JPH07267730A - ロータリーコンプレッサー用ジルコニアベーン - Google Patents

ロータリーコンプレッサー用ジルコニアベーン

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JPH07267730A
JPH07267730A JP6083910A JP8391094A JPH07267730A JP H07267730 A JPH07267730 A JP H07267730A JP 6083910 A JP6083910 A JP 6083910A JP 8391094 A JP8391094 A JP 8391094A JP H07267730 A JPH07267730 A JP H07267730A
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sintered body
vane
rotor
zro
zirconia
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JP6083910A
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Takao Nishioka
隆夫 西岡
Akira Yamakawa
晃 山川
Matsuo Higuchi
松夫 樋口
Jihei Ukekawa
治平 請川
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
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Publication date
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04CROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
    • F04C29/00Component parts, details or accessories of pumps or pumping installations, not provided for in groups F04C18/00 - F04C28/00
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F01MACHINES OR ENGINES IN GENERAL; ENGINE PLANTS IN GENERAL; STEAM ENGINES
    • F01CROTARY-PISTON OR OSCILLATING-PISTON MACHINES OR ENGINES
    • F01C21/00Component parts, details or accessories not provided for in groups F01C1/00 - F01C20/00
    • F01C21/08Rotary pistons
    • F01C21/0809Construction of vanes or vane holders
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04CROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
    • F04C2210/00Fluid
    • F04C2210/26Refrigerants with particular properties, e.g. HFC-134a
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F05INDEXING SCHEMES RELATING TO ENGINES OR PUMPS IN VARIOUS SUBCLASSES OF CLASSES F01-F04
    • F05CINDEXING SCHEME RELATING TO MATERIALS, MATERIAL PROPERTIES OR MATERIAL CHARACTERISTICS FOR MACHINES, ENGINES OR PUMPS OTHER THAN NON-POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES OR ENGINES
    • F05C2203/00Non-metallic inorganic materials
    • F05C2203/08Ceramics; Oxides
    • F05C2203/0865Oxide ceramics
