JPH07101777A - 窒化ケイ素質焼結体およびその製造方法 - Google Patents

窒化ケイ素質焼結体およびその製造方法

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JPH07101777A
JPH07101777A JP5247123A JP24712393A JPH07101777A JP H07101777 A JPH07101777 A JP H07101777A JP 5247123 A JP5247123 A JP 5247123A JP 24712393 A JP24712393 A JP 24712393A JP H07101777 A JPH07101777 A JP H07101777A
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JP
Japan
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silicon nitride
type silicon
sintered body
less
particles
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JP5247123A
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English (en)
Inventor
Mamoru Mitomo
友 護 三
Naoto Hirosaki
崎 尚 登 広
Motohide Ando
藤 元 英 安
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Nissan Motor Co Ltd
National Institute for Research in Inorganic Material
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
National Institute for Research in Inorganic Material
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高強度でかつ高靭性が得られる窒化ケイ素質
焼結体を提供する。 【構成】 中心部にβ型窒化ケイ素βcを有し且つ中心
部の周りの周辺部にβ型サイアロンβsを有する複合構
造を持つβ型窒化ケイ素質粒子1を含む窒化ケイ素質焼
結体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車,機械装置,化
学装置,宇宙航空機器などの幅広い分野において使用さ
れる各種構造部品の素材として利用でき、室温および高
温において高い破壊靭性値と優れた強度を有するファイ
ンセラミックス材料としての窒化ケイ素質焼結体および
その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】窒化ケイ素を主成分とする焼結体は、常
温および高温で化学的に安定であり、高い機械的強度を
有するため、軸受などの摺動部材、ターボチャージャロ
ータなどのエンジン部材として好適な材料である。
【0003】従来より、高強度な窒化ケイ素質焼結体を
得るには、α型を主成分とする原料粉末が必要といわれ
ており、一般に、α型の含有率が90重量%以上の粉末
が市販されこれが使用されている。
【0004】従来、α型を主成分とする原料粉末を用い
るのは、 1.α型は微粉末であり、焼結性が高いこと、 2.焼結中にα型からβ型への相転移が起こり、柱状結
晶が発達した組織となることにより強度および靭性が向
上すること、 等の理由からであった。
【0005】しかしながら、上述したα型を出発原料と
する窒化ケイ素粉末は、α型の含有量を制御する必要が
あるため、原料粉末の合成過程が複雑になり、原料が高
価なものになるという問題点があった。
【0006】一方、β型を主成分とする窒化ケイ素粉末
としては、耐火物の原料として使用する粉末が知られて
いる。また、β型を主成分とする窒化ケイ素粉末を原料
とする焼結体としては、J.Am.Ceram.So
c.57巻25ページ(1974年)や、特開昭58−
151371号等に記載されたものが知られている。
【0007】しかし、β型を主成分とする窒化ケイ素粉
末は、粒子が粗く、α相の含有率が低いため、柱状組織
