JP4479142B2 - ジルコニア質焼結体及びその製造方法 - Google Patents

ジルコニア質焼結体及びその製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、ジルコニ質焼結体及びそれを用いた内燃機関用部品、機械部品、摺動部材、金型、治工具、粉砕メディア、並びに光ファイバー用コネクタ部品等に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、部分安定化ジルコニアは準安定相である正方晶と立方晶の混合相からなるが、150℃〜300℃の環境に長時間曝されると、強度劣化を起こすことが知られている。この現象はエージング劣化と云われ、準安定相である正方晶が低温安定相である単斜晶に相転移を起こし、その際の体積変化に伴い微細な亀裂が導入されるためであると考えられている。
【0003】
かかるジルコニア質焼結体は、鋼と熱膨張係数が近いため、例えば内燃機関の摺動部品への適用が検討されてきている。しかし、これらの部品は自身の摩擦熱や周囲からの熱を受けるため、エージング劣化が生じる温度域に曝されることとなる。そのため、ジルコニア質焼結体からなる摺動部品の信頼性を確保するためには、エージングによる劣化を抑制することが重要な課題となっている。
【0004】
ジルコニア質焼結体のエージングによる劣化を防止するために、従来から種々の検討がなされている。その一つの方法として、▲1▼ 結晶粒の微細化及び相の制御がある。例えば、特公平4−63024号公報には、平均結晶粒径を2μm以下とし、正方晶、立方晶及び単斜晶の比率を特定の比率に制御することにより、200℃〜300℃の耐久試験前後での強度劣化を20%以下に抑える方法が記載されている。
【0005】
また、特開平8−325057号公報には、立方晶の割合が12〜40vol%、正方晶ジルコニアに対するYの固溶量が2.3mol%以上、平均粒径0.5μm以下、且つ相対密度を95%以上とすることにより、175℃飽和水蒸気中に47時間保持後の変態相の厚みが30μm以下で、3点曲げ強度が794〜965MPaであるジルコニア質焼結体が開示されている。
【0006】
他のエージングによる劣化防止方法として、▲2▼ 残留応力の印加により相転移を抑制する方法がある。例えば、特開平8−119730号公報には、ジルコニア質焼結体表面に、特に♯100以下の砥石による研磨加工を施すことによって残留応力を導入し、エージングにおける相変態の進行速度を抑制する技術が開示されている。
【0007】
また、▲3▼ 表面相の配向性を抑制する方法として、特開平9−142928号公報には、焼結体表面を研削処理後、500〜1500℃で0.5〜5時間程度熱処理して正方晶を焼結体表面に平行に配向させることにより、200℃の水中にて10時間保持後の単斜晶の体積比率が20vol%以下であり、熱水処理前に900MPa以上であった強度が、熱水処理後700MPa以上であることが記載されている。
【0008】
同じく、特開平11−240757号公報には、正方晶の配向度が45%以下であり、且つY濃度が2mol%以上8mol%以下のジルコニア質焼結体に0.01〜15wt%のAlを含有させることにより、Alによるマトリックスの拘束力増加、及びジルコニア結晶粒子間の結合力の増加が得られるため、140℃熱水中に48時間保持前後の単斜晶率が0から2〜61%に増加し、表面粗さ変化が0.03μm以下であることが開示されている。
【0009】
▲4▼ 焼結助剤に関しては、特公平2−35701号公報に、アルミナ、シリカ及び粘土より選択された1種又は2種以上の焼結助剤を焼結体の30wt%添加することにより、200℃ないし300℃の耐久性試験前後の強度劣化が20%以下となることが開示されている。また、特開平11−116328号公報には、ジルコニア質焼結体の着色の目的でTiOを添加した系に関して、Alを0.1〜1.5wt%、TiOを0.03〜0.5wt%添加すると、相乗効果により水存在下での相転移抑制効果が得られることが記載されている。