    • F05C2203/0895Zirconium oxide

Abstract

(57)【要約】 【目的】 軽量化と耐摩耗性の向上と同時に、HFC等
の塩素を含まないフルオロカーボンの冷却媒体雰囲気中
においても凝着や焼き付きが起こらず、優れた摺動特性
を発揮するロータリーコンプレッサー用ZrO2ベーン
を提供する。 【構成】 ZrO2を92〜98モル%含み且つY23
で安定化された部分安定化ジルコニア焼結体からなり、
焼結体のZrO2結晶の平均粒径が0.1〜0.6μm及
び最大粒径が2μm以下で、焼結体の3点曲げ強度の平
均値が120kg/mm2以上であり、ローターとの接
触面におけるローター回転方向の面粗さが十点平均最大
高さ粗さRZで1μm以下、及び同じ接触面におけるロ
ーター回転方向に直角方向の面粗さが十点平均最大高さ
粗さRZで0.6μm以下であるロータリーコンプレッサ
ー用ジルコニアベーン。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ロータリーコンプレッ
サーのローターとの摺動部品であるベーン、特に冷却媒
体としての代替フルオロカーボン雰囲気中での使用に適
したジルコニアベーンに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、冷蔵庫や冷凍機等に用いられる冷
却媒体として、フルオロカーボンの1種であるクロロフ
ルオロカーボン(CFC)が用いられ、その代表的なもの
がCFC12である。これらCFCの分子中には塩素が
含まれ、この塩素がコンプレッサーの摺動面における摺
動部品の凝着や焼き付きを防止する効果を有している。
この様に、冷却媒体であるCFC自身が有効な潤滑剤と
しての作用を兼ね備えているため、従来のコンプレッサ
ーの摺動部品は主に鋳鉄等の金属材料でも充分使用可能
であった。
【0003】ところが、近年に至って塩素による成層圏
におけるオゾン破壊が問題となり、CFC12に代表さ
れるクロロフルオロカーボンのような塩素を含む冷却媒
体の規制が進んでいる。このため、CFCに代わる代替
フルオロカーボン(以下代替フロンと称する)として、
分子中に塩素を含まないヒドロフルオロカーボン(HF
C)の使用が増え、中でもHFC134a等が有望視さ
れている。
【0004】しかしながら、HFC等の塩素を含まない
冷却媒体ではCFCのような潤滑剤としての作用が期待
できないため、金属材料からなる摺動部品では凝着や焼
き付きが生じ易くなる。従って、HFC等の塩素を含ま
ない冷却媒体を用いるコンプレッサーにおいては、凝着
や焼き付きが生じにくく且つ優れた摺動特性を有する摺
動部品材料の開発が急務となっている。特に、レシプロ
式に比べて摺動面の面圧が高く且つ摺動速度が速い等、
摺動環境が過酷であるロータリーコンプレッサーのロー
ターとベーンの場合、従来の金属材料からの代替えが極
めて重要な課題となっている。
【0005】こうした金属材料からの代替材料の試みと
して、特開昭60−71484号公報には、ロータリー
コンプレッサーのローター及びベーンをセラミックス材
料とし、軽量化と耐摩耗性の向上を図ることが提案され
ている。又、特開平5−71484号公報にはY23
部分安定化したZrO2ベーンが開示されている。この
発明によれば、部分安定化ZrO2は熱膨張係数が摺動
相手部材である鉄系材料と同程度であり、従って部材間
に隙間が生じないため冷却媒体の漏洩がなく、圧縮能力
の低下が防止されるとしている(同公報第2頁第1欄最
下行〜第2欄第6行参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ロータリーコンプレッ
サーの摺動部品をセラミックス材料で作製することは上
記のごとく従来から検討されているが、部分安定化Zr
2焼結体を単に用いるだけでは、近年要望されている
塩素を含まないHFC等の代替フロン冷却媒体の雰囲気
中で摺動特性が改善されることは期待できず、凝着や焼
き付きを防止することは困難であった。
【0007】本発明は、かかる従来の事情に鑑み、軽量
化と耐摩耗性の向上を達成すると同時に、HFC等の塩
素を含まないフルオロカーボンの冷却媒体雰囲気中にお
いても凝着や焼き付きが起こらず、優れた摺動特性を発
揮するロータリーコンプレッサー用ZrO2ベーンを提
供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明が提供するロータリーコンプレッサー用ジル
コニア(ZrO2)ベーンは、ZrO2を92〜98モル%
含み且つY23で安定化された部分安定化ジルコニア焼
結体からなり、焼結体を構成するジルコニア結晶の平均
粒径が0.1〜0.6μm及び最大粒径が2μm以下であ