が得られず、高強度の焼結体は得られないことから、高
強度のβ型窒化ケイ素質焼結体を製造するための原料粉
末としては使用されていなかった。
【0008】本発明者の一人は、先に、高窒素下で高温
での焼結が可能となるガス圧焼結法を開発し、これを提
案した(特許第1,247,183号)。また、ガス圧
焼結法によると、従来焼結性が低いと考えられていたβ
型窒化ケイ素粉末を用いても、高密度まで焼結できるこ
とを示した(Journal of material
s science 第11巻第1103頁〜第110
7頁(1976年)および特公昭58−151371
号)。
【0009】さらに、高純度のβ型窒化ケイ素粉末の粒
度分布を調整することにより、高強度なβ型窒化ケイ素
質焼結体が得られることを示した(平成元年3月29日
付三友出願)。
【0010】さらにまた、低純度の粉末を用いても、適
度な粒度調整を行うことにより、比較的高強度の焼結体
が得られることを示した(特願平3−245868
号)。さらにまた、焼結助剤と焼結条件の最適化によ
り、焼結体の機械的特性が向上することを示した(特願
平3−246113号,特願平3−338844号,特
願平3−339008号)。さらにまた、Yb
主成分とすることにより、さらに信頼性が向上すること
を示した(特願平5−247073号)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
β型の窒化ケイ素を出発原料として焼結体を作る手法で
は、柱状粒子の発達によって靭性を向上させていたた
め、柱状粒子が長く延びすぎてしまい、強度が低下する
ことがあると言う欠点があり、このような欠点を解決す
ることが課題であった。
【0012】
【発明の目的】本発明は、上述した従来の課題にかんが
みてなされたものであって、靭性の向上を得るに際し
て、柱状粒子の発達だけでなく、粒内の複合化の効果を
加えることにより、適当な大きさの柱状粒子であっても
高い破壊靭性が得れることを狙い、高強度でかつ高靭性
が得られる窒化ケイ素質焼結体を提供することを目的と
している。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる窒化ケイ
素質焼結体は、中心部と周辺部とでβ型窒化ケイ素質の
特性が異なる複合構造を持つβ型窒化ケイ素質粒子を含
む構成としたことを特徴としており、とくに、粒子の中
心部にβ型窒化ケイ素を有し且つ中心部の周りの周辺部
にβ型サイアロンを有する複合構造を持つβ型窒化ケイ
素質粒子と酸化物あるいは酸窒化物の粒界相を有する構
成としたことを特徴としており、β型窒化ケイ素を有す
る中心部の周りの周辺部にβ型サイアロンを有する複合
構造を持つβ型窒化ケイ素質粒子を発達させることによ
り、適当な大きさの柱状粒子を持つ組織が得られ、高強
度と高靭性が両立した焼結体が得られることを新規に発
明した。
【0014】すなわち、図1に示すように、中心部にβ
型窒化ケイ素:βcを有し且つ中心部の近傍の周辺部に
β型サイアロン:βsを有する複合構造を持つβ型窒化
ケイ素質粒子1を含むものとすることにより、高強度と
高靭性が両立した焼結体が得られることを見い出した。
【0015】本発明において、靭性向上の機構は明確で
はないが、次のように考えられる。すなわち、通常の柱
状結晶を含む窒化ケイ素質焼結体では、亀裂が粒界を通
るとき柱状結晶により亀裂の架橋や引き抜けが起こり、
亀裂進展の抵抗となり、靭性が高くなる。しかし、亀裂
が粒子内を通るときは、粒子内が均一構造であるため、
亀裂進展の抵抗はない。これに対して、本発明における
中心部と周辺部の特性が異なる複合構造を持つ粒子で
は、亀裂が粒界を通ることによる靭性向上に加えて、亀
裂が粒子内を通るときも、周辺部と中心部で機械的特性
が異なるため、亀裂の偏向がおこり、靭性が向上する。
【0016】粗大粒子の発達は靭性向上に効果がある
が、長すぎる粗大粒子は通常の場合に強度の低下を伴
う。本発明では、粗大粒子を複合構造とすることによ
り、太くて短い(アスペクト比の低い)粗大粒子であっ
ても靭性が向上した。本発明では、粗大粒子の長さが短
いことから強度の低下は少ない。
【0017】本発明の窒化ケイ素質焼結体中に含まれる
柱状に発達した大きな粒子は、中心部と周辺部とで組成
などの特性が異なっており、とくに、中心部はβ型の窒
化ケイ素であり、周辺部はアルミニウムと酸素を含むβ
型のサイアロンである。
【0018】β型のサイアロンは、一般式、 Si6−zAl8−z (1) で表され、zが大きくなるほどアルミニウムと酸素の固