【0010】
更に、▲5▼ 固溶元素の添加によるエージング防止として、特開2000−95564公報には、Yを1.5〜4mol%含むZrOに対し、La等の希土類金属元素の少なくとも一部を固溶させることにより、初期に1000MPa以上であった3点曲げ強度が、250℃の熱水中に50時間保持試験後も1000MPa以上であることが記載されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ジルコニア質焼結体について、内燃機関等の摺動部品としての信頼性を確保するためには、材質自身の信頼性を高める必要がある。上述した従来技術では耐エージング特性の向上を図っているが、元となるジルコニア質焼結体の強度が低いため、そのままでは高い信頼性を要求される内燃機関等の部品に適用することができない。
【0012】
ジルコニア質焼結体の強度を高めて破壊に対する信頼性を向上するには、焼結体の結晶粒径を微細化することが有効である。例えば、特開平7−267730号公報には、2〜8mol%のYで部分安定化したZrOに対し、Alを2mol%以下添加することによって、結晶粒の微細化及び異常粒成長を抑制することが開示されている。また、粗大な気孔を排除するため、真空若しくは大気中にて1350〜1580℃で焼結後、アルゴンガスの50〜1000atm雰囲気中において、1350〜1600℃で0.5〜2時間HIP処理することが好ましいと記載されており、Alの効果と併せて120kg/mm(1176MPa)以上の3点曲げ強度が得られることが示されている。
【0013】
しかしながら、上記特開平7−267730号公報には、ジルコニア質焼結体に与えるエージングの影響及びその対策については全く言及されていない。このように、現在までのところ、内燃機関用摺動部品に代表される機械部品であり、150〜300℃程度の温度に長時間曝される部品に関して、強度向上による信頼性と耐エージング特性を両立させたジルコニア質焼結体についは、十分検討されてきたとは言えなかった。
【0014】
特に、潤滑油の供給が不十分で且つ高面圧の摺動環境下では、信頼性の高いジルコニア質焼結体を用いた場合であっても、摺動面にエージングによる劣化と考えられる剥離が生じる。その一方で、耐エージング特性に優れたジルコニア質焼結体を用いた場合には、焼結体の信頼性不足のため、表面の気孔に繰り返し応力が作用することにより、チッピングが生じることが問題となっている。
【0015】
本発明は、このような従来の事情に鑑み、150〜300℃程度の温度に長時間曝されるエージング環境下であっても、優れた耐エージング特性を有すると共に、高強度でチッピングなどの破壊に対する信頼性が高く、優れた機械的特性を発揮するジルコニア質焼結体、及びその製造方法、並びにそのジルコニア質焼結体を用いることにより優れた機械的特性を発揮する摺動部材、金型、治工具等を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明が提供するジルコニア質焼結体は、安定化剤と共に、Alを含むジルコニア質焼結体であって、3点曲げ試験における初期の平均強度が1.3GPa以上、且つ大気中で300℃×24時間の熱処理後の平均強度が1.1GPa以上であることを特徴とする。
【0017】
上記本発明の提供するジルコニア質焼結体は、結晶相が正方晶を主体として単斜晶を含み、立方晶を実質的に含まないことが好ましい。また、上記単斜晶の含有率が、X線回析によるピーク強度比で正方晶に対し0.15以下であることが好ましい。
【0018】
上記本発明のジルコニア質焼結体においては、前記Alの含有量が、ZrOと安定化剤の合計に対し1.2wt%以下であることが好ましい。また、第2の添加成分としてLa系の希土類化合物を含み、その含有量が酸化物換算でZrOと安定化剤の合計に対し0.1〜1.5wt%であることが好ましい。更に、焼結体中の最大気孔径が20μm以下であることが好ましい。