って、焼結体のJIS R1601に準拠する3点曲げ
強度の平均値が120kg/mm2以上であり、ロータ
ーとの接触面におけるローター回転方向の面粗さが十点
平均最大高さ粗さRZで1μm以下、及びローターとの
接触面におけるローター回転方向に直角方向の面粗さが
十点平均最大高さ粗さRZで0.6μm以下であることを
特徴とする。
【0009】
【作用】本発明のロータリーコンプレッサー用ジルコニ
アベーンを構成するZrO2焼結体は、ZrO2を92〜
98モル%含み且つY23で安定化された部分安定化Z
rO2焼結体である。この焼結体に含まれるZrO2結晶
は正方晶と単斜晶の混合晶であるが、ZrO2含有量が
92モル%未満ではZrO2の結晶型が立方晶となり、
結晶相の応力誘起変態がなくなるため強度及び靭性が低
下し、ベーン材料として強度及び耐摩耗性の低下を招く
ので好ましくない。又、ZrO2含有量が98モル%を
越えると焼結時の緻密化が充分達成されず、やはり強度
及び耐摩耗性の低下を招く。
【0010】この焼結体はZrO2及びY23以外にA
23を含むことによって焼結性が向上し、ZrO2
晶を微細化させ、特に異常粒成長を抑制して最大結晶粒
径を小さくする効果がある。その結果、ZrO2焼結体
の強度特性や耐摩耗性、疲労特性を向上させることが出
来る。Al23の含有量は焼結体全体の2モル%以下で
あり、0.5〜1モル%の範囲が好ましい。尚、このZ
rO2焼結体は部分安定化剤としてY23を含み、その
含有量はZrO2に対して2〜8モル%の範囲が好まし
い。
【0011】一方、ロータリーコンプレッサーのベーン
は、使用中に100〜400℃の温度域で局部的に繰り
返し応力が作用したり、又始動及び終動時に温度が上昇
と下降を繰り返す等の過酷な環境にさらされるので、熱
サイクル疲労により内部にクラック等の欠陥が発生し、
これが使用中のベーンのチッピング等のトラブルにつな
がるものと考えられる。この問題に対して、ZrO2
晶の平均粒径を0.6μm以下及び最大粒径を2μm以
下に制御することが、熱サイクルに対する疲労特性の向
上に非常に有効であることが判明した。しかし、ZrO
2結晶の平均粒径は、0.1μm未満ではベーンのロータ
ー戸の接触部曲面を機械加工することが困難になり、又
0.6μmを越えると強度及び耐摩耗性も低下するの
で、0.1〜0.6μmの範囲とする。
【0012】摺動時の凝着や焼き付きを防止するために
は、ベーンのローターとの接触面における面粗さが極め
て重要である。即ち、ローター回転方向の面粗さが十点
平均最大高さ粗さRZで1μmを越えると、特に塩素を
含まないフロロカーボン雰囲気中での金属製ローターと
の凝着及び焼き付きが顕著になる。
【0013】この理由は明らかではないが、局部的に高
面圧の部分が発生し、この部分での凝着や焼き付きが加
速されるものと考えられる。又、ローターとの接触面に
おけるローター回転方向に直角方向の面粗さが十点平均
最大高さ粗さRZで0.6μmを越えると、ベーンにより
金属製ローターの表面が攻撃されて異常摩耗しローター
とベーンの間の気密性が維持できず、コンプレッサーと
して致命的な欠陥となる。
【0014】更に、ベーンとして上記の強度特性を満足
するためには、ZrO2焼結体は緻密であって気孔が少
なく、JIS R1601に準拠する3点曲げ強度の平
均値が120kg/mm2以上であることが必要であ
る。気孔に関しては、最大気孔径が10μmを越える
と、使用中に応力が気孔に繰り返して作用するため気孔
を起点としたクラックの進展を招き、チッピングが発生
しやすくなる。
【0015】上記本発明のZrO2ベーンは、所定量の
23を混合したZrO2原料粉末に好ましくはAl2
3粉末を混合し、所定の形状に成形した後、真空中又は
大気中において1350〜1580℃で焼結することに
より製造される。好ましくは、粗大な気孔を排除するた
めに、得られたZrO2焼結体をアルゴンガスの50〜
1000気圧雰囲気中において、1350〜1600℃
で0.5〜2時間HIP処理する。
【0016】このような本発明のZrO2ベーンは、特
にヒドロフルオロカーボン(HFC)のような塩素を含ま
ないフルオロカーボンからなる代替フロン冷却媒体の雰
囲気中で使用しても凝着や焼き付きが起こらず、優れた
摺動特性を発揮することが出来る。
【0017】
【実施例】実施例1 3モル%のY23で部分安定化させた平均粒径0.4μ
mのZrO2原料粉末99.4モル%と、平均粒径0.5
μmのAl23粉末0.6モル%とを混合し、エタノー
ル中で72時間湿式混合した後、乾燥して得られた粉末
を1.5トン/cm2の圧力でリング試験片の形状にプレ
ス成形した。この成形体を、真空中において1500℃
で2時間焼結し、次にアルゴンガスの1000気圧の雰