溶量が大きくなる。
【0019】本発明では、固溶量は特に規定しないが、
好ましくは、z=0.01から2の間の組成がよい。す
なわち、z=0.01よりも小さいと中心部と周辺部の
組成が近くなって、亀裂を偏向させる効果が小さくな
り、z=0.2よりも大きいと周辺部の固溶量が多くな
りすぎて、周辺部の靭性が低下する。
【0020】中心部と周辺部とからなる複合構造は、小
さい粒子が複合構造をとっても靭性向上の効果はある
が、大きい粒径を持つ粒子がこの構造をとると靭性向上
の効果はさらに大きい。この場合、焼結体の切断面にお
いて、直径2μm以上30μm以下の大きさの中心部を
持つβ型窒化ケイ素質粒子の断面積の割合が焼結体の切
断面の3面積%以上50面積%以下であるように、微構
造を制御すると、靭性向上の効果は大きい。
【0021】ここで、面積割合の測定は次の様に行う。
まず、焼結体から切断により適当な大きさの試験片を切
りだし、試験片の表面を鏡面に研磨する。この研磨面を
中心部と周辺部および粒界の区別が付くようにエッチン
グする。エッチングの手法は、例えば、CF−O
スを用いたプラズマエッチングによれば、これらの組織
の区別が付く、エッチング処理を施した試験片を走査型
電子顕微鏡で写真撮影し、中心部と周辺部からなる複合
構造を持つ粒子を見つける。一定面積の観察視野におい
て、複合構造を持つ粒子のうち、中心部の直径(図1に
示す最小径D)が2μm以上30μm以下であるものの
周辺部を含む粒子の面積を合計し、観察視野の面積との
割合を求める。この観察は、三次元の焼結体の二次元断
面を観察しているのであるから、本当は複合構造を持つ
粒子であっても、二次元の観察で中心部が見えないこと
もある。本発明では、このことも考慮に入れて面積割合
を決めている。
【0022】中心部の大きさは特に規定しないが、より
一層の靭性向上のためには、直径2μm以上30μm以
下の大きさを含む方が好ましい。すなわち、2μmより
も小さいと靭性向上の効果が少なく、30μmよりも大
きいと強度が低下する。さらに、直径2μm以上30μ
m以下の大きさの中心部を含む粒子の中心部と周辺部を
合わせた断面積の割合が焼結体の切断面の3面積%以上
50面積%以下であるように、微構造を制御すると、靭
性向上の効果は大きい。この場合、3面積%よりも少な
いと靭性向上の効果が小さく、50面積%よりも多いと
強度が低下する。
【0023】この焼結体の製造方法は特に限定しない
が、一例として、平均粒径1.5μm以下のβ型窒化ケ
イ素粉末に、直径2μm以上30μm以下の粒径のβ型
窒化ケイ素粉末を0.5重量%以上30重量%以下の量
を添加し、焼結助剤として(1)0.2重量%以上30
重量%以下の酸化アルミニウムおよび窒化アルミニウム
の片方あるいは両方、または、(2)0.2重量%以上
30重量%以下の酸化アルミニウムおよび窒化アルミニ
ウムの片方あるいは両方に周期律表のIIIa族元素の
酸化物,酸化マグネシウム,酸化カルシウム,酸化ジル
コニウムから選ばれる1種または2種以上の酸化物を
0.2重量%以上10重量%以下の量を添加して成形し
た後、1気圧以上500気圧以下の窒素ガス圧下で16
00℃以上2000℃以下の温度で焼成する方法を採用
することができる。
【0024】この製造方法では、添加した直径2μm以
上30μm以下の粒径のβ型窒化ケイ素粉末が焼結時に
おける結晶成長の核となり、β−Siの粒子の周
りに、β型サイアロンが粒成長して、本発明の微構造が
発現する。核となる粉末は、直径2μm以上30μm以
下の大きさの粒子が含まれていれば良く、2μm以下の
粒子を含んでいても構わない。また、β型窒化ケイ素の
原料粉末の平均粒径が1.5μmよりも大きいと、焼結
性が低下して強度が低下する。
【0025】そして、直径2μm以上30μm以下の粒
径のβ型窒化ケイ素粉末を核となる粉末中の直径2μm
以上30μm以下の有効な核の割合は、0.5重量%以
上30重量%以下の量がよい。ここで、直径が2μmよ
りも小さいと添加した粗大粒子の粒成長が不十分にな
り、靭性が低下する。また、30μmよりも大きいと粒
子が大きくなりすぎるために強度が低下する。そして、
添加量が0.5重量%よりも少ないと粗大粒子の割合が
少なくなるために靭性が低下する。また、添加量が30
重量%よりも多いと粗大粒子の割合が多くなりすぎるた
めに強度が低下する。
【0026】焼結助剤の組成と量は、粒子の周辺部の組
