JPH07267734A - 粒子分散窒化珪素質焼結体及びその製造方法 - Google Patents
粒子分散窒化珪素質焼結体及びその製造方法Info
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- JPH07267734A JPH07267734A JP6062527A JP6252794A JPH07267734A JP H07267734 A JPH07267734 A JP H07267734A JP 6062527 A JP6062527 A JP 6062527A JP 6252794 A JP6252794 A JP 6252794A JP H07267734 A JPH07267734 A JP H07267734A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】 高密度で、高い機械的強度及び高い靭性を有
する粒子分散窒化珪素質焼結体、及びその安価な製造方
法を提供する。 【構成】 1種類以上の希土類酸化物、酸化マグネシウ
ム、窒化クロム、炭化珪素、及び、残部が窒化珪素と窒
化珪素中に不可避的に含まれる酸化珪素からなる。その
製造方法は、1種類以上の希土類酸化物、酸化マグネシ
ウム、窒化クロム、炭化珪素、及び残部が窒化珪素と窒
化珪素中に不可避的に含まれる酸化珪素からなる混合粉
末を成形し、該成形体を窒素ガスを含む雰囲気中145
0〜1650℃の温度範囲で焼結する。
する粒子分散窒化珪素質焼結体、及びその安価な製造方
法を提供する。 【構成】 1種類以上の希土類酸化物、酸化マグネシウ
ム、窒化クロム、炭化珪素、及び、残部が窒化珪素と窒
化珪素中に不可避的に含まれる酸化珪素からなる。その
製造方法は、1種類以上の希土類酸化物、酸化マグネシ
ウム、窒化クロム、炭化珪素、及び残部が窒化珪素と窒
化珪素中に不可避的に含まれる酸化珪素からなる混合粉
末を成形し、該成形体を窒素ガスを含む雰囲気中145
0〜1650℃の温度範囲で焼結する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、機械的強度及び靭性の
優れた粒子分散窒化珪素質焼結体及びその製造方法に関
するものである。
優れた粒子分散窒化珪素質焼結体及びその製造方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】窒化珪素(Si3 N4 )は共有結合性の
強い物質であり、単味では焼結が困難であるため、種々
の添加物を加えて、一般に1700℃以上の高温にて焼
結されている。例えば酸化イットリウム(Y2 O3 )と
酸化アルミニウム(Al2 O3)を添加した系では、耐
熱衝撃性においては優れたものが得られているが、耐熱
性、機械的強度、靭性に劣っている場合があった。耐熱
性を向上させることを目的として、特開昭62−207
766号公報に開示されているY2 O3 +Al2O3 +
窒化アルミニウム(AlN)を添加した系、特開昭62
−207765号公報に開示されているY2 O3 +酸化
セリウム(CeO2 )+MgOを添加した系等が試みら
れており、耐熱性の向上等に効果が認められることが知
られている。また特開昭57−51175号公報では、
MgO+SiO2 の焼結助剤に加えて、Ti,V,C
r,Zr等の炭化物、窒化物を添加した系が試みられて
おり、耐摩耗性の向上が知られている。さらに、特開昭
63−309824号公報では、希土類酸化物+MgO
に珪化チタンまたは/及び珪化ジルコニウムを加えた系
が試みられており、比較的高い強度と靭性が得られるこ
とが知られている。
強い物質であり、単味では焼結が困難であるため、種々
の添加物を加えて、一般に1700℃以上の高温にて焼
結されている。例えば酸化イットリウム(Y2 O3 )と
酸化アルミニウム(Al2 O3)を添加した系では、耐
熱衝撃性においては優れたものが得られているが、耐熱
性、機械的強度、靭性に劣っている場合があった。耐熱
