JPH072613B2 - 歯科用接着性表面処理剤 - Google Patents

歯科用接着性表面処理剤

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JPH072613B2
JPH072613B2 JP7249086A JP7249086A JPH072613B2 JP H072613 B2 JPH072613 B2 JP H072613B2 JP 7249086 A JP7249086 A JP 7249086A JP 7249086 A JP7249086 A JP 7249086A JP H072613 B2 JPH072613 B2 JP H072613B2
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meth
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宣男 中林
健 阪下
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三井石油化学工業株式会社
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は常温付近の低温硬化性および耐水接着性能に優
れ、しかもエナメル質や象牙質、とくに象牙質などの歯
質に対して優れた接着性能を有しかつ歯髄に対する浸透
性および刺激性などの悪影響が少ない歯科用接着性表面
処理剤に関する。
〔従来の技術〕
歯の矯正または修復のための接着剤として(メタ)アク
リル酸エステル系ビニルモノマーなどのラジカル重合性
モノマーと触媒とから成るものが多数提案されていて、
(メタ)アクリル酸エステル系ビニルモノマーと(メ
タ)アクリロイルオキシル基含有芳香族カルボン酸(無
水物)、アミン及びスルフイン酸(塩)から成る硬化性
組成物(特開昭60-44508号)や常温で液状の(メタ)ア
クリル酸エステル、アミン、スルフイン酸(塩)、過酸
化物から成る接着剤(特開昭53-39331号)、4-META、グ
ルタルアルデヒドおよび/またはホルムアルデヒドおよ
びターシヤリーブチルボラン(TBB)からなる接着剤
(歯科材料・器械、2、1983)などが報告されている。
しかしながら従来の接着剤や硬化性組成物では歯質へ
の、特に象牙質への十分な接着力を得ることが困難であ
り、また従来から象牙質に高い接着性を付与すると言わ
れて来たTBBは、空気中の酸素等と反応し、発火あるい
は不活性化し易く、取扱い上危険性が高いほか、MMA系
単官能モノマーにしか適用できないなど、いずれも実用
性に劣ると言う問題点がある。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明者らは、常温付近の低温硬化性および耐水接着性
能に優れ、エナメル質および象牙質、とくに象牙質など
の歯質に対して優れた接着性能を有し、しかも歯髄に対
する浸透性および刺激性などの悪影響が少なくかつ修復
における歯科用接着剤として優れた光硬化性表面処理剤
および歯科用接着性表面処理方法を鋭意検討した結果、
ラジカル重合性単量体、1分子中に少なくとも1個の
(メタ)アクリロイルオキシル基を含有する酸性化合
物、α−ケトカルボニル化合物、スルフイン酸またはそ
の塩およびジアルデヒドを含有する歯科用接着性表面処
理剤が上記目的を充足することを見出し、本発明に到達
した。
〔問題点を解決するための手段〕および〔作用〕 本発明によれば、 (a) ラジカル重合性単量体 (b) 1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロ
イルオキシル基を含有する酸性化合物、 (c) α−ケトカルボニル化合物、 (d) スルフイン酸またはその塩、および (e) ジアルデヒド を含有する歯科用接着性表面処理剤が提供される。
本発明の歯科用接着性表面処理剤に配合されるラジカル
重合性単量体(a)は、ラジカル重合性を有する不飽和
化合物である。具体的には、アクリル酸メチル、アクリ
ル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル
などの(メタ)アクリル酸アルキル、アクリル酸、メタ
クリル酸、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタク
リル酸−2−ヒドロキシエチル、エチレンングリコール
ジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリ
レート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ヘキシレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−
ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシフエニル〕プロ
パン、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシシ
クロヘキシル〕プロパン、2,2−ビス〔3−(メタ)ア
クリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシフエニ
ル〕プロパン、トリメチロールプロパントリ(メタ)ア
クリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メアクリレ
ート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレ
ート、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルトリ(トリメチルシロ
キシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルペンタメチ
ルジシロキサン、イソプロピルジメタクリルイソステア
ロイルチタネート、スチレン、α−メチルスチレン、ビ
ニルトルエン、ジビニルトルエン、ジビニルベンゼン、
酢酸ビニルなどのビニル化合物(a1)を例示することがで
き、これらの2種以上の混合成分を使用することもでき
る。
本発明の歯科用接着性表面処理剤に使用される1分子中
に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシル基を
含有する酸性化合物(b)としては、1分子中に少なく
とも1個の(メタ)アクリロイルオキシル基を含有する
芳香族ポリカルボン酸またはその酸無水物(b1)または1
分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ
ル基を含有するリン酸またはスルホン酸の部分エステル
(リン酸のモノエステル、ジエステルまたはその混合
物、スルホン酸のモノエステル)(b2)を挙げることがで
きる。1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイ
ルオキシル基を含有する芳香族ポリカルボン酸(b1)とし
てさらに具体的には、1分子中に少なくとも2個のヒド
ロキシル基を有しかつ酸素原子を含有していてもよいア
ルカンポリオールのうちの少なくとも1個のヒドロキシ
ル基が(メタ)アクリル酸エステルを形成し、かつ少な
くとも1個のヒドロキシル基が少なくとも3個のカルボ
キシル基を有する芳香族ポリカルボン酸の1個のカルボ
キシル基とエステルを形成した構造を有する(メタ)ア
クリロイルオキシル基含有芳香族ポリカルボン酸または
その無水物をあげることができる。該3個のカルボキシ
ル基を有する芳香族ポリカルボン酸のうちではさらに少
なくとも3個以上のカルボキシル基を有する芳香族ポリ
カルボン酸成分としては少なくとも2個のカルボキシル
基が芳香核上の隣接する炭素原子に結合した芳香族ポリ
カルボン酸であることが好適であり、具体的にはヘミメ
リツト酸、トリメリツト酸、プレニト酸、メロフアン
酸、ピロメリツト酸などを例示することができる。
該(メタ)アクリロイルオキシル基含有芳香族ポリカル
ボン酸またはその酸無水物としては、4−(メタ)アク
リロイルオキシメトキシカルボニルフタル酸またはその
酸無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシカ
ルボニルフタル酸またはその酸無水物、4−〔2−ヒド
ロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロポキシカ
ルボニル〕フタル酸またはその酸無水物、2,3−ビス
(3.4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピル(メ
タ)アクリレートまたはその酸無水物、2−(3,4−ジ
カルボキシベンゾイルオキシ)1,3−ジメタクリロイル
オキシプロパンまたはその酸無水物などを例示すること
ができる。
また、1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイ
ルオキシル基を含有するリン酸の部分エステル(リン酸
のモノエステル、ジエステルまたはその混合物、スルホ
ン酸モノエステル)(b2)として具体的には、2−(メ
タ)アクリロイルオキシエチルフエニルアシドホスフエ
ート、ビス〔2−(メタ)アクリロキシプロピル〕アシ
ドホフフエート、ビス〔3−(メタ)アクリロキシプロ
ピル〕アシドホスフエート、2−(メタ)アクリロイル
オキシエチルフエニルホスホネート、 などを例示することができる。
本発明の歯科用接着性表面処理剤に使用されるα−ケト