成および粒界相の組成と量を考えて決める。焼結助剤と
して、0.2重量%以上30重量%以下の酸化アルミニ
ウムおよび窒化アルミニウムの片方あるいは両方を用い
る場合は、β型サイアロンの周辺部とAl−Si−O−
N組成の粒界相から構成される焼結体が得られる。ここ
で、添加量が0.2重量%よりも少ないと焼結性が劣る
ため強度が低下する。また、添加量が30重量%よりも
多いと周辺部の粒子の靭性が低下するため焼結体の靭性
が低下する。
【0027】焼結性を向上させることによって、さらに
強度を上げるには、0.2重量%以上30重量%以下の
酸化アルミニウムおよび窒化アルミニウムの片方あるい
は両方に周期律表のIIIa族元素の酸化物,酸化マグ
ネシウム,酸化カルシウム,酸化ジルコニウムから選ば
れる1種または2種以上の酸化物を0.2重量%以上1
0重量%以下の量を加えた焼結助剤が使用される。周期
律表のIIIa族元素の酸化物,酸化マグネシウム,酸
化カルシウム,酸化ジルコニウムから選ばれる1種また
は2種以上の酸化物を0.2重量%以上10重量%の量
を添加するのは、0.2重量%よりも少ないと焼結性向
上の効果が少なく、10重量%よりも多いと粒界相の量
が多くなるため強度が低下するためである。
【0028】焼結は、1気圧以上500気圧以下の窒素
ガス圧下で1600℃以上2000℃以下の温度で行わ
れる。このとき、1気圧よりも低いと窒化ケイ素が熱分
解して緻密な焼結体が得られない。また、500気圧よ
りも高いと高圧のガスが焼結体の中に閉じ込められるた
め、緻密な焼結体が得られない。さらに、1600℃よ
りも低い焼成温度では緻密な焼結体が得られない。ま
た、2000℃より高い焼成温度では粒成長しすぎるた
めに強度が低下する。焼成時間は、助剤組成や焼成温度
により異なるが、通常は1時間から8時間で本発明の組
織が得られる。
【0029】
【実施例】実施例1 平均粒径0.5μmのβ型含有量95重量%の窒化ケイ
素粉末(粉末A):90重量%に、酸化イットリウム:
2重量%と酸化アルミニウム:2重量%を添加し、エタ
ノールを添加した湿式ボールミルにより94時間混合粉
砕した。次いで、この混合物に、平均粒径5μmでかつ
2μm以上30μm以下の粒子を60重量%含むβ型窒
化ケイ素粉末(粉末B):6重量%を添加して2時間ボ
ールミル混合した後、空気中でスプレードライヤーを用
いて乾燥し、次いで、20MPaの圧力で金型成形した
後、200MPaの圧力でラバープレスを行うことによ
り、6mm×6mm×50mmの成形体を得た。さら
に、この成形体を黒鉛のガス圧炉を用いて10気圧の窒
素ガス圧下において1900℃で4時間焼成して焼結体
を得た。
【0030】ここで得られた焼結体を800メッシュの
ダイヤモンドホイールで平面研削し、3mm×4mm×
40mmの形状に加工した後、JIS−R1601に準
じた室温3点曲げにより曲げ強さを求めると共に、JI
S−R1607に準じたSEPB法(試験片の3×40
mmの面にビッカース圧痕を加え、これから予亀裂を生
じさせ、この予亀裂から破壊する手法)により破壊靭性
値を求めた。この焼結体の気孔率は0.5%、室温3点
曲げ強さは980MPa、破壊靭性値は10.5MPa
√mであって、強度と靭性が両立した材料が得られた。
【0031】次に、焼結体の表面を鏡面に研磨加工した
後、7%の酸素ガスを含むCFガス中において40W
の出力でプラズマを発生させて、2分間のエッチングを
施した。そして、エッチングした焼結体を走査型電子顕
微鏡(SEM)で観察した。この焼結体の組織は、図2
に示すように、中心部と周辺部からなる粗大粒子を含む
微構造であり、走査型電子顕微鏡を用いたエネルギー分
散元素分析によれば、中心部からはアルミニウムが検出
されず、周辺部からはアルミニムが検出された。X線回
折および透過型電子顕微鏡の観察により、中心部はβ型
窒化ケイ素であり、周辺部はβ型サイアロンであること
が確かめられた。
【0032】このように、粗大粒子と微細粒子からなる
微構造を持つ焼結体において、粗大粒子がβ型の窒化ケ
イ素の中心部とβ型サイアロンの周辺部から構成される
構造とすることにより、強度と靭性が両立した窒化ケイ
素質焼結体を得ることができた。
【0033】比較例1 平均粒径0.5μmのβ型含有量95重量%の窒化ケイ
素粉末(粉末A)に、酸化イットリウム:2重量%と酸
化ネオジム:2重量%を添加し、エタノールを添加した
湿式ボールミルにより94時間混合粉砕した後、空気中
でスプレードライヤーを用いて乾燥し、次いで、20M