【0019】
本発明が提供するジルコニア質焼結体の製造方法は、安定化剤で部分安定化されたZrOを主成分とし、Alと有機バインダーを含み、粒径分布における積算重量50%に相当する粒径が40〜70μmの範囲である造粒粉末を用い、この造粒粉末を1t/cm以上の圧力で成形する工程と、470〜600℃で脱バインダーを行う工程と、大気中ないし真空中にて1300〜1500℃で焼結する工程と、その後不活性ガス雰囲気中500〜2000atmにて1300〜1500℃でHIP処理を行う工程とを有することを特徴とする。
【0020】
上記本発明のジルコニア質焼結体の製造方法においては、前記造粒粉末中のAlの添加量が、ZrOと安定化剤の合計に対し1.2wt%以下であることが好ましい。また、前記造粒粉末が、第2の添加成分としてLa系の希土類化合物を含み、その添加量が酸化物換算でZrOと安定化剤の合計に対し0.1〜1.5wt%であることが好ましい。
【0021】
また、本発明は、上記した本発明のジルコニア質焼結体で構成されたことを特徴とする摺動部材、金型、及び治工具を提供するものである。特に、上記ジルコニア質焼結体で構成されたベーンが好ましく、ベーンの相手部材との摺動面の等価曲率半径が0.002〜0.010mであることが好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
上述したように、ジルコニア質焼結体の強度を高めて信頼性を向上させるためには、結晶粒の微細化が有効であることが知られている。また、耐エージング特性向上のために、結晶粒径の微細化以外にも、表面相の配向性制御、焼結助剤の添加、固溶元素の添加、残留応力の付与、結晶粒の結合力向上等が従来から検討されている。
【0023】
本発明者らは、配向性制御及び残留応力の付与は研磨加工及び熱処理を必要とするため、適用範囲が限定され、不適切であると考えた。そして、結晶粒の微細化、焼結助剤の添加、固溶元素の添加、及び結晶粒の結合力向上の観点から、これらの相乗効果により信頼性と耐エージング特性の双方を向上させ、内燃機関用摺動部品などに適用することが可能となるように、エージングによる熱劣化の影響が極力少なく且つ信頼性の高いジルコニア質燒結体を得るためのプロセスについて検討を行った。
【0024】
まず、本発明者らは、結晶粒を微細化するには、焼結温度を低下させることにより結晶粒の成長を抑制することが可能であると考え、1次焼結温度を低下させるため、粉末の組成について検討を行った。その結果、安定化剤で安定化された部分安定化ジルコニアに、更にAlを添加することにより、1300〜1500℃と比較的低温で焼結が可能であり、高強度で信頼性が高く、耐エージング特性にも優れたジルコニア質焼結体が得られることを見出した。
【0025】
具体的には、ZrOを92〜98mol%含み、Yで安定化された部分安定化ジルコニアに、AlをZrOと安定化剤Yの合計に対して1.2wt%以下添加することが好ましい。Alの含有量が1.2wt%を超えると、粒界相成分が増加するため強度低下を来す恐れがある。より好ましくは、Alの添加量は1.0wt%以下である。この場合、過度の粒界相成分が含まれないため、焼結体の強度が向上する。また、粒界相によるZrO結晶粒の拘束力が増加することにより、正方晶から単斜晶への相変態が抑制され、耐エージングも向上するものと考えられる。
【0026】
また、部分安定化ジルコニアとしては、ZrOを92〜98mol%含み、且つ2〜8mol%のYで安定化されたものであればよい。ZrOが92〜98mol%の範囲であれば、低強度相である立方晶ジルコニアが実質的に含まないようにすることができ、焼結時に緻密化を達成しやすいからである。ZrOが92mol%より少なくなると低強度相である立方晶が生成しやすくなり、逆にZrOの含有量が98mol%より多くなると焼結による緻密化が十分行われない恐れがある。
【0027】