カルボニル化合物(c)としてはα−ジケトン、α−ケ
トアルデヒド、α−ケトカルボン酸、α−ケトカルボン
酸エステルなどを例示することができる。さらに具体的
には、ジアセチル、2,3−ペンタジオン、2,3−ヘキサジ
オン、ベンジル、4,4′−ジメトキシベンジル、4,4′−
ジエトキシベンジル、4,4′−オキシベンジル、4,4′−
ジクロルベンジル、4−ニトロベンジル、α−ナフチ
ル、β−ナフチル、カンフアーキノン、1,2−シクロヘ
キサンジオンなどのα−ジケトン、メチルグリオキザー
ル、フエニルグリオキザールなどのα−ケトアルデヒ
ド、ピルビン酸、ベンゾルイギ酸、フエニルピルビン
酸、ピルビン酸メチル、ベンゾイルギ酸エチル、フエニ
ルピルビン酸メチル、フエニルピルビン酸ブチルなどを
例示することができる。これらのα−ケトカルボニル化
合物のうちでは安定性などの面からα−ジケトンを使用
することが好ましい。
本発明の歯科用接着性表面処理剤に使用されるスルフイ
ン酸またはその塩(c)としては、脂肪族、脂環族また
は芳香族スルフイン酸またはこれらのスルフイン酸の通
常のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩、
アンモニウム塩化合物が使用されるが、芳香族スルフイ
ン酸塩を使用すると硬化物の色調が優れるので好まし
い。該芳香族スルフイン酸として具体的には、ベンゼン
スルフイン酸、o−トルエンスルフイン酸、p−トルエ
ンスルフイン酸、エチルベンゼンスルフイン酸、デシル
ベンゼンスルフイン酸、ドデシルベンゼンスルフイン
酸、クロルベンゼンスルフイン酸、ナフタリンスルフイ
ン酸などを例示することができる。
該芳香族スルフイン酸塩として具体的には、ベンゼンス
ルフイン酸リチウム、ベンゼンスルフイン酸ナトリウ
ム、ベンゼンスルフイン酸カリウム、ベンゼンスルフイ
ン酸マグネシウム、ベンゼンスルフイン酸ストロンチウ
ム、ベンゼンスルフイン酸バリウム、ベンゼンスルフイ
ン酸アニリン塩、ベンゼンスルフイン酸トルイジン塩、
ベンゼンスルフイン酸フエニレンジアミン塩、o−トル
エンスルフイン酸リチウム、o−トルエンスルフイン酸
ナトリウム、o−トルエンスルフイン酸カルシウム、o
−トルエンスルフイン酸アニリン、o−トルエンスルフ
イン酸アンモニウム、o−トルエンスルフイン酸テトラ
エチルアンモニウム、p−トルエンスルフイン酸リチウ
ム、p−トルエンスルフイン酸ナトリウム、p−トルエ
ンスルフイン酸カリウム、p−トルエンスルフイン酸バ
リウム、p−トルエンスルフイン酸エチルアミン塩、p
−トルエンスルフイン酸トルイジン塩、p−トルエンス
ルフイン酸N−メチルアニリン塩、p−トルエンスルフ
イン酸ピリジン塩、p−トルエンスルフイン酸アンモニ
ウム、p−トルエンスルフイン酸テトラブチルアンモニ
ウム、β−ナフタリンスルフイン酸ナトリウム、β−ナ
フタリンスルフイン酸ストロンチウム、β−ナフタリン
スルフイン酸トリエチルアミン、β−ナフタリンスルフ
イン酸N−メチルトルイジン、β−ナフタリンスルフイ
ン酸アンモニウム、β−ナフタリンスルフイン酸トリメ
チルベンジルアンモニウムなどを例示することができ
る。
本発明の歯科用接着性表面処理剤におけるジアルデヒド
(e)としては、脂肪族アルデヒド、脂環族ジアルデヒ
ドまたは芳香族ジアルデヒドなどを挙げることができ
る。ジアルデヒドとして具体的には、たとえばグリオキ
ザル、マロンアルデヒド、コハク酸アルデヒド、グルタ
ルアルデヒド、アジポアルデヒド、2−ヒドロキシアジ
ポアルデヒド、ピメリンジアルデヒド、スベリンジアル
デヒド、シクロヘキサン−1,4−ジアルデヒド、テレフ
タルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、フタルアルデ
ヒドなどを例示することができる。
本発明の歯科用接着性表面処理剤には前記必須成分の他
に必要に応じてアミン類(f)が配合される。アミン類
(f)は、脂肪族系アミン、脂環族系アミン、芳香族系
アミンのいずれであつてもよく、また第一アミン、第二
アミン、第三アミンのいずれであつても差しつかえない
が、芳香族系アミンであることが好ましく、とくに第三
アミンが好適に使用される。アミン類(f)として具体
的には、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリ
ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミ
ン、トリオクチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピル
アミン、ジブチルアミン、ジヘキシルアミン、ブチルア
ミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミ
ン、ドデシルアミンなどの脂肪族系アミン、トリシクロ
ヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、シクロヘキ
シルアミンなどの脂環族系アミン、アニリン、トルイジ
ン、キシリジン、フエニレンジアミン、N,N−ジメイル
アニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジ(β−ヒド
ロキシエチル)アニリン、N,N−ジメチルトルイジン、
N,N−ジエチルトルイジン、N,N−ジメチルアニシジン、
N,N−ジエチルアニシジン、N,N−ジメチル−t−ブチル
アニリン、N,N−ジエチル−t−ブチルアニリン、N,N−
ジメチル−p−クロルアニリン、ジフエニルアミン、N,
N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、
4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息
香酸メチル、4−ジメチルアミノベンツアルデヒド、4
−ジエチルアミノ安息香酸、4−ジエチルアミノ安息香
酸メチル、N,N−ジメチル−p−シアノアニリン、N,N−
ジメチル−p−ブロムアニリンなどの芳香族系アミンを
例示することができる。
本発明の歯科用接着性表面処理剤に使用されるラジカル
重合性単量体(a)および1分子中に少なくとも1個の
(メタ)アクリロイルオキシル基を含有する酸性化合物
(b)の割合は(a)/(b)の重量比で通常99/1ない
し30/70、好ましくは97/3ないし70/30の範囲であり、ラ
ジカル重合性単量体(a)および1分子中に少なくとも
1個の(メタ)アクリロイルオキシル基を含有する酸性
化合物(b)の合計100重量部に対するα−ケトカルボ
ニル化合物(c)の配合割合は通常0.01ないし10重量
部、好ましくは0.05ないし5重量部の範囲であり、スル
フイン酸またはその塩(d)の配合割合は通常0.1ない
し10重量部、好ましくは0.3ないし5重量部の範囲にあ
り、ジアルデヒドの配合割合は通常0.1ないし100重量
部、好ましくは0.5ないし50重量部の範囲であり、さら
に本発明の歯科用接着性表面処理剤に必要に応じて配合
されるアミン類(f)の配合割合は通常0.01ないし10重
量部、好ましくは0.05ないし5重量部の範囲である。
本発明の歯科用接着性表面処理剤には、さらに必要に応
じて他の成分、たとえば粉末状無機質充填剤、有機質重
合体、粘着性付与剤、光増感剤、ラジカル重合開始剤、
重合調節剤、重合抑制剤などを配合することもできる。
粉末状無機質充填剤として具体的には、カオリン、タル
ク、クレー、炭酸カルシウム、シリカ、シリカ・アルミ
ナ、アルミナ、酸化チタン、リン酸カルシウム、ガラス
粉末、石英粉末などを例示することができる。有機重合
体としてはワツクス、エチレン・酢酸ビニル共重合体、
ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸メチルおよびこ
れらの共重合体などを例示することができる。ラジカル
重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロ
ペルオキシドなどのパーオキシドを例示することができ
る。これらの成分の配合割合は適宜である。
本発明の歯科用接着性表面処理剤に光を照射することに
よつて重合が起こり、硬化する。光線としては自然光線
であつても人工光線であつてもよく、紫外領域から可視
領域までの光線を採用することが可能である。人工光線
としては、高圧水銀灯、中圧水銀灯、低圧水銀灯、ハロ
ゲンランプ、タングステンランプなどを使用することが
できる。光硬化の際の温度は通常0ないし80℃、好まし
くは5ないし50℃の範囲であり、光照射の時間は通常1
秒ないし5分である。
本発明の歯科用接着性表面処理剤は、該ラジカル重合性
単量体(a)および1分子中に少なくとも1個の(メ
タ)アクリロイルオキシル基を含有する酸性化合物
(b)からなる混合成分、該α−ケトカルボニル化合物
(c)、該スルフイン酸またはその塩(d)およびジア
ルデヒド(e)の各成分を分割して貯蔵し、使用直前に
混合して光硬化性組成物を形成させて使用することもで
きるが、次に示す方法に従つて処理することにより光硬
化性組成物を形成させ、硬化させることにより歯科用接
着性硬化表面層を形成させるのが好ましい。
本発明の接着性表面処理剤を適用するにあたつて、歯牙
表面には研磨、切削などの通常の前処理が施されていて
もよいし、通常のエツチング処理が施されていてもよ
い。
本発明の歯科用接着性表面処理剤は歯牙表面に所定の配
合組成物として適用できるのはもちろん、例えば下記第
一あるいは第二の表面処理方法に従って歯牙表面を先ず
ジアルデヒドで処理するかあるいはジアルデヒドとスル