Paの圧力で金型成形した後、200MPaの圧力でラ
バープレスを行うことにより、6mm×6mm×50m
mの成形体を得た。さらに、この成形体を黒鉛のガス圧
炉を用いて、10気圧の窒素ガス圧下において1900
℃で4時間焼成して焼結体を得た。
【0034】次に、ここで得られた焼結体について、実
施例1と同様の手法によって、強度と靭性の測定および
微構造の観察を行った。この結果、この焼結体の気孔率
は0.3%、室温3点曲げ強さは880MPa、破壊靭
性値は6.5MPa√mであって、強度は高いものの靭
性は低いものであった。また、焼結体の組織は、中心部
と周辺部の区別がない粒子からなる均一な微構造であっ
た。
【0035】比較例2 平均粒径0.5μmのβ型含有量95重量%の窒化ケイ
素粉末(粉末A)に、酸化イットリウム:2重量%と酸
化アルミニウム:2重量%を添加し、エタノールを添加
した湿式ボールミルにより94時間混合粉砕した後、空
気中でスプレードライヤーを用いて乾燥し、次いで、2
0MPaの圧力で金型成形した後、200MPaの圧力
でラバープレスを行うことにより、6mm×6mm×5
0mmの成形体を得た。さらに、この成形体を黒鉛のガ
ス圧炉を用いて100気圧の窒素ガス圧下において20
00℃で4時間焼成して焼結体を得た。
【0036】次に、ここで得られた焼結体について、実
施例1と同様の手法によって、強度と靭性の測定および
微構造の観察を行った。この結果、この焼結体の気孔率
は1.5%、室温3点曲げ強さは550MPa、破壊靭
性値は9.5MPa√mであって、靭性は高いものの強
度は低いものであった。また、焼結体の組織は、靭性を
向上させるために粗大粒子を発達させたため、靭性は向
上したものの、長い粗大粒子により強度は低下した。
【0037】実施例2〜7 平均粒径0.5μmのβ型含有量95重量%の窒化ケイ
素粉末(粉末A)、または平均粒径0.8μmのβ型含
有量90重量%の窒化ケイ素粉末(粉末C)と、表1に
示す組成の焼結助剤を添加し、エタノールを添加した湿
式ボールミルにより94時間混合粉砕した。次いで、各
混合物に、平均粒径5μmでかつ2μm以上30μm以
下の粒子を60重量%含むβ型窒化ケイ素粉末(粉末
B)、または平均粒径3μmでかつ2μm以上30μm
以下の粒子を80重量%含むβ型窒化ケイ素粉末(粉末
D)を表1に示す量だけ添加して2時間ボールミル混合
した後、空気中でスプレードライヤーを用いて乾燥し、
次いで、20MPaの圧力で金型成形した後、200M
Paの圧力でラバープレスを行うことにより、6mm×
6mm×50mmの成形体を得た。さらに、各成形体を
黒鉛のガス圧炉を用いて表1に示す焼成条件で焼成して
焼結体を得た。
【0038】次に、ここで得られた焼結体について、実
施例1と同様の手法によって、強度と靭性の測定および
微構造の観察を行った。この結果、表1に示すように、
各焼結体は緻密で、高強度,高靭性であって、強度と靭
性が両立した材料が得られた。また、各焼結体の組織
は、いずれも中心部と周辺部からなる粗大粒子を含む微
構造であり、中心部からはアルミニウムが検出されず、
周辺部からはアルミニムが検出され、中心部はβ型窒化
ケイ素であり、周辺部はβ型サイアロンであった。
【0039】このように、粗大粒子と微細粒子からなる
微構造を持つ焼結体において、粗大粒子がβ型の窒化ケ
イ素の中心部とβ型サイアロンの周辺部から構成される
構造とすることにより、強度と靭性が両立した窒化ケイ
素質焼結体を得ることができた。
【0040】
【表1】
【0041】比較例3〜7 平均粒径0.5μmのβ型含有量95重量%の窒化ケイ
素粉末(粉末A)、または平均粒径0.8μmのβ型含
有量90重量%の窒化ケイ素粉末(粉末C)と、表2に
示す組成の焼結助剤を添加し、エタノールを添加した湿
式ボールミルにより94時間混合粉砕した。次いで、比
較例3,4の混合物に、平均粒径3μmでかつ2μm以
上30μm以下の粒子を80重量%含むβ型窒化ケイ素
粉末(粉末D)を表2に示す量だけ添加して、エタノー
ルを添加した湿式ボールミルにより94時間混合粉砕し
た。これに、核を添加する場合は、平均粒径5μmでか
つ2μm以上30μm以下の粒子を60重量%含むβ型
窒化ケイ素粉末(粉末B)を表2に示す量だけ添加して
2時間ボールミル混合した後、空気中でスプレードライ
ヤーを用いて乾燥し、次いで、20MPaの圧力で金型
成形した後、200MPaの圧力でラバープレスを行う