従って、本発明によるジルコニア質焼結体は、準安定相である正方晶を主体とし、これに単斜晶を含む混合晶であり、低強度相である立方晶を実質的に含まないことが好ましい。また、単斜晶の含有率は、X線回析のピーク強度比で、正方晶に対して0.15以下であることが好ましい。その理由は、焼結体が初期に含有する単斜晶がピーク強度で0.15より多いと、150〜300℃でのエージングによる強度劣化が顕著となることがあるためである。尚、正方晶に対する単斜晶のピーク強度比は、ターゲットにCu−Kαを用いたX線回析により測定し、下記数式1によって算出する。
【0028】
【数1】
Figure 0004479142
【0029】
更に、本発明者らは、1300〜1500℃の低温で焼結を行うには、成形体に内在する空孔を可能な限り除去して顆粒同士の密着性を向上させ、焼結性を向上させることが好ましいと考えた。検討を重ねた結果、安定化剤のYで部分安定化されたZrOと、添加剤のAlと、有機バインダーを混合し、スプレー乾燥して得られる造粒粉末の粒度分布が重要であることを見出した。即ち、上記造粒粉末の粒径分布において、積算重量50%に相当する粒径が40〜70μmの範囲にあるとき、プレス成形による充填効率が向上し、焼結後に密度が十分上昇することが分った。
【0030】
この積算重量50%に相当する粒径が40μmより小さくなると、同一質量に対して比表面積が増加し、プレス成形時に粉末同士の摩擦のためプレス圧力が伝達され難いため、成形体密度が向上しない恐れがある。逆に積算重量50%に相当する粒径が70μmを超えると、粒子間の隙間をプレスにより完全に無くすことが難しく、焼結時においてもその部分の緻密化が阻害されやすくなり、内在欠陥の原因となる恐れがある。
【0031】
このような造粒粉末の成形及び焼結は、以下のごとく行う。即ち、この造粒粉末を1t/cm2以上の圧力で成形し、470〜600℃で脱バインダーを行った後、真空中にて1300〜1500℃で焼結する。更に、本発明方法においては、上記の1次焼結後に、熱間静水圧プレス(HIP)を行うことを一つの特徴とする。
【0032】
上記の製造方法によれば、1300〜1500℃での低温焼結により緻密化が進行するが、内燃機関用の摺動部品として用いるためには、低応力破壊の起点となりうる内在空孔を除去することが好ましい。更に、耐エージング特性を向上させるために、ZrO粒子間の結合力を増加させることが有効である。これら二つの目的を達成するために、1次焼結体をHIP処理することを検討した。
【0033】
発明者らが検討を行った結果、アルゴン等の不活性ガス雰囲気中において、500〜2000atmにて1300〜1500℃の温度でHIP処理を行うことにより、ジルコニア質焼結体の信頼性及び耐エージング特性が更に向上する効果が確認された。HIP圧力が500atm未満では、圧力が低いため空孔を十分小さくすることができず、またZrO粒子間の結合力向上に対する寄与が小さく、満足すべき結果が得られない。
【0034】
また、HIP処理の条件が上記の好ましい範囲内であっても、プレス成型時の造粒粉末の粒径分布、プレス圧力及び脱バインダー条件が上記範囲外の場合、意図するHIP処理の効果が得られず、結果としてジルコニア質焼結体の信頼性及び耐エージング特性を向上させることが出来なくなることもある。
【0035】
尚、上述した組成範囲内で単斜晶の含有量を実質的にゼロとすることを意図した場合でも、HIP処理時の温度履歴のため、単斜晶が不可避的に生じることがあるため、本発明によるジルコニア質焼結体は上記組成範囲で正方晶と単斜晶の混合晶となりやすい。
【0036】
上記した構成を有する本発明のジルコニア質焼結体においては、材質特性としての強度が、JIS R 1601に記載の3点曲げ試験において、初期の平均強度で1.3GPa以上であり、且つ大気中で300℃×24時間の熱処理後の平均強度が1.1GMPa以上となることが分った。この強度特性によって、内燃機関用摺動部品のように、高負荷で且つ周囲温度が100〜300℃のエージングが問題となる環境下であっても高い信頼性が得られる。