性を向上させることを目的として、特開昭62−207
766号公報に開示されているY2 O3 +Al2O3 +
窒化アルミニウム(AlN)を添加した系、特開昭62
−207765号公報に開示されているY2 O3 +酸化
セリウム(CeO2 )+MgOを添加した系等が試みら
れており、耐熱性の向上等に効果が認められることが知
られている。また特開昭57−51175号公報では、
MgO+SiO2 の焼結助剤に加えて、Ti,V,C
r,Zr等の炭化物、窒化物を添加した系が試みられて
おり、耐摩耗性の向上が知られている。さらに、特開昭
63−309824号公報では、希土類酸化物+MgO
に珪化チタンまたは/及び珪化ジルコニウムを加えた系
が試みられており、比較的高い強度と靭性が得られるこ
とが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記材料で
は、耐熱衝撃性、耐熱性は優れるものの、機械的強度及
び靭性を飛躍的に改善するには至っていないため、より
厳しい使用環境下、特に高応力の生じる自動車エンジン
部材等の構造部材へ適用するに当たっては信頼性に欠け
る等の問題点があった。従って、耐熱性の向上に加え
て、機械的強度及び靭性のさらに向上したものが望まれ
る。また、製品の製造に関しては、窒化珪素焼結体の焼
結温度が一般に1700℃以上と高く、炉の短寿命化、
高い運転コスト等が操業上の問題となっている場合が多
い。
は、耐熱衝撃性、耐熱性は優れるものの、機械的強度及
び靭性を飛躍的に改善するには至っていないため、より
厳しい使用環境下、特に高応力の生じる自動車エンジン
部材等の構造部材へ適用するに当たっては信頼性に欠け
る等の問題点があった。従って、耐熱性の向上に加え
て、機械的強度及び靭性のさらに向上したものが望まれ
る。また、製品の製造に関しては、窒化珪素焼結体の焼
結温度が一般に1700℃以上と高く、炉の短寿命化、
高い運転コスト等が操業上の問題となっている場合が多
い。
【0004】本発明は上記の如き課題を解決するために
行なわれたものである。すなわち、本発明の目的は、高
密度で、高い機械的強度及び高い靭性を有する粒子分散
窒化珪素質焼結体、及びその安価な製造方法を提供する
ことにある。
行なわれたものである。すなわち、本発明の目的は、高
密度で、高い機械的強度及び高い靭性を有する粒子分散
窒化珪素質焼結体、及びその安価な製造方法を提供する
ことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の粒子分散窒化珪
素質焼結体は、1種類以上の希土類酸化物1〜8重量
%、酸化マグネシウム(MgO)1〜8重量%、窒化ク
ロム(Cr2 N)1〜8重量%、炭化珪素(SiC)
0.1〜3重量%、及び、残部が窒化珪素(Si
3N4 )とSi3 N4 中に不可避的に含まれる酸化珪素
(SiO2 )からなることを特徴とするものである。
素質焼結体は、1種類以上の希土類酸化物1〜8重量
%、酸化マグネシウム(MgO)1〜8重量%、窒化ク
ロム(Cr2 N)1〜8重量%、炭化珪素(SiC)
0.1〜3重量%、及び、残部が窒化珪素(Si
3N4 )とSi3 N4 中に不可避的に含まれる酸化珪素
(SiO2 )からなることを特徴とするものである。
【0006】本発明の焼結体は、希土類酸化物が少なく
とも1種類以上含まれるが、本発明の希土類酸化物とし
ては、例えばY2 O3 ,CeO2 ,酸化ネオジウム(N
d2O3 )等が挙げられる。希土類元素の酸化物は窒化
珪素の焼結時にα相からβ相への結晶相転移をその融液
中で促進させる機能を持ち、さらに窒化珪素の柱状相を
生成することにより強度靭性を向上させる。これらの成
分の合計が、8重量%を超えると得られた焼結体の高温
での機械的強度が低下するので、8重量%以下であるこ
とが好ましい。また1重量%より少ないと融液が不十分
で十分な緻密化がなされないため好ましくない。従って
その添加量としては1〜8重量%の範囲であることが望
ましい。