囲気中において1450℃で1時間HIP処理した。
【0018】かくして得られた本発明の部分安定化Zr
2焼結体からなるリング試験片(内径16mm×外形3
0mm×高さ8mm)を、図1に示すリング・オン・リ
ング試験における回転側リング1とし、相手材の固定側
リング2に球状黒鉛鋳鉄のリング試験片を用いて、代替
フロンのHFC134a液体中にて上方からの荷重を変
化させて周速2m/秒で回転させながら焼き付き面圧を
測定した。尚、摺動面は回転方向の面粗さが十点平均最
大高さ粗さRZで1.0μm、及び回転方向に直角方向の
面粗さが十点平均最大高さ粗さRZで0.5μmに研磨仕
上げした。
【0019】比較のために、市販のAl23焼結体、S
iC焼結体、ZrO2焼結体、Si34焼結体、及び黒
鉛鋳鉄からなる同様のリング試験片を作製し、これを回
転側リング1とし、固定側リング2には球状黒鉛鋳鉄の
リング試験片を用いて、上記と同様に焼き付き面圧を測
定した。これらの測定結果を表1に示した。
【0020】又、表1には、回転側リング1とした各材
料のJIS R1601に準拠した曲げ強度、硬度
(HV)、破壊靭性K1cと共に各焼結体の平均結晶粒径
(Si34焼結体は長軸径の平均粒径)と、各回転側リ
ング1と固定側リング2を一定の面圧40kg/mm2
で摺動させた時の動摩擦係数を併せて示した。尚、結晶
粒径の測定は、各焼結体の任意の断面を鏡面仕上げし、
Arイオンによりエッチングした後、走査型電子顕微鏡
により倍率5000倍の観察写真を撮影し、この写真の
30μm×30μmの視野から任意の結晶粒を30〜5
0個抽出して、その平均粒径と最大粒径を測定した。
【0021】
【表1】 曲げ強度 硬度HV 破壊靭性 平均粒 焼き付き面 動摩擦試料 材 料 (kg/mm2) (kg/mm2) (MPam1/2) 径(μm) 圧(kg/cm2) 係数μ 1* 黒鉛鋳鉄 − 785 25 − 40 − 2* 市販Al2O3 25 2280 2.8 2.5 90 0.09 3* 市販SiC 45 2850 2.6 2.6 100 0.08 4* 市販ZrO2 100 1230 7.1 1.0 120 0.05 5* 市販Si3N4 95 1530 4.6 4.3 130 0.04 6 本発明ZrO2 165 1420 5.5 0.3 190 0.03 (注)表中の*を付した試料は比較例である。
【0022】以上の結果より、本発明の部分安定化ジル
コニア焼結体は塩素を含まない代替フロン冷却媒体中に
おいて、現在ベーンとして使用されている黒鉛鋳鉄より
も焼き付き面圧が顕著に高く、他のセラミックス焼結体
に比較しても高い焼き付き面圧を持つことから、塩素を
含まない代替フロンの冷却媒体中で用いるコンプレッサ
ー用ベーン材として好適である。
【0023】実施例2 前記実施例1における本発明の試料6と同様に部分安定
化ZrO2焼結体からなる回転側リングを製造し、その
摺動面を回転方向の面粗さ及び回転方向に直角方向の面
粗さがそれぞれ十点平均最大高さ粗さRZで表2に示す
面粗さとなるように研削仕上げした後、実施例1と同様
の試験により焼き付き面圧を測定し、その結果を表2に
示した。又、各回転側リングを黒鉛鋳鉄製の固定側リン
グと一定面圧40kg/cm2で400時間摺動させた
際の、相手部材である黒鉛鋳鉄製の固定側リングの摩耗
高さ及び動摩擦係数も表2に併せて示した。
【0024】 回転方向 直角方向 焼き付き面 摩耗高さ 動摩擦試 料 Z(μm) Z(μm) 圧(kg/cm2) (μm) 係数μ 6−1* 2.1 1.6 90 45 0.10 6−2* 1.4 1.0 95 10 0.09 6−3* 1.0 1.0 110 5 0.09 6−4* 1.4 0.5 145 3 0.08 6−5 1.0 0.5 195 1 0.04 6−6 0.5 0.3 200 0 0.04 6−7 0.2 0.2 205 0 0.03 6−8 0.1 0.08 205 0 0.02 (注)表中の*を付した試料は比較例である。
【0025】以上の結果から、部分安定化ZrO2焼結
体の摺動面の面粗さを本発明の範囲内に制御することに
よって、焼き付き面圧の向上が顕著であることが判る。
しかし、面粗さを極端に小さくしても焼き付き面圧の増
大割合は余り大きくならず、一方仕上げ加工の費用は増
大するので、回転方向の面粗さ及び回転方向に直角方向
の面粗さ共に0.1〜1μmの範囲が特に好ましいと考
えられる。又、摺動面の面粗さを制御した本発明の部分
安定化ZrO2焼結体では、相手部材に対する攻撃性
(相手部材の異常摩耗等の発生)も著しく少なく、代替
フロン中で用いるコンプレッサー用ベーン材として有望
であることが判る。
【0026】実施例3 3〜6モル%のY23で部分安定化させた平均粒径0.