【0037】
初期の平均強度が1.3GPa未満のジルコニア質焼結体では、大気中300℃×24時間の熱処理後における平均強度が1.1GPa未満まで低下する可能性が高くなる。また、上記熱処理後における平均強度が1.1GPa未満では、高面圧で繰り返し応力が作用すると、内在欠陥に応力が集中し、使用中に欠け等が発生する可能性がある。
【0038】
また、本発明の製造方法と異なる場合、ジルコニア質焼結体の初期強度が1.3GPa以上であっても、エージング処理の結果、正方晶から単斜晶への相変態を十分抑制できず、結果として平均強度1.1GPa未満まで強度が低下することがある。
【0039】
本発明においては、更に信頼性及び耐エージング特性の向上を図るため、安定化剤以外の添加成分として、Alに加え、第2の添加成分について検討を行った。その結果、LaなどのLa系の希土類化合物を添加することにより、Alの添加効果に加えて、結晶粒の微細化並びに粒子間の結合力を向上させる効果があることを見出した。
【0040】
Al及びLa系希土類化合物は一部がZrOに固溶し、残りは非晶質の粒界相として存在するものと考えられる。Laはイオン半径が大きく、焼結中に粒界相にあって結晶粒成長のピン留め効果をもたらすものと考えられる。尚、La系の希土類化合物の添加量は、酸化物換算でZrOと安定化剤の合計に対し0.1〜1.5wt%が好ましい。添加量が多くなると粒界相の体積が増加し、ZrO粒子間の結合力が低下するため、強度、信頼性及び耐エージング特性の点で十分な効果が得られないためである。
【0041】
本発明のジルコニア質焼結体は、150〜300℃程度の温度に長時間曝されるエージング環境下で優れた耐エージング特性を有し、同時に高強度でチッピングなどの破壊に対する信頼性も高いため、例えば内燃機関などの摺動部材として好適であり、特に内燃機関用のベーンとして優れている。この際用いるジルコニア質焼結体として、焼結体中の気孔径が大きいと、摺動等により繰り返し応力が表面の気孔に作用してチッピングを起こす恐れがある。かかるチッピングの発生を抑制するため、ジルコニア質焼結体中の最大気孔径を20μm以下とすることが好ましい。
【0042】
従来のジルコニア質焼結体をベーンとして用いた場合には、連続運転中に摺動部の温度が上昇し、エージング劣化を起こすため、異常摩耗を来たし、焼付を起こす恐れがあった。これに対し、本発明のジルコニア質焼結体をベーンとして用いることにより、エージングによる劣化を抑制できるため、長寿命化を図ることが可能となる。
【0043】
ジルコニア質焼結体の熱膨張係数は10×10−6/℃程度であり、コンプレッサのハウジング材料である鋼の熱膨張係数11×10−6/℃に対して近い値となっている。このため、熱膨張によるベーンとハウジングの間(摺動面と直交する方向)のクリアランス変化が小さく、運転温度に依らず安定したコンプレッサ特性を示す。また、熱膨張差が小さいことから、運転時のクリアランスを小さく設定できるため、そのクリアランスからの冷媒などの圧力媒体の漏れを小さくでき、コンプレッサの圧縮効率を高めることが可能となる。
【0044】
更に、本発明のジルコニア質焼結体を内燃機関用のベーンとして用いる場合、ベーンと相手部材の摺動面の等価曲率半径が0.002〜0.010mであることが好ましい。この等価曲率半径が0.002m未満では接触圧力が増加して相変態が進行しやすく、0.010mを超えると弾性流体潤滑が不十分となり、焼き付きが発生しやすい。
【0045】
金属の塑性加工に用いられる治工具においても、劣化温度域での使用や、加工により接触表面に発熱を伴う場合、従来のジルコニア質焼結体であれば被加工物との接色面に損傷を来たし、長期にわたって使用することが出来なかった。しかし、本発明のジルコニア質焼結体であれば、エージング劣化を抑制することができるため、劣化温度域における使用において長寿命化を図ることが可能となる。
【0046】
【実施例】
実施例1