とも1種類以上含まれるが、本発明の希土類酸化物とし
ては、例えばY2 O3 ,CeO2 ,酸化ネオジウム(N
d2O3 )等が挙げられる。希土類元素の酸化物は窒化
珪素の焼結時にα相からβ相への結晶相転移をその融液
中で促進させる機能を持ち、さらに窒化珪素の柱状相を
生成することにより強度靭性を向上させる。これらの成
分の合計が、8重量%を超えると得られた焼結体の高温
での機械的強度が低下するので、8重量%以下であるこ
とが好ましい。また1重量%より少ないと融液が不十分
で十分な緻密化がなされないため好ましくない。従って
その添加量としては1〜8重量%の範囲であることが望
ましい。
【0007】MgOは上記希土類酸化物と共に焼結時に
液相を形成するが、その融点を希土類酸化物単味の場合
に比べて低下させる効果を持ち、より焼結相転移を促進
し、ひいては低温にての緻密化を助長する作用を持つ。
また、MgOを添加すると焼結過程で生成する柱状相の
アスペクト比(長軸と短軸の比)が大きくなり、かつ短
軸の径が大きくなる性質を有するため靭性の向上が図ら
れる。本発明の焼結体は、1〜8重量%のMgOからな
るが、8重量%より多いと組織の均質性が損なわれ、ま
た1重量%より少ないと十分なアスペクト比が得られな
い。
液相を形成するが、その融点を希土類酸化物単味の場合
に比べて低下させる効果を持ち、より焼結相転移を促進
し、ひいては低温にての緻密化を助長する作用を持つ。
また、MgOを添加すると焼結過程で生成する柱状相の
アスペクト比(長軸と短軸の比)が大きくなり、かつ短
軸の径が大きくなる性質を有するため靭性の向上が図ら
れる。本発明の焼結体は、1〜8重量%のMgOからな
るが、8重量%より多いと組織の均質性が損なわれ、ま
た1重量%より少ないと十分なアスペクト比が得られな
い。
【0008】Cr2 Nは、焼結後に焼結体中に分散粒子
として残留し、Si3 N4 相、粒界相との熱膨張係数
差、ヤング率の相異等により、分散粒子近傍に残留応力
を発生させ、破壊の際の破壊エネルギーを向上させる効
果を持ち、靭性を著しく向上させる作用を持つ。本発明
の焼結体ではCr2 Nを1〜8重量%含むが、8重量%
より多く添加すると高温での耐酸化性が低下し、また1
重量%より少ないと靭性の向上に十分寄与が認められな
い。また、分散させるCr2 Nの粒子径としては、平均
結晶粒径の範囲が、0.5〜10μmであることが好ま
しい。0.5μmより小さいと靭性への寄与が得られ難
く、また、10μmより大きいと強度の低下を招く。
として残留し、Si3 N4 相、粒界相との熱膨張係数
差、ヤング率の相異等により、分散粒子近傍に残留応力
を発生させ、破壊の際の破壊エネルギーを向上させる効
果を持ち、靭性を著しく向上させる作用を持つ。本発明
の焼結体ではCr2 Nを1〜8重量%含むが、8重量%
より多く添加すると高温での耐酸化性が低下し、また1
重量%より少ないと靭性の向上に十分寄与が認められな
い。また、分散させるCr2 Nの粒子径としては、平均
結晶粒径の範囲が、0.5〜10μmであることが好ま
しい。0.5μmより小さいと靭性への寄与が得られ難
く、また、10μmより大きいと強度の低下を招く。
【0009】SiCは、焼結過程にて分散粒子として焼
結体中に残留し、β−Si3 N4 粒の粗大化を抑制する
効果を持ち、高い強度を得ると共に低温での緻密化を促
進する作用を持つ。本発明の焼結体では、SiCを0.
1〜3重量%含むが、0.1重量%未満では、β−Si
3 N4 結晶粒の粗大化抑制に十分寄与することができ
ず、また3重量%を超えると靭性が損なわれる。SiC
の平均結晶粒径の範囲としては、0.01〜0.2μm
であることが望ましい。0.01μmより小さいと焼結
過程で酸化されてSiO2 となってしまい、0.2μm
より大きいとβ−Si3 N4 粒の微細化に十分な効果を
示さない。
結体中に残留し、β−Si3 N4 粒の粗大化を抑制する
効果を持ち、高い強度を得ると共に低温での緻密化を促
進する作用を持つ。本発明の焼結体では、SiCを0.