フィン酸またはその塩で処理し、次いで残余の組成物で
処理して、歯牙表面上で形成することもできる。
第一の接着性表面処理方法においては、歯牙表面にはジ
アルデヒド(e)で表面処理が施される。ジアルデヒド
はそのまま使用することもできるし、水溶液などの溶液
として使用することもできる。表面処理の方法としては
塗布、吹つけなどの方法を採用することもできる。該ジ
アルデヒドを表面処理した後、ラジカル重合性単量体
(a)、1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロ
イルオキシル基を含有する酸性化合物(b)、α−ケト
カルボニル化合物(c)およびスルフイン酸またはその
塩(d)を含有する光硬化性組成物を塗布した後、前記
同様に光硬化させることにより接着性の硬化表面層が形
成される。
また、第二の接着性表面処理方法においては、歯牙表面
にジアルデヒド(e)およびスルフイン酸またはその塩
(d)で表面処理が施される。ジアルデヒド(e)およ
びスルフイン酸またはその塩(d)はそれぞれそのまま
使用することもできるし、混合物として使用することも
できるし、これらの溶液として使用することもできる。
該処理方法としては上記混合物の形態で表面処理する方
法を採用することもできるし、ジアルデヒド(e)を表
面処理した後、スルフイン酸またはその塩(d)を表面
処理する方法を採用することもできるし、その逆の順序
で表面処理を施す方法を採用することもできる。これら
の表面処理を施した後に、ラジカル重合性単量体
(a)、1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロ
イルオキシル基を含有する酸性化合物(b)、α−ケト
カルボニル化合物(c)および必要に応じて他の成分を
含有する光硬化性組成物を塗布した後に、前記同様に光
硬化させることにより接着性の硬化表面層が形成され
る。
上記接着性表面処理方法を採用することにより、歯牙の
研磨表面または切削表面にコンポジツトレジン、即重レ
ジン、硬質レジンなどを接着させる際に、エナメル質ま
たは象牙質のいずれに対しても強い接着強度が得られる
ようになる。また、本発明の接着性表面処理方法を採用
すると、歯髄に対する浸透性および刺激性がないという
特徴がある。
〔実施例〕
次に本発明を実施例によつて具体的に示す。
なお、本発明の歯科用接着性表面処理剤の評価法および
実施例、比較例で使用した光硬化型コンポジツトレジン
の製造例を以下に示した。また、以下の実施例および比
較例で使用した次の略記号はそれぞれ次の化合物を示
す。
MMA …メタクリル酸メチル NPG …ネオペンチルグリコールジメタクレート 2G …ジエチレングリコールジメタクリレート HEMA…β−ヒドロキシエチルメタクリレート PMMA…ポリメチルメタクリレート CPQ …カンフアーキノン DEAB…N,N−ジエチルアミノ安息香酸 DMAB…N,N−ジメチルアミノ安息香酸 PTSS…p−トルエンスルフイン酸ナトリウム BSS …ベンゼンスルフイン酸ナトリウム PTSL…p−トルエンスルフイン酸リチウム HQME…ハイロドキノンモノメチルエーテル (I) 接着力の評価方法 牛の前歯唇面の象牙質面をNO.6/0エメリーペーパーで良
く研磨し、表面を平滑にした後65%リン酸水溶液で30秒
間エツチング処理をした。十分に水洗を行つた後エツチ
ング面を空気で乾燥し、所定濃度のグルタルアルデヒド
水溶液を塗布し、所定時間処理後水洗し、空気で乾燥し
た。その後、直径5mmの円孔のあいたセロハンテープ
(約13mm×13mm)をはつた。実施例または比較例に記載
の光硬化性組成物を前記円孔に塗布し、軽くエアーブロ
ーし可視光照射器(Kulzer社製、Translux)を用いて可
視光線を20秒間照射した後前記円孔に合わせたテフロン
製金型(直径5mm、深さ2mmの円筒)に後述した光重合型
コンポジツトレジンを充填し、セロフアン紙を表面にか
ぶせた後、その上から可視光照射器(Kulzer社製、Tran
slux)を用いて可視光線を30秒照射し、コンポジツトレ
ジンを硬化させた。その後コンポジツトレジンの硬化表
面とアクリル棒とをスーパーボンドC&B (サンメデ
イカル社製)で接着し接着試験片を作成した。室温で30
分放置後接着試験片を37℃水中24時間浸漬した後23℃の
温度で空気中10分間放置した後23℃の温度で速度2mm/mi
nの条件で引張り試験を行い、接着力を測定した。
(II) 光硬化型コンポジツトレジンの調整 トリエチレングリコールジメタクリレート7.5g、1,3−
ジメタクリロキシエトキシベンゼン7.5g、2,2,4−トリ
メチルヘキサメチレンジアミンジイソシアナート1モル
と2−ヒドロキシエチルメタクリレート2モルとの付加
物15g、下記記載の方法で合成した複合充填剤40gおよび