3mol%のYで部分安定化させた平均粒径0.4μmのZrO粉末に、平均粒径0.5μmのAl粉末をZrOとYの合計重量に対し、下記表1に示すwt%の割合で添加し、エタノール中で72時間湿式混合した。その後、ポリピニルアルコール等の有機バインダーを添加し、スプレードライを行って造粒粉末を得た。
【0047】
この造粒粉末を1.5t/cmの圧力でプレス成形し、得られた成形体を500℃にて脱バインダー処理した後、真空中において下記表1−1及び表1−2に示す温度で2時間焼結した。次に、HIPの影響を検討するため、同一組成で同一焼結条件の焼結体ごとに、一方はHIP処理を行わず、他方はArガスの1000atm雰囲気中において1450℃で1時間のHIP処理を行った。
【0048】
得られた各試料のジルコニア質焼結体について、比重、単斜晶比率、熱処理前後の強度及びその劣化率を求め、下記表1−1及び表1−2に分けて示した。尚、比重は水中置換法により測定し、単斜晶の比率は結晶相をX線回析法により同定して前記数式1により算出した。また、強度の測定はJIS R 1601による3点曲げ試験により行い、サンプル数10個の平均値を求めた。曲げ強度測定用試験片の熱処理条件は、大気中で300℃×24時間とした。
【0049】
【表1−1】
Figure 0004479142
【0050】
【表1−2】
Figure 0004479142
【0051】
また、Alの含有量をZrOとYの合計重量に対し変化させて造粒した造粒粉末について、一次焼結温度を1300℃とし且つHIP処理を行った以外は上記と同一の条件にて、ジルコニア質焼結体を作製した。得られた試料1−41と1−42の各ジルコニア質焼結体について、上記と同様に、比重、単斜晶比率、熱処理前後の強度及びその劣化率を求め、その結果を上記表1−1及び表1−2中の幾つかの試料と共に下記表2に示した。
【0052】
【表2】
Figure 0004479142
【0053】
表1−1と表1−2及び表2から明らかなように、Alの含有量がZrOとYの合計重量に対して0.1〜1.2wt%の範囲にある本発明例の各試料では、1300〜1500℃の焼結温度で緻密化が十分進行することが分る。また、焼結体にHIP処理を行うことにより、曲げ強度及び耐エージング特性が更に向上することが確認された。
【0054】
実施例2
低温焼成条件における焼結性の向上目的で、造粒粉末の粒度分布を検討した。造粒粉末の粒度分布に関しては、JIS R 1639−1に記載の顆粒径分布測定法において、質量基準積算割合(積算重量)が50%に相当する粒径を算出し、これを中位径と称して分布特性の代表値とした。
【0055】
実施例1と同様にして、ただしAlの添加量をZrOとYの合計重量に対し1.2wt(一定)として、造粒粉末を作製した。得られた造粒粉末を複数の篩いを用いて篩分けし、篩により分級した粉末を任意の割合で混合することによって中位径を調整した。中位径の異なる試料ごとに、1次焼結温度を1300℃とした以外は実施例1と同一の条件で、焼結及びHIP処理を行ってジルコニア質焼結体を製造した。
【0056】
各試料のジルコニア質焼結体について、実施例1と同様に評価し、その結果を下記表3に示した。表3の結果より明らかなように、中位径の範囲が40〜70μmの間にあれば、比重の増加に見られるように焼結性が向上し、曲げ強度が増加し、且つ耐エージング特性も向上した。
【0057】
【表3】
Figure 0004479142
【0058】
実施例3
第1の添加剤であるAlに加え、第2の添加剤としてのLaの効果を検討した。即ち、3mol%のYで部分安定化させたZrO粉末に、平均粒径0.5μmのAl粉末とLa粉末をZrOとYの合計重量に対し、下記表3に示す割合で添加した以外は実施例1と同様にして、造粒粉末を作製した。
【0059】