1〜3重量%含むが、0.1重量%未満では、β−Si
3 N4 結晶粒の粗大化抑制に十分寄与することができ
ず、また3重量%を超えると靭性が損なわれる。SiC
の平均結晶粒径の範囲としては、0.01〜0.2μm
であることが望ましい。0.01μmより小さいと焼結
過程で酸化されてSiO2 となってしまい、0.2μm
より大きいとβ−Si3 N4 粒の微細化に十分な効果を
示さない。
【0010】本発明の粒子分散窒化珪素質焼結体には、
1種類以上の希土類酸化物1〜8重量%、MgO1〜8
重量%、Cr2 N1〜8重量%、SiC0.1〜3重量
%、Si3 N4 中に不可避的に含まれるSiO2 が含ま
れるが、これら組成の組み合わせにより高い強度と高い
靭性を得るという本課題が達成された。
1種類以上の希土類酸化物1〜8重量%、MgO1〜8
重量%、Cr2 N1〜8重量%、SiC0.1〜3重量
%、Si3 N4 中に不可避的に含まれるSiO2 が含ま
れるが、これら組成の組み合わせにより高い強度と高い
靭性を得るという本課題が達成された。
【0011】本発明の粒子分散窒化珪素質焼結体の製造
方法は、1種類以上の希土類酸化物1〜8重量%、Mg
O1〜8重量%、Cr2 N1〜8重量%、SiC0.1
〜3重量%、及び残部がSi3 N4 とSi3 N4 中に不
可避的に含まれるSiO2 からなる混合粉末を成形し、
該成形体を窒素ガスを含む雰囲気中1450〜1650
℃の温度範囲で焼結するものである。
方法は、1種類以上の希土類酸化物1〜8重量%、Mg
O1〜8重量%、Cr2 N1〜8重量%、SiC0.1
〜3重量%、及び残部がSi3 N4 とSi3 N4 中に不
可避的に含まれるSiO2 からなる混合粉末を成形し、
該成形体を窒素ガスを含む雰囲気中1450〜1650
℃の温度範囲で焼結するものである。
【0012】本発明において使用される窒化珪素粉末は
α型もしくはβ型の結晶構造を持つ窒化珪素粉末で焼結
時に十分に高い嵩密度とするためには、平均粒径2μm
以下の微粒子であることが望ましい。焼結助剤として添
加する希土類酸化物、MgOも均質かつ高密度の焼結体
を得るためには平均粒径が2μm以下の微粒子であるこ
とが好ましい。
α型もしくはβ型の結晶構造を持つ窒化珪素粉末で焼結
時に十分に高い嵩密度とするためには、平均粒径2μm
以下の微粒子であることが望ましい。焼結助剤として添
加する希土類酸化物、MgOも均質かつ高密度の焼結体
を得るためには平均粒径が2μm以下の微粒子であるこ
とが好ましい。
【0013】本発明方法においては、これらの各成分の
混合は、水、アセトンもしくはn−ヘキサン等の溶媒を
用い、窒化珪素もしくは炭化珪素のポット及びボールを
用いて遊星型混合機で行なう。このように調整された混
合粉末を加圧成形し所定の形状の成形体とする。成形法
しては、公知の成形法により行なう。例えば、板状体で
は1軸成形圧10〜100MPa 、2次静水圧成形圧10
0〜700MPa で成形する。
混合は、水、アセトンもしくはn−ヘキサン等の溶媒を
用い、窒化珪素もしくは炭化珪素のポット及びボールを
用いて遊星型混合機で行なう。このように調整された混
合粉末を加圧成形し所定の形状の成形体とする。成形法
しては、公知の成形法により行なう。例えば、板状体で
は1軸成形圧10〜100MPa 、2次静水圧成形圧10
0〜700MPa で成形する。
【0014】この成形体を1450〜1650℃で加熱
焼結し、焼結体を得る。焼結方法としては、窒素ガスを
含む雰囲気にて、常圧焼結法、ガス圧焼結法、熱間静水
圧プラス焼結法、ホットプレス法の何れの方法も用いる
ことが可能であり、さらに1種もしくは複数の焼結法を
組み合わせることも可能である。窒素ガスを含む雰囲気
で焼結するのは、焼結中でのSi3 N4 の分解を抑制す
るためである。1450℃未満では十分高い密度が得ら
れずCr2 N粒子近傍に高い残留応力を発生させること
が困難であり、高い靭性が得られない。また、1650
℃より高い温度では、β−Si3 N4 結晶粒が粗大化
し、高い強度が得られない。
焼結し、焼結体を得る。焼結方法としては、窒素ガスを
含む雰囲気にて、常圧焼結法、ガス圧焼結法、熱間静水
圧プラス焼結法、ホットプレス法の何れの方法も用いる
