スコアを刻設する工程と、前記所定の
    突起を成形する工程とを同時に行うことを特徴とする請
    求項2又は3記載のステイオンタブ式缶蓋の製造方法。
  5. 【請求項5】前記所定の突起を成形する工程は、前記突
    起成形用膨出部の外周及び頂部を上方から拘束し、該突
    起成形用膨出部の下方から押圧して頂部を略平坦とする
    突起に成形することを特徴とする請求項2乃至4の何れ
    かに記載のステイオンタブ式缶蓋の製造方法。
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