各造粒粉末を用い、1次焼結温度を1300℃とした以外は実施例1と同一の条件で、焼結及びHIP処理を行ってジルコニア質焼結体を製造した。得られた各試料のジルコニア質焼結体について、実施例1と同様に評価し、その結果を下記表4に示した。この表4の結果ら、Laの添加量が1.5wt%以下であれば、強度向上による信頼性及び耐エージング特性の点で一層良好な結果が得られることが確認された。
【0060】
【表4】
Figure 0004479142
【0061】
実施例4
上記実施例1〜3における試料1−23、1−24、2−1、3−2、3−6の各ジルコニア質焼結体について、図1に示すような摩擦試験器を用いて、摩擦・摩耗試験を実施した。その際、ジルコニア質焼結体を板状の試験片1に作製し、摺動面1aの表面粗さはRaで0.1μm以下に仕上げた。一方、相手材2は表面をチル化した鋳鉄製ローラであって、摺動面の硬度はHv450〜600、表面粗さはRaで0.1μm以下とした。
【0062】
摩擦試験は、油温50℃の潤滑油を摺動部に滴下し、ローラを1500rpmで回転させながら摺動を行い、試験片に徐々に荷重を印加することにより、摩擦トルクが急激に上昇するような焼付挙動が認められたときの荷重を焼付荷重とした。また、摩耗試験は、200℃に加熱した潤滑油を摺動部に滴下し、線荷重49N/mmで240時間摺動させ、摺動後の磨耗痕の深さを測定して摩耗量とした。尚、摺動中に焼付挙動が生じた場合は試験を停止し、その評価も「焼付」とした。
【0063】
得られた結果を下記表5に示した。表5の結果より、本願発明のジルコニア質焼結体は、一般環境及び劣化環境下における摩擦、摩耗特性に優れていることが分かる。
【0064】
【表5】
Figure 0004479142
【0065】
実施例5
焼結体の比重の向上による結晶粒界の結合力を増加させる目的で、脱バインダー条件の検討を行った。即ち、実施例1と同様にして、但しAlの添加量をZrOとYの合計重量に対し1.2wt%(一定)として、造粒粉末を作製した。この造粒粉末を1.5t/cmの圧力でプレス成形し、得られた成形体を下記表6に示す条件で脱バインダー処理した後、一次焼結温度を1300℃で焼結し、実施例1と同じ条件でHIP処理を行った。
【0066】
各試料のジルコニア質焼結体について、実施例1と同様に評価し、その結果を下記表6に示した。表6の結果より明らかなように、脱バインダー温度が470℃から600℃の範囲であれば、焼結性が向上し、曲げ強度が増加し、且つ耐エージング特性も向上した。
【0067】
【表6】
Figure 0004479142
【0068】
実施例6
粒界結合力増加によるエージング特性向上を検討するため、HIP条件について検討を行った。ジルコニア質焼結体は実施例1の試料1−24のものを用い、下記表7に示す条件でHIP処理を行った。得られた結果を表7に示す。
【0069】
表7の結果から、圧力500〜2000気圧、温度1300〜1500℃の範囲でHIP処理を行うことにより、平均強度が向上し、且つ耐エージング特性も向上することが明らかになった。
【0070】
【表7】
Figure 0004479142
【0071】
実施例7
焼結体中の最大気孔径の影響について検討を行った。気孔径の測定は、各焼結体の任意の断面を鏡面仕上げし、光学顕微鏡により倍率100〜1000倍の観察写真を撮影し、この写真の0.5mm×0.5mmの視野内における最大気孔径を求めた。
【0072】
これらの最大気孔径が異なる各試料について、実施例4と同様に図1に示す摩耗試験を実施し、焼付荷重を測定した結果を下記表8に示した。表8から分るように、最大気孔径が20μm以下であれば、チッピングに伴う焼付が発生しにくいことが確認された。
【0073】
【表8】
Figure 0004479142
【0074】
実施例8
本願発明のジルコニア質焼結体よりなる摺動部材に関し、ロータリーコンプレッサ用ベーンに適用する場合について検討を行った。実施例1における試料1−24のジルコニア質焼結体から板状試験片を作製し、図1に示す摩擦試験器を用いて焼付面圧を測定した。即ち、ジルコニア質焼結体からなる板状の試験片1に対して、相手材2の回転部材には球状黒鉛鋳鉄製ローラを用い、雰囲気温度150℃、雰囲気圧力2気圧、冷凍機油と代替フロン(HFCl34a)共存下において、周速2m/秒で回転させながら焼付面圧を測定した。
【0075】
その際、試験片1の相手材2と摺動する面を円弧状の摺動曲面1aに加工し、相手材2(直径50mm)の曲率半径R2に対し、試験片1の摺動面1aの摺動半径R1を調整し、関係式1/R=|1/R1±R2|で得られる摺動対の等価曲率半径Rを下記表9のように変化させた。試験片1の摺動曲率半径R1が板厚の1/2より小さい場合には、テーパーを設けて所定の曲率半径を得た。尚、上記関係式において、摺動曲面が凸面同士の接触の場合には符号は+、凹面と凸面の接触の場合には符号は−となる。
【0076】
【表9】
Figure 0004479142
【0077】
表9の結果より明らかなように、摺動対(試験片1と相手材2)の等価曲率半径Rが0.010m以下になると焼付面圧が増加し、更に0.001m以下となると焼付面圧が低下することから、摺動対の等価曲率半径は0.002〜0.010mの範囲が好ましい。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、150〜300℃程度の温度に長時間曝されるエージング環境下であっても、優れた耐エージング特性を有すると共に、高強度でチッピングなどの破壊に対する信頼性が高いジルコニア質焼結体を提供することができる。また、このジルコニア質焼結体は、優れた摺動特性を発揮し、内燃機関などに用いる摺動部品、金型、及び治工具として好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例4、7、8で用いた摩擦試験器を示す概略の側面図である。
【符号の説明】
1 試験片
1a 摺動面
2 相手材

Claims (7)

  1. 安定化剤としてY のみを2〜8mol%含むZrOに、ZrO安定化剤Y の合計に対し1.2wt%以下のAlを添加した組成からなり、結晶相が正方晶を主体として単斜晶を含み、立方晶を含まないジルコニア質焼結体であって、3点曲げ試験における初期の平均曲げ強度が1.3GPa以上、且つ大気中で300℃×24時間の熱処理後の平均曲げ強度が1.1GPa以上であることを特徴とするジルコニア質焼結体。
  2. 前記単斜晶の含有率が、X線回析によるピーク強度比で正方晶に対し0.15以下であることを特徴とする、請求項1に記載のジルコニア質焼結体。
  3. 焼結体中の最大気孔径が20μm以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のジルコニア質焼結体。
  4. 安定化剤として2〜8mol%のY のみで部分安定化されたZrO を主成分とし、ZrO と安定化剤Y の合計に対し1.2wt%以下のAl を含み、且つ有機バインダーを含有し、粒径分布における積算重量50%に相当する粒径が40〜70μmの範囲である造粒粉末を用い、この造粒粉末を1t/cm 以上の圧力で成形する工程と、470〜600℃で脱バインダーを行う工程と、真空中にて1300〜1500℃で焼結する工程と、その後不活性ガス雰囲気中500〜2000atmにて1300〜1500℃でHIP処理を行う工程とを有することを特徴とするジルコニア質焼結体の製造方法
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載されたジルコニア質焼結体で構成されたことを特徴とする摺動部材、金型、及び治工具。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載されたジルコニア質焼結体で構成されたことを特徴とするベーン
  7. 前記ベーンの相手部材との摺動面の等価曲率半径が0.002〜0.010mであることを特徴とする、請求項6に記載のベーン
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