3μmの各ZrO2原料粉末に、平均粒径0.5μmのA
23粉末を下記表3に示す割合で混合し、エタノール
中で72時間湿式混合した後、乾燥して得られた各粉末
を1.5トン/cm2の圧力でリング試験片の形状にプレ
ス成形した。この成形体を、大気中において1350〜
1580℃の焼結温度で1〜5時間焼結し、更に一部の
焼結体にはアルゴンガスの1000気圧の雰囲気中にお
いて1400〜1550℃で1時間のHIP処理を施し
た。
【0027】各試料について、ZrO2原料粉末中のY2
3添加量及び焼結体中のAl23含有量、並びにHI
P処理の有無を表3にまとめて示した。
【0028】
【表3】Y2O3添加量 Al2O3含有量試料 (モル%) (モル%) HIP処理 7* 1 0 有り 8* 1 0.2 有り 9* 1 0.7 有り 10* 1 2 有り 11 3 0 有り 12 3 0.2 有り 13 3 0.7 有り 14 3 2 有り 15* 3 0 無し 16 3 0.2 無し 17 3 0.7 無し 18 3 2 無し 19 5 0 有り 20 5 0.2 有り 21 5 0.7 有り 22 5 2 有り 23 5 0.2 無し 24 5 0.7 無し 25* 5 2 無し 26* 10 0.2 有り 27* 10 0.7 有り 28* 10 2 有り (注)表中の*を付した試料は比較例である。
【0029】得られた各部分安定化ZrO2焼結体につ
いて、実施例1と同様にして曲げ強度、硬度(HV)を測
定すると共に、ZrO2結晶の平均粒径及び最大粒径、
並びに最大気孔径を測定して表4に示した。尚、結晶粒
径と気孔径の測定は、各焼結体の任意の断面を鏡面仕上
げし、Arイオンによりエッチングした後、光学顕微鏡
又は走査型電子顕微鏡により倍率200〜5000倍の
観察写真を撮影し、この写真の0.5mm×0.5mmの
視野内の最大結晶と最大気孔の粒径を求め、又任意の3
0〜50個の結晶粒の平均粒径を求めた。
【0030】又、各焼結体からなる回転側リングの摺動
面の面粗さを実施例1と同様に調整し、実施例1と同様
にして焼き付き面圧を測定して表4に示した。更に、上
記の各試料と同様にして図2に示す形状の試験片3を作
製し、この試験片3を図3に概略を示す小野式回転曲げ
疲労試験に準拠して、試料固定部4に取り付けた後、重
り5により荷重を加えながら繰り返し107回の回転を
与えた時の疲労限を求めて、表4に示した。
【0031】
【表4】 曲げ強度 硬度HV 平均粒 最大粒径 最大気孔 焼き付き面 疲労限試料 (kg/mm2) (kg/mm2) 径(μm) 径(μm) 径(μm) 圧(kg/cm2) (kg/mm2) 7* 53 1005 0.4 0.6 18 155 5 8* 83 1245 0.5 1.5 15 160 10 9* 98 1220 0.8 1.8 15 165 15 10* 95 1195 0.9 2.1 15 160 15 11 120 1380 0.4 1.1 5 180 30 12 145 1390 0.4 1.0 3 190 45 13 182 1435 0.3 0.8 3 200 60 14 135 1365 0.5 1.0 3 190 40 15* 115 1195 0.5 1.2 15 165 25 16 124 1240 0.4 1.0 3 180 30 17 136 1380 0.3 0.7 3 185 35 18 122 1285 0.4 0.9 3 180 30 19 120 1285 0.6 1.4 8 170 30 20 138 1320 0.5 1.2 3 190 40 21 154 1400 0.4 1.0 3 195 50 22 126 1300 0.6 1.6 3 185 35 23 120 1215 0.6 1.8 5 175 30 24 132 1320 0.6 1.6 5 180 30 25* 108 1200 0.8 2.1 10 150 10 26* 85 1105 0.9 2.2 8 160 10 27* 90 1145 0.8 2.1 8 155 15 28* 75 1100 1.0 2.4 8 155 10 (注)表中の*を付した試料は比較例である。
【0032】以上の結果より、ZrO2の添加量及びA
23の含有量並びに焼結条件を適正に選び、ZrO2
結晶の粒径及び気孔の大きさを適切に制御した本発明の
部分安定化ZrO2焼結体は、摺動部材としての曲げ強
度、疲労限、及び焼き付き面圧に優れ、塩素を含まない
代替フロンの冷却媒体中で使用されるコンプレッサー用
ベーンをして好適であることが判る。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、塩素を含まないフルオ
ロカーボンの冷却媒体中においても相手材である鋳鉄等
の金属製ローターと凝着や焼き付きが起こらず又金属ロ
ーターを異常摩耗させることがなく、優れた耐摩耗性と
疲労特性を備え、且つ軽量であって高い信頼性と優れた
経済性を兼ね備えたロータリーコンプレッサー用ジルコ
ニアベーンを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】焼き付き面圧の測定に用いたリング・オン・リン
グ試験を説明するための概略断面図である。
【図2】小野式回転曲げ疲労試験に用いる試験片の側面
図である。