ことが可能であり、さらに1種もしくは複数の焼結法を
組み合わせることも可能である。窒素ガスを含む雰囲気
で焼結するのは、焼結中でのSi3 N4 の分解を抑制す
るためである。1450℃未満では十分高い密度が得ら
れずCr2 N粒子近傍に高い残留応力を発生させること
が困難であり、高い靭性が得られない。また、1650
℃より高い温度では、β−Si3 N4 結晶粒が粗大化
し、高い強度が得られない。
【0015】焼結の際には希土類酸化物,MgO,Si
3 N4 中に不可避的に含まれるSiO2 からなる液相を
均一に分布させるために30分以上保持することが好ま
しい。
3 N4 中に不可避的に含まれるSiO2 からなる液相を
均一に分布させるために30分以上保持することが好ま
しい。
【0016】
【作用】本発明の粒子分散窒化珪素質焼結体には、1種
類以上の希土類酸化物、MgO、そして分散粒子として
Cr2 NとSiCが含まれるが、これら組成の組み合わ
せにより、得られた焼結体は、実質的にSi3 N4 粒か
らなる母相にある程度大きなCr2 N粒子と極微細なS
iCが共存する組織を呈し、抗折強さが室温で1200
MPa 以上の高強度、靭性が6.4MPam1/2 以上の高靭性
を有し、構造材料としての信頼性が高い。また低融点助
剤及び低温での緻密化を促進する微細SiC粒の組み合
わせ添加により通常の焼結温度より100〜200℃低
い1450〜1650℃の温度範囲にて焼結が可能であ
る。
類以上の希土類酸化物、MgO、そして分散粒子として
Cr2 NとSiCが含まれるが、これら組成の組み合わ
せにより、得られた焼結体は、実質的にSi3 N4 粒か
らなる母相にある程度大きなCr2 N粒子と極微細なS
iCが共存する組織を呈し、抗折強さが室温で1200
MPa 以上の高強度、靭性が6.4MPam1/2 以上の高靭性
を有し、構造材料としての信頼性が高い。また低融点助
剤及び低温での緻密化を促進する微細SiC粒の組み合
わせ添加により通常の焼結温度より100〜200℃低
い1450〜1650℃の温度範囲にて焼結が可能であ
る。
【0017】高信頼性でかつ複雑な形状の焼結体を安価
に得るためには、常圧焼結法を用いることが好ましい
が、特に、高い靭性を有する焼結体を得るためには、ガ
ス圧焼結法もしくは熱間静水圧プレス焼結法を用いるこ
とが望ましい。後述する実施例に示されているように、
熱間静水圧プレス焼結を施したもので、靭性値KICが9
MPam1/2 と極めて高い焼結体が得られている。
に得るためには、常圧焼結法を用いることが好ましい
が、特に、高い靭性を有する焼結体を得るためには、ガ
ス圧焼結法もしくは熱間静水圧プレス焼結法を用いるこ
とが望ましい。後述する実施例に示されているように、
熱間静水圧プレス焼結を施したもので、靭性値KICが9
MPam1/2 と極めて高い焼結体が得られている。
【0018】
【実施例】次に本発明の実施例を比較例と共に説明す
る。Si3 N4 粉末(平均粒径0.5μm)に希土類酸
化物粉末、MgO粉末(平均粒径0.3μm)、Cr2
N粉末及びSiC粉末を表1に示す所定量(重量%)添
加し、溶媒として水を用いて窒化珪素製ボールミルで2
4時間混練した。
る。Si3 N4 粉末(平均粒径0.5μm)に希土類酸
化物粉末、MgO粉末(平均粒径0.3μm)、Cr2
N粉末及びSiC粉末を表1に示す所定量(重量%)添
加し、溶媒として水を用いて窒化珪素製ボールミルで2
4時間混練した。
【0019】なお用いた希土類酸化物粉末は、Y2 O3
粉末(平均粒径0.5μm)、CeO2 粉末(平均粒径
0.8μm)、Nd2 O3 粉末(平均粒径1.0μm)
である。また、Cr2 N粉末、及びSiC粉末の平均粒
径は表1中に示す。
粉末(平均粒径0.5μm)、CeO2 粉末(平均粒径
0.8μm)、Nd2 O3 粉末(平均粒径1.0μm)
である。また、Cr2 N粉末、及びSiC粉末の平均粒
径は表1中に示す。
【0020】次いで得られた混合粉末を乾燥、成形後焼
結した。成形条件としては金型1軸成形圧50MPa 、冷
間静水圧による加圧150MPa とし、60mm×60mm×
10mmの板状体を得た。焼結としては、窒素ガス雰囲気