ことにより、6mm×6mm×50mmの成形体を得
た。さらに、各成形体を黒鉛のガス圧炉を用いて表2に
示す焼成条件で焼成して各焼結体を得た。
【0042】次に、ここで得られた焼結体について、実
施例1と同様の手法によって、強度と靭性の測定および
微構造の観察を行った。この結果、表2に示すように、
強度と靭性が両立した焼結体は得られなかった。また、
焼結体の組織は、比較例3,4,5の場合において、い
ずれも中心部と周辺部からなる粗大粒子が直径2μm以
上30μm以下の大きさの中心部を持つ粒子の断面積の
割合が焼結体の切断面の3面積%以上50面積%以下で
あるような組織は得られず、また、比較例6,7の場合
において、中心部と周辺部の区別がない粒子からなる均
一な微構造であった。
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】上述したところから明らかな様に、本発
明によれば、β型窒化ケイ素粉末を使用して、強度およ
び破壊靭性値がいずれも高い優れた特性を有する窒化ケ
イ素質焼結体を提供することができるという顕著な効果
がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による窒化ケイ素質焼結体の微構造を示
す説明図である。
【図2】本発明による窒化ケイ素質焼結体の組織を示す
模写図である。
【符号の説明】
1 複合構造を持つβ型窒化ケイ素質粒子 2 均一構造を持つβ型窒化ケイ素質粒子 βc 複合構造を持つβ型窒化ケイ素質粒子の中心部の
β型窒化ケイ素 βs 複合構造を持つβ型窒化ケイ素質粒子の周辺部の
β型サイアロン
【手続補正書】
【提出日】平成5年10月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】本発明による窒化ケイ素質焼結体の組織を示す
組織写真である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安 藤 元 英 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心部と周辺部とでβ型窒化ケイ素質の
    特性が異なる複合構造を持つβ型窒化ケイ素質粒子を含
    むことを特徴とする窒化ケイ素質焼結体。
  2. 【請求項2】 中心部にβ型窒化ケイ素を有し且つ中心
    部の周りの周辺部にβ型サイアロンを有する複合構造を
    持つβ型窒化ケイ素質粒子と酸化物あるいは酸窒化物の
    粒界相を有することを特徴とする請求項1に記載の窒化
    ケイ素質焼結体。
  3. 【請求項3】 焼結体の切断面において、直径2μm以
    上30μm以下の大きさの中心部を持つβ型窒化ケイ素
    質粒子の断面積の割合が焼結体の切断面の3面積%以上
    50面積%以下であることを特徴とする請求項1または
    2に記載の窒化ケイ素質焼結体。
  4. 【請求項4】 平均粒径1.5μm以下のβ型窒化ケイ
    素粉末に、直径2μm以上30μm以下の粒径のβ型窒
    化ケイ素粉末を0.5重量%以上30重量%以下の量を
    添加し、焼結助剤として(1)0.2重量%以上30重
    量%以下の酸化アルミニウムおよび窒化アルミニウムの
    片方あるいは両方、または、(2)0.2重量%以上3
    0重量%以下の酸化アルミニウムおよび窒化アルミニウ
    ムの片方あるいは両方に周期律表のIIIa族元素の酸
    化物,酸化マグネシウム,酸化カルシウム,酸化ジルコ
    ニウムから選ばれる1種または2種以上の酸化物を0.
    2重量%以上10重量%以下の量を添加して成形した
    後、1気圧以上500気圧以下の窒素ガス圧下で160
    0℃以上2000℃以下の温度で焼成することを特徴と
    する窒化ケイ素質焼結体の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009155126A (ja) * 2007-12-25 2009-07-16 Kyocera Corp 窒化珪素質焼結体およびその製法ならびに回路基板、パワー半導体モジュール
JP2010052969A (ja) * 2008-08-27 2010-03-11 Kyocera Corp 窒化珪素質焼結体およびその製法ならびに回路基板、パワー半導体モジュール

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