【図3】小野式回転曲げ疲労試験を説明するための概略
の一部切欠断面図である。
【符号の説明】
1 回転側リング 2 固定側リング 3 試験片 4 試料固定部 5 重り
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年2月27日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】こうした金属材料からの代替材料の試みと
して、実開昭61−152787号公報には、ロータリ
ーコンプレッサーのローター及びベーンをセラミックス
材料とし、軽量化と耐摩耗性の向上を図ることが提案さ
れている。又、特開平5−71484号公報にはY23
で部分安定化したZrO2ベーンが開示されている。こ
の発明によれば、部分安定化ZrO2は熱膨張係数が摺
動相手部材である鉄系材料と同程度であり、従って部材
間に隙間が生じないため冷却媒体の漏洩がなく、圧縮能
力の低下が防止されるとしている(同公報第2頁第1欄
最下行〜第2欄第6行参照)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】この焼結体はZrO2及びY23以外にA
23を含むことによって焼結性が向上し、ZrO2
晶を微細化させ、特に異常粒成長を抑制して最大結晶粒
径を小さくする効果がある。その結果、ZrO2焼結体
の強度特性や耐摩耗性、疲労特性を向上させることが出
来る。Al23の含有量は焼結体全体の2モル%以下で
あり、0.5〜1モル%の範囲の場合はより焼結性が向
上し、緻密な焼結体が得られるため好ましい。尚、この
ZrO2焼結体は部分安定化剤としてY23を含み、そ
の含有量はZrO2に対して2〜8モル%の範囲が好ま
しい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】一方、ロータリーコンプレッサーのベーン
は、使用中に100〜400℃の温度域で局部的に繰り
返し応力が作用したり、又始動及び終動時に温度が上昇
と下降を繰り返す等の過酷な環境にさらされるので、熱
サイクル疲労により内部にクラック等の欠陥が発生し、
これが使用中のベーンのチッピング等のトラブルにつな
がるものと考えられる。この問題に対して、ZrO2
晶の平均粒径を0.6μm以下及び最大粒径を2μm以
下に制御することが、熱サイクルに対する疲労特性の向
上に非常に有効であることが判明した。しかし、ZrO
2結晶の平均粒径は、0.1μm未満ではベーンのロータ
ーとの接触部曲面を機械加工することが困難になり、又
0.6μmを越えると強度及び耐摩耗性も低下するの
で、0.1〜0.6μmの範囲とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】実施例3 下記表3に示す1〜10モル%のY23で部分安定化さ
せた平均粒径0.3μmの各ZrO2原料粉末に、平均粒
径0.5μmのAl23粉末を下記表3に示す割合で混
合し、エタノール中で72時間湿式混合した後、乾燥し
て得られた各粉末を1.5トン/cm2の圧力でリング試
験片の形状にプレス成形した。この成形体を、大気中に
おいて1350〜1580℃の焼結温度で1〜5時間焼
結し、更に一部の焼結体にはアルゴンガスの1000気
圧の雰囲気中において1400〜1550℃で1時間の
HIP処理を施した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 請川 治平 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ZrO2を92〜98モル%含み且つY2
    3で安定化された部分安定化ジルコニア焼結体からな
    り、焼結体を構成するジルコニア結晶の平均粒径が0.
    1〜0.6μm及び最大粒径が2μm以下であって、焼
    結体のJISR1601に準拠する3点曲げ強度の平均
    値が120kg/mm2以上であり、ローターとの接触
    面におけるローター回転方向の面粗さが十点平均最大高
    さ粗さRZで1μm以下、及びローターとの接触面にお
    けるローター回転方向に直角方向の面粗さが十点平均最
    大高さ粗さRZで0.6μm以下であることを特徴とする
    ロータリーコンプレッサー用ジルコニアベーン。
  2. 【請求項2】 部分安定化ジルコニア焼結体が2モル%
    以下のAl23を含むことを特徴とする、請求項1に記
    載のロータリーコンプレッサー用ジルコニアベーン。
  3. 【請求項3】 部分安定化ジルコニア焼結体に含まれる
    最大気孔径が10μm以下であることを特徴とする、請
    求項1又は2に記載のロータリーコンプレッサー用ジル
    コニアベーン。
  4. 【請求項4】 塩素を含まないフルオロカーボンからな
    る冷却媒体の雰囲気中で用いられることを特徴とする、
    請求項1〜3のいずれかに記載のロータリーコンプレッ
    サー用ジルコニアベーン。
JP6083910A 1994-03-30 1994-03-30 ロータリーコンプレッサー用ジルコニアベーン Pending JPH07267730A (ja)

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