大気圧中にて、表1中に示す温度、圧力下にて行なっ
た。
結した。成形条件としては金型1軸成形圧50MPa 、冷
間静水圧による加圧150MPa とし、60mm×60mm×
10mmの板状体を得た。焼結としては、窒素ガス雰囲気
大気圧中にて、表1中に示す温度、圧力下にて行なっ
た。
【0021】本発明により得られた各焼結体の特性を焼
結助剤の添加量、焼結条件と共に表1に示す。機械的強
度については、JIS R1601に準拠し室温及び大
気雰囲気中1000℃にて4点曲げ試験を行ない、抗折
強さとして測定した。靭性についてはJIS R160
7のSEPB(Single Edge Pre-cracked Beam)法によ
り室温にて破壊靭性値KICを測定した。
結助剤の添加量、焼結条件と共に表1に示す。機械的強
度については、JIS R1601に準拠し室温及び大
気雰囲気中1000℃にて4点曲げ試験を行ない、抗折
強さとして測定した。靭性についてはJIS R160
7のSEPB(Single Edge Pre-cracked Beam)法によ
り室温にて破壊靭性値KICを測定した。
【0022】表1に示すように、本発明の実施例による
ものは抗折強さ、靭性共に優れるが、比較例に該当する
試料では本発明の実施例と比べて特に室温抗折強さ及び
靭性が劣ることが確認された。
ものは抗折強さ、靭性共に優れるが、比較例に該当する
試料では本発明の実施例と比べて特に室温抗折強さ及び
靭性が劣ることが確認された。
【0023】
【表1】
【0024】
【発明の効果】本発明によれば、上記の如く耐熱性を備
えた粒子分散窒化珪素質焼結体において、機械的強度、
靭性をより優れたものとすることが可能となった。この
ことにより信頼性の非常に優れた窒化珪素質焼結体の作
製が可能となり、1650℃未満の低温で製造可能なこ
とを併せてその工業的有用性は非常に大きい。
えた粒子分散窒化珪素質焼結体において、機械的強度、
靭性をより優れたものとすることが可能となった。この
ことにより信頼性の非常に優れた窒化珪素質焼結体の作
製が可能となり、1650℃未満の低温で製造可能なこ
とを併せてその工業的有用性は非常に大きい。
Claims (4)
- 【請求項1】 1種類以上の希土類酸化物1〜8重量
%、酸化マグネシウム(MgO)1〜8重量%、窒化ク
ロム(Cr2 N)1〜8重量%、炭化珪素(SiC)
0.1〜3重量%、及び、残部が窒化珪素(Si
3 N4 )とSi3 N4 中に不可避的に含まれる酸化珪素
(SiO2 )からなることを特徴とする粒子分散窒化珪
素質焼結体。 - 【請求項2】 窒化クロム(Cr2 N)の平均結晶粒径
の範囲が、0.5〜10μmである請求項1記載の粒子
分散窒化珪素質焼結体。 - 【請求項3】 炭化珪素(SiC)の平均結晶粒径の範
囲が、0.01〜0.2μmである請求項1あるいは2
記載の粒子分散窒化珪素質焼結体。 - 【請求項4】 1種類以上の希土類酸化物1〜8重量
%、酸化マグネシウム(MgO)1〜8重量%、窒化ク
ロム(Cr2 N)1〜8重量%、炭化珪素(SiC)
0.1〜3重量%、及び、残部が窒化珪素(Si
3 N4 )とSi3 N4 中に不可避的に含まれる酸化珪素
(SiO2 )からなる混合粉末を成形し、該成形体を窒
素ガスを含む雰囲気中1450〜1650℃の温度範囲
で焼結することを特徴とする粒子分散窒化珪素質焼結体
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06252794A JP3152558B2 (ja) | 1994-03-31 | 1994-03-31 | 粒子分散窒化珪素質焼結体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06252794A JP3152558B2 (ja) | 1994-03-31 | 1994-03-31 | 粒子分散窒化珪素質焼結体及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07267734A true JPH07267734A (ja) | 1995-10-17 |
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