微粉末シリカRM-50(日本アエロジル株式会社製、微粉
末シリカ)30gハイドロキノンモノメチルエーテル4mgを
35℃下2本ロールで混練し、組成物を作製した。この組
成物10gとカンフアーキノン45mgおよび4−ジエチルア
ミノ安息香酸45mgをスパチユラで十分に混合して光硬化
型コンポジツトレジンを作製した。
(III) 複合充填剤の製造例 トリメチロールプロパンのトリメタクリレート10gにベ
ンゾイルパーオキサイド0.1gを溶解した溶液を、メノー
乳鉢に入れ、さらに微粉シリカ(日本アエロジル株式会
社製、アエロジルR972、平均粒径16mμ)を少量ずつ加
えて混合した。粘度が次第に増し、パサパサになりかか
つた頃合いに、混合物を小型ゴムロールに懸け、さらに
微粉シリカを断続的に添加し、最終的な微粉シリカ添加
量を9.5gとした。得られたペーストをロールからはず
し、金型温度110℃のプレスにて150kg/cm2ないし200kg/
cm2の圧力で10分間加熱硬化した。硬化生成物をボール
ミルにて粉砕し、230メツシユふるい通過の複合充填剤1
8.0gを得た。この複合充填剤の平均粒径は11μであつ
た。
実施例1 牛歯象牙質を65%リン酸水溶液で30秒エツチング処理
し、水洗後エアーブローで乾燥し、その面を25%グルタ
ルアルデヒド水溶液(A)で1分間処理を行つた。その
後軽くエアーブローした後メチルメタクリレート(MM
A)6.5g、ジエチレングリコールジメタクリレート(2
G)2.5g、4−メタクリロイルオキシエトキシカルボニ
ルフタル酸(4-MET)1.0gカンフアーキノン0.02g、ポリ
メチレンメタクリレート0.4g、ハイドロキノンモノメチ
ルエーテル0.002gからなる溶液(B)とp−トルエンス
イフイン酸ナトリウム0.4g(PTSS)、エタノール9.6gか
らなる溶液(C)との等量混合物を前記処理面に塗布
し、軽くエアーブローした後可視光線を20秒照射した。
その後、コンポジツトレジンを所定の方法に充填硬化さ
せ、接着試験片を作製した。結果を第1表に示した。
実施例2〜10、比較例1〜4 実施例1において、ラジカル重合性単量体などを含有し
た(B)液およびスルフイン酸金属塩を含有した(C)
液の構成成分、割合などを表1に記載した化合物を第1
表に記載した量用いた他は、実施例1に記載した方法で
接着試験片を作製した。結果を表1に示した。
実施例11 実施例2においてエツチング処理として65%リン酸水溶
液を使用する代りに0.5M濃度のEDTA水溶液(PH 7−4に
調整)で60秒処理した他は実施例1と同様の方法で接着
試験片を作製した。牛歯象牙質に対する接着力は90kg/c
m2であつた。
実施例12 実施例2において、25%グルタルアルデヒド水溶液で1
分間処理する代りにグルタルアルデヒドとp−トルエン
スルフイン酸ナトリウムの混合液(各々25%、4%濃
度)(D)を塗布し、1分間処理した後、軽くエアーブ
ローした。その後、メチルメタクリレート6.5g、ジエチ
レングリコールジメタクリレート2.5g、4−メタクリロ
イルオキシエトキシカルボニルフタル酸1.0g、カンフア
ーキノン0.002g、N,N−ジエチルアミノ安息香酸0.02g、
ポリメチルテレフタレート0.4g、ハイドロキノンモノメ
チルエーテル0.002gからなる溶液(E)を前記処理面に
塗布し、軽くエアーブローした後コンポジツトレジンを
所定の方法で充填硬化させ接着試験片を作製した。牛歯
象牙質に対する接着力は110kg/cm2であつた。
実施例13 実施例12においてグルタルアルデヒドとp−トルエンス
ルフイン酸ナトリウムの水溶液(D)を塗布した後ラジ
カル重合性単量体などの混合液(E)を塗布する重ね塗
り方法ではなく、前記(D)液と(E)液の等量混合物
を一度に塗布した以外は実施例12の方法で接着試験片を
作製した。牛歯象牙質に対する接着力は95kg/cm2であつ
た。
〔発明の効果〕 本発明の接着性表面処理剤を採用することにより、歯牙
の研磨表面または切削表面にコンジツトレジンなどを接
着させる際に、エナメル質または象牙質のいずれに対し
ても強い接着強度が得られるようになる。また、本発明
の接着性表面処理剤を採用すると、歯髄に対する浸透性
および刺激性がないという特徴がある。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a) ラジカル重合性単量体、 (b) 1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロ
    イルオキシル基を含有する酸性化合物、 (c) α−ケトカルボニル化合物、 (d) スルフィン酸またはその塩、および (e) ジアルデヒド を含有する歯科用接着性表面処理